JPH05209994A - 使用済み核燃料キャスクのb含有オーステナイト系ステンレスバスケットの製造方法 - Google Patents

使用済み核燃料キャスクのb含有オーステナイト系ステンレスバスケットの製造方法

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JPH05209994A
JPH05209994A JP3170330A JP17033091A JPH05209994A JP H05209994 A JPH05209994 A JP H05209994A JP 3170330 A JP3170330 A JP 3170330A JP 17033091 A JP17033091 A JP 17033091A JP H05209994 A JPH05209994 A JP H05209994A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用済み核燃料キャスクのバスケット材を、
窒素アトマイズ粉末の熱間圧延押出にて製造することに
より、溶接部がなく、延性,靱性,耐食性に優れたバス
ケットを製造しようとするものである。 【構成】 B,C,Si, Cr, Ni, MoおよびNを特定範囲
で含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなる窒素アト
マイズ粉末をチューブ状の炭素鋼性カプセルに真空充填
し、1050〜1170℃, 押出比5以上でチューブ状に押出加
工する。 【効果】 圧延時及び曲げ加工時や溶接時の割れを皆無
とし、高いB含有量のバスケットを得しめると共にコン
パクトなキャスクを設計し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】使用済み核燃料の輸送ないし貯蔵
用キャスクの燃料バスケット材に使用されるB含有オー
ステナイト系ステンレス鋼。
【0002】
【従来技術】使用済み核燃料の輸送及び貯蔵用キャスク
の燃料バスケット用材料として、要求される性能として
は、熱中性子吸収能,加工性,靱性,耐食性で
ある。Bは高い熱中性子吸収能を有しているため、Bを
0.3〜3.0wt%含有したオーステナイト系ステンレス鋼
が上記バスケットに使用される。バスケットのサイズは
以下の2種類が一般的である: 沸騰水型燃料棒用バスケット(BWR用): 155mm角(内寸)
×約5m長×肉厚5mm 加圧水型燃料棒用バスケット(PWR用): 230mm角(内寸)
×約5m長×肉厚10mm
【0003】ところで、B含有オーステナイト系ステン
レス鋼バスケットの最も一般的な従来製造方法は、溶解
→鋳造→熱間圧延でまず板にし、その後、曲げ加工→シ
ーム溶接というプロセスを経て上記サイズの角パイプと
するものである。しかし、一般にB含有ステンレス鋼で
は、延性が低く、熱間圧延時に耳割れが発生したり、ま
た曲げ加工時には割れが発生するという問題がある。ま
た、靱性が低く、輸送時の安全性が懸念される。更に、
Bを含有したステンレス鋼では、Bを含有していないス
テンレス鋼に比べると著しく耐食性が劣ってしまう。
【0004】熱間圧延時の耳割れを抑制する技術とし
て、B含有ステンレス鋼を炭素鋼でパックして圧延する
方法が提案されている(特開昭63-220904 号公報, 特開
昭63-50429号公報) 。しかし、この方法では、根本的に
B含有ステンレス鋼の材質を改善しているわけではな
く、上記〜の要求を満足しない。
【0005】B含有オーステナイト系ステンレス鋼の材
質において、主に延性を向上させる新しい製造方法とし
て、粉末冶金による製造方法に関し、いくつかの提案が
なされている。しかし、いずれも粉末をまず焼結(HIPも
含む) させて鋼塊を製造し、その後、圧延して板を製造
するというものである(例えば、特公昭 57-6486号公
報, 特開平 2-25541号公報)。
【0006】これらの板は、その後、曲げ加工→シーム
溶接してバスケットにする必要がある。B含有ステンレ
ス鋼は、高温割れしやすい材料であり、溶接欠陥が発生
しやすい問題がある。また、溶接材料に共金系がないた
め、溶接金属部は低B濃度となり、その部分では、熱中
性子遮蔽能が劣る結果となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
技術においては何れにしても種々の課題を有しているこ
とは明らかである。即ち、まず、通常の鋳造→圧延プロ
セスで製造したB含有ステンレス鋼の延性、靭性が低い
理由について考察すると、B含有オーステナイトステン
レス鋼は、鋳造時、共晶反応により数10μm もの大型の
ホウ化物(ボライド:(Fe, Cr,)2 B)を晶出する。ボラ
イドは非常に硬くて脆いので、ボライドそれ自身が割れ
たり、地鉄との界面が剥離しやすく、延性、靭性が極め
て低いのである。
【0008】次に、B含有ステンレス鋼の耐食性がB無
添加のステンレス鋼より劣る理由については未だはっき
りしていない。しかし、その1つの有力説としては、ボ
ライド形成のために地に固溶しているCr量が減少する
(1%B添加で5%のCrがボライドとして消費される)
ために、耐食性が劣化するという説がある。しかしなが
ら、本発明者等の研究では、通常の鋳造→圧延プロセス
で製造したB含有ステンレス鋼ではボライドの分布も均
一でなく、よりボライドが集積している部分で孔食が発
生し、その発生位置は、ボライドと地の界面である。し
たがって、本発明者等は、地の固溶Cr量の減少ばかりで
なく、ボライドのサイズ、分布が関与しているものと考
える。
【0009】次に、B含有ステンレス鋼を溶接すると、
高温割れを起こし易い理由について言うならば、Fe−B
状態図は、深い谷を持つ共晶型の凝固をする。即ち、固
液共存温度域が広い。B含有ステンレス鋼でも同様であ
り、B含有ステンレス鋼を溶接すると、広い温度範囲に
わたって固液共存域が存在し、溶接による拘束力により
液相部分(多くの場合は液化した粒界)が高温割れを起
こすのである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な従来の技術における課題を解決するように検討を重ね
創案されたものであって、急速凝固粉を素材として採用
することによりボライドの微細化を図り、延性、靱性を
著しく向上せしめ、またこのように急速凝固粉を素材と
して採用し、ボライドを微細且つ均一に分散して耐食性
の向上を図るものであり、更に本発明ではバスケットの
内外皮にB無添加のSUS304あるいはSUS316をクラッドさ
せて一層の耐食性向上を図り、又前記のような高温割れ
を防ぐために溶接の拘束力を低減する固相圧接法なども
考えられるとしても溶接をしないことが最良の方法とい
うべきであって、これらを結合せしめてB含有ステンレ
スバスケットの延性、靭性、耐食性の著しい向上と共に
溶接不要として特段の手法を開発したものであって以下
の如くである。
【0011】(1) 重量%にして、B: 0.3〜3.0%,
C: 0.08%以下,Si: 0.01〜2.0%,Mn: 2.0 %以下,
Cr: 16.0〜20.0%,Ni: 8.0 〜15.0%,Mo: 3.0%以
下,N:0.2%以下を含有し、残部が鉄および不可避的
不純物よりなる窒素アトマイズ粉末を、チューブ状の炭
素鋼製カプセルに真空充填し、温度範囲1050〜1170℃で
押出比5以上でチューブ状に押出加工することを特徴と
する使用済み核燃料キャスクのB含有オーステナイト系
ステンレスバスケットの製造方法。
【0012】(2) 重量%で、B: 0.3〜3.0%,C: 0.
08%以下,Si: 0.01〜2.0%,Mn:2.0 %以下,Cr: 16.
0〜20.0%,Ni: 8.0 〜15.0%,Mo: 3.0%以下,N:
0.2%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物よ
りなる窒素アトマイズ粉末を、チューブ状のSUS304ある
いはSUS316製カプセルに真空充填し、温度範囲1050〜11
70℃で押出比5以上でチューブ状に押出加工することを
特徴とする使用済み核燃料キャスクのB含有オーステナ
イト系ステンレスバスケットの製造方法。
【0013】
【作用】上記したような本発明におけるB含有オーステ
ナイト系ステンレスアトマイズ粉の成分の限定理由につ
いて述べると、Bは、自然状態で約20%の同位元素10
を含んでおり、10Bは中性子吸収断面積の大きい元素で
ある。したがって、中性子遮蔽(あるいは吸収)のため
に使用する本材料においては、最も重要な元素であっ
て、0.3%以下では、バスケットの一般的板厚を考慮す
ると熱中性子の吸収能が充分でなく、3.0%以上では、
ホウ化物の体積率が40%以上にも達し、熱間加工性や
常温の延性、靭性が著しく劣化するのでB:0.3〜3.0
%に限定した。
【0014】次に、Cは、0.08%以上になると、炭化
物が生成しやすく、そのため耐食性が劣化するので、
C:0.08以下と限定した。
【0015】Siは、脱酸のために添加する必要がある。
即ち、0.01%以下では脱酸が充分でなく、2.0%を超
えると脆化が生じるため、Si:0.01〜2.0%に限定し
た。
【0016】Mnも、脱酸効果を持つ元素であるが、2.0
%を超えると耐食性が低下するので、Mn:2.0%以下と
限定することが必要である。
【0017】Crは、耐食性を保持するために16.0%は
必要であり、また20.0%を超えるとσ相が脆化しやす
くなるので、Cr:16.0〜20.0%に限定すべきであ
る。
【0018】Niは、組織をオーステナイトにするために
必要な元素であり、そのためには8.0%以上必要であ
る。しかし、高価な元素であるため、Ni:8.0〜15.0
%に限定した。
【0019】Moは、耐食性に中でも耐孔食性に有効な元
素である。したがって、高い耐孔食性が要求される場合
にはMoを添加するが、Moが3.0%を超える場合にはσ相
の析出により脆化しやすくなるので、Mo:3.0%以下と
限定することが必要である。
【0020】Nは、耐孔食性および強度上昇に有効な元
素である。しかし、0.2%を超えると脆化が著しいの
で、N:0.2%以下と限定した。
【0021】次に、本発明の特徴である上記成分の窒素
アトマイズ粉を素材として使用する理由について述べる
と、ホウ化物は凝固時に晶出するものであり、凝固速度
を上げることで細かくなる傾向にあるが、通常のインゴ
ット鋳造や連続鋳造プロセスでは凝固速度を上げるにに
しても限界があり、顕著なホウ化物の微細化は達成でき
ない。一方、アトマイズ処理は、細孔から溶鋼を流出さ
せ、その溶鋼流に高圧の水、ガス、油等を吹き付け、粉
状に急速凝固せしめるプロセスであり、100℃/sec
以上の凝固速度を容易に達成することができる。アトマ
イズ処理されたB含有オーステナイト系ステンレス鋼粉
では、上述したように高冷却速度のために、アトマイズ
ままの状態ではボロンが固溶していること、加熱すると
析出する1〜3μm のサイズの微細ホウ化物(ボライ
ド)が均一に分布することを見出した。また、アトマイ
ズ処理は大量生産が可能なプロセスである。
【0022】しかし、水アトマイズ粉は、粉末表面がス
ケールで覆われ、酸素が高く、充分な延性・靭性が得ら
れないので限定から除外した。また、油アトマイズで
は、カーボンの混入が避けられず、耐食性が要求される
バスケット材には不適なので除外した。更に、アルゴン
アトマイズでは、窒素アトマイズに比較すると高い冷却
速度が得られないために粉末状態でのボライド晶出抑制
が充分でなく、加熱固化後、部分的に粗大なボライドが
存在し、またアルゴンアトマイズ粉では、ボアーを含み
易いし、Heアトマイズ粉は、非常に高い冷却速度が得ら
れるものの、高価であるため除外した。即ち、本発明で
は、窒素アトマイズ処理されたB含有オーステナイト系
ステンレス鋼粉を素材として使用するものである。
【0023】次に、固化の方法について記述すると、ま
ず、窒素アトマイズ粉を図1に示すようなチューブ状カ
プセルの粉末充填部に充填する。カプセル材質として
は、第1発明では炭素鋼を、第2発明では、SUS304ある
いはSUS316を使用するのが特徴である。また、カプセル
材のC含有量としては、耐食性の観点から低いほど望ま
しい。粉末充填後、脱気し、真空密封する。次いで、こ
の真空密封した粉末充填カプセルを1050〜1170℃に加熱
し、マンドレルとダイスを用いて、押出比5以上でチュ
ーブ状に押出するが、ここで、押出加熱温度を1050℃〜
1170℃に限定した理由は、図2に示すように1050℃未満
では真密度に到達せず、1170℃以上ではB含有ステンレ
ス粉が一部溶融してしまうためである。
【0024】前記した押出比5以上に限定した理由は、
図4に示すように押出比5未満では真密度に到達しない
ためである。チューブ状という押出形状は、上述のバス
ケット形状に近い角パイプ(例えば、内寸約155mm 角×
長さ5m 以上×肉厚約 5〜7mm あるいは内寸約230mm 角
×長さ5m 以上×肉厚約10〜12mm) と丸パイプ( 外円周
をバスケットの外周に合わす。例えば、外径約 204φ×
長さ5m 以上×肉厚約5〜7mmあるいは外径約 307φ×
長さ5m 以上×肉厚約10〜12mm) が含まれる。後者につ
いては、その後一般的なコラム成形により、バスケット
形状にすれば良い。
【0025】本発明における粉末押出の目的は、ニアネ
ットシェイプ状に固化するばかりでなく、優れた延性、
靭性を付与することにある。粉末押出では大きな加工が
加えられ、固化が達成されると同時に、再結晶も進行し
地の細粒化・ボライド分布の均一化が図られ、高い延
性、靭性が得られるのである(例えば、HIP プロセスで
も、ニアネットシェイプ状に固化させることが可能であ
るが、HIP ままでは延性、靭性が不充分である。なぜな
ら、HIP プロセスでは、加工が加わらないため、地の細
粒化およびボライドの均一分散が達成されないためであ
る。したがって、HIP プロセスでは、延性、靭性向上の
ために、固化した鋼塊を圧延あるいは鍛造加工する必要
がある) 。
【0026】本発明により前記のようにして得られたも
のに対する次の工程としては第1発明の押出材では内外
皮に炭素鋼がクラッドされているので、その部分を研削
あるいは酸洗により除去し、最終的に肉厚5mm(BWR用)
あるいは肉厚10mm(PWR用) のバスケットに仕上げる。第
2発明のものではSUS304あるいはSUS316がクラッドされ
ており、寸法精度を出す意味で若干の手入れを実施すれ
ばよい。何れにしても、このようにして、ボライドが均
一微細分散した延性・靭性・耐食性に優れたバスケット
が溶接することなく製造できる。
【0027】
【実施例】本発明によるものの具体的な実施例について
説明すると、先ず本発明者等が使用した窒素アトマイズ
粉の化学成分、粒度およびタップ密度は表1に示す如く
である。
【0028】
【表1】
【0029】また、使用したメタルカプセル(A,B,
C)の構成は図5に示す如くで、寸法、材質等について
は次の表2に示すとおりである。各メタルカプセルは、
径の異なる2本のパイプ(A,Cは丸パイプ、Bは各パ
イプ、肉厚は5mm)1,2,上下の蓋3,4,4本の脱
気管5およびダミーブロック6から構成されている。カ
プセルAには1.0B-SUS粉末、カプセルB、Cには1.7
B-SUS粉末を振動充填させた(メタルカプセルB,C
は、本発明における第2発明のクラッドバスケット用の
ものである。クラッド部は、Bを含有していないため、
熱中性子吸収能が低いので、それを補うため Core のB
含有ステンレス部は高いB含有とした。クラッドバスケ
ットを製造する場合には、このような考慮が必要と考え
られる)。充填後、図5中の脱気管を通して、室温→65
0 ℃での2段階の真空引きを実施し、脱気の細管部を圧
着封止することで、真空密封した。
【0030】
【表2】
【0031】上記のようにした後、次いで各カプセルの
表面に潤滑材を添付して、表3に示す条件で熱間押出を
実施した。
【0032】
【表3】
【0033】押出品(A′,B′,C′)の形状、密度
を次の表4に示す。A′,B′,C′とも、定常部の長
さとして、5m 以上が確保され、曲がりもほとんどなか
った。また、密度も真密度に到達していた。
【0034】
【表4】
【0035】押出品A′に関しては、酸洗により内外皮
の炭素鋼部分を除去した。ここで、酸洗液として、50
℃の65%硝酸+5%塩酸の混合液を用いた。この条件
にて、内外皮の炭素鋼部分だけが迅速に除去できた。そ
の後、押出品A′、C′は、常温のコラム成形により、
それぞれBWR 用ソリッドバスケット(A″)、PWR 用ク
ラッドバスケット(C″)に加工された。押出品B′に
関しては、若干の表面手入れを実施し、そのままBWR 用
クラッドバスケット(B″)とした。確性バスケット
は、最終的にST処理(1050 ℃→水冷) を施し、製品とし
た。
【0036】図6の顕微鏡写真には、上記のようにして
得られたバスケット(A″)のミクロ組織を、また図7
には従来法(鋳造→圧延)によって製造したものを比較
して示す。本発明方法で製造したB含有ステンレス鋼で
は、非常に微細な球状ボライドが均一に分散しているこ
とが明らかである。
【0037】図8の顕微鏡写真は、上記C″(最終手入
れ前)のマクロ及びミクロ組織を示している。表面にB
無添加のSUS304L が、非常に良い接合状態でクラッドさ
れていることが確認される。
【0038】表5に、各バスケットのST後の機械試験値
および耐食性を示す。表中には、従来材のデータも併記
したが、本発明法で製造したバスケットA″、B″、
C″は非常に優れた延性、靭性、耐食性を有しているこ
とが確認された。
【0039】
【表5】
【0040】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、従来の使用済み核燃料キャスク用B含有ステンレス
バスケットの製造方法を抜本的に改革すると同時に、そ
の材質を著しく向上させるもので、これをより具体的に
示すと以下の如くである。 従来のプロセス(鋳造→圧延→曲げ加工→溶接)で発
生していた圧延時の耳割れ、曲げ加工時の割れ、溶接時
の高温割れのようなトラブルが皆無となる。 従来法では、上記の問題点からB含有量として1.7%程
度が限界であったが、本発明では、割れの心配が皆無で
あるため、もっと高いB含有量のバスケットが供給でき
る。したがって、バスケットの肉厚を薄くすることも可
能で、現在よりずっとコンパクトなキャスクが設計可能
となる(なおここで、コンパクトとは、単位体積当たり
により多くの使用済み核燃料が収納できることを意味す
る)。 使用済み核燃料の輸送では、安全が最も重要視され
る。本発明の製造法によるバスケットは延性、靭性に優
れており、かつ溶接部がないため、安全性・信頼性が高
まる。 溶接部(従来法では、溶接部のB含有量は非常に低
い)がないので、全方向に熱中性子が遮蔽される。ま
た、母材部においても、ボライドの均一微細分散が達成
されているので、熱中性子遮蔽効果は向上していると考
えられる。 耐食性が向上しており、寿命が向上する。
【0041】また、本発明方法は、使用済み核燃料(冷
却)貯蔵プールのB含有ステンレス製ラックにも適用で
きる。プールはキャスクほどコンパクト性が要求されな
いので、一般に、ラック材のB含有量はバスケット材よ
り低い。しかし、製造時の割れに関しては、程度の差は
あるものの同様の問題を抱えている。しかも、ラック材
のサイズおよび要求性能は、バスケット材と同じである
ため、本発明によるものはそのまま適用可能であり、ラ
ック材に関しても(ラックとバスケットの違いは、呼び
方の違いだけであって)本発明の対象内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用済み核燃料用バスケットを粉末押出にて製
造する場合のメタルカプセルの断面形状についてポンチ
絵的に示している。
【図2】B含有ステンレス窒素アトマイズ粉の押出温度
と到達相対密度の関係を示したものである。ここで相対
密度とは、次の式で定義される。 相対密度=固化した後の試料の密度/真密度 真密度=7.92g/cm3
【図3】押出品の断面形状を示したものである(表4参
照)。
【図4】B含有ステンレス窒素アトマイズ粉の押出比と
到達相対密度の関係を示したものである。なお、横軸は
対数表示である。
【図5】実施例で使用したメタルカプセルの詳細につい
て示している。なお、メタルカプセルの組立順序は以下
のとおりである: 2本のパイプ準備(径が異なる)→下蓋を溶接→
粉末充填→上蓋溶接(脱気管はあらかじめ上蓋に溶接
しておく) →脱気( 常温→650 ℃) →脱気管圧着封
止→ダミーブロック溶接
【図6】本発明によるバスケットA″(1.0%B含有ス
テンレス鋼)のミクロ組織について示した顕微鏡写真
で、10%修酸電解エッチ後、光学顕微鏡にて、400
倍および1500倍で観察したものである。
【図7】従来法(鋳造→圧延)によるバスケット(1.0
%B含有ステンレス鋼)のミクロ組織について示した顕
微鏡写真で、図6に示すものと同じ処理後、光学顕微鏡
にて、400倍および1500倍で観察したものであ
る。
【図8】バスケットC″(最終手入れ前)の断面のマク
ロおよびミクロ組織について示した顕微鏡写真で、マク
ロ組織写真における上下の黒い部分が SUS304L, Coreの
部分が1.7%B含有ステンレス鋼である。ミクロ組織写
真における上部の白い部分はSUS304L 、下部の黒い斑点
(ボライド) が見える部分が1.7%B含有ステンレス鋼
である。
【符号の説明】
1 外パイプ 2 内パイプ 3 上蓋 4 下蓋 5 脱気管 6 ダミーブロック w 溶接部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C22C 38/00 302 L 7217−4K Z 7217−4K 38/54

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%にして、B: 0.3〜3.0%,C:
    0.08%以下,Si: 0.01〜2.0%,Mn: 2.0 %以下,Cr:
    16.0〜20.0%,Ni: 8.0 〜15.0%,Mo: 3.0%以下,
    N: 0.2%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純
    物よりなる窒素アトマイズ粉末を、チューブ状の炭素鋼
    製カプセルに真空充填し、温度範囲1050〜1170℃で押出
    比5以上でチューブ状に押出加工することを特徴とする
    使用済み核燃料キャスクのB含有オーステナイト系ステ
    ンレスバスケットの製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、B: 0.3〜3.0%,C: 0.08
    %以下,Si: 0.01〜2.0%,Mn: 2.0 %以下,Cr: 16.0
    〜20.0%,Ni: 8.0 〜15.0%,Mo: 3.0%以下,N: 0.
    2%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物より
    なる窒素アトマイズ粉末を、チューブ状のSUS304あるい
    はSUS316製カプセルに真空充填し、温度範囲1050〜1170
    ℃で押出比5以上でチューブ状に押出加工することを特
    徴とする使用済み核燃料キャスクのB含有オーステナイ
    ト系ステンレスバスケットの製造方法。
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JP (1) JP2551267B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101985678A (zh) * 2010-12-03 2011-03-16 西安诺博尔稀贵金属材料有限公司 一种核电用奥氏体不锈钢管材坯料的制备方法
JP2012067337A (ja) * 2010-09-21 2012-04-05 Nisshin Steel Co Ltd 核燃料保管ラック用ステンレス鋼角管およびその製造法並びにラック
JP2013205391A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 放射性物質格納容器

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JP2551267B2 (ja) 1996-11-06

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