JPH0520995U - 中間デツキを有するタンカーの下部カーゴタンク洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】中間デッキによって上下に二分された下部カー
ゴタンク内を上甲板上から洗浄する。 【構成】下端を下部カーゴタンク１４内に開放して中間
デッキ１５に固定され、上端が上甲板１１上に開放され
てこの上甲板１１に取付けられたトランク１８中に洗浄
液供給管２０を通し、これの下端に洗浄ノズル２２を設
けた洗浄機１９によって下部カーゴタンク１４内を洗浄
するように構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は中間デッキによってカーゴタンクを上下に二分したタンカーにおける 下部カーゴタンク洗浄装置、より詳しくは原油を輸送する比較的大型のタンカー で、かつ座礁時等の原油の流出を防止するようにした中間デッキを有するタンカ ーの下部カーゴタンク洗浄装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

原油を輸送するタンカーにおいては、カーゴタンクに積載した原油を揚荷中又 は揚荷役において、このカーゴタンクを洗浄する必要がある。このカーゴタンク の洗浄は一般に図２に示されるように、タンカー１を構成する上甲板２上に洗浄 油供給源に連結する接続器３を取付け、この接続器３からカーゴタンク４内に洗 浄液供給管５を導入し、この洗浄液供給管５の下端に洗浄ノズル６を取付け、こ の洗浄ノズル６から洗浄油をタンク隔壁７に噴出させることによって洗浄を行な うようになっている。

【０００３】 ところで、この構造のタンカーにおいては、座礁等による海難事故による原油 の流出を防止するため、タンクの底部を二重にした所謂二重底構造とすることが 提案実施されている。しかしながら、この構造のタンカーにおいては、二重底部 分だけ原油の積載量が減少するという問題がある。 前記問題を解決するために図３に示されるように、タンカー１のカーゴタンク ４内でかつ吃水線ＷＬより下方に位置するように中間デッキ８を配置し、上部カ ーゴタンク４a と下部カーゴタンク４b とすることが提案されている。即ち、こ の構造によれば、タンカー１を構成する底板９が座礁等により破損しても下部カ ーゴタンク4bは水面下に位置するためにヘッド差により原油の流出がなくなると いうものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 タンカーは原油を輸送し、排出後にカーゴタンク内を洗浄する必要があり、こ の時には図２に示すようにカーゴタンク４内に延長された洗浄液供給管５の下端 に設けた洗浄ノズル６から洗浄油をタンク隔壁７に噴出させて洗浄しているが、 この洗浄操作はノズル６より噴出してカーゴタンク４内に散布される洗浄油の音 を聴取して前記洗浄ノズル６が正常に作動しているかどうかを判断している。と ころで前記のように中間デッキを有するタンカーにおいては、この中間デッキに より上部カーゴタンクと下部カーゴタンクを完全に分割しているため、上甲板上 から上部カーゴタンクを洗浄することは可能であるが、下部カーゴタンクは洗浄 することはできないという問題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記したような問題点を解決するためになされたものであって、カー ゴタンク内をタンカーの吃水線下に設けた中間デッキで上部カーゴタンクと下部 カーゴタンクに分割したタンカーにおいて、下端が前記下部カーゴタンク内に開 放して中間デッキに固定し、上端が上甲板上に開放してこの上甲板に取付けられ たトランクと、このトランク内に収容された洗浄液供給管の上端を洗浄油供給源 に接続し、下端に洗浄ノズルを設けた洗浄機とよりなり、洗浄液供給管をトラン ク内に支持材で支持し、かつ上端を上甲板上に突出させ、下端が下部カーゴタン ク内に延長して配置した中間デッキを有するタンカーの下部カーゴタンク洗浄装 置である。

【０００６】

【作 用】

かかる構成によれば、上部カーゴタンク内を貫通して配置されたトランク内を 通して下部タンク内に洗浄ノズルを導入することができるため、上甲板上から下 部カーゴタンク内の洗浄を行なうことができる。

【０００７】

【実 施 例】

以下図１により本考案による中間デッキを有する下部カーゴタンク洗浄装置の 一実施例を説明する。 図１はタンカー10の一部縦断面図であって、このタンカー10には上甲板11と底 板12、横隔壁13及び図示しない縦通隔壁によりカーゴタンク14が形成され、この カーゴタンク14は中間デッキ15により上部カーゴタンク16と下部カーゴタンク17 とに分割されている。

【０００８】 そしてこの上部カーゴタンク16を貫通してトランク18が設けられているが、こ のトランク18は下端が下部カーゴタンク17内に開放して中間デッキ15に取付けら れ、上端が上甲板11上に開放してこの上甲板11に取付けられている。そしてこの トランク18内には洗浄機19を構成する洗浄液供給管20が複数の支持材21により支 持されて取付けられている。そして洗浄液供給管20の下部は下部カーゴタンク17 内に延長され、その先端に洗浄ノズル22が下部カーゴタンク17内の所定の位置に 配置され、その上端はトランク18から突出して上甲板11上まで延長して配置され ており、更に接続器23により洗浄液供給管24に接続されるようになっている。

【０００９】 前記構成による中間デッキを有するタンカーの下部カーゴタンク洗浄装置にお いて、今、洗浄液供給管24から原油の一部等の洗浄油が図示しない供給装置によ り供給されると、この洗浄油は、接続器23と洗浄液供給管20を経てその下端に設 けられている洗浄ノズル22に至り、ここから噴出して下部カーゴタンク隔壁13' 内を洗浄することができる。

【００１０】 接続器23には洗浄ノズル22の方向を示す指示計と、洗浄液の圧力計とが設けら れているため、この指示計により洗浄ノズル22の向きやその回転、更に洗浄油の 流量等の確認を行ないながら下部カーゴタンク17内の洗浄を行うことができる。 なお、洗浄ノズル22は、洗浄油の圧力を利用して自動的に回転するように構成 されており、この洗浄ノズル22の駆動装置を別に必要とせず、安全である。

【００１１】 前記実施例においては、カーゴタンク14に１基の洗浄装置を配置した場合につ いて説明したが、これはカーゴタンク14の容量とその構造に応じて複数基配置す ることもできる。又、トランク18内にはあらかじめ洗浄液供給管20を取付けた所 謂固定式としてもよいし、洗浄する場合のみトランク18の上部を開放して洗浄ノ ズル22および洗浄液伝導管20をこのトランク18内に挿入するようにしてもよい。

【００１２】

【考案の効果】

本考案に係る中間デッキを有するタンカーの下部カーゴタンク洗浄装置は、カ ーゴタンク内をタンカーの吃水線下に設けた中間デッキで上部カーゴタンクと下 部カーゴタンクに分割したタンカーにおいて、下端が前記下部カーゴタンク内に 開放して中間デッキに固定し、上端が上甲板上に開放してこの上甲板に取付けら れたトランクと、このトランク内に収容された洗浄液供給管の上端を洗浄油供給 源に接続し、下端に洗浄ノズルを設けた洗浄機とよりなり、洗浄液供給管をトラ ンク内に支持材で支持し、かつ上端を上甲板上に突出させ、下端が下部カーゴタ ンク内に延長して配置している。

【００１３】 従って、上部カーゴタンクを貫通して配置されたトランクを通して下部タンク 内に洗浄ノズルを導入し、これを操作するようにしたため、上部カーゴタンクと 分割された下部カーゴタンクの洗浄を上甲板上から行なうことができるという効 果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による中間デッキを有するタンカーの下
部カーゴタンク洗浄装置のタンカーの一部縦断面であ
る。

【図２】従来のタンカーのカーゴタンク洗浄装置を有す
るタンカーの横断面図である。

【図３】中間デッキを有するタンカーの概略縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１, 10 タンカー ２, 11 上甲板 ３, 23 接続
器 ４, 14 カーゴタンク ５, 20 洗浄液供給管 ６,
22 洗浄ノズル ７ タンク隔壁 ８, 15 中間デッキ ９, 12 底
板 13 横隔壁 15 中間デッキ 16 上部カーゴタンク 17 下部
カーゴタンク 18 トランク 19 洗浄機 21 支持材 24 洗
浄液供給管。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 上谷 秀雄 東京都中央区築地５丁目６番４号 三井造 船株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 カーゴタンク内をタンカーの吃水線下に
   設けた中間デッキで上部カーゴタンクと下部カーゴタン
   クに分割したタンカーにおいて、下端が前記下部カーゴ
   タンク内に開放して中間デッキに固定し、上端が上甲板
   上に開放してこの上甲板に取付けられたトランクと、こ
   のトランク内に収容された洗浄液供給管の上端を洗浄油
   供給源に接続し、下端に洗浄ノズルを設けた洗浄機とよ
   りなり、洗浄液供給管をトランク内に支持材で支持し、
   かつ上端を上甲板上に突出させ、下端が下部カーゴタン
   ク内に延長して配置した中間デッキを有するタンカーの
   下部カーゴタンク洗浄装置。