JPH05209286A - 鉄電解槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】二方向流入・流出円筒型鉄電解槽は、製造コス
ト低減が大幅に図られ、更に、流入管１５ａ，１５ｂと
平行に配置された、２本の流出レジューサ管１９ａ，１
９ｂと、下部排出室２０に配置された、山型状の断面形
状を有する抵抗板２１に組合せる。 【効果】圧力容器としての設計が容易となり、又、製造
コストの大幅低減が可能となり、更には、性能面では、
流出レジューサ管と抵抗板の組合せにより、海水スケー
ルの付着抑制に不可欠な、フローパターンが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉄イオン注入装置に係
り、特に、鉄電解槽の構造改良に伴う、製造コスト低減
に関し、特に、この種の鉄電解槽において、鉄電極板へ
の電気分解による海水スケール付着が起り難く、安定し
た内部流体フローパターンを得るのに最適な鉄電解槽に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の装置は、鉄電解槽の構造が、電極
板形状に合わせ、電極収納室を角型構造の圧力容器とし
ていたため、強度上の問題（集中荷重）から、鉄電解槽
の板厚を厚くし、更に、補強リブを取付ける必要性があ
り、補強材料及び溶接工数等が多いため、製造コスト高
となっている欠点があった。

【０００３】図１は、従来の発電プラントの海水系にお
ける、復水器の冷却管保護の為、鉄イオン注入装置を使
用した場合の例を示したものである。

【０００４】循環水ポンプ１が、取水口より海水をくみ
上げ、循環水配管２を経て、復水器３へ海水を送り込
み、内部に組んでいる冷却管４で熱交換を行う。この冷
却管４に強固な防食鉄皮膜を付着形成させ保護するの
が、鉄イオン注入装置である。循環水配管２より、海水
取水ポンプ５により取水された海水は、ストレーナ６を
介し、鉄電解槽７に送り込まれ、鉄電解槽７の内部に収
納された鉄電極板８には、整流器９に入力された交流電
源が、整流器９により直流電源に変換出力され、電解電
流として供給される。ここで、海水中に於いて鉄電極板
８は電気分解され、鉄イオンを発生し、鉄イオンを含有
した海水として、循環水配管２に戻し、復水器３の内部
に組んでいる冷却管４に送入され、酸化鉄皮膜を形成さ
せるものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記、従来技術によ
る、鉄電解槽の構造は、槽内の内部流体フローパターン
の安定化による海水スケール付着防止を特に重視してい
るため、市場での競争力を強化する面での製造コスト低
減の点について考慮がされておらず、経済性の意味で問
題があった。

【０００６】本発明の目的は、鉄電解槽の構造改良を行
い、性能面では、従来の鉄電解槽と同等以上の効果をも
ち、製造コスト面で、大幅な原価低減を図り、市場での
競争力強化を図ることにより、経済性向上に寄与するこ
とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的は、従来の角型
構造の鉄電解槽の有していた、内部流体の安定したフロ
ーパターンを解析することにより、各部の機能を円筒型
にした場合の構造に見合ったものにしたことで達成され
る。

【０００８】

【作用】従来型の二方向流入・流出角型鉄電解槽の構造
及び性能上の利点はそのまま生かし、更に、構造改良を
行い、特に、流入管と平行に配置された、２本の流出レ
ジューサ管と、下部排出室に配置された、山型状の断面
形状を有する抵抗板の組み合わせにより、各電極間の均
一な流れ、及び、スムーズな排出は、従来型に比べ、機
能向上が図られ、鉄電極板への電気分解による海水スケ
ール付着が、起こり難い、安定した内部流体フローパタ
ーンを得るのに最適な鉄電解槽を寄与することが可能と
なる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図２，図３により説
明する。

【００１０】図２は、本発明の実施例による、鉄イオン
注入装置の二方向流入・流出円筒型鉄電解槽の構造図を
示したものである。

【００１１】本実施例の鉄電解槽は、この種の一般の装
置と同様に、鉄電解槽本体１０の中に、鉄製の板状の陽
極１１，陰極１２，複数枚の複極１３を平行に並べて収
容して形成され、図２に示される様に立てた状態で使用
される。なお、図３は、図２の装置のＡ−Ａ部の断面形
状を示すものである。円筒状の鉄電解槽１０の上部に
は、流入室１４が設けられ、この流入室１４には、鉄電
極板に直角な方向に相対向して配された２本の流入管１
５ａ，１５ｂが取付けられている。

【００１２】流入室１４の側部からは、陰極１２の上部
に接続された陰極リードバー１６、及び、陽極１１の上
端に接続された陽極リードバー１７が室内に延ばされて
いる。（尚、図２では、図面の明瞭化のため、陽極リー
ドバー１７は途中で切断してある。）この流入室１４
と、鉄電解槽本体１０にはさまれた電極ガイド１８は、
鉄電極の周囲に設けられ、電極ガイド１８は、鉄電極の
上端部より高く、助走部を設けている。又、電極ガイド
１８には内外水圧を均一にする為の圧力バランスホール
を４ヶ所程度設けている。

【００１３】流入室１４に、流入管１５ａ，１５ｂよ
り、２方向から流入した海水は、互いにぶつかり合い、
渦流となるが、電極ガイド１８の助走部で整流され、鉄
電極板の極間に流入する。流入管１５ａ，１５ｂと平行
に２本の流出レジューサ管19ａ，１９ｂが取付けられて
いる。そして下部排出室２０には、山型状の断面形状を
有する抵抗版２１が、突辺を上方に向け、陽極１１の真
下で、この陽極１１と平行に延びるように設けられてお
り、各極間の流れを均一にし、かつ、排出をスムーズに
することに寄与している。

【００１４】尚、電気分解により発生した水素ガスは、
鉄電解槽上部を鏡板にすることにより、上部水素ガス排
出管２２より容易に排出できる。

【００１５】又、鉄電解槽内面には、絶縁性のあるゴム
ライニング又は、他のコーティング処理を施している。

【００１６】本実施例によれば、鉄電解槽の構造を円筒
型にすることにより、圧力容器としての設計が容易であ
り、かつ、製作加工，ライニング作業工数の大幅低減に
寄与することが出来、かつ、重量も軽量化が可能であ
り、経済性の効果大である。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果があ
る。

【００１８】(１)鉄電解槽が、円筒型構造の為、圧力容
器としての設計が容易であり、かつ、製作加工、及びラ
イニング作業の工数の大幅低減に効果大である。

【００１９】(２)従来の角型構造の鉄電解槽のもってい
た利点はそのまま生かし、更に、構造改良を行い、特
に、流出レジューサ管と、抵抗版の組み合わせにより、
各電極間の均一な流れ、又、スムーズな排出は機能向上
に寄与することが大である。 (３)鉄電解槽を円筒型構造にしたことにより、従来の角
型構造に比較して、使用材料の胴体板厚を薄く、かつ、
補強リブの材料を必要としないため、溶接工数の大幅低
減が可能となり、また、重量を軽量化することが可能と
なり、経済的効果が大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の鉄イオン注入装置の系統図。

【図２】本発明の一実施例による、鉄イオン注入装置の
鉄電解槽の断面図。

【図３】本発明の一実施例による、鉄イオン注入装置の
鉄電解槽の断面図。

【符号の説明】

１５ａ，１５ｂ…流入管、１８…電極ガイド、１９ａ，
１９ｂ…流出レジューサ管、２１…抵抗版。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平行に並べられた、複数枚の電極板を収納
   する鉄電解槽を有し、前記電極板の極間に海水を流すと
   ともに、直流電源を供給して鉄板を電気分解し、鉄イオ
   ンを発生させる鉄イオン注入装置において、前記鉄電解
   槽を円筒型とし、かつ電極板周囲及び上部に至る範囲
   に、電極ガイドを設け、上部整流胴を形成させることを
   特徴とする鉄電解槽。
2. 【請求項２】請求項１において、前記鉄電解槽は、対称
   位置の２方向から流入，流出する鉄電解槽。
3. 【請求項３】請求項１または２において、前記鉄電解槽
   の排出部に於いて、出口配管をレジューサとし、かつ抵
   抗板の組合せとした鉄電解槽。