JPH05208899A - 性状が異なる領域を有する酸化物超電導薄膜と作製方法 - Google Patents

性状が異なる領域を有する酸化物超電導薄膜と作製方法

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JPH05208899A
JPH05208899A JP4082801A JP8280192A JPH05208899A JP H05208899 A JPH05208899 A JP H05208899A JP 4082801 A JP4082801 A JP 4082801A JP 8280192 A JP8280192 A JP 8280192A JP H05208899 A JPH05208899 A JP H05208899A
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oxide
superconducting thin
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oxide superconducting
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Hiroshi Inada
博史 稲田
Satoshi Tanaka
聡 田中
Takao Nakamura
孝夫 中村
Michitomo Iiyama
道朝 飯山
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 Si基板3上に一体に形成されたc軸配向の酸
化物超電導体結晶で構成された素子領域1と、a軸配向
の酸化物超電導体結晶または素子領域1を構成する酸化
物超電導体の構成元素を含む非超電導酸化物で構成され
た素子分離領域2とを備える酸化物超電導薄膜。 【効果】 素子分離領域は、歪を吸収する緩衝層として
も機能する。a軸配向の酸化物超電導体結晶で配線領域
を形成する構成も可能であり、その場合、この配線領域
は層間配線に適し、且つ歪を吸収する緩衝層としても機
能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、性状が異なる領域を有
する酸化物超電導薄膜およびその作製方法に関する。よ
り詳細には、a軸配向(またはb軸配向、以下本明細書
ではより一般的なa軸配向に代表させて記す)の酸化物
超電導体結晶で構成された領域とc軸配向の酸化物超電
導体結晶で構成された領域とを有する酸化物超電導薄
膜、酸化物超電導体結晶で構成された領域とこの酸化物
超電導体の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成さ
れた領域とを有する酸化物超電導薄膜およびそれらの薄
膜を作製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体は、従来の金属系超電導
体に比較して臨界温度が高く、実用性がより高いと考え
られている。例えば、Y−Ba−Cu−O系酸化物超電導体
の臨界温度は80K以上であり、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸
化物超電導体およびTl−Ba−Ca−Cu−O系酸化物超電導
体の臨界温度は 100K以上と発表されている。酸化物超
電導体の超電導特性には結晶異方性があり、特に臨界電
流密度は結晶のc軸に垂直な方向が最も大きい。そのた
め、酸化物超電導体を使用する場合には、結晶方向、特
に結晶のc軸の方向に注意を払う必要がある。
【0003】酸化物超電導体を超電導素子、超電導集積
回路等いわゆる超電導エレクトロニクス技術に応用する
場合、一般には酸化物超電導体を薄膜化して使用しなけ
ればならない。酸化物超電導体を薄膜化した場合には、
上記の超電導特性の結晶異方性の問題はより顕著にな
る。また、高性能な超電導素子、超電導集積回路を実現
するためには、基板に平行な方向に電流が流れる超電導
電流路と、基板に垂直な方向に電流が流れる超電導電流
路とが必要となる。例えば、電極等は基板に平行な方向
の電流が流れ、層間配線には基板に垂直な方向の電流が
流れる。そのため、酸化物超電導体を薄膜化する際に
は、結晶方向を揃えて薄膜化することが一般的である。
従来は、酸化物超電導体をMgO、SrTiO3 等の単結晶基
板上に、スパッタリング法、MBE法、CVD法等でエ
ピタキシャル成長させて酸化物超電導薄膜を成膜し、基
板に平行な方向の臨界電流密度が高いc軸配向の部分
と、基板に垂直な方向の臨界電流密度が高いa軸配向の
部分とを有する酸化物超電導薄膜とを作製していた。上
記の方法で酸化物超電導薄膜を作製する場合、一般的に
は、基板温度は500 ℃以上であり、また、成膜後に熱処
理を行うこともある。
【0004】酸化物超電導薄膜を配向性は、成膜温度
(一般には成膜時の基板温度である)で制御される。即
ち、a軸配向の酸化物超電導薄膜を形成する場合には、
c軸配向の酸化物超電導薄膜を形成する場合の基板温度
よりも約50〜100 ℃低い基板温度で成膜を行えばよい。
従って、従来、同一基板上にc軸配向の酸化物超電導薄
膜と、a軸配向の酸化物超電導薄膜とを作製する場合に
は、最初にどちらかの配向性を有する酸化物超電導薄膜
を作製してから、エッチング等によりパターニングを行
い、その後必要な部分にもう一方の配向性の酸化物超電
導薄膜を形成していた。
【0005】一方、酸化物超電導薄膜を上記の超電導エ
レクトロニクスに使用した場合には、超電導領域を分離
する必要がある。そのためには、酸化物超電導薄膜中に
非超電導性の材料により分離領域を設け、酸化物超電導
薄膜を区分しなければならない。従来の方法では、最初
に酸化物超電導薄膜を成膜し、エッチング等により分離
領域にあたる部分の酸化物超電導薄膜を除去し、その部
分に絶縁体層を形成して分離領域としていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MgO、
SrTiO3 等の単結晶基板は高価であり、このような基板
を使用した場合には、大面積の酸化物超電導薄膜はコス
トが非常に高くなる。安価で大面積の基板としては、現
在Si単結晶基板が一般的であり、Si単結晶基板上に酸化
物超電導薄膜を作製することが試みられている。一方、
超電導トランジスタ等の超電導体と半導体とを使用する
超電導デバイスを作製する場合には、Si等の半導体基板
上に酸化物超電導薄膜を作製することが必要となる場合
がある。
【0007】ところが、Siと酸化物超電導体とは、その
熱膨張率の差が大きいので、Si単結晶基板上に形成され
た酸化物超電導薄膜は、成膜後の冷却過程で割れたり、
歪が生じたり、Si基板から酸化物超電導薄膜が剥離する
ことがある。この問題の対策として、酸化物超電導薄膜
を最初から小面積の薄膜に溝等で分割して成長させた
り、Si単結晶基板上にAg、MgO等でバッファ層を形成
し、その上に酸化物超電導薄膜を成長させることが行わ
れている。酸化物超電導薄膜を溝等で分割した場合、当
然のことながら酸化物超電導薄膜の表面は溝の部分が凹
んで平坦ではない。従って、素子等を作製する場合に様
々な制限を受ける。分割された酸化物超電導薄膜の大き
さから素子の最大の寸法が限定され、また、酸化物超電
導薄膜上に他の薄膜を積層する場合にも方法等に制限を
受ける。一方、バッファ層を使用した場合、その上に作
製した酸化物超電導薄膜の特性は、バッファ層の影響を
受けるため用途が限られてしまう。
【0008】また、一方上記従来の方法で配向性が異な
る部分を有する酸化物超電導薄膜を作製する場合は、酸
化物超電導薄膜の成膜を条件を変えて2回行わなければ
ならないので効率が悪い。エッチングの際に誤差が生じ
るために加工可能な寸法に制限があり、断面積を小さく
したい層間配線が必要以上に大きくなり、高集積化が困
難である。また、エッチングされた酸化物超電導薄膜
は、エッチングされた端部が汚染されたり、エッチング
された端部に超電導体でない物質が生じたりする。さら
に、エッチングが完全でなく、例えば、c軸配向の酸化
物超電導薄膜が僅かでも残っている場合には、その上に
a軸配向の酸化物超電導薄膜を形成しようとしても、c
軸配向の酸化物超電導薄膜のみが形成されてしまう。完
全にc軸配向の酸化物超電導薄膜が除去された場合で
も、エッチングにより下層の表面が荒れてしまうと、そ
の上に結晶性のよいa軸配向の酸化物超電導薄膜を成長
させることは困難である。
【0009】上記のエッチングが理想的に行われた場合
でも、a軸配向の酸化物超電導薄膜を形成する際に、c
軸配向の酸化物超電導薄膜のエッチングにより露出した
端部から酸素が抜け、c軸配向の酸化物超電導薄膜の組
成がずれ、超電導特性が悪化する。特に、a軸配向の酸
化物超電導薄膜を形成後に表面が露出していないc軸配
向の酸化物超電導薄膜に、熱処理等により抜けた酸素を
補うことは不可能であり、超電導素子としての動作が期
待できないことがある。一方、c軸配向の酸化物超電導
薄膜と後から形成したa軸配向の酸化物超電導薄膜との
整合を、完全な状態にすることは非常に困難であり、両
者の境界面で電流容量が制限されてしまう。また、上述
のエッチングされた端部の汚染等により、c軸配向の酸
化物超電導薄膜と、a軸配向の酸化物超電導薄膜との界
面に弱結合が成立し、トンネル電流が流れて非線型の特
性が生じることがある。
【0010】分離領域を形成する場合にも上記のエッチ
ングによる問題は避けられず、特にエッチングが不完全
で分離領域にあたる部分の酸化物超電導薄膜が完全に除
去できない場合には、超電導領域が分離されないことが
ある。また、酸化物超電導薄膜のエッチングされた部分
に隣接している部分が劣化することも含め、実質的に分
離領域を微細にすることも難しく、集積度を向上させる
際に障害となる。
【0011】そこで、本発明の目的は、a軸配向の酸化
物超電導体結晶で構成された領域とc軸配向の酸化物超
電導体結晶で構成された領域とを有する酸化物超電導薄
膜、a軸配向の酸化物超電導体結晶で構成された領域と
c軸配向の酸化物超電導体結晶で構成された領域とを有
し、歪を吸収する緩衝機能を備えた酸化物超電導薄膜、
酸化物超電導体結晶で構成された領域と酸化物超電導体
結晶の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成された
領域とを有する酸化物超電導薄膜およびそれらの作製方
法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に従うと、基板上
に形成された酸化物超電導薄膜において、酸化物超電導
体結晶で構成された第1の領域と、第1の領域を構成し
ている酸化物超電導体結晶と性状が異なる材料で構成さ
れた第2の領域とを有することを特徴とする酸化物超電
導薄膜が提供される。
【0013】本発明の酸化物超電導薄膜は、例えば、c
軸が基板に垂直な配向性を有する酸化物超電導体結晶で
構成された領域と、c軸が基板に平行な配向性を有する
酸化物超電導体結晶で構成された領域とを有する酸化物
超電導薄膜にすることができる。
【0014】また、本発明の酸化物超電導薄膜は、酸化
物超電導体結晶で構成された領域と、前記酸化物超電導
体結晶を構成する元素を含む非超電導性の酸化物で構成
された領域とを有する酸化物超電導薄膜としてもよい。
【0015】さらに、本発明においては、基板上に形成
された酸化物超電導薄膜において、前記酸化物超電導薄
膜の一部に、熱膨張等による歪を吸収する緩衝層を具備
し、該緩衝層が前記酸化物超電導薄膜の他の部分を構成
する酸化物超電導体と結晶の配向性が異なる酸化物超電
導体または前記酸化物超電導薄膜の他の部分を構成する
酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導性の酸化物で
構成されていることを特徴とする酸化物超電導薄膜が提
供される。
【0016】さらにまた、本発明においては、基板上に
形成された酸化物超電導薄膜において、前記酸化物超電
導薄膜上に特定の繰り返しパターンが形成され、前記酸
化物超電導薄膜の一部に、熱膨張等による歪を吸収する
緩衝層を具備し、該緩衝層が前記酸化物超電導薄膜の他
の部分を構成する酸化物超電導体と結晶の配向性が異な
る酸化物超電導体または前記酸化物超電導薄膜の他の部
分を構成する酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導
性の酸化物で構成されていることを特徴とする酸化物超
電導薄膜が提供される。
【0017】加えて、本発明においては、同一の基板上
に上面が等しい高さになるよう配置された、酸化物超電
導薄膜を成長させるのに適した材料の層および半導体酸
化物層と、前記材料の層上の酸化物超電導体結晶で構成
された領域と、前記半導体酸化物層上の前記酸化物超電
導体の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成された
領域とを備えることを特徴とする酸化物超電導薄膜が提
供される。
【0018】一方、本発明では、基板上に、c軸が基板
に垂直な配向性を有する酸化物超電導体結晶で構成され
た領域と、c軸が基板に平行な配向性を有する酸化物超
電導体結晶で構成された領域とを有する酸化物超電導薄
膜を作製する方法において、結晶のc軸が基板に垂直な
配向性を有する酸化物超電導薄膜が成長し易い結晶構造
を有する物質による第1のバッファ層と、結晶のc軸が
基板に平行な配向性を有する酸化物超電導薄膜が成長し
易い結晶構造を有する物質による第2のバッファ層とを
基板上に形成してから酸化物超電導薄膜の成膜を行うこ
とを特徴とする方法が提供される。
【0019】また、本発明においては、基板上に、c軸
が基板に垂直な配向性を有する酸化物超電導体結晶で構
成された領域と、c軸が基板に平行な配向性を有する酸
化物超電導体結晶で構成された領域とを有する酸化物超
電導薄膜を作製する方法において、基板上の一部にごく
薄い結晶のc軸が基板に平行な配向性を有する酸化物超
電導薄膜を成膜した後、結晶のc軸が基板に垂直な配向
性を有する酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸化物超
電導薄膜の成膜を行うことを特徴とする方法が提供され
る。
【0020】さらに、本発明においては、基板上に、酸
化物超電導体結晶で構成された超電導領域と、前記酸化
物超電導体の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成
された非超電導領域とを備える酸化物超電導薄膜を作製
する方法において、基板上の非超電導領域に対応する部
分が他の部分よりも低くなるように該基板上に段差を形
成し、該段差の低い部分に段差がほぼ平坦になるよう半
導体酸化物薄膜を形成し、該半導体酸化物薄膜が形成さ
れた基板上に酸化物超電導薄膜を成膜することを特徴と
する酸化物超電導薄膜の方法が提供される。
【0021】さらにまた、本発明においては、半導体基
板上に、酸化物超電導体結晶で構成された超電導領域
と、前記酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導性の
酸化物で構成された非超電導領域とを備える酸化物超電
導薄膜を作製する方法において、半導体基板上の超電導
領域に対応する部分が他の部分よりも低くなるように該
半導体基板上に段差を形成し、該段差の低い部分に段差
がほぼ平坦になるよう酸化物超電導薄膜を成長させるの
に適した材料のバッファ層を形成し、該半導体基板の前
記非超電導領域に対応する部分を酸化し、前記バッファ
層および半導体酸化物層が形成された基板上に酸化物超
電導薄膜を成膜することを特徴とする酸化物超電導薄膜
の方法が提供される。
【0022】
【作用】本発明の酸化物超電導薄膜は、酸化物超電導体
結晶で構成された第1の領域と、第1の領域を構成して
いる酸化物超電導体結晶と性状が異なる材料で構成され
た第2の領域とを有する。具体的には、本発明の酸化物
超電導薄膜は、c軸配向の酸化物超電導体結晶で構成さ
れた領域と、a軸配向の酸化物超電導体結晶で構成され
た領域とを有する酸化物超電導薄膜とすることができ
る。また、本発明の酸化物超電導薄膜は酸化物超電導体
結晶で構成された領域と、酸化物超電導体と等しい構成
元素を含む非超電導性の酸化物で構成された領域とを有
する酸化物超電導薄膜とすることができる。本発明の酸
化物超電導薄膜は、例えば、c軸配向の酸化物超電導体
結晶部分を水平方向の超電導配線に、a軸配向の酸化物
超電導体結晶部分を垂直方向の超電導配線に使用する素
子等に応用することができる。本発明の酸化物超電導薄
膜を使用すると、各超電導電流路、超電導電極等を構成
する酸化物超電導薄膜の超電導特性を電流方向に合わせ
ることも容易であるので、高性能な超電導素子、超電導
集積回路を実現することができる。
【0023】また、本発明の酸化物超電導薄膜において
は、配向性の異なる領域、非超電導酸化物で構成されて
いる領域を緩衝層とすることも可能であり、配向性の異
なる2種類の酸化物超電導体結晶でそれぞれ構成されて
いる領域を有する本発明の酸化物超電導薄膜の場合に
は、上記の超電導配線の一部が上記の緩衝層の機能をも
有する。具体的には、酸化物超電導薄膜上に、例えば素
子パターンである、特定のパターンが繰り返されて形成
され、c軸配向の酸化物超電導体結晶で構成された素子
領域と、この素子領域を区分するa軸配向の酸化物超電
導体結晶で構成された素子分離領域とを具備するような
酸化物超電導薄膜とすることができる。このような構成
の本発明の酸化物超電導薄膜では、a軸配向の酸化物超
電導体結晶とc軸配向の酸化物超電導体結晶との界面、
a軸配向の酸化物超電導体結晶のc軸方向の変形により
歪を吸収する。上記緩衝層には、酸化物超電導体に不純
物が添加されて超電導性を失った酸化物、酸化物超電導
体と比較して結晶中の酸素が少ない非超電導酸化物等酸
化物超電導体の構成元素を含む非超電導酸化物も使用可
能である。このような非超電導酸化物の緩衝層を有する
本発明の酸化物超電導薄膜では、酸化物超電導体と非超
電導酸化物との界面、非超電導酸化物の変形により歪を
吸収する。本発明の酸化物超電導薄膜の緩衝層に使用す
る非超電導酸化物は、結晶性が悪いので変形し易く、歪
を吸収するのに適している。上記本発明の酸化物超電導
薄膜においては、上記の緩衝層の近傍においても上記の
繰り返しパターンの形状が変更されていないもの、およ
び上記の緩衝層および緩衝層の近傍では、上記の繰り返
しパターンの形状が他の部分と異なるものの両方が可能
である。
【0024】上記本発明の酸化物超電導薄膜の内、上記
の緩衝層の近傍においても上記の繰り返しパターンの形
状が変更されていないものにおいては、上記の緩衝層
は、スクライブライン等の回路間、異なるグランドプレ
イン間、配線領域、素子分離領域に設けることが好まし
い。例えば、c軸配向の酸化物超電導体結晶のみで構成
されたパターン領域と、a軸配向の酸化物超電導体結晶
または上記の非超電導性の酸化物で構成された緩衝層を
含むパターン領域とがそれぞれ前記繰り返しパターンに
組み込まれている酸化物超電導薄膜とすることができ
る。このような構成の本発明の酸化物超電導薄膜は、超
電導薄膜として有効に使用できる面積が大きく、緩衝層
を薄膜上の任意の位置に配置することができる。従っ
て、歪を最も効果的に吸収する位置に緩衝層を配置する
ことが可能であり、酸化物超電導薄膜の面積が大きい場
合でも有効である。
【0025】一方、上記本発明の酸化物超電導薄膜の
内、上記の緩衝層および緩衝層の近傍では、上記の繰り
返しパターンの形状が他の部分と異なるものにおいて
は、この緩衝層は、スクライブライン等の回路間、異な
るグランドプレイン間、配線領域、素子分離領域、また
は、特定の単位パターン内の特性測定用に使用されるパ
ターン(TEG)に設けることが好ましい。また、本発
明の酸化物超電導薄膜の緩衝層は、位置合わせマークと
兼用することも可能であり、さらに上記の複数の機能を
組み合わせることも可能である。この構成の本発明の酸
化物超電導薄膜は、例えば、c軸配向の酸化物超電導体
結晶のみで構成された通常の素子が形成されるパターン
領域と、a軸配向の酸化物超電導体結晶または上記の非
超電導性の酸化物で構成された緩衝層を含むパターン領
域とが、それぞれ前記繰り返しパターンに組み込まれて
いる酸化物超電導薄膜とすることができる。本発明の酸
化物超電導薄膜では、緩衝層を含むパターンを通常の素
子が形成されるパターンと異なるものとすることができ
るので、緩衝層の大きさ、形状を最適なものにすること
が可能である。また、上記のTEG、位置合わせマーク
と兼用させることにより、酸化物超電導薄膜の成膜状態
の良否の判定が同時に可能になり、有効な回路単位数を
増加させることができる。従って、歪を最も効果的に吸
収する大きさおよび形状の緩衝層を形成することが可能
であり、酸化物超電導薄膜の面積が大きい場合でも有効
である。
【0026】緩衝層がa軸配向の酸化物超電導体で構成
されている本発明の酸化物超電導薄膜では、a軸配向の
酸化物超電導体結晶とc軸配向の酸化物超電導体結晶と
の界面、a軸配向の酸化物超電導体結晶のc軸方向の変
形により歪を吸収する。一方、緩衝層がc軸配向の酸化
物超電導体と等しい構成元素を含む非超電導性の酸化物
で構成されている本発明の酸化物超電導薄膜では、この
非超電導性の酸化物とc軸配向の酸化物超電導体結晶と
の界面でも歪を吸収するが、特に非超電導性の酸化物は
結晶性が悪く容易に変形するので、この変形により歪の
大部分を吸収する。
【0027】上記本発明の酸化物超電導薄膜では、緩衝
層と他の部分とを実質的に同時に成長させることが好ま
しい。即ち、本発明の酸化物超電導薄膜は緩衝層と他の
部分とが連続しており、また、ほぼ一様な厚さで、表面
が平坦である。従って、本発明の酸化物超電導薄膜は、
等価的に素子領域が拡大されており、酸化物超電導薄膜
上に他の薄膜等を積層することが容易である。さらに、
薄膜が均一であるので、機械的強度が高く、基板から剥
離し難くなっている。一方、本発明の酸化物超電導薄膜
の素子領域の部分は、酸素が抜けやすい薄膜の側面が露
出することがない。このため、酸化物超電導体結晶中の
酸素が失われ難いので、これによる超電導特性の低下を
避けることができる。これらの特徴から、本発明の酸化
物超電導薄膜は、各種素子、集積回路を作製する際の材
料として使用した場合に、自由度が高く、回路基板とし
ての特性も良好である。当然のことながら、緩衝層がa
軸配向の酸化物超電導体で構成されている本発明の酸化
物超電導薄膜は、緩衝層の部分も超電導性を有するの
で、1枚の酸化物超電導薄膜として使用可能である。
【0028】本発明の酸化物超電導薄膜では、上記の素
子分離領域を酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導
酸化物で構成してもよい。この場合、基板上に上面が等
しい高さになるよう配置された、例えば、MgO等酸化物
超電導薄膜を成長させるのに適した材料の層およびSiO
2等半導体酸化物層と、MgO層上の酸化物超電導体結晶
で構成された領域と、SiO2層上の前記酸化物超電導体
の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成された領域
とを有する酸化物超電導薄膜とすることができる。
【0029】本発明の第1の方法では基板上にc軸配向
の酸化物超電導薄膜が成長しやすいバッファ層およびa
軸配向の酸化物超電導薄膜が成長しやすいバッファ層を
形成して成膜を行うが、バッファ層には以下のものを使
用することが好ましい。c軸配向の酸化物超電導薄膜を
形成する部分には、LaAlO3、PrGaO3等で構成されたバ
ッファ層が好ましく、a軸配向の酸化物超電導薄膜を形
成する部分には、Al23、MgO等で構成されたバッファ
層が好ましい。これは、LaAlO3、PrGaO3は酸化物超電
導体のa軸、b軸と格子整合性が非常によいので、これ
らで構成されたバッファ層上には、c軸配向の酸化物超
電導薄膜が容易に成長するからである。
【0030】上記本発明の方法において、酸化物超電導
薄膜の成膜温度は、c軸配向の酸化物超電導薄膜を成膜
する温度であることが好ましい。これは、一般にc軸配
向の酸化物超電導薄膜を成膜する温度の方が高く、結晶
性のよい薄膜が得られるのと、本発明の方法では、この
温度で成膜を行うと、上記それぞれのバッファ層上には
自動的にa軸配向、c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長
するからである。
【0031】一方、本発明の第2の方法は、基板の一部
に最初にごく薄い結晶のc軸が基板に平行な配向性を有
する酸化物超電導薄膜を成膜し、その後、結晶のc軸が
基板に垂直な配向性を有する酸化物超電導薄膜が成長す
る条件で酸化物超電導薄膜の成膜を行うことをその主要
な特徴とする。c軸配向の酸化物超電導薄膜が成長する
条件で成膜を行っても、先に成膜したごく薄いa軸配向
の酸化物超電導薄膜上には、a軸配向の酸化物超電導薄
膜が成長する。従って、本発明の方法ではある領域では
c軸が基板に垂直な配向性を有し、他の領域ではc軸が
基板と平行な配向性を有する酸化物超電導薄膜を基板上
に同時に成長させることができる。
【0032】上記本発明の第2の方法では、基板のc軸
配向の酸化物超電導薄膜を成膜する部分を、結晶のa軸
配向の酸化物超電導薄膜を成膜する温度より高い昇華温
度の金属で被覆して、ごく薄い結晶のc軸が基板に平行
な配向性を有する酸化物超電導薄膜を成膜する。この酸
化物超電導薄膜の厚さは、約50nm以下でc軸配向の酸化
物超電導薄膜がクラスタ成長から膜成長に移行する厚さ
であることが好ましい。次いで、基板温度を上昇させ、
昇華性の金属を除去し、c軸配向の酸化物超電導薄膜が
成長する条件で酸化物超電導薄膜の成膜を行う。
【0033】上記本発明の方法では、上記の昇華性の金
属には、例えばMoを使用することができる。これは、Mo
がO2 雰囲気では約790 ℃でMoO3 となって昇華し、ま
た、酸化物超電導薄膜に悪影響を与えることが少ないか
らである。また、本発明の方法で酸化物超電導薄膜を作
製するのに好ましい基板には、例えばMgO、PrGaO3
が上げられる。
【0034】また、Si基板上に本発明の緩衝層を有する
酸化物超電導薄膜を作製する場合には、以下に説明する
方法も使用可能である。例えば、上記緩衝層がa軸配向
の酸化物超電導体で構成されている本発明の酸化物超電
導薄膜を作製する場合には、まず、Si基板にa軸配向の
ごく薄い酸化物超電導薄膜で緩衝層のパターンを形成す
る。Si基板には、必要に応じてYSZ、CeO2、CoSi2
でバッファ層を形成しておくことが好ましい。このパタ
ーンを形成したSi基板上にc軸配向の酸化物超電導薄膜
が成長する条件で酸化物超電導薄膜を成膜する。c軸配
向の酸化物超電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄
膜を成膜しても、予め、a軸配向の薄い酸化物超電導薄
膜を形成した部分上には、a軸配向の酸化物超電導薄膜
が成長する。従って、この方法により緩衝層がa軸配向
の酸化物超電導体で構成されている本発明の酸化物超電
導薄膜が形成できる。
【0035】上記の方法において、予めSi基板上に形成
するa軸配向の薄い酸化物超電導薄膜の厚さは、約50nm
以下でc軸配向の酸化物超電導薄膜がクラスタ成長から
膜成長に移行する厚さであることが好ましい。このよう
に予め形成するa軸配向の酸化物超電導薄膜は極めて薄
いので、本発明の酸化物超電導薄膜は全体ではほぼ平坦
である。
【0036】一方、緩衝層が非超電導性の酸化物で構成
されている本発明の酸化物超電導薄膜は、例えば、以下
の方法で作製することが可能である。まず、Si基板にSi
2のごく薄い薄膜で緩衝層のパターンを形成し、それ
以外の部分には前記のバッファ層を形成する。このSiO
2薄膜およびバッファ層でパターンを形成したSi基板上
に酸化物超電導薄膜を成膜する。予め、SiO2 の薄い薄
膜を形成した部分上の薄膜にはSiが拡散し、酸化物超電
導薄膜とはならない。Siの拡散する範囲は限られてお
り、SiO2 薄膜上から外れた部分にはほとんどSiは拡散
しない。従って、この部分は酸化物超電導薄膜となり、
この方法により緩衝層が非超電導性の酸化物で構成され
ている本発明の酸化物超電導薄膜が形成できる。
【0037】上記の酸化物超電導体結晶で構成された領
域と、非超電導酸化物で構成された領域とを有する酸化
物超電導薄膜を作製するには、以下の方法も使用でき
る。例えば、MgO等酸化物超電導薄膜を成長させるのに
適した材料の層と、SiO2等半導体酸化物層とを、基板
上に上面が等しい高さになるよう配置し、その上に酸化
物超電導薄膜を成膜してMgO層上の酸化物超電導体結晶
で構成された領域と、SiO2層上の前記酸化物超電導体
の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成された領域
とを有する酸化物超電導薄膜を作製する方法である。よ
り具体的には、MgO基板に段差を設け、段差の低い部分
にSiO2層を段差がちょうど埋まって平坦になるよう形
成し、その上に酸化物超電導薄膜を成膜する。逆にSi基
板上に段差を設け、段差の高い部分を酸化してSiO2
を形成し、段差の低い部分にMgO層をSiO2層と上面が
等しい高さになるよう形成してその上に酸化物超電導薄
膜を成膜する。これらの方法によれば、酸化物超電導体
結晶で構成された領域と、非超電導酸化物で構成された
領域とを有し、上面が平坦な酸化物超電導薄膜が作製可
能である。
【0038】本発明は、任意の酸化物超電導体に適用す
ることが可能であるが、特にY−Ba−Cu−O系酸化物超
電導体、Bi−Sr−Ca−Cu−O系酸化物超電導体、Tl−Ba
−Ca−Cu−O系酸化物超電導体に適用することが好まし
い。これらの酸化物超電導体は、臨界温度を始めとする
各種の超電導特性が現在のところ最も優れているからで
ある。
【0039】以下、本発明を実施例により、さらに詳し
く説明するが、以下の開示は本発明の単なる実施例に過
ぎず本発明の技術的範囲をなんら制限するものではな
い。
【0040】
【実施例】
実施例1 図1(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の一例を
示す。図1(a)は平面図であり、図1(b)は、図1(a)の
Aの部分の拡大図である。図1の酸化物超電導薄膜10
は、Si基板3上に形成されていて、c軸配向のY1Ba2Cu
37-X酸化物超電導体結晶から構成されている素子領域
1と、a軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超電導体結晶か
ら構成されている素子分離領域2とを具備する。図1の
酸化物超電導薄膜では、素子分離領域2が緩衝層となっ
ている。
【0041】実施例2 図2に本発明の酸化物超電導薄膜の第2の構成例を示
す。図2に示した本発明の酸化物超電導薄膜の全体形は
図1(a)に示したものと全く等しいので、図1(b)と同様
な部分拡大図のみ示した。図2の酸化物超電導薄膜は、
Si基板3上に形成されていて、c軸配向のY1Ba2Cu3
7-X酸化物超電導体結晶から構成されている素子領域1
と、SiO2 層4から拡散したSiを含む非超電導性のY1B
a2Cu37-X酸化物から構成されている素子分離領域2と
を具備する。図2の酸化物超電導薄膜においても素子分
離領域2が緩衝層となっている。
【0042】実施例3 図3(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の第3の
構成例を示す。図1(a)および(b)と同様に、図3(a)は
平面図であり、図3(b)は、図3(a)のAの部分の拡大図
である。図3の酸化物超電導薄膜10は、Si基板3上に形
成されていて、素子分離領域2により小さい正方形の素
子領域1に区分され、各素子領域1内には、超電導素子
5が形成されてパターンとなっている。酸化物超電導薄
膜10の中心付近の素子領域11内は超電導素子5のパター
ンの周囲が緩衝層12になっており、その他の素子領域1
内は、超電導素子5のパターンの内部も周囲もc軸配向
のY1Ba2Cu37-X酸化物超電導体結晶から構成されてい
る。緩衝層12は、a軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超電
導体結晶で構成しても、また、Si等の不純物を含む非超
電導性のY1Ba2Cu37-X酸化物で構成してもよい。
【0043】実施例4 図4(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の第4の
構成例を示す。図1(a)および(b)と同様に、図4(a)は
平面図であり、図4(b)は、図4(a)のAの部分の拡大図
である。図4は、図3とは異なる構成の本発明の酸化物
超電導薄膜10の平面図であり、緩衝層12を含む素子領域
11が酸化物超電導薄膜10の中心部近傍で環状に配置され
ている。この構成は、図3の構成では歪が完全に吸収で
きないような面積が大きい酸化物超電導薄膜に対して特
に有効である。
【0044】実施例5 図5(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の第5の
構成例を示す。図1(a)および(b)と同様に、図5(a)は
平面図であり、図5(b)は、図5(a)のAの部分の拡大図
である。図5の酸化物超電導薄膜10は、Si基板3上に形
成されていて、素子分離領域2により小さい正方形の素
子領域1に区分されている。酸化物超電導薄膜10の通常
の素子領域1は、c軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超電
導体結晶から構成されていて各素子領域1内には、超電
導素子5が形成されてパターンとなっている。酸化物超
電導薄膜10の中心付近の素子領域11内には、テスト用パ
ターン6が形成され、その周囲は緩衝層12になってい
る。緩衝層12は、a軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超電
導体結晶で構成しても、また、Si等の不純物を含む非超
電導性のY1Ba2Cu37-X酸化物で構成してもよい。
【0045】実施例6 図6(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の第6の
構成例を示す。図1(a)および(b)と同様に、図6(a)は
平面図であり、図6(b)は、図6(a)のAの部分の拡大図
である。図6は、図5とは異なる構成の本発明の酸化物
超電導薄膜10の平面図であり、緩衝層12を含む素子領域
11が酸化物超電導薄膜10の中心部近傍で環状に配置され
ている。この構成は、図5の構成では歪が完全に吸収で
きないような面積が大きい酸化物超電導薄膜に対して特
に有効である。上記図5および図6に示した本発明の酸
化物超電導薄膜は、いずれも、素子領域11全体に緩衝層
12が形成されている構成も可能であるし、素子領域11が
位置合わせマークとなっていてもよい。
【0046】上記図1〜図6に示した本発明の酸化物超
電導薄膜の緩衝層をa軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超
電導体結晶で構成する場合の作製方法を以下に説明す
る。まず、必要に応じてYSZ、CeO2、CoSi2等による
バッファ層を設けたSi基板の表面にレジストパターンを
設け、約100nmのMo層を電子ビーム蒸着法、CVD法等
で形成し、緩衝層となる部分にSi基板またはSi基板上に
形成したバッファ層が露出するようにリフトオフする。
【0047】次いでこの一部がMo層で被覆されたSi基板
上に、ごく薄いa軸配向の酸化物超電導体結晶層を成膜
する。オフアクシススパッタリング法でa軸配向の酸化
物超電導体結晶層を成膜する場合の成膜条件を以下に示
す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 600〜 650℃ 膜 厚 40 nm
【0048】上記のa軸配向の酸化物超電導体結晶層を
形成したら、基板温度を800〜850℃に上昇させる。Mo層
が昇華し、a軸配向の酸化物超電導体結晶層以外の部分
はSi基板またはバッファ層が露出する。最後に基板温度
をc軸配向の酸化物超電導薄膜が成長するのに適した70
0〜750℃にして、酸化物超電導薄膜を成長させる。オフ
アクシススパッタリング法で酸化物超電導薄膜を成膜す
る場合の成膜条件を以下に示す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 700〜 750℃
【0049】すると、予め形成したごく薄いa軸配向の
酸化物超電導体結晶層の上にはa軸配向の酸化物超電導
体結晶が成長し、Si基板またはバッファ層が露出した部
分にはc軸配向の酸化物超電導体結晶が成長し、本発明
の酸化物超電導薄膜が完成する。
【0050】上記図1〜図6に示した本発明の酸化物超
電導薄膜の緩衝層を不純物を含む非超電導性のY1Ba2Cu
37-X酸化物で構成する場合の本発明の酸化物超電導薄
膜の作製方法を以下に説明する。まず、必要に応じてY
SZ、CeO2、CoSi2等によるバッファ層を設けたSi基板
の表面に、フォトリソグラフィにより緩衝層のパターン
を形成し、緩衝層となる部分に約 100nmのSiO2 層を、
水蒸気酸化法、CVD法等で形成する。バッファ層を設
けたSi基板を使用する場合には、緩衝層のパターンはバ
ッファ層も除去して形成し、SiO2層はバッファ層と上
面が等しくなるように形成することが好ましい。
【0051】次いで、素子領域にSi基板またはSi基板上
に形成したバッファ層を露出させ、酸化物超電導薄膜を
成長させる。オフアクシススパッタリング法で酸化物超
電導薄膜を成膜する場合の成膜条件を以下に示す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 700〜 750℃ すると、予め形成したごく薄いSiO2 の薄膜の上に堆積
する酸化物薄膜には、Siが拡散して非超電導性の酸化物
薄膜となり、Si基板またはバッファ層が露出した部分に
はc軸配向の酸化物超電導体結晶が成長して、本発明の
酸化物超電導薄膜が完成する。
【0052】上記本発明の酸化物超電導薄膜は、上記の
ように、実質的に1回の成膜で形成されることが好まし
い。また、酸化物超電導薄膜を加工する工程を含まない
上記の工程は、酸化物超電導薄膜の超電導特性を損なう
こともない。
【0053】実施例7 図7(a)および(b)に本発明の酸化物超電導薄膜の第7の
構成例を示す。図7(a)および(b)は、それぞれ異なる構
成の本発明の酸化物超電導薄膜の断面図である。図7
(a)および(b)に示した本発明の酸化物超電導薄膜は、い
ずれもc軸配向のY1Ba2Cu37-X酸化物超電導体結晶で
構成された素子領域1と、SiO2層4から拡散したSiを
含む非超電導性のY1Ba2Cu37-X酸化物から構成されて
いる素子分離領域2とを具備する。
【0054】図7(a)の酸化物超電導薄膜は、段差を有
し、段差の低い部分を埋めて上面が平坦になるよう形成
されたSiO2層4を備えるMgO(100)基板20上に形
成されている。基板20には他にSrTiO3(110)、Y
SZ等が使用可能である。一方、図7(b)の酸化物超電
導薄膜は、段差を有し、段差高い部分が酸化されてSiO
2層4となっており、段差の低い部分を埋めて上面が平
坦になるよう形成されたMgO層21を備えるSi基板3上に
形成されている。図2〜図6に示した本発明の酸化物超
電導薄膜の断面の構成を、図7(b)に示した構成とする
ことも好ましい。
【0055】図8を参照して、図7(a)に示した本発明
の酸化物超電導薄膜の作製方法を説明する。まず、図8
(a)に示すMgO(100)基板20の素子領域に対応する
部分に図8(b)に示すようレジスト膜50を形成する。基
板20としては、他にSrTiO3(110)基板、YSZ基
板等が好ましい。このレジスト膜50をマスクとしてH3
PO4によりエッチングを行い、図8(c)に示すよう基板
20に段差を設ける。段差を設けた基板20全体の上にCV
D法により図8(d)に示すようSi層23を成膜する。成膜
方法としては、CVD法の他に電子ビーム蒸着法が好ま
しい。CVD法によりSi層23を成膜する場合の成膜条件
を示す。 基板温度 650 ℃ 導入ガス SiH4 ガス圧力 0.2〜1 Torr 膜厚 200 nm
【0056】続いて、図8(e)に示すように、リフトオ
フにより、素子領域に対応する部分のレジスト層50およ
びSi層23を除去する。このSi層23が段差の低い部分に形
成された基板20を、乾燥した酸素雰囲気中で1100℃に加
熱して 7.5時間保持する。この熱処理により、Si層23が
酸化され、図1(f)に示すように、基板20の段差はSiO2
層4で埋められる。一方、素子領域では、基板20の表面
の結晶性が改善される。こうして、素子分離領域では表
面にSiO2層4を備え、素子領域では基板20の表面が露
出しており、且つ、全体として平坦な基板が得られる。
上記の熱処理は、乾燥した酸素雰囲気中で行い、加熱温
度は1000℃以上1250℃以下が好ましく、保持時間は5時
間以上10時間以下が好ましい。
【0057】最後に図8(g)に示すよう、上記の処理を
施した基板20上にY1Ba2Cu37-X薄膜を成膜した。成膜
法はオフアクシススパッタリング法とし、成膜条件は下
記に示すとおりとした。 基板温度 700 ℃ スパッタリングガス Ar 9 SCCM O2 1 SCCM 圧力 5×10-5 Torr 膜厚 200 nm Y1Ba2Cu37-X酸化物超電導薄膜のSiO2層4上に堆積
した部分はSiO2層4から拡散したSiにより超電導性を
失い素子分離領域2となる。また、基板20の表面が露出
している部分に堆積したY1Ba2Cu37-X酸化物超電導薄
膜は、c軸配向の酸化物超電導薄膜となり、素子領域1
となる。
【0058】図9を参照して、図7(b)に示した本発明
の酸化物超電導薄膜の作製方法を説明する。まず、図9
(a)に示すSi半導体基板3の素子分離領域に対応する部
分に図9(b)に示すようレジスト膜50を形成する。この
レジスト膜50をマスクとしてHFによりエッチングを行
い、図9(c)に示すよう半導体基板3に段差を設ける。
段差を設けた半導体基板3全体の上にスパッタリング法
により図9(d)に示すようMgO層21を成膜する。この層
には、MgO以外にSrTiO3、YSZ等酸化物超電導薄膜
を成長させるのに好適とされる材料が使用できる。成膜
方法としては、スパッタリング法の他にMBE法が好ま
しい。スパッタリング法によりMgO層21を成膜する場合
の成膜条件を示す。 基板温度 700 ℃ スパッタリングガス Ar 9 SCCM O2 1 SCCM 圧力 5×10-5 Torr 膜厚 400 nm
【0059】続いて、図9(e)に示すように、リフトオ
フにより、素子分離領域に対応する部分のレジスト層50
およびMgO層21を除去する。このMgO層21が形成された
半導体基板3を、乾燥した酸素雰囲気中で1100℃に加熱
して 7.5時間保持する。この熱処理により、Si基板3の
露出部分が酸化されてSiO2層4が形成され、図1(f)に
示すように、半導体基板3の上面が平坦になる。一方、
素子領域では、MgO層21の表面の結晶性が改善される。
こうして、素子分離領域では表面にSiO2層4を備え、
素子領域では表面にMgO層21を備え、且つ、全体として
平坦な半導体基板が得られる。上記の熱処理は、乾燥し
た酸素雰囲気中で行い、加熱温度は1000℃以上1250℃以
下が好ましく、保持時間は5時間以上10時間以下が好ま
しい。
【0060】最後に図9(g)に示すよう、上記の処理を
施した半導体基板3上にY1Ba2Cu37-X薄膜を成膜し
た。成膜法はオフアクシススパッタリング法とし、成膜
条件は下記に示すとおりとした。 基板温度 700 ℃ スパッタリングガス Ar 9 SCCM O2 1 SCCM 圧力 5×10-5 Torr 膜厚 200 nm Y1Ba2Cu37-X酸化物超電導薄膜のSiO2層4上に堆積
した部分はSiO2層4から拡散したSiにより超電導性を
失い素子分離領域2となる。また、MgO層21上に堆積し
たY1Ba2Cu37-X酸化物超電導薄膜は、c軸配向の酸化
物超電導薄膜となり、素子領域1となる。
【0061】上記本発明の酸化物超電導薄膜は、上面が
平坦であり、多層構造にするのに適している。また、酸
化物超電導薄膜を加工する工程を含まない上記の工程
は、酸化物超電導薄膜の超電導特性を損なうこともな
い。
【0062】実施例8 本発明では、上記実施例1〜7で説明した本発明の酸化
物超電導薄膜以外の構成の酸化物超電導薄膜を作製する
方法が提供される。以下、本発明の方法を説明する。本
発明の方法により、MgO基板上にa軸配向の部分とc軸
配向の部分とを有するY1Ba2Cu37-X酸化物超電導薄膜
を作製した。図10を参照して、本発明の方法で酸化物超
電導薄膜を作製する手順を説明する。
【0063】まず、図10(a)に示すように基板20の表面
に約200nmのLaAlO3バッファ層30をスパッタリング法で
形成する。基板20としては、MgO(100)基板、SrTi
3(100)基板、CdNdAlO4(001)等の絶縁体基板
およびSi等の半導体基板が好ましい。また、バッファ層
はPrGaO3であってもよい。次に図10(b)に示すようバッ
ファ層30上にフォトレジスト50を積層し、パターニング
を行う。バッファ層30にLaAlO3 を使用した場合には、
a軸配向の酸化物超電導薄膜を形成する部分のバッファ
層30を除去することが必要であり、図10(c)に示すよう
フォトレジスト51、52によりそのようなパターンを形成
する。アルゴンイオンミリング、反応性イオンエッチン
グ等でフォトレジストで被われていない部分55のバッフ
ァ層を除去し、バッファ層31、32の間に基板20が露出す
るようにする。
【0064】次に図10(d)に示すよう、LaAlO3バッファ
層を除去した部分に、Al23バッファ層40をLaAlO3
ッファ層31、32と同じ厚さに形成する。同時にフォトレ
ジスト51、52上にそれぞれAl23層41、42が堆積する。
Al23に代えてMgOを使用してもよい。図10(e)に示す
ようフォトレジスト51、52をリフトオフし、バッファ層
31、32を露出させる。この際、必要に応じてサイドエッ
チにより側壁を分離させる。第2のバッファ層の形成方
法は、このようなリフトオフ法に限定されるわけではな
く、穴埋め後にエッチバックを行う方法等、種々の方法
が適用できる。バッファ層31、32を露出させた後、バッ
ファ層31、32および4の表面を浅い角度でイオン照射
(バッファ層31、32および4の表面と、イオン照射の軸
線が小さい鋭角となるような角度でイオン照射)する等
の方法で清浄にする。
【0065】最後にバッファ層31、32および40上に酸化
物超電導薄膜をオフアクシススパッタリング法、反応性
蒸着法、MBE法、CVD法等の方法で形成する。この
とき、図10(f)に示すようバッファ層31、32上にc軸配
向の酸化物超電導薄膜61、62が成長し、バッファ層40上
にa軸配向の酸化物超電導薄膜60が成長する。オフアク
シススパッタリング法で酸化物超電導薄膜を形成する場
合の成膜条件を以下に示す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 650〜 700℃
【0066】実施例9 本発明の他の方法により、PrGaO3基板上にa軸配向の
酸化物超電導体結晶で構成された領域とc軸配向の酸化
物超電導体結晶で構成された領域とを有するY1Ba2Cu3
7-X酸化物超電導薄膜を作製した。図11を参照して、
本発明の方法で酸化物超電導薄膜を作製する手順を説明
する。
【0067】まず、図11(a)に示すような基板20のa軸
配向の酸化物超電導体結晶で構成された領域が配置され
る部分に図11(b)に示すようフォトレジスト膜50を形成
する。フォトレジスト膜50が形成された基板20上に図11
(c)に示すよう約100nmのMo層70、71、72を電子ビーム蒸
着法、CVD法等で形成する。基板20としてはPrGaO3
の他、MgO(100)基板、SrTiO3(100)基板、Cd
NdAlO4(001) 等の絶縁体基板および表面にバッファ
層を有するSi等の半導体基板が好ましい。
【0068】次に図11(d)にリフトオフによりフォトレ
ジスト膜50およびMo層70を除去し、Mo層71、72でパター
ンを形成し、Mo層で被われていない部分75に基板20が露
出するようにする。次いで図11(e)に示すよう、Mo層で
被覆された基板20上に、ごく薄いa軸配向の酸化物超電
導薄膜100を成膜する。オフアクシススパッタリング法
で酸化物超電導薄膜を成膜する場合の成膜条件を以下に
示す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 600〜 650℃ 膜 厚 40 nm
【0069】同時にMo層71、72上にもそれぞれa軸配向
の酸化物超電導薄膜101、102が堆積する。基板温度を80
0〜850℃に上昇させると、図11(f)に示すようMo層71、7
2が昇華し、a軸配向の酸化物超電導薄膜100以外の部分
は基板20が露出する。最後に基板温度をc軸配向の酸化
物超電導薄膜が成長するのに適した700〜750℃にして、
再び酸化物超電導薄膜を成長させる。オフアクシススパ
ッタリング法で酸化物超電導薄膜を成膜する場合の成膜
条件を以下に示す。 スパッタリングガス Ar :90% O2 :10% 圧 力 10 Pa 基 板 温 度 700〜 750℃ すると、図11(g)に示すよう、ごく薄いa軸配向の酸化
物超電導薄膜100上にa軸配向の酸化物超電導薄膜60が
成長し、基板20が露出した部分にはc軸配向の酸化物超
電導薄膜61、62が成長する。
【0070】上記本発明の方法では、いずれも、実質的
に1回の成膜で部位により配向性が異なる酸化物超電導
薄膜を作製することができる。また、酸化物超電導薄膜
を加工する工程もないので、酸化物超電導薄膜の超電導
特性が損なわれることもない。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に従えば、
性状の異なる領域を有する酸化物超電導薄膜およびその
作製方法が提供される。本発明の酸化物超電導薄膜は、
例えば、a軸配向の酸化物超電導体結晶で構成された領
域とc軸配向の酸化物超電導体結晶で構成された領域と
を備える酸化物超電導薄膜、酸化物超電導体結晶で構成
された領域と酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導
酸化物で構成された領域とを備える酸化物超電導薄膜と
することができる。
【0072】本発明の方法により作製される本発明の酸
化物超電導薄膜は、性状の異なる部分の界面における整
合性がよく、超電導特性も優れている。本発明の酸化物
超電導薄膜は、水平方向、垂直方向それぞれに大きな電
流を流せる超電導配線を有する超電導素子に応用可能で
ある。また、本発明の酸化物超電導薄膜は、Si等酸化物
超電導体と熱膨張率が大きく異なる基板上にも形成可能
である歪を吸収する緩衝層を有する構成にすることも可
能である。本発明を超電導素子、超電導集積回路の作製
に応用することにより、従来得られなかった高性能な超
電導装置が作製可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物超電導薄膜の第1の実施例の概
略図である。
【図2】本発明の酸化物超電導薄膜の第2の実施例の概
略図である。
【図3】本発明の酸化物超電導薄膜の第3の実施例の概
略図である。
【図4】本発明の酸化物超電導薄膜の第4の実施例の概
略図である。
【図5】本発明の酸化物超電導薄膜の第5の実施例の概
略図である。
【図6】本発明の酸化物超電導薄膜の第6の実施例の概
略図である。
【図7】本発明の酸化物超電導薄膜の第7の実施例の概
略図である。
【図8】本発明の方法で、酸化物超電導体結晶で構成さ
れた領域と、酸化物超電導体の構成元素を含む非超電導
酸化物で構成された領域とを備える酸化物超電導薄膜を
作製する工程を説明する図である。
【図9】本発明の他の方法で、酸化物超電導体結晶で構
成された領域と、酸化物超電導体の構成元素を含む非超
電導酸化物で構成された領域とを備える酸化物超電導薄
膜を作製する工程を説明する図である。
【図10】本発明の方法で、a軸配向の酸化物超電導体結
晶で構成された領域と、c軸配向の酸化物超電導体結晶
で構成された領域とを備える酸化物超電導薄膜を作製す
る工程を説明する図である。
【図11】本発明の他の方法で、a軸配向の酸化物超電導
体結晶で構成された領域と、c軸配向の酸化物超電導体
結晶で構成された領域とを備える酸化物超電導薄膜を作
製する工程を説明する図である。
【符号の説明】 1 素子領域 2 素子分離領域 3 Si基板 4 SiO2層 5 素子パターン 20 基板 61、62 c軸配向の酸化物超電導薄膜 60 a軸配向の酸化物超電導薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C30B 29/22 501 K 7821−4G H01B 13/00 565 D 8936−5G H01L 39/24 ZAA B 8728−4M // H01B 12/06 ZAA 8936−5G (31)優先権主張番号 特願平3−178715 (32)優先日 平3(1991)6月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−193425 (32)優先日 平3(1991)7月8日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−193426 (32)優先日 平3(1991)7月8日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−348754 (32)優先日 平3(1991)12月5日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−348755 (32)優先日 平3(1991)12月5日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 飯山 道朝 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された酸化物超電導薄膜に
    おいて、酸化物超電導体結晶で構成された第1の領域
    と、第1の領域を構成している酸化物超電導体結晶と性
    状が異なる材料で構成された第2の領域とを有すること
    を特徴とする酸化物超電導薄膜。
  2. 【請求項2】 基板上に形成された酸化物超電導薄膜に
    おいて、c軸が基板に垂直な配向性を有する酸化物超電
    導体結晶で構成された領域と、c軸が基板に平行な配向
    性を有する酸化物超電導体結晶で構成された領域とを有
    することを特徴とする酸化物超電導薄膜。
  3. 【請求項3】 基板上に形成された酸化物超電導薄膜に
    おいて、酸化物超電導体結晶で構成された領域と、前記
    酸化物超電導体結晶を構成する元素を含む非超電導性の
    酸化物で構成された領域とを有することを特徴とする酸
    化物超電導薄膜。
  4. 【請求項4】 基板上に形成された酸化物超電導薄膜に
    おいて、前記酸化物超電導薄膜の一部に、熱膨張等によ
    る歪を吸収する緩衝層を具備し、該緩衝層が前記酸化物
    超電導薄膜の他の部分を構成する酸化物超電導体と結晶
    の配向性が異なる酸化物超電導体または前記酸化物超電
    導薄膜の他の部分を構成する酸化物超電導体の構成元素
    を含む非超電導性の酸化物で構成されていることを特徴
    とする酸化物超電導薄膜。
  5. 【請求項5】 基板上に形成された酸化物超電導薄膜に
    おいて、前記酸化物超電導薄膜上に特定の繰り返しパタ
    ーンが形成され、前記酸化物超電導薄膜の一部に、熱膨
    張等による歪を吸収する緩衝層を具備し、該緩衝層が前
    記酸化物超電導薄膜の他の部分を構成する酸化物超電導
    体と結晶の配向性が異なる酸化物超電導体または前記酸
    化物超電導薄膜の他の部分を構成する酸化物超電導体の
    構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成されているこ
    とを特徴とする酸化物超電導薄膜。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の酸化物超電導薄膜にお
    いて、前記緩衝層の近傍においても前記繰り返しパター
    ンの形状が変更されていないことを特徴とする酸化物超
    電導薄膜。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の酸化物超電導薄膜にお
    いて、前記緩衝層および前記緩衝層の近傍では、前記繰
    り返しパターンの形状が、前記酸化物超電導薄膜の他の
    部分とは異なることを特徴とする酸化物超電導薄膜。
  8. 【請求項8】 同一の基板上に上面が等しい高さになる
    よう配置された、酸化物超電導薄膜を成長させるのに適
    した材料の層および半導体酸化物層と、前記材料の層上
    の酸化物超電導体結晶で構成された領域と、前記半導体
    酸化物層上の前記酸化物超電導体の構成元素を含む非超
    電導性の酸化物で構成された領域とを備えることを特徴
    とする酸化物超電導薄膜。
  9. 【請求項9】 酸化物超電導薄膜を成長させるのに適し
    た材料で構成された基板と、該基板の成膜面の一部に成
    膜面と上面が等しい高さになるよう配置された半導体酸
    化物層と、前記基板成膜面上の酸化物超電導体結晶で構
    成された領域と、前記半導体酸化物層上の前記酸化物超
    電導体の構成元素を含む非超電導性の酸化物で構成され
    た領域とを備えることを特徴とする酸化物超電導薄膜。
  10. 【請求項10】 成膜面の一部が酸化された半導体基板
    と、該半導体基板の成膜面上に前記酸化部分と上面が等
    しい高さになるよう配置された酸化物超電導薄膜を成長
    させるのに適した材料の層と、前記材料の層上の酸化物
    超電導体結晶で構成された領域と、前記半導体基板の酸
    化部分上の前記酸化物超電導体の構成元素を含む非超電
    導性の酸化物で構成された領域とを備えることを特徴と
    する酸化物超電導薄膜。
  11. 【請求項11】 基板上に、c軸が基板に垂直な配向性
    を有する酸化物超電導体結晶で構成された領域と、c軸
    が基板に平行な配向性を有する酸化物超電導体結晶で構
    成された領域とを有する酸化物超電導薄膜を作製する方
    法において、結晶のc軸が基板に垂直な配向性を有する
    酸化物超電導薄膜が成長し易い結晶構造を有する物質に
    よる第1のバッファ層と、結晶のc軸が基板に平行な配
    向性を有する酸化物超電導薄膜が成長し易い結晶構造を
    有する物質による第2のバッファ層とを基板上に形成し
    てから酸化物超電導薄膜の成膜を行うことを特徴とする
    方法。
  12. 【請求項12】 基板上に、c軸が基板に垂直な配向性
    を有する酸化物超電導体結晶で構成された領域と、c軸
    が基板に平行な配向性を有する酸化物超電導体結晶で構
    成された領域とを有する酸化物超電導薄膜を作製する方
    法において、基板上の一部にごく薄い結晶のc軸が基板
    に平行な配向性を有する酸化物超電導薄膜を成膜した
    後、結晶のc軸が基板に垂直な配向性を有する酸化物超
    電導薄膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜の成膜を行
    うことを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 結晶のc軸が基板に平行な配向性を有
    する酸化物超電導薄膜を成膜する温度より昇華温度が高
    い昇華性の金属を使用して、前記基板表面の結晶のc軸
    が基板に垂直な配向性を有する酸化物超電導薄膜を成膜
    する部分のみを被覆し、ごく薄い結晶のc軸が基板に平
    行な配向性を有する酸化物超電導薄膜を成膜し、基板温
    度を上昇させて前記昇華性の金属を昇華させ、その後結
    晶のc軸が基板に垂直な配向性を有する酸化物超電導薄
    膜が成長する条件で酸化物超電導薄膜の成膜を行うこと
    を特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 基板上に、酸化物超電導体結晶で構成
    された超電導領域と、前記酸化物超電導体の構成元素を
    含む非超電導性の酸化物で構成された非超電導領域とを
    備える酸化物超電導薄膜を作製する方法において、基板
    上の非超電導領域に対応する部分が他の部分よりも低く
    なるように該基板上に段差を形成し、該段差の低い部分
    に段差がほぼ平坦になるよう半導体酸化物薄膜を形成
    し、該半導体酸化物薄膜が形成された基板上に酸化物超
    電導薄膜を成膜することを特徴とする酸化物超電導薄膜
    の方法。
  15. 【請求項15】 半導体基板上に、酸化物超電導体結晶
    で構成された超電導領域と、前記酸化物超電導体の構成
    元素を含む非超電導性の酸化物で構成された非超電導領
    域とを備える酸化物超電導薄膜を作製する方法におい
    て、半導体基板上の超電導領域に対応する部分が他の部
    分よりも低くなるように該半導体基板上に段差を形成
    し、該段差の低い部分に段差がほぼ平坦になるよう酸化
    物超電導薄膜を成長させるのに適した材料のバッファ層
    を形成し、該半導体基板の前記非超電導領域に対応する
    部分を酸化し、前記バッファ層および半導体酸化物層が
    形成された基板上に酸化物超電導薄膜を成膜することを
    特徴とする酸化物超電導薄膜の方法。
JP4082801A 1991-03-04 1992-03-04 性状が異なる領域を有する酸化物超電導薄膜と作製方法 Pending JPH05208899A (ja)

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JP19342691 1991-07-08
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JP3-348754 1991-12-05
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005109180A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 薄膜形成部品及びその製作方法
JP2012236744A (ja) * 2011-05-12 2012-12-06 Japan Steel Works Ltd:The 内部応力を緩和した酸化物超電導体膜の製造方法
WO2022225628A1 (en) * 2021-04-23 2022-10-27 Microsoft Technology Licensing, Llc Multilayer superconducting structures for cryogenic electronics

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