JPH05207946A - 電気掃除機の制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気掃除機における吸込圧力と吸込仕事率の
相関関係を速やかにチェックすること。 【構成】 通常の運転時には用いない所定の特殊な操作
方法を操作部から入力したとき，予め設定された吸込仕
事率を得るように掃除機が運転される。このときの真空
圧力を圧力センサにより読み取り，上記予め設定された
吸込仕事率に対応した真空度が得られているかをチェッ
クし，掃除機の性能を判断する。 【効果】 部品相互間の調整の良否や本体等における空
気の漏れ等を極めて能率よく短時間にチェックすること
ができ，製品出荷時やクレーム対応時における確認作業
が速やかに行われる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，掃除機の吸込仕事率等
の性能を自己検査する機能をもつ電気掃除機の制御装置
に関するものである。

【０００２】

【従来技術】従来より，運転時の真空圧力を圧力センサ
で検知し，ゴミ収納袋が一杯であることを報知したり，
カーテン等の吸着による急激な真空圧力の増加時に吸込
仕事率を低下させ，吸着されたカーテン等が吸い込み口
から離れ易くなるようにする機能を有したものや，更に
は，床面の材質を真空圧力の変化により判断し，それぞ
れの床面に適した吸込仕事率に制御する掃除機が知られ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら，上記の
ような種々の機能を有する掃除機であっても，該掃除機
を構成する各種部品単体（例えばマイクロコンピュータ
や圧力センサを含めた回路基盤等）では，各部品毎にそ
の機能を満足させるような調整が行われているが，これ
らの各部品が組み立てられた後の掃除機の製品状態で
は，各部品が相互に正しく調整されているかといったテ
ストのためには多くの人手と時間を要している。例え
ば，集塵袋に意図的に大量のゴミを入れたり，製品の吸
込口を意図的に一定量遮蔽したり，更には，試験用の各
種の床材で実際に運転して床材に対する判断を定性的に
確認する等の煩雑な手間を要している。従って，本発明
は，疑似的に所定の吸い込み状態を再現させ，そのとき
の圧力センサによる検出値を確認することにより，掃除
機の性能が正しく発揮されているか否かを判断する電気
掃除機の制御装置を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は，運転時の真空圧力を検知する圧力センサ
と，掃除機の操作方法を入力するための操作部とを具備
してなる電気掃除機の制御装置において，上記操作部よ
り通常の運転時には用いない所定の特殊な操作方法が入
力された時，予め設定された吸込仕事率を得るように掃
除機をテスト運転するテスト運転手段と，上記テスト運
転時の圧力センサからの信号により掃除機の性能を判断
する性能判断手段とを備えてなることを特徴とする電気
掃除機の制御装置として構成されている。

【０００５】

【作用】操作部より通常の運転時には用いない所定の特
殊な操作方法が入力される場合の一例は，マイコン電源
投入直後には，通常，人が押すことのない駆動スイッチ
等のスイッチ類が押されているような場合である。この
ような特殊な操作方法が入力されたとき，予め設定され
た吸込仕事率を得るようなパワーで掃除機がテスト運転
される。このテスト運転時の吸込圧力を圧力センサから
の信号により読み取り，これが予め定められた所定圧力
幅よりはずれている場合には，掃除機の性能が低下して
いると判断され，適宜の警報や表示が出力される。上記
吸込仕事率は一定の仕事率であっても，また，数段階の
吸込仕事率を順次実現するように設定されていてもよ
く，これにより制御回路等の調整の良否や本体その他の
空気漏れ等が確認される。

【０００６】

【実施例】続いて，添付した図面を参照して，本発明の
一実施例を説明し，本発明の理解に供する。ここに，図
１はマイクロコンピュータ（以下，マイコン）を中心と
して構成された掃除機の制御ブロック図，図２は整流子
モータに与える位相制御波形を示すグラフ，図３はテス
トプログラムの処理手順を示すフローチャートである。
先ず，図１のプロック図を用いて本発明の一実施例に係
る制御装置の構成を説明する。図において，圧力センサ
１は掃除機の吸込経路に設置され，運転時の真空圧力の
変化を検知するもので，一般的に歪みゲージをブリッジ
構成で接続したものであり，その抵抗値の変化を読むこ
とにより圧力が検出される。通常は，歪みゲージの生産
上のばらつきを吸収するために，オフセット調整用のボ
リュームが設けられている。増幅回路２は，上記圧力セ
ンサ１の抵抗変化を電圧信号変化に増幅するものであ
る。これも圧力センサ１のばらつきに対応するため，増
幅率の調整用ボリュームを備える場合が多い。操作・表
示部３は，使用者が掃除機の操作方法を入力するための
タクトスイッチ，スライドスイッチやキーを具備する操
作部と，ＬＥＤ等の表示部等を具備したパネルで構成さ
れている。吸込モータ４は，一般的に，例えば整流子モ
ータ等により構成され，マイコン５から出力される位相
制御波形によりトライアック６を点弧させ，吸込モータ
４の出力，即ち吸込仕事率を制御する。ゼロクロス信号
発生回路７は，前記の位相制御信号を発生させるための
基準となる波形で，商用電源８のゼロクロス時にパルス
的に信号を出力するものである。

【０００７】マイコン５は，運転時の吸込口における真
空圧力を前記圧力センサ１からの増幅回路２を経た信号
により検知し，種々の処理を施す。例えば前記真空圧力
が常時高い場合には，集塵袋内のゴミ量が多いことによ
る圧力損失が大きいと判断し，ゴミ満了表示を操作部・
表示部に表示したり，急激に真空圧力が高くなったとき
は，例えば吸込口がカーテン等により遮蔽されたと判断
して吸込モータ４の出力を低下させ，カーテンの吸いつ
きを解除し易くしたりする。また，吸込口を使用者が前
後に動かす周期による真空圧力の変化の振幅値の差が大
きい場合は，床面の材質が絨毯であると判断し，吸込仕
事率を高くしたりするといった処理を施す。図２のグラ
フは，前記のゼロクロス信号と位相制御の関係を示した
もので，この例ではゼロクロス信号の立ち上がりをマイ
コン５が検知して，そのときからＴｄの時間遅れをもっ
てトライアック６を点弧している。この遅れ時間Ｔｄが
大きくなれば，吸込モータ４に供給される電力が小さく
なり仕事率が低下する。また，遅れ時間Ｔｄが小さくな
れば，逆に吸込仕事率は増加することになる。

【０００８】こうして，マイコン５が予め定められた一
段若しくは多段階に設定された遅れ時間Ｔｄにおいてト
ライアック６を点弧し，所定の吸込仕事率で掃除機を運
転させると共に，そのときの圧力センサ１の検出値を予
め定めた圧力値と比較することにより，そのときの掃除
機の性能の良否を判断する。上記のような性能判断チェ
ックのための処理手順を，図３のフロチャートを用いて
説明する。この実施例では，確認プログラムが起動する
条件として，通常の運転時には用いない所定の特殊な操
作方法が入力されたことを条件としている。このような
特殊操作方法の一例は，ステップＳ１に示す如く，マイ
コン電源投入直後に所定の操作スイッチが押されている
かを判断することである。通常は，マイコン電源を投入
したときに同時に他のスイッチを押すようなことは極め
て珍しく，そのような操作スイッチとしては，例えば，
駆動スイッチ，ダニ取りスイッチ，その他種々のスイッ
チが考えられる。上記ステップＳ１において，マイコン
電源投入時に上記のような別の操作スイッチが押されて
いない場合には，通常の掃除用プログラムが実行される
（Ｓ２）。また，Ｓ１において，操作スイッチが押され
ている場合には，確認プログラムが起動され，前記位相
制御の遅れ時間Ｔｄを所定時間Ａとして吸引モータを制
御出力し（Ｓ３），モータの回転数が安定したのち（Ｓ
４），圧力センサ１からの信号を受け入れて吸込口の真
空圧力を検知する。この検知された真空圧力が遅れ時間
Ｔｄ＝Ａに対応して通常の性能が発揮されれば，当然得
られるであろう所定の設定圧力範囲内であるか否かがＳ
５において判断される。上記真空圧力が上記圧力範囲内
であれば，使用者に問題ないことを表示するＬＥＤＡ１
を点灯させる。ＬＥＤＡ１は単に確認用として用いてい
るだけであるから，どのような表示用のランプを用いて
もよい（Ｓ６）。確認用の遅れ時間ＴｄがＡ１種類であ
る場合は，この状態でＳ２の通常プログラムに戻る。使
用者は，この時点で，ＬＥＤＡ１が点灯すれば掃除機が
正常の機能を発揮しており，ＬＥＤＡ１が点灯しなけれ
ば空気漏れその他の異常が発生していることを知ること
ができる。

【０００９】Ｓ７〜Ｓ１０は，遅れ時間Ｔｄを２段階に
設定した場合の２段目（Ｔｄ＝Ｂ）に関するものであ
る。例えば，Ｓ３〜Ｓ６と同様に，電気遅れ時間Ａとは
異なるＴｄ＝Ｂで吸引モータを駆動し（Ｓ７），モータ
出力が安定するまで待った後（Ｓ８），遅れ時間Ｔｄ＝
Ｂに対応する予め設定され圧力範囲内の圧力を圧力セン
サ１が検出しているか否かを判断し（Ｓ９），もしもそ
の範囲内であればＬＥＤＢ１を点灯し，範囲からはずれ
ている場合には点灯しないで通常プログラムＳ２に戻
る。上記のような確認プログラムを実行しているときの
製品の状態は必ずしも限定されるものではないが，一般
的に吸込口を開放したゴミの全くないような安定した状
態が望ましいことはいうまでもない。なお，前記のよう
にステップＳ１０の後，ステップＳ２の通常プログラム
に戻ることにより，その他の確認作業も連続して行われ
るだけでなく，使用者の誤操作により万が一確認プログ
ラムが起動されても，通常状態に自動的に復帰できるこ
とになる。

【００１０】

【発明の効果】本発明は，以上述べたように構成されて
いるので，組み立てられた製品状態での回路基盤調整の
回避や構造上の良否を判断できるので，製品検査の人手
時間を省力化できるばかりでなく，使用者の製品動作の
誤りに対して，サービス担当者が短時間に製品における
欠陥であるかどうかを即時に判断できるといった効果も
あり，信頼度の高い製品を得ることに寄与し得るもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 マイクロコンピュータ（以下，マイコン）を
中心として構成された掃除機の制御ブロック図。

【図２】 整流子モータに与える位相制御波形を示すグ
ラフ。

【図３】 テストプログラムの処理手順を示すフローチ
ャート。

【符号の説明】

１…圧力センサ ２…増幅回路 ３…操作・表示部 ４…吸込モータ ５…マイコン ６…トライアック ７…ゼロクロス信号発生回路 ８…商用電源 Ｔｄ…遅れ時間

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 運転時の真空圧力を検知する圧力センサ
   と，掃除機の操作方法を入力するための操作部とを具備
   してなる電気掃除機の制御装置において，上記操作部よ
   り通常の運転時には用いない所定の特殊な操作方法が入
   力された時，予め設定された吸込仕事率を得るように掃
   除機をテスト運転するテスト運転手段と，上記テスト運
   転時の圧力センサからの信号により掃除機の性能を判断
   する性能判断手段とを備えてなることを特徴とする電気
   掃除機の制御装置。