JPH05207584A - 反射型指向性スピーカ - Google Patents

反射型指向性スピーカ

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JPH05207584A
JPH05207584A JP1165292A JP1165292A JPH05207584A JP H05207584 A JPH05207584 A JP H05207584A JP 1165292 A JP1165292 A JP 1165292A JP 1165292 A JP1165292 A JP 1165292A JP H05207584 A JPH05207584 A JP H05207584A
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恒雄 田中
Kazuhide Sato
和栄 佐藤
Akihiro Furuta
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サービスエリア内で広い周波数範囲にわたっ
て音圧周波数特性の変化の小さい反射型指向性スピーカ
を提供する。 【構成】 主として低音を反射する第1の反射板1の焦
点にスピーカユニット2を設けると共に、主として高音
を反射する第2の反射板5を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の領域でだけ音を
聞くことができる指向性の鋭い反射型指向性スピーカに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、美術館やショールーム等におい
て、展示物を見ている人にだけその説明が聞こえるよう
にしたい、というように、音を限定された領域にだけ伝
えたいという要求は極めて大きなものがあった。
【0003】従来そのようなスピーカとしては、1)ホー
ンスピーカを用いる方法、2)パラメトリックスピーカを
用いる方法、3)トーンゾイレスピーカのようなフェーズ
ドアレイスピーカを用いる方法、4)反射板を用いる方法
があった。
【0004】ホーンスピーカを用いる方法は受聴点が遠
方にある場合に適しており、室内等の近距離で受聴する
場合には適さない。また低域まで鋭い指向性を実現する
には口径、長さともに大きくなるという欠点があった。
パラメトリックスピーカは超音波に対する空気の非線形
相互作用を用いた方法で、他の方法に比べて小型で鋭い
指向性を実現できるが、効率が低い、強力な超音波を使
用するため超音波を遮断するフィルタが必要といった問
題点があった。またトーンゾイレのように多数のスピー
カユニットをライン状または平面状に配置し、それぞれ
のスピーカユニットに入力する信号のゲインと位相を制
御する方法では制御系が複雑になり、また大きなサイド
ローブが発生することがあるといった問題点があった。
【0005】反射板を用いる方法は、放物面や楕円面の
一部からなる反射板の焦点にスピーカを設置し、反射板
に当たった音を収束させて鋭い指向性を得る方法であ
る。他の方法に比較して装置が簡単で、室内のように受
聴点が近距離の場合に適している。
【0006】以下、従来の反射方式を用いた指向性スピ
ーカについて図面と共に説明する。(図8)はスピーカ
の断面を示すものである。反射板1は断面が楕円の一部
になっており、その一方の焦点にスピーカユニット2が
上向きに取り付けられている。このスピーカ3を受聴者
4の頭上に設置し、受聴者の耳の位置における水平面内
に楕円の他方の焦点がくるようにすれば、スピーカの下
を通った時だけ音が聞こえる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従
来の反射形指向性スピーカでは、周波数によって指向性
が大きく異なるためにサービスエリア内での音圧周波数
特性が変化するという問題点があった。例えば、開口部
の直径が150cm,高さが65cmのスピーカの焦点(開口部か
ら130cm)を含む平面内におけるスピーカ軸上中心から
の距離と音圧レベルとの関係を(図9)に示す。周波数
によって指向性が大きく変化している。サービスエリア
(音圧レベルが6dB下がるまでの範囲)の直径は、500H
zでは1m近くあるのに対し2kHzでは約25cmしかない。実
際の使用においては、指向性を単に鋭くするだけではサ
ービスエリアが狭くなり、大勢の受聴者にサービスする
ことができない。そのためにサービスエリア内ではでき
るだけ均一に、かつサービスエリア外では急峻な減衰を
示すような音圧分布を持つスピーカシステムが求められ
ている。
【0008】本発明は、上記問題点に鑑み、サービスエ
リア内における周波数特性の変化が少ない反射型指向性
スピーカを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に第1の発明は、略放物面または楕円面の一部からな
り、主として低音を反射する第1の反射板と、前記第一
の反射板の焦点に反射板側に向けて設置されたスピーカ
ユニットと、主として高音を反射するための少なくとも
1枚の第2の反射板とから構成したものである。第2の
発明は、曲率の異なる少なくとも2つの曲面を組み合わ
せて構成された断面形状を有する一枚の反射板と、上記
複数の曲面の1つであり、主として低音を反射する略放
物面または楕円面の焦点に前記反射板側に向けて設置さ
れたスピーカユニットから構成されている。第3の発明
は、反射板が放物面または楕円面の一部からなり、かつ
複数のスピーカユニットを1つは反射板の焦点に、他は
焦点以外の位置に設けたものである。第4の発明は、反
射板の内面にその開口部から中心に向かって徐々に厚み
が減少する吸音材を設けて構成したものである。
【0010】
【作用】本発明は上記の構成により、第1の発明ではま
ず低音域は従来と同じように主として第1の反射板で反
射される。一方、高音域は主として小さな第2の反射板
によって反射される。低音は波長が長く、またスピーカ
ユニットの指向性も広いため第2の反射体を設けても指
向性には大きな変化がない。一方、高音は波長が短く、
スピーカユニット自体の指向性も鋭いため指向性は第2
の反射板の形状によって殆ど決定される。。従って第2
の反射板の形状を、高音の指向性が低音の指向性に近付
くようにすることにより、低音から高音まで広い周波数
範囲にわたり音圧周波数特性の変化が少ない指向性スピ
ーカを得ることができる。
【0011】第2の発明では主として低音部を反射する
ための第1の形状の反射板と、主として高音部を反射す
るための第2の形状の反射板とを一体に形成することに
よって、第1の発明と同様の作用を発揮するものであ
る。
【0012】第3の発明では低音用の第1のスピーカユ
ニットは反射板の焦点に設けることによって、できるだ
け鋭い指向性を実現する。一方、高音用の第2のスピー
カユニットは軸上の焦点から外れた位置に設ける。反射
体が楕円体の時、高音は焦点に収束せず、焦点を含む水
平面内の音圧分布は低音に近付く。従って、第1、第2
の発明と同じように広い周波数範囲にわたって音圧周波
数特性の変化が少ない指向性スピーカを得ることができ
る。
【0013】第4の発明は反射板の有効反射面積が周波
数と共に変化する。なぜならば吸音材の吸音率は厚みに
比例し、また周波数と共に高くなるからである。従っ
て、低音では反射板の全体が有効な反射面として作用
し、高音では中央部だけが有効な反射面となる。その結
果広い周波数範囲にわたって音圧周波数特性の変化が少
ない指向性スピーカを得ることができる。
【0014】なお、上記発明を任意に組み合わせること
により更に大きな効果が得られる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面と共に説
明する。
【0016】(図1)は本発明の第1の実施例の断面図
を示すものである。1は断面が楕円の一部からなる第1
の反射板、2はスピーカユニットであり、従来例で説明
したものと同じものである。本実施例の特徴とするとこ
ろは、第1の反射板1の中央部に第2の反射板5として
円板を設置した点であり、ここでは一例として、直径が
500mmの円板を用いている。(図1)におけるx軸上の
距離と音圧レベルとの関係を(図2)に示す。なお、
(図2)における「中心からの距離」の「中心」とは、
(図1)に示すような、スピーカユニット2からx軸へ
鉛直方向におろした垂線が、受聴者4の耳の高さにおけ
るx軸と交わる点を意味する。(図2)から明らかなよ
うに、500Hzでは従来例に比べて大きな変化は無いが、1
kHz,2kHzでは第2の反射板5による反射の影響を強く受
けて、指向性が広がっている。なお、第2の反射板5の
形状は平板に限定されるものではなく、また設置される
位置も本実施例に限定されるものではない。
【0017】次に本発明の第2の実施例について説明す
る。本実施例の構成は第1の実施例と同じであるが、第
2の反射板5として空孔率が20%の穴あき板を用い
た。この穴あき板は高音は反射するが低音は透過する。
よって、本実施例の如く構成すれば、第2の反射板が低
音の指向性に及ぼす影響は更に少なくなる。このため高
音の指向性を決定する第2の反射板を更に大きくする事
が可能である。
【0018】次に本発明の第3の実施例について(図
3)と共に説明する。(図3)は本実施例に用いた反射
板の断面を示すものである。周辺部6の部分は第1の実
施例で用いた反射板と同じ形状である。一方、中央部7
の部分は第1の実施例よりも緩やかな曲率を持つ曲線か
ら成っている。本実施例においても第1の実施例と同じ
ように、低音の指向性はあまり影響を受けないが、高音
の指向性は中央部からの反射の影響を強く受けて指向性
が広くなる。本実施例のように構成すれば、反射板を一
体で成形できるため構造が簡単になる。なお、反射板の
形状を3種類以上の曲線を組み合わせた形状としてもよ
いことは当然である。また反射板の一部に(図4)に示
すような小さな凹凸からなり、高音だけを拡散するよう
な拡散体8を設けても良い。
【0019】次に本発明の第4の実施例について(図
5)と共に説明する。(図5)は本実施例のスピーカの
断面を示すものである。反射板1の形状は第1の実施例
で用いたものと同じである。2a,2bはスピーカユニ
ットで、共に上向きに設置されている。2aは低音用の
スピーカユニットで楕円の焦点に設置されている。従っ
て低音は従来例と同じく他方の焦点に収束するような指
向性を示す。一方、2bは高音用のスピーカユニット
で、本実施例では一例として、焦点よりも10cm上に設置
されている。従って高音は焦点に収束せず、やや拡散さ
れた指向性を示す。このため広い周波数範囲にわたって
音圧周波数特性の変化が小さい指向性スピーカが得られ
る。なお、高音用のスピーカユニット2bを焦点よりも
下側に設置すると、他方の焦点よりも上で収束したのち
拡散する。従って、高音用のスピーカユニットの設置位
置は焦点の上下何れでもよく、またその位置は反射板の
軸上に限定されるものでもない。またスピーカユニット
の位置を変えることによって指向性を変化させることも
可能である。
【0020】次に本発明の第5の実施例について(図
6)と共に説明する。(図6)は本実施例のスピーカの
断面を示すものである。反射板1の形状は第1の実施例
で用いたものと同じである。9は吸音材で開口部では厚
く、反射板1の中心に向かうに従って薄くなり、中央部
の直径500mmの範囲には全く設置されていない。ただ
し、この直径500mmはあくまでも一例である。このよう
に、徐々に吸音材9の厚みを変えることによって反射板
として作用する有効面積も徐々に変化し、広い周波数範
囲にわたって音圧周波数特性の変化が小さい指向性スピ
ーカが得られる。また吸音材を設けたことにより、開口
部における音波の回折が抑えられ、サイドローブの小さ
な滑らかな指向性が得られた。なお、吸音材9を反射面
に設けずに(図7)に示すように開口部に設け、周辺部
を厚く中央部ほど薄くしても同様の効果が得られる。
【0021】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、主
として低音を反射する第1の反射板と、主として高音を
反射する第2の反射板を設けたことにより、広い周波数
範囲にわたって音圧周波数特性の変化が小さい指向性ス
ピーカが得られる。また第2の発明は、主として低音部
を反射するための第1の形状の反射体と、主として高音
部を反射するための第2の形状の反射体とを一体に形成
することによって、簡単な構成で第1の発明と同様の効
果を発揮するものである。また、第3の発明は、低音用
の第1のスピーカユニットは反射体の焦点に、高音用の
第2のスピーカユニットは軸上の焦点から外れた位置に
設けることによって、第1の発明と同様の効果を発揮す
るものである。また、第4の発明は吸音材を反射体の内
面に開口部から奥に向かって徐々に厚みが減少するよう
に設けたことにより、第1の発明と同様の効果を発揮す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成図
【図2】本発明の第1の実施例におけるスピーカの軸上
中心からの距離と音圧レベルとの関係を示す図
【図3】本発明の第3の実施例に用いた反射板の断面図
【図4】本発明の第3の実施例において反射板の一部に
拡散体を設けた場合の断面図
【図5】本発明の第4の実施例の構成図
【図6】本発明の第5の実施例に用いた反射板及び吸音
材の断面図
【図7】本発明の第5の実施例に用いた反射板及び吸音
材の他の配置を示す断面図
【図8】従来の反射型指向性スピーカの構成図
【図9】従来の反射型指向性スピーカの軸上中心からの
距離と音圧レベルとの関係を示す図
【符号の説明】
1 反射板 2,2a,2b スピーカユニット 3 指向性スピーカ 4 受聴者 5 第2の反射板 6 反射板の周辺部 7 反射板の中央部 8 拡散体 9 吸音材

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略放物面または楕円面の一部からなり、
    主として低音を反射する第1の反射板と、前記第一の反
    射板の焦点に反射板側に向けて設置されたスピーカユニ
    ットと、主として高音を反射するための少なくとも1枚
    の第2の反射板とからなることを特徴とする反射型指向
    性スピーカ。
  2. 【請求項2】 第2の反射板が、低音は透過し高音は反
    射する構造であることを特徴とする請求項1記載の反射
    型指向性スピーカ。
  3. 【請求項3】 第2の反射板が穴あき板であることを特
    徴とする請求項1または請求項2記載の反射型指向性ス
    ピーカ。
  4. 【請求項4】 曲率の異なる少なくとも2つの曲面を組
    み合わせて構成された断面形状を有する一枚の反射板
    と、上記複数の曲面の1つであり、主として低音を反射
    する略放物面または楕円面の焦点に前記反射板側に向け
    て設置されたスピーカユニットからなることを特徴とす
    る反射型指向性スピーカ。
  5. 【請求項5】 少なくとも一部が略放物面または楕円面
    の一部からなる反射板と、前記反射板の焦点に反射板側
    に向けて設置されたスピーカユニットと、前記反射板の
    一部に設けられ、高音だけを拡散させるための小さな凹
    凸からなる拡散体とからなることを特徴とする反射型指
    向性スピーカ。
  6. 【請求項6】 略放物面または楕円面の一部からなる反
    射板と、前記反射板の焦点に反射板側に向けて設置さ
    れ、主として低音を放射する第1のスピーカユニット
    と、前記反射板の反射板側に向けて、かつ前記焦点以外
    の位置に設置され、主として高音を放射する少なくとも
    1本の第2のスピーカユニットとからなることを特徴と
    する反射型指向性スピーカ。
  7. 【請求項7】 第2のスピーカユニットが反射板の中心
    軸上に設置されていることを特徴とする請求項6記載の
    反射型指向性スピーカ。
  8. 【請求項8】 第1、第2のスピーカユニットの位置を
    移動可能としたことを特徴とする請求項6または請求項
    7記載の反射型指向性スピーカ。
  9. 【請求項9】 略放物面または楕円面の一部からなる反
    射板と、前記反射板の内面に設けられ、その開口部では
    厚く中心に向かうに従って徐々に厚みが減少する吸音材
    と、前記反射板の焦点に反射板側に向けて設置されたス
    ピーカユニットとからなることを特徴とする反射型指向
    性スピーカ。
  10. 【請求項10】 略放物面または楕円面の一部からなる
    反射板と、前記反射板の開口部に設けられ、その周辺部
    では厚く中央に向かうに従って徐々に厚みが減少する吸
    音材と、前記反射板の焦点に反射板側に向けて設置され
    たスピーカユニットとからなることを特徴とする反射型
    指向性スピーカ。
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