JPH05203765A - 機械的振り子時計のための補償器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】水晶時計と匹敵できる精度を備えた振り子時計
を達成し、現存の時計の精度の補足の改良をできるだけ
小さな費用で振り子時計の明白な変更なしに、遂行でき
るように、機械的振り子時計のための補償器を形成す
る。 【構成】機械的振り子時計のための補償器６は、振り子
玉３のうしろ側に重心調節装置８を有し、これは、電動
機１２から作動できる。電動機１２の制御のため、比較
器として形成された電子的制御部材１４が用いられ、こ
れは、振り子振動数付与器の信号と、水晶基準発振機と
して形成された拍子付与器１５の信号との差に依存して
作動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、振り子時計の運転精
度に影響を与える妨害量を補償するための、機械的振り
子時計のための補償器に関する。

【０００２】

【従来の技術】機械的振り子時計は、ほぼ１６５０年か
ら作られている。この世紀の始めに、これは、その技術
的に高い点に到達した。１日当り１／１００秒よりも良
い精度が達成された。これに対しては、特に運転精度に
対する温度及び空圧の影響を補償するような、費用の掛
る補償器が必要である。一般に、例えば、ロースト振り
子が知られ、これでは、温度補償のために、温度係数の
異なる多くの棒が、温度膨張によつて振り子の重心に位
置を変えることのないように配置される。

【０００３】水晶時計が、有利な費用で入手でき極めて
高い精度で作動するにも拘わらず、何年か前から、機械
的振り子時計が、再び前進して来ている。再建された古
めかしい時計およびその模造は評判がよい。残念なが
ら、かかる時計の精度は、極めて不満足である。温度お
よび空圧の動揺および簡単な制動系による、始めから存
在する不正確さに加えて、時間の経過と共に、歯車列の
消耗および時計における油の硬化によつて、不正確さが
生じる。そこで、１日当り１０秒までの公差は、普通で
あり、これは、現在では、強く妨害になると感じられ
る。それでもやはり、多くの場合、かかる振り子時計
は、しばしば、その美しい音だけでも、放棄されない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明の基本的な課
題は、水晶時計と匹敵できる精度を備えた振り子時計を
達成し、現存の時計の精度の補足の改良をできるだけ小
さな費用で振り子時計の明白な変更なしに、遂行できる
ように、機械的振り子時計のための補償器を形成するこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段、作用および発明の効果】
この課題は、この発明によれば、補償器が、振り子に取
付けるべき電動機運転の重心調節装置と、重心調節装置
を制御するための、比較器を形成する電子的な制御部材
を備え、制御部材が入力側で電子的拍子付与器と振り子
振動数付与器とに連結されていること、によつて解決さ
れる。

【０００６】かかる電子的な拍子付与器を備えた補償器
によれば、機械的な振り子時計の場合に妨害の影響が動
揺したときにも、水晶時計の際と同じように高い精度が
達成される。故に、高い精度が問題である場合にも、こ
の発明によつて、機械的振り子時計が設置できる。この
発明による補償器は、ただ振り子の重心位置を調節する
ことだけが必要であるから、これは、振り子時計の改造
なしに、極めて容易に補足的に設けることができる。

【０００７】振り子振動数付与器が、振り子に固定され
た共振発振器であり、拍子付与器が、水晶基準発振器で
ある場合には、この発明による補償器は、電子工業で一
般に良く使われている構成部品から作り上げできる。

【０００８】この発明の別の進行によつて拍子付与器が
無線時計を備えていれば、機械的な振り子時計は、原子
時計の精度に到達できる。

【０００９】この発明の１つの望ましい進行によつて、
無線時計を備える拍子付与器が、振り子玉に配置され、
振り子棒が、無線時計のアンテナを形成すれば、無線時
計は、分かれたアンテナを必要としない。

【００１０】そのすべての構成部分が、振り子玉に配置
されるように形成されれば、現存の振り子時計の追加の
変更は、この発明による補償器の取付けによつて、特に
簡単に望ましい費用で遂行できる。

【００１１】そのすべての構成部分が、振り子玉に固定
できる単一のハウジングの中に配置されれば、素人でさ
え、職業的な熟練なしに、この発明による補償器を取付
けできる。

【００１２】この発明の別の望ましい構成によれば、補
償器のすべての構成部分が、振り子玉の内部で、振り子
玉によつて包まれるように配置される。これによれば現
存の振り子の場合に、振り子時計の水晶精度の運転を達
成するため、振り子をこの発明による振り子と交換する
ことが可能である。

【００１３】重心調節装置は、極めて異なるように構成
できる。これは、振り子軸線からのその距離を調節でき
るようなおもりを備えなければならない。重心調節装置
が、回転可能に支持された、電動機によつて回転できる
円板からなり、この円板が、その回転中心の外部に位置
する重心を備えるようにすれば、重心調節装置は、特に
簡単に形成される。かかる円板は、例えば１つの場所で
おもりを支持できる。しかしながら、その場合に１つの
扇形をあけておくことも可能であり、そのようにする
と、円板の回転によつてその重心位置が変化する。

【００１４】円板は、アナログ的に調節でき、それで、
重心位置の無段階変化が、従って振り子時計の運転速度
の無段階調節が達成される。実際には、円板の電動機の
制御部材が、円板の調節のため、上方および下方の重心
位置における中間位置から作用するようにすれば、十分
であることが明らかにされる。かかる実施例の利点とし
て、僅かだけの調節運動が必要であり、それで、調節の
ためのエネルギ消費が少なく、この発明による補償器
は、小さな電池で長時間作動できる。

【００１５】拍子付与器は、理論的に必要とする振り子
振動数を生成しなければならない。これは、しばしば知
られていないので、初期設定過程において実際の振り子
振動の持続時間を最初に自動的に測定し、プログラミン
グできる分割器として形成された拍子付与器に対し標準
量として使用するように、水晶基準発振器における電子
回路が形成できる。しかしながら、自動的に入手した値
は、たいていは、十分に正確ではない。そこで、振り子
時計の微細調節が、分割器の分割数の増分的調節によつ
て簡単に達成される。この発明の別の構成によつて、拍
子付与器が、プログラミングできる分割器として形成さ
れ、その調節のため、磁石によつて作動できるホールス
イッチを備えるようにすれば、振り子の停止は回避でき
る。

【００１６】

【実施例】この発明は、多くの実施例を達成できる。そ
の基本的原理をさらに明らかにするため、図面を参照し
ながら、以下に説明する。

【００１７】図１は。振り子１を図示し、これでは、振
り子棒２と通常の振り子玉３とから構成された振り子が
問題である。振り子棒２の下端には、ねじ溝４が備えら
れ、それで、振り子時計の運動速度を調整するため、振
り子玉３の高さ位置が、調節ねじ５によつて手で調節で
きる。

【００１８】振り子玉３の後側には、この発明に従って
形成された補償器６が配置される。これは、概念的に書
かれたハウジング７の中に、重心調節装置８を有し、こ
れは、回転軸線９のまわりを回転できおもり１１を備え
た円板１０を有する。電動機１２は、軸１３によつて円
板１０を回転でき、この軸１３は、そのためにウオーム
歯車として形成される。

【００１９】電動機１２の制御のためには、電子的制御
部材１４が使用され、これは、比較器として形成され、
水晶基準発振器として形成された電子的拍子付与器１５
の信号と振り子振動数付与器１６の信号とを比較する。
基準振動と振り子振動の間に差が存するときには、電動
機１２が制御され、それで、おもり１１が円板１０の回
転によつて上方または下方に動き、これによつて振り子
振動数が、高くなり或いは低くなる。

【００２０】振り子振動数付与器１６は、振り子の完全
な振動のおのおのにおいて１つの電気的パルスを生成す
るという、問題を有する。これは、種種の方法で実現で
きる。例えば、懐中時計の場合のように、ぜんまいおよ
び振動質量を備えた機械的共振系が配備できる。この系
の固有振動が振り子振動数に近いときには、接触を実施
するための、十分な振動振幅が生じる。振り子振動数付
与器１６は、それだから、「実際の振動」数を供給す
る。

【００２１】「目標」は、拍子付与器１５によつて供給
される。このパルス継列の振動数は、振り子時計の歯車
列から計算によつて求められる振り子振動数に一致す
る。拍子付与器１５のこの振動は、水晶で安定化され
る。これは、例えばプログラミングできる分割器によつ
て生成できる。振り子１の停止なしで拍子付与器１５の
微細調節を達成できるようにするためには、拍子付与器
は、磁石で作動すべきホールスイッチ１７を備える。

【００２２】制御部材１４では実質的に上昇／下降計数
器が問題である。到来するパルス継列が一致する場合に
は、この計数器は常にゼロになつている。（時計が正確
に動く）。しかしながら、パルス継列が時間的に互に外
れている場合には、誤差が蓄積し、計数器の状態が高上
しまたは降下する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明による補償器を備えた振り子を図解
的に表わす。

【符号の説明】

１ 振り子 ２ 振り子棒 ３ 振り子玉 ４ ねじ溝 ５ 調節ねじ ６ 補償器 ７ ハウジング ８ 重心調節装置 ９ 回転軸線 １０ 円板 １１ おもり １２ 電動機 １３ 軸 １４ 電子的制御部材 １５ 拍子付与器 １６ 振り子振動数付与器 １７ ホールスイッチ

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 振り子時計の運転精度に影響を与える妨
   害量を補償するための、機械的振り子時計のための補償
   器において、補償器（６）が、振り子（１）に固定すべ
   き電動機運転の重心調節装置（８）と、重心調節装置
   （８）を制御するための、比較器を形成する電子的な制
   御部材（１４）とを備え、制御部材（１４）が、入力側
   で、電子的拍子付与器（１５）と振り子振動数付与器
   （１６）とに連結されること、を特徴とする補償器。
2. 【請求項２】 振り子振動数付与器（１６）が、振り子
   （１）に固定された共振発振器であり、拍子付与器（１
   ５）が水晶基準発振器である、請求項１に記載の補償
   器。
3. 【請求項３】 拍子付与器（１５）が無線時計を備え
   る、請求項１に記載の補償器。
4. 【請求項４】 無線時計を備える拍子付与器（１５）
   が、振り子玉（３）に配置され、振り子棒（２）が、無
   線時計のアンテナを形成する、請求項３に記載の補償
   器。
5. 【請求項５】 そのすべての構成部分が、振り子玉
   （３）に配置されるように形成される、請求項１から４
   のいずれか１項に記載の補償器。
6. 【請求項６】 そのすべての構成部分が、振り子玉
   （３）に固定できる単一のハウジング（７）の中に配置
   される、請求項１から５のいずれか１項に記載の補償
   器。
7. 【請求項７】 そのすべての構成部分が、振り子玉
   （３）の内部で、振り子玉（３）によつて包み込まれる
   ように配置される、請求項１かに６のいずれか１項に記
   載の補償器。
8. 【請求項８】 重心調節装置（８）が、回転可能に支持
   された、電動機（１２）によつて回転できる円板（１
   ０）からなり、この円板（１０）が、その回転軸線の外
   部に位置する重心を備える、請求項１から７のいずれか
   １項に記載の補償器。
9. 【請求項９】 円板（１０）の電動機（１２）の制御部
   材（１４）が、円板（１０）の調節のため、上方および
   下方の重心位置における中間位置から作用する、請求項
   ８に記載の補償器。
10. 【請求項１０】 拍子付与器（１５）が、プログラミン
    グできる分割器として形成され、その調節のため、磁石
    によつて作動できるホールスイッチを備える、請求項１
    から９のいずれか１項に記載の補償器。