JPH05202535A - 油圧ショベルの転倒防止装置 - Google Patents

油圧ショベルの転倒防止装置

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JPH05202535A
JPH05202535A JP4036984A JP3698492A JPH05202535A JP H05202535 A JPH05202535 A JP H05202535A JP 4036984 A JP4036984 A JP 4036984A JP 3698492 A JP3698492 A JP 3698492A JP H05202535 A JPH05202535 A JP H05202535A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧ショベルの吊り作業において、転倒限界
に近い作業範囲ではその危険度に応じてレバー指令値を
絞り込み、転倒限界では危険側へのレバー指令値をカッ
トして安全作業を可能にする。 【構成】 作業機の回転角を検出する回転角検出手段
と、ブームシリンダの駆動圧を検出するブームシリンダ
圧力検出手段と、これらの検出値に基づいて、転倒限界
に近い作業範囲ではその危険度に応じて油圧シリンダ制
御部17へ出力するレバー指令値を絞り込み、また転倒
限界では危険側へのレバー指令値をカットするための転
倒モーメント演算部12、レバーゲイン演算部14、転
倒モーメント増大方向判定部13、乗算部16とからな
る構成となっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吊り作業機能を有する
油圧ショベルの転倒防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】吊り作業機能を有する機能としての転倒
防止装置は、クレーンの分野が最も進んでおり、その基
本アルゴリズムとしては、 (1)ブームの油圧シリンダ軸力とブーム角から、ブー
ム枢支点の全荷重モーメントを演算し、 (2)全作業機角及び全作業機重量、重心位置から、作
業機のみによるブーム枢支点モメントを演算し、 (3)上記(1),(2)により吊り荷重のみによるブ
ーム枢支点モーメントを求め、これを吊り荷重位置まで
の距離で除して吊り荷重を求める。 (4)全作業機重量、重心位置及び吊り荷重、吊り荷重
位置よりこれらが転倒支点に対して作用する転倒モーメ
ントを求める。 (5)作業機を除く車両重量が転倒支点に対して作用す
る安全モーメントに安全定数を付与した値を記憶してお
り、上記(4)の転倒モーメントが、これを超えること
を判別する比較手段を備え、この比較手段の結果により
警報、作業機の停止等の転倒防止手段を行使する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記転倒防止装置を構
成する際に、クレーンと油圧ショベルで基本的に異なる
のは、クレーンは図7に示すように、ブームaあるいは
ジブbの先端のウインチワイヤcで吊る構成であるのに
対して、油圧ショベルでは、図8、図9に示すようにブ
ームd、アームe、バケットfの3つのリンクより構成
される作業機の先端(バケット)にて直に吊り下げる構
成であることである。従って、クレーンの場合は吊り荷
の上下はウインチの巻き上げ下げにより鉛直に行なうこ
とができるから、転倒モーメントの増大は生じないし、
また作業範囲における転倒モーメントの増大が常にブー
ム伸長と、ブームまたはジブを水平に近づける方向であ
ることから、転倒モーメント減少の方策として常にこの
逆の操作を行なえば良く、オペレータの危険回避操作は
単純である。
【0004】これに対して、油圧ショベルではウインチ
を持たないことから、吊り荷の上下の際にも必ず作業機
操作が必要であり、転倒モーメントが変化するばかり
か、図8、図9に見られるように、同一作業機において
も、作業姿勢によっては、転倒モーメント増大の方向
(危険方向)が異なるため、オペレータは常にこのこと
を考えながら注意深く作業機操作方向を選ぶ必要があっ
た。
【0005】以上のように、油圧ショベルの吊り荷作業
においては、クレーンに比較して作業機操作頻度が多く
なり、しかもその動作が複雑で、危険回避の操作方向す
ら一定していないことから、転倒防止装置としても、単
に転倒モーメントが安定モーメントを超える手前で転倒
防止手段を行使するのみならず、事前に転倒モーメント
増大方向のレバー指令値であるか否かを判定し、それが
増大方向にある場合にはその危険度に応じて自動的に上
記指令値を絞り混み、安全限界ではこれをカットするよ
うな転倒防止装置が求められていた。
【0006】本発明は上記のことにかんがみなされたも
ので、レバー装置のレバー操作により転倒限界に近づい
た場合に、その限界に達する前から滑らかにレバー指令
値が絞られて、車体ゆれが少なく、滑らかに安全に作業
機の動きを停止させることができると共に、転倒モーメ
ント増大方向のレバー指令値に対して自動的に上記作用
が働き、作業機のリンクモーションにより、転倒モーメ
ント増大の方向が変わる場合でも、オペレータが意識す
ることなしに転倒限界に近づく際の滑めらかな停止を保
証することができる油圧ショベルの転倒防止装置を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る油圧ショベルの転倒防止装置は、ブー
ム1、アーム2、バケット3からなる作業機を有する油
圧ショベルにおいて、作業機の少なくともブーム1とア
ーム2のそれぞれの回転角変位を検出する作業機回転角
検出手段と、ブーム1を駆動するブームシリンダ4の駆
動圧力を検出するブームシリンダ圧力検出手段10と、
これらの検出手段からの検出値に基づいて車体11の転
倒側モーメントを求める転倒モーメント演算部12と、
少なくともブーム1、アーム2の回転角変位からそれぞ
れの回転軸の転倒モーメント増大方向を判定する転倒モ
ーメント増大方向判定部13と、0以上、1以下の値を
とり、車体の転倒モーメントが安定モーメントに近づく
に従って0に近づくようなゲインの値を演算するレバー
ゲイン演算部14と、レバー指令値qが転倒モーメント
増大方向である場合に、レバー指令値qに上記レバーゲ
イン演算部14で演算されたレバーゲインKを乗ずる乗
算部16と、この乗算部16の出力によりブーム1、ア
ーム2、バケット3のそれぞれを駆動する油圧シリンダ
を制御する油圧シリンダ制御部17とから構成されてい
る。
【0008】
【作 用】作業機回転角検出手段にて検出された作業
機の回転角変位信号とブームシリンダ圧力検出手段10
にて検出されたブームシリンダ4の駆動圧力信号は転倒
モーメント演算部12に入力されて、ここで転倒側モー
メントが求められ、ついでレバーゲイン演算部14にて
車体の転倒モーメントが安定モーメントに近づくに従っ
て0に近づくようなゲインの値が演算され、また上記作
業機回転角検出手段からの変位信号に基づいて少なくと
もブーム1、アーム2の回転角変位におけるそれぞれの
回転軸の転倒モーメント増大方向を転倒モーメント増大
方向判定部13にて判定し、レバー指令値qが転倒モー
メント増大方向である場合に、乗算部16にてレバー指
令値qにレバーゲイン演算部14で演算されたレバーゲ
インKを乗じ、その値の信号が油圧シリンダ制御部17
の制御部に出力されて油圧シリンダが制御され、これに
より、油圧ショベルの吊り作業において、転倒限界に近
い作業範囲においては、その危険度に応じてレバー指令
値qが絞り込まれて作業機速度が制限されて安全な吊り
作業がなされ、また転倒限界においては危険側へのレバ
ー指令値がカットされ、転倒が未然に防止される。
【0009】
【実 施 例】本発明の実施例を図1から図6に基づい
て説明する。図1は油圧ショベルの作業機部分を示すと
共に、ブーム枢支点0まわりのモーメントのつり合状態
を示すもので、図中1はブーム、2はアーム、3はバケ
ットであり、4はブームシリンダ、5はアームシリン
ダ、6はバケットシリンダである。そしてα1 はブーム
角、α2 はアーム角、α3 はバケット角であり、これら
の角度はそれぞれの回転軸に取付けられたロータリエン
コーダや回転ポテンショメータ等のそれぞれの回転角検
出手段7,8,9にて検出するようにしている。またブ
ームシリンダ4には、これのボトム圧を検出するボトム
圧検出器10aとヘッド圧を検出するヘッド圧検出器1
0bとからなるブームシリンダ圧力検出手段10を有し
ている。一方油圧ショベルの車体11には図4に示すよ
うに、上記各回転角検出手段7,8,9及びブームシリ
ンダ圧力検出手段10の検出値に基づいて車体11の転
倒側モーメントを求める転倒モーメント演算部12と、
上記各回転角検出手段7,8,9の検出値の変化からブ
ーム1、アーム2、バケット3のそれぞれの回転軸の転
倒モーメント増大方向を判定する転倒モーメント増大方
向判定部13と、転倒モーメント演算部12からの信号
入力に基づいて、0<K<1の値をとり、車体11の転
倒モーメントが安定モーメントに近づくに従って0に近
づくようなゲインKの値を演算するレバーゲイン演算部
14と、このレバーゲイン演算部14と上記転倒モーメ
ント増大方向判定部13からの信号入力及びレバー装置
15からのレバー指令値qに基づいて、このレバー指令
値qが転倒モーメント増大方向である場合にレバー指令
値qにレバーゲイン演算部14で演算されたレバーゲイ
ンKを乗ずる乗算部16と、この乗算部16の出力によ
り各軸の駆動を制御する油圧シリンダ制御部17を備え
ている。上記油圧シリンダ制御部17はパイロット圧に
て切換えられるメインバルブ18と、上記乗算部16か
らの信号を受けて上記メインバルブ18のパイロット圧
作用部18aに所定圧のパイロット圧を供給するEPC
弁(電磁比例弁)19とからなっている。なお、上記ブ
ーム1、アーム2、バケット3の回転角の検出手段とし
ては、それぞれを回転駆動するシリンダの長さを検出す
る直動ポテンショ、リニアエンコーダ等に置換えてもよ
い。また転倒防止において、バケット自重とバケット角
による吊り荷位置の変化を無視できる場合にはブーム
角、アーム角の検出手段だけでもよい。
【0010】上記構成において、ブーム1、アーム2、
バケット3のそれぞれの回転角α1 ,α2 ,α3 はそれ
ぞれの回転軸に取付けられた回転角検出手段7,8,9
にて検出されてその検出信号は転倒モーメント演算部1
2荷入力される。またバケット3に吊り荷20を吊り下
げたときにブームシリンダ4に作用する圧力がブームシ
リンダ圧力検出手段10にて検出され、これの検出信号
が転倒モーメント演算部12に入力される。このときの
ブームシリンダ4に作用する軸力Fは、これのボトム側
圧力PB 、ボトム側面積SB 、ヘッド側圧力PH 、ヘッ
ド側面積SH とすると、 F=PB ・SB −PH ・SH により求められる。また転倒モーメント演算部12では
車体の転倒モーメントF・Rが演算されるが、このとき
のブームシリンダ4のモーメントアールRは、図3に基
づいて算出すると以下のようになる。図中r1 ,r2
3 ,δ0 は構造によって決まる定数、α1 は検出され
るブーム角である。
【0011】
【数1】
【0012】次にブーム支点まわりのモーメントのつり
合式より吊り荷重W′を図1により求める。
【0013】
【数2】
【0014】次に上記吊り荷重W′による転倒支点O′
に対する転倒モーメトMT を図2により求める。ブーム
枢支点Oと転倒支点O′との距離をL0 とすると、 MT =W1 (L1 −L0 )+W2 (L2 −L0 )+W3
(L3 −L0 )+W′(L4 −L0 ) となる。更に、転倒モーメント増大方向判定部13での
判定は
【0015】
【数3】
【0016】のときにそれぞれブーム1、アーム2、バ
ケット3の回転角α1 ,α2 ,α3 の増大方向が転倒モ
ーメント増大方向と判定される。また逆に、
【0017】
【数4】
【0018】では、それぞれブーム、アーム2、バケッ
ト3の回転角α1 ,α2 ,α3 の減少方向が転倒モート
メント増大方向と判定される。
【0019】レバーゲイン演算部14での演算は、
【0020】
【数5】
【0021】を求める。 ここでWF :作業機を除く車両重量 LF :作業機を除く車両重量の重心位置と転倒支点の距
離 次に危険度CとレバーゲインKとの関係式(例えば、図
6の(a),(b),(c)で示す関係式)により転倒
モーメント増大方向指令の場合のレバーゲインKを求め
る。
【0022】乗算部16出は、レバー指令値qが転倒モ
ーメント増大方向でない場合には1、レバー信号が転倒
モーメント増大方向である場合にはKの値をレバー指令
値qに乗算する。ここで図4に示すように、レバー装置
15が電気レバー構成であってレバー指令値qが電気信
号であれば、上記乗算はマイクロコンピュータMC内部
での演算として実行できる。一方図5に示すように、レ
バー指令値qがPPC弁(油圧比例制御弁)21による
油圧信号であり、かつこの油圧信号が減圧弁22にて制
御される場合には、乗算部は、転倒モーメント増大方向
判断部の判断により1またはKの値を出力し、この後に
このKの値に応じた油圧信号i(K)を発生するEPC
弁(電磁比例弁)19を設け、このEPC弁19からの
油圧信号i(K)にて上記減圧弁22を制御することで
実現される。
【0023】油圧シリンダ制御部17では、図4にて示
す例では、EPC弁19にて制御されるパイロット圧に
て切換え制御されるメインバルブ18にて構成され、ま
た図5にて示す例では、EPC弁19にて制御される減
圧弁22を介してPPC弁21にて制御されるパイロッ
ト圧にて切換え制御されるメインバルブ18にて構成さ
れており、それぞれとも、乗算部16からの信号に応じ
てシリンダ流量が制御される。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、レバー装置のレバー操
作により作業機を操作したときに、このときの吊り荷重
によって車両の転倒限界に近づいた場合に、その限界に
達する前から滑らかにレバー指令値qが絞られることか
ら、車体ゆれが少なく、滑らかに安全に作業機の動きを
停止させることができる。また、転倒モーメント増大方
向のレバー指令値qに対して自動的に上記作用が働くこ
とから、作業機のリンクモーションにより、転倒モーメ
ント増大の方向が変わる場合でもオペレータが意識する
ことなしに、限界に近づく際の滑めらかな停止が保証さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】作業機の各部材に作用する力関係を示す説明図
である。
【図2】車両の転倒条件を説明する説明図である。
【図3】ブームシリンダのモーメントアームを算出する
ための説明図である。
【図4】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図6】(a),(b),(c)は転倒危険度とレバー
ゲインとの関係を示す線図である。
【図7】クレーンの転倒危険方向を示す説明図である。
【図8】(a),(b)は油圧ショベルの転倒危険方向
を示す説明である。
【符号の説明】
1…ブーム、2…アーム、3…バケット、4…ブームシ
リンダ、5…アームシリンダ、6…バケットシリンダ、
7,8,9…回転角検出手段、10…ブームシリンダ圧
力検出手段、10a…ボトム圧検出器、10b…ヘッド
圧検出器、11…車体、12…転倒モーメント演算部、
13…転倒モーメント増大方向判定部、14…レバーゲ
イン演算部、15…レバー装置、16…乗算部、17…
油圧シリンダ制御部、18…メインバルブ、19…EP
C弁、20…吊り荷、21…PPC弁、22…減圧弁。
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】作業機の各部材に作用する力関係を示す説明図
である。
【図2】車両の転倒条件を説明する説明図である。
【図3】ブームシリンダのモーメントアームを算出する
ための説明図である。
【図4】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図6】(a),(b),(c)は転倒危険度とレバー
ゲインとの関係を示す線図である。
【図7】クレーンの転倒危険方向を示す説明図である。
【図8】油圧ショベルの転倒危険方向を示す説明図であ
る。
【図9】油圧ショベルの転倒危険方向を示す説明図であ
る。
【符号の説明】 1…ブーム、2…アーム、3…バケット、4…ブームシ
リンダ、5…アームシリンダ、6…バケットシリンダ、
7,8,9…回転角検出手段、10…ブームシリンダ圧
力検出手段、10a…ボトム圧検出器、10b…ヘッド
圧検出器、11…車体、12…転倒モーメント算出部、
13…転倒モーメント増大方向判定部、14…レバーゲ
イン演算部、15…レバー装置、16…乗算部、17…
油圧シリンダ制御部、18…メインバルブ、19…EP
C弁、20…吊り荷、21…PPC弁、22…減圧弁。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブーム1、アーム2、バケット3からな
    る作業機を有する油圧ショベルにおいて、作業機の少な
    くともブーム1とアーム2のそれぞれの回転角変位を検
    出する作業機回転角検出手段と、ブーム1を駆動するブ
    ームシリンダ4の駆動圧力を検出するブームシリンダ圧
    力検出手段10と、これらの検出手段からの検出値に基
    づいて車体11の転倒側モーメントを求める転倒モーメ
    ント演算部12と、少なくともブーム1、アーム2へ回
    転角変位からそれぞれの回転軸の転倒モーメント増大方
    向を判定する転倒モーメント増大方向判定部13と、0
    以上、1以下の値をとり、車体の転倒モーメントが安定
    モーメントに近づくに従って0に近づくようなゲインK
    の値を演算するレバーゲイン演算部14と、レバー指令
    値qが転倒モーメント増大方向である場合に、レバー指
    令値qに上記レバーゲイン演算部14で演算されたレバ
    ーゲインKを乗ずる乗算部16と、この乗算部16の出
    力によりブーム1、アーム2、バケット3のそれぞれを
    駆動する油圧シリンダを制御する油圧シリンダ制御部1
    7とからなることを特徴とする油圧ショベルの転倒防止
    装置。
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