JPH05202095A - 安定化生理活性ポリペプチド及びその用途 - Google Patents

安定化生理活性ポリペプチド及びその用途

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JPH05202095A
JPH05202095A JP4038338A JP3833892A JPH05202095A JP H05202095 A JPH05202095 A JP H05202095A JP 4038338 A JP4038338 A JP 4038338A JP 3833892 A JP3833892 A JP 3833892A JP H05202095 A JPH05202095 A JP H05202095A
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polypeptide
glu
asparagine
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Masatsune Kurono
昌庸 黒野
Takahiko Mitani
隆彦 三谷
Haruo Takahashi
治雄 高橋
Yoko Ishii
葉子 石井
Takashi Iida
貴史 飯田
Kosei Igami
孝生 伊神
Kiichi Sawai
喜一 澤井
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Sanwa Kagaku Kenkyusho Co Ltd
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    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生理活性を有し且つ安定性において自体優れ
ているたポリペプチド及び該ポリペプチドを有効成分と
する安定化ペプチド製剤を提供する。 【構成】 活性に影響を及ぼさない範囲において、生理
活性ポリペプチドをコードするアミノ酸配列中のアスパ
ラギン及びアスパラギン酸残基を他のアミノ酸残基、例
えばグルタミン酸残基に代替する。 【効果】 本発明によるアミノ酸残基代替ポリペプチド
は高い保存安定性を示す。殊に 19 位のアスパラギン残
基をグルタミン、グルタミン酸 (Glu) 又はアラニン残
基に変換したモチリンアナログは基本となったモチリン
アナログや天然型モチリンが有しているものと同等又は
それ以上の生理活性を示し且つ安定性において遥かに優
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は安定化ポリペプチド及び
その用途に係る。本発明による安定化ポリペプチド、例
えばモチリンアナログは長期にわたり安定であり且つ本
来の生理活性を保持しており、従って医薬品成分とし
て、例えば消化管障害治療剤の有効成分として用いるこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】近年、バイオテクノロジーの進歩に伴
い、各種の生理活性ポリペプチドを有効成分とするペプ
チド製剤が開発されるに至っている。しかしながら、こ
れらの生理活性ポリペプチドは一般に比較的不安定であ
り、保存安定性が低く、又製剤化して投与した場合に生
体内における半減期が短い点に課題がある。因みに、ポ
リペプチドをコードするアミノ酸配列中に -Asn-Gly-
が存在するとアスパラギン(Asn) 残基の部位で脱アミド
化の生じ易いことが知られている。尚、インスリンに関
しては A 鎖の C 末端におけるアスパラギン (Asn) 残
基を他のアミノ酸残基、例えばグリシン (Gly) 残基に
変換することによって安定化し得ることが報告されてい
る (特許出願公表平 1 - 502434 公報)。
【0003】本発明による安定化ポリペプチドは、専一
的ではないがモチリン様活性を有する安定化ポリペプチ
ド、即ち安定化モチリンアナログを対象としている。従
って、モチリン類に関する従来技術について以下に述べ
る。モチリンは、ブラウン等によりブタの上部小腸粘膜
から初めて単離され、構造の決定されたペプチドホルモ
ンの一種である ["Gastroenterology" 第 62 巻第401
- 404 頁 (1972 年) 及び "Can. J. Biochem." 第 52
巻第 7 - 10 頁(1974 年)]。このブタモチリンは 22 個
のアミノ酸残基から構成されており、分子量は約 2700
である。一方、ヒト由来のモチリンについては、本発明
者等によって cDNA クローンが単離されて構造決定がな
され、そのアミノ酸配列はブタ由来のものと同一である
ことが明らかにされた (特開昭 63 - 276489)。モチリ
ンは各種の生理活性を有しているが、殊に空腹期におけ
る消化管運動を司るホルモンとして知られており、格別
の副作用も報告されていないので、現在汎用されており
且つ副作用の強いプロスタグランジンに代わり、術後に
おける胃腸障害の治療や胃腸障害の診断等に有効なもの
と考えられてきた。
【0004】モチリンの 13 位はメチオニン (Met) 残
基であるが、これをロイシン (Leu)又はノルロイシン
(Nle) 残基に変換したアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドもモチリンと同等の生理活性を示すことが報告されて
おり ["Scad. J.Gastroenterology" 第 11 巻第 199 -
203 頁 (1976 年) 等]、従って 13 位のメチオニン残基
が活性に及ぼす影響は殆どないものと考えられている。
更に、本発明者等はモチリンのアミノ酸配列の一部を変
換し又は若干のアミノ酸残基を付加した改変ポリペプチ
ドが、モチリンと同等又はそれ以上の活性を示すことを
発見し、この改変と活性との間に若干の法則性が存在す
ることを明らかにした (特開平 3 - 218395 公報)。一
方、モチリン類は、他の生理活性ポリペプチドと同様
に、比較的安定性が低く、そのために保存や製剤化に際
しては pH を調整したり、アルギニン等のアミノ酸、マ
ンニトール等の糖類、アルブミン等の蛋白質等が安定化
剤として使用されている (特開平 3 - 41032、同 3 - 4
1033 公報及び特願平 3 - 76202 明細書)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題及び発明の目的】既述の
通り、一般に生理活性ポリペプチドは、その保存中に構
成アミノ酸の側鎖が変化し易く、従って安定性が低く、
活性が急激に低下してしまう可能性がある。そこで、保
存時や製剤化に際しては上述のように pH 調整を行った
り、アミノ酸、糖類、蛋白質等がポリペプチドを安定化
剤として添加配合しているが、等張液のレベルで安定性
を維持することは困難とされており、又長期にわたり安
定して活性を維持することには成功していなかった。
尚、自体安定な生理活性ポリペプチドに関する報告はな
されていない。従って、本発明の主たる目的は、自体安
定性を有し、安定化剤の共存を必ずしも必要としない安
定化生理活性ポリペプチドを提供することにある。本発
明の附随的な、但し重要な目的は安定化生理活性ポリペ
プチドを有効成分として含有し、従って格別の安定化剤
が配合されていることを必ずしも要件としない安定化ペ
プチド製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決し目的を達成する手段及び作用】本発明者
等は生理活性ポリペプチド系薬物の安定性に関して鋭意
検討を重ねた結果、当該薬物が通常の状態で保管中に比
較的早期で活性が低下してしまうのは当該ポリペプチド
をコードするアミノ酸配列中のアスパラギン (Asn) 又
はアスパラギン酸 (Ap) の部位が不安定であり、変異を
生じ易いことを見い出し、そこで生理活性に変化を与え
ない範囲で当該アスパラギン (Asn) 及びアスパラギン
酸 (Asp) 残基が他の安定なアミノ酸残基に代替された
ものは安定性が向上するものと考え、このようなポリペ
プチドを合成し、生理活性について調べた処、このポリ
ペプチドは基本となったポリペプチドと同等又はそれ以
上の生理活性を有しており且つ安定性が極めて優れたも
のとなっていることを確認して本発明を完成するに至っ
た。
【0007】従って、本発明によれば、従来技術におけ
る既述の課題は、生理活性ポリペプチドをコードするア
ミノ酸配列中のアミノ酸残基であって、C 末端以外に存
在し且つ活性の発現に影響を及ぼさない部位に存在する
アスパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基が
他のアミノ酸残基に代替されていることを特徴とする、
本来の生理活性を有する安定化ポリペプチドにより解決
されると共に、既述の主目的が達成される。この本発明
による安定化ポリペプチドにおいて代替すべきアスパラ
ギン (Asn)及びアスパラギン酸 (Asp) 残基に関して
「C 末端以外に存在するもの」と規定しているのは、こ
れらのアミノ酸残基がポリペプチド鎖の C 末端に存在
する場合には、当該アミノ酸残基の変異に関して本発明
者が解明した後記の反応メカニズムの適用外だからであ
る。本発明による安定化ポリペプチドにおいて、殊にモ
チリン類に関しては通常のポリペプチド保存条件下にお
いて 19 位のアスパラギン (Asn) 残基の部位で変異の
生じ易いことが見い出され、その変異反応メカニズムが
下記のように解明され且つ 19 位のアスパラギン (Asn)
残基がアスパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp)
残基以外のアミノ酸残基であるポリペプチドを合成
し、生理活性を調べた処、この合成ポリペプチドは基本
となったポリペプチドと同等又はそれ以上の活性を保持
しており、安定性が著しく向上していることが見い出さ
れた。尚、アスパラギン残基部位における変異反応メカ
ニズムは下記の通りであると推定される。即ち、19 位
のアスパラギン残基が環状イミド化してアンヒドロアス
パラギン酸残基となり、この残基が OH イオンの作用に
よりα構造及びβ構造のアスパラギン酸残基に変化する
のである。この環状イミドの形成は 19 位がアスパラギ
ン酸 (Asp) 残基であり且つ 20 位がリジン (Lys) 残基
である場合にも生じ、この場合にはアスパラギン酸 (As
p) 残基の一部がβ構造のものとなることが確認され
た。従って、生理活性ポリペプチドの安定性を根本的に
改善するためには、生理活性が変化しない範囲内で、そ
の構成アミノ酸配列中のアスパラギン (Asn) 及びアス
パラギン酸 (Asp) 残基を安定性に優れた他のアミノ酸
残基、例えばグルタミン (Gln)、グルタミン酸 (Glu)、
アラニン (Ala) 等に代替して変異の発生それ自体を抑
制することが肝要なのであり、従来安定化剤として考え
られ、保存時や製剤化に際して配合されてきたアミノ酸
やアルブミン等は二次的なものに過ぎないのである。
【0008】本発明による安定化生理活性ポリペプチド
の内で、モチリン様生理活性を有するポリペプチドは一
般式 Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg- X
-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Y -Lys-Gly-Gln- Z [式中 X は任意のアミノ酸残基を示し、Y はアスパラギ
ン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基以外のアミノ
酸残基を意味し、Z は OH 又はホモセリン (ホモセリン
ラクトンをも包含し、Hse で示される) を意味する]に
て示される。上記の一般式で示されるモチリン様ポリペ
プチド (モチリンアナログ) において、X がメチオニン
以外のアミノ酸残基、例えばロイシン (Leu) 残基であ
るのが有利である。何故ならば、上記の一般式にて示さ
れるモチリンアナログを醗酵法により合成し、常法に従
いメチオニン (Met) 残基を介してこれをタンデム配置
で複数個連結し、この連結体を発現ベクターに導入し、
この遺伝子組換えベクターにより大腸菌等の微生物又は
動物細胞を形質転換させ、当該形質転換体を培養して上
記の連結体を含有する物質を融合蛋白として発現させ、
この融合蛋白を臭化シアンにて処理して、個々のポリペ
プチドフラグメントに分離する場合に、上記の X の部
位が Met 残基であると、ここにおいても切断が生じて
モチリン様生理活性を有する所望のポリペプチドが得ら
れないからである [上記の臭化シアン処理により、Met
の位置でペプチド鎖の切断が生じると共に、Met がホモ
セリン (Hse、ホモセリン-ラクトンをも含む)] に変化
する]。
【0009】本発明の既述の附随的目的は、上記の一般
式にて示される安定化ポリペプチドを有効成分として含
有している安定化ペプチド製剤により達成される。勿
論、この製剤には周知のポリペプチド安定化剤であるア
ミノ酸類、糖類、蛋白質、アルコール類、蛋白質分解阻
害剤等から選択された物質が配合されていることができ
る。尚、この安定化ペプチド製剤は、主として、消化管
障害の治療のために投与される。
【0010】
【実施例等】次に製造例、薬理活性試験例、不安定化し
たモチリンアナログの分析・構造解析試験例及び製剤例
に関連して、本発明を更に詳細に且つ具体的に説明す
る。尚、以下においてはモチリンアナログ、殊に 13 位
の Met が Leu であるモチリンアナログについて説明す
るが、他のモチリンアナログやモチリンとは別異の生理
活性ポリペプチドにおいても活性が変化しない範囲での
構成アミノ酸変換であれば適応可能であることに留意さ
れ度い。
【0011】製造例 ペプチドの合成はアプライドバイオシステムズ社のペプ
チドシンセサイザー430 A を用いて行った。例えば、下
記のアミノ酸配列を有するポリペプチド Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg-Le
u-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Glu-Lys-Gly-Gln-Hse を合成するためには、別途に化学合成した Boc-Hse(Bz
l)-4-(oxymethyl)phenylacetic acid と Aminomethyl
樹脂とを用い、C 末端にはホモセリン (Hse) を導入し
た。尚、アミノ酸は通常の合成法に従って調製した。合
成したポリペプチドサンプルの精製はウォーターズ社の
マイクロボンダスフェアの C-18 カラム (19mm X 15cm)
を用い HPLC により下記の条件で行った。 溶出液 : 0.012N 塩酸中アセトニトリル 15% から 50%
までの直線勾配、 30 分間。 流速 : 7.0 ml/min この HPLC によるメインピーク部分を回収して凍結乾燥
し、一部をアプライドバイオシステムズ社のペプチドシ
ークェンサーを用いて調べた処、正しいアミノ酸配列を
有していることが確認された。更に、アミノ酸配列の一
部を変換したポリペプチドも上記と同様にペプチドシン
セサイザーで合成した後に、HPLC で精製することによ
り得た。
【0012】安定性試験例 製造された各種のモチリンアナログを燐酸緩衝液 (pH
5.0) に溶解することにより 0.1mg/ml の溶液を無菌的
に調製し、ガラスバイアルに充填、密封して溶液製剤を
調製した。これらの溶液製剤を 60℃ の恒温槽内で保存
し、経時変化をHPLC 法により測定した。結果は下記の
表 1 に示されている (保存開始の直前における活性を
100% とした)。尚、表 1 中のサンプルにおいて [Le
u13]motilin-Hse 及び [Leu13]motilin の 19 位はアス
パラギン (Asn) 残基である。
【0013】
【0014】上記の表 1 に示されている結果から、19
位がアスパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残
基の場合には極めて不安定であるが、当該残基をグルタ
ミン (Gln)、グルタミン酸 (Glu) 又はアラニン (Ala)
残基に代替したポリペプチドは安定性において著しく優
れていることが判る。
【0015】生理活性試験例 (腸管収縮活性の測定) 製造例で得られた各種のモチリンアナログを被験物質と
し、一方化学合成したヒトモトリンを対照物質として、
ウサギ十二指腸を用いるマグヌス法により腸管収縮活性
を測定し、化学合成したヒトモチリンの活性を 100% と
して各種のモチリンアナログの活性を比較した。結果は
下記の表 2 に示されている。
【0016】
【0017】表 2 に示されている結果から、天然型ヒ
トモチリンが有する 19 位のアスパラギン (Asn) 残基
をそれ以外のアミノ酸残基に代替した本発明によるモチ
リンアナログが示す腸管収縮活性は天然型ヒトモチリン
と同等又はそれ以上であることが確認された。
【0018】保存により生じた変異物の構造解析試験 本試験例においては安定性が比較的低いものとされてい
る下記のアミノ酸配列を有するモチリンアナログ ([Leu
13]motilin-Hse) が用いられた。 Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg-Le
u-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Asn-Lys-Gly-Gln-Hse
【0019】(1) HPLC による分離 上記のモチリンアナログを燐酸緩衝液 (pH 5.0) に溶解
し、40℃ の恒温槽内で60 日間保存したものをサンプル
として以下の条件でイオン交換 HPLC を行い、主たる変
異物乃至分解物を分取して各種の分析を行った、尚、こ
の際の分取パターンが図 1 に示されている。 検出条件 : UV (230nm)、 カラム : TSK gel SP2SW (東ソー)、5μm、4.6 x
250mm、 カラム温度 : 40℃、 移動相 : A ; 0.02M 燐酸二水素ナトリウム (pH 4.6) : アセトニ
トリル (9 : 1)、 B ; A液 + 0.2M 硫酸ナトリウム、 A - B ; 直線勾配 (30min), B (10min)。 この条件で分取した 2 種類の主たる変異物を図 1 に示
されるように A-1 及び A-2 と命名した。
【0020】(2) A-1 及び A-2 のアミノ酸配列 A-1 及び A-2 のアミノ酸配列を ABI 社製のペプチドシ
ークエンサー 470A を用いて調べた。結果は下記の通り
であり、A-1 は 18 位の Arg 迄しかピークが検出され
なかった。又、A-2 は元の [Leu13]motilin-Hse の 19
位がアスパラギン酸 (Asp) 残基に変換した [Leu13,Asp
19]motilin-Hse の配列を有していることが確認され、1
9 位の Asp の位置での収率低下等は認められず、化学
合成品とほぼ同等の収率であった。 A-1 : Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-
Arg-Leu-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg (以降検出されず)、 A-2 : Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-
Arg-Leu-Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Asp-Lys-Gly-Gln-Hse
【0021】(3) A-1 及び A-2 のアミノ酸組成 A-1 及び A-2 のアミノ酸組成を分析した結果が下記の
表 3 に示されている。この結果から A-1 及び A-2 は
共に元の [Leu13]motilin-Hse と同様のアミノ酸組成を
有していることが判明した。尚、表 3 においてモル比
は Phe を 2.0 とした場合のモル比率で示されており、
表に記載されていないアミノ酸は検出されなかったこと
を意味している。アミノ酸の組成分析においてはアスパ
ラギン、グルタミンは脱アミド化が起こってアスパラギ
ン酸、グルタミン酸として検出される。 また Hse のピ
ークもそれぞれ認められるので A-1 は 18 位と 19 位
との間で切断された構造ではなく、19 位の Asn がエド
マン分解の停止するような構造に変化していると考えら
れる。
【0022】
【0023】(4) 質量分析 質量分析はクレイトス社の CONCEPT H 型分析機を用
い、FAB 法により行った。その結果、A-1 及び A-2 は
共に元の [Leu13]motilin-Hse より 1 質量分だけ大き
いことが明らかになった。
【0024】(5) 構造予測と反応機構 各種の分析結果を踏まえて検討すると、19 位のアスパ
ラギン (Asn) 残基の変異反応メカニズムは図 2 に示さ
れる通りであると考えられる。即ち、サンプルである
[Leu13]motilin-Hse の 19 - 20 位は Asn-Lys である
が、19位の Asnが閉環して環状イミドであるアンヒドロ
アスパラギン酸残基となり、この環状イミドが OH イオ
ンの作用を受け開環してアスパラギン酸残基となるが、
この場合にα-Asp-Lys 結合を形成したものは、元の 19
位におけるアスパラギン (Asn)がα-アスパラギン酸
(α-Asp) 残基に変化した構造 [Leu13,α-Asp19]motili
n-Hse の構造をとって A-2 を生じ、一方β-Asp-Lys 結
合を形成したものはエドマン分解が停止する [Leu13
-Asp19]motilin-Hse の構造となって A-1 を生ずるので
ある。尚、本発明者等はこの環状イミドの形成がアスパ
ラギン残基の場合のみならずアスパラギン酸残基の場合
にも生じ、その一部が、アスパラギンの場合と同様にβ
-Asp-Lys 結合を形成したエドマン分解が停止する [Leu
13,β-Asp19]motilin-Hse の構造を有する A-1 を形成
することを同様の実験で確認した。従って、ポリペプチ
ドを通常の保管状態で保存する場合に生じる変異は、ア
スパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基が中
間体として 5 員環の環状イミド体を形成するのが要因
であると考えられ、従って、これらの残基を構成アミノ
酸配列中に包含しており且つ当該残基部分が活性に影響
を与えないポリペプチドを安定化させるためには、この
中間体、即ち環状イミドの形成を防止することが肝要で
あることが判明した。
【0025】モチリンアナログ以外のポリペプチドの安
定化試験例 下記に示す天然型の各種生理活性ポリペプチドをコード
するアミノ酸配列中において C 末端以外に存在するア
スパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp)残基をグ
ルタミン酸 (Glu) 残基に代替し、その安定性をモチリ
ンアナログと同様に、但し 60℃ にて 30 日間にわたり
保存した後に HPLC にて活性を測定し、保存開始直前の
活性を 100% として残存率で比較した結果が下記の表 4
に示されている。この表からモチリンアナログ以外の
ポリペプチドに関してもおいて構成アミノ酸中のアスパ
ラギン及びアスパラギン酸残基を他のアミノ酸残基であ
るグルタミン酸残基に代替することにより安定性が著し
く向上することが確認された。
【0026】
【0027】製剤例 (1) 注射剤 製造例において得た [Leu13,Glu19]motilin-Hse を酢酸
-酢酸ナトリウム緩衝液 (pH 5.0) に溶解し、ポリペプ
チドとして 1mg 宛含有するように無菌的にアンプルに
分注し、溶封してペプチド製剤を得た。尚、上記のポリ
ペプチド溶液をバイアルに分注し、凍結乾燥し、封緘し
て注射用粉末剤とすることもできる。この製剤は用時に
は、注射用生理食塩水に溶解せしめられる。更に、これ
らの注射用製剤には二次的な安定化剤として、製剤上許
容される糖類、アルコール類、アミノ酸類、無機塩類お
よびタンパク質類から選択された物質が配合されている
ことができる。
【0028】(2) 点鼻剤 製造例において得た [Leu13,Gln19]motilin-Hse 5mg
と、サポニン 50mg とを精製水 5ml に溶解して点鼻剤
を得た。この剤は鼻腔内に塗布又はスプレーすることに
より投与される。
【0029】(3) 錠剤 下記の諸成分を用い常法により錠剤を製造した。 [Leu13,Glu19]motilin-Hse 10 (mg) ラウリル硫酸ナトリウム 20 カルボキシメチルセルロース (Ca) 7 結晶セルロース 2 ステアリン酸マグネシウム 7 乳糖 残 部 200 (mg)/錠
【0030】
【発明の効果】本発明による生理活性ポリペプチドは、
従来のポリペプチドのように別途の安定化剤を添加する
ことにより安定になされているのではなく、自体安定性
を有している。ポリペプチドをコードするアミノ酸配列
中のアスパラギン及びアスパラギン酸残基であって、こ
れらを他のアミノ酸残基に代替しても活性に影響を及ぼ
さないような場合には、これらのアスパラギン及びアス
パラギン酸残基が代替された安定化ポリペプチドをバイ
オテクノロジーにより合成することができる。この本発
明による安定化生理活性ポリペプチドを用い且つ所謂遺
伝子操作-培養技術を利用すればその大量生産が可能で
あり、従って長期間にわたり活性を保証し得るペプチド
製剤の提供が可能となる。尚、一般的にペプチド製剤の
場合に、通例水溶液の形態での安定性が課題とされる
が、本発明による安定化生理活性ポリペプチドの場合に
は等張液の範囲内で保存剤を選択することが可能であ
り、これによって安定性を更に向上させることができ
る。更に、アスパラギン又はアスパラギン酸残基を包含
するアミノ酸配列を有している場合に、これら残基にお
ける側鎖の変異反応メカニズムが解明されたので、その
メカニズムを考慮に入れて保存剤や pH の選択が可能で
あり、この点からも生理活性ポリペプチドの安定性を向
上させる余地がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】安定性が比較的低い [Leu13]motilin-Hse の溶
液を苛酷条件下で保存し、その側鎖が変化した変異物を
分離するために、イオン交換 HPLC を行った際の溶出パ
ターンを示す図面。
【図2】モチリンアナログにおける 19 - 20 位のアス
パラギン (Asn) - リジン (Lys)残基の位置、殊にアス
パラギン残基に生じると考えられる変異反応メカニズム
を説明する図面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07K 7/32 7306−4H 7/34 7306−4H 7/36 7306−4H // C07K 99:00 (72)発明者 石井 葉子 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所内 (72)発明者 飯田 貴史 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所内 (72)発明者 伊神 孝生 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所内 (72)発明者 澤井 喜一 愛知県名古屋市東区東外堀町35番地 株式 会社三和化学研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理活性ポリペプチドをコードするアミ
    ノ酸配列中のアミノ酸残基であって、C 末端以外に存在
    し且つ活性の発現に影響を及ぼさない部位に存在するア
    スパラギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基が他
    のアミノ酸残基に代替されていることを特徴とする、本
    来の生理活性を有する安定化ポリペプチド。
  2. 【請求項2】 モチリン類の 19 位に存在するアスパラ
    ギン (Asn) 残基がアスパラギン (Asn) 及びアスパラギ
    ン酸 (Asp) 残基以外のアミノ酸残基に代替されている
    ことを特徴とする、モチリン様生理活性を有する安定化
    ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 一般式 Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg- X
    -Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Y -Lys-Gly-Gln- Z [式中 X は任意のアミノ酸残基を意味し、Y はアスパラ
    ギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基以外のアミ
    ノ酸残基を意味し、Z は OH 又はホモセリン(ホモセリ
    ンラクトンをも包含し、Hse で示される) を意味する]
    にて示される、モチリン様生理活性を有する安定化ポリ
    ペプチド。
  4. 【請求項4】 X がメチオニン (Met) 残基以外のアミ
    ノ酸残基を意味していることを特徴とする、請求項3に
    記載の安定化ポリペプチド。
  5. 【請求項5】 X がロイシン (Leu) 残基を意味し、Y
    がグルタミン酸(Glu)、グルタミン (Gln) 又はアラニン
    (Ala) 残基を意味していることを特徴とする、請求項
    3又は4に記載の安定化ポリペプチド。
  6. 【請求項6】 一般式 Phe-Val-Pro-Ile-Phe-Thr-Tyr-Gly-Glu-Leu-Gln-Arg- X
    -Gln-Glu-Lys-Glu-Arg-Y -Lys-Gly-Gln- Z [式中 X は任意のアミノ酸残基を意味し、Y はアスパラ
    ギン (Asn) 及びアスパラギン酸 (Asp) 残基以外のアミ
    ノ酸残基を意味し、Z は OH 又はホモセリン(ホモセリ
    ンラクトンをも包含し、Hse で示される) を意味する]
    にて示され、モチリン様生理活性を有する安定化ポリペ
    プチドを有効成分として含有していることを特徴とす
    る、安定化ペプチド製剤。
  7. 【請求項7】 消化管障害の治療に使用されることを特
    徴とする、請求項6に記載の安定化ペプチド製剤。
JP4038338A 1992-01-30 1992-01-30 安定化生理活性ポリペプチド及びその用途 Pending JPH05202095A (ja)

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EP93101406A EP0561130B1 (en) 1992-01-30 1993-01-29 Stabilized biologically active polypeptide and use thereof

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0378078A1 (en) * 1989-01-06 1990-07-18 Sanwa Kagaku Kenkyusho Co., Ltd. Motilin-like polypeptide and use thereof

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EP0561130A1 (en) 1993-09-22
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EP0561130B1 (en) 1997-04-23

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