JPH05198533A - ドライエッチング方法 - Google Patents

ドライエッチング方法

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JPH05198533A
JPH05198533A JP4027497A JP2749792A JPH05198533A JP H05198533 A JPH05198533 A JP H05198533A JP 4027497 A JP4027497 A JP 4027497A JP 2749792 A JP2749792 A JP 2749792A JP H05198533 A JPH05198533 A JP H05198533A
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JP
Japan
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magnetic field
processing chamber
etching
plasma
material layer
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JP4027497A
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Tetsuya Tatsumi
哲也 辰巳
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス組成の変更や処理チャンバ内への可動部
材の導入等を行わずに、エッチング途中でラジカル生成
量を制御し、下地選択性と異方性を改善する。 【構成】 有磁場マイクロ波プラズマ・エッチング装置
の処理チャンバ4の内壁面にアモルファス・シリコン
(a−Si)カバー13を設け、外周側には複数の永久
磁石14からなる交互多極磁場リングを配設する。この
リングの内側ではマルチカスプ磁場が形成され、ECR
プラズマPの壁面方向への拡散が抑制される。永久磁石
14を位置Eに置けばECRプラズマPとa−Siカバ
ー13との接触面積が減少するのでラジカル消費量が減
り、位置Fに置けばラジカル消費量が増大する。ポリサ
イド膜中の多結晶Si層のエッチング時等にこの接触面
積を大とすると有効である。永久磁石14に代えて補助
コイル17を使用しても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造分野等
において適用されるドライエッチング方法に関し、特に
ECRプラズマを利用したエッチング・プロセスの途中
におけるラジカル性の低減,側壁保護の強化等の条件変
更を、プラズマの閉じ込め状態を変化させることにより
実現する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のVLSI,ULSI等にみられる
ように半導体装置のデザイン・ルールが高度に微細化さ
れるに伴い、ドライエッチング技術においても高異方
性、高速性、高選択性、低汚染性、低ダメージ性といっ
た諸要求をいずれをも犠牲とすることなく達成する技術
が強く望まれている。なかでも、高異方性と高選択性と
いう相反する条件の両立は、最重要課題のひとつとされ
ている。それは、高異方性を達成するためにはある程度
高い入射イオン・エネルギーが必要となるが、これは対
下地選択性の観点からは不利となるからである。
【0003】そこで、被エッチング材料層の大部分をエ
ッチング(ジャストエッチング)するかもしくは下地材
料層が露出する直前までの工程では入射イオン・エネル
ギーを相対的に高め、オーバーエッチングもしくは残余
部のエッチングを行う工程では相対的に低下させた条件
でエッチングを行う技術が提案されている。入射イオン
・エネルギーを変化させるポピュラーな方法としては、
プラズマ・エッチング装置の電極に印加されるRFバイ
アスのパワーを低下させるか、RFバイアスの周波数を
増大させるか、もしくはこれら両方を同時に実施する等
の方法がある。
【0004】また、ECRプラズマ装置を使用するプロ
セスに関しては、磁場配位の制御によりチャンバ内にお
けるプラズマの閉じ込め状態を変化させ、このプラズマ
中における被エッチング基板(ウェハ)の相対位置関係
により入射イオン・エネルギーを制御することも提案さ
れている。たとえば、特開昭62−30891号公報に
は、ECRプラズマの形成に必要な磁場を形成するため
の主コイルの他に、プラズマの下流側に該主コイルと対
峙する補助コイルを備えたECRプラズマ装置を使用
し、これら両コイルの励磁方向をエッチングの途中で反
転させる技術が開示されている。この技術では、まず主
コイルと補助コイルを同一方向に励磁してミラー磁場を
形成し、このミラー磁場の中央近傍、すなわちプラズマ
密度の高い領域にウェハを置き、被エッチング材料層の
大部分をエッチングする。この段階では、高濃度のイオ
ンによりイオン・モードを主体とした機構で高速異方性
エッチングが進行する。次に、主コイルと補助コイルを
逆方向に励磁してカスプ磁場を形成し、カスプ中立面よ
り若干下流側にウェハを置いて被エッチング材料層の残
余部をエッチングする。この段階では、イオンがカスプ
中立面を越えてウェハに入射することがほとんどないた
め、ラジカル・モードを主体とした機構により低ダメー
ジ・高選択エッチングが進行する。
【0005】以上、入射イオン・エネルギーを低下させ
るための公知技術について述べたが、これらとは別に、
堆積物による側壁保護を併用することにより、高異方性
の達成に必要なイオン入射エネルギーを低減させようと
する考え方も広く知られている。この側壁保護は、気相
中からのガス放電解離生成物、もしくはエッチング反応
生成物等をパターン側壁部に堆積させることにより行わ
れており、このようにして形成された側壁保護膜がラジ
カルの側方攻撃からパターンを保護するわけである。
【0006】この側壁保護に関し、本発明者はS(イオ
ウ)を堆積させる一連の技術をこれまでに多数提案して
いる。たとえば、Digest of Papers,
1991 4th MicroProcess Con
ference,p.32,A−3−1に、S2 Cl2
やS2 Br2 等のハロゲン化イオウを含むエッチング・
ガスを使用してシリコン系材料を−20℃付近で低温エ
ッチングする技術を報告した。この技術では、放電解離
条件下でS/X比〔分子中のS原子数とハロゲン(X)
原子数の比〕の比較的大きいハロゲン化イオウからプラ
ズマ中に放出される遊離のSをウェハ上に堆積させる。
このときのウェハは、Sを昇華させずに保持し得る温度
に維持されていれば良いので、上記技術は従来の低温エ
ッチングのウェハ冷却温度を室温域に近づけることがで
きる。堆積させたSは、エッチング終了後にウェハをお
およそ90℃以上に加熱することにより容易に昇華除去
することができ、何らパーティクル汚染を惹起させる懸
念がない。さらに、このSの堆積を利用するプロセスの
重要な意義は、地球環境破壊が懸念されるクロロフルオ
ロカーボン(CFC)ガスを使用せずにシリコン系材料
層の異方性エッチングを実現できる点にある。
【0007】このS堆積プロセスについても、本願出願
人は高選択性と高異方性とを両立させるために、エッチ
ングの途中でエッチング反応系の見掛け上のS/X比を
変化させ、Sの堆積量とラジカル量とのバランスを制御
する技術を種々提案している。たとえば、特願平3−2
0360号明細書には、ハロゲン化イオウを主体とする
エッチング・ガスにH2 ,H2 S,あるいはシラン系化
合物を添加する技術を提案している。これらの添加化合
物から生成するH* ,Si* は、エッチング反応系内の
過剰なハロゲン・ラジカルを捕捉消費するので、エッチ
ング反応系のラジカル性が弱まり、相対的にSの堆積が
促進される。
【0008】また、特願平3−132116号明細書に
は、処理チャンバの内壁面の少なくとも一部をSi系材
料層で被覆し、このSi系材料層とECRプラズマとの
接触面積を適当なシャッタを用いて変化させる技術を提
案している。この技術では、シャッタ開度を大とすれば
ECRプラズマ中のハロゲン・ラジカルの消費量が増大
してSの堆積が促進され、逆に小とすればハロゲン・ラ
ジカルの消費量が減少してSの堆積が抑制される。
【0009】本願出願人は、これらの技術を適用するこ
とにより、下地に対して特に高い選択性が要求されるオ
ーバーエッチング、あるいはポリサイド膜のようにエッ
チング特性の異なる複数の膜が積層された多層膜の選択
異方性エッチングを、極めて良好に行うことに成功して
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、S堆積
プロセスの実用化を推進するためには、さらに別のアプ
ローチも模索した上で、できるだけ多くの選択肢の中か
らプロセスの内容に応じて最適な方法を選択することが
重要であると考えられる。この過程では、先行技術の一
長一短を認識することも必要である。
【0011】たとえば、エッチング・ガスへH2 等を添
加して過剰ハロゲン・ラジカルを消費する技術には、エ
ッチング装置の改造等を伴わずに実施できるという簡便
さがある反面、ガス流量や放電状態の安定化のための所
要時間がスループットを低下させる懸念がある。また、
チャンバ壁に設けられたSi系材料層とECRプラズマ
との接触面積をシャッタを用いて変化させる技術には、
高いスループットが期待できる反面、チャンバ内に可動
部材を導入することにより装置構成が複雑化したり、シ
ャッタに堆積するSによりエッチング反応系のS/X比
が微妙して再現性を低下させる等の懸念がある。
【0012】そこで本発明は、S堆積プロセスを基本と
しながら、スループットの低下、装置構成の複雑化、再
現性の低下等を回避することが可能なドライエッチング
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために提案されるものである。すなわち、本願
の第1の発明にかかるドライエッチング方法は、処理チ
ャンバの内壁面の軸方向の少なくとも一部がシリコン系
材料層により被覆されてなり、かつこのシリコン系材料
層の被覆部位に対峙するごとく該処理チャンバの外周部
に補助磁場形成手段が配設されてなるECRプラズマ装
置を使用し、前記補助磁場形成手段の操作によりECR
プラズマと前記シリコン系材料層との接触面積を変化さ
せながら被エッチング基板上のシリコン系材料層をエッ
チングすることを特徴とする。
【0014】本願の第2の発明にかかるドライエッチン
グ方法は、前記補助磁場形成手段が、前記処理チャンバ
の周方向に沿って略等間隔に配置されかつ該処理チャン
バの半径方向に沿って交互に逆極性となるように着磁さ
れた複数の永久磁石から構成されてなり、前記接触面積
の変化はこの補助磁場形成手段を前記処理チャンバの軸
方向に沿って移動させることにより達成することを特徴
とする。
【0015】本願の第3の発明にかかるドライエッチン
グ方法は、前記補助磁場形成手段が、前記処理チャンバ
の周方向に沿って略等間隔に配置されかつ該処理チャン
バの半径方向に沿って交互に逆極性となるように励磁さ
れた複数のコイルから構成されてなり、前記接触面積の
変化はこの補助磁場形成手段に印加する電流を制御する
ことにより達成することを特徴とする。
【0016】さらに、本願の第4の発明にかかるドライ
エッチング方法は、処理チャンバの内壁面の軸方向の少
なくとも一部がシリコン系材料層により被覆されてな
り、かつこのシリコン系材料層の被覆部位に対峙して該
処理チャンバの外周部を周回するごとく配設され、前記
軸方向に沿って各々同極性となるように励磁された複数
のコイルを備えてなるECRプラズマ装置を使用し、前
記複数のコイル相互間の離間距離を前記軸方向に沿って
変化させることにより前記シリコン系材料層の近傍にお
けるECRプラズマの密度を変化させながら被エッチン
グ基板上のシリコン系材料層をエッチングすることを特
徴とする。
【0017】
【作用】本発明は、エッチング・ガスの組成変更や処理
チャンバ内への可動部材の導入を行わずにECRプラズ
マ中のハロゲン・ラジカル量を変化させるために、磁場
配位の制御を行うものである。ただし、本発明における
磁場配位の制御は、従来技術のように単に入射イオン・
エネルギーの制御やプラズマ密度の均一性を向上を目的
として行われるのではなく、処理チャンバの内壁部に設
けられたSi系材料層とECRプラズマの接触状態を変
化させるために行われるのである。
【0018】本願の第1の発明は、上述の磁場配位の制
御を補助磁場形成手段の操作により行うものである。E
CRプラズマは、磁場中で円運動を行っている電子がそ
のサイクロトロン角周波数に一致するマイクロ波エネル
ギーを共鳴的に吸収した場合に生成するプラズマであ
る。したがって、ECRプラズマ装置は、言うまでもな
くプラズマ生成用の磁場形成手段(前述の主コイルに相
当する。)を備えている。上記補助磁場形成手段はこの
磁場形成手段とは別個に設けられるものであり、プラズ
マ生成には直接関与はしないが、プラズマの閉じ込め状
態を制御する。本発明では、処理チャンバの内壁部の軸
方向の一部をシリコン系材料層で被覆しておき、この被
覆部位にほぼ対応する部位に適当な補助磁場形成手段を
設置してこれを操作する。荷電粒子の集合体であるプラ
ズマは、磁束に直交する方向には拡散しにくいという性
質を有している。したがって、上記の補助磁場形成手段
がチャンバ内壁面に一部沿った磁束を形成し得るもので
あれば、その磁束が存在する間はECRプラズマとチャ
ンバ内壁面を被覆するシリコン系材料層との接触面積が
減少し、磁束が消滅すれば接触面積は増大する。このE
CRプラズマ中にハロゲン・ラジカルが含まれていれ
ば、上記の接触面積にほぼ比例してハロゲン・ラジカル
が消費される。本発明を前述のようなS堆積プロセスに
適用すれば、エッチング反応系のS/X比を容易に変化
させることができるわけである。
【0019】本願の第2の発明は、上記の補助磁場形成
手段をより具体的に規定するものであり、複数の永久磁
石を使用する。これらの永久磁石は、前記処理チャンバ
の周方向に沿って略等間隔に配置され、かつ該処理チャ
ンバの半径方向に沿って交互に逆極性となるように着磁
されており、交互多極磁場リングを構成している。かか
る磁石の配置により形成される磁場配位は、マルチカス
プ磁場として知られており、この磁場中では処理チャン
バの内壁面近傍におけるECRプラズマの拡散が制限を
受ける。したがって、ECRプラズマとチャンバ内壁面
のシリコン系材料層との接触面積を減少させたい場合に
は、この交互多極磁場リングを該シリコン系材料層によ
る被覆部位をほぼ周回する位置に置けば良い。逆に、接
触面積を増大させたい場合には、交互多極磁場リングを
上記被覆部位とは重ならない位置に移動させれば良い。
【0020】本願の第3の発明は、第2の発明と同様、
マルチカスプ磁場を利用するものであるが、永久磁石の
代わりにコイルを使用し、磁場形成を電流のON/OF
Fにより制御可能としたものである。つまり、ECRプ
ラズマとチャンバ内壁面のシリコン系材料層との接触面
積を減少させたい場合にはコイルに通電して励磁し、増
大させたい場合には通電を停止すれば良いのである。し
たがって、永久磁石を使用する場合のように交互多極磁
場リングを処理チャンバの軸方向に移動させる必要がな
い。
【0021】なお、ECRプラズマ装置において、EC
Rプラズマの形成に用いられる磁場形成手段(主コイ
ル)の下流側にマルチカスプ磁場を形成してプラズマを
閉じ込める技術は、既に特開昭63−244600号公
報等において知られるところである。一般にECRプラ
ズマ装置内では、処理チャンバの軸方向に沿った強力な
平行磁場が主コイルによって形成されており、半径方向
への荷電粒子の拡散が制限されている。しかも、プラズ
マ発生部へ入力されるマイクロ波のエネルギー分布は一
般には一様でないので、これによってもプラズマ密度に
分布が生じてしまう。したがって、プラズマ発生部にお
けるプラズマ密度の不均一性は、ECRプラズマがある
程度輸送された後でも緩和されにくく、エッチングの不
均一性をもたらすという問題があった。上記公報に記載
される技術は、この問題を解決し、ECRプラズマの均
一性を向上させるものである。
【0022】これに対し今回の発明は、エッチング反応
系のラジカル量の制御を主眼とするものであるが、上記
公報に記載される技術と同様の原理にもとづき、マルチ
カスプ磁場が存在する間はECRプラズマの均一性を向
上させることができる。
【0023】本願の第4の発明では、上記の3発明のよ
うに補助磁場形成手段を用いてプラズマの閉じ込め状態
を変化させるのではなく、ECRプラズマ形成用のコイ
ルそのものを用いて磁場勾配を変化させることにより、
処理チャンバ内壁面のシリコン系材料層と接触するEC
Rプラズマの密度を変化させる。ここで、上記コイルは
複数個設けられており、処理チャンバの軸方向に沿って
同極性となるように励磁されている。これらのコイルに
よりプラズマ発生部に形成される磁場は平行磁場である
が、コイル相互間の離間距離が小さければ処理チャンバ
の内壁面近傍の磁場勾配は急峻となり、逆に大きければ
緩やかとなる。磁場勾配が緩やかになれば、荷電粒子の
拡散が促進され、プラズマ密度の均一性を高めることが
できる。換言すれば、処理チャンバの内壁面近傍におけ
るプラズマ密度を高めることができる。これは、前述の
ようにマイクロ波のエネルギー分布に一定の幅があるの
で、磁場勾配が緩やかである方が、このエネルギーの変
動範囲に適合してECR条件を満足できる処理チャンバ
内の領域が広くなるからである。
【0024】したがって、シリコン系材料層によりEC
Rプラズマ中のハロゲン・ラジカルの消費量を増大させ
たい場合には、コイル相互間の離間距離を大として内壁
面近傍のプラズマ密度を高めれば良い。逆に、ハロゲン
・ラジカルの消費量を減少させたい場合には、離間距離
を小とすれば良い。
【0025】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0026】実施例1 本実施例は、本願の第2の発明の発明を多結晶シリコン
・ゲート電極加工に適用し、S2 2 をエッチング・ガ
スとして用いて多結晶シリコン層をエッチングする際の
ジャストエッチング時とオーバーエッチング時とで、処
理チャンバの内壁面に配設されたアモルファス・シリコ
ン・カバーとECRプラズマとの接触面積を永久磁石に
より変化させた例である。
【0027】まず、実際のエッチング・プロセスの説明
を行う前に、本発明を実施するにあたり使用した有磁場
マイクロ波プラズマ・エッチング装置の構成例、および
その使用方法について説明する。上記装置の概略的な構
成を図1に示す。この装置は、2.45GHzのマイク
ロ波を発生するマグネトロン1、上記マグネトロン1に
図示されない整合器,マイクロ波電力計,アイソレータ
等を介して接続され、上記マイクロ波を導く矩形導波管
2、上記矩形導波管2に石英ガラス板等からなるマイク
ロ波導入窓3を介して接続され、放電により内部にEC
RプラズマPを生成させるための処理チャンバ4、この
処理チャンバ4内に設置されウェハ10を載置するため
のウェハ載置電極8、上記処理チャンバ4を周回し、E
CR条件を満足すべく8.75×10-2T(875G)
の磁束密度を達成可能なソレノイド・コイル7等を基本
的な構成要素とする。
【0028】上記処理チャンバ4の上方にはガス供給管
5が開口され、処理に必要なガスが矢印A方向からチャ
ンバ内へ供給されるようになされている。また、処理チ
ャンバ4の底面側には排気孔6が開口され、図示されな
い真空系統によりチャンバ内部が矢印B方向に高真空排
気されるようになされている。上記ウェハ載置電極8に
は、RFバイアスを印加するためのRF電源12が、直
流成分を遮断するためのブロッキング・コンデンサ11
等を介して接続されている。また、ウェハ載置電極8の
内部には、低温エッチングに対応するための冷却配管9
が埋設されている。この冷却配管9に、装置外部に接続
される図示されないチラー等の冷却設備から適当な冷媒
を供給して矢印C1 ,C2 方向に循環させることによ
り、エッチング中のウェハ温度を所定の温度に維持する
わけである。
【0029】本発明では、上記の構成に加えて、装置に
特に次のような2点の工夫を施した。その第一は、処理
チャンバ4の内壁面のうち、Y−Y線で示される軸方向
に沿ってソレノイド・コイル7の周回位置よりやや下方
側の一部、すなわちECRポジションより下流側の一部
を、Si系材料層で被覆した点である。このSi系材料
層の具体例として、ここでは帯状のアモルファス・シリ
コン・カバー13を使用した。ただし、このアモルファ
ス・シリコン・カバー13は、処理チャンバ4の内壁部
を必ずしも連続的に周回している必要はなく、たとえば
ブロック状の固体を内壁部に貼り付けた構成を有するも
のであっても良い。さらに、他のSi系材料層として、
適当な形状に加工されたシリコン・カーバイド材、単結
晶シリコンからなるダミー・ウェハ、処理チャンバ4の
内壁面にCVD法等により直接成膜された多結晶シリコ
ン層等を使用することもできる。
【0030】第二の工夫とは、上記処理チャンバ4の外
周部に、補助磁場形成手段を配設した点である。この補
助磁場形成手段は、処理チャンバ4の周方向に沿って略
等間隔に配置された複数の永久磁石14から構成されて
いる。各永久磁石14は、図示されない駆動手段に一体
的に接続され、処理チャンバ4の軸方向(Y−Y線方
向)に沿って位置Eと位置Fとの間を矢印D方向に昇降
可能とされている。ここで、位置Eとは、図1(a)に
示されるように上記アモルファス・シリコン・カバー1
3の配設位置と重なる位置であり、位置Fとは、図1
(b)に示されるように重ならない位置である。
【0031】ここで、上記永久磁石14の配設状態をよ
りわかり易く示すために、X−X線断面図を図2に示
す。図2(a)は、永久磁石14が位置Eにある場合、
図2(b)は、位置Fにある場合をそれぞれ表してい
る。図2(a)に示される例では、8個の永久磁石14
が処理チャンバ4の周方向に沿って等間隔に配置されて
おり、隣合う永久磁石14同士は、互いに処理チャンバ
4の半径方向に沿って逆極性とされている。かかる配置
によれば、ある磁石のN極から両隣の磁石のS極へ向か
う磁力線により星型のマルチカスプ磁場が形成され、E
CRプラズマPはこの内側へ閉じ込められる。
【0032】ここで、位置Eにおいてマルチカスプ磁場
が形成された場合には、処理チャンバ4の内壁面方向へ
のプラズマの拡散が抑制されるために、アモルファス・
シリコン・カバー13とECRプラズマPとの接触面積
が減少する。したがって、ECRプラズマP中のハロゲ
ン・ラジカルの消費量は少なくなる。一方、位置Fにお
いてマルチカスプ磁場が形成された場合には、位置Eに
おける処理チャンバ4の内壁面方向へのプラズマの拡散
は何ら阻害されないため、アモルファス・シリコン・カ
バー13とECRプラスマPとの接触面積が増大する。
したがって、ECRプラズマP中のハロゲン・ラジカル
の消費量が増大する。
【0033】なお、このマルチカスプ磁場は、ソレノイ
ド・コイル7により形成されるウェハ10付近の発散磁
界を収束させて、プラズマ密度を均一化することにも寄
与している。
【0034】以下、上述の有磁場マイクロ波プラズマ・
エッチング装置を使用して実際にゲート電極加工を行っ
た例について、図3を参照しながら説明する。本実施例
でエッチング・サンプルとして使用したウェハ10は、
図3(a)に示されるように、単結晶シリコン基板21
上にSiO2 からなるゲート酸化膜22を介してn+
不純物を含有する多結晶シリコン層23が形成され、さ
らに所定の形状にパターニングされたレジスト・マスク
24が形成されてなるものである。
【0035】このウェハ10を上述の有磁場マイクロ波
プラズマ・エッチング装置のウェハ載置電極8上にセッ
トし、ガス供給管5からS2 2 を導入し、冷却配管1
2にはエタノール冷媒を循環させた。また、永久磁石1
4は位置E〔図1(a)参照。〕にセットした。この状
態で、一例として下記の条件により上記多結晶シリコン
層23をジャストエッチングした。
【0036】 S2 2 流量 5SCCM ガス圧 1.3Pa(10mTorr) マイクロ波パワー 850W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 30W(2MHz) ウェハ温度 −40℃ このジャストエッチング工程では、放電解離条件下でS
2 2 からECRプラズマPに生成するF* によりラジ
カル反応が進行する。このときのECRプラズマP中の
+ ,SF+ 等のイオンは、ソレノイド・コイル7が形
成する発散磁場に沿って下降すると共に、ウェハ10の
近傍では前述の図2(a)に示されるように永久磁石1
4の形成するマルチカスプ磁場により半径方向への拡散
を阻止されるので、ウェハ10にほぼ垂直に入射して異
方性加工をアシストする。しかも、このマルチカスプ磁
場によりアモルファス・シリコン・カバー13とECR
プラズマPとの接触面積が少なくなっているので、EC
RプラズマP中のF* はほとんど消費されない。したが
って、高速異方性加工が可能となる。一方、S2 2
ら放出されるSはパターン側壁部に堆積し、図3(b)
に示されるような側壁保護膜25を形成した。
【0037】この結果、異方性形状に優れた多結晶シリ
コン・ゲート電極23aが形成された。このジャストエ
ッチングは、ゲート酸化膜22の表面がほぼ露出した時
点で終了したが、ウェハ10上には多結晶シリコン層2
3の残渣23bが若干残存していた。
【0038】そこで、この残渣23bを除去するため、
永久磁石14を位置F〔図1(b)参照。〕に移動させ
た他は上記と同じ条件でオーバーエッチングを行った。
このオーバーエッチング工程では、ウェハ10近傍のマ
ルチカスプ磁場が消滅し、前述の図2(b)に示される
ようにアモルファス・シリコン・カバー13とECRプ
ラズマPとが全面的に接触した。これにより、ECRプ
ラズマP中のF* がフッ化シリコンの形成に消費され、
エッチング反応系の見掛け上のS/F比が増大し、Sの
堆積が促進された。この結果、図3(c)に示されるよ
うに、残渣23bが除去された後でも多結晶シリコン・
ゲート電極23aの異方性形状が良好に維持された。こ
のとき、下地のゲート酸化膜22に対する選択比も20
以上に向上させることができた。
【0039】従来、かかるゲート電極加工におけるオー
バーエッチング工程では、異方性の低下が大きな問題と
なっていた。それは、オーバーエッチング時にはエッチ
ングすべき材料層が極端に少なくなるために、大過剰と
なったF* が側方マイグレーションを起こし、側壁保護
膜を除去したり、パターンの側壁部を攻撃するからであ
る。また、原子間結合エネルギーの大小関係がSi−F
結合>Si−O結合であることからも直観的に理解され
るように、F* が過剰となれば下地のゲート酸化膜に対
する選択性も低下し易い。
【0040】しかし、本発明によれば、磁場配位により
ウェハ近傍のECRプラズマPの閉じ込め状態を変化さ
せてF* の消費量を制御することにより、これらの問題
が一挙に解決できるのである。
【0041】Sからなる側壁保護膜25は、エッチング
終了後にウェハ10をおおよそ90℃以上に加熱するこ
とにより、容易に昇華除去することができた。たとえS
が何らかの形で微量に残存したとしても、続いてレジス
ト・マスク24を除去するためのアッシングが行われる
際に燃焼除去される。したがって、S堆積プロセスは何
らパーティクル汚染を惹起させる虞れがない。最終的に
は、図3(d)に示されるように、良好な異方性形状を
有する多結晶シリコン・ゲート電極23aを形成するこ
とができた。
【0042】実施例2 本実施例は、本願の第3の発明をポリサイド・ゲート電
極加工に適用し、S2 2 をエッチング・ガスとして用
いてポリサイド膜をエッチングするにあたり、上層側の
WSix (タングステン・シリサイド)層のエッチング
時と下層側の多結晶シリコン層のエッチング時とで、ア
モルファス・シリコン・カバーとECRプラズマとの接
触面積を補助コイルにより変化させた例である。
【0043】本実施例で使用した有磁場マイクロ波プラ
ズマ・エッチング装置の構成は、実施例1で使用した永
久磁石14に代えて、補助コイル17を配設してなるも
のである。この場合のX−X線断面図を図4に示す。図
4(a)は、位置Eにおいて補助コイル17が励磁され
た場合、図4(b)は励磁されていない場合をそれぞれ
表している。
【0044】図4(a)に示される例では、8個の補助
コイル17が処理チャンバ4の周方向に沿って等間隔に
配置されている。各補助コイル17は、磁心15とそれ
に巻回される導線16から構成され、隣合う補助コイル
17同士は導線16への通電方向を逆方向とすることに
より、互いに逆極性となるように励磁されている。マル
チカスプ磁場の形成およびこれによるECRプラズマP
の閉じ込め状態は、永久磁石14を用いた場合とほぼ同
様である。
【0045】ただし、補助コイル17を使用する場合、
導線16への通電を停止すればマルチカスプ磁場は消滅
するので、図4(b)に示されるように、該補助コイル
17を位置Eに置いたままでもアモルファス・シリコン
・カバー13とECRプラズマPの接触面積を変化させ
ることができる。
【0046】次に、この有磁場マイクロ波プラズマ・エ
ッチング装置を使用して実際にゲート電極加工を行った
例について、図5を参照しながら説明する。本実施例で
エッチング・サンプルとして使用したウェハ10は、図
5(a)に示されるように、単結晶シリコン基板31上
にSiO2 からなる薄いゲート酸化膜32、およびn+
型不純物を含有する多結晶シリコン層23とWSix
24とからなるポリサイド膜25が順次積層され、さら
に所定の形状にパターニングされたレジスト・マスク2
6が形成されてなるものである。
【0047】このウェハ10を上述の有磁場マイクロ波
プラズマ・エッチング装置のウェハ載置電極8上にセッ
トし、位置E〔図1(a)参照。〕にて補助コイル17
を励磁した。この状態で、一例として下記の条件により
上記WSix 層34をエッチングした。 S2 2 流量 5SCCM ガス圧 1.3Pa(10mTorr) マイクロ波パワー 850W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 20W(2MHz) ウェハ温度 0℃ このエッチング工程では、S2 2 から生成するF*
よるラジカル反応が、S+ ,SF+ 等のイオン・エネル
ギーにアシストされる機構でエッチングが進行した。こ
のとき、励磁された補助コイル17が形成するマルチカ
スプ磁場により、ECRプラズマPとアモルファス・シ
リコン・カバー13の接触面積が少なくなっているの
で、ECRプラズマP中のF* はほとんど消費されず、
エッチング反応生成物の蒸気圧が比較的低いWSix
34のエッチングを速やかに行うことができた。一方、
2 2 から生成するSがパターン側壁面に堆積し、図
5(b)に示されるような側壁保護膜27が形成される
結果、異方性形状を有するWSix パターン34aが形
成された。
【0048】なお、上記WSix 層34のエッチング終
点は、以前に本発明者を含むグループがたとえば月刊セ
ミコンダクターワールド1990年7月号80〜84ペ
ージに報告したように、発光スペクトルをモニタするこ
とにより判定した。すなわち、450〜650nmの広
い波長域における全体的な発光強度の減少、もしくは5
05nmにおける発光ピーク強度の急激な減少をもって
判定した。
【0049】次に、上記補助コイル17の励磁を停止し
た他は同じ条件により、多結晶シリコン層33をエッチ
ングした。このエッチング工程では、ウェハ10近傍の
マルチカスプ磁場が消滅し、前述の図4(b)に示され
るようにアモルファス・シリコン・カバー13とECR
プラズマPとが全面的に接触した。これにより、F*
消費されてエッチング反応系の見掛け上のS/F比が増
大し、Sの堆積が促進された。この結果、図5(c)に
示されるように異方性形状を有する多結晶シリコン・パ
ターン33aが形成され、全体として良好な異方性形状
を有するポリサイド・ゲート電極35aが得られた。ゲ
ート酸化膜32に対する選択比も、20以上と良好であ
った。
【0050】ところで、ポリサイド膜のエッチングにお
いては、従来からエッチング特性の異なるWSix 層と
多結晶シリコン層の双方に対していかに最適なエッチン
グ条件を設定するかが大きな課題とされてきた。これ
は、WSix 層よりも多結晶シリコン層の方が、エッチ
ング反応により生成するハロゲン化合物の蒸気圧が高い
ことに起因している。したがって、双方を同じ条件でエ
ッチングしたり、あるいはオーバーエッチングを行う
と、下層側の多結晶シリコン層に逆テーパ化やアンダカ
ット等の形状異常が生じ易かった。
【0051】しかし、本実施例によれば、補助コイル1
7のON/OFF制御という極めて簡単な手法によりエ
ッチング反応系のS/F比を容易に変化させることがで
き、他のエッチング条件の変更を何ら必要としない。
【0052】Sからなる側壁保護膜37は、エッチング
終了後にウェハ10をおおよそ90℃以上に加熱するこ
とにより、容易に昇華除去することができた。続いてレ
ジスト・マスク24を除去し、最終的には図5(d)に
示されるように、良好な異方性形状を有するポリサイド
・ゲート電極35aを形成することができた。
【0053】実施例3 本実施例は、本願の第4の発明を多結晶シリコン・ゲー
ト電極加工に適用し、S2 2 をエッチング・ガスとし
て用いて多結晶シリコン層をエッチングする際のジャス
トエッチング時とオーバーエッチング時とで磁場勾配を
変化させることにより、アモルファス・シリコン・カバ
ーと接触するECRプラズマの密度を変化させた例であ
る。
【0054】まず、実際のエッチング・プロセスの説明
に先立ち、本実施例で使用したRFバイアス印加型の有
磁場マイクロ波プラズマ・エッチング装置の構成例につ
いて、図6を参照しながら説明する。なお、図6の参照
符号の一部は、図1と共通である。この装置が前述の図
1の装置と異なる点は、補助磁場形成手段が設けられて
おらず、単一のソレノイド・コイル7の代わりにユニッ
ト化されたソレノイド・コイル7a,7bが配設され、
さらにアモルファス・シリコン・カバー13がこのソレ
ノイド・コイル7a,7bに周回される範囲内、すなわ
ちECRポジションを含む領域に形成されている点であ
る。上記ソレノイド・コイル7a,7bはそれぞれ図示
されない駆動手段に接続されることにより、処理チャン
バ4の軸方向(Y−Y線方向)に沿って位置Hと位置I
との間を矢印G方向に移動可能とされている。ここで、
位置Hとは、図6(a)に示されるようにソレノイド・
コイル7a,7bが相互に近接する位置であり、位置I
とは、図6(b)に示されるように相互に離間した位置
である。
【0055】ソレノイド・コイル7a,7bは、処理チ
ャンバ4の軸方向(Y−Y線方向)に沿って同極性に励
磁されているので、これらのコイルによりプラズマ発生
部に形成される磁場は平行磁場であるが、コイル相互間
の離間距離により処理チャンバ4の内壁面近傍における
磁場勾配が変化する。すなわち、図6(a)に示される
ようにソレノイド・コイル7a,7bが相互に近接して
いる場合には、等磁場面18の存在状態からも明らかな
ように内壁面近傍における磁場勾配が高い。したがっ
て、ECRプラズマPの密度は処理チャンバ4の中心部
付近で高く、アモルファス・シリコン・カバー13の近
傍では低い。したがって、ハロゲン・ラジカルの消費量
は少なく、エッチング反応系のS/X比は相対的に低く
なる。
【0056】逆に、図6(b)に示されるようにソレノ
イド・コイル7a,7bが相互に離間している場合に
は、内壁面近傍における磁場勾配が低い。したがって、
ECRプラズマPの内壁面方向への拡散が促進され、ア
モルファス・シリコン・カバー13の近傍におけるプラ
ズマ密度が高くなる。したがって、ハロゲン・ラジカル
の消費量が増大し、エッチング反応系のS/X比を相対
的に高めることができる。
【0057】以下、この有磁場マイクロ波プラズマ・エ
ッチング装置を使用して実際にゲート電極加工を行った
例について説明する。まず、前述の図3(a)に示した
ものと同じウェハ10を上記の装置にセットし、ソレノ
イド・コイル7a,7bを図6(a)に示されるように
位置Hにセットした。この状態で、実施例1と同じ条件
により多結晶シリコン層23をジャストエッチングし
た。
【0058】この工程におけるエッチング機構は、ほぼ
実施例1で前述したとおりである。ただし、ここではア
モルファス・シリコン・カバー13の近傍におけるEC
RプラズマPの密度が低くなっているため、F* はほと
んど消費されない。したがって、図3(b)に示される
ような異方性形状を有する多結晶シリコン・ゲート電極
23aが高速に形成された。
【0059】続いて、ソレノイド・コイル7a,7bを
図6(b)に示されるように位置Iにセットした他は同
じ条件で、オーバーエッチングを行った。この工程で
は、アモルファス・シリコン・カバー13の近傍におけ
るECRプラズマPの密度が高くなるため、F* の消費
量が増え、相対的にSが堆積し易い条件となった。この
ため、図3(c)に示されるように、残渣23bを完全
に除去した後でも、多結晶シリコン・ゲート電極23a
の異方性形状を良好に維持することができた。
【0060】実施例4 本実施例は、本願の第4の発明をポリサイド・ゲート電
極加工に適用し、S2 2 /SF6 混合ガスを用いてポ
リサイド膜をエッチングするにあたり、WSix 層のエ
ッチング時と多結晶シリコン層のエッチング時とで磁場
勾配を変化させることにより、アモルファス・シリコン
・カバーと接触するECRプラズマの密度を変化させた
例である。
【0061】まず、前述の図5(a)に示したものと同
じウェハ10を上記の装置にセットし、ソレノイド・コ
イル7a,7bを図6(a)に示されるように位置Hに
セットした。この状態で、一例として下記の条件により
WSix 層34をエッチングした。 S2 2 流量 5SCCM SF6 流量 5SCCM ガス圧 1.3Pa(10mTorr) マイクロ波パワー 850W(2.45GHz) RFバイアス・パワー 30W(2MHz) ウェハ温度 −60℃ この工程におけるエッチングの機構は、ほぼ実施例2で
前述したとおりである。ただし、本実施例ではエッチン
グを高速化することを意図してF* の生成効率に優れる
SF6 を使用したので、これに伴う異方性の低下を防止
するためにウェハ温度を実施例2よりも下げている。上
記エッチングにより、図5(b)に示されるように、異
方性形状を有するWSix パターン34aが形成され
た。
【0062】続いて、ソレノイド・コイル7a,7bを
図6(b)に示されるように位置Iにセットした他は、
同じ条件で多結晶シリコン層33をエッチングした。こ
の工程では、内壁部近傍におけるECRプラズマPの密
度が上昇することによりアモルファス・シリコン・カバ
ー13により大量のF* が消費され、Sの堆積による側
壁保護膜37の形成が促進された。この結果、図6
(c)に示されるように、全体として良好な異方性形状
を有するポリサイド・ゲート電極35aが形成された。
【0063】以上、本発明を4つの実施例にもとづいて
説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定される
ものではなく、エッチング・ガスの組成、ウェハの構
成、エッチング装置の種類、エッチング条件等は適宜変
更可能である。
【0064】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明ではECRプラズマ装置の処理チャンバの内壁面の一
部に設けられたSi系材料層とECRプラズマPとの接
触面積、またはSi系材料層と接触するECRプラズマ
Pの密度を磁場配位により変化させ、これによりECR
プラズマP中のハロゲン・ラジカル量を制御する。気相
中からの堆積物を側壁保護に利用するエッチング・プロ
セスに適用すれば、ラジカルと堆積物の生成量とのバラ
ンスを容易に制御できる。したがって、ジャスト・エッ
チング時とオーバーエッチング時、あるいはポリサイド
・ゲート電極加工における高融点金属シリサイド層のエ
ッチング時と多結晶シリコン層のエッチング時のよう
に、エッチング・プロセスの途中でラジカル生成量を低
減させる必要がある場合等において、下地選択性を改善
でき、また異方性形状の劣化を防止することができる。
しかも、本発明ではエッチング・プロセスの途中におけ
るガス組成の変更や、処理チャンバ内への可動部材の設
置等を必要としないため、スループットを低下させずに
再現性の高い異方性エッチングを行うことが可能とな
る。
【0065】本発明は微細なデザイン・ルールにもとづ
いて設計され、高集積度、高性能、高信頼性を要求され
る半導体装置の製造において特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のドライエッチング方法を実施するため
に使用されるRFバイアス印加型有磁場マイクロ波プラ
ズマ・エッチング装置の一構成例、およびその使用状態
を示す概略断面図であり、(a)は永久磁石をアモルフ
ァス・シリコン・カバーと重なる位置に配設した状態、
(b)は重ならない位置に配設した状態をそれぞれ表
す。
【図2】図1の有磁場マイクロ波プラズマ・エッチング
装置のX−X線断面図であり、(a)は永久磁石をアモ
ルファス・シリコン・カバーと重なる位置に配設して該
アモルファス・シリコン・カバー近傍にマルチカスプ磁
場を形成した状態、(b)は重ならない位置に配設して
マルチカスプ磁場を消滅させた状態をそれぞれ表す。
【図3】本発明を多結晶シリコン・ゲート電極加工に適
用したプロセス例をその工程順にしたがって示す概略断
面図であり、(a)は多結晶シリコン層の上にレジスト
・マスクが形成された状態、(b)は側壁保護膜の形成
を伴いながら多結晶シリコン層がジャストエッチングさ
れた状態、(c)はオーバーエッチングにより多結晶シ
リコン層の残渣が除去された状態、(d)は側壁保護膜
とレジスト・マスクとが除去された状態をそれぞれ表
す。
【図4】本発明のドライエッチング方法を実施するため
に使用されるRFバイアス印加型有磁場マイクロ波プラ
ズマ・エッチング装置の他の構成例のX─X断面図であ
り、(a)は補助コイルを励磁してアモルファス・シリ
コン・カバー近傍にマルチカスプ磁場を形成した状態、
(b)は励磁を停止してマルチカスプ磁場を消滅させた
状態をそれぞれ表す。
【図5】本発明をポリサイド・ゲート電極加工に適用し
たプロセス例をその工程順にしたがって示す概略断面図
であり、(a)はポリサイド膜の上にレジスト・マスク
が形成された状態、(b)は側壁保護膜の形成を伴いな
がらWSix 層がエッチングされた状態、(c)は多結
晶シリコン層がエッチングされた状態、(d)は側壁保
護膜とレジスト・マスクとが除去された状態をそれぞれ
表す。
【図6】本発明のドライエッチング方法を実施するため
に使用されるRFバイアス印加型有磁場マイクロ波プラ
ズマ・エッチング装置のさらに他の構成例、およびその
使用状態を示す概略断面図であり、(a)はソレノイド
・コイルを近接配置してアモルファス・シリコン・カバ
ー近傍の磁束密度を高めた状態、(b)は離間させて磁
束密度を低下させた状態をそれぞれ表す。
【符号の説明】
4 ・・・処理チャンバ 7,7a,7b・・・ソレノイド・コイル 8 ・・・ウェハ載置電極 10 ・・・ウェハ 13 ・・・アモルファス・シリコン・カバー 14 ・・・永久磁石 17 ・・・補助コイル 18 ・・・等磁場面 P ・・・ECRプラズマ 21,31 ・・・単結晶シリコン基板 22,32 ・・・ゲート酸化膜 23,33 ・・・多結晶シリコン層 23b ・・・(多結晶シリコン層の)残渣 24,36 ・・・レジスト・マスク 25,37 ・・・側壁保護膜 23a,35a・・・ゲート電極 34 ・・・WSix 層 35 ・・・ポリサイド膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理チャンバの内壁面の軸方向の少なく
    とも一部がシリコン系材料層により被覆されてなり、か
    つこのシリコン系材料層の被覆部位に対峙するごとく該
    処理チャンバの外周部に補助磁場形成手段が配設されて
    なるECRプラズマ装置を使用し、前記補助磁場形成手
    段の操作によりECRプラズマと前記シリコン系材料層
    との接触面積を変化させながら被エッチング基板上のシ
    リコン系材料層をエッチングすることを特徴とするドラ
    イエッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記補助磁場形成手段が、前記処理チャ
    ンバの周方向に沿って略等間隔に配置されかつ該処理チ
    ャンバの半径方向に沿って交互に逆極性となるように着
    磁された複数の永久磁石から構成されてなり、前記接触
    面積の変化はこの補助磁場形成手段を前記処理チャンバ
    の軸方向に沿って移動させることにより達成することを
    特徴とする請求項1記載のドライエッチング方法。
  3. 【請求項3】 前記補助磁場形成手段が、前記処理チャ
    ンバの周方向に沿って略等間隔に配置されかつ該処理チ
    ャンバの半径方向に沿って交互に逆極性となるように励
    磁された複数のコイルから構成されてなり、前記接触面
    積の変化はこの補助磁場形成手段に印加する電流を制御
    することにより達成することを特徴とする請求項1記載
    のドライエッチング方法。
  4. 【請求項4】 処理チャンバの内壁面の軸方向の少なく
    とも一部がシリコン系材料層により被覆されてなり、か
    つこのシリコン系材料層の被覆部位に対峙して該処理チ
    ャンバの外周部を周回するごとく配設され、前記軸方向
    に沿って各々同極性となるように励磁された複数のコイ
    ルを備えてなるECRプラズマ装置を使用し、前記複数
    のコイル相互間の離間距離を前記軸方向に沿って変化さ
    せることにより前記シリコン系材料層の近傍におけるE
    CRプラズマの密度を変化させながら被エッチング基板
    上のシリコン系材料層をエッチングすることを特徴とす
    るドライエッチング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015145486A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 国立大学法人東北大学 プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015145486A1 (ja) * 2014-03-28 2015-10-01 国立大学法人東北大学 プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
JP5909807B2 (ja) * 2014-03-28 2016-04-27 国立大学法人東北大学 プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

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