JPH05195143A - 延性,耐食性に優る高張力熱延鋼板と製造法 - Google Patents
延性,耐食性に優る高張力熱延鋼板と製造法Info
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- JPH05195143A JPH05195143A JP2729792A JP2729792A JPH05195143A JP H05195143 A JPH05195143 A JP H05195143A JP 2729792 A JP2729792 A JP 2729792A JP 2729792 A JP2729792 A JP 2729792A JP H05195143 A JPH05195143 A JP H05195143A
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Abstract
観も良好で、かつC量の大きな変化なしに強度レベル調
整を行える高張力熱延鋼板を安定して提供する。 【構成】 熱延鋼板を、C:0.05〜 0.3%,Si:2.0%以
下,Mn:0.05〜 4.0%,P:0.1%以下,S:0.1%以下,
Cr:0.5〜 5.0%,Al:0.1〜 2.0%,N:0.01%以下で、
かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0≧ Mn(%)+Cr(%) ≧
1.0 を満足し、残部がFe及び不可避的不純物から成る
組成であって、しかも体積率で5%以上の残留オ−ステ
ナイトを含んだ組織を有して成る構成とする。また、上
記成分組成の鋼片を熱間圧延し、Ar3点以上で仕上げ熱
延した後、10〜100℃/sの冷却速度で350〜55
0℃まで冷却して巻取るか、或いは前記仕上げ熱延後に
10℃/s以上の冷却速度で600〜700℃の温度域ま
で冷却してから2〜10秒間空冷し、更に20℃/s以上
の冷却速度で300〜550℃まで冷却して巻取る。
Description
工等により様々な形状に成形される構造部材として好適
な、延性及び耐食性の優れた高張力熱延鋼板並びにその
製造方法に関する。
る所謂“熱延鋼板”は、比較的安価な構造材料として自
動車を始めとする各種の産業機器類に広く適用されるよ
うになったが、近年、これら機械・装置類には更なる高
性能化は勿論のこと、これと共に軽量化に対する要望が
急速に高まってきている。そのため、軽量化を推進すべ
く素材となる鋼板の高強度化技術が数多く開発されてき
たが、一般に鋼板の高強度化は延性の劣化を伴うので良
好な加工性と高強度を兼ね備えた鋼板の製造は非常に困
難であった。
低炭素鋼板を熱間圧延した後、 オ−ステナイトを一部べ
イナイトに変態させ最終的に〔フェライト+ベイナイト
+残留オ−ステナイト〕から成る組織とした熱延鋼板(
以降“残留γ熱延鋼板”と呼ぶ)は、 加工時の変形中に
残留オ−ステナイトが歪誘起変態を起こして大きな伸び
を示す」との現象が見出されて以来、この現象を利用し
て高延性高張力熱延鋼板を製造しようとの試みもなされ
るようになった。
には、C含有量:0.35〜0.85%(以降、 成分割合を示す
%は重量%とする)の鋼をオ−ステナイト域から380
〜480℃の温度域まで急冷して恒温保持することでオ
−ステナイトの大半をベイナイトに変態させ、これによ
って高延性・高強度を有した残留γ熱延鋼板を得る方法
が開示されている。
を0.35〜0.85%と高目に調整する必要があることから得
られる鋼板は溶接性の点で劣り、自動車用鋼板等として
の利用は困難であった。
鋼板(残留γ熱延鋼板)は、引張試験において良好な延
性を示したとしても実際にはプレス加工時等の成形性は
必ずしも良好とは言えず、加工用鋼板として十分に満足
できるものではないとの指摘もなされていた。例えば、
前記混合組織鋼板を加工すると、変形後期では大部分の
残留オ−ステナイトが歪誘起変態して高炭素マルテンサ
イトに変化してしまっているので局部延性が極めて悪い
状態となる。この現象は“穴拡げ”のような伸びフラン
ジ加工の場合に顕著に現れ、そのため該混合組織鋼板の
穴拡げ性は従来の低炭素鋼板のそれよりも劣った結果と
なる。これは、打ち抜きにより穴開け加工を行った際、
歪誘起変態で生成した高炭素マルテンサイトが非常に硬
質なためにクラックが生じ、このクラックがその後の穴
拡げ時に拡大・伝播するためであると考えられている。
製造技術では、強度レベルを変える場合に鋼中C濃度を
変化させる必要があるが、鋼中C濃度を低下させると最
終製品中の残留オ−ステナイトの体積率が低下すること
となり、そのため“強度の比較的低い領域で残留オ−ス
テナイトを多量に含有し高延性を示す熱延鋼板”を製造
することは困難であった。
7号公報には、低いC含有量の下で残留オ−ステナイト
を確保して高延性を得る手立てを講じたところの、高Si
含有鋼を低温オ−ステナイト域で大圧下することにより
高延性・高強度を備えた残留γ熱延鋼板を得る方法が開
示されている。
板もやはりプレス加工時等の成形性が十分であると言え
なかった。加えて、オ−ステナイト域における鋼の熱間
変形抵抗は圧延温度の低下に伴って著しく上昇するた
め、この方法では熱間圧延機に過大な負荷がかかること
になり、鋼板の板厚及び平坦度の制御が困難になるとい
う問題があった。即ち、熱延鋼板を製造するための実際
操業では「熱間圧延機に過大な負荷をかけないこと」が
大前提であり、そのため残留γ熱延鋼板を製造する上で
第1に留意しなければならないのは「熱間圧延機に過大
な負荷をかけずに安定して残留オ−ステナイトが得られ
るように成分設計を行う点」であることからして、特開
昭63−4017号公報所載の方法は実際的であると言
えないものであった。
間圧延工程のスラブ加熱時にSiO2 とFeOが共晶反応を
起こして低融点のスケ−ルが不均一に生じ、酸洗後の熱
延板の表面に凹凸が発生して外観が損なわれるとの問題
もあった。
は、一般にその耐食性が固溶強化した鋼板に比べて劣る
という問題もあった。この問題は、腐食電位の異なる複
数の組織から成る複合組織鋼板では所謂“局部電池”が
形成されやすく、これが腐食に結びつくことに起因して
生じるものと考えられる。
のは、延性を始めとする加工性に優れ、またC含有量の
大きな変化なしに強度レベル調整が行えるところの、耐
食性や外観の良好な高張力熱延鋼板を安定提供できる手
段を確立することであった。
目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、次のような
知見を得ることができた。 (A) まず、0.15%C-1.5%Mnの組成を標準組成とした
熱延板のオ−ステナイト残留量に及ぼすSi及びAlの影響
を調査したが、この調査により、 a) 上記組成の鋼では熱間圧延完了温度が高くても、ま
た熱延間圧延が完了してから巻取られるまでの冷却速度
をそれほど厳密に制御しなくても比較的容易に残留オ−
ステナイトを確保することができ、しかも添加量が同等
であれば、Si及びAlの何れを添加した鋼板においてもほ
ゞ同体積率の残留オ−ステナイトが得られる, b) Alを添加した鋼板の方が全伸びはSi添加鋼板よりも
若干小さいものの、全伸びから均一伸びを差し引いた局
部伸びは逆に大きく、穴拡げ性に関しては良好な性能を
有する, ことが明らかとなった。
テナイトが安定なため高歪域に達するまで歪誘起変態を
起こしにくく、大きな変形域に至ってから変態するため
であると考えられる。なお、このような差が生じる原因
は不明であるが、残留オ−ステナイトの分布形態が変化
するためと推測される。
l〕の含有量を変えなくても、 Si(%)とAl(%) のバラン
スを変化させることにより同じ残留オ−ステナイト体積
率のままで鋼板の引張強度を任意に変化させることが可
能である。
るための成分としてAlの積極添加を行いSi量を低減する
と熱延鋼板に平滑な表面状態を確保できるようになり、
外観劣化を招くことも無くなる。
安定化成分として知られる元素であるが、Al添加鋼板又
はSi添加鋼板に対してもMn添加及びCr添加は何れも残留
オ−ステナイト確保に好ましい効果を発揮して加工性改
善に寄与するものの、Crを添加した場合には鋼板の耐食
性が改善されるという効果も確保できるようになる。
有させて耐食性の強化を図った鋼から熱延鋼板を製造す
る場合、熱間圧延後の冷却条件や巻取り条件に工夫を凝
らすと延性に好都合な残留オ−ステナイト量の確保が一
段と容易になり、延性を始めとする加工性に優れた耐食
性高強度熱延鋼板の製造性が非常に安定化する。
されたものであり、「熱延鋼板を、 C,Si,Mn,P,
S,Cr,Al及びNの含有量が C:0.05〜 0.3%, Si: 2.0%以下, Mn:0.05
〜 4.0%, P: 0.1%以下, S: 0.1%以下, Cr:0.5
〜 5.0%, Al: 0.1〜 2.0%, N:0.01%以下 で、 かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0 ≧ Mn(%)+Cr(%) ≧ 1.0 を満足すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成る
成分組成であって、 しかも体積率にて5%以上の残留オ
−ステナイトを含んだ組織を有して成る構成とすること
により、 高強度と優れた延性,耐食性を兼備せしめた
点」を特徴としており、更には、 「C,Si,Mn,P,S,Cr,Al及びNの含有量が C:0.05〜 0.3%, Si: 2.0%以下, Mn:0.05
〜 4.0%, P: 0.1%以下, S: 0.1%以下, Cr:0.5
〜 5.0%, Al: 0.1〜 2.0%, N:0.01%以下 で、 かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0 ≧ Mn(%)+Cr(%) ≧ 1.0 を満足すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成る
成分組成の鋼片を熱間圧延し、 Ar3点以上の温度域で仕
上げ熱延を行った後、 10〜100℃/sの冷却速度で3
50〜550℃の温度域まで冷却して巻取るか、 或いは
前記仕上げ熱延後に10℃/s以上の冷却速度で600〜
700℃の温度域まで冷却してから該温度域で2〜10
秒間空冷し、 続いて20℃/s以上の冷却速度で300〜
550℃まで冷却して巻取ることにより、 体積率にて5
%以上の残留オ−ステナイトを含んでいて高強度と優れ
た延性,耐食性を兼備した高張力熱延鋼板を安定製造で
きるようにした点」をも大きな特徴とするものである。
分組成並びに鋼板の製造条件を前記の如くに限定した理
由をその作用と共に説明する。
においてオ−ステナイトを安定化するためにはオ−ステ
ナイト中にCが1%以上含有されることが必要である
が、熱延後の冷却パタ−ンを最適化すれば、鋼板中C含
有量が0.05%以上であれば十分なCがオ−ステナイト中
に濃縮される。そして、より多量のCを添加することに
より一層強度の高い熱延鋼板を製造できるが、 0.3%を
超える含有量になると鋼が硬くなり過ぎて通常の製板工
程では熱延鋼板に加工することができなくなる。従っ
て、C含有量は0.05〜 0.3%と限定したが、好ましくは
0.1〜0.2 %に調整するのが良い。更に、溶接性を考慮
すれば 0.1〜0.15%が最も好ましい。
てフェライトを析出せしめ、平衡するオ−ステナイト相
のC濃度を高める作用を有している。また、これと共に
Siはフェライトを強化する作用をも有している。しかし
ながら、 2.0%を超えてSiを含有させるとSi添加鋼板特
有の高Siスケ−ルによる表面品質の劣化が著しく生じる
ので、Si含有量は 2.0%以下と定めた。なお、Siの含有
量は同じフェライト安定化元素であるAlとの関係で制御
しなければならず、上記作用に所望の効果を得るために
は[Si(%)+Al(%)]の値が 0.5以上となるように調整する
必要がある。
るとMn含有量は同様の作用を有するCrの含有量との合計
で規制され、[Mn(%)+Cr(%)]の値が 1.0以上になるよう
に調整する必要がある。即ち、[Mn(%)+Cr(%)]の値が
1.0未満ではオ−ステナイトが安定化されない。ただ、M
n含有量が 4.0%を超えたり、[Mn(%)+Cr(%)]の値が 7.
0を超えると鋼板が硬くなりすぎて延性面で十分な性能
が得られない恐れがあるため、Mn含有量の上限は 4.0%
に抑え、かつ[Mn(%)+Cr(%)]の値は1.0 〜7.0 の範囲と
した。一方、Mnは鋼中のSをMnSとして固定し熱間脆性
を防止する作用をも有しているので、該作用に所望の効
果を確保するためには少なくとも0.05%の含有量を確保
する必要がある。なお、図1は本発明熱延鋼板に係わる
Mn及びCrの含有量範囲を図示したグラフである。
って、出来るだけ低い方が好ましい。特に、 0.1%を超
えて含有されると熱延鋼板の延性劣化が顕著化すること
から、P含有量は 0.1%以下と定めた。
って、やはり低い方が好ましい。特に、 0.1%を超えて
含有されるとMnSの析出量が目立つようになり熱延鋼板
の延性を阻害するのみならず、オ−ステナイト安定化元
素として添加されるMnを前記析出物として消費すること
から、S含有量は 0.1%以下と定めた。
した元素であるのでこの目的のために添加されるが、同
時に熱延鋼板に所望の耐食性を確保するために必須の成
分でもある。そして、Cr含有量が 0.5%未満であると熱
延鋼板に所望の耐食性を付与することができず、一方、
5.0%を超えてCrを含有させると逆にフェライトの安定
化に寄与するようになってオ−ステナイトを不安定にす
ると同時に、鋼板の酸洗が著しく困難になる。従って、
Cr含有量は 0.5〜 5.0%と定めたが、好ましくは2〜3
%程度に調整するのが良い。なお、Cr含有量は、熱延鋼
板に高延性を確保すべくMn含有量との合計において7.0
%以下に抑える必要のあることは前述した通りである。
あって、熱延後の冷却過程においてフェライトを析出せ
しめ、平衡するオ−ステナイト相のC濃度を高める作用
を有している。しかしながら、Siと比べてフェライトを
析出させる作用が強く、同時にオ−ステナイトを安定化
する作用もあり、 0.1%以上の含有量が確保されると熱
延鋼板の局部延性を向上させる効果が得られる。一方、
Al含有量が 2.0%を超えると鋼板中に介在物が多くなっ
て延性低下を招く。従って、Al含有量は 0.1〜 2.0%と
定めたが、フェライト安定化元素としての所望効果を確
保するためにはSiと共に[Si(%)+Al(%)]の値が 0.5以上
となるように調整する必要がある。なお、図2は本発明
熱延鋼板に係わるSi及びAlの含有量範囲を図示したグラ
フである。
り、その含有量は低い方が好ましい。そして、N含有量
が0.01%を超えるとAlNとして消費されるAlの量が多く
Al添加の効果が小さくなるばかりでなく、AlNによる延
性の劣化が目立つようになることから、N含有量の上限
を0.01%と定めた。
体積率に左右され、該体積率が5%未満ではオ−ステナ
イトの歪誘起変態による延性の向上を期待することがで
きない。なお、該熱延鋼板の延性は残留オ−ステナイト
の増加に伴い向上するため、残留オ−ステナイトの体積
率は好ましくは10%以上とするのが良い。
ジュ−ルで行われれば良いが、仕上げ熱延後の冷却・巻
取り条件を特定に制御することが本発明に係わる熱延鋼
板製造法の1つの大きな特徴を成している。つまり、本
発明が目的とする所望の効果を確保するためには、以下
に記載する熱延条件を満たしていなければならない。
行った後、10〜100℃/sの冷却速度にて350〜5
50℃まで冷却し巻取る条件である。この場合、10℃
/s未満の冷却速度で冷却したり550℃を超える温度で
巻取るとフェライトの体積率が多くなり過ぎるだけでな
く、オ−ステナイトがパ−ライトに変態してしまい、十
分な体積率の残留オ−ステナイトが得られない。一方、
100℃/sを超える冷却速度で冷却すると十分な体積率
でフェライトが析出しないため残留オ−ステナイト中に
Cが十分に濃縮されず、その後の冷却過程でマルテンサ
イトに変態してしまう。同様に350℃を下回る温度で
巻取ると巻取り後にベイナイト変態が生じず、残留オ−
ステナイト中にCが十分濃縮されないため、やはりオ−
ステナイトがマルテンサイトに変態してしまう。
で仕上げ熱延を行った後、10℃/s以上の冷却速度で6
00〜700℃の温度域まで冷却すると共に、該温度域
で2〜10秒間空冷し、その後更に20℃/s以上の冷却
速度で300〜550℃まで冷却して巻取る条件であ
る。空冷区間を設けることでフェライトの生成が促進さ
れるため、C濃化によるオ−ステナイトの安定化が顕著
となり延性が更に向上する。この効果を確保するには、
空冷時間を少なくとも2秒以上とする必要がある。な
お、この場合、仕上げ熱延後の冷却速度が10℃/s未満
であったり、その後に700℃を超える温度で保持(空
冷)したり、また600〜700℃間での保持(空冷)
時間が10秒を超えたり、この600〜700℃間で保
持(空冷)した後の冷却速度が20℃/s未満であった
り、或いは550℃を超える温度で巻取ると、フェライ
トの体積率が多くなり過ぎるだけでなく、オ−ステナイ
トがパ−ライトに変態してしまって十分な体積率の残留
オ−ステナイトが得られない。一方、仕上げ熱延後に6
00℃未満の温度域まで急速冷却すると、十分な体積率
でフェライトが析出しないため残留オ−ステナイト中に
Cが十分に濃縮されず、その後の冷却過程でマルテンサ
イトに変態してしまう。同様に300℃を下回る温度で
巻取ると巻取り後にベイナイト変態が生じず、残留オ−
ステナイト中にCが十分濃縮されないため、やはりオ−
ステナイトがマルテンサイトに変態してしまう。
に具体的に説明する。
分組成の鋼を溶製し、これらを熱間鍛造により60mm厚
のスラブとした。次に、該スラブを1200℃に再加熱
した後、表2及び表3に示す条件で2mm厚の熱延板を製
造した。なお、これら鋼種のAr3点は熱膨張にて測定し
たが、何れも800℃未満であった。
張試験片を採取して“機械的性質”を調べた。また、9
5mm×95mmの寸法の試験片を用い、14mmφの打抜き
穴を30mmφ円柱ポンチにより板厚貫通割れ発生まで拡
げる試験によって“打抜き穴拡げ性”も調査した。な
お、穴拡げ率は下記 (1)式にて計算した。 穴拡げ率=[(板厚貫通割れ発生時の穴径) − (元穴径)]/元穴径 …(1)
の試験片を採取し、X線反射強度より“残留オ−ステナ
イト量”の測定も行った。加えて、各熱延鋼板につき
“耐食性”の調査も実施した。耐食性は、鋼板にポリエ
ステル系樹脂塗装を施してからクロスカットを入れて3
年間の大気暴露を行い、この際にクロスカット部におい
て赤錆が発生し塗膜が剥離した部分の最大幅で評価し
た。これらの結果を表2及び表3に併せて示す。
とが分かる。即ち、本発明法に従って製造された熱延鋼
板は何れも体積率が5%以上の残留オ−ステナイトを有
し、そのため“引張強度と伸びの積”が2500を超え
る高い延性を示すと共に、“引張強度と穴拡げ率との
積”も3000を超える良好な穴拡げ性を示す。また、
耐食性にも優れる。
限値を下回る鋼を素材とした試験番号1及び22に係わる
熱延鋼板は、5%以上の残留オ−ステナイトが得られて
延性は高いものの、穴拡げ性は低い値を示している。ま
た、この鋼種を使用し、かつ熱間圧延仕上げ温度が高か
った試験番号2及び23に係わる熱延鋼板では、残留オ−
ステナイト量が著しく減少して延性も低い値しか示さな
い。
あった試験番号9及び35に係わる熱延鋼板は、加工フェ
ライトが残るために延性,穴拡げ性とも著しく低くな
る。そして、熱間圧延後における冷却速度が遅い試験番
号10,36及び39に係わる熱延鋼板、巻取り温度が高い試
験番号11及び40に係わる熱延鋼板、熱間圧延後の冷却中
における空冷開始温度が高い試験番号37に係わる熱延鋼
板、並びに空冷時間の長い試験番号38に係わる熱延鋼板
は、パ−ライト変態が進行するため良好な延性が達成さ
れるに十分な量のオ−ステナイトが残留しない。
鋼板は、マルテンサイト変態が進行して延性,穴拡げ性
が共に低い。Al添加量が本発明範囲の上限を超える試験
番号13及び41に係わる熱延鋼板は、介在物が多くなって
延性,穴拡げ性とも低下している。MnとCrの合計量が本
発明範囲の上限を超える試験番号17及び45に係わる熱延
鋼板、並びにC含有量が本発明範囲の上限を超える試験
番号21及び49に係わる熱延鋼板は、何れも引張強度が高
いため加工が困難であると共に、穴拡げ性が低い。C含
有量が本発明範囲の下限を下回る試験番号18及び46に係
わる熱延鋼板は、オ−ステナイトの安定化が不十分で残
留オ−ステナイト量が少ない。また、Cr含有量が少ない
試験番号14及び42に係わる熱延鋼板は、十分な加工性は
有するが耐食性に劣る。
と、延性に優れ、良好な穴拡げ性等の加工性を示すと同
時に、優れた耐食性をも有した高張力熱延鋼板が安定し
て得られるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされ
る。
を図示したグラフである。
を図示したグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 C,Si,Mn,P,S,Cr,Al及びNの含
有量が重量割合にて C:0.05〜 0.3%, Si: 2.0%以下, Mn:0.05
〜 4.0%, P: 0.1%以下, S: 0.1%以下, Cr: 0.5
〜 5.0%, Al: 0.1〜 2.0%, N:0.01%以下 で、かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0 ≧ Mn(%)+Cr(%) ≧ 1.0 を満足すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成る
成分組成であって、しかも体積率にて5%以上の残留オ
−ステナイトを含んだ組織を有して成ることを特徴とす
る、延性及び耐食性の優れた高張力熱延鋼板。 - 【請求項2】 C,Si,Mn,P,S,Cr,Al及びNの含
有量が重量割合にて C:0.05〜 0.3%, Si: 2.0%以下, Mn:0.05
〜 4.0%, P: 0.1%以下, S: 0.1%以下, Cr: 0.5
〜 5.0%, Al: 0.1〜 2.0%, N:0.01%以下 で、かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0 ≧ Mn(%)+Cr(%) ≧ 1.0 を満足すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成る
成分組成の鋼片を熱間圧延し、Ar3点以上の温度域で仕
上げ熱延を行った後、10〜100℃/sの冷却速度で3
50〜550℃の温度域まで冷却して巻取ることを特徴
とする、体積率にて5%以上の残留オ−ステナイトを含
む延性及び耐食性の優れた高張力熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 C,Si,Mn,P,S,Cr,Al及びNの含
有量が重量割合にて C:0.05〜 0.3%, Si: 2.0%以下, Mn:0.05
〜 4.0%, P: 0.1%以下, S: 0.1%以下, Cr: 0.5
〜 5.0%, Al: 0.1〜 2.0%, N:0.01%以下 で、かつ Si(%)+Al(%) ≧ 0.5, 7.0 ≧ Mn(%)+Cr(%) ≧ 1.0 を満足すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成る
成分組成の鋼片を熱間圧延し、Ar3点以上の温度域で仕
上げ熱延を行った後、10℃/s以上の冷却速度で600
〜700℃の温度域まで冷却してから該温度域で2〜1
0秒間空冷し、続いて20℃/s以上の冷却速度で300
〜550℃まで冷却して巻取ることを特徴とする、体積
率にて5%以上の残留オ−ステナイトを含む延性及び耐
食性の優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02729792A JP3350945B2 (ja) | 1992-01-18 | 1992-01-18 | 延性,耐食性に優る高張力熱延鋼板と製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02729792A JP3350945B2 (ja) | 1992-01-18 | 1992-01-18 | 延性,耐食性に優る高張力熱延鋼板と製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05195143A true JPH05195143A (ja) | 1993-08-03 |
JP3350945B2 JP3350945B2 (ja) | 2002-11-25 |
Family
ID=12217158
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02729792A Expired - Lifetime JP3350945B2 (ja) | 1992-01-18 | 1992-01-18 | 延性,耐食性に優る高張力熱延鋼板と製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3350945B2 (ja) |
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