JPH05195066A - 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法 - Google Patents

大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法

Info

Publication number
JPH05195066A
JPH05195066A JP4027469A JP2746992A JPH05195066A JP H05195066 A JPH05195066 A JP H05195066A JP 4027469 A JP4027469 A JP 4027469A JP 2746992 A JP2746992 A JP 2746992A JP H05195066 A JPH05195066 A JP H05195066A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
heat treatment
corner
heating
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4027469A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Nakajima
功雄 中島
Hiroshi Nakajima
拓 中島
教雄 中島
Shin Nakajima
伸 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NAKAJIMA KOKAN KK
Original Assignee
NAKAJIMA KOKAN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NAKAJIMA KOKAN KK filed Critical NAKAJIMA KOKAN KK
Priority to JP4027469A priority Critical patent/JPH05195066A/ja
Publication of JPH05195066A publication Critical patent/JPH05195066A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 既成の角形鋼管のコーナーR部を局部加熱す
ることにより、当該部分鋼材の残留応力を除去し、靭性
を改善するようにして、均一、かつ安定した材質よりな
る機械的強度の大きな大径角形鋼管を形成する熱処理工
法の提供。 【構成】 一枚厚肉鋼板または帯鋼板を冷間塑性加工に
より折り曲げ成形し、鋼板開口縁相互を突合せ溶接し
て、長手軸方向直角断面を規格どおりの角形に形成した
既成の角形鋼管コーナーR部を局部加熱し鋼材の調質を
して、その後均等に徐冷しコーナー部Rの残留応力を除
去し、靭性を改善して当該鋼材材質を鋼管平坦部材に近
付け、鋼管全体の機械的強度を向上させるようにしたこ
とを特徴とする大径角形鋼管の熱処理工法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間塑性加工により折
り曲げ、長手方向側縁継目を突合わせ溶接して形成した
既成の大径角形鋼管の熱処理工法にかかり、より詳しく
は、上記大径角形鋼管の周壁平面を、水平面に対して
略、45°傾斜させた状態を維持したまま鋼管長手方向軸
に搬送し、これを鋼管の各コーナーR部に対向して配置
した高周波加熱コイルを備えた熱処理装置に装入・搬送
し、主として鋼管コーナーR部に熱処理を施すことによ
り、冷間塑性加工に基づき生じた当該鋼材の残留応力を
軽減し、あわせて加工硬化、特に折曲げコーナーR部鋼
材の靭性の劣化を改善して、均一で高品質な厚肉大径角
形鋼管を成形する大径角形鋼管コーナーR部の熱処理工
法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨構造物の柱材(コラム)として需要
が伸びている厚肉大径角形鋼管の量産方法においては、
従来、連続成形法にしても個別成形法であっても、角形
鋼管コーナーR部成形のために平坦ないし円弧状曲面の
厚肉鋼板を冷間塑性加工により略、90゜折曲げる工程が
含まれている。厚肉鋼板を冷間で略、90゜曲げ加工をし
た場合、前記コーナーR部における鋼板断面の中立面を
境にし、鋼材内外側に引張り力または圧縮力が働きなが
ら変形が行われるため、鋼板の塑性変形が著しく進み、
変形個所、特にコーナーR部材質の機械的特性が劣化
し、脆性破壊を生じる原因をつくる。たとえば、鋼管コ
ーナーR部鋼材は、冷間折曲げ加工に基づく当該材質の
歪み硬化、靭性の低下、高い残留応力などが重なって、
冬期低温時に施す溶接加工に基づく溶接割れ、溶融亜鉛
メッキ施工時の割れ、などが発生することがある。ま
た、これらの割れの存在、母材の微小欠陥に基づき、低
温時の使用中に前記厚肉鋼管に大負荷が働いたとき、同
鋼板に脆性破壊が生じるおそれがある。
【0003】この種の大径角形鋼管を柱材として使用す
る鉄骨構造物、建築物等は一般に、一度施工した後は、
長期にわたり当該構造物に加えられる所定の重量を安全
に支承することが要求され、しかも、これらの柱材は原
則的に交換・補修が可能でない、または極めて困難とい
った状態で施工されている場合が多い。殊に最近の建築
物は、高層建築が主流を占め、また、各部屋毎に冷暖房
装置を設備するとか、OA機器、電算機の類が設置され
るなど、建物に付帯する設備重量が増加する傾向にある
ため、対策として厚肉大径角形鋼管を柱材として施工す
るケースが増加する傾向があるので、前記冷間成形厚肉
鋼管の使用により生じる、上述のような問題点は、無視
することができない状況になっている。
【0004】そこで、近来、充分な靭性を備え、残留応
力の少ないコーナーR部を備えた高品質の角形鋼管の提
供が需要者層から要望されるようになった。市場に流通
している厚肉大径角形鋼管に内在する、この種の材質的
問題点を解決するために、メーカー側では、 既製の丸鋼管、シームレスパイプなどを、油、ガス等
の化石燃料または電気エネルギーを熱源として全体的に
加熱し、その加熱温度が低下する前に前記鋼管を複数段
の角形成形ロールを通して成形し、断面を角形形状に成
形することを提案している。上記工法によるときは、製
品の品質は良好であるが断面成形時、鋼管の両端部断面
が形状不良となって製品の歩留りが悪いとか、加熱、冷
却時、鋼管に不均一熱歪みが生じるのを無視できない、
鋼管表面に多量に発生する酸化スケールの処理をしなけ
ればならないとか、鋼管を一本宛加工するので生産性が
低いといった問題点がある。また、鋼管全体を高温加熱
するから、焼き鈍ましコストがかさむ。
【0005】別に、既成の大径角形鋼管を焼鈍炉に入
れ、鋼材の残留応力が略、除去される程度まで全体的に
加熱し、コーナーR部材質の靭性を改善した後、徐冷す
る工法も知られている。この場合にも、上記同様の問題
点があり得る。 あるいは、冷間塑性加工により厚肉鋼板を丸鋼管に成
形する工程で、同鋼管を電気エネルギーまたはガス、油
等の化石燃料を用いて帯状に加熱し、その加熱温度が冷
えないうちに複数段の角形成形ロールを通し鋼管断面を
熱間で角形形状に加工・成形した後、徐冷し、大径角形
鋼管を製造する(特願平2−180497号参照)工法
も考えられている。
【0006】上述、工法は、加熱時の熱的不均一に基づ
く成形断面の不良、冷却時における鋼材の温度分布の不
均一による変形歪が問題であり、均一温度分布を保持す
るための温度管理がむずかしく、冷却ゾーンを充分長く
採り、鋼管を徐冷する必要がある。また、徐冷工程では
丸鋼管と異なり、冷媒ガスの熱気流が鋼管コーナーR部
近傍で乱れるので、鋼管断面を均一に冷却することが困
難である。そして角形鋼管に変形が生じた場合、それを
矯正することは、非常に難しい。さらに、角形鋼管成形
ライン(高周波溶接工程を含む)中に、化石燃料を使用
する加熱炉を設備する場合は、鋼材を所望温度にまで加
熱するのにラインの中途に100 m〜150 mのスペースが
必要になり、工場立地の選定が困難になるとか、設備投
資額が予想以上に膨らむおそれがある。
【0007】加えて、ガス、油等の化石燃料による加熱
は、熱源を鋼管内側に入れることができないため、鋼管
を均一に加熱することが困難で、温度管理の面で問題が
あり、鋼管断面の成形不良、歪みの発生などが関係し、
結局、高品質の製品が得られない場合もあり得る。一
方、電気エネルギーを利用した加熱装置は、加熱炉のス
ペースが小さく、鋼管断面の均一加熱並びに加熱温度の
管理が容易である反面、極めて大容量の電力が必要で、
加熱コストが高くなる上に、立地条件によっては必要と
する大容量の電力の入手が困難である場合がある。等々
の技術的問題点があることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明工法は、上述し
たような事情を背景にして開発されたもので、鋼管コー
ナーR部材質の機械的特性を改善すると共に、残留応力
を許容限度以下にし、均一、かつ、高品質で安定した大
径角形鋼管を成形する熱処理工法を提供することを目的
とする。また、本発明工法の別の目的は、従来公知の熱
処理工法を利用して、均一、かつ、高品質な角形鋼管を
成形する工法に内在する上述問題点を可及的に解決す
る、比較的に経済的で新規な大径角形鋼管の熱処理工法
を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するために、以下に述べるとおりの各構成要件を具
備する。 (1)帯鋼板または一枚鋼板を、冷間プレス加工または
/および冷間ロール成形工程などにより折曲げ、その長
手軸方向開口縁を突合せ溶接し、かつ、断面を角形に形
成した大径角形鋼管の周壁面を、水平面に対して略、45
°方向に傾斜させたまま、その各鋼管コーナーR部毎に
対応して設けた高周波加熱コイルよりなる熱処理装置内
に相対的に挿入・搬送し、前記鋼管の直角断面内で前記
コーナーR部周壁を帯状に、かつ、均一に加熱し、その
状態を維持した後、徐冷ゾーンを通過させる工程を、鋼
管長手軸方向に順次、施すことによって、鋼管コーナー
R部材質に対し熱処理・調質を行なうことを特徴とする
大径角形鋼管コーナーR部の熱処理工法。
【0010】
【作用】市場に流通している大径角形鋼管について問題
視されている材質的欠陥は、鋼管成形工程中の冷間塑性
変形に基づく厚肉鋼管コーナーR部材質の靭性の低下、
残留応力の増加等、局部材質の劣化による構造材として
の弱体化である。 (1)上述のような事情に鑑み、本発明方法では、 冷間塑性変形により規格どおりに成形した大径角形鋼
管について、その長手方向直角断面内で、特にそのコー
ナーR部付近を均一・同時加熱することによって、各コ
ーナーR部付近を鋼材のA1 変態点またはA3 変態点近
くまで局部加熱することができる加熱装置の中に、同鋼
管を長手軸方向に沿って移動させる。もしくは、前記加
熱装置を、鋼管長手軸方向に沿って移動させる。
【0011】鋼管のコーナーR部形成のための冷間塑
性変形による当該鋼板材質の劣化範囲は、研究の結果、
せいぜいコーナーR部および、そのR部両終端から平坦
面方向に鋼材板厚の長さだけの幅を含む領域であること
を検出しているので、上記局部加熱の対象域には、少な
くとも、前記領域の全部が含まれていることが条件とな
る。 その際、鋼管の姿勢は、その長手軸方向が水平である
よう搬送するが、そのとき、鋼管周平面を水平面に対し
て45°傾けて配置する点に特徴がある。これにより、角
形鋼管を冷却ゾーンに送り込んだ後の鋼管の各コーナー
R部の放冷を可及的に均等に施すことができる。また、
処理対象の角形鋼管のサイズが異なった場合の、送りロ
ーラ、ピンチロール、加熱コイルその他の位置調節機構
が比較的に簡単になり、操作・保守管理が容易になる。 前記鋼管直角断面中で、その各コーナーR部に対向・
近接してそれぞれ配置した高(低)周波加熱コイルを、
鋼管長手軸方向に向けて設備すると共に、それら各コイ
ル群を一斉に、かつ放射方向に進退・調整可能に設け、
被熱処理鋼管サイズに合わせて、コイルと鋼材面との間
隔を調節することができる。そして、鋼管のサイズ、鋼
材の板厚、搬送スピード、所望加熱温度、温度保持時間
などによっては、一セットの高周波加熱コイルのみでは
容量不足の場合がありうることを想定して前記コイルを
直列に複数個配置し、容量を大幅に変更できるようにす
ることもできる。
【0012】角形鋼管用材質には、SS400 、SM400A、
SM490A、SM490B、SM490C、SM520B、C または非調質高張
力鋼60Kgなどを選択できるが、その何れの鋼材に対して
も上記工法が適用でき、所望の効果を奏する。 角形鋼管コーナーR部の局部加熱には誘導加熱方式を
採用することにより、加熱温度の分布、加熱温度の管理
が容易にでき、また、当該鋼材結晶を細粒化する効果も
生じる。その際の高周波は、厚肉鋼板の全体を均一に加
熱することができる程度の周波数を選択する。
【0013】前記加熱鋼管の冷却は、炉冷または空冷
で徐冷却しても良いし、或る程度の放冷・低温化した
後、噴霧および/またはシャワーを用いて鋼管四周から
均等に急冷しても良い。なお、上記冷却装置における鋼
管温度は、必ずしも正しく常温まで低下させることを要
しない。また、同装置において常温付近まで冷却した鋼
管は、それ以後、冷却水によって冷しても、これに基づ
く長手軸直角方向の曲がり、捩じれなど発生しない。 鋼管の冷却に水を使用する場合には、極めて大量の冷
却水を消費し、加えて使用後の汚水の処理、再生装置が
大規模になり設備費がかさむおそれがある。
【0014】(2)本発明工法に採用する加熱装置に
は、低・中周波または高周波加熱装置を選定することが
望ましい。これによれば、鋼管の長手軸方向に直角な断
面内外における加熱温度分布の調整、加熱温度の制御が
容易で、装置の保守管理が簡単であり、加熱装置に要す
るスペースが小さくて済む。ただし、鋼管の加熱手段と
して、大量に入手が容易で、比較的にコストの低い化石
燃料を利用する加熱装置を採用することを妨げない。こ
の場合にも、少なくとも鋼管の長手軸方向に直角な断面
内において、すべての鋼管周壁各コーナー部を均等に、
かつ均一温度に加熱することができるものでなければな
らない。
【0015】(3)これによって、 帯状鋼板または一枚鋼板から角形鋼管を形成する工程
で、鋼板に加えられた冷間塑性変形による残留応力の発
生、靭性の低下など鋼板材質の劣化、特に鋼管コーナー
R部を含めた局部材質の機械的特性の欠陥を改善した、
高品質で均一な大径角形鋼管を提供することができる。 本発明工法によれば、既成の冷間成形による角形鋼管
のコーナーR部と平坦部との材質が略、同一の機械的性
質を有するよう、その熱処理工程においてコーナーR部
を局部加熱することにより、塑性加工量の大きなコーナ
ーR部の鋼板材質の改善を図り、その靭性を改善して鋼
管熱処理の目的を達成すると共に、全体加熱のために要
するエネルギー量に較べて省エネルギー化を図る。
【0016】いずれにしても、本発明工法により、鋼
板を冷間塑性加工により、略、90゜曲げることから生じ
る鋼管コーナーR部鋼板の加工硬化、残留応力の増加、
材質劣化が完全に改善、除去された大径角形鋼管を得る
ことができ、または、コーナーR部材質の劣化は殆んど
ないに等しい。 したがって、昨今問題視されている大径角形鋼管の隅
角部冷間塑性変形に基づく鋼管コーナーR部の材質劣
化、大きな残留応力の存在などの欠陥を比較的経済的に
除去することができる。
【0017】
【実施例】以下に、本発明工法の一実施例を図面に沿っ
て説明するが、右工法を構成する各工程の具体的構成
は、本出願当時の当業界における公知技術の範囲内で任
意に部分的変形が可能であるから、格別の理由を示すこ
となしに、本実施例の具体的説明のみに基づいて、本発
明工法の構成要件を限定して解釈することは許されな
い。
【0018】図1は、本発明工法を実施する大径角形鋼
管の熱処理装置の一実施例の平面概略図で、図2は、前
記熱処理装置の側面概略図、図3は、図2中、III −II
I 線断面に沿うピンチロールの正面図、図4は、図2
中、IV−IV線断面に沿う加熱コイルの配置図を示すもの
である。図中、1は、既成の厚肉大径角形鋼管、たとえ
ば使用鋼材はSM490Aで、鋼板厚は22mm、500 mm径角形
鋼管である。2は、熱処理装置のベッド、3は、角形鋼
管の送りローラで、略、鼓状に形成して水平軸の周りに
回転することができ、一列にベッド2上に軸支されてい
て、その上に角形鋼管を載せ前記鋼管の周平面を水平面
に対して45°傾斜させたまま、矢印方向に搬送されるよ
う構成する。前記送りローラ3は、調整を要さずそのま
まで、サイズの異なる各角形鋼管を搬送することができ
る。
【0019】4は、ピンチロールを示し、前記ロール
は、図3に示すように門型のフレームに取付けられ、上
下方向に移動・調節ができ、送りローラ3との間に角形
鋼管を挾み、同鋼管に送り駆動を与える。ピンチロール
4は、図示のようにベッド2に沿って複数台設けられて
いる。5は、加熱装置で、ピンチロール4の後に連結し
て配置され、同装置内には、加熱装置5を通過する鋼管
の各コーナーR部に近接して、それぞれ高周波コイル6
を装備し、ここに高周波(板厚を均一に加熱することが
できる程度の周波数を選択する)電流を供給して、前記
鋼管長手軸直角平面内で各鋼管コーナーR部鋼板の板厚
(本実施例では22mm)全体を均等に局部加熱する。
【0020】そして、角形鋼管が加熱装置5内を通過し
終わるまでに当該鋼材を略、600 ℃〜1000℃程度に加熱
するよう局部加熱する。その際、熱エネルギーが鋼管平
坦部側に伝導するので、若干、高目に局部加熱しておく
と良い。前記高周波コイル6は、鋼管中心軸に対し、放
射状方向に移動可能に配置されていて、鋼管サイズが変
わった場合にも、鋼板表面との間隔を調整・適応できる
よう設ける。本実施例の場合には、フレームに取付け放
射状方向に滑動するよう伸びる高周波コイル支持扞7
に、それぞれラックを刻み、前記ラックに噛み合うピニ
オンを各連動させることにより、高周波コイル支持扞7
を中心軸に対し、一斉に放射状方向に移動・調整する。
これによって、鋼管サイズ(外径および板厚)が変わっ
た場合にもアタッチメントを換えること無く、すべての
サイズの鋼管加熱をするのに適応することができる。
【0021】高周波コイル6は、図5に示すように、鋼
管各コーナーR部を囲んで3分割(2〜5分割で良い)
されていて、いずれのコイルも、鋼管周面からの距離を
略、均しくして取付ける。8は、加熱保持装置で、加熱
装置5の後に引続いて設備され、その詳細構造は前記加
熱装置5に略、同様である。上記加熱保持装置8におい
ては、加熱装置5によって加熱した鋼管コーナーR部の
温度を、30秒〜60秒程度保持することにより、コーナー
部材質の劣化を緩やかに回復することを期待されてい
る。
【0022】さきに述べたように、厚肉鋼板が冷間で曲
げ加工されて影響を受け材質劣化を生じる範囲は加工状
態にもよるが、その鋼管断面において、おおむねコーナ
ーR部を含み、その両側でコーナーR部終端から鋼板の
板厚tだけ鋼板平坦部側に伸びた部分を限界とする領域
であることが確められている。したがって、上記熱処理
範囲は、各コーナーR部において上記の領域をカバーし
ていることが要求される。9は、加熱保持装置8の後に
設けられた矯正装置で、複数段直列に連結して加熱・調
質により熱応力歪が生じた際の鋼管断面形状を熱間成形
により矯正する。
【0023】図6は、図1のVI−VI線に沿う一つの矯正
装置9の正面図で、同図中、1は、角形鋼管(断面)、
10は、矯正ローラ、11は、矯正ローラ10の支承部材で鋼
管断面中心軸に対し、放射方向に変位可能にフレームに
組付け、前記矯正ローラ10の各周面の囲む空間が、矯正
さるべき鋼管断面を形成する。したがって矯正装置9に
おいては、前記矯正ローラ10の各周面の囲む空間は、矯
正ローラ10の支承部材を調節することによって変更する
ことができ、一台で各鋼管サイズの矯正を行うことが可
能となる。12は、矯正ローラ10の駆動装置で、ユニバー
サルジヨイントを介して矯正ローラ10に連結され、何れ
の位置にあっても矯正ローラを回転させることができ
る。矯正装置9は、複数段の矯正ローラ10により構成さ
れていて、加熱された鋼管に生じる歪みを注意深く、か
つ、慎重に矯正する。
【0024】再び、図1,2に戻って、矯正装置9に引
き続いて鋼管の冷却ゾーン13が配置されている。前記ゾ
ーンに搬出された鋼管は、その周壁面が水平面に対し45
°傾いているから、コーナーR部付近をまわる冷却空気
が各コーナー毎、比較的に均等に流れ、比較的均一に冷
却するようになる。その際、各コーナーR部に向かって
冷却空気を噴射することも、鋼管を均一に冷却するのに
効果を上げるが、急冷することは歪の発生を押さえる上
から好ましいことではない。上述のとおりであるから、
少なくとも鋼管コーナーR部鋼板周辺は、全体的に鋼材
のA1 〜A3 変態点付近まで加熱され、所要の加熱保持
時間を経過後、徐々に冷却することによって熱処理さ
れ、冷間塑性加工の影響を受けて劣化した当該部分鋼板
材質の機械的特性を大幅に改善することができる。
【0025】そして、上記加熱温度も、また、鋼管長手
軸直角方向周辺において均等でなければ、それに基づい
て鋼管に熱応力歪みが生じるおそれがあること、前述し
たとおりである。そして、鋼管全体としてはコア(平坦
部)部分が加熱されていないので、鋼管素材が全体とし
て軟化することが少なく、鋼管は熱応力変形に対して抵
抗力が大であり、そのため熱処理後の歪みが生じ難い。
【0026】本実施例工法によれば、既成の角形鋼管を
全体的に高温熱処理する工法に較べて、処理効果には遜
色がない上に、熱処理コストが極めて少ない。図7は本
実施例工法における、時間−熱処理温度曲線の一例を示
すもので、x軸方向に時間、y軸方向に鋼材温度を採っ
た。図は、高周波誘導加熱装置を施した加熱炉に対し鋼
管を長手軸方向に徐々に搬入して熱処理した場合の温度
曲線を示すもので、鋼管直角断面各コーナーR部は、加
熱によって徐々に、かつ、均等に温度が上昇し、やがて
所定温度に達した後、その状態を少なくとも30秒程度保
持し、それから加熱鋼管を炉冷または空冷工程に搬出、
放置する。このタイプの加熱によって鋼材の結晶粒の細
粒化の効果を生じ、強靱で均質な鋼材を得ることができ
る。
【0027】なお、炉冷または空冷工程に、冷水噴霧、
シャワーまたは冷気噴射等の手段を付加・配置すること
により、冷却スペースを節減することが可能である。こ
の場合にも、角形鋼管の全周面および長手方向を可能な
限り均等に冷却するようにしないと、長手軸方向直角に
歪が発生するおそれがある。また、冷却工程に水を利用
する際には、相当量の用水の確保、用水の消費、使用後
の汚水処理の設備が必要となって設備費がかさむ上に、
使用後水の再利用を図らないと大量の冷却水を浪費する
ことになる。ただし、冷却手段が空冷のみの場合は、か
なりの広さの放冷スペースを用意する必要がある。その
際にも加熱鋼管の四方向から、冷却空気を積極的に吹付
け冷却する手段を設備することが望ましい。
【0028】図8は、コーナーR部材の後熱処理による
シャルピー衝撃試験結果をエネルギー遷移曲線によって
示している。当該エネルギー遷移曲線を得るために使用
したテストピースは、角形鋼管断面コーナーR部分(た
とえば、図5に示すような)の一部を切りだして、機械
加工により仕上げしたものである。上記試験結果を吟味
すれば、熱処理材は、冷間成形材に較べて同一温度での
吸収エネルギーが大きく、材質の靭性が改善されている
ことが明らかである。
【0029】
【発明の効果】本発明角形鋼管の熱処理方法は、以上述
べたとおりで、 (1)軸方向に長い被処理材を、見掛け上長さ方向に短
い部分に分割して、四っの各コーナーR部を均一に局部
加熱したから、加熱による鋼管全体の鋼材軟化が生ぜ
ず、加熱による角形鋼管長手軸方向に直角な鋼管の熱膨
張歪、熱処理歪が出にくい。 (2)鋼管コーナーR部の熱処理温度を比較的に高く
し、かつ、やや加熱時間を保持することにより、鋼板の
冷間塑性変形によるコーナーR部材質の劣化、脆性化、
大きな残留応力を、より効果的に回復するようにし、ユ
ーザー要望に沿う、材質劣化部が無く捩りに対して抵抗
力が大きく、均質な鋼材よりなる高品質の大径角形鋼管
を製造することができる。 (3)もっぱら、鋼管コーナーR部の熱処理を目的とす
るので省エネルギー効果があり、また、比較的短時間の
うちに鋼材の熱処理効果を上げることができる。比較的
に簡単な設備費で熱処理が可能で、良好な結果が得られ
る。したがって、大径角形鋼管の熱処理コストを大幅に
節減することができ、比較的に低コストで高品質な大径
角形鋼管を提供できる。
【0030】(4)角形鋼管を45°傾けたまま熱処理を
施すので、冷媒の流れが良好で均一に冷え、熱処理鋼管
に生じやすい曲がり、捩じれが極めて少なくなる。 (5)上記鋼管の姿勢は、一つの鋼管熱処理装置の構造
を各種イズの角形鋼管の処理に適合するよう調整可能に
設計するのを容易にする。鋼材の板厚、鋼管のサイズ等
に無関係に熱処理を施すことが可能、 (6)既成の角形鋼管の連続処理もできる。 (7)処理済みの厚肉角形鋼管は低温状態で鋼管コーナ
ーR部付近に溶接加工を施した場合にも、当該個所から
溶接割れなどが生じるおそれがない。 (8)角形鋼管を溶融亜鉛めっき加工する際にも、鋼管
材の一部から亀裂が生じる不都合は起きない。 (9)鋼管長手軸に対する捩じり力が大きく掛っても、
鋼管コーナーR部付近から先に破壊することはない。 等々、本発明工法は従来公知の鋼管熱処理手段には期待
することができない、格別の作用、効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明工法による大径角形鋼管の熱
処理装置の一実施例の平面概略図
【図2】前記熱処理装置の側面概略図
【図3】図2中、III -III 線断面に沿うピンチロール
の正面図
【図4】図2中、IV−IV線断面に沿う加熱コイルの配置
【図5】鋼管各コーナーR部を囲んで3分割配置された
高周波コイル6の正面図
【図6】図1中、VI−VI線に沿う一つの矯正装置9の正
面図
【図7】本件熱処理工法における、時間−熱処理温度曲
線の一例
【図8】コーナーR部材の後熱処理によるシャルピー衝
撃試験結果を示す。
【符号の説明】
1 大径角形鋼管 2 ベッド 3 送りローラ 4 ピンチロール 5 加熱装置 6 高周波コイル 7 高周波コイル支持扞 8 加熱保持装置 9 矯正装置 10 矯正ローラ 11 矯正ローラ支持部材 12 駆動装置 13 冷却ゾーン。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯鋼板または一枚鋼板を、冷間プレス加
    工または/および冷間ロール成形加工などににより折曲
    げ、その長手軸方向開口縁を突合せ溶接し、かつ、断面
    を角形に形成した大径角形鋼管の周壁面を、水平面に対
    して略、45°方向に傾斜させたまま、その各鋼管コーナ
    ーR部毎に対応して設けた高周波加熱コイルよりなる熱
    処理装置内に相対的に挿入・搬送し、前記鋼管の直角断
    面内で前記コーナーR部周壁を帯状に、かつ、均一に加
    熱し、その状態を維持した後、徐冷ゾーンを通過させる
    工程を、鋼管長手軸方向に順次、施すことによって、鋼
    管コーナーR部材質に対し熱処理・調質を行なうことを
    特徴とする大径角形鋼管コーナーR部の熱処理工法。
JP4027469A 1992-01-20 1992-01-20 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法 Pending JPH05195066A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4027469A JPH05195066A (ja) 1992-01-20 1992-01-20 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4027469A JPH05195066A (ja) 1992-01-20 1992-01-20 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05195066A true JPH05195066A (ja) 1993-08-03

Family

ID=12221975

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4027469A Pending JPH05195066A (ja) 1992-01-20 1992-01-20 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05195066A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112692065A (zh) * 2020-12-08 2021-04-23 江苏银环精密钢管有限公司 一种高强度薄壁不锈钢六边形无缝管及其制造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112692065A (zh) * 2020-12-08 2021-04-23 江苏银环精密钢管有限公司 一种高强度薄壁不锈钢六边形无缝管及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104971959B (zh) 一种高强度闭口型材热辊弯成形工艺
JP7285320B2 (ja) 角部を増肉した、熱冷複合成形された正方形/長方形鋼管及びその製造方法
JP2013081990A (ja) 熱延コイルの冷却方法と製造方法および冷却装置
JP2012020324A (ja) 平鋼の制御冷却方法
JP3025090B2 (ja) 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法
JPH05195066A (ja) 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法
JP2735405B2 (ja) 大径角形鋼管の熱間成形工法
JP2852312B2 (ja) 大径角形鋼管の熱処理工法
JP2852311B2 (ja) 大径角形鋼管の成形工法および装置
JP5015386B2 (ja) 厚鋼板の熱処理方法
JPH06330177A (ja) 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理装置
JP2000144320A (ja) 鉄筋用異形棒鋼およびその製造方法
JPH11290946A (ja) 厚鋼板の矯正方法
JP2735402B2 (ja) 大径角形鋼管の熱間成形工法
JP2735411B2 (ja) 大径角形鋼管の成形工法および装置
JP2852309B2 (ja) 大径角形鋼管の成形工法
JP2849595B2 (ja) 大径角形鋼管の成形工法および装置
JPH05138243A (ja) 熱処理加工を含む大径角形鋼管成形工法および装置
JP2852313B2 (ja) 熱間成形を含む大径角形鋼管製造法および装置
JPH06330176A (ja) 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理装置
JPH06279857A (ja) 大径角形鋼管コーナーr部の熱処理工法および装置
JP2852308B2 (ja) 熱間成形を含む大径角形鋼管製造法および装置
JPH059582A (ja) 鋼管の多段加熱炉および加熱方式
JPS63248509A (ja) 形鋼の製造装置
JPH09143567A (ja) 高強度鋼管の製造方法