JPH05192707A - 鋼ストリップの巻取り温度制御方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼ストリップの巻取り温度制御方法を提供す
る。 【構成】 移動する鋼ストリップ１の表面上に冷却水を
噴射するための噴射ノズル２と、冷却水の温度を制御す
るための水温制御機構６とを設け、送水ポンプ３の作用
により導管４内を通って循環する冷却水の温度を水温制
御機構６によって制御しながら、噴射ノズル２から鋼ス
トリップ１の表面上に冷却水を噴射し、かくして、鋼ス
トリップ１の巻取り温度を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鋼ストリップの巻取
り温度の制御を行なうための方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、熱間圧延において、鋼ストリッ
プのタンデム圧延ラインの、最終仕上げスタンドの下流
側において、鋼ストリップは、冷却水によって巻取り温
度の制御を施され、次いで、マンドレルミルによって巻
き取られ、コイル化される。

【０００３】鋼ストリップの巻取り温度制御としては、
循環機構によって循環する冷却水を、移動する鋼ストリ
ップの幅方向に設けられた噴射ノズルに供給し、該噴射
ノズルから鋼ストリップの表面上に冷却水を噴射する方
法が一般的である。尚、噴射ノズルは、通常は、鋼スト
リップの幅方向に設けられたヘッダーに相互に所定の間
隔をあけて複数個取りつけられており、また、ヘッダー
は、鋼ストリップの長さ方向に相互に所定の間隔をあけ
て、第１ヘッダーから最終ヘッダーまで複数設けられて
いる。鋼ストリップの巻取り温度制御の従来方法は、冷
却水の温度を一定に保持し、または、全く何の制御も行
なわず、鋼ストリップの表面上へ噴射する冷却水の流量
を制御し、これにより、所定の巻取り温度を得ることに
よって行われている。

【０００４】冷却水の流量の制御方法としては、従来か
ら、バルブのON-OFFの切替えによる方法または流量調節
弁による流量制御方法が用いられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バルブ
のON-OFF切替えによる方法は、絶対冷却長、即ち、第１
ヘッダーから最終ヘッダーまでの距離が限られている場
合に、１つのON-OFF制御によって制御できる冷却水の流
量の範囲、即ち、制御単位が制限される問題を有してい
る。

【０００６】一方、流量調節弁による流量制御を行なう
には、冷却水の水圧を一定に保つことが絶対条件であ
る。しかしながら、水圧制御機構の設備は非常に大掛か
りとなり、更に、同一鋼ストリップ内、即ち、一本の鋼
ストリップの先端から尾端までにおいて、冷却水を鋼ス
トリップの表面上に噴射しながら、その圧力を一定に保
つのは、極めて困難である。

【０００７】特殊鋼、高炭素鋼または高張力鋼等からな
る鋼ストリップにおいては、緻密な巻取り温度の制御が
必要であり、そのためには緻密な冷却水の流量制御が必
要である。しかるに、上記２つの方法は、同一鋼ストリ
ップ内で、噴射時の冷却水の流量を、一定または数段階
でしか変えられず、必然的に冷却速度も一定または数段
階でしか制御できない。このため、上記特殊鋼等からな
る鋼ストリップの巻取り温度制御においては、通常の冷
却水の流量制御設備では対応できず、大掛かりな設備の
構築が必要である等、巻取り温度の制御は非常に困難性
の高い問題を有している。

【０００８】冷却水の流量を制御する方法によって鋼ス
トリップの巻取り温度を効率良く下げるためには、その
流量を大にしなければならない。しかしながら、冷却水
の流量を大にすると、鋼ストリップの進行が特にその前
半部分（先端がマンドレルミルに巻きつくまで）で妨げ
られ、操業トラブルあるいは品質不良の発生を引き起こ
す要因となる。

【０００９】従ってこの発明の目的は、操業効率を落と
さずに、鋼ストリップの冷却効率を向上し、緻密な巻取
り温度制御を可能とするとともに、鋼ストリップの冷却
速度を効率良く変えることができる鋼ストリップの巻取
り温度制御方法を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明は、一定方向に
移動する鋼ストリップの表面上に冷却水を噴射するため
の噴射ノズルを前記鋼ストリップの幅方向に設け、前記
噴射ノズルから前記鋼ストリップの表面上に冷却水を噴
射し、噴射後の冷却水を回収し、更に、再び、前記冷却
水を前記噴射ノズルに供給し、このように循環する前記
冷却水によって、前記鋼ストリップの巻取り温度を制御
する鋼ストリップの巻取り温度制御方法において、循環
する前記冷却水の温度を制御するための水温制御機構を
設け、前記水温制御機構によって、前記冷却水の温度を
制御し、かくして、前記鋼ストリップの巻取り温度を制
御することに特徴を有するものである。

【００１１】次に、この発明を図面を参照しながら説明
する。図１はこの発明の１実施態様を示す系統図であ
る。図１において、１は鋼ストリップを示す。ヘッダー
７は鋼ストリップ１の幅方向に設けられている。また、
ヘッダー７は鋼ストリップ１の長さ方向に相互に所定の
間隔をあけて、複数設けられている。ヘッダー７には、
相互に所定の間隔をあけて、複数個の噴射ノズル２が取
り付けられている。ヘッダー７および噴射ノズル２は、
タンデム圧延ラインの最終仕上げスタンド（図示せず）
の下流側とマンドレルミル（図示せず）との間に設けら
れている。３は送水ポンプ、４は導管である。送水ポン
プ３の作用によって、冷却水は導管４内を通って送水ポ
ンプ３と噴射ノズル２との間を、図１中に矢印によって
示す方向に循環する機構となっている。噴射ノズル２と
送水ポンプ３との間には、冷却水の温度を制御するため
の水温制御機構６が設けられている。水温制御機構６と
しては、例えば、上記冷却水の循環機構とは別の冷却水
の循環機構を設け（図示せず）、ここから冷たい水を補
給して鋼ストリップの冷却に使用された温度の高い冷却
水と混合し、これにより、噴射ノズル２に供給される冷
却水の温度を所望の温度に調節する。このように、水温
制御機構６によって、冷却水の温度を所望の温度範囲に
制御することによって、鋼ストリップ１の巻取り温度の
制御を行なう。５は冷却水の水圧を一定に制御するため
の水圧制御機構である。

【００１２】

【作用】同一鋼ストリップ１内で、水圧制御機構５によ
って冷却水の流量を一定に保持したまま、水温制御機構
６による冷却水の温度を制御することにより、単位冷却
長での冷却速度を可変とすることが可能である。また、
従来の冷却水の流量制御によって行なわれる鋼ストリッ
プの巻取り温度制御に付加して、水温制御機構６による
冷却水の温度制御を行なうことも可能である。これによ
り、鋼ストリップ１の冷却効率が大幅に向上し、緻密な
巻取り温度制御が可能となり、巻取り温度の制御範囲が
飛躍的に拡大する。

【００１３】冷却水の温度変化が鋼ストリップの温度に
及ぼす影響は、以下の通りである。即ち、冷却水の温度
変化が10℃の場合には、鋼ストリップの温度の変化は約
10％になる。従来の冷却水の流量制御による方法では、
鋼ストリップの温度を20％下げるには、約10,000トン／
時間の冷却水が必要であった。この発明では、流量を変
えなくても、冷却水の温度を約20℃下げることによりそ
れが可能である。図２は、冷却水の温度が鋼ストリップ
の冷却効率に及ぼす影響を示すグラフである。図２から
冷却水の温度が鋼ストリップの冷却効率に所定の影響を
及ぼすことがわかる。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、冷却水の温度を制御することによって、大掛かりな
設備の構築を図ることなく鋼ストリップの冷却効率を向
上し、緻密な巻取り温度制御を可能とすることができ
る、鋼ストリップの巻取り温度制御方法が得られ、かく
して、工業上有用な効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の１実施態様を示す系統図

【図２】冷却水の温度が鋼ストリップの冷却効率に及ぼ
す影響を示すグラフ

【符号の説明】

１ 鋼ストリップ ２ 噴射ノズル ３ 送水ポンプ ４ 導管 ５ 水圧制御機構 ６ 水温制御機構 ７ ヘッダー。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一定方向に移動する鋼ストリップの表面
   上に冷却水を噴射するための噴射ノズルを前記鋼ストリ
   ップの幅方向に設け、前記噴射ノズルから前記鋼ストリ
   ップの表面上に冷却水を噴射し、噴射後の冷却水を回収
   し、そして、再び前記冷却水を前記噴射ノズルに供給
   し、このように循環する前記冷却水によって、前記鋼ス
   トリップの巻取り温度を制御する鋼ストリップの巻取り
   温度制御方法において、 循環する前記冷却水の温度を制御するための水温制御機
   構を設け、前記水温制御機構によって、前記冷却水の温
   度を制御し、かくして、前記鋼ストリップの巻取り温度
   を制御することを特徴とする鋼ストリップの巻取り温度
   制御方法。
2. 【請求項２】 循環する前記冷却水の温度を制御すると
   ともに、前記噴射ノズルから噴射される冷却水の流量を
   制御する請求項１記載の方法。