JPH0519218A - ソフトコンタクトレンズの処理方法 - Google Patents

ソフトコンタクトレンズの処理方法

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JPH0519218A
JPH0519218A JP3326438A JP32643891A JPH0519218A JP H0519218 A JPH0519218 A JP H0519218A JP 3326438 A JP3326438 A JP 3326438A JP 32643891 A JP32643891 A JP 32643891A JP H0519218 A JPH0519218 A JP H0519218A
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JP
Japan
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soft contact
contact lens
free chlorine
treatment solution
lens
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JP3326438A
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English (en)
Inventor
Hideaki Kamiya
英昭 神谷
Setoe Takeda
星都恵 竹田
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TOME SANGYO KK
Original Assignee
TOME SANGYO KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ソフトコンタクトレンズの消毒・洗浄が終了
した後、できるだけ速やかに遊離塩素を還元し、無毒化
して、該レンズの劣化や褪色を防止し、無菌のソフトコ
ンタクトレンズが簡便に得られるようにする。 【構成】 ソフトコンタクトレンズの殺菌や有機物汚れ
の除去に有効な量の遊離塩素を含有する処理溶液中にソ
フトコンタクトレンズを浸漬した後に、若しくはかかる
浸漬と同時に、該処理溶液に、遊離塩素を還元するコバ
ルト、銅及びマンガンから選ばれる金属触媒を接触させ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、ソフトコンタクトレンズの処理
方法に係り、特に、遊離塩素の優れた殺菌力によって殺
菌効果を得ると共に、殺菌処理後においては遊離塩素を
簡便に無毒化するようにした、ソフトコンタクトレンズ
の処理方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】ソフトコンタクトレンズの簡単且つ効果的
な殺菌方法としては、従来から、加熱殺菌(煮沸消毒)
や、3%過酸化水素による殺菌方法、次亜塩素酸塩等の
遊離塩素による殺菌方法、クロロヘキシジン等の化学物
質を利用した殺菌方法等の各種のものが知られている。
【0003】そして、それらの殺菌方法の中でも、加熱
殺菌(煮沸消毒)による方法は、ソフトコンタクトレン
ズに付着する微生物やコンタクトレンズ保存液中に存在
する微生物に対して非常に効果的である。しかしなが
ら、ソフトコンタクトレンズの使用者にとって、煮沸器
具を携帯するのは不便であり、電源のない場所では使え
ない等という不具合もあった。更に、加熱殺菌だけで
は、ソフトコンタクトレンズに付着した蛋白質等の汚れ
が除去できないため、加熱殺菌する前に、予め該レンズ
に付着した蛋白質等の汚れを除去しておくことが必要で
あった。
【0004】また、3%過酸化水素による殺菌方法は、
殺菌に長時間を要し、ある種の微生物(例えばアメーバ
ー等)に対しては殺菌効果が弱い等の欠点があり、また
殺菌後のソフトコンタクトレンズは、そのままで目に装
用することができず、適当な還元剤によって、過酸化水
素を分解し、無毒化しなければならない。更に、クロロ
ヘキシジン等の化学物質を使用した殺菌方法では、その
化学物質がソフトコンタクトレンズに対して吸着した
り、残存化学物質によりアレルギー性の反応が引き起こ
される危険性がある。
【0005】一方、分子状塩素、次亜塩素酸、次亜塩素
酸イオンの如き遊離塩素を使用する殺菌方法によれば、
数ppmの濃度で、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus a
ureus)、大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomo
nas aeruginosa)、カンジダ(Candida albicans) 等
の、よく知られた眼の病原体を30分以内に完全に殺菌
することができ、そしてその濃度を少し上げると(例え
ば20〜30ppm)、ソフトコンタクトレンズに付着
する蛋白質等の有機物の汚れを除去することも可能とな
る。
【0006】而して、この殺菌処理をしたソフトコンタ
クトレンズは、そのまま眼に装用することはできないの
で、従来から、適当な還元剤を用い、殺菌処理後に残存
する遊離塩素を不活性化する手法が採用されている。か
かる還元剤の具体例としては、チオ硫酸ナトリウム、チ
オ硫酸カリウム及びチオ硫酸カルシウムのようなチオ硫
酸アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、或いはアス
コルビン酸、d−グルコース、ラクトース等が挙げられ
る。また、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過酢酸
等の過酸化物も使用されている。
【0007】しかしながら、殺菌処理の後に還元操作を
行なうことは、ソフトコンタクトレンズの無菌性が保ち
難くなると共に、還元操作が開始されるまでの比較的長
い時間、該レンズが高濃度の遊離塩素の作用を受けるこ
ととなり、ソフトコンタクトレンズの材質劣化や褪色等
が惹起される問題を内在していた。また、従来では、還
元操作自体が面倒であり、万一還元操作が正しく実施さ
れなかった場合に、レンズ装用時に眼組織に対して害を
与える等の問題があった。
【0008】
【解決課題】このような事情を背景として、本発明は為
されたものであって、その解決課題とするところは、遊
離塩素を用いたソフトコンタクトレンズの処理方法にお
いて、消毒後に簡便且つ速やかに遊離塩素を還元し、無
毒化することにあり、以てソフトコンタクトレンズの劣
化や褪色を防ぐと共に、該レンズを有利に無菌に保ち得
るようにして、安全に眼に装用できるようにすることに
ある。
【0009】
【解決手段】そして、上記の如き課題を解決するため
に、本発明にあっては、ソフトコンタクトレンズの殺菌
に有効な量の遊離塩素を含有する処理溶液中に、ソフト
コンタクトレンズを浸漬した後に、若しくはかかる浸漬
と同時に、該処理溶液に、遊離塩素を還元するコバル
ト、銅及びマンガンから選ばれる金属触媒を接触させる
ことを特徴とするソフトコンタクトレンズの処理方法
を、その要旨とするものである。
【0010】
【具体的構成】要するに、本発明においては、遊離塩素
にてソフトコンタクトレンズの処理を行なうと共に、そ
の処理溶液中の遊離塩素を、コバルト、銅及びマンガン
から選ばれる金属触媒を用いて還元し、無毒化するよう
にしたものである。
【0011】それらの金属触媒は、十分な表面積を確保
して、触媒機能を高めると共に、処理溶液中に金属原子
が溶け込むことを防止する上で、使用に際して、それら
金属触媒を無機担体に担持させることが好ましい。この
無機担体としては、一般に、セラミックスと呼ばれる、
非金属の無機質粉末の焼結体を用いることが望ましく、
その中でも多結晶、多孔質のものが望ましい。
【0012】かかる無機担体を構成する成分の具体例と
しては、ゼオライト等のアルミノケイ酸塩;アルミナ
(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)、マグネ
シア(酸化マグネシウム)、ベリリア(酸化ベリリウ
ム)、カルシア(酸化カルシウム)等の酸化物;窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒
化チタン、炭化チタン等の非酸化物の各種のものがあ
り、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いら
れる。なお、上記の無機担体の中でも、アルミナは、後
述する担持方法により金属を担持させた後、洗浄する際
に、未反応金属イオンの溶出がないため、特に好ましい
ものである。
【0013】ところで、前記金属触媒を無機担体に担持
させる方法としては、例えば、次のような方法がある。
先ず、CuCl2 、CoCl2 、MnCl2 等の塩化物
や、CuSO4 、CoSO4 等の硫酸塩を溶解させて、
金属イオンを含むようにされた水溶液中に、上記の無機
担体を浸漬して、該担体内に金属イオンを入り込ませた
後、該担体を取り出す。そして、取り出された無機担体
を、500℃〜1000℃で乾燥して、酸化物として固
定させたり、H2 2 水溶液に浸漬して、還元し、無機
担体表面上に金属を固定させるか、或いはNa2 CO3
水溶液に浸漬して、炭酸塩として無機担体表面上に固定
させるのである。しかる後、洗浄し、乾燥操作を行なう
こととなる。
【0014】この担持操作において、前記金属イオンを
含有する水溶液中の金属イオンの濃度や、該水溶液中へ
の無機担体の浸漬時間等の条件は、金属触媒が無機担体
に必要な量で担持され得るように適宜に調整される。例
えば、該水溶液中への無機担体の浸漬操作を1回だけ行
なって必要な金属触媒を担持させる場合には、金属イオ
ンの濃度は、通常0.005〜0.5 mol/l程度が好
ましく、また浸漬時間は10〜180分間程度が好まし
い。また、それよりも金属イオン濃度が希薄な水溶液を
用いて、無機担体の浸漬操作及び洗浄・乾燥操作を繰り
返すことによって、目的量の金属触媒を無機担体表面上
に担持させることも可能である。なお、乾燥操作におい
ては、無機担体表面上に金属触媒をより高分散な状態で
担持させるために、できるだけ低温で徐々に加温するこ
とが望ましい。
【0015】また、金属イオンを含有する水溶液は、含
有する金属イオンの種類によって、紫外線又は原子吸光
度(以下、吸光度という)の極大吸収がそれぞれ異なる
ことから、金属触媒の担持操作の前後の水溶液の吸光度
の差を求めることによって、無機担体に担持された金属
触媒の担持量を算出することができる。
【0016】一方、本発明において、ソフトコンタクト
レンズの殺菌又はその殺菌に併わせて該レンズの有機物
汚れを除去するために、処理溶液中には遊離塩素が溶
存、含有せしめられることとなるが、そのような処理溶
液中に溶存する遊離塩素は、分子状塩素Cl2 、次亜塩
素酸HOCl、次亜塩素酸イオンOCl- の3種類の形
態をとり、中性付近のpHでは、殆ど次亜塩素酸HOC
lの形態となっている。
【0017】そして、本発明のソフトコンタクトレンズ
処理方法において、ソフトコンタクトレンズが浸漬せし
められることとなる処理溶液には、前記遊離塩素が、必
要な処理操作に応じた有効量で含有せしめられ、通常、
2〜50ppmの範囲内が好適である。遊離塩素の濃度
が50ppmよりも高い場合には、ソフトコンタクトレ
ンズに損傷を与える恐れがあり、また2ppmよりも低
い場合には、十分な消毒効果が発揮され得なくなる傾向
があるからである。なお、ソフトコンタクトレンズの消
毒処理のみを行なう場合には、2〜10ppm程度が好
ましく、消毒処理及び蛋白質等の有機物汚れの洗浄処理
を行なう場合には、10〜25ppm程度が好ましい。
【0018】また、かかる処理溶液には、必要に応じ
て、緩衝剤、等張化剤等を適宜に添加しても、何等差し
支えない。その中で、緩衝剤は、処理溶液のpHを安定
させるために用いられる成分であり、好ましくは生理的
に等張な6.0〜7.5程度にpHを安定させるのであ
る。緩衝剤の具体例としては、リン酸塩、ホウ酸塩、炭
酸塩等が挙げられ、これらの塩類を単独で又は2種以上
を混合して使用する。通常、その濃度は、0.2 mol/
l以下、好ましくは0.005〜0.05 mol/lとな
るように調整される。緩衝剤の濃度が0.2 mol/lを
越えると、等張化剤等を合わせた濃度が高くなり過ぎ、
処理溶液の浸透圧が高くなり過ぎて、レンズ装用時に眼
刺激を生じるようになる。
【0019】さらに、前記等張化剤は、処理溶液の浸透
圧をソフトコンタクトレンズにとって最も好ましい値
(涙液と略同程度)に調整するために用いられる。その
具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリ
セリン、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げら
れ、中でも入手の容易さやコスト等の点で、塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム等が好ましい。また、その濃度は、
前記緩衝剤等と合わせて、処理溶液の浸透圧が250〜
350mmol/kgとなるような濃度、例えば0.01〜1
mol/l、より好ましくは0.1〜0.5 mol/lとな
るように調整される。等張化剤の濃度が1 mol/lを越
えると、処理溶液の浸透圧が涙液の浸透圧よりも高くな
るために、ソフトコンタクトレンズが変形したり、レン
ズ装用時に眼刺激が生じる傾向がある。
【0020】そして、本発明では、かかる処理溶液にソ
フトコンタクトレンズを浸漬する際に、前記金属触媒を
使用するのであるが、好ましい金属触媒の使用量は、遊
離塩素濃度が20ppmの処理溶液の10mlに対して、
0.005〜1mmolの範囲である。金属触媒の量を1mm
olより多くしても、遊離塩素の還元速度は速くならず、
また担体に担持させる場合に余分な時間がかかるからで
あり、一方、金属触媒の量が0.005mmolより少ない
場合には、遊離塩素の還元が不充分となり、レンズ装用
時に、残留遊離塩素が眼への刺激や障害の原因となるか
らである。なお、より好ましくは、0.01〜0.5mm
olである。また、前述した如き、無機担体に担持されて
準備される金属触媒は、用いる無機担体の大きさや形状
等によって担持量が異なるが、金属触媒としての使用量
が上記範囲に入るようにすれば良い。
【0021】ところで、遊離塩素によるソフトコンタク
トレンズの殺菌効果や蛋白質等の汚れ除去効果は短時間
で現れるため、所望の消毒、或いは消毒洗浄が行なわれ
た後は、できるだけ速やかに遊離塩素を還元した方が、
ソフトコンタクトレンズに損傷を与えないという点から
好ましい。しかるに、従来の還元剤を用いたシステムで
は、消毒処理後に還元剤が働くようになっており、それ
までは遊離塩素濃度が高いままであったために、レンズ
ダメージが大きかったのである。これに対して、本発明
では、消毒中の処理溶液に金属触媒を接触させて、その
時点から漸次遊離塩素を還元して、該イオン濃度を下げ
ていくことから、ソフトコンタクトレンズに損傷を与え
ないのである。また、処理後には面倒な操作を必要とせ
ずに、ソフトコンタクトレンズをそのまま装用すること
ができ、無菌性が良好に保たれ得、該レンズの消毒、洗
浄方法として極めて有利なのである。
【0022】具体的には、本発明のソフトコンタクトレ
ンズの処理方法における、遊離塩素を含有する処理溶液
に該レンズを浸漬する操作と、該処理溶液に金属触媒を
接触させて、遊離塩素を分解する操作とは、以下の如き
方法によって行なうことができる。 (1) 消毒用容器の中に予め金属触媒を入れておき、
該容器の中に遊離塩素を含む処理溶液を入れ、その後直
ちにソフトコンタクトレンズを入れて、消毒又は消毒洗
浄を実施する方法。 (2) 先に消毒用容器の中に遊離塩素を含む処理溶液
を入れておき、その中にソフトコンタクトレンズを入れ
て処理し、その後直ちに又は一定時間経過後に金属触媒
を溶液の中に入れる方法。 (3) 消毒用容器内に金属触媒と遊離塩素を含む処理
溶液とを互いに接触しない位置に予めセットしておき、
先に処理溶液にソフトコンタクトレンズを入れて処理し
た後、例えば容器を傾ける等の方法により、処理溶液と
金属触媒とを接触させる方法。 上記の方法の中では、ソフトコンタクトレンズと高濃度
の遊離塩素との接触時間が短く、該レンズの損傷を少な
くできるという点で、(1)の方法が好ましい。そし
て、ソフトコンタクトレンズは、処理溶液に浸漬された
状態で、遊離塩素濃度が安全なレベルに低下せしめられ
るまで、好ましくは遊離塩素の濃度が0.5ppm以下
になるまで、保存されるのである。その後は、ソフトコ
ンタクトレンズを処理溶液から取り出して、そのまま若
しくは生理食塩水等で濯いだ後、眼に装用することがで
きる。
【0023】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
【0024】実施例 1 4.2×10-2 mol/lの濃度のCoCl2 水溶液:5
0mlに、無機担体として酸化アルミニウム(ナカライテ
スク株式会社製):8.75gを入れ、120分間浸漬
した後、酸化アルミニウムを取り出し、更にその後0.
1 mol/lの濃度のNa2 CO3 水溶液:50mlに10
分間浸漬することにより、コバルトを炭酸塩として酸化
アルミニウム表面に担持させた。しかる後、この酸化ア
ルミニウムを蒸留水で十分に濯ぎ、80℃で5時間乾燥
して、コバルトを炭酸塩として酸化アルミニウムに担持
させた形態の金属触媒(約8.75g)を得た。なお、
CoCl2 水溶液の担持操作前後の510nmにおける
紫外線吸光度の差より、酸化アルミニウム:1.0g当
たり、コバルト:0.029mmolが担持されていること
を確認した。
【0025】一方、次亜塩素酸ナトリウムを用いて作製
した、遊離塩素:18ppm、塩化ナトリウム:0.8
5w/v%を含有する遊離塩素水溶液を、0.01 mol
/lのリン酸緩衝液を用いてpH7に調整して、コンタ
クトレンズ処理溶液を調製した。
【0026】次いで、約20mlの容積のバイアル瓶に前
記コンタクトレンズ処理溶液:10mlを入れ、その中
に、前記金属触媒:1.0gとソフトコンタクトレンズ
(株式会社メニコン製、商品名:メニコンソフトMA)
の2枚を入れて、該レンズが溶液中に完全に浸るように
して、20℃の雰囲気中でソフトコンタクトレンズの消
毒及び洗浄を行ないながら、遊離塩素の還元を行なっ
た。
【0027】そして、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃
度を、波長:292nmの紫外線吸光度より求めた。ま
た、2ppm以下の濃度については、日本薬学会編『衛
生試験法・注解1990』(金原出版)P949に記載
の、水質試験法(オルトトリジンによる定量法)に従っ
て測定した。その結果を下記表1に示す。
【0028】実施例 2 6.2×10-2 mol/lの濃度のCoCl2 水溶液:5
0mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.75g
を入れ、実施例1と同様の操作によって、コバルトを炭
酸塩として酸化アルミニウムに担持させた形態の金属触
媒(約8.75g)を得た。なお、CoCl2 水溶液の
担持操作前後の510nmにおける紫外線吸光度の差よ
り、酸化アルミニウム:1.0g当たり、コバルト:
0.034mmolが担持されていることを確認した。
【0029】そして、この得られたコバルト担持触媒の
1.0gを、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用
いて、実施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒
洗浄を行ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測
定した。その結果を下記表1に示す。
【0030】実施例 3 8.3×10-2 mol/lの濃度のCoCl2 水溶液:5
0mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.75g
を入れ、実施例1と同様の操作によって、コバルトを炭
酸塩として酸化アルミニウムに担持させた形態の金属触
媒(約8.75g)を得た。なお、CoCl2 水溶液の
担持操作前後の510nmにおける紫外線吸光度の差よ
り、酸化アルミニウム:1.0g当たり、コバルト:
0.052mmolが担持されていることを確認した。
【0031】そして、この得られた金属触媒の1.0g
を、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用いて、実
施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を行
ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0032】実施例 4 8.2×10-2 mol/lの濃度のCoCl2 水溶液:5
0mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.75g
を入れ、120分間浸漬した後、酸化アルミニウムを取
り出して、次いで6%H2 2 水溶液:50mlに16時
間浸漬した。この状態で、担体はH2 2 と激しく反応
し、16時間浸漬後には殆どH2 2 は残留していなか
った。しかる後、この酸化アルミニウムを蒸留水で十分
に濯ぎ、80℃で5時間乾燥して、コバルトを酸化アル
ミニウムに担持させた形態の金属触媒(約8.75g)
を得た。なお、CoCl2水溶液の担持操作前後の51
0nmにおける紫外線吸光度の差より、酸化アルミニウ
ム:1.0g当たり、コバルト:0.052mmolが担持
されていることを確認した。
【0033】次いで、この得られた金属触媒の1.0g
を、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用いて、実
施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を行
ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0034】実施例 5 2.2×10-2 mol/lの濃度のCoCl2 水溶液:5
0mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.75g
を入れ、実施例4と同様の操作によって、コバルトを酸
化アルミニウムに担持させた形態の金属触媒(約8.7
5g)を得た。なお、CoCl2 水溶液の担持操作前後
の510nmにおける紫外線吸光度の差より、酸化アル
ミニウム:1.0g当たり、コバルト:0.019mmol
が担持されていることを確認した。
【0035】そして、この得られた金属触媒の1.0g
を、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用いて、実
施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を行
ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0036】実施例 6 11.94×10-2 mol/lの濃度のCuCl2 水溶
液:50mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.
75gを入れ、実施例4と同様の操作によって、銅を酸
化アルミニウムに担持させた形態の金属触媒(約8.7
5g)を得た。なお、CuCl2 水溶液の担持操作前後
の820nmにおける紫外線吸光度の差より、酸化アル
ミニウム:1.0g当たり、銅:0.113mmolが担持
されていることを確認した。
【0037】次いで、この得られた金属触媒の1.0g
を、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用いて、実
施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を行
ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0038】実施例 7 11×10-2 mol/lの濃度のMnCl2 水溶液:50
mlに、無機担体として酸化アルミニウム:8.75gを
入れ、120分間浸漬した後、酸化アルミニウムを取り
出し、そして1000℃の乾燥機に入れて、3時間加熱
することにより、酸化マンガンとして担持させた形態の
金属触媒(約8.75g)を得た。なお、MnCl2
溶液の担持操作前後の水溶液について、原子吸光度法で
マンガン濃度を測定したところ、酸化アルミニウム:
1.0g当たり、マンガン:0.036mmolが担持され
ていることを確認した。
【0039】そして、この得られた金属触媒の1.0g
を、実施例1で使用した金属触媒の代わりに用いて、実
施例1と同様のソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を行
ない、一定時間経過毎の残留遊離塩素濃度を測定した。
その結果を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】かかる表1の結果から明らかなように、コ
バルト、銅、マンガンといった金属触媒によって、良好
に遊離塩素が分解され、7時間経過後には、残留遊離塩
素濃度は、0.5ppm以下になった。これは、一般の
水道水中に含まれる遊離塩素濃度と同程度であり、レン
ズ装用時に全く刺激のないレベルである。また、実施例
1〜7の何れの場合においても、10時間経過後のレン
ズの外観には、全く変化は見られず、更にレンズ装用時
に眼に対する障害も何等生じなかった。
【0042】実施例 8及び比較例 1(触媒寿命試
験) 前記実施例3で調製した触媒(触媒A)及び実施例5で
調製した触媒(触媒B)と、白金黒を担体に担持させた
触媒C(チバビジョンケア製、商品名:AODISC)
の3種類の触媒を準備した。そして、各触媒の1.0g
を、次亜塩素酸ナトリウムを用いて調製した、遊離塩
素:20ppm、塩化ナトリウム:0.9w/v%を含
有する遊離塩素水溶液:10ml中に入れて、10日間、
毎日遊離塩素水溶液を交換しながら、触媒を繰り返し使
用し、遊離塩素の分解を行なった。そして、1日目、5
日目、10日目について、一定時間経過毎に残留遊離塩
素濃度を測定した。その結果を下記表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】かかる表2の結果より明らかなように、触
媒にコバルトを用いたもの(触媒A,B)では、10日
間使用しても、初回と同等の触媒活性を維持しており、
触媒寿命が長いことが確認された。これに対して、触媒
に白金黒を用いたもの(触媒C)では、5日目以降7時
間接触させても、遊離塩素を完全には分解できず、触媒
寿命に乏しいものであることが示された。
【0045】実施例 9(消毒効果試験) 遊離塩素:3.0ppm、塩化ナトリウム:0.9w/
v%を含有する遊離塩素溶液:10mlを、20mlの容積
のバイアル瓶に入れ、更に、黄色ブドウ球菌(Staphylo
coccus aureus)又は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
を1.2×108 cells/ml含む菌液:0.1mlと、実施
例1で調製した触媒:1.0gを入れ、蓋をした。そし
て、20℃の恒温水槽で30分間放置して、遊離塩素を
還元しながら、消毒を行なった。
【0046】そして、30分経過の後、遊離塩素溶液の
1.0mlを取り出して、無菌試験用チオグリコレート培
地(TGC培地、栄研化学株式会社製):15mlに加え
て、31℃で7日間培養し、消毒効果を調べた。その結
果、前記2種の菌の何れについても、7日間経過しても
発育が認められず、遊離塩素による優れた殺菌効果が確
認された。
【0047】実施例 10(消毒効果試験) 遊離塩素:20ppm、塩化ナトリウム:0.9w/v
%を含有する遊離塩素溶液:10mlを、20mlの容積の
バイアル瓶に入れ、更に、アスペルギルス・フミガータ
ス(Aspergills fumigatus) 又はカンジダ・アルビカン
ス (Candida albicans) を1.5×108 cells/ml含む
菌液:0.1mlと、実施例4で調製した触媒:1.0g
を入れ、蓋をした。そして、20℃の恒温水槽で7時間
放置して、遊離塩素を還元しながら、消毒を行なった。
【0048】そして、7時間経過の後、遊離塩素溶液の
1.0mlを取り出して、真菌無菌試験用ブドウ糖ペプト
ン培地(栄研化学株式会社製):15mlに加えて、25
℃で10日間培養し、消毒効果を調べた。その結果、前
記2種の菌の何れについても、10日間経過しても発育
が認められず、遊離塩素による優れた殺菌効果が確認さ
れた。
【0049】実施例 11(洗浄効果試験) 約20mlの容積のバイアル瓶に、遊離塩素:20pp
m、塩化ナトリウム:0.9w/v%を含有する遊離塩
素溶液又は0.9%生理食塩水の10mlを入れる。次い
で、市場より回収された白濁状のソフトコンタクトレン
ズ2枚をそれぞれ2等分して、1片はそのまま0.9%
生理食塩水中に保存し、残りの1片は、実施例4で調製
した触媒:1.0gと共に、遊離塩素溶液中に完全に浸
るようにした。そして、20℃の雰囲気中で、ソフトコ
ンタクトレンズに付着した白濁汚れの除去を行ないなが
ら、遊離塩素の還元を行なった。
【0050】そして、7時間経過の後に、各レンズ片を
取り出して、顕微鏡下暗視野で比較した。その結果、遊
離塩素溶液で処理したレンズは2片とも、未処理のレン
ズに比べて、明らかに透明性が回復しており、遊離塩素
による優れた蛋白質汚れの除去効果が確認された。
【0051】実施例 12(金属イオンの溶出試験) 約20mlの容積のバイアル瓶に、遊離塩素:20pp
m、塩化ナトリウム:0.9w/v%を含有する遊離塩
素溶液:10mlを入れ、実施例1〜6で調製した触媒:
1.0gをそれぞれ接触させた。そして、24時間経過
後に、触媒を取り出して、残った溶液について、コバル
ト及び銅の原子吸光分析を実施した。その結果、全ての
溶液からの各原子の吸収は、機器の検出感度以下であ
り、各金属の溶出は認められなかった。
【0052】実施例 13(褪色試験) 約20mlの容積のバイアル瓶に、遊離塩素:10pp
m、塩化ナトリウム:0.9w/v%を含有する遊離塩
素溶液:10mlを入れ、実施例4で調製した触媒:1.
0gと共に、ソフトコンタクトレンズ(株式会社メニコ
ン製、メニコンソフトMA)2枚をその中に入れ、完全
に浸るようにした。そして、10時間浸漬した後、遊離
塩素溶液を捨て、新しい遊離塩素溶液:10mlを入れる
というサイクルを10回繰り返した。なお、比較のた
め、触媒を用いずに同様の操作を行なった。
【0053】その結果、触媒を入れていない方のレンズ
は明らかにカラーの褪色が認められたが、触媒を入れた
方のレンズは何も処理しないレンズ(Blank)と同
等のカラーを維持し、カラーレンズに対しても安全に使
用できることが判った。
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従うソフトコンタクトレンズの処理方法にあっては、
処理溶液に含有される遊離塩素の殺菌力及び洗浄力によ
って、ソフトコンタクトレンズの消毒洗浄を効果的に行
ないつつ、該処理溶液にコバルト、銅及びマンガンから
選ばれる金属触媒を接触させるだけの簡便な操作で、遊
離塩素を漸次還元せしめ、無毒化することができる。そ
れ故、処理操作が簡便で、安全性が高く、ソフトコンタ
クトレンズの無菌性が良好に保たれ得るのであり、更に
は、遊離塩素の還元が極めて速やかに行なわれ得ること
から、レンズダメージを極力少なくすることができるの
である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソフトコンタクトレンズの殺菌に有効な
    量の遊離塩素を含有する処理溶液中に、ソフトコンタク
    トレンズを浸漬した後に、若しくはかかる浸漬と同時
    に、該処理溶液に、遊離塩素を還元するコバルト、銅及
    びマンガンから選ばれる金属触媒を接触させることを特
    徴とするソフトコンタクトレンズの処理方法。
  2. 【請求項2】 前記処理溶液中に、ソフトコンタクトレ
    ンズを殺菌し且つ該レンズに付着する蛋白質等の有機物
    の汚れを除去するのに有効な量の遊離塩素を含有せしめ
    たことを特徴とする請求項1記載のソフトコンタクトレ
    ンズの処理方法。
  3. 【請求項3】 前記処理溶液のpHを生理的に等張な
    6.0〜7.5に調整した後、該処理溶液中にソフトコ
    ンタクトレンズを浸漬せしめ、そして該浸漬の後に若し
    くは該浸漬と同時に、該処理溶液に遊離塩素を還元する
    コバルト、銅及びマンガンから選ばれる金属触媒を接触
    させて、該処理溶液中に存在する遊離塩素が0.5pp
    m以下になるまでソフトコンタクトレンズを保持するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のソフトコンタクト
    レンズの処理方法。
  4. 【請求項4】 前記処理溶液中の遊離塩素の濃度が、2
    ppm〜50ppmの範囲であることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載のソフトコンタクトレンズの
    処理方法。
  5. 【請求項5】 前記金属触媒が、無機担体に担持されて
    いることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の
    ソフトコンタクトレンズの処理方法。
JP3326438A 1991-05-02 1991-11-14 ソフトコンタクトレンズの処理方法 Pending JPH0519218A (ja)

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