JPH0519111A - 反射鏡の生産方法 - Google Patents

反射鏡の生産方法

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JPH0519111A
JPH0519111A JP19611591A JP19611591A JPH0519111A JP H0519111 A JPH0519111 A JP H0519111A JP 19611591 A JP19611591 A JP 19611591A JP 19611591 A JP19611591 A JP 19611591A JP H0519111 A JPH0519111 A JP H0519111A
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亜紀 佐々木
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泉 三神
Yukioki Asari
幸起 浅里
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    • G02B7/18Mountings, adjusting means, or light-tight connections, for optical elements for prisms; for mirrors
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B26/00Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements
    • G02B26/06Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements for controlling the phase of light
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/08Mirrors

Abstract

(57)【要約】 【目的】 反射鏡面の熱変形、あるいは該熱変形を空間
周波数の級数に展開して補正した後に残る残留熱変形を
最小にする反射鏡の生産方法を得ることを目的とする。 【構成】 行列方程式の対称行列における各固有ベクト
ルごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に対応さ
せてその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及び小さ
い順に並べたときの変位の2乗和を算出し、その変位の
2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの成分に従
ってその部分鏡材を配置して貼り合わせるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば反射望遠鏡等
に用いられる反射鏡を部分鏡材を貼り合わせて構成する
際、各部分鏡材の熱膨張係数の違いによって生ずる熱変
形が最小になるように部分鏡材を配置して貼り合わせる
反射鏡の生産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の反射鏡を生産する明確な方法はな
く、個々の場合に応じて直感的に部分鏡材の配置を決定
して貼り合わせていた。
【0003】図6は部分鏡材を貼り合わせて構成される
反射鏡を示す斜視図であり、同図(a)に示すような正
六角形の部分鏡材2(以下、スタックという)を複数個
貼り合わせて同図(b)に示すように構成している。そ
して、この反射鏡1の表面は、天体から到達する可視
光,赤外線等の電磁波を反射して焦点を結ぶように、観
測波長の1/100程度の精度で、例えば放物面,双曲
面に研磨されている。
【0004】この反射鏡1の表面が完全な放物面等に設
定されていれば、天体からの入射電磁波は幾何学的には
一点(焦点)に集束するが、実際には、光の回折現象に
より天体の星像の直径は零にはならず、該反射鏡1の口
径Dと入射電磁波の波長λで決まる理論限界がある。
【0005】この理論限界FWHM(Full Width at Ha
lfMaximum) は一般に次のように表わされる。
【0006】
【数1】
【0007】このFWHMは図7に示すように光の強度
分布における強度が最高強度の1/2になる時の幅であ
る。従って、星像の大きさの理論限界は前記反射鏡1の
口径Dと入射電磁波の波長λで決まり、該口径Dが大き
くなるほど小さくなり、また、集光力が高まるため、該
反射鏡1の大口径化は星像を小さくすることで、分解能
の向上,検出限界の向上、さらには露出時間の短縮のた
めにも重要な意義を有する。
【0008】しかし、実際には、スタック2の熱膨張係
数が零でないため、温度が変化すると反射鏡1は熱変形
を生じることになる。ここで、各スタック2の熱膨張係
数が等しければ各スタック2は相似形に変形するため反
射鏡1の焦点位置が移動するだけで、結像精度は劣化し
ないが、実際には、各スタック2ごとに熱膨張係数が異
なるため反射鏡1は不均一な熱変形を生じることにな
る。また、反射鏡1の口径が大きい場合は、スタック2
の数が増えるためそれだけ変形が複雑になるとともに少
しの傾きでも変形量としては大きなものとなる。
【0009】従って、このような熱変形が生じると、天
体から入射される光は散乱され、星像は図8(b)に示
すような強度分布となり、ぼやけた像となってしまうた
め、該反射鏡1を大口径化しても前述した利点が生かせ
なくなる。
【0010】また、このような不均一な熱変形をおこす
スタック2の熱膨張係数の不均一性の主なものとして、
各スタック2の厚み方向の熱膨張係数の勾配が異なるも
の(バイメタル的な変形の原因となる)、また、各スタ
ック2内の熱膨張係数がばらついているものがあり、該
熱変形を極力抑える方法として、図9に示すようなスタ
ック配置が考えられる(第1の従来例)。
【0011】図9において、各スタック2に付けられた
番号(1〜37)はそれぞれ各スタック2の平均熱膨張
係数(以下熱膨張係数という)(α1 ……α37)を示し
ており、その熱膨張係数の大きなもの(α1 ≧α2 ……
α37)から順に3グループ(クロス斜線の網掛け、点々
による網掛け、網掛けなし)に分けて示してある。
【0012】この方法によれば、熱膨張係数が大きなグ
ループに属するスタック2の周囲に、熱膨張係数が中く
らいのグループ、小さなグループに属するスタック2を
配している。このようにすると、熱膨張係数の大きなグ
ループに属するスタック2の大きな熱膨張が、周囲のス
タック2の小さな熱膨張によって緩和されることになり
変形が局所的となり、直感的に変形量は、分布が片寄っ
ている場合よりはるかに小さなものとなると期待でき
る。
【0013】また、図10は熱変形を補正すアクチュエ
ータを備えた反射鏡の断面図であり(第2の従来例)、
1は反射鏡、3は反射鏡1の裏面にとりつけられた温度
センサ、4は温度センサ3により得られる反射鏡1の温
度測定値から補正力を計算する処理部、5はアクチュエ
ータコントローラ、6は反射鏡1に補正力を加えて熱変
形を補正するアクチュエータである。
【0014】この方法によれば、熱変形を補正する際、
変形をすべて補正しようとするとピッチの小さな凹凸も
補正することになり大きな補正力が必要となり現実的で
ないため、変形を空間周波数の関数である、有限項また
は無限項の級数に展開し、凹凸のピッチの大きな項のみ
とり出して補正している。このとき、補正されずに残っ
たピッチの小さな凹凸が鏡面の残留変形となり、星像の
質を劣化させる。
【0015】また、図11は前述したように凹凸のピッ
チの大きな項のみ補正する場合に、熱変形が凹凸のピッ
チの大きな項に集中すると直感的に予測された部分鏡材
の配置であり、図中、各スタック2に付けられた番号
(1〜37)は前述した図9と同様である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の反射鏡の生産方
法は以上のように構成されているので、各スタックにつ
いて直感的な配置決定しか行えないため、必ずしも熱変
形を最小とするような配置になっていないなどの課題が
あった。
【0017】この発明は上記のような課題を解消するた
めになされたもので、反射鏡面の熱変形、あるいは該熱
変形を空間周波数の級数に展開して補正した後に残る残
留熱変形を最小にする反射鏡の生産方法を得ることを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る反射鏡の生産方法は、反射鏡の鏡面上の複数のサンプ
ル点における変位の2乗和と、全部分鏡材における熱膨
張係数の平均値と各部分鏡材の熱膨張係数との偏差を成
分とし、その成分が各部分鏡材の配置位置に対応してい
る熱膨張係数ベクトルとを行列方程式で定式化し、その
行列方程式の対称行列における各固有ベクトルごとに、
その固有ベクトルの成分の小さい順に対応させてその熱
膨張係数ベクトルの成分の大きい順及び小さい順に並べ
たときの変位の2乗和を算出し、その変位の2乗和が最
も小さくなる熱膨張係数ベクトルの成分に従ってその部
分鏡材を配置して貼り合わせるものである。
【0019】また、請求項2記載の発明に係る反射鏡の
生産方法は、反射鏡の熱変形を空間周波数の関数である
有限項あるいは無限項の級数に展開し、そのうち所定の
項を補正した後の残留変形量を示す残留変形ベクトルの
成分の2乗和と、全部分鏡材における熱膨張係数の平均
値と各部分鏡材の熱膨張係数との偏差を成分とし、その
成分が各部分鏡材の配置位置に対応している熱膨張係数
ベクトルとを行列方程式で定式化し、その行列方程式の
対称行列における各固有ベクトルごとに、その固有ベク
トルの成分の小さい順に対応させてその熱膨張係数ベク
トルの成分の大きい順及び小さい順に並べたときの残留
変形ベクトルの成分の2乗和を算出し、その残留変形ベ
クトルの成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベク
トルの成分に従ってその部分鏡材を配置して貼り合わせ
たものである。
【0020】また、請求項3記載の発明に係る反射鏡の
生産方法は、熱膨張係数ベクトルの成分を各部分鏡材の
厚さ方向の熱膨張係数の勾配としたものである。
【0021】
【作用】請求項1,2及び3記載の発明における反射鏡
の生産方法は、行列方程式の対称行列における各固有ベ
クトルごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に対
応させてその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及び
小さい順に並べたときの変位又は残留変形ベクトルの成
分の2乗和を算出し、その変位又は残留変形ベクトルの
成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの成
分に従って部分鏡材を配置して貼り合わせるようにした
ことにより、反射鏡の鏡面の熱変形量又は補正後の残留
熱変形量が最小となる。
【0022】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は37個のスタック2から構成される反射鏡
1を示す平面図であり、図中、各スタック2に付けられ
た番号(1〜37)は該反射鏡1内での位置を示す(平
均熱膨張係数ではない)。
【0023】次に、請求項(1)の発明の動作について
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0024】ここで、スタック位置にそれぞれ配置すべ
き37個のスタック2の熱膨張係数の平均値と各スタッ
ク2の熱膨張係数との偏差を大きい順にΔα1 ,Δ
α2 ,……,Δα37(Δα1 ≧Δα2 ≧……≧Δα37
とし、反射鏡1の鏡面上に略等間隔になるように、例え
ば1000個設定された各熱変位測定点(サンプル点)
での変位をΔZK K=1,・・・・1000)とする。従って、ス
タック位置を決定するということは、偏差Δαi
i=1,・・・・37) を図1のスタック位置に対応付けるという
ことになる。
【0025】まず、各スタック2にそれぞれ熱膨張係数
Δαj j=1,・・・・37) を与えると、有限要素法によって
温度TがΔTだけ変化した場合の各熱変位測定点での変
位ΔZK K=1,・・・・1000)を計算することができること
から、該スタック2の熱膨張係数Δαj j=1,・・・・37)
によらない1000×37行列Sαを用いてΔαj
j=1,・・・・37) とΔZK K=1,・・・・1000)を関係付けるこ
とができる。
【0026】
【数2】
【0027】この式からもわかるように、行列Sαの第
1行は熱膨張係数ベクトル(Δα1 ,Δα2 ,……,Δ
α37)を(1,0,……,0)、ΔT=1℃としたとき
の変位ベクトル(ΔZ1 ,ΔZ2 ,……,ΔZ1000)を
計算することができ、以下、同様に(Δα1 ,Δα2
……,Δα37)=(0,1,0,……,0)、(0,
0,1,0,……,0)としたときのΔZK K=1,
・・・・1000)を計算することで、行列Sαの各行を計算す
ることができる(ステップST1)。
【0028】ここで、変位ベクトルU及び熱膨張係数ベ
クトルαを次のように定義すると、
【0029】
【数3】
【0030】従って、数2は次のように書ける。
【0031】
【数4】
【0032】また、変形の大小は、通常rms(root m
ean square)で評化することができ、この例では次のよ
うになる。
【0033】
【数5】
【0034】これにより、rmsを最も小さくするには
各変位の2乗和Σ(ΔZK )2,(K= 1,・・・・1000)を最も
小さくすればよいことがわかる。
【0035】
【数6】
【0036】この数6より、熱変形を最小にするには、
tα・ tSα・Sα・αの値を最小にすればよいこと
がわかる。ここで、R= tSα・Sαとおくと、この対
称行列Rは該熱膨張係数ベクトルαによらない37×3
7の対称行列となる(ステップST2)。従って、最適
配置の問題は、‖U‖2 tα・R・αを最小とするよ
うに、偏差Δα1 ……Δα37を熱膨張係数ベクトルαの
要素に並べるという問題になる。
【0037】次に、‖U‖2 が最小になる熱膨張係数ベ
クトルαの要素の並べ方について説明する。まず、‖U
2 は2次形式であり、その性質から、‖U‖2 は熱膨
張係数ベクトルαが対称行列Rの固有ベクトルと平行に
なったとき極小値となる。しかし、熱膨張係数ベクトル
αの並べかえの範囲でしか変化できないため、要素の並
べかえによる熱膨張係数ベクトルαのうちで、対称行列
Rの固有ベクトルに方向が最も近いものを求めることに
なる。
【0038】また、対称行列Rの固有ベクトルに方向が
最も近い熱膨張係数ベクトルαを求めるに際しては、内
積を利用することにより求めることができる。ここで、
Rの固有ベクトルをx,αとxのなす角をθとするとθ
が0かπに最も近いαを求めればよい。ところが今、 (α,x)=|α‖x|cos θ ただし、(α,x)は、内積を示す。であるから、xに
最も近いα(α,x)の最大値または最小値を与えるα
として求めればよい。このような並べ方は次のようにし
て得られる。
【0039】「補題」(成分の並べ換えによる内積の最
大化)(α,x)を最大にする並べ方は、xの成分の小
さい順に対応して、Δαi を小さい方から順に並べる。
【0040】「証明」熱膨張係数ベクトルα,Rの固有
ベクトルxを以下に示すように並べたとき、
【0041】
【数7】
【0042】内積の任意の2項を、αi i +αj j
とする。ただし、 αj =αi +Δα(Δα≧0) xj =xi +Δx(Δx≧0) とおく(xの成分の大小順とαの成分の大小順は対応し
ているので、αj がαi より大きいなら必ずxj はxi
より大きいので、このようにおける)。αの成分を置換
するとこの2項はαj i +αi j となる。こ
のとき、
【0043】
【数8】
【0044】よって、数7から成分の並べ換えを行うと
内積は必ず減少する。ゆえに数7が内積を最大にする並
べ方である。
【0045】「補題」(成分の並べ換えによる内積の最
小化)(α,x)を最小にする並べ方は、xの成分の小
さい順に対応して、Δαi を大きい方から順に並べる。
【0046】「証明」熱膨張係数α,Rの固有ベクトル
xを以下に示すように並べたとき、
【0047】
【数9】
【0048】内積の任意の2項を、αi i +αj j
とする。ただし、 αj =αi +Δα(Δα≧0) xj =xi −Δx(Δx≧0) とおく(xの成分の大小順とαの成分の大小順は逆に対
応しているので、αj がαi より大きいなら必ずxj
i より小さいので、このようにおける)。αの成分を
置換するとこの2項はαj i +αi j とな
る。このとき、
【0049】
【数10】
【0050】よって、数9から成分の並べ換えを行うと
内積は必ず増大する。ゆえに数9が内積を最小にする並
べ方である。
【0051】従って、上記の2補題から最適配置を求め
るには以下の手順をとればよいことが分かる。 (1)xの成分の小さい順に対応して、αの成分を小さ
い方から順に並べる。これをα1 とする。 (2)xの成分の小さい順に対応して、αの成分を大き
い方から順に並べる。これをα2 とする。 (3)すべての固有ベクトルについてそれぞれα1 とα
2 ができる。それぞれについて‖U‖2 tαRαを計
算し‖U‖2 を最も小さくするαを選べばよい(ステッ
プST3,ST4)。
【0052】最後に、‖U‖2 を最も小さくするαの成
分に従って各スタック2を配置して貼り合わせる(ステ
ップST5)。
【0053】実施例2.次に、請求項2記載の発明の動
作について説明する。
【0054】この発明は、熱変形をモード展開し、所定
の項を補正をする際、補正後に残る変形が最小になるよ
うに各スタック2を配置するものである。
【0055】まず、変位ベクトルUと熱膨張係数ベクト
ルαの関係は、前述したように、 U=Sα・α・ΔT となり、補正後の残留変形は、この変位ベクトルUから
補正量を引いたものであるため、残留変形と熱膨張係数
ベクトルαの関係を求めるには、補正量と熱膨張係数ベ
クトルαの関係を求めればよいことになる。
【0056】以下、具体的に1次から32次までのモー
ドを補正する場合について説明する。
【0057】変位ベクトルUは、無限項の固有振動モー
ドの重ね合わせとして表現することができ、m番目の固
有振動モードの変形パターンqm を変位ベクトルUと同
じ座標点の変位qmiで表わすとすると次のようになる。
【0058】
【数11】
【0059】また、展開係数(振動モードの振幅に相当
する)をAm とすると、変位ベクトルUは固有振動モー
ドの重ね合わせとして、次のように表わせる。
【0060】
【数12】
【0061】この変位ベクトルUのうち、32次までの
成分が補正量となる。
【0062】
【数13】
【0063】また、これを、次のようにおくと、
【0064】
【数14】
【0065】補正量=Q・A と書ける。ところで、熱
膨張係数ベクトルαと変位ベクトルUは、数4に示され
るように線型の関係にあり、変位ベクトルUと展開級数
Aも線型の関係にあるため、熱膨張係数ベクトルαと展
開級数Aも線型の関係となる。従って、ある行列Pαを
用いて下記のように結びつけることができる。
【0066】
【数15】
【0067】ここで、Pαは次のように計算できる。P
αの第1行目は熱膨張係数ベクトルαを(1,0,0,
……0)としたときの熱変形(前述のSαの第1行目と
同じ)を固有振動モードで展開した展開級数であり、熱
変形は有限要素法で計算し、モード展開は最小2乗法に
よるフィッティングなどの方法で計算する。第2行目は
α=(0,1,0,……0)として同様に計算できる。
【0068】これにより、補正量Q・Aは、熱膨張係数
ベクトルαと結びつけることができる。 Q×A=Q・Pα・α・ΔT よって、残留変形ベクトルUz は、変位ベクトルUから
補正量を引き算をすると次のように表わせる。
【0069】
【数16】
【0070】従って、実施例1の変位ベクトルUの代り
に、この残留変形ベクトルUz を用いることにより、実
施例1と同様に最適配置を求めることができる。以下実
施例1と同様のため説明を省略する。
【0071】なお、上記請求項1及び2記載の実施例1
及び2では、熱膨張係数ベクトルαとして各スタック2
の熱膨張係数の偏差を用いて、反射鏡1の熱変形量、あ
るいは補正後の残留熱変形量を最小にする反射鏡の生産
方法について説明したが、該熱膨張係数ベクトルαとし
て各スタック2の厚さ方向の熱膨張係数の勾配を用いて
も同様の効果を奏する。
【0072】また、熱膨張係数ベクトルαとして前記各
スタック2の厚さ方向の熱膨張係数の勾配を用いた場合
に、熱変形の固有振動モードの第1次から第32次まで
を補正した後の残留変形量を最小にするスタック配置に
より貼り合わせた例を図5に示す。
【0073】なお、図5において、各スタック2に付け
られた符号Δα1 〜Δα37,(Δα1 ≧Δα2 ≧Δ
α37)は該各スタックの厚さ方向の熱膨張係数の勾配の
大きさを示す。
【0074】
【発明の効果】以上のように、請求項1,2及び3記載
の発明によれば、行列方程式の対称行列における各固有
ベクトルごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に
対応させてその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及
び小さい順に並べたときの変位又は残留変形ベクトルの
成分の2乗和を算出し、その変位又は残留変形ベクトル
の成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの
成分に従って部分鏡材を配置して貼り合わせるようにし
たので、各スタックの最適配置が解折的に求められ、熱
変形又は補正後の残留変形量が最小となる反射鏡が確実
に得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射鏡におけるスタックの配置位置を示す平面
図である。
【図2】請求項1記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の工程を説明するフローチャートである。
【図3】反射鏡の固有振動モードの各モードにおける等
高線図の一例を示す平面図である。
【図4】請求項2記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の工程を説明するフローチャートである。
【図5】請求項3記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の実施結果を示す平面図である。
【図6】反射鏡の構成を示す斜視図である。
【図7】反射鏡面に熱変形がない場合の星像の強度分布
を示す特性図である。
【図8】熱変形した場合の反射鏡の断面図及びその星像
の強度分布を示す分布図である。
【図9】第1の従来例の反射鏡の部分鏡材の生産方法に
よるスタック配置を示す斜視図である。
【図10】第2の従来例による熱変形を補正するアクチ
ュエータを備えた反射鏡の断面を示す断面図である。
【図11】図10の第2の従来例によるスタック配置の
一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 反射鏡 2 スタック(部分鏡材)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 反射鏡の生産方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば反射望遠鏡等
に用いられる反射鏡を部分鏡材を貼り合わせて構成する
際、各部分鏡材の熱膨張係数の違いによって生ずる熱変
形が最小になるように部分鏡材を配置して貼り合わせる
反射鏡の生産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の反射鏡を生産する明確な方法はな
く、個々の場合に応じて直感的に部分鏡材の配置を決定
して貼り合わせていた。
【0003】図6は部分鏡材を貼り合わせて構成される
反射鏡を示す斜視図であり、同図(a)に示すような正
六角形の部分鏡材2(以下、スタックという)を複数個
貼り合わせて同図(b)に示すように構成している。そ
して、この反射鏡1の表面は、天体から到達する可視
光,赤外線等の電磁波を反射して焦点を結ぶように、観
測波長の1/100程度の精度で、例えば放物面,双曲
面に研磨されている。
【0004】この反射鏡1の表面が完全な放物面等に設
定されていれば、天体からの入射電磁波は幾何学的には
一点(焦点)に集束するが、実際には、光の回折現象に
より天体の星像の直径は零にはならず、該反射鏡1の口
径Dと入射電磁波の波長λで決まる理論限界がある。
【0005】この理論限界FWHM(Full Width at Ha
lfMaximum) は一般に次のように表わされる。
【0006】
【数1】
【0007】このFWHMは図7に示すように光の強度
分布における強度が最高強度の1/2になる時の幅であ
る。従って、星像の大きさの理論限界は前記反射鏡1の
口径Dと入射電磁波の波長λで決まり、該口径Dが大き
くなるほど小さくなり、また、集光力が高まるため、該
反射鏡1の大口径化は星像を小さくすることで、分解能
の向上,検出限界の向上、さらには露出時間の短縮のた
めにも重要な意義を有する。
【0008】しかし、実際には、スタック2の熱膨張係
数が零でないため、温度が変化すると反射鏡1は熱変形
を生じることになる。ここで、各スタック2の熱膨張係
数が等しければ各スタック2は相似形に変形するため反
射鏡1の焦点位置が移動するだけで、結像精度は劣化し
ないが、実際には、各スタック2ごとに熱膨張係数が異
なるため反射鏡1は不均一な熱変形を生じることにな
る。また、反射鏡1の口径が大きい場合は、スタック2
の数が増えるためそれだけ変形が複雑になるとともに少
しの傾きでも変形量としては大きなものとなる。
【0009】従って、このような熱変形が生じると、天
体から入射される光は散乱され、星像は図8(b)に示
すような強度分布となり、ぼやけた像となってしまうた
め、該反射鏡1を大口径化しても前述した利点が生かせ
なくなる。
【0010】また、このような不均一な熱変形をおこす
スタック2の熱膨張係数の不均一性の主なものとして、
各スタック2の厚み方向の熱膨張係数の勾配が異なるも
の(バイメタル的な変形の原因となる)、また、各スタ
ック2の平均熱膨張係数がばらついているものがあり、
該熱変形を極力抑える方法として、図9に示すようなス
タック配置が考えられる(第1の従来例)。
【0011】図9において、各スタック2に付けられた
番号(Δα1 〜Δα37 )はそれぞれ全スタックにおける
熱膨張係数の平均値と各スタック2の平均熱膨張係数
の偏差(以下熱膨張係数という)(Δα1 ……Δα37
を示しており、その熱膨張係数の大きなもの(Δα1
Δα2 ……Δα37)から順に3グループ(クロス斜線の
網掛け、点々による網掛け、網みかけなし)に分けて示
してある。
【0012】この方法によれば、熱膨張係数が大きなグ
ループに属するスタック2の周囲に、熱膨張係数が中く
らいのグループ、小さなグループに属するスタック2を
配している。このようにすると、熱膨張係数の大きなグ
ループに属するスタック2の大きな熱膨張が、周囲のス
タック2の小さな熱膨張によって緩和されることになり
変形が局所的となり、直感的に変形量は、分布が片寄っ
ている場合よりはるかに小さなものとなると期待でき
る。
【0013】また、図10は熱変形を補正すアクチュ
エータを備えた反射鏡の断面図であり(第2の従来
例)、1は反射鏡、3は反射鏡1の裏面にとりつけられ
た温度センサ、4は温度センサ3により得られる反射鏡
1の温度測定値から補正力を計算する処理部、5はアク
チュエータコントローラ、6は反射鏡1に補正力を加え
て熱変形を補正するアクチュエータである。
【0014】この方法によれば、熱変形を補正する際、
変形をすべて補正しようとするとピッチの小さな凹凸も
補正することになり大きな補正力が必要となり現実的で
ないため、変形を空間周波数の関数である、有限項また
は無限項の級数に展開し、凹凸のピッチの大きな項のみ
とり出して補正している。このとき、補正されずに残っ
たピッチの小さな凹凸が鏡面の残留変形となり、星像の
質を劣化させる。
【0015】また、図11は前述したように凹凸のピッ
チの大きな項のみ補正する場合に、熱変形が凹凸のピッ
チの大きな項に集中すると直感的に予測された部分鏡材
の配置であり、図中、各スタック2に付けられた番号
Δα1 〜Δα37 )は前述した図9と同様である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来の反射鏡の生産方
法は以上のように構成されているので、各スタックにつ
いて直感的な配置決定しか行えないため、必ずしも熱変
形を最小とするような配置になっていないなどの課題が
あった。
【0017】この発明は上記のような課題を解消するた
めになされたもので、反射鏡面の熱変形、あるいは該熱
変形を空間周波数の級数に展開して補正した後に残る残
留熱変形を最小にする反射鏡の生産方法を得ることを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る反射鏡の生産方法は、反射鏡の鏡面上の複数のサンプ
ル点における変位の2乗和と、全部分鏡材における熱膨
張係数の平均値と各部分鏡材の熱膨張係数の平均値との
偏差を成分とし、その成分が各部分鏡材の配置位置に対
応している熱膨張係数ベクトルとを行列方程式で定式化
し、その行列方程式の対称行列における各固有ベクトル
ごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に対応させ
てその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及び小さい
順に並べたときの変位の2乗和を算出し、その変位の2
乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの成分に従っ
てその部分鏡材を配置して貼り合わせるものである。
【0019】また、請求項2記載の発明に係る反射鏡の
生産方法は、反射鏡の熱変形を空間周波数の関数である
有限項あるいは無限項の級数に展開し、そのうち所定の
項を補正した後の残留変形量を示す残留変形ベクトルの
成分の2乗和と、全部分鏡材における熱膨張係数の平均
値と各部分鏡材の熱膨張係数の平均値との偏差を成分と
し、その成分が各部分鏡材の配置位置に対応している熱
膨張係数ベクトルとを行列方程式で定式化し、その行列
方程式の対称行列における各固有ベクトルごとに、その
固有ベクトルの成分の小さい順に対応させてその熱膨張
係数ベクトルの成分の大きい順及び小さい順に並べたと
きの残留変形ベクトルの成分の2乗和を算出し、その残
留変形ベクトルの成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張
係数ベクトルの成分に従ってその部分鏡材を配置して貼
り合わせたものである。
【0020】また、請求項3記載の発明に係る反射鏡の
生産方法は、熱膨張係数ベクトルの成分を各部分鏡材の
厚さ方向の熱膨張係数の勾配としたものである。
【0021】
【作用】請求項1,2及び3記載の発明における反射鏡
の生産方法は、行列方程式の対称行列における各固有ベ
クトルごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に対
応させてその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及び
小さい順に並べたときの変位又は残留変形ベクトルの成
分の2乗和を算出し、その変位又は残留変形ベクトルの
成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの成
分に従って部分鏡材を配置して貼り合わせるようにした
ことにより、反射鏡の鏡面の熱変形量又は補正後の残留
熱変形量が最小となる。
【0022】
【実施例】 実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明
する。図1は37個のスタック2から構成される反射鏡
1を示す平面図であり、図中、各スタック2に付けられ
た番号(Δα1 〜Δα37 )は該反射鏡1内での位置を示
す(平均熱膨張係数ではない)。
【0023】次に、請求項(1)の発明の動作について
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0024】ここで、スタック位置にそれぞれ配置すべ
き37個のスタック2の熱膨張係数の平均値と各スタッ
ク2の熱膨張係数の平均値との偏差(以下、熱膨張係数
という)を大きい順にΔα1 ,Δα2 ,……,Δα
37(Δα1 ≧Δα2 ≧……≧Δα37)とし、反射鏡1の
鏡面上に略等間隔になるように、例えば1000個設定
された各熱変位測定点(サンプル点)での変位をΔZK
K=1,・・・・1000)とする。従って、スタック位置を決定
するということは、偏差Δαi i=1,・・・・37) を図1の
スタック位置に対応付けるということになる。
【0025】まず、各スタック2にそれぞれ熱膨張係数
Δαj j=1,・・・・37) を与えると、有限要素法によって
温度TがΔTだけ変化した場合の各熱変位測定点での変
位ΔZK K=1,・・・・1000)を計算することができること
から、該スタック2の熱膨張係数Δαj j=1,・・・・37)
によらない1000×37行列Sを用いてΔαj j=
1,・・・・37) とΔZK K=1,・・・・1000)を関係付けること
ができる。
【0026】
【数2】
【0027】この式からもわかるように、行列Sαの第
1行は熱膨張係数ベクトル(Δα1 ,Δα2 ,……,Δ
α37)を(1,0,……,0)、ΔT=1℃としたとき
の変位ベクトル(ΔZ1 ,ΔZ2 ,……,ΔZ1000
して計算することができ、以下、同様に(Δα1 ,Δα
2 ,……,Δα37)=(0,1,0,……,0)、
(0,0,1,0,……,0)としたときのΔZK
K=1,・・・・1000)を計算することで、行列Sαの各行を計
算することができる(ステップST1)。
【0028】ここで、変位ベクトルU及び熱膨張係数ベ
クトルαを次のように定義すると、
【0029】
【数3】
【0030】従って、数2は次のように書ける。
【0031】
【数4】
【0032】また、変形の大小は、通常変位のrms
(root mean square)で評することができ、この例で
は次のようになる。
【0033】
【数5】
【0034】これにより、rmsを最も小さくするには
各変位の2乗和Σ(ΔZK )2,(K= 1,・・・・1000)を最も
小さくすればよいことがわかる。
【0035】
【数6】
【0036】この数6より、熱変形を最小にするには、
tα・ tS・S・αの値を最小にすればよいことがわ
かる。ここで、R= t・Sとおくと、この対称行列R
は該熱膨張係数ベクトルαによらない37×37の対称
行列となる(ステップST2)。従って、最適配置の問
題は、‖U‖2 tα・R・αを最小とするように、偏
差Δα1 ……Δα37を熱膨張係数ベクトルαの要素に並
べるという問題になる。
【0037】次に、‖U‖2 が最小になる熱膨張係数ベ
クトルαの要素の並べ方について説明する。まず、‖U
2 は2次形式であり、その性質から、‖U‖2 は熱膨
張係数ベクトルαが対称行列Rの固有ベクトルと平行に
なったとき特異値(極小値,極大値または変曲点)をと
る。そこで、固有ベクトルと平行になるαをすべて調べ
て、その中から‖U‖2 を最小にするものを選べばよ
い。しかし、熱膨張係数ベクトルαは、要素の並べかえ
の範囲でしか変化できないため、要素の並べかえによる
熱膨張係数ベクトルαのうちで、対称行列Rの固有ベク
トルに方向が最も近いものを求めることになる。
【0038】また、対称行列Rの固有ベクトルに方向が
最も近い熱膨張係数ベクトルαを求めるに際しては、内
積を利用することにより求めることができる。ここで、
Rの固有ベクトルをx,αとxのなす角をθとするとθ
が0かπに最も近いαを求めればよい。ところが今、 (α,x)=|α‖x|cos θ ただし、(α,x)は、内積を示す。であるから、xに
最も近いα(α,x)の最大値または最小値を与えるα
として求めればよい。このような並べ方は次のようにし
て得られる。
【0039】「補題」(成分の並べ換えによる内積の最
大化)(α,x)を最大にする並べ方は、xの成分の小
さい順に対応して、Δαi を小さい方から順に並べる。
【0040】「証明」Rの固有ベクトルxの成分の小さ
い順に対応するように、Δdi を小さい方から順に並べ
て、熱膨張係数ベクトルを構成する。その時、
【0041】
【数7】
【0042】内積の任意の2項を、αi i +αj j
とする。ただし、 αj =αi +Δα(Δα≧0) xj =xi +Δx(Δx≧0) とおく(xの成分の大小順とαの成分の大小順は対応し
ているので、αj がαi より大きいなら必ずxj はxi
より大きいので、このようにおける)。αの成分を置換
するとこの2項はαj i +αi j となる。こ
のとき、
【0043】
【数8】
【0044】よって、数7から成分の並べ換えを行うと
内積は必ず減少する。ゆえに数7が内積を最大にする並
べ方である。
【0045】「補題」(成分の並べ換えによる内積の最
小化)(α,x)を最小にする並べ方は、xの成分の小
さい順に対応して、Δαi を大きい方から順に並べる。
【0046】「証明」Rの固有ベクトルxの成分の小さ
い順に対応するように、Δdi を大きい方から順に並べ
て、熱膨張係数ベクトルを構成する。その時、
【0047】
【数9】
【0048】内積の任意の2項を、αi i +αj j
とする。ただし、 αj =αi +Δα(Δα≧0) xj =xi −Δx(Δx≧0) とおく(xの成分の大小順とαの成分の大小順は逆に対
応しているので、αj がαi より大きいなら必ずxj
i より小さいので、このようにおける)。αの成分を
置換するとこの2項はαj i +αi j とな
る。このとき、
【0049】
【数10】
【0050】よって、数9から成分の並べ換えを行うと
内積は必ず増大する。ゆえに数9が内積を最小にする並
べ方である。
【0051】従って、上記の2補題から最適配置を求め
るには以下の手順をとればよいことが分かる。 (1)xの成分の小さい順に対応して、αの成分を小さ
い方から順に並べる。これをα1 とする。 (2)xの成分の小さい順に対応して、αの成分を大き
い方から順に並べる。これをα2 とする。 (3)すべての固有ベクトルについてそれぞれα1 とα
2 ができる。それぞれについて‖U‖2 tαRαを計
算し‖U‖2 を最も小さくするαを選べばよい(ステッ
プST,ST)。
【0052】最後に、‖U‖2 を最も小さくするαの成
分に従って各スタック2を配置して貼り合わせる(ステ
ップST)。
【0053】実施例2.次に、請求項2記載の発明の動
作について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0054】この発明は、熱変形をモード展開し、所定
の項を補正をする際、補正後に残る変形が最小になるよ
うに各スタック2を配置するものである。
【0055】まず、変位ベクトルUと熱膨張係数ベクト
ルαの関係は、前述したように、 U=S・α・ΔT となり、補正後の残留変形は、この変位ベクトルUから
補正量を引いたものであるため、残留変形と熱膨張係数
ベクトルαの関係を求めるには、補正量と熱膨張係数ベ
クトルαの関係を求めればよいことになる。
【0056】以下、具体的に固有振動モードの1次から
32次までのモードを補正する場合について説明する。
【0057】変位ベクトルUは、無限項の固有振動モー
ドの重ね合わせとして表現することができる。固有振動
モードは有限要素法を用いて計算することができる。固
有振動モードの変形パターンの例を図3に示す。m番目
の固有振動モードの変形パターンqm を変位ベクトルU
と同じ座標点の変位qmiで表わすとすると次のようにな
る。
【0058】
【数11】
【0059】また、展開係数(振動モードの振幅に相当
する)をAm とすると、変位ベクトルUは固有振動モー
ドの重ね合わせとして、次のように表わせる。
【0060】
【数12】
【0061】このうち、32次までの成分が補正量とな
る。
【0062】
【数13】
【0063】また、これを、次のようにおくと、
【0064】
【数14】
【0065】補正量=Q・A と書ける。そこで、ま
ず、有限要素法を用いて行列Qを計算しておく(ST1
2)。ところで、熱膨張係数ベクトルαと変位ベクトル
Uは、数4に示されるように線型の関係にあり、変位ベ
クトルUと展開数Aも線型の関係にあるため、熱膨張
係数ベクトルαと展開数Aも線型の関係となる。従っ
て、ある行列Pを用いて下記のように結びつけることが
できる。
【0066】
【数15】
【0067】ここで、Pは次のように計算できる。Pの
第1行目は熱膨張係数ベクトルαを(1,0,0,……
0)としたときの熱変形(前述のSの第1行目と同じ)
を固有振動モードで展開した展開数であり、熱変形は
有限要素法で計算し、モード展開は最小2乗法によるフ
ィッティングなどの方法で計算する。第2行目はα=
(0,1,0,……0)として同様に計算できる(ST
13)。
【0068】これにより、補正量Q・Aは、熱膨張係数
ベクトルαと結びつけることができる。Q×A=Q・P・α・ΔT よって、残留変形ベクトルUz は、変位ベクトルUから
補正量を引き算をすると次のように表わせる(ST1
)。
【0069】
【数16】
【0070】従って、実施例1の変位ベクトルUの代り
に、この残留変形ベクトルUz Sの代りにSz 用い
ることにより、実施例1と同様に最適配置を求めること
ができる。以下実施例1と同様のため説明を省略する。
【0071】なお、上記請求項1及び2記載の実施例1
及び2では、熱膨張係数ベクトルαとして各スタック2
平均熱膨張係数の偏差を用いて、反射鏡1の熱変形
量、あるいは補正後の残留熱変形量を最小にする反射鏡
の生産方法について説明したが、該熱膨張係数ベクトル
αとして各スタック2の厚さ方向の熱膨張係数の勾配を
用いても同様の効果を奏する。
【0072】また、熱膨張係数ベクトルαとして前記各
スタック2の厚さ方向の熱膨張係数の勾配を用いた場合
に、熱変形の固有振動モードの第1次から第32次まで
を補正した後の残留変形量を最小にするスタック配置に
より貼り合わせた例を図5に示す。
【0073】なお、図5において、各スタック2に付け
られた符号Δα1 〜Δα37,(Δα1 ≧Δα 2 ≧……
Δα37)は該各スタックの厚さ方向の熱膨張係数の勾配
の大きさを示す。
【0074】
【発明の効果】以上のように、請求項1,2及び3記載
の発明によれば、行列方程式の対称行列における各固有
ベクトルごとに、その固有ベクトルの成分の小さい順に
対応させてその熱膨張係数ベクトルの成分の大きい順及
び小さい順に並べたときの変位又は残留変形ベクトルの
成分の2乗和を算出し、その変位又は残留変形ベクトル
の成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクトルの
成分に従って部分鏡材を配置して貼り合わせるようにし
たので、各スタックの最適配置が解折的に求められ、熱
変形又は補正後の残留変形量が最小となる反射鏡が確実
に得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射鏡におけるスタックの配置位置を示す平面
図である。
【図2】請求項1記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の工程を説明するフローチャートである。
【図3】反射鏡の固有振動モードの各モードにおける等
高線図の一例を示す平面図である。
【図4】請求項2記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の工程を説明するフローチャートである。
【図5】請求項3記載の発明の一実施例による反射鏡の
生産方法の実施結果を示す平面図である。
【図6】反射鏡の構成を示す斜視図である。
【図7】反射鏡面に熱変形がない場合の星像の強度分布
を示す特性図である。
【図8】熱変形した場合の反射鏡の断面図及びその星像
の強度分布を示す分布図である。
【図9】第1の従来例の反射鏡の部分鏡材の生産方法に
よるスタック配置を示す斜視図である。
【図10】第2の従来例による熱変形を補正するアクチ
ュエータを備えた反射鏡の断面を示す断面図である。
【図11】図10の第2の従来例によるスタック配置の
一例を示す平面図である。
【符号の説明】 1 反射鏡 2 スタック(部分鏡材)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 部分鏡材を貼り合わせて反射鏡を構成す
    る際、その反射鏡の鏡面上の複数のサンプル点における
    変位の2乗和と、全部分鏡材における熱膨張係数の平均
    値と各部分鏡材の熱膨張係数との偏差を成分とし、その
    成分が各部分鏡材の配置位置に対応している熱膨張係数
    ベクトルとを行列方程式で定式化し、その行列方程式の
    対称行列における各固有ベクトルごとに、その固有ベク
    トルの成分の小さい順に対応させてその熱膨張係数ベク
    トルの成分の大きい順及び小さい順に並べたときの変位
    の2乗和を算出し、その変位の2乗和が最も小さくなる
    熱膨張係数ベクトルの成分に従ってその部分鏡材を配置
    して貼り合わせる反射鏡の生産方法。
  2. 【請求項2】 部分鏡材を貼り合わせて反射鏡を構成す
    る際、その反射鏡の熱変形を空間周波数の関数である有
    限項あるいは無限項の級数に展開し、そのうち所定の項
    を補正した後の残留変形量を示す残留変形ベクトルの成
    分の2乗和と、全部分鏡材における熱膨張係数の平均値
    と各部分鏡材の熱膨張係数との偏差を成分とし、その成
    分が各部分鏡材の配置位置に対応している熱膨張係数ベ
    クトルとを行列方程式で安定化し、その行列方程式の対
    称行列における各固有ベクトルごとに、その固有ベクト
    ルの成分の小さい順に対応させてその熱膨張係数ベクト
    ルの成分の大きい順及び小さい順に並べたときの残留変
    形ベクトルの成分の2乗和を算出し、その残留変形ベク
    トルの成分の2乗和が最も小さくなる熱膨張係数ベクト
    ルの成分に従ってその部分鏡材を配置して貼り合わせる
    反射鏡の生産方法。
  3. 【請求項3】 上記熱膨張係数ベクトルの成分を各部分
    鏡材の厚さ方向の熱膨張係数の勾配とした請求項1又は
    2記載の反射鏡の生産方法。
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