JPH05190Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はエアマツト、特に寝たきり老人や重病
人の寝床に適したエアーマツトに関するものであ
る。

＜従来の技術＞ 従来より寝たきり老人や重病人等の長期療養者
に生ずる褥瘡を防止するための空気マツトが種々
開発されている。

例えば１つの送気口を有し、該送気口より内部
全体に給気される空気マツトの表面に、マツトの
内部から連続して微量の空気が洩出可能な多数の
微細孔を設けたことを特徴とする床擦れ治療用空
気マツト（実公昭52−43195）が提案されている。
また、チユーブを並列した形状の上部空気室と同
様にチユーブを並列した形状の下部空気室との２
層構造からなり、上部空気室の上面にエアー噴出
孔を多数設け、下部空気室は密閉構造とし、上部
空気室は噴気と膨張収縮を行い、下部空気室は膨
張満を行うようにしたエアーマツト（実開昭60−
61028）も提案されている。

前者の空気マツトは空気の噴出によつて、床擦
れの治療に効果を有しているが、例えば冬期は噴
気用空気によつて療養者が寒く感ずる。そこで噴
気量を減らすとマツトとしての硬さ（クツシヨン
性）が減少して寝心地が悪くなる。このように噴
気量と寝心地とを同時に満足できるように調節す
ることが困難である。

後者のマツトは、先ず、上部空気室および下部
空気室にエアーを送ると、次第にエアーマツトが
弓状に反つてくる。また、療養者がエアーマツト
の上に坐つたり、介護人がエアマツトに肘をつい
たりしてマツトに部分的に荷重かかかると、下部
空気室同志が反り返る。このように後者のマツト
は敷設状態が悪かつたり、ふわふわした不安定感
を感ずる。

＜考案が解決しようとする課題＞ 本考案は上記のような不都合な点をなくし、空
気の噴出量とマツトのクツシヨン性を調節出来、
また空気膨満時あるいはマツトへの部分的な荷重
時にマツトの反りがなく、さらに臥床時の寝心地
も良好な床擦れ防止用の空気マツトを提供せんと
するものである。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は、図面に示す如く表面シート１、中央
シート２、および裏面シート３が接合され、表面
シート１と中央シート２とで形成された上面に多
数の空気噴気孔４を有する上部空気室５と、中央
シート２と裏面シート３とで形成された密閉した
下部空気室６とからなる空気マツトにおいて、上
部空気室５は表面シート１と中央シート２とが幅
方向に多数の破線状の接合部分７で接合された繰
り返し膨張−収縮作用のない空気室であり、下部
空気室６は、幅方向の多数の仕切りシート９を介
して中央シート２と裏面シート３が接合された状
態を有する空気室であつて、該仕切りシート９
は、幅方向の両端部で欠除され下部空気室内の幅
方向の両側に連通部１３を有し、上部空気室の破
線状接合部７が下部空気室の仕切りシートによる
接合部１０のほぼ中央に位置し、上部および下部
の空気室に各々給気パイプ１１，１２を介して空
気供給装置（図示せず）に接続されていることを
特徴とする空気マツトである。

なお、第１図は本考案の一部切除した斜視図で
あり、第２図は第１図のＡ−Ａの矢視図であり、
第３図は第１図のＢ−Ｂの矢視図であり第４図は
第１図の上部空気室の破線状の接合部の位置で切
断したＣ−Ｃ矢視図であり、第５図は、第１図の
下部空気室をＤ−Ｄの位置で水平方向に切断した
平面図である。

本考案における表面、中央および裏面シートは
気密性のシートであり、例えば合成樹脂シート、
合成樹脂シートまたはフイルムと布帛とをラミネ
ートしたシートが使用され、殊にマツト成形の容
易さから熱接着可能なものが選択される。

上部空気室５は表面シート１と中央シート２と
が幅方向に沿つて多数の破線状の接合部７で接合
されて空気室を形成し、上面に多数の空気の噴出
孔４をもつ。該上部空気室５は主として空気を噴
出させるためのもので、容積は大きい必要はな
く、むしろ、噴出空気量をコントロールする場合
の空気圧の変化でマツト表層部の硬さがマツト全
体としての硬さや寝心地感に大きい影響を与えな
い方が良い。このためには接合部７の間隔は５〜
10cmでチユーブ径が大きくなく、空気噴出量は均
一で上部空気室としては寝心地上、薄いことが望
ましい。

また該上部空気室の空気噴出孔４の配置は身体
に褥瘡の生じ易い箇所を考慮して行われる。

さらに、該上部空気室のチユーブ８は１本の給
気パイプ１１からの空気注入により一斉に膨張
し、空気噴出孔４より均一に空気を噴出させるこ
とが好ましい。

他方、下部空気室６はマツト自体の硬さ（クツ
シヨン性）を主として与えるための密閉空気室で
ある。本考案においては該下部空気室６はほゞ均
一な厚さのマツトの形態を保持し、反りを生じな
いようにするため中央シート２と裏面シート３と
を、仕切シート９を間に介在させて接合すること
により形成される。該下部空気室６も１本の給気
パイプ１２からの空気注入により膨満させるもの
で、仕切シート９は少なくとも巾方向の両端部で
は欠除されて下部空気室の両側に連通部１３を有
していることが必要である。下部空気室内の連通
部が両側にあると、下部空気室内の空気の流通が
容易となる。該下部空気室は所望の圧力で空気を
注入し、給気口を密栓しても良いが、圧力緩衝バ
ルブを介して連続的に給気するようにしてもよ
い。また、下部空気室の硬さ調節を容易にするた
め、該空気室、該空気室への給気パイプ、あるい
は空気供給装置内部の任意の場所に、微細な空気
噴出孔を設けてもよい。

また、本考案においては、上部空気室５の接合
部７と下部空気室の接合部１０とが互いにほゞ中
央に位置させたものであるが、この構造と下部空
気室を中央シートと裏面シートとを仕切シートに
より接合した構造との組合せにより、マツトの反
りがなく安定な形態での敷設及び使用が可能とな
る。

さらに、上部空気室は空気噴出のためのもので
比較的薄くてもよいが、上部空気室の空気圧が空
気噴出により、下部空気室の空気圧より低く下部
空気室の圧力によつて上部空気室を形成する表面
シートと中央シートとが一部密着することがあ
る。そのため上部空気室への空気の流れが悪くな
つて上部空気室が一斉に膨張し難くなつたり、上
部空気室の上面の空気噴出孔から均一に空気を噴
出し難くなつたりする。このため本考案では、上
部空気室は表面シートと中央シートとの幅方向の
接合部分を破線状にして上部空気室内への空気の
流入を容易にしている。破線状接合部分の長さ及
びピツチは破線状接合部の間隔と共に、マツトの
寝心地に影響する。破線状接合部の長さは１〜３
cm、そのピツチは２〜６cmが望ましい。また、マ
ツトの身体に接触する部分の接合部分は30〜50cm
の連続線にして、その他の部分の接合部分は１〜
３cm破線にする等の工夫もなされる。さらに上記
の接合部７は幅方向に一線上に配置することが望
ましいが長さ方向には一線上に配置していなくて
も良い。

本考案のマツトはそれぞれ上部空気室５、下部
空気室６に設けられた給気パイプ１１，１２を介
して空気供給装置（ポンプ）に接続され、空気が
供給される。該ポンプは１個で共用してもよい
し、また別々のものでもよい。なお、各給気パイ
プには公知の逆止弁や圧力あるいは流量の調節バ
ルブを有するものが好ましい。

＜作用および効果＞ 本考案のマツトは、所望のマツトの硬さ（クツ
シヨン性）及び空気の噴出量に応じて、空気圧を
調節しながら上部空気室および下部空気室に空気
を吹きこんで使用される。このとき、マツトの硬
さは主として下部空気室の空気圧によつて与えら
れる。空気噴出量の調節に伴う上部空気室の圧力
変化は該空気室を薄くすることができるので、使
用時の寝心地感に大きな影響を与えない。

また、上部空気室の接合部が破線状にあるので
上部空気室内の空気の均一な流れ、噴出孔よりの
空気の均一な噴出を求めることができる。

従つて、上部空気室の接合部の長さ、ピツチ、
及び間隔を設定することによつて、上部空気室内
の空気の流量、噴出孔よりの空気の噴出量、更に
マツトの寝心地も同時に求めることができる。し
かも前記した構造によつて、上下空気室の圧力差
やマツトに部分的に加えられる荷重によつてもマ
ツトの反りが生じたりすることがない。

このため、本考案のマツトは噴気による療養者
の皮膚の乾燥と、空気マツトとしてのクツシヨン
性とを同時に満足させることができ、療養者、特
に寝たきり老人や重病人のみならず、健康者の空
気マツトとしても好適に使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のマツトの一部切除した斜視
図、第２図、および第３図は第１図の各々Ａ−
A′およびＢ−B′の矢視図、第４図は上部空気室
の接合部の位置で切断したＣ−Ｃ矢視図であり、
第５図は、下部空気室を水平方向に切断した平面
図である。 １……表面シート、２……中央シート、３……
裏面シート、４……噴出孔、５……上部空気室、
６……下部空気室、７……上部空気室の接合部、
８……チユーブ、９……仕切シート、１０……下
部空気室の接合部、１１……上部空気室への給気
パイプ、１２……下部空気室への給気パイプ、１
３……下部空気室内の連通部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 表面シート、中央シートおよび裏面シートが接
   合され、表面シートと中央シートとで形成された
   上面に多数の空気噴気孔を有する上部空気室と、
   中央シートと裏面シートとで形成された密閉下部
   空気室とからなる空気マツトにおいて、上部空気
   室は表面シートと中央シートとが幅方向に多数の
   破線状の接合部分で直接接合された繰り返し膨張
   −収縮作用のない空気室であり、 下部空気室は、幅方向の多数の仕切りシートを
   介して中央シートと裏面シートが接合された状態
   を有する空気室であつて、該仕切りシートは幅方
   向の両端部で欠除され、下部空気室内の幅方向の
   両側に連通部を有し、上部空気室の破線状接合部
   分が下部空気室の仕切りシートによる接合部分の
   ほぼ中央に位置し、かつ上部および下部の空気室
   は各々空気供給装置に接続されていることを特徴
   とする空気マツト。