JPH0519077Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は痔疾患治療薬投与器に関し、とくに肛
門内に治療薬を直接投与するに適した肛門薬容器
兼用の投与器に関する。

［従来の技術］ 従来痔疾患に用いられる局所治療薬の形態とし
ては、座薬または軟膏があつた。しかし座薬は肛
門に挿入すると肛門管部分を通過して直腸内に入
つてしまうために、肛門管内壁に生じた裂肛に対
して直接作用しない。また、肛門管内に座薬がひ
つかかると極めて気持が悪いという欠点がある。

薬用軟膏は通常ガーゼ等にのばして患部に直接
塗布する方法が採られるが、裂肛は肛門管の内壁
にあるため薬剤を塗布しにくく、また肛門管の奥
にある肛門陰窩には一層薬剤投与が困難である。

そこで薬用軟膏を肛門管内に投与するために、
注入管を用いる方法が利用されてきた。

この方法は、第２図に示すような先端に穴が明
いた挿肛チユーブを軟膏が収容された中空容器部
に突設した特製の薬剤投与器を用い、肛門管内に
挿入した挿肛チユーブの先端から軟膏を押し出し
ながら徐々に挿肛チユーブを引き抜き、肛門管内
壁の裂肛部分に薬剤投与するようにするものであ
る。又、特開昭47−15994に示される肛門薬注入
装置が存在しているが、当該装置は薬剤を直腸内
に注入させる目的をもつたものであり、痔疾患の
代表とされる裂肛、肛門洞炎、肛門線炎等、通常
収縮して閉じられた状態にある肛門管壁に生ずる
疾病に対しては薬剤が直接患部に塗布できないも
のであつた。

［考案が解決しようとする課題］ 前述のような従来技術の問題点を解消して、肛
門管内の肛門管壁に生じた患部に必要量の薬剤を
確実に直接投与する手段を提供することが本考案
の目的であり、さらにかかる手段として利用する
に適した軟膏型肛門薬の投与器を提供しようとす
るものである。

［課題を解決するための手段］ 上記の本考案の目的は、硬質ないし半硬質の材
料から形成され、少なくとも肛門管を押拡げる外
径を有し、軸に対し平行な直線に沿つて側壁面に
垂直に形成された複数の側開口を有し、かつ先端
が封止された挿肛管部と、半硬質材料から形成さ
れた中空の薬剤収容部とから少なくとも成り、該
挿肛管部と該薬剤収容部とがそれぞれの内腔が連
通するように結合されたことを特徴とする肛門薬
投与器によつて達成される。

そしてまた、挿肛管部の軸に対して180°対称の
位置にそれぞれ開口が設けられることによつて特
に裂肛の発生し易い部位に集中して容易かつ確実
に薬剤を投与することが可能となつた。痔疾患の
代表として裂肛、肛門洞炎、肛門線炎等がある
が、いずれも肛門管壁の病気であり、その治療の
為には薬剤を患部に直接塗布しなければならな
い。

一方、肛門管は輪状筋と縦走筋との２種類の筋
肉によつて通常強力に収縮した状態を維持してい
るので、一定の傷口広さ面を持つ患部は線状に閉
じられ、肛門管内に露出していない。そこで、肛
門管壁に生じた患部に薬剤を塗布する為には少な
くとも肛門管を押し拡げる外径を有した挿肛管部
によつて傷口面を若干露出させると共に、さらに
襞の奥にまで薬剤が到達するような圧力をかけて
薬剤を注入塗布しなければならない。

又、裂肛は、次の２つの特徴がある。第１は、
裂肛は肛門管に対し、傷口が縦に発生する事と、
第２の肛門時計で、６時と12時という180°異なつ
た位置に、２ケ所をあわせると圧倒的に多く発生
するという事実があるからである。

本考案の肛門薬投与器における挿肛管部は硬質
ないし半硬質の材料、たとえば合成樹脂などから
形成されたものであり、その直径外径は少なくと
も肛門管を押し拡げる太さを有し、その先端は封
止されていて肛門管内に挿入し易いように半球状
ないし砲弾状に形成されていることが望ましい。
又、この外径は太すぎると挿肛時に痛みを感ずる
ことになるので約８mm程度が最も適当である。こ
の挿肛管部の内腔から側壁を垂直に貫通して外部
に通ずる開口が設けられているが、この開口の径
は挿肛管部の内径より一段と小さいことが好まし
い。

また挿肛管部の内腔に連通する中空の薬剤収容
部は半硬質の材料、たとえば可撓性の合成樹脂な
どからたとえば有底円筒形状などに形成されたも
のであつてよい。前記の挿肛管部は、かかる薬剤
収容部に取り付けられる蓋と一体に形成されてい
てもよく、あるいは薬剤収容部と一体に、たとえ
ば収容部の底部から延長するように形成されてい
てもよい。

［作用］ 本考案の肛門薬投与器は、薬剤収容部内に軟膏
状薬剤を充填しておき、その挿肛管部を肛門管内
に挿入してから薬剤収容部を圧迫することによ
り、挿肛管部の側壁の開口から薬剤を押し出すよ
うにする。このようにすることによつて、肛門管
内壁に発生した裂肛部分のみならず肛門管と直腸
の境界部にある肛門陰窩などの内部にも容易に薬
剤を到達させることができる。

［実施例］ 本考案の肛門薬投与器の例を第１図に示す。

第１図に於て、１は外径約８mm、長さ約40mmの
挿肛管部で、内径は約２mmであり、その先端は砲
弾形状となつている。挿肛管部１には、その断面
における直径位置を一方側から他方側に貫通し
て、管の内腔１ａと連通する径約１mmの孔１ｂ
が、約15mm間隔で３個、相互に平行に設けてあ
る。又、孔１ｂの外壁面の開口は、挿肛管部１の
軸に対して互に180°の位置に、それぞれ軸に平行
な直線に沿つて並んでいる。

また２は、断面が楕円形で筒状の、半硬質の合
成樹脂で形成された薬剤収容部であり、その開口
端２ａは挿肛管部１の基端部分に続いて一体に形
成された蓋部１ｃの周囲に嵌合し密着している。
さらに薬剤収容部２の外面には、挿肛管部１の開
口の方向を現示するマークが設けられている。

このような本考案の肛門薬投与器の薬剤収容部
２の内腔２ｂに軟膏状の薬剤を入れて挿肛管部１
を肛門から挿入すると、挿肛管部１の先端は直腸
下端付近にまで到達する。次に薬剤収容部２を圧
迫すると、薬剤は挿肛管部１の内腔１ａと孔１ｂ
を通つて開口からそれぞれ押し出され、肛門管内
壁や肛門陰窩などに行き渡るように投与されるこ
ととなる。

またこの際、裂肛は肛門時計で６時と12時の方
向、すなわち尾〓骨の方向と恥骨結合の方向に発
生し易いことから、開口方向のマークを目安とし
て肛門時計の６時と12時の方向に重点的に薬剤投
与をすることができる。

又、更に、裂肛は、肛門管内に、縦に発生する
が、肛門薬投与基の挿肛管部１の軸に対して、複
数の孔１ｂがある事により、上から下まで、裂肛
部分に薬剤を投与する事ができる。

［考案の効果］ 本考案の肛門薬投与器は、肛門管を押し拡げ、
傷口面を若干露出させると共に挿肛管部の側壁に
垂直に設けた開口を通じて軟膏状薬剤を押し出す
ことができる構造としたもので、痔疾患とくに肛
門管壁に発生する裂肛、肛門陰窩に発生する肛門
洞炎や肛門腺炎などの治療に当つて、患部に対し
て薬剤を拡散させることなく直接に容易かつ効果
的に投与することができ、治療薬投与に熟練を要
しないという特長がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の肛門薬投与器の例を示すもの
であつて、その一部破断した状態の断面図であ
る。第２図は従来の肛門薬投与器の外観を示す側
面図である。 １……挿肛管部、１ａ……内腔、１ｂ……孔、
１ｃ……蓋部、２……薬剤収容部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 硬質ないし半硬質の材料から形成され、少な
   くとも肛門管を押拡げる外径を有し、軸に対し
   平行な直線に沿つて側壁面に垂直に形成された
   複数の側開口を有し、かつ先端が封止された挿
   肛管部と、半硬質材料から形成された中空の薬
   剤収容部とから少なくとも成り、該挿肛管部と
   該薬剤収容部とがそれぞれの内腔が連通するよ
   うに結合されたことを特徴とする肛門薬投与
   器。 ２ 挿肛管部の外径８mmである請求項１記載の肛
   門薬投与器。 ３ 挿肛管部の軸に対して180°対称の位置にそれ
   ぞれ開口が設けられている請求項１または２記
   載の肛門薬投与器。