JPH0519048Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、体腔内を超音波によつて観察する超
音波内視鏡に関する。

〔従来技術〕

この種の超音波内視鏡として、従来、挿入部の
先端に超音波を送受信する超音波振動子を設け、
この超音波振動子を挿入部の軸回り方向に回転さ
せることにより、超音波走査をなすようにしたも
のが知られている。

ところで、この従来の超音波内視鏡の場合、挿
入部の先端の超音波振動子は、挿入部の手元側で
遠隔操作されるようになつており、この挿入部の
手元側に電磁モータおよび歯車等の減速機からな
る駆動機構が設けられている。そして、この駆動
機構と超音波振動子とは、挿入部内に挿通配置し
た可撓性のシヤフトを介して連動され、このシヤ
フトを通じて超音波振動子に回転力が伝えられる
ようになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、超音波振動子の駆動機構は、電磁モ
ータと減速機とによつて構成されるために、駆動
機構そのものが重く大きなものとなつてしまい、
挿入部の操作性に悪影響を及ぼす不具合がある。

また、挿入部の先端に上記電磁モータを組み込
んで、超音波振動子を回転させると、挿入部の先
端の外径寸法が大きくなつてしまい、挿入部の挿
入作業が困難となるばかりでなく、患者に与える
苦痛も大きなものとなるといつた問題がある。

したがつて、本考案は、超音波振動子又は反射
ミラーを回転させる駆動部を小型化できるととも
に、部品点数も削減することができ、軽量で操作
性、挿入性に優れた超音波内視鏡の提供を目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、本考案においては、挿入部の先端に、
超音波を送受信する超音波振動子又はこの超音波
振動子と対向して反射ミラーを設け、この超音波
振動子又は反射ミラーを挿入部の軸回り方向に回
転させるようにした超音波内視鏡を前提としてい
る。

そして、上記超音波振動子又は反射ミラーに回
転軸を設け、この回転軸を、ボールベアリングを
介して上記挿入部の先端に回転自在に支持すると
ともに、この回転軸の外周に、上記ボールベアリ
ングのインナーレースからなるリング状の回転子
と超音波振動体とを同軸状に重ね合わせた超音波
モータを上記挿入部の先端に配置し、この超音波
モータの回転子を上記回転軸に連結したことを特
徴としている。

〔作用〕

この構成によれば、超音波振動体に超音波振動
が印加されると、この超音波振動体と回転子との
間に周方向に沿う進行波が形成され、回転子を介
して回転軸に回転力が付与される。このような進
行波を利用して回転子を回転させる超音波モータ
は、従来の電磁モータに比べて低速回転時のトル
クが大きいために、従来の如き格別な減速機が不
要となる。

しかも、超音波モータは、超音波振動子と回転
子との単なるリング状の二部材で構成されるのは
勿論のこと、その回転子が回転軸を回転自在に支
持するボールベアリングのインナーレースを兼ね
ているので、回転軸の軸方向にボールベアリング
と回転子とを並べて配置する必要がない。このこ
とから、超音波振動子又は反射ミラーを回転させ
るための駆動部の部品点数を削減できるととも
に、この駆動部の軸方向の長さを短くでき、駆動
部自体を小型軽量化することができる。

したがつて、挿入部の外径寸法を大きくするこ
となく、この挿入部の先端に超音波モータを組み
込むことが可能となり、その分、挿入部が軽量と
なつて、この挿入部の操作性および挿入性が向上
する。

〔実施例〕

以下本考案の第１実施例を、第１図にもとづい
て説明する。

図中符号１は体腔内に挿入される挿入部であ
り、この挿入部１の先端構成部２には、超音波走
査ヘツド３が設けられている。超音波走査ヘツド
３は、先端構成部２から軸方向に突出する中空円
筒状のカバー４を備えている。カバー４の一端は
先端構成部２の外周面に嵌合されているととも
に、他端は肉厚の先端壁部５により一体に閉塞さ
れており、このカバー４の内部空間には、超音波
を送受信する超音波振動子６が収容されている。

超音波振動子６を被覆する保持体７には、中空
円筒状をなす回転軸８が一体に突設されており、
この回転軸８は先端構成部２の先端面に開口する
装着孔９内に導入されている。装着孔９内には回
転軸８の導入部分の二箇所を回転自在に支持する
ボールベアリング１０，１１が設けられており、
このボールベアリング１０，１１のインナレース
１０ａ，１１ａは回転軸８の外周面にねじ込まれ
て、この回転軸８と一体に回転するようになつて
いる。

また、回転軸８およびこの回転軸８に連なる保
護チユーブ１２内には、超音波振動子６を発信、
受信させる信号ケーブル１３が挿通されており、
この信号ケーブル１３は挿入部１の手元側に設け
た図示しない超音波送受信器に接続されている。

ところで、先端構成部２の装着孔９内には、超
音波振動子６を回転駆動するリング型の超音波モ
ータ１４が組み込まれている。超音波モータ１４
はリング状をなした超音波振動子１５を備えてお
り、この超音波振動体１５は装着孔９内におい
て、ボールベアリング１０，１１の間に配置され
ているとともに、回転軸８に対し同軸状に設けら
れている。そして、超音波振動体１５の一端面
は、超音波振動子６側に位置するボールベアリン
グ１０のインナレース１０ａに対し同軸状に面接
触しており、この超音波振動体１５は挿入部１内
を挿通する図示しない駆動ケーブルを介して、挿
入部１の手元側の超音波モータ操作部に接続され
ている。

したがつて、超音波モータ操作部を作動させ
て、超音波振動体１５を振動させると、この超音
波振動体１５とインナレース１０ａとの間に、周
方向に沿う進行波が形成されて、インナレース１
０ａが回転するようになつており、本実施例の場
合は、このボールベアリング１０のインナレース
１０ａが超音波モータ１４の回転子としての機能
を兼用している。

なお、超音波振動子６を収容したカバー４の内
部空間には、超音波伝達性能に優れた液体が充填
されている。

また、超音波走査ヘツド３の外周には、ゴム等
の弾性材料にて薄膜状に形成したバルーン１６が
装着されている。バルーン１６はその前端縁部と
後端縁部を、カバー４および先端構成部２の外周
面に設けた嵌合溝１７に液密に嵌合させることに
より固着されており、このバルーン１６の内部に
は、挿入部１に設けた送水路（図示せず）を通じ
て脱気水が注入され、このことによりバルーン１
６が膨張されるようになつている。

このような構成によれば、超音波振動子６に連
なる回転軸８の外周に、超音波モータ１４の超音
波振動体１５を同軸状に設け、この超音波振動体
１５の端面を回転軸８と一体に回転するボールベ
アリング１０のインナレース１０ａに面接触させ
たので、この超音波振動体１５に超音波振動が印
加されると、超音波振動体１５とインナレース１
０ａとの間に、周方向に沿う進行波が形成され、
インナーレース１０ａが回転駆動される。このイ
ンナレース１０ａの回転は、回転軸８を介して超
音波振動子６に伝えられるから、超音波振動子６
がカバー４の内部空間で回転し、この超音波振動
子６から発信された超音波のエコーを、再び超音
波振動子６で受信することにより、超音波走査が
行なわれる。

この場合、上述のように超音波振動体１５とイ
ンナレース１０ａとの間に生じる進行波を利用し
て回転軸８を回転させる超音波モータ１４は、電
磁モータに比べて低速回転時のトルクが大きいた
めに、従来の如き格別な減速機が不要となり、先
端構成部２の内部にコンパクトに組み込むことが
できる。

また、超音波モータ１４はリング状の超音波振
動子１５と回転子との二部品で構成され、従来の
電磁モータに比べて部品点数が少なく、小型軽量
である。そのことに加えて、本考案においては、
超音波モータ１４の回転子を、ボールベアリング
１０のインナーレース１０ａによつて構成したの
で、専用の回転子が不要となり、その分、部品点
数を削減できる。それとともに、ボールベアリン
グ１０と回転子とを回転軸８の軸方向に並べて配
置する必要もなくなるので、回転軸８を短くする
ことができ、従来に比べて超音波振動子６を回転
させる駆動部を小型化することができる。

したがつて、先端構成部２の外径寸法を大きく
することなく、この先端構成部２に直接超音波モ
ータ１４を組み込むことが可能となり、その分、
挿入部１が軽量となつて、この挿入部１の操作性
や挿入性が向上する。

なお、本考案は上述した第１実施例に特定され
るものではなく、第２図に本考案の第２実施例を
示す。

この第２実施例では、先端構成部２の一側面に
収容凹部２１が形成されており、この収容凹部２
１の先端側の端面に超音波振動子６が埋め込まれ
ている。また、収容凹部２１内には、超音波振動
子６と対向して、ここから発信された超音波を先
端構成部２の径方向外側に向つて反射させたり、
体腔からの超音波のエコーを超音波振動子６に向
つて反射させる反射ミラー２２が収容されてお
り、この反射ミラー２２には回転軸２３が突設さ
れている。この回転軸２３は収容凹部２１の挿入
部１側の端面、つまり、超音波振動子６と相対向
する端面に形成した装着孔９内に導入されてい
る。そして、この装着孔９内には、上記第１実施
例と同様に回転軸２３の導入部分を支持するボー
ルベアリング１０，１１および超音波モータ１４
が収容されている。

なお、収容凹部２１内には、超音波伝達性能に
優れた液体が充填されており、この収容凹部２１
の開口部は蓋板２４によつて閉塞されている。

このような第２実施例においても、超音波振動
子６から発信された超音波を体腔内に向つて反射
させたり、あるいはこの体腔からの超音波のエコ
ーを超音波振動子６に向つて反射させる反射ミラ
ー２２を、超音波モータ１４によつて回転駆動し
ているので、超音波走査を行なう駆動部を小形化
することができ、上記第１実施例と同様の効果が
得られる。

また、第３図には本考案の第３実施例が示され
ている。

この第３実施例において、先端構成部２に連な
る超音波走査ヘツド３１は、先端構成部２から軸
方向に突出する中空円筒状の筒状部３２と、この
筒状部３２の先端開口部を閉塞する先端カバー３
３とで構成されている。そして、この先端カバー
３３の筒状部３２側の端面に超音波振動子６が埋
め込まれているとともに、筒状部３２の内部空間
には、超音波振動子６と対向して反射ミラー２２
が収容されており、この反射ミラー２２を収容す
る内部空間には、超音波伝達性能に優れた液体が
充填されている。

反射ミラー２２の回転軸２３は、筒状部３２内
に設けたボールベアリング３４によつて回転自在
に支持されており、この回転軸２３の先端は先端
構成部２の先端面に設けた装着孔９内に導入さ
れ、この装着孔９内に超音波モータ１４の超音波
振動体１５がねじ込まれている。超音波振動体１
５の端面は、先端構成部２の先端面と面一となつ
ているとともに、ボールベアリング３４のインナ
レース３４ａと対向しており、これら超音波振動
体１５とインナレース３４ａとの間には、装着孔
９と筒状部３２の内部空間とを液密に仕切る仕切
り板３５が挾み込まれている。この仕切り板３５
は超音波振動体１５の振動を吸収してしまうよう
な柔らかいものではなく、薄くて、しかも硬質な
材料にて形成されており、超音波振動体１５の振
動を確実にインナレース３４ａに伝えるようにな
つている。

このような第３実施例によると、超音波振動体
１５と液体が充填された筒状部３２の内部空間と
が、仕切り板３５によつて液密に区画されるの
で、超音波モータ１４内に液体が浸入することは
なく、超音波モータ１４の回転効率が向上する利
点がある。

〔考案の効果〕

以上詳述した本考案によれば、回転軸を支持す
るボールベアリングのインナレースを超音波モー
タの回転子として利用したので、専用の回転子が
不要となり、部品点数を削減できるとともに、ボ
ールベアリングと回転子とを回転軸の軸方向に並
べて配置する必要がなく、回転軸を短くすること
ができる。

したがつて、挿入部の先端部を小型化しつつ、
この先端部に超音波モータを無理なく組み込むこ
とができ、その分、挿入部が小型軽量化されて、
その操作性および挿入性が格段に向上するといつ
た利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示す断面図、第
２図は本考案の第２実施例を示す断面図、第３図
は本考案の第３実施例を示す断面図である。 １……挿入部、６……超音波振動子、８，２３
……回転軸、１０，３４……ボールベアリング、
１０ａ，３４ａ……インナーレース（回転子）、
１４……超音波モータ、１５……超音波振動体、
２２……反射ミラー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 挿入部の先端に、超音波を送受信する超音波振
   動子又はこの超音波振動子と対向して反射ミラー
   を設け、 この超音波振動子又は反射ミラーを挿入部の軸
   回り方向に回転させることにより、超音波走査を
   なす超音波内視鏡において、 上記超音波振動子又は反射ミラーに回転軸を設
   け、 この回転軸を、ボールベアリングを介して上記
   挿入部の先端に回転自在に支持するとともに、 この回転軸の外周に、上記ボールベアリングの
   インナーレースからなるリング状の回転子と超音
   波振動体とを同軸状に重ね合わせた超音波モータ
   を上記挿入部の先端に配置し、 この超音波モータの回転子を上記回転軸に連結
   したことを特徴とする超音波内視鏡。