JPH05185855A - 自動車用左右駆動力制御装置 - Google Patents

自動車用左右駆動力制御装置

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JPH05185855A
JPH05185855A JP4209294A JP20929492A JPH05185855A JP H05185855 A JPH05185855 A JP H05185855A JP 4209294 A JP4209294 A JP 4209294A JP 20929492 A JP20929492 A JP 20929492A JP H05185855 A JPH05185855 A JP H05185855A
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JP
Japan
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driving force
wheel
yaw rate
transmission system
turning
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JP4209294A
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Inventor
Yasuo Motoyama
廉夫 本山
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、左右輪を独立して駆動しうる自動
車に用いて好適の自動車用左右駆動力制御装置に関し、
ブレーキング現象の発生を回避できるようにするととも
に車両の旋回性能を確実に向上できるようにすることを
目的とする。 【構成】 自動車におけるエンジン8の駆動力を各車輪
に伝達する駆動力伝達系Tに、右側駆動力伝達系Rと左
側駆動力伝達系Lとをそなえて、この駆動力伝達系Tに
制御信号を出力するコントローラ15に、上記自動車に
操舵方向への旋回モーメントが生じるように操舵角セン
サ7により検出された操舵状態に対応して上記の右側駆
動力伝達系Rと左側駆動力伝達系Lとのそれぞれに伝達
される駆動力の配分状態を設定してこの配分状態に応じ
た制御信号を上記駆動力伝達系Tに出力する駆動力配分
調整手段Sを設けるよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車に関し、特に左
右輪を独立して駆動しうる自動車に用いて好適の、自動
車用左右駆動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各輪を駆動する四輪駆動式自動車
(以下、四輪駆動車という)の生産が盛んに行なわれて
いるが、かかる四輪駆動車では、前輪と後輪とへの駆動
力配分を制御して、各輪を通じて駆動力を確実に路面へ
伝達できるようにすることが考えられている。
【0003】一方、旋回時等に左右輪の間の駆動力配分
を制御することで、旋回性能を向上させることが考えら
れる。しかしなから、このように左右輪の間の駆動力配
分を積極的に制御する手段は、前後輪間の駆動力配分制
御手段に比べて、開発が遅れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、左右輪間の
駆動力配分制御も行なえるる四輪駆動車の構成として、
次のようなものも考えられる。つまり、エンジンからの
各輪(4輪)へ通じる駆動力伝達経路の各輪に分岐した
各部分に、例えば油圧多板クラッチなどの駆動力伝達状
態を調整できる手段を介装して、これらの各手段(油圧
多板クラッチ)の駆動力伝達状態(結合状態)をそれぞ
れ独立して調整できるようにする。こうすることで、前
後輪間の駆動力配分制御の他に、左右輪間の駆動力配分
制御も行なえる。
【0005】しかしながら、このような左右輪へ伝達す
る駆動力を独立して調整する駆動力配分制御手段では、
旋回時において、左右輪ロックの影響によるブレーキン
グ現象が発生する虞がある。
【0006】また、車両の旋回性能を向上させるために
は、これに適するとともに検出または算出し易い制御パ
ラメータを選ぶことや、さらに、この制御パラメータに
基づいてどのように制御を行なうかが問題になる。
【0007】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、ブレーキング現象の発生を回避できるように
するとともに車両の旋回性能を確実に向上させることが
できるようにした、自動車用左右駆動力制御装置を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記
載の発明の自動車用左右駆動力制御装置は、自動車にお
いて、エンジンと、このエンジンの駆動力を各車輪に伝
達する駆動力伝達系と、操舵角を検出する操舵角センサ
と、上記駆動力伝達系に制御信号を出力するコントロー
ラとをそなえ、上記駆動力伝達系が、右側車輪に所要の
駆動力を伝達する右側駆動力伝達系と、左側車輪に所要
の駆動力を伝達する左側駆動力伝達系とをそなえて構成
されるとともに、上記コントローラに、上記自動車に操
舵方向への旋回モーメントが生じるように上記操舵角セ
ンサにより検出された操舵状態に対応して上記の右側駆
動力伝達系と左側駆動力伝達系とのそれぞれに伝達され
る駆動力の配分状態を設定してこの配分状態に応じた制
御信号を上記駆動力伝達系に出力する駆動力配分調整手
段が設けられていることを特徴としている。
【0009】また、請求項2に記載の発明の自動車用左
右駆動力制御装置は、自動車において、エンジンと、こ
のエンジンの駆動力を各車輪に伝達する駆動力伝達系
と、操舵角を検出する操舵角センサと、上記自動車のヨ
ーレイトを検出するヨーレイトセンサと、上記駆動力伝
達系に制御信号を出力するコントローラとをそなえ、上
記駆動力伝達系が、右側車輪に所要の駆動力を伝達する
右側駆動力伝達系と、左側車輪に所要の駆動力を伝達す
る左側駆動力伝達系とをそなえて構成されるとともに、
上記コントローラに、上記自動車に操舵方向への旋回モ
ーメントが生じるように上記操舵角センサにより検出さ
れた操舵状態に対応して上記の右側駆動力伝達系と左側
駆動力伝達系とのそれぞれに伝達される駆動力の配分状
態を設定してこの配分状態に応じた制御信号を上記駆動
力伝達系に出力する駆動力配分調整手段が設けられて、
上記駆動力配分調整手段に、上記ヨーレイトセンサによ
り検出された実ヨーレイトが目標とするヨーレイトに近
づくようにヨーレイトに対応して上記の左右輪への駆動
力の配分状態を補正する補正手段が設けられていること
を特徴としている。
【0010】
【作用】上述の請求項1に記載の発明の自動車用左右駆
動力制御装置では、駆動力配分調整手段が、自動車に操
舵方向への旋回モーメントが生じるように、操舵角セン
サにより検出された操舵状態に対応して右側駆動力伝達
系と左側駆動力伝達系とのそれぞれに伝達される駆動力
の配分状態を設定してこの配分状態に応じた制御信号を
駆動力伝達系に出力する。これにより、エンジンの駆動
力の左右配分が調整されて、自動車に操舵方向への旋回
モーメントが生じる。
【0011】また、請求項2に記載の発明の自動車用左
右駆動力制御装置では、駆動力配分調整手段が、自動車
に操舵方向への旋回モーメントが生じるように、操舵角
センサにより検出された操舵状態に対応して右側駆動力
伝達系と左側駆動力伝達系とのそれぞれに伝達される駆
動力の配分状態を設定して、さらに補正手段で、この設
定された駆動力の配分状態を、ヨーレイトセンサにより
検出された実ヨーレイトが目標とするヨーレイトに近づ
くようにヨーレイトに対応して上記の左右輪への駆動力
の配分状態を補正し、このように補正された配分状態に
応じた制御信号を駆動力伝達系に出力する。これによ
り、ヨーレイトが目標の値に近づくようにエンジンの駆
動力の左右配分が調整されて、自動車に操舵方向への旋
回モーメントが加減速等によらず安定して生じる。
【0012】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜図4は本発明の第1実施例としての
自動車用左右駆動力制御装置を示すもので、図1は本装
置をそなえた自動車の駆動力伝達系の概略構成を示す摸
式図、図2,図3はいずれもその制御特性を示すマッ
プ、図4はその要部の作動を示すフローチャートであ
り、図5〜図9は本発明の第2実施例としての自動車用
左右駆動力制御装置を示すもので、図5〜図8はいずれ
もその制御特性を示すマップ、図9はその要部の作動を
示すフローチャートである。
【0013】まず、本発明の第1実施例について説明す
ると、この自動車用左右駆動力制御装置をそなえた自動
車の駆動力伝達系Tは図1に示すように構成されてい
る。
【0014】つまり、図1に示すように、エンジン8の
出力は、センタデフ30を介して、前輪側駆動力伝達軸
32A及び後輪側駆動力伝達軸32Bへ配分されて、さ
らに、各駆動軸321,322,323,324を介し
て各車輪3L,3R,4L,4Rへ伝達されるようにな
っている。なお、センタデフ30には、この差動を制限
するビスカスカップリング(VCU)31が並設されて
いる。
【0015】駆動軸321,322,323,324
は、それぞれ油圧多板クラッチ201,202,20
3,204を介して駆動軸32A又は32Bに連結され
ており、油圧ポンプ9からの油圧が調圧バルブ21を介
して油圧多板クラッチ201,202,203,204
へ供給されることにより、駆動軸321,322,32
3,324が所要の結合状態で駆動軸32A又は32B
に連係されるようになっている。
【0016】調圧バルブ21には、コントローラ15が
接続されており、コントローラ15から出力された制御
信号によりバルブ21が制御されて、油圧多板クラッチ
201,202,203,204のそれぞれの連結状態
が調整され、車輪3L,3R,4L,4Rに所要の駆動
力が供給されるようになっている。
【0017】そして、油圧多板クラッチ201,203
と駆動軸321,323とにより左輪駆動力伝達系Lが
構成されるとともに、油圧多板クラッチ202,204
と駆動軸322,324とにより右輪駆動力伝達系Rが
構成されている。
【0018】ところで、油圧多板クラッチ201,20
2,203,204の制御に際し、左輪側の油圧多板ク
ラッチ201と油圧多板クラッチ203とは所要の前後
分配比で調整され、右輪側の油圧多板クラッチ202と
油圧多板クラッチ204とも所要の前後分配比で調整さ
れて、油圧多板クラッチ201,203の組(左輪側)
と油圧多板クラッチ202,204の組(右輪側)とが
独立して制御されるようになっている。
【0019】また、コントローラ15は、中央処理装置
(CPU)をそなえており、ステアリングハンドル2の
回転角(操舵角)を検出する操舵角センサとしてのハン
ドル角センサ7,ブレーキペダル1の踏み込み状態を検
出するブレーキセンサ22,車両の旋回モーメントを検
出するヨーレイトセンサ23,車両の加速度を検出する
前後Gセンサ24,横Gセンサ26およびアクセルペダ
ルの踏み込み状態を検出するアクセル開度センサ28か
らの各検出信号に基づいて、所要の演算を行なって、調
圧バルブ21へ制御信号を出力するようになっている。
【0020】特に、このコントローラ15の一部には、
駆動力配分調整手段としての処理装置Sがそなえられ、
左右輪の駆動力配分にかかる制御信号を調圧バルブ21
へ出力するようになっている。
【0021】つまり、この処理装置Sでは、車両の駆動
時及び制動時に、図2,3に示すようなマップ1,2に
したがってハンドル角(操舵角)とハンドル角速度(操
舵角速度)とに応じて左輪と右輪とへの各制御指令値S
ha,Shbを出力するようになっている。
【0022】なお、図2,3では、左側の車輪3L,4
Lの特性が実線で示され、右側の車輪3R,4Rの特性
が破線で示されている。
【0023】また、制御指令値Sha,Shbは油圧多
板クラッチ201〜204へ与える油圧に対応したもの
で、制御指令値Shaが大きければクラッチへの油圧も
大きくなる。
【0024】例えば車両の駆動時には、図2に示すよう
なマップ1にしたがって、ハンドル角θthの値にハンド
ル角速度θth′(=dθth/dt)に比例定数G1を積
算した値を加えた値(=θth+G1×θth′)に基づい
て、左右輪への制御指令値Shaを出力するようになっ
ている。
【0025】すなわち、値(=θth+G1×θth′)の
大きさ(左右の方向を問わない)が所定値よりも小さい
直進走行に近い状態では、左右輪への制御指令値Sha
はいずれも油圧多板クラッチを直結させるように大きい
値(max)となり、値(=θth+G1×θth′)の大
きさ(左右の方向を問わない)が所定値よりも大きい旋
回状態では、旋回内輪側の制御指令値Shaは油圧多板
クラッチを離隔させるように小さい値(0)となるが、
旋回外輪側の制御指令値Shaは油圧多板クラッチを直
結させるように大きい値となっている。
【0026】これにより、車両の駆動時に旋回操作を行
なうと、旋回内輪側へは駆動力がほとんど(または全
く)伝達されずに、主として旋回外輪側に駆動力が伝達
されるようになって、車体に旋回しようとする方向への
旋回モーメントが与えられるようになっている。
【0027】一方、車両の制動時には、図3に示すよう
なマップ2にしたがって、上述と同様なハンドル角θth
とハンドル角速度θth′とに関する値(=θth+G1×
θth′)に基づいて、左右輪への制御指令値Shbを出
力する。
【0028】すなわち、値(=θth+G1×θth′)の
大きさ(左右の方向を問わない)が所定値よりも小さい
直進走行に近い状態では、駆動時同様に、左右輪への制
御指令値Shbはいずれも油圧多板クラッチを直結させ
るように大きい値となり、値(=θth+G1×θth′)
の大きさ(左右の方向を問わない)が所定値よりも大き
い旋回状態では、旋回内輪側の制御指令値Shbは油圧
多板クラッチを直結させるように大きい値(max)と
なるが、旋回外輪側の制御指令値Shbは油圧多板クラ
ッチを離隔させるように小さい値(0)となっている。
【0029】これにより、車両の制動時に旋回操作を行
なうと、旋回外輪側へは駆動力(この場合の駆動力はエ
ンジンブレーキの作用する状態であって負の値、即ち制
動力である。)がほとんど(または全く)伝達されず
に、主として旋回内輪側に駆動力(制動力)が伝達され
るようになって、車体に旋回しようとする方向への旋回
モーメントが与えられるようになっている。
【0030】なお、直進走行に近い状態と旋回状態との
過渡領域では、制御指令値Sha,Shbが次第に増減
するようになっており、左右の駆動力配分状態が急変し
ないようになっている。
【0031】また、コントローラ15には、駆動軸32
1,322,323,324のそれぞれに付設された回
転数センサ261,262,263,264およびトル
クセンサ291,292,293,294が接続されて
おり、調圧バルブ21を通じた左右の駆動力配分状態を
フィードバック制御できるようになっている。
【0032】本発明の第1実施例としての自動車用左右
駆動力制御装置は、上述のように構成されているので、
次のように作動する。
【0033】すなわち、前後左右の各車輪3L,3R,
4L,4Rは、エンジン8の出力を伝達されて回転駆動
されるが、各車輪3L,3R,4L,4Rへ入力される
駆動力は、油圧多板クラッチ201,202,203,
204それぞれの結合状態により調整される。
【0034】これらの油圧多板クラッチ201,20
2,203,204は、車両の走行状態に応じて出力さ
れるハンドル角センサ7,ブレーキセンサ22,ヨーレ
イトセンサ23,前後Gセンサ24,アクセル開度セン
サ28等の各センサの出力値に基づいて、コントローラ
15,油圧制御バルブ21を介して結合状態を調整さ
れ、各車輪へ分配されるトルクが調整される。
【0035】コントローラ15における駆動力配分調整
手段Sでは、例えば図4に示すフローチャートのように
して演算が行なわれ制御信号が出力される。
【0036】つまり、まず、ドライバーの操舵によるハ
ンドル角θthの状態がハンドル角センサ7の出力値とし
て読み込まれ、このハンドル角θthからハンドル角速度
θth′が算出され、これらのハンドル角θthおよびハン
ドル角速度θth′が取り込まれる。(ステップS1)。
また、これとともに、アクセル開度センサ28の検出信
号が読み込まれる(ステップS2)。
【0037】そして、ドライバーの運転意思が、駆動状
態にあるか制動状態にあるかの判定情報がアクセル開度
センサ28の検出信号等に基づいて演算され(ステップ
S3)この情報に基づいて、ステップS4で、駆動状態
にあるか制動状態にあるかが判定される。
【0038】このステップS4で駆動状態にあると判定
された場合には、ステップS5に進んで、図2のマップ
1を用いてハンドル角θthおよびハンドル角速度θth′
から指令値Shaが決定され、その後、この指令値Sh
aがコントローラ15からバルブ21へ制御信号として
出力される(ステップS6)。
【0039】一方、ステップS4で制動状態にあると判
定された場合には、ステップS7に進んで、図3のマッ
プ2を用いてハンドル角θthおよびハンドル角速度θt
h′から指令値Shbが決定され、その後、この指令値
Shbがコントローラ15からバルブ21へ制御信号と
して出力される(ステップS8)。
【0040】上述の動作により、指令値Sha,Shb
がコントローラ15からバルブ21へ制御信号が出力さ
れ、ポンプ9の油圧が所要の状態に調整されて、左側駆
動力伝達系Lおよび右側駆動力伝達系Rへ伝達されるエ
ンジン出力が所要の状態に調整され、自動車の運転状態
に対応した駆動力配分が行なわれる。
【0041】例えば車両の駆動時には図2に示すマップ
1にしたがって制御指令値Shaが設定されるので、値
(=θth+G1×θth′)の大きさ(左右の方向を問わ
ない)が所定値よりも小さい直進走行に近い状態では、
左右輪への制御指令値Shaはいずれも油圧多板クラッ
チを直結させるように大きい値(max)となって、直
結4輪駆動状態で4輪を通じて路面に確実に駆動力が伝
達される。
【0042】また、車両の駆動時に車両の駆動時に旋回
操作を行なうと、値(=θth+G1×θth′)の大きさ
(左右の方向を問わない)が所定値よりも大きい値にな
って、旋回内輪側の制御指令値Shaは油圧多板クラッ
チを離隔させるように小さい値(0)となる一方で、旋
回外輪側の制御指令値Shaは油圧多板クラッチを直結
させるように大きい値となって、旋回内輪側へは駆動力
がほとんど(または全く)伝達されずに、主として旋回
外輪側に駆動力が伝達され、車体に旋回しようとする方
向への旋回モーメントが与えられる。
【0043】例えば、ハンドル角θthが左側へある程度
大きく操作されていて(θthが左側へ大きい)且つハン
ドル角θthを右側へ急に戻そうとしていない(θth′が
右側へあまり大きくない)ときや、ハンドル角θth自体
は中立状態に近く(θthが左側へ大きくない)てもハン
ドル角θthを左側へ急に操作した(θth′が左側へ大き
い)ときには、ドライバが左旋回しようとしているとき
であり、θth+G1×θth′の値が左側に大きくなっ
て、旋回しようとする外輪側(旋回外輪側)である右輪
3R,4Rの油圧多板クラッチ202,204が結合さ
れる一方で、旋回しようとする内輪側(旋回内輪側)で
ある左輪3L,4Lの油圧多板クラッチ201,203
は離隔される。これにより、右輪3R,4Rには駆動力
が伝えられるが左輪3L,4Lには駆動力が伝えられな
くなって、車体に旋回方向である左向きの旋回モーメン
トが与えられる。
【0044】ドライバが右旋回しようとしているときに
は、θth+G1×θth′の値が右側に大きくなって、上
述とは逆に、旋回外輪側の左輪3L,4Lの油圧多板ク
ラッチ201,203が結合される一方で、旋回内輪側
の右輪3R,4Rの油圧多板クラッチ202,204は
離隔される。これにより、左輪3L,4Lには駆動力が
伝えられるが右輪3R,4Rには駆動力が伝えられなく
なって、車体に旋回方向である右向きの旋回モーメント
が与えられる。
【0045】また、車両の制動時には、エンジンブレー
キとして負の駆動力が作用するので、油圧多板クラッチ
を結合した方の車輪には制動力がはたらく。このため、
図3のマップ2に示すように、旋回方向(旋回内輪側)
の油圧多板クラッチを結合させる一方で旋回外輪側の油
圧多板クラッチを離隔させるように制御することで、車
体に旋回しようとする方向への旋回モーメントが与えら
れる。
【0046】例えば、ドライバが左旋回しようとしてい
るときには、θth+G1×θth′の値が右側に大きくな
るので、旋回外輪側である右輪3R,4Rの油圧多板ク
ラッチ202,204が離隔される一方で、旋回しよう
とする内輪側(旋回内輪側)である左輪3L,4Lの油
圧多板クラッチ201,203は結合される。これによ
り、右輪3R,4Rには制動力(負の駆動力)が伝えら
れないが左輪3L,4Lには制動力が伝えられて、車体
に旋回方向である左向きの旋回モーメントが与えられ
る。
【0047】ドライバが右旋回しようとしているときに
は、θth+G1×θth′の値が右側に大きくなるので、
上述とは逆に、旋回外輪側の左輪3L,4Lの油圧多板
クラッチ201,203が離隔される一方で、旋回内輪
側の右輪3R,4Rの油圧多板クラッチ202,204
は結合される。これにより、左輪3L,4Lには制動力
が伝えられないが右輪3R,4Rには制動力が伝えられ
て、車体に旋回方向である右向きの旋回モーメントが与
えられる。
【0048】また、直進走行に近い状態と旋回状態との
過渡領域では、制御指令値Sha,Shbが次第に増減
するようになっており(マップのスロープ部分参照)、
左右の駆動力配分状態の急変が防止される。
【0049】このようにして、駆動時にも制動時にも、
車体に旋回しようとする方向への旋回モーメントが与え
られるので、車両の旋回性が向上する。
【0050】また、旋回時には左右の車輪のうちの一方
は駆動輪とならずに自由に回転できるので、左右輪の差
動が許容されて旋回時のブレーキング現象が解消され
る。
【0051】さらに、直進走行と旋回状態との過渡領域
では、マップのスロープ部分に示すように制御指令値S
ha,Shbが次第に増減して駆動力配分状態の急変が
防止されるので、運転フィーリングが良好なものに保た
れる。
【0052】次に、図5〜図9を参照して、本発明の第
2実施例について説明すると、まず、この実施例の自動
車用左右駆動力制御装置をそなえた駆動力伝達系は、図
1の摸式図に示す第1実施例の場合と同様に構成される
ので、ここでは説明を省略する。
【0053】コントローラ15も、第1実施例と同様
に、中央処理装置(CPU)をそなえ、操舵角センサと
してのハンドル角センサ7,ブレーキセンサ22,ヨー
レイトセンサ23,前後Gセンサ24,横Gセンサ26
およびアクセル開度センサ28からの各検出信号に基づ
いて、所要の演算を行なって、調圧バルブ21へ制御信
号を出力するようになっている。
【0054】そして、このコントローラ15の一部に
は、駆動力配分調整手段としての処理装置Sがそなえら
れ、左右輪の駆動力配分にかかる制御信号を調圧バルブ
21へ出力するようになっているが、この駆動力配分調
整手段としての処理装置Sには、ヨーレイトセンサ23
により検出されたヨーレイトと目標とするヨーレイトと
に対応して上記の左右輪への駆動力の配分状態を補正す
る補正手段SSが設けられている。
【0055】つまり、この処理装置Sでは、車両の駆動
時及び制動時に、図5,6に示すようなマップ1,2に
したがってハンドル角とハンドル角速度とに応じて左輪
と右輪とへの各制御指令値Sha,Shbを設定する
が、これらの制御指令値Sha,Shbは、補正手段S
Sで、図7,8に示すようなマップ3,4にしたがって
ヨーレイト偏差及びヨーレイト偏差の微分値とに対応し
て設定される補正量(制御補助指令値)Sya,Syb
により、補正される。
【0056】なお、図7,8では旋回時の外輪側車輪の
特性を実線で示し、旋回時の内輪側車輪の特性を破線で
示している。また、ここでは、図5,6の制御指令値S
ha,Shbの特性はそれぞれ図2,3に等しくなって
いるので説明を省略する。
【0057】図7,8のマップ3,4について説明する
と、補正量Sya,Sybは、ヨーレイト偏差ΔYとヨ
ーレイト偏差の微分値ΔY′(=dΔY/dt)とに基
づいた値(=ヨーレイト偏差+G2×ヨーレイト偏差の
微分値、即ち、ΔY+G2×ΔY′,G2:比例定数)
に対応して設定されている。
【0058】なお、ヨーレイト偏差ΔYとは、目標とす
るヨーレイト(目標ヨーレイト)の絶対値と実際のヨー
レイト(実ヨーレイト)の絶対値との差(|実ヨーレイ
ト|−|目標ヨーレイト|)であり、目標ヨーレイト
は、操舵角(ハンドル角)や車速の情報に基づいて算出
でき、実ヨーレイトはヨーレイトセンサ23で検出でき
る。
【0059】このうち図7に示すマップ3は、車両の駆
動時における補正量Syaを設定するものであり、マッ
プ3の横軸は旋回方向へのヨーレイトの値(ΔY+G2
×ΔY′)を示している。
【0060】図示するように、ΔY+G2×ΔY′の値
が大きい場合、つまり、実ヨーレイトが目標ヨーレイト
よりも大きかったり、実ヨーレイトが目標ヨーレイトよ
りも大きくなっていったりした場合、この補正量Sya
は、左旋回中であれば、旋回内輪の左輪が正の値(ma
x)になり、旋回外輪の右輪が負の値(min)にな
り、右旋回中であれば、旋回内輪の右輪が正の値(ma
x)になり、旋回外輪の左輪が負の値(min)にな
る。
【0061】ΔY+G2×ΔY′の値が、所定値より小
さい場合(但し0より大)、つまり、実ヨーレイトと目
標ヨーレイトとの差があまりなかったり、実ヨーレイト
と目標ヨーレイトとの差の変化が小さかったりした場
合、補正量Syaは、左旋回中であれば、旋回内輪の左
輪がmaxと0との間の値となり、旋回外輪の右輪が0
とminとの間の値となる。また、右旋回中であれば、
旋回内輪の右輪がmaxと0との間の値となり、旋回外
輪の左輪が0とminとの間の値となる。ただし、旋回
外輪の補正量Syaが0とminとの間の値となるの
は、ΔY+G2×ΔY′が比較的大きな領域であり、こ
の時の旋回内輪の補正量Syaの値はmaxである。ま
た、旋回内輪の補正量Syaの値がmaxと0との間の
値となるのは、ΔY+G2×ΔY′が比較的小さな領域
であり、この時の旋回外輪の補正量Syaの値は0とな
る。
【0062】したがって、目標ヨーレイトに実ヨーレイ
トが追いつかない(ΔY+G2×ΔY′<0)場合に
は、実ヨーレイトを大きくするように旋回外輪の制御指
令値Shaを早期に増加させるような補正を行なう補正
量Syaが出力され、目標ヨーレイトよりも実ヨーレイ
トが過多(ΔY+G2×ΔY′>0)の場合には、実ヨ
ーレイトを小さくするように旋回内輪の制御指令値Sh
aを早期に増加させるような補正量Syaが出力される
ようになっている。
【0063】また、図8に示すマップ4は、車両の制動
時における補正量Sybを設定するが、マップ4の横軸
および縦軸はマップ3のものに対応している。
【0064】このマップ4では、図示するように、ΔY
+G2×ΔY′の値が大きい場合、つまり、実ヨーレイ
トが目標ヨーレイトよりも大きかったり、実ヨーレイト
が目標ヨーレイトよりも大きくなっていったりした場
合、この補正量Sybは、左旋回中であれば、旋回内輪
の左輪が負の値(min)になり、旋回外輪の右輪が正
の値(max)になり、右旋回中であれば、旋回内輪の
右輪が負の値(min)になり、旋回外輪の左輪が正の
値(max)になる。
【0065】ΔY+G2×ΔY′の値が、所定値よりも
小さい場合(但し0より大)、つまり、実ヨーレイトと
目標ヨーレイトとの差があまりなかったり、実ヨーレイ
トと目標ヨーレイトとの差の変化が小さかったりした場
合、補正量Sybは、左旋回中であれば、旋回外輪の右
輪がmaxと0との間の値となり、旋回内輪の左輪が0
とminとの間の値となる。また、右旋回中であれば、
旋回外輪の左輪がmaxと0との間の値となり、旋回内
輪の右輪が0とminとの間の値となる。ただし、旋回
内輪の補正量Sybが0とminとの間の値となるの
は、ΔY+G2×ΔY′が比較的大きな領域であり、こ
の時の旋回外輪の補正量Sybはmaxである。また、
旋回外輪の補正量Sybがmaxと0との間の値となる
のは、ΔY+G2×ΔY′が比較的小さな領域であり、
この時の旋回内輪の補正量Sybは0となる。
【0066】したがって、目標ヨーレイトに実ヨーレイ
トが追いつかない(ΔY+G2×ΔY′<0)場合に
は、実ヨーレイトを大きくするように旋回内輪の制御指
令値Shbを早期に増加させるような補正を行なう補正
量Sybが出力され、目標ヨーレイトよりも実ヨーレイ
トが過多(ΔY+G2×ΔY′>0)の場合には、実ヨ
ーレイトを小さくするように旋回外輪の制御指令値Sh
bを早期に増加させるような補正を行なう補正量Syb
が出力されるようになっている。
【0067】このようにして、補正手段SSでは、制御
指令値Shaには制御補助指令値Syaが加算されて、
最終指令値Sa[Sa=Sha+Sya,(0≦Sa≦
max)]が算出され、制御指令値Shbには制御補助
指令値Sybが加算されて、最終指令値Sb[Sb=S
hb+Syb,(0≦Sb≦max)]が算出されるよ
うになっている。
【0068】そして、駆動力配分調整手段としての処理
装置Sでは、第1実施例における制御指令値Sha,S
hbのかわりにこの最終指令値Sa,Sbが出力される
ようになっている。
【0069】本発明の第2実施例としての自動車用左右
駆動力制御装置は、上述のように構成されているので、
次のように作動する。
【0070】すなわち、前後左右の各車輪3L,3R,
4L,4Rは、エンジン8の出力を伝達されて回転駆動
されるが、各車輪3L,3R,4L,4Rへ入力される
駆動力は、油圧多板クラッチ201,202,203,
204それぞれの結合状態により調整される。
【0071】これらの油圧多板クラッチ201,20
2,203,204は、車両の走行状態に応じて出力さ
れるハンドル角センサ7,ブレーキセンサ22,ヨーレ
イトセンサ23,前後Gセンサ24,アクセル開度セン
サ28等の各センサの出力値に基づいて、コントローラ
15,油圧制御バルブ21を介して結合状態を調整さ
れ、各車輪へ分配されるトルクが調整される。
【0072】コントローラ15における駆動力配分調整
手段Sでは、例えば図9に示すフローチャートのように
して演算が行なわれ制御信号が出力される。
【0073】つまり、まず、ドライバーの操舵によるハ
ンドル角θthの状態がハンドル角センサ7の出力値とし
て読み込まれ、このハンドル角θthからハンドル角速度
θth′が算出され、これらのハンドル角θthおよびハン
ドル角速度θth′が取り込まれる。(ステップS1)。
また、これとともに、アクセル開度センサ28の検出信
号が読み込まれる(ステップS2)。
【0074】そして、ドライバーの運転意思が、駆動状
態にあるか制動状態にあるかの判定情報がアクセル開度
センサ28の検出信号等に基づいて演算され(ステップ
S3)この情報に基づいて、ステップS4で、駆動状態
にあるか制動状態にあるかが判定される。
【0075】このステップS4で駆動状態にあると判定
された場合には、ステップS5に進んで、図5のマップ
1を用いてハンドル角θthおよびハンドル角速度θth′
から指令値Shaが決定され、その後、指令値Sha
に、ステップS9〜ステップS14の補正が施される。
【0076】すなわち、まず、各車輪3L,3R,4
L,4Rにそれぞれ付設された回転数センサ261,2
62,263,264の検出信号が読み込まれ、4輪の
車速(車輪速)が算出される(ステップS9)。
【0077】そして、ステップS10でこれらの車速値
等を用いて目標ヨーレイトが算出され、つづくステップ
S11では、ヨーレイトセンサ23から実ヨーレイトが
読み込まれる。
【0078】さらに、ステップS12において、目標ヨ
ーレイトと実際のヨーレイトとの偏差(ヨーレイト偏差
=実際のヨーレイト−目標ヨーレイト)ΔYが算出され
るとともに、ヨーレイト偏差の微分値ΔY′が算出され
る。
【0079】つづくステップS13では、図7に示すマ
ップに基づいて補助指令値Syaが決定される。
【0080】すなわち、図7に示すように、ΔY+G2
×ΔY′の値が大きい場合、つまり、実ヨーレイトが目
標ヨーレイトよりも大きかったり、実ヨーレイトが目標
ヨーレイトよりも大きくなっていったりした場合、この
補正量Syaは、左旋回中であれば、旋回内輪の左輪が
正の値(max)になり、旋回外輪の右輪が負の値(m
in)になり、右旋回中であれば、旋回内輪の右輪が正
の値(max)になり、旋回外輪の左輪が負の値(mi
n)になる。
【0081】ΔY+G2×ΔY′の値が所定値より小さ
い場合(ただし0より大)、つまり、実ヨーレイトと目
標ヨーレイトとの差があまりなかったり、実ヨーレイト
と目標ヨーレイトとの差の変化が小さかったりした場
合、補正量Syaは、左旋回中であれば、旋回内輪の左
輪がmaxと0との間の値となり、旋回外輪の右輪が0
とminとの間の値となる。また、右旋回中であれば、
旋回内輪の右輪がmaxと0との間の値となり、旋回外
輪の左輪が0とminとの間の値となる。ただし、旋回
外輪の補正量Syaが0とminとの間の値となるの
は、ΔY+G2×ΔY′が比較的大きな領域であり、こ
の時の旋回内輪の補正量Syaはmaxである。また、
旋回内輪の補正量Syaがmaxと0との間の値となる
のは、ΔY+G2×ΔY′が比較的小さい領域であり、
この時の旋回外輪の補正量Syaは0となる。
【0082】したがって、目標ヨーレイトに実ヨーレイ
トが追いつかない(ΔY+G2×ΔY′<0)場合に
は、実ヨーレイトを大きくするように旋回外輪の制御指
令値Shaを早期に増加させるような補正を行なう補正
量Syaが出力され、目標ヨーレイトよりも実ヨーレイ
トが過多(ΔY+G2×ΔY′>0)の場合には、実ヨ
ーレイトを小さくするように旋回内輪の制御指令値Sh
aを早期に増加させるような補正量Syaが出力され
る。
【0083】このようにして、制御補助指令値Syaを
出力されると、ステップS14で、この制御補助指令値
Syaが制御指令値Shaに加算され、最終指令値Sa
[Sa=Sha+Sya,(0≦Sa≦max)]が算
出される。
【0084】そして、この最終指令値Saが、第1実施
例の制御指令値Shaのかわりにバルブ21の制御のた
めに出力される(ステップS15)。
【0085】一方、ステップS4で制動状態にあると判
定された場合には、ステップS7に進んで、図5のマッ
プ2を用いてハンドル角θthおよびハンドル角速度θt
h′から指令値Shbが決定され、その後、指令値Sh
bに、ステップS16〜ステップS21の補正が施され
る。
【0086】即ち、まず、各車輪3L,3R,4L,4
Rにそれぞれ付設された回転数センサ261,262,
263,264の検出信号が読み込まれ、4輪の車速
(車輪速)が算出される(ステップS16)。
【0087】そして、ステップS17でこれらの車速値
等を用いて目標ヨーレイトが算出され、つづくステップ
S18では、ヨーレイトセンサ23から実ヨーレイトが
読み込まれる。
【0088】さらに、ステップS19において、目標ヨ
ーレイトと実際のヨーレイトとの偏差(ヨーレイト偏差
=実際のヨーレイト−目標ヨーレイト)ΔYが算出され
るとともに、ヨーレイト偏差の微分値ΔY′が算出され
る。
【0089】つづくステップS20では、図8に示すマ
ップに基づいて補助指令値Sybが決定される。
【0090】すなわち、図8に示すように、ΔY+G2
×ΔY′の値が大きい場合、つまり、実ヨーレイトが目
標ヨーレイトよりも大きかったり、実ヨーレイトが目標
ヨーレイトよりも大きくなっていったりした場合、この
補正量Sybは、左旋回中であれば、旋回内輪の左輪が
負の値(min)になり、旋回外輪の右輪が正の値(m
ax)になり、右旋回中であれば、旋回内輪の右輪が負
の値(min)になり、旋回外輪の左輪が正の値(ma
x)になる。
【0091】ΔY+G2×ΔY′の値が所定値より小さ
い場合(ただし0より大)、つまり、実ヨーレイトと目
標ヨーレイトとの差があまりなかったり、実ヨーレイト
と目標ヨーレイトとの差の変化が小さかったりした場
合、補正量Sybは、左旋回中であれば、旋回外輪の右
輪がmaxと0との間の値となり、旋回内輪の左輪が0
とminとの間の値となる。また、右旋回中であれば、
旋回外輪の左輪がmaxと0との間の値となり、旋回内
輪の右輪が0とminとの間の値となる。ただし、旋回
内輪の補正量Sybが0とminとの間の値となるの
は、ΔY+G2×ΔY′が比較的大きな領域であり、こ
の時の旋回外輪の補正量Sybはmaxである。また、
旋回外輪の補正量Sybがmaxと0との間の値となる
のは、ΔY+G2×ΔY′が比較的小さな領域であり、
この時の旋回外輪の補正量Sybは0となる。
【0092】したがって、目標ヨーレイトに実ヨーレイ
トが追いつかない(ΔY+G2×ΔY′<0)場合に
は、実ヨーレイトを大きくするように旋回内輪の制御指
令値Shbを早期に増加させるような補正を行なう補正
量Sybが出力され、目標ヨーレイトよりも実ヨーレイ
トが過多(ΔY+G2×ΔY′>0)の場合には、実ヨ
ーレイトを小さくするように旋回外輪の制御指令値Sh
bを早期に増加させるような補正を行なう補正量Syb
が出力される。
【0093】このようにして、制御補助指令値Sybを
出力されると、ステップS21で、この制御補助指令値
Sybが制御指令値Shbに加算され、最終指令値Sb
[Sb=Shb+Syb,(0≦Sb≦max)]が算
出される。
【0094】そして、この最終指令値Sbが、第1実施
例の制御指令値Shbのかわりにバルブ21の制御のた
めに出力される(ステップS22)。
【0095】上述の動作により、指令値Sa,Sbに関
する制御信号がコントローラ15からバルブ21へ出力
され、ポンプ9の油圧が所要の状態に調整されて、左側
駆動力伝達系Lおよび右側駆動力伝達系Rへ伝達される
エンジン出力が所要の状態に調整され、自動車の運転状
態に対応した駆動力配分が行なわれる。
【0096】このように第2実施例では、第1実施例の
制御指令値Sha,Shbにヨーレイトに関する補正が
行なわれ、ヨーレイトによるフィードバック制御が付加
されることになるので、第1実施例と同様な効果に加え
て、実ヨーレイトを目標ヨーレイトに近接させるように
でき、旋回特性を、例えば車速の変化(加減速状態)に
影響されずにほぼ一定のものにでき、旋回制御を円滑で
運転フィーリングのよいものできる。
【0097】なお、(ヨーレイト偏差+G2×ヨーレイ
ト偏差の微分値)の大きさが小さな範囲(0の近傍)に
おいて制御補助指令値Sya,Sybとして0を出力さ
れる不感帯が設けられているが、この範囲は、指令値S
ha,Shbによりヨーレイト偏差を解消できる範囲で
あり、チャタリング防止の効果も期待される。
【0098】また、駆動トルクや回転数のフィードバッ
クを行なうことなく、ヨーレイト偏差とその微分値のみ
で十分な旋回特性の向上を図ることができ、制御が簡素
化される。
【0099】なお、上述の各実施例におけるマップ1〜
マップ4において、ハンドル角速度θth′の係数G1及
びヨーレイト偏差の微分値ΔY′の係数G2を、駆動時
と制動時とでそれぞれ等しく設定しているが、駆動時と
制動時とで異なる設定にすることも考えられる。さら
に、マップ1〜マップ4における各制御指令値の特性
は、上述の各実施例のものに限定されず、その大きさの
傾向又はその増減の傾向がほぼ等しければよい。
【0100】また、各輪への駆動トルクを制御する手段
は油圧クラッチに限らず、外部より伝達トルク容量を可
変制御可能な機構、例えば、電磁クラッチ,可変式ビス
カスカップリング,油圧カップリング,電磁流体クラッ
チ等を用いることも可能である。さらに、上述の各実施
例では、前輪及び後輪のそれぞれについて左右輪のトル
ク配分制御を行なっているが、この左右輪のトルク配分
制御は、前輪又は後輪の一方だけに設けてもよく、特
に、制御をより行ないやすくするなどの観点から後輪の
みに設けることが考えられる。
【0101】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、自動車において、エンジンと、このエン
ジンの駆動力を各車輪に伝達する駆動力伝達系と、操舵
角を検出する操舵角センサと、上記駆動力伝達系に制御
信号を出力するコントローラとをそなえ、上記駆動力伝
達系が、右側車輪に所要の駆動力を伝達する右側駆動力
伝達系と、左側車輪に所要の駆動力を伝達する左側駆動
力伝達系とをそなえて構成されるとともに、上記コント
ローラに、上記自動車に操舵方向への旋回モーメントが
生じるように上記操舵角センサにより検出された操舵状
態に対応して上記の右側駆動力伝達系と左側駆動力伝達
系とのそれぞれに伝達される駆動力の配分状態を設定し
てこの配分状態に応じた制御信号を上記駆動力伝達系に
出力する駆動力配分調整手段が設けられるという構成
で、次のような効果ないし利点が得られる。
【0102】自動車の旋回時における左右輪ロックが
防止されてブレーキング現象を回避できるようになる。 自動車の旋回時において操舵方向への旋回モーメント
が生じるように左右トルクが制御され、旋回性能が向上
する。
【0103】また、請求項2に記載の発明によれば、自
動車において、エンジンと、このエンジンの駆動力を各
車輪に伝達する駆動力伝達系と、操舵角を検出する操舵
角センサと、上記自動車のヨーレイトを検出するヨーレ
イトセンサと、上記駆動力伝達系に制御信号を出力する
コントローラとをそなえ、上記駆動力伝達系が、右側車
輪に所要の駆動力を伝達する右側駆動力伝達系と、左側
車輪に所要の駆動力を伝達する左側駆動力伝達系とをそ
なえて構成されるとともに、上記コントローラに、上記
自動車に操舵方向への旋回モーメントが生じるように上
記操舵角センサにより検出された操舵状態に対応して上
記の右側駆動力伝達系と左側駆動力伝達系とのそれぞれ
に伝達される駆動力の配分状態を設定してこの配分状態
に応じた制御信号を上記駆動力伝達系に出力する駆動力
配分調整手段が設けられて、上記駆動力配分調整手段
に、上記ヨーレイトセンサにより検出された実ヨーレイ
トが目標とするヨーレイトに近づくようにヨーレイトに
対応して上記の左右輪への駆動力の配分状態を補正する
補正手段が設けられるという構成で、次のような効果な
いし利点が得られる。
【0104】自動車の旋回時における左右輪ロックが
防止されてブレーキング現象を回避できるようになる。 自動車の旋回時において操舵方向への旋回モーメント
が生じるように左右トルクが制御され、旋回性能が向上
する。 検出された実際のヨーレイトに対応して駆動力配分を
制御するため、旋回特性を加減速等によらず一定とする
ことができるようになる。
【0105】駆動トルクや回転数のフィードバックを
行なうことなく、検出された実際のヨーレイトを用いて
十分な旋回特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置をそなえた自動車の駆動力伝達系の概略構成
を示す摸式図である。
【図2】本発明の第1実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図3】本発明の第1実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置の要部の作動を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図7】本発明の第2実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置における制御特性を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施例としての自動車用左右駆動
力制御装置の要部の作動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 2 ステアリングハンドル 3L 車輪(左前輪) 3R 車輪(右前輪) 4L 車輪(左後輪) 4R 車輪(右後輪) 7 ハンドル角センサ(操舵角センサ) 8 エンジン 9 油圧ポンプ 15 コントローラ 21 調圧バルブ 22 ブレーキペダルセンサ 23 ヨーレイトセンサ 24 前後Gセンサ 26 横Gセンサ 28 アクセル開度センサ 30 センタデフ 31 ビスカスカップリング(VCU) 32A 前輪側駆動力伝達軸 32B 後輪側駆動力伝達軸 201〜204 油圧多板クラッチ 261〜264 回転数センサ 291〜294 トルクセンサ 321〜324 駆動軸 L 左輪駆動力伝達系 R 右輪駆動力伝達系 S 駆動力配分調整手段としての処理装置 SS 補正手段 T 駆動力伝達系

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車において、エンジンと、このエン
    ジンの駆動力を各車輪に伝達する駆動力伝達系と、操舵
    角を検出する操舵角センサと、上記駆動力伝達系に制御
    信号を出力するコントローラとをそなえ、上記駆動力伝
    達系が、右側車輪に所要の駆動力を伝達する右側駆動力
    伝達系と、左側車輪に所要の駆動力を伝達する左側駆動
    力伝達系とをそなえて構成されるとともに、上記コント
    ローラに、上記自動車に操舵方向への旋回モーメントが
    生じるように上記操舵角センサにより検出された操舵状
    態に対応して上記の右側駆動力伝達系と左側駆動力伝達
    系とのそれぞれに伝達される駆動力の配分状態を設定し
    てこの配分状態に応じた制御信号を上記駆動力伝達系に
    出力する駆動力配分調整手段が設けられていることを特
    徴とする、自動車用左右駆動力制御装置。
  2. 【請求項2】 自動車において、エンジンと、このエン
    ジンの駆動力を各車輪に伝達する駆動力伝達系と、操舵
    角を検出する操舵角センサと、上記自動車のヨーレイト
    を検出するヨーレイトセンサと、上記駆動力伝達系に制
    御信号を出力するコントローラとをそなえ、上記駆動力
    伝達系が、右側車輪に所要の駆動力を伝達する右側駆動
    力伝達系と、左側車輪に所要の駆動力を伝達する左側駆
    動力伝達系とをそなえて構成されるとともに、上記コン
    トローラに、上記自動車に操舵方向への旋回モーメント
    が生じるように上記操舵角センサにより検出された操舵
    状態に対応して上記の右側駆動力伝達系と左側駆動力伝
    達系とのそれぞれに伝達される駆動力の配分状態を設定
    してこの配分状態に応じた制御信号を上記駆動力伝達系
    に出力する駆動力配分調整手段が設けられて、上記駆動
    力配分調整手段に、上記ヨーレイトセンサにより検出さ
    れた実ヨーレイトが目標とするヨーレイトに近づくよう
    にヨーレイトに対応して上記の左右輪への駆動力の配分
    状態を補正する補正手段が設けられていることを特徴と
    する、自動車用左右駆動力制御装置。
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