JPH0518523A - 廃プラスチツク又は高分子ガスの完全燃焼炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼処理の困難な廃プラスチック又は高分子
ガスを小型な設備で急速に完全燃焼させる。 【構成】 燃焼室内筒１とその外側の燃焼室外筒２とを
空間を介して内外二重円筒に形成し、該燃焼室内筒１の
上端中心部に耐熱鋼製スロート３が設けられ、該燃焼室
内筒１にはその底部が摺鉢状に形成された溶融プラスチ
ック液貯溜皿４が設けられ、該内筒１側面にスリット状
入気口５が開口され、該液貯溜皿４の中間位置には筒蓋
状容器６ａの外側面に放射方向に張出するフィン６ｂが
取り付けられた燃焼管制盤６が静置され、該内筒１の側
壁下部には灯油バーナー７が直結され、該外筒２の側壁
上部には吹込ダスト８の先端吹込部が該内筒１と外筒２
との間の空間であるエアーダクト９の接線方向に向けて
直結され、該液貯溜皿４には温度調整用サーモスタット
１０、１１が付設されてなる。 【効果】 廃プラスチック又は高分子ガスを大気汚染公
害問題を派生することもなく完全燃焼できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は廃プラスチック又は高分
子ガスの完全燃焼炉に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】廃プラスチックは種類雑多で形状複雑且
つ比熱、比容積、カロリー等の性状も多様多岐にわたる
ため、燃焼処理するには一旦、炉底に溶融滞留せしめた
状態で加熱、蒸発、着火、燃焼を行わせれば取扱は比較
的容易であるが、従来、廃プラスチックの燃焼と言え
ば、黒煙、悪臭、有害ガスの発生源となり、それが大気
を汚染して公害発生の一因をなすため、廃プラスチック
の処理は大きな社会問題ともなっているのが現状であ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、燃焼処理の困難な廃プラスチック又は高分
子ガスを小型な設備で急速に完全燃焼させることができ
るようにして、大気汚染公害問題を派生することもない
廃プラスチック又は高分子ガスの完全燃焼炉を得ようと
するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の如き観点
に鑑みてなされたものであって、燃焼室内筒とその外側
の燃焼室外筒とを空間を介して内外二重円筒に形成し、
該燃焼室内筒と燃焼室外筒の上端を閉じる天板にはその
燃焼室内筒の中心部に対応する部位に該燃焼室内筒の気
流が通って外部に流出する耐熱鋼製スロートが設けら
れ、該燃焼室内筒にはその底部が摺鉢状に形成された溶
融プラスチック液貯溜皿が設けられ、該内筒側面には該
内筒の外部に作られる渦流空気が内部に入気するスリッ
ト状入気口が開口され、そして、該溶融プラスチック液
貯溜皿の中間位置には所要径の筒蓋状容器の外側面に放
射方向に張出するフィンが略等間隔に取り付けられた燃
焼管制盤が静置され、該内筒の側壁下部には灯油バーナ
ーの吹出口が直結され、該外筒の側壁上部には吹込ダス
トの先端吹込部が該内筒と外筒との間の空間であるエア
ーダクトの接線方向に向けて直結され、該溶融プラスチ
ック液貯溜皿には温度調整用サーモスタットが付設され
てなる廃プラスチック又は高分子ガスの完全燃焼炉を提
供しようとするものである。

【０００５】

【作用及び実施例】以下、本発明一実施例の構成を図面
を参照しながら作用と共に説明する。燃焼室内筒１とそ
の外側の燃焼室外筒２とは空間を介して内外二重円筒に
形成されている。該燃焼室内筒１と燃焼室外筒２の上端
を閉じる天板にはその燃焼室内筒１の中心部に対応する
部位に耐熱鋼製のスロート３が設けられて、該燃焼室内
筒１の気流が該スロート３を通って外部に流出するよう
に構成されている。

【０００６】前記燃焼室内筒１はその底部が摺鉢状に形
成されて溶融プラスチック液貯溜皿４としてあり、その
内筒側面には該内筒１の外部に作られる渦流空気が内部
に入気するスリット状入気口５が開口されている。そし
て、所要径の筒蓋状容器６ａの外側面に放射方向に張出
するフィン６ｂが略等間隔に取り付けられた燃焼管制盤
６が該溶融プラスチック液貯溜皿４の中間位置に静置さ
れている。該内筒１の側壁下部には灯油バーナー７の吹
出口が直結して、該灯油バーナー７からの火焔や燃焼空
気が内筒１の内部空間に吹き出すようになっている。

【０００７】前記外筒２の側壁上部には高分子ガスや悪
臭ガス等の吹込ダスト８の先端吹込部が、該吹込ダスト
８から吹き出された燃焼空気が前記内筒１と外筒２との
間の空間である空気断熱層を兼ねたエアーダクト９に沿
って渦流を形成するように該エアーダクト９の接線方向
に向けて直結されている。

【０００８】前記溶融プラスチック液貯溜皿４の上下所
要箇所には温度調整用サーモスタット１０、１１が付設
され、該貯溜皿４の内部は溶融液槽１２としてある。前
記燃焼室内筒１の内部空室が燃焼室１３を構成してい
る。

【０００９】次に、作用について説明する。溶融したプ
ラスチック液が溶融プラスチック液貯溜皿４の内部の溶
融液槽１２に溜められる。今、燃焼室１３内の温度が８
００℃〜９５０℃であれば、溶融液は、燃焼室内筒１の
伝熱だけでなく、燃焼管制盤６及びフィン６ｂによる伝
熱によって、それと同程度の温度に加熱されて勢いよく
盛んに蒸発し、渦流状の火焔となって該燃焼室１３内を
旋回する。

【００１０】燃焼管制盤６の複数枚のフィン６ｂに灯油
バーナー７から放射する火焔が当たることによって該フ
ィン６ｂの先端及び裏側に燃焼ガスの渦流を生ずる。

【００１１】今、高温に加熱されたプラスチックの溶融
液はそれ自体の分解蒸発温度を遙かに越えた温度に達し
ているので、分解した蒸発ガスは該燃焼管制盤６の容器
６ａ内空間を充満した後、該容器６ａの下端から上方へ
噴出する勢いで立ち上がる。

【００１２】この時、側方から入来する灯油バーナー７
の焔に触れて即時に火焔となり、バーナーの燃焼ガスの
勢いと、内筒１の外周のエアーダクト９に吹込ダスト８
からその接線方向に吹き込まれる風圧により形成される
渦流空気がスリット状入気口５から入気する吹き込み圧
力とによって該内筒１の内部燃焼室１３の中を渦巻状火
焔となって旋回しつつ上方へ向かう。

【００１３】この内筒１の内周面に沿う渦流層は燃焼室
１３内の燃焼温度よりも低い温度の内筒１の外部の渦流
空気が大方占めているため空気の境界断熱層として作用
し、また、エアーダクト９の渦流層も内筒１に対する空
気断熱層を形成している。

【００１４】前記燃焼管制盤６のフィン６ｂ間に生じて
いる渦流により、前記火焔の中のガス流及び未分解の高
分子微粒子を含む高温燃焼ガス流は渦流の作用により更
に激しく攪拌されて極めて短時間に分解、酸化の反応を
遂行しながら上昇する。

【００１５】前記内筒１の内部燃焼室１３の中を渦巻状
火焔となって旋回しながら上方へ向かった高温燃焼ガス
流はスロート３に達してその中から外部へ流出する。該
スロート３は当然に高温に赤熱されているので、あたか
も焼玉の如き作用を果して、上方ヘ向かって通過する火
焔中の未分解微粒子があれば、狭い間隙を通過の際に焼
玉となったスロート３に触れてここでも分解、酸化の反
応を行い、完全燃焼化に万全を期している。

【００１６】このようにして、火焔温度は急激に高温に
達するので、予め温度調節器で設定された温度に達すれ
ば、灯油電磁弁は自動的に閉鎖されて灯油バーナー７は
消焔する。

【００１７】この場合、バーナー用燃焼空気は止めない
で、そのまま継続して噴出し続けさせて、バーナー先端
の熱的影響を防ぐと共にプラスチック溶解液の蒸発によ
り生じた高分子ガスに対して十分な燃焼空気を供給する
役目をさせる。

【００１８】尚、溶融プラスチック液貯溜皿４の中のプ
ラスチック溶融液面をコントロールする必要があるの
で、該液貯溜皿４の上部と下部にサーモスタット１０、
１１が取り付けられている。該上部のサーモスタット１
０の位置以上に液面が来れば指示温度は燃焼温度（例え
ば９００℃）から液の蒸発温度（例えば３８０℃）に下
がるので、上面レベルが検知できる。そして、液面が下
がって下部のサーモスタット１１の位置以下に液面が来
れば指示温度は液の蒸発温度（例えば３８０℃）から燃
焼温度（例えば９００℃）に上昇するので、下面レベル
が検知できる。

【００１９】上記のようにして、上下液面の変動に従っ
て、燃焼ガスの発生量も変化するので、吹込ダスト８か
らの送気量をそのダンパー（図示されていない）の開度
を調節して制御できるが、根本的には前記内筒１の溶融
プラスチック液貯溜皿４へのプラスチックの供給をオン
−オフしなければならない。

【００２０】ここで、投入すべき固形プラスチックの貯
留タンクは燃焼炉外に別個に設け、又、前述の液面のレ
ベル変化に応じてオン−オフ可能な自動投入装置を別個
に設けるものである。

【００２１】そして、固形プラスチックの貯溜がなくな
ったときには溶融プラスチック液貯溜皿４への溶融液の
供給も停止するので、液面下部レベルを検知しても燃料
源であるプラスチックがなくなるので、燃焼量が次第に
低下していき、それと共に炉温が下がる。従って、例え
ば、下部レベル検知後５分経過しても炉温の上昇がない
場合は、灯油バーナー７が自動点火すると同時に警報を
発するように安全装置を設けておくものとする。

【００２２】更に、プラスチックの燃焼を終了する場
合、溶融プラスチック液貯溜皿４の中には、通常、液状
又は半個体の状態で若干の燃え残りがあり、そのため
に、作業終了後、直ちに送風機の動作を停止して吹込ダ
スト８からの燃焼空気の供給を止めると、燃え残りが煙
って白煙と悪臭を生ずるため、送風機は例えば２０分間
〜３０分間程度自動動作を継続させて燃焼空気の供給を
続け、それにより燃え残り分を全部燃焼し尽くすように
して燃焼終了後の公害発生も防止できるようにしてあ
る。

【００２３】そして更に、前記燃焼室内筒１の溶融プラ
スチック液貯溜皿４においてプラスチックを燃焼しなく
とも、例えば別途の密閉された容器内に不特定形状のプ
ラスチックを入れておき、本炉において発生する高温の
燃焼ガスに冷却空気を加えて適当な温度に調整されたプ
ラスチック加熱用ガスにより、該容器の内壁を隔てて加
熱し、それにより発生するペーパーを本炉の燃焼室内筒
１に吹き込めば、プラスチックの高分子ガス燃焼の専用
バーナーとして使用することができる。その場合、その
加熱ガスの温度を適当にコントロールすることにより、
ガス発生量を調整することが可能である。また、前記本
炉の燃焼と併用して使用することもできるものである。

【００２４】上記実施例においては、プラスチックを燃
焼させる場合について説明したが、それに限らず、他の
設備から排出する高分子ガスその他各種の悪臭を伴うガ
スの脱臭を行う場合、燃焼源は灯油バーナー７のみであ
るが、上述の如く、燃焼管制盤６のフィン６ｂによる渦
流で激しく攪拌されるので、通常の脱臭炉よりも格段に
効率のよい脱臭炉としても使用することができるもので
ある。

【発明の効果】本発明は以上の説明により明らかなよう
に、燃焼室内筒１の溶融プラスチック液貯溜皿４の溶融
液槽１２に溜められた溶融したプラスチック液が燃焼室
内筒１の伝熱だけでなく、燃焼管制盤６及びフィン６ｂ
による伝熱によって、それと同程度の温度に加熱されて
勢いよく盛んに蒸発し、それが該フィン６ｂの作用が加
わって渦流状の火焔となって該燃焼室１３内を旋回する
ため、燃焼処理の困難な廃プラスチック又は高分子ガス
を小型な設備で急速に完全燃焼させることができるの
で、大気汚染公害問題を派生することもない廃プラスチ
ック又は高分子ガスの完全燃焼炉である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例の要部の構成を示す概略断面図
である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【符号の説明】

１ 燃焼室内筒 ２ 燃焼室外筒 ３ 耐熱鋼製スロート ４ 溶融プラスチック液貯溜皿 ５ スリット状入気口 ６ａ 筒蓋状容器 ６ｂ フィン ７ 灯油バーナー ８ 吹込ダスト ９ エアーダクト １０ 温度調整用サーモスタット １１ 温度調整用サーモスタット

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 燃焼室内筒１とその外側の燃焼室外筒２
   とを空間を介して内外二重円筒に形成し、該燃焼室内筒
   １と燃焼室外筒２の上端を閉じる天板にはその燃焼室内
   筒１の中心部に対応する部位に該燃焼室内筒１の気流が
   通って外部に流出する耐熱鋼製スロート３が設けられ、
   該燃焼室内筒１にはその底部が摺鉢状に形成された溶融
   プラスチック液貯溜皿４が設けられ、該内筒１側面には
   該内筒１の外部に作られる渦流空気が内部に入気するス
   リット状入気口５が開口され、そして、該溶融プラスチ
   ック液貯溜皿４の中間位置には所要径の筒蓋状容器６ａ
   の外側面に放射方向に張出するフィン６ｂが略等間隔に
   取り付けられた燃焼管制盤６が静置され、該内筒１の側
   壁下部には灯油バーナー７の吹出口が直結され、該外筒
   ２の側壁上部には吹込ダスト８の先端吹込部が該内筒１
   と外筒２との間の空間であるエアーダクト９の接線方向
   に向けて直結され、該溶融プラスチック液貯溜皿４には
   温度調整用サーモスタット１０、１１が付設されてなる
   ことを特徴とする廃プラスチック又は高分子ガスの完全
   燃焼炉。