JPH05184663A - 硝子体注入物 - Google Patents

硝子体注入物

Info

Publication number
JPH05184663A
JPH05184663A JP3053512A JP5351291A JPH05184663A JP H05184663 A JPH05184663 A JP H05184663A JP 3053512 A JP3053512 A JP 3053512A JP 5351291 A JP5351291 A JP 5351291A JP H05184663 A JPH05184663 A JP H05184663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vitreous
hyaluronic acid
molecular weight
ablatio
retinae
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP3053512A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeo Obara
健男 小原
Toshijiro Yamaguchi
敏二郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shiseido Co Ltd filed Critical Shiseido Co Ltd
Priority to JP3053512A priority Critical patent/JPH05184663A/ja
Publication of JPH05184663A publication Critical patent/JPH05184663A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Prostheses (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な滞留性とタンポナ―デ効果を有し、網
膜剥離の治療に特に適した硝子体注入物を提供する。 【構成】 分子量が90万以上のヒアルロン酸(塩)を
1.5重量%含有し、25℃,剪断速度383sec-1
における粘度が2500cps以下の硝子体注入物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硝子体注入物に関し、
特にヒアルロン酸またはその塩を主構成成分として含有
する硝子体注入物に関する。
【0002】
【従来の技術】硝子体は水晶体後方にあり、眼球容積の
約4/5を占める無色透明なゲル状の物質である。前方
は水晶体後面、毛様体に接し、後方は網膜、視神経と接
している。この硝子体は硝子体基質と硝子体液に分けら
れる。硝子体基質は網目状の繊細なコラ−ゲン線維より
なり、硝子体液はヒアルロン酸を含む液性成分である。
硝子体後部で境界を形成している網膜は、硝子体に接し
ている内側の網膜神経上皮層と脈絡膜に接している外側
の網膜色素上皮層に分けられる。この網膜神経上皮層に
裂孔が生じ、硝子体液が侵入すると2層は分離し、網膜
剥離となる。網膜剥離の治療法としては、剥離した網膜
神経上皮層と網膜色素上皮層を接着させることが重要
で、そのため光凝固、冷凍凝固、ジアテルミ―凝固など
が行われる。また、閉鎖腔である硝子体腔に相当量の容
積を占有する気体や液体を注入することで、網膜裂孔を
閉鎖し、網膜下液の吸収を促進させるとともに、剥離網
膜を網膜色素上皮層に圧着させることも行われる。この
眼内タンポナ―デ、すなわち硝子体注入物として用いら
れているものに、空気,SF6ガス,フレオンガス等の
気体、シリコンオイル,パ―フルオロカ―ボン等の液体
がある。この硝子体注入物は、高度の透明度と、硝子体
とほとんど同じ屈折率を有していることが理想的であ
り、非毒性,非炎症性,非免疫原性物質でなければなら
ない。更に、注入物は例えば注射針を用いて注入する等
の手段によって注入可能であると共に、該操作によりそ
の性質の劣化を受けることがなく、かつ注入後、容易に
消失もしくは分解されず、剥離網膜が接着するまで硝子
体腔に留まる物質でなければならない。網膜剥離手術後
の合併症としては、細胞増殖や付随的膜形成による増殖
性硝子体網膜症並びに白内障が時に発現する。従って、
導入される硝子体注入物は細胞増殖物質であってはなら
ないことは重要な条件である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の硝子体注入物はそれぞれに欠点があり、満足で
きるものではなかった。例えば、シリコンオイルは硝子
体腔における滞留性は半永久的で網膜の付着を促進する
有効な物質であるが、白内障や眼組織に対する毒性作用
に基づく副作用が高頻度で発現するため、一定期間後取
り除く必要がある。また、気体のなかで、最も一般的
に、かつ長年使用されてきたものは空気であるが、試験
した幾つかの低分子量物質と同様に非常に急速に硝子体
腔から消失する欠点があり、その結果、十分長時間網膜
を定位置に保持することができない。またパ―フルオロ
カ−ボンは、眼毒性が非常に強く、手術後一定時間が経
過したら除去する必要があった。
【0004】更に、近年、1%ヒアルロン酸(ヒ―ロ
ン:登録商標,PharmaciaAB社製)や架橋ヒ
アルロン酸ゲル(特公表61―502310号公報)を
硝子体注入物として用いた例が報告されている(小川昭
彦他:臨眼,第40巻,第660〜661頁,1986
年、R. Koster et al:Doc. Ophthalmol., 64,13
〜17,1986、他)。ヒアルロン酸はもともと硝子
体液中に存在する生体物質であり、従って毒性あるいは
免疫反応が生ずることはなく、硝子体注入物として生体
適合性に優れた素材である。しかしながら、1%濃度の
ヒアルロン酸は、硝子体内での滞留時間が短く、網膜剥
離の治療に用いるには、網膜を十分な時間定位置に保持
することができず、不十分であった。このため、主とし
て、人工水晶体挿入術や全層角膜移植術における手術補
助として使われているにすぎなかった。また、架橋ヒア
ルロン酸ゲルは、ヒアルロン酸自体では比較的速やかに
吸収され、滞留時間が短いのを、架橋構造とすることで
吸収性を弱めたものである。しかし、この場合には、ゼ
リ−状となって粘度が高くなりすぎ、注射針から眼内に
注入するのが非常に難しかった。また、原料は架橋工程
後に滅菌する必要があるが、完全に滅菌することが困難
であることや、不純物混入の問題等もあった。さらに、
架橋ヒアルロン酸ゲルは生体内成分でないことからその
安全性並びに生体適合性の問題もあった。このように、
ヒアルロン酸系の硝子体注入物は、優れた素材であるに
もかかわらず、網膜剥離等における硝子体注入物として
十分に満足のできるものは得られていなかった。本発明
は以上述べたような従来の事情に対処してなされたもの
で、ヒアルロン酸を素材として用いて、十分な滞留性と
タンポナ−デ効果を有し、かつ注入時の作業性も良好な
優れた硝子体注入物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硝子体注
入物として最適なヒアルロン酸の各種性状を詳しく検討
した結果、特定の分子量のヒアルロン酸を特定の濃度お
よび粘度で使用すると、上記した問題点がなく、優れた
硝子体注入物が得られることを見い出した。すなわち、
本発明は分子量が90万以上のヒアルロン酸またはその
塩を1.5重量%以上含有し、25℃、剪断速度383
sec-1における粘度が2500cps以下であること
を特徴とする硝子体注入物である。
【0006】本発明において、ヒアルロン酸またはその
塩の分子量は、90万以上であり、好ましくは160万
〜200万の範囲である。90万未満であると滞留性が
低くなり、網膜剥離の治療における網膜の接着効果を長
時間確保することができない。硝子体注入物中のヒアル
ロン酸(塩)の濃度は1.5重量%以上であり、好まし
くは2〜2.5%の範囲である。1.5重量%未満で
は、タンポナ―デ効果が十分でなく、網膜の接着効果が
不十分となる(後記実験例1参照)。また、硝子体注入
物の温度25℃、剪断速度383sec-1における粘度
は2500cps以下であり、好ましくは1500cp
s以下である。2500cpsを超えると、該硝子体注
入物の硝子体腔への注入が困難となる(後記実験例2参
照)。ヒアルロン酸は、遊離酸でも、塩の形でもよい。
塩としては、ナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金
属塩、カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属
塩等が挙げられる。このような塩のうち、眼科用、特に
硝子体注入物として使用する製剤については、眼房水お
よび硝子体の塩組成を考慮すると、ナトリウム塩が適当
である。また、眼科用として体内に注入する製剤である
ことから、その製剤のpHは、生理的範囲であることが
望ましく、その緩衝剤としてはシュウ酸、クエン酸、リ
ン酸等が挙げられ、眼房水および硝子体の塩組成を考慮
すると、好ましくはリン酸系緩衝液である。本発明で使
用されるヒアルロン酸は、高純度で医療用として眼内等
に注入して支障をきたさないものであれば広く使用可能
であり、またその由来は特に限定されず、具体的には臍
帯,硝子体,鶏冠,微生物等が使用可能である。また、
網膜硝子体手術等において眼内に注入されることから、
眼科領域で使用可能な抗生物質、抗菌剤等の添加が可能
であり、例えばゲンタマイシン,ジベカシン,トブラマ
イシン,アミカシン,メチシリン,アンピシリン,カル
ベニシリン,スルベニシリン,セファロリジン,エリス
ロマイシン,リンコマイシン,クロラムフェニコ―ル,
アムホテリシンB,ポリミキシンB,コリスチン,テト
ラサイクリン,セファロチン等が挙げられる。
【0007】製剤は、適当な塩類溶液にヒアルロン酸あ
るいはヒアルロン酸塩を加えて、ヒアルロン酸を膨潤さ
せた後、充分に攪拌して溶解,均質化して製する。製剤
は高粘性あるいはゲル状の溶液であり、一般に注射筒、
例えばガラス製の注射筒に予め充填しておき、間欠滅菌
(通常80〜100℃)を行う。このようにして得られ
た硝子体注入物は、完全に均質で透明であり、本来の硝
子体とほとんど同じ屈折率を有する。また、透明度が高
いので、スリットランプにより眼内の観察を行うこと
も、網膜固定のための光凝固術等を行うことも可能であ
る。本発明の硝子体注入物を網膜剥離の治療に用いるに
あたっては、無菌かつ発熱性物質を含まないゲル状ヒア
ルロン酸溶液を網膜により形成される後部境界と通常水
晶体および毛様体により形成される前部境界との間の空
間内に注入する。これは、ゲル状ヒアルロン酸溶液が本
来の硝子体液の残存部分と協力して網膜神経上皮層に圧
力を加え、網膜神経上皮層を、治癒に十分な時間、網膜
色素上皮層と接着させる作用を有する。
【0008】
【実施例】次に、実験例,実施例で本発明について詳細
に説明する。 実験例1 ヒアルロン酸溶液で硝子体を置換した場合のヒアルロン
酸の硝子体腔内残存(滞留)時間とヒアルロン酸の濃度
および分子量との関係を調べる実験を標識化合物を用い
て行った。14C―ヒアルロン酸ナトリウムは、 Strepto
coccus zooepidemicus を、酵母エキス,ペプトン,グ
ルタミン,グルコ―スからなる培養液にD―[1―
14C]グルコ−スを添加した培地で振盪培養し、合成し
た。培養液を活性アルミナおよび活性炭処理した後、フ
ィルタ―濾過およびエタノ―ル沈澱を繰り返し行って精
製し、14C―ヒアルロン酸ナトリウムを得た。合成によ
り得られた14C―ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は2
50万、比放射能は90.3kBq/mgであった。ま
た、セルロ−スアセテ−ト膜電気泳動法による分析結果
では、ヒアルロン酸以外のグリコサミノグリカンを認め
ず、放射化学的純度は99%以上であり、エンドトキシ
ンフリ―であった。必要に応じて、14C―ヒアルロン酸
ナトリウムは等張化リン酸緩衝液(pH7.4)に溶解
し温浴中で攪拌することにより低分子化させ、各種分子
量の14C―ヒアルロン酸ナトリウムを調製した。なお、
使用に際しては間欠滅菌を行った。
【0009】体重2〜3kgの有色家兎( Dutch種) を
塩酸ケタミン(ケタラ―ル50:登録商標)[三共]4
0mg/kgおよびキシラジン塩酸塩(セラクタ―ル:
登録商標)[バイエル]1.6mg/kgの筋肉内注射
により麻酔した後、手術用顕微鏡下に置き、硝子体手術
装置(Ocutome:登録商標)を用いて硝子体を切
除した(手術方法については後記実施例3にて詳述)。
切除後、平均分子量30万,90万,160万および2
50万の1.5% 14C―ヒアルロン酸ナトリウムを硝
子体腔に注入し、注入後4週間まで経時的に硝子体中の
放射活性を測定した。
【0010】注入したヒアルロン酸ナトリウムの分子量
と硝子体腔中の残存率との関係をグラフに示すと図1の
ごとくである。図1において、白丸は分子量250万の
ヒアルロン酸ナトリウムを、黒丸は分子量160万のヒ
アルロン酸ナトリウムを、白三角は分子量90万のヒア
ルロン酸ナトリウムを、黒三角は分子量30万のヒアル
ロン酸ナトリウムを示すものであり、ヒアルロン酸ナト
リウムの硝子体腔内滞留時間は、その分子量によって大
きく左右される。硝子体腔には元来ヒアルロン酸を含む
ゲル状硝子体が充満しており、タンポナ―デ物質として
機能している。硝子体中のヒアルロン酸濃度は0.1〜
0.4%であることから(岩田修造編著:水晶体.その
生化学的機構,第1版,第297〜302頁,198
6)、ヒアルロン酸をタンポナ―デ物質として用いる場
合には、用いられたヒアルロン酸が0.4%以上の濃度
で硝子体腔内に残留する必要がある。一方、網膜硝子体
手術後、光凝固、冷凍凝固などを行い、網膜を復位させ
た状態で接着させるが、安定した網膜の接着が得られる
ためには2週間〜1ヵ月要することが知られている(根
木昭:眼科手術,第3巻,第355〜359頁,199
0年)。このような観点から判断すると、濃度1.5%
のヒアルロン酸ナトリウムを用いた場合、硝子体腔中に
0.4%以上の濃度で2週間以上残存するためには分子
量は90万以上必要とされる。また、1ヵ月間の滞留を
期待した場合には、分子量160万以上必要である。
【0011】濃度1%のヒアルロン酸ナトリウムを注入
した場合のヒアルロン酸の分子量と硝子体腔内での残存
率との関係をグラフに示すと図2のごとくである。図2
において、白丸は分子量250万のヒアルロン酸ナトリ
ウムを、黒丸は分子量90万のヒアルロン酸ナトリウム
を示すものであり、ヒアルロン酸ナトリウムの硝子体腔
内滞留時間はその分子量によって大きく左右される。し
かしながら、何れの分子量のヒアルロン酸ナトリウムに
おいても硝子体腔内での滞留時間は短く、充分なタンポ
ナ―デ効果は得られない。また、白四角は分子量90万
のヒアルロン酸ナトリウムを2%濃度で注入したもので
あるが、滞留性は1ヵ月に及ぶことから、用いるヒアル
ロン酸の濃度は、好ましくは2%以上である。
【0012】実験例2 網膜硝子体手術での代用硝子体としての使用に際して
は、通常口径19〜20ゲ―ジ程度の注射針を通して硝
子体腔に緩徐に注入される。この時、高粘性のヒアルロ
ン酸製剤は細い注射針を通して押し出されるが、その時
の剪断応力( shear rate )は、経験的に最大数百〜数
千sec-1程度といわれている。そこで、ヒアルロン酸
の注射針を通して注入される時にかかる荷重を調べ、高
粘性のヒアルロン酸溶液が手術に際して注入可能である
か、操作性の面から検討した。20ゲ―ジ注射針を付し
たガラス製注射筒に種々の粘度のヒアルロン酸ナトリウ
ム溶液3mlを充填し、M100型ストログラフ(東洋
精機製作所)にて、注射筒のピストンを押した時にかか
る応力(シリンジ荷重)を測定した。なお、ピストンを
押す速度は5cm/minとした。ヒアルロン酸ナトリ
ウム溶液の粘度とシリンジ荷重との関係は図3に示すご
とく、粘度の上昇に伴いシリンジ荷重は上昇することが
わかる。シリンジ荷重は1500cpsまでは2×10
6〜3×106dyne程度の低値を示すが、その後急激
に上昇し2500cpsを超えると4×106dyne
以上に上昇することがわかる。
【0013】実施例1 微生物より分離精製した分子量200万のヒアルロン酸
ナトリウム2.0gを等張化リン酸緩衝液(pH7.
4)100mlに加えて放置し、膨潤させた後、攪拌す
ると均一な溶液が得られ、25℃,剪断速度383se
-1におけるその粘度は1000cpsであった。
【0014】実施例2 鶏冠より精製した分子量90万のヒアルロン酸ナトリウ
ム1.5gを等張化リン酸緩衝液(pH7.4)100
mlに加えて放置し、膨潤させた後、攪拌すると均一な
溶液が得られ、25℃,剪断速度383sec-1におけ
るその粘度は370cpsであった。
【0015】実施例3 体重2〜3kgの有色家兎( Dutch種)を塩酸ケタミン
(ケタラ―ル50:登録商標)[三共]40mg/kg
およびキシラジン塩酸塩(セラクタ―ル:登録商標)
[バイエル]1.6mg/kgの筋肉内注射により麻酔
した。0.5%インドメタシン(インドメロ―ル:登録
商標)[千寿製薬]、5%塩酸フェニレフリン(ネオシ
ネジン:登録商標)[興和]の点眼にて散瞳させ、2%
塩酸リドカイン(キシロカイン:登録商標)[藤沢薬
品]を球後麻酔として用いた。家兎眼の洗眼、眼周囲の
消毒を行った後、家兎を手術用顕微鏡下に置きドレ―ピ
ングした。制御糸をかけ、結膜を切開した。角膜輪部か
ら3mmの部位の強膜を切開し、灌流タップを挿入した
後、前置糸で固定した。次に、硝子体切除刀およびライ
トガイドを穿入するための強膜切開を行い、硝子体切除
刀およびライトガイドを穿入した。硝子体切除刀にて硝
子体を吸引しながら切除した後、硝子体切除刀の代わり
に先端を湾曲させた27G針を挿入した。27G針を上
耳側の網膜下に穿入して滅菌した空気0.1mlを注入
し、部分的に網膜を剥離した。剥離後、再び硝子体切除
刀を穿入して剥離網膜を一部切開し、裂孔を作製した。
灌流液と空気の交換を行った後、実施例1で調製したヒ
アルロン酸ナトリウム溶液を硝子体腔内に注入して空気
と交換し、網膜を復位させた。レ−ザ―眼内光凝固装置
のプロ―ブを硝子体腔内に挿入して眼内凝固を行った
後、ライトガイド等のプロ―ブを取り出し、9−0ナイ
ロン糸にて強膜創を縫合した。制御糸をはずし、結膜創
を閉じた。なお、手術に再しては硝子体手術用角膜コン
タクトレンズおよび硝子体手術装置(Ocutome:
登録商標)を使用した。20匹(20眼)について手術
を施行した。4週間後において、検眼鏡的には再剥離等
の異常所見を認めず、光凝固部位の瘢痕化も良好であっ
た。スリットランプによる検査でも硝子体混濁や炎症性
の反応は認められなかった。さらに、6ヵ月後まで観察
したが、観察期間中、硝子体は透明で、白内障,増殖等
の所見はみられなかった。また、網膜電図検査において
も正常であった。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による硝子
体注入物は生体適合性に優れたヒアルロン酸を素材とし
て用いたもので、網膜剥離等における代用硝子体として
用いることにより、十分な滞留性とタンポナ―デ効果を
有し、かつ注入時の作業性も良好なものである。また透
明度が高いので、眼内の観察や、網膜固定のための光凝
固術等も支障なく行うことができ、網膜剥離の治療のみ
ならず、硝子体液化,硝子体混濁,後部硝子体剥離,増
殖性硝子体網膜症等の治療等、幅広く利用することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濃度1.5%の14C―ヒアルロン酸ナトリウム
で家兎硝子体を置換した後の硝子体腔内残存率と用いた
ヒアルロン酸ナトリウムの分子量との関係を示した特性
図である。
【図2】濃度1%あるいは2%の場合についての図1と
同様の関係を示した特性図である。
【図3】シリンジ荷重とヒアルロン酸ナトリウムの粘度
との関係を示した特性図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量が90万以上のヒアルロン酸また
    はその塩を1.5重量%以上含有し、温度25℃、剪断
    速度383sec-1における粘度が2500cps以下
    であることを特徴とする硝子体注入物。
JP3053512A 1991-02-27 1991-02-27 硝子体注入物 Withdrawn JPH05184663A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3053512A JPH05184663A (ja) 1991-02-27 1991-02-27 硝子体注入物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3053512A JPH05184663A (ja) 1991-02-27 1991-02-27 硝子体注入物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05184663A true JPH05184663A (ja) 1993-07-27

Family

ID=12944870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3053512A Withdrawn JPH05184663A (ja) 1991-02-27 1991-02-27 硝子体注入物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05184663A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004026953A1 (ja) * 2002-09-18 2004-04-01 Wakamoto Pharmaceutical Co.,Ltd. 透明な可逆性熱ゲル化水性組成物
WO2012147497A1 (ja) 2011-04-27 2012-11-01 株式会社メニコン 人工硝子体材料
WO2017119296A1 (ja) 2016-01-06 2017-07-13 国立大学法人 東京大学 眼科治療用ゲル材料

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004026953A1 (ja) * 2002-09-18 2004-04-01 Wakamoto Pharmaceutical Co.,Ltd. 透明な可逆性熱ゲル化水性組成物
WO2012147497A1 (ja) 2011-04-27 2012-11-01 株式会社メニコン 人工硝子体材料
WO2017119296A1 (ja) 2016-01-06 2017-07-13 国立大学法人 東京大学 眼科治療用ゲル材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5792103A (en) Viscosurgical method and apparatus
US4819617A (en) Viscoelastic material for ophthalmic surgery
CA2349168C (en) Hyaluronic acid gel, method of its production and medical material containing it
Tao et al. Evaluation of an in situ chemically crosslinked hydrogel as a long-term vitreous substitute material
JP5885349B2 (ja) 組成物
RU2398566C2 (ru) Применение вязкоупругой композиции по новому назначению
Chirila et al. Synthetic polymers as materials for artificial vitreous body: review and recent advances
Jiang et al. The feasibility study of an in situ marine polysaccharide‐based hydrogel as the vitreous substitute
JP4018389B2 (ja) 着色粘弾性組成物
EP1023077B1 (en) Opthalmic composition
US20030060447A1 (en) Non-aspirating transitional viscoelastics for use in surgery
Folk et al. Sodium hyaluronate (Healon®) in closed vitrectomy
US5258412A (en) Vitreous replacement
KR20060131938A (ko) 점탄성 조성물을 포함하는 신규한 유리-라디칼 제거제,사용 방법 및 패키지
CN1921833A (zh) 藻酸盐粘弹性组合物、使用方法及包装
JPH05184663A (ja) 硝子体注入物
Hoopes Sodium hyaluronate (Healon®) in anterior segment surgery: A review and a new use in extracapsular surgery
Jee et al. The effect of C 3 F 8 gas on corneal endothelial cells in rabbits
CN108671270A (zh) 具有氧化还原特性的粘弹剂材料
CN108578789A (zh) 眼科粘弹剂
JP2004530452A (ja) 外科手術において使用するための非吸引性遷移粘弾性物質
US6368585B1 (en) Opthalmic compositions and methods
RU2147876C1 (ru) Фармацевтическая композиция для обезболивания в офтальмологии
CN111617313B (zh) 一种眼用线性凝胶在作为临床孔源性视网膜脱离药物方面中的应用
US20230201112A1 (en) Dissolvable medical device and kit for corneal surface protection

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19980514