JPH0518393A - 真空ポンプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイルミストフィルタからの潤滑油の吹き出
しなしに、ポンプ駆動部から排出されるガス中の油分の
回収を増大にさせることにある。 【構成】 油ポンプがバイパス配管によって吸込口およ
び吐出口１４を短絡させられ、オイルミストフィルタに
おける油回収のためのドレンがこのバイパス配管に接続
され、オイルミストフィルタに圧力損失の大きなものを
採用することができるようにさせている。 【効果】 ポンプ駆動部から回収する油量が大きくなる
ので、潤滑油を補給するインタ−バルが長期化し、潤滑
油の消費量を低減させることができ、しかも、ポンプ機
構部とポンプ駆動部の放気ラインを一元化させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、真空ポンプにかかわ
り、さらに詳しくは、ポンプ機構部とポンプ駆動部との
あいだガスを供給して、これらの圧力バランスをとり、
ポンプ駆動部から前記ガスの一部を潤滑油といっしょに
排気している、吐出口を大気圧で運転する真空ポンプの
改良に関している。

【０００２】

【従来の技術】この種の真空ポンプは、たとえば特願昭
６２−２８５３８７号に記載されているように、ポンプ
機構部、ポンプ駆動部、それに、これらのあいだに配置
された軸封部をもっていて、ポンプ機構部にあるケ−シ
ングに組み込まれた円周流圧縮ポンプを、ポンプ駆動部
にあるモ−タによって駆動することによって、気体をケ
−シングにある吸気口から吸い込み、吐出口から直接大
気へ排気するとともに、ポンプの高圧側に軸封部から窒
素などのシ−ルガスを送り込み、ポンプ機構部とポンプ
駆動部の圧力バランスを維持するようにしている。

【０００３】潤滑は、外部にある油ポンプがポンプ駆動
部の下部にある油溜めから潤滑油を吸い出し、ポンプロ
−タのシャフトを保持する軸受などに圧送し、これらか
ら油溜めに流れ込んだ潤滑油をふたたび軸受などに供給
することによってなされている。そして、ポンプ駆動部
の内部において油煙あるいは油霧となった潤滑油は、ポ
ンプからポンプ駆動部内に漏洩するガスおよび軸封部か
らポンプ駆動部内に送り込まれたシ−ルガスの一部とい
っしょに油回収器にみちびかれ、ここで回収されたあ
と、油溜めにもどされるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような真空ポンプ
では、油回収器に油分の回収効果の高いものを採用する
と、圧力損失が大きくなり、ポンプ駆動部内の圧力が上
昇し、油タンクの油面に圧力がかかり、油回収器のドレ
ンからの油の噴き出しを生じる恐れがあるため、極端に
圧力損失の小さいものを使用している。このため、油回
収器における、油分の回収には限界があり、油回収器か
らガスとともに放出される油分が多くなることをさけら
れず、潤滑油の補給のインタ−バルがきわめて短かい。

【０００５】本発明の目的は、潤滑油の吹き出しなし
に、油回収器における油分の回収を増大させることがで
きる、改良されたこの種のポンプを提供にすることにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の真空ポンプは、吐出圧力が大気圧にて運
転されるポンプをもつポンプ機構部と、ポンプに含まれ
るロ−タのシャフトを支持する軸受、このシャフトを回
転させるモ−タおよび油溜めをもつポンプ駆動部と、ポ
ンプ機構部とポンプ駆動部とのあいだに配置され、ポン
プの高圧側にシ−ルガスをみちびき、これらの圧力バラ
ンスを維持させる通路をもつ軸封部と、油溜めの潤滑油
を吸い出して軸受などに供給する油ポンプをもつ潤滑ラ
インと、ポンプ駆動部における、ポンプからの漏洩ガ
ス、シ−ルガスの一部および潤滑油の油煙あるいは油霧
を含むガスから油分を回収して外部に排出する放気ライ
ンとを具備しているが、油ポンプは吸込口および吐出口
を短絡するバイパス配管をもち、油回収器における油回
収のためのドレンはこのバイパス配管における大気圧よ
りわずかに低い部位に接続されている。

【０００７】

【作用】軸受などに供給され、ポンプ駆動部の内部にお
いて油煙あるいは油霧となった潤滑油は、ポンプからの
漏洩ガスおよびシ−ルガスの一部といっしょに油回収器
にみちびかれ、油回収器において回収され、油ポンプの
吐出口と吸込口とを短絡するバイパス配管を経由して油
ポンプにもどされる。油回収器の油ドレンはバイパス配
管における油回収器のドレン圧力よりも低い圧力となる
部位につながれ、油回収器に圧損の大きいをものを採用
しても、ポンプ駆動部内の圧力を上昇させることなし
に、ポンプ駆動部から排出されるガスに含まれている油
分の回収をおこなえるので、油回収器における潤滑油の
回収量を増大させることができるとともに、油回収器の
排気口から排気されるガスに含まれる油分を大きく減少
させることができる。そして、油回収器から排気される
ガスに含まれる油分がこのようにきわめて少なく、ポン
プ機構部の排気口からのラインとポンプ機構部の放気ラ
インとを合流させることができので、付帯する配管工事
を簡単にかつ低コストでおこなえる。

【０００８】

【実施例】本発明の真空ポンプ装置の一実施例は、以下
に、図面とともに説明する。

【０００９】この真空ポンプ装置は、図１に示すよう
に、ポンプ機構部１０、軸封部１１およびポンプ駆動部
１２を具備している。

【００１０】ポンプ機構部１０は吸気口１３と排気口１
４を有するケ−シング１５をもっている。ケ−シング１
５の内部には、ポンプロ−タ１６およびポンプロ−タに
対向して配置されたポンプステ−タ１７からなる円周流
ポンプ１８が組み込まれていて、ポンプロ−タ１６の回
転によって、吸気口１３から気体を吸い込み、吐出口１
４から大気へ吐き出することができるようになってい
る。ポンプロ−タ１６のシャフト１９は、軸封部１１を
貫通し、ポンプ駆動部１２の内部に延びている。

【００１１】軸封部１１はポンプ機構部１０とポンプ駆
動部１２とのあいだに配置されている。この軸封部１１
にはポンプ外部から供給される窒素ガスなどのシ−ルガ
スをポンプ１８における高圧側のポンプロ−タ１６およ
びポンプステ−タ１７によって形成される圧縮空間をと
おって吐出口１４にみちびく通路２０が設けられてい
る。そして、オイルシ−ル２１がポンプ機構部１０とポ
ンプ駆動部１２とのあいだに位置して、この軸封部１１
に配置されかつポンプロ−タ１６のシャフト１９に取り
付けられ、ポンプ機構部１０とポンプ駆動部１２とのあ
いだをシ−ルしている。

【００１２】ポンプ駆動部１２はふたつのチャンバをも
つケ−シング２２を具備している。軸封部側にある一方
のチャンバには、ポンプ機構部１０のポンプロ−タ１６
のシャフト１９を支持する軸受２３、２３’、それに、
シャフト１９を回転させるモ−タ２４が組み込まれてい
る。ポンプロ−タ１６のシャフト１９における軸封部１
１を貫通して、このチャンバに延びている部分は、これ
らの軸受２３、２３’に保持されている。モ−タ２４に
あるロ−タはポンプロ−タのシャフト１９の延長部分に
かん合かつ固定され、ステ−タはケ−シング２２に固定
されている。また、ポンプ駆動部にある他方のチャンバ
は油溜め２５となっていて、オイルク−ラ２６を組み込
まれている。

【００１３】軸受２３、２３’の潤滑は、この真空ポン
プ装置の外部にある油ポンプ２７によってなされてい
る。この油ポンプ２７は吸込口が配管２８によってポン
プ駆動部１２の油溜め２５に、吐出口がポンプ駆動部１
２のケ−シング２２における軸受２３、２３’に関連す
る部分に配管２９によってつながれている。また、この
ポンプ駆動部１２における軸受２３、２３’およびモ−
タ２４が組み込まれているチャンバには放気口３０が設
けられている。この放気口３０は配管３６によって油回
収器３１に、より具体的には、オイルミストフィルタ３
１のガス入口につながれている。このオイルミストフィ
ルタ自体は、たとえば特願昭６２−２８５３８７号公報
に記載されているように、ケ−スの内部に油フィルタを
収容され、この油フィルタの一端にポンプ駆動部１２の
放気口３０につながるガス入口を、他端にガス出口３４
を、そして油ドレインをフィルタ下部にもち、ガス入口
からはいったガスに含まれている油を油フィルタによっ
て除去し、ガスのみをガス出口３４から排出させるとと
もに、フィルタに付着した油をケ−ス下部に自重によっ
て降下させて、油ドレインからポンプ機構部１０の油溜
めにもどすようになっている。

【００１４】この真空ポンプ装置において、油ポンプ２
７は吸込口と吐出口とのあいだに、これらを短絡させる
バイパス配管３２を設けられており、そして、オイルミ
ストフィルタ３１の油ドレンは配管３３によってこのバ
イパス配管３２における大気圧よりもわずかに高い圧力
の部位に接続されている。

【００１５】この真空ポンプ装置の運転は、モ−タ２４
によってポンプロ−タ１６を回転させ、油ポンプ２７を
作動させ、そして、シ−ルガスを軸封部１１の通路２０
に送り込むことによってなされる。ポンプロ−タ１６が
回転されると、ガスが矢印Ａで示すようにポンプ機構部
１０のケ−シングにある吸気口１３からポンプ１８に吸
い込まれ、ポンプロ−タ１６およびポンプステ−タ１７
によって圧縮され、矢印Ｂで示すように排気口１４から
大気に放出される。同時に、油ポンプ２７がポンプ駆動
部１２の油溜め２５にある潤滑油を吸い出して軸受２
３、２３’に供給する。これらの軸受に供給された潤滑
油は、油溜め２５に落下し、ふたたび油ポンプ２７によ
って軸受２３、２３’に供給される。シ−ルガスは、矢
印Ｃで示すように、通路２０およびオイルシ−ル２１を
とおって、高圧側となるポンプロ−タ１６とポンプステ
−タ１７とによって形成される圧縮空間にはいり、ポン
プ機構部１０とポンプ駆動部１２とのあいだをシ−ルし
たあと、ポンプ１８から排気される圧縮ガスといっしょ
に排気口１４から大気に放出される。

【００１６】ポンプ駆動部１２における軸受２３、２
３’およびモ−タ２４が組み込まれているチャンバに
は、ポンプ１８において圧縮されたガス、シ−ルガスの
一部、それに、軸受２３、２３’に供給されかつ油霧あ
るいは油煙となった潤滑油が充満している。これらのガ
スは放気口３０からオイルミストフィルタ３１にはい
り、オイルミストフィルタ３１において潤滑油を除去さ
れ、オイルミストフィルタのガス出口３４から大気に放
出される。除去された潤滑油は、配管３３をとおってバ
イパス配管３２にみちびかれ、油ポンプ２７によって軸
受２３、２３’に供給され、一部がふたたび油霧あるい
は油煙となってオイルミストフィルタ３１にはいり、残
部が油溜め２５にたまり、油ポンプ２７によって軸受２
３、２３’に供給される。

【００１７】本発明による真空ポンプ装置では、このよ
うに、オイルミストフィルタ３１のドレンがバイパス配
管３２における大気圧より低い圧力となっている部位に
もどされているので、オイルミストフィルタ３１におけ
る圧力損失が大きくても、ポンプ駆動部１２の内部圧力
が上昇せず、油溜め２５にある潤滑油がオイルミストフ
ィルタ３１のドレンから噴き出さない。そして、回収さ
れる油分の大部分は大気であるため、オイルミストフィ
ルタ３１のドレンを油ポンプ２７の吸込側に接続する
と、油ポンプ２７の吸込側の圧力が低すぎて圧力差が大
きくなり多量の大気を油ポンプ２７が吸い込み、油ポン
プ２７としての機能を果せなくなるが、この装置ではオ
イルミストフィルタ３１により回収される油分が油溜め
２５から吸い込まれる潤滑油量に比較して少量であり、
しかも、オイルミストフィルタ３１のドレンは前述のよ
うにバイパス配管３２における大気圧より若干低い圧力
となる部位に接続されていて、これらの圧力差が小さい
ため、ドレンからの吸込み流量が少なくなり、油ポンプ
２７の性能に影響をおよぼさない。

【００１８】図２は油ポンプ２７のバイパス配管３２に
おける測定例を示している。グラフにおける縦軸は圧力
値およびオイルミストフィルタのドレンからの配管３３
における流量Ｑ、横軸は潤滑油の温度ｔをあらわしてお
り、参照符号Ｐｓは油ポンプ２７の吸込側の圧力、Ｐｄ
は油ポンプ２７の吐出側の圧力、Ｐｉは油ポンプ２７の
バイパス配管３２とオイルミストフィルタ３１のドレン
からの配管２７との合流点における圧力をそれぞれ示し
ている。油ポンプ２７の吸込口と吐出口とがバイパス配
管３２によって短絡され、バイパス配管３２における適
切な位置にドレンからの配管１７を合流させると、合流
点での圧力Ｐｉは油ポンプの吸込側圧力Ｐｓに比較して
大気圧との差圧を大巾に低くさせることができるととも
に、ドレン流量Ｑも少なくさせることができる。潤滑油
の油温ｔが上昇すると、大気圧との差圧およびドレン流
量Ｑは減少することになるが、このときに、ポンプ駆動
部１２の放気口３０から排出される油分は大部分がシ−
ルガスであるため有利な方向となっている。

【００１９】本発明による真空ポンプ装置は、このよう
に、オイルミストフィルタ３１の圧力損失を大きくする
ことができ、油フィルタに圧力損失の大きいもの、つま
り、油の回収量の大きなものを使用して、潤滑油の回収
量をたかめることができるため、従来のこの種のポンプ
装置よりも、潤滑油を補給するインタ−バルを長くさせ
ることができ、メンテナンスがより簡単になるばかり
か、オイルミストフィルタのガス出口３４から排出され
るガスに含まれる油分が大きく減少するため、油汚染に
たいする対策もきわめて容易にかつ低コストでもってお
こなえる。

【００２０】そして、オイルミストフィルタ３１におけ
る油分回収量が多く、オイルミストフィルタ３１から放
出されるガスの油分が少ないということは、図３に示す
ように、オイルミストフィルタのガス出口３４を配管３
７によってポンプ機構部１０の排気口１４からの配管３
８に合流させる、つまり、オイルミストフィルタのガス
出口３４からの配管とポンプ機構部１０における吐出口
１４からの配管とをひとつにさせることができ、配管工
事などをきわめて容易にかつ低コストでおこうことがで
きる。

【００２１】

【発明の効果】本発明の真空ポンプ装置は、以上説明し
たように、ポンプ駆動部からシ−ルガスとともに排出さ
れる油分の大部分を回収することができるので、潤滑油
を補給するインタ−バルが長くなり、ランニングコスト
をいちじるしく低下させることができ、油回収器から排
気されるガスを大気に排出しても油汚染の問題を発生し
ないばかりか、ポンプ機構部の放気ラインに合流させ
て、装置全体の排出系を一元化することもでき、しか
も、これらをきわめて簡単な構成でもっておこなうこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の真空ポンプ装置の一実施例の全体構成
を示す断面図である。

【図２】油ポンプまわりの測定例を示す説明図である。

【図３】図１の真空ポンプ装置における配管の他の構成
を示す説明図である。

【符号の説明】

１０…ポンプ機構部、１１…軸封部、１２…ポンプ駆動
部、１６…ポンプロ−タ、１８…ポンプ、１９…ポンプ
ロ−タのシャフト、２０…シ−ルガスの通路、２３、２
３’…軸受、２４…モ−タ、 ２５…油溜め、２７…油
ポンプ、２７、２８、２９…潤滑ライン、 ３０、３
１、３６…放気ライン、３１…油回収器、３２…バイパ
ス配管、 ３３…油回収器のガス出口とバイパス配管と
をつなぐ配管、３４…ガス出口。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吐出圧力が大気圧にて運転されるポンプ
   をもつポンプ機構部と、ポンプに含まれるロ−タのシャ
   フトを支持する軸受、このシャフトを回転させるモ−タ
   および油溜めをもつポンプ駆動部と、ポンプ機構部とポ
   ンプ駆動部とのあいだに配置され、ポンプの高圧側にシ
   −ルガスをみちびき、これらの圧力バランスを維持させ
   る通路をもつ軸封部と、油溜めの潤滑油を吸い出して軸
   受などに供給する油ポンプをもつ潤滑ラインと、ポンプ
   駆動部における、ポンプからのガス、シ−ルガスおよび
   潤滑油の油煙あるいは油霧の一部を含むガスから油分を
   回収して外部に排出する放気ラインとを具備している真
   空ポンプにおいて、油ポンプが吸込口および吐出口を短
   絡するバイパス配管をもち、油回収器における油回収の
   ためのドレンがこのバイパス配管における大気圧よりわ
   ずかに低い部位に接続されていることを特徴とする真空
   ポンプ装置。
2. 【請求項２】 油回収器における油分を回収されたガス
   の出口がポンプの排気口につながれている請求項１に記
   載の真空ポンプ装置。