JPH0518226B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ 本発明はシート状電池に関するもので、より具
体的には正極をカーボンから構成し、負極を亜鉛
またはアルミニウムから構成してなるシート状電
池に関するものである。

≪従来の技術≫ 従来、この種のシート状電池としては、例えば
特公昭35−7609に示されたものが公知となつてい
る。この公知のシート状電池では亜鉛板に塩化ア
ンモン、塩化亜鉛、昇汞、水等よりなる電解液を
吸収させる電解液含浸紙を介して二酸化マンガ
ン、アセチレンブラツク等を主成分とする減極合
剤及びカーボンフイルム並びに接触用金属薄膜を
以上の順で積層した後、プラスチツクフイルムで
袋状に包んで全体周縁部を圧着シールし、各端子
を夫々導体とプラスチツクフイルム中央部の一部
剥離せる部分に接触せしめ外部端子に導出してい
る。

この公知のシート状電池は大きな放電電流を得
るためになされたもので、上記のようなアリカリ
性電解質を含有するため、この液が外部に漏出し
ないようにプラスチツクフイルムで密閉する必要
があつた。

≪発明が解決しようとする問題点≫ 従来の電池のほとんどは放電電流を大きくする
ために工夫がなされているのが現状であるが、電
池の働きとしては放電電流は少なくてもむしろ一
定電圧を長期間に亘つて維持することのできる極
めて安価な電池が必要とされる場合がある。この
ような電池の用途の一例としては本願出願人の先
願に係るシート状電池を用いた治療具（特公平３
−13910）及びシート状電池からなる靴の中敷
（特公昭61−21669）がある。

このようなシート状電池はこれを人体の一部に
密着させ、人体を介して電池の陽極から陰極に至
る電気回路を形成し、人体を流通する電流によつ
て人体組織を刺激して治療等の目的を達成せんと
するものであるため、柔軟性に富みかつ安価でし
かも安全性のあるものでなければならない。

上記の用途に合致する電池として、本願出願人
は先に特願昭58−40624（特開昭59−169071）で電
池及びその製造方法なる発明をなしたが、本発明
の目的は更にこれを改良して柔軟性に富みかつク
ツシヨン性の優れたシート状電池を提供するにあ
る。

≪課題を解決するための手段≫ 上記の目的を達成するため、本発明によれば正
極となるカーボン粒子またはカーボン繊維を高密
度に含有する一方減極剤を含有しないスポンジ、
ゴム等の可撓性に富んだ柔軟性シート材の一方の
面に、負極となるアルミニウムまたは亜鉛からな
る箔或いは微粉末を電解質糊材によつて一体的に
接着して端縁が開放端となつた積層構造とし、こ
れを所望の寸法に切断してそのまま製品として使
用し得るシート状電池を提供した。

この柔軟性シート材としては内部にカーボン微
粉末を含有してなるスポンジマツトが比較的安価
に入手し得る材料であるが、このカーボン微粉末
はスポンジ等のマツトの片面に塗布されていても
良い。この後者の場合にはマツトの他方の面にア
ルミ箔等を接着した場合、カーボン微粉末が塗布
されていないマツトの中間部分がセパレータとし
ての機能を奏することになり、極めて便利なもの
となる。

電解質糊材料としてはイオン化の良好な種々の
物質を用いることができるが、この糊材は接着前
は液状でも良いが接着後には固形状または半固形
状となつて流動性を失うことが必要で、これによ
り柔軟性シート材とアルミニウ等の箔との接合端
部がただ単に積層しただけの開放端となつていて
も、ここから電解質が漏出することがないため、
従来のようにプラスチツクフイルム等でシールす
る必要がなくなる。また、このような電解質糊材
の使用により、予め広幅のシート状に形成した本
発明のシート状電池を、所望の寸法に鋏等で切断
して使用することが可能となるものである。

≪実施例≫ 以下に本発明の好適な実施例について添附図面
を参照にして説明する。

第１図は本発明の一実施例に係る薄形シート状
電池を示し、この電池は微細な導電性カーボン粒
子を高密度に含有したスポンジ状シート材１を正
極とし、アウミニウムまたは亜鉛からなる金属箔
２を負極とし、両者を電解質糊材を含浸した薄紙
セパレータ３によつて一体的に接着している。こ
のように本発明の電池は極めて構成が簡単で、減
極剤を包含していない。

上記のシート材１、金属箔２及びセパレータ３
はただ単に積層接着されているだけであるから端
部は開放端となつている。このシート材１におい
て、導電性カーボン粒子の代わりにカーボン繊維
を含有させても良い。また、このカーボン粒子ま
たはカーボン繊維をスポンジ状シート材１の内部
に全体的に分散して含有させる場合以外に、これ
らをシート材の片面のみに塗布或いは片面にのみ
含有させ、他方の上記金属箔２を電解質糊材を用
いて接着し、このシート材１の他方の面側をセパ
レータとして機能させ、上記薄紙セパレータ３を
省略することができる。また、シート材１として
はスポンジ状シート材に限られることなく、多孔
性のゴムシートの他に可撓性に富んだ柔軟性シー
トを用いることができる。また、上記金属箔２の
代わりにアルミニウムまたは亜鉛の微粉末を電解
質糊材によつて接着するようにしても良い。

上記の電解質糊材としては澱粉質糊材のよう
に、接着前は液状の流動性を有していても良い
が、接着後には固形状または半固形状となつて流
動性を失う糊材を用いることが必要である。これ
によつて、本願発明では第１図に示すような比較
的広幅のシート状電池を予め形成し、これを所望
の寸法・形状、例えば第２図に示す形状に切断し
て小型円形電池４を得ることができる。

上記の電池において、金属箔２の種類、電解質
の種類及び柔軟性シート材１中におけるカーボン
粒子の含有量を変えることによつて出力電圧を変
えることが可能である。一例として、カーボン粒
子を含有した約２mmの肉厚のスポンジからなるシ
ート材を正極とし、家庭用として市販されている
アルミニウム箔を負極とし、事務用澱粉糊を電解
質としてこれらを一体的に積層接着して構成した
電池の場合、その出力は約1.0Vであつた。上記
の電池は出力電流は少ないが、電解質を変えるこ
とによつて消費電流の少ない電子時計やポケツト
計算機に適用することが可能である。この場合、
本発明の電池は可撓性に富んだ柔軟性シート材か
らなるため、例えば電池収納部の蓋を電池に圧着
して締めて、従来一般的に必要とされていた接点
部のバネを省略することが可能となる。

スポンジ、ゴム等の可撓性に富んだ柔軟性シー
ト材を用いてなる本発明の電池の一つの大きな効
果としては、特公昭61−21669に係る中敷用電池
及び特公平３−13910に係る治療具用電池として
である。この中敷電池とはシート状電池を足裏形
状に切断して、これを靴の中敷として使用してな
るもので、この中敷用電池を用いることによつて
靴を履いている間に足裏に微電流が流れ、この微
電流による脱臭及び治療効果等を奏するものであ
る。この中敷用電池として本発明の電池を用いた
場合には、正極を構成するシート材が可撓性及び
柔軟性に富んでいるため、紙等からなる場合と比
べて極めて強く破損しにくいものとなる。また、
これがスポンジまたはゴムからなる時はクツシヨ
ン性も良く快適な中敷とすることができる。

一方、治療具用電池とはシート状電池を人体の
皮膚に密着させて、この電池から人体を通る電気
回路を形成し、人体の当該密着部分に微電流を流
してこれを刺激して治療効果を奏するもので、こ
の治療用電池として本願発明の電池を用いること
によつて、人体との密着性が一層良好となり、ま
たシート材が紙からなる場合と比較して破断しに
くく肌触りが良いものとなる。

≪効 果≫ 以上のように本発明の電池は減極剤を包含して
いないため、極めて低電流しか取り出すことがで
きないが、電圧は長時間に亘つて安定しており、
殆ど電流を必要としないが一定電圧を必要とする
電池として極めて有用である。

また、シート材としてスポンジ、ゴム等の可撓
性に富んだ柔軟性シート材を用いているため、薄
形で柔軟性に富んだものとすることができ、従来
の電池では考えることの出来なかつた色々な用法
に適応可能である。

更に、端縁が開放端となつた積層構造とし、こ
れを所望の寸法に切断してそのまま製品として使
用し得るので、製造が極めて容易で、安価なもの
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は比較的広幅の矩形のシート状電池を一
部破断して示す斜視図、第２図は第１図のシート
状電池を円形に切抜いて形成した円形電池を示す
斜視図である。 １……シート材、２……金属箔、３……セパレ
ータ、４……円形電池。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 正極となるカーボン粒子またはカーボン繊維
   を高密度に含有する一方減極剤を含有しないスポ
   ンジ、ゴム等の可撓性に富んだ柔軟性シート材の
   一方の面に、負極となるアルミニウムまたは亜鉛
   からなる箔或いは微粉末を電解質糊材によつて一
   体的に接着して端縁が開放端となつた積層構造と
   し、これを所望の寸法に切断してそのまま製品と
   して使用し得ることを特徴とするシート状電池。 ２ 前記シート材と前記箔または前記微粉末との
   間にセパレータを介装してなることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載のシート状電池。