JPH05181401A - 体積ホログラム光学フィルム、液晶光学素子の製造方法 - Google Patents

体積ホログラム光学フィルム、液晶光学素子の製造方法

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JPH05181401A
JPH05181401A JP15405992A JP15405992A JPH05181401A JP H05181401 A JPH05181401 A JP H05181401A JP 15405992 A JP15405992 A JP 15405992A JP 15405992 A JP15405992 A JP 15405992A JP H05181401 A JPH05181401 A JP H05181401A
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JP
Japan
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liquid crystal
refractive index
optical film
volume hologram
hologram optical
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JP15405992A
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English (en)
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Masahiro Hirano
正浩 平野
Tomonori Korishima
友紀 郡島
Yoshinori Hirai
良典 平井
Satoshi Niiyama
聡 新山
Takuomi Fukui
卓臣 福井
Shotaro Takenobu
省太郎 武信
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】回折効率が高く、電場の印加でその特性が変わ
る体積ホログラム光学フィルムを生産性良く製造する。 【構成】光硬化性の未硬化物と液晶とを含む混合物に、
2方向(例えば2Aと2D)から位相のそろった光線を
あて、次いで全体の硬化を完了することにより、内部で
液晶の含有量が変化することにより屈折率が周期的に変
化する層構造を有する体積ホログラム光学フィルム1を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶と硬化物とからな
る液晶硬化物複合体を用いた体積ホログラム光学フィル
ム、液晶光学素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】体積ホログラム光学フィルムとして、樹
脂フィルム中に屈折率の異なる層が層状に積層されたも
のが知られている。これは、例えば光硬化性化合物に2
方向から位相のそろった光線をあてて、干渉を生じさ
せ、層状に屈折率の異なる層が積層されるようにして製
造されている。
【0003】この体積ホログラム光学フィルムは、その
ピッチ(屈折率の高い部分と隣接の屈折率の高い部分と
の間隔)によって定まる特定波長を選択的に透過した
り、選択的に反射したりする。このため、ヘッドアップ
ディスプレイやハイマウントストップランプ、立体3次
元表示等に使用が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、体積ホログラ
ム光学フィルムは常に一定の表示を行うことしかできな
い。このため、表示を変化させることが望まれていた。
【0005】また、体積ホログラム光学フィルムに用い
られる光硬化性化合物では、2方向から位相のそろった
光線をあてて、それらの2つの光線の干渉を利用して光
硬化性化合物を層状に硬化させて樹脂によるフィルムを
形成しても、屈折率の差がわずかにしか生じないという
問題点もあった。このため、体積ホログラムとして使用
した場合、光の回折効率が悪く、層の数を多くせざるを
得ないものであり、回折効率を向上させることが望まれ
ていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記のような
課題を解決するためになされたものであり、光硬化性の
未硬化物と液晶とを含む混合物に、2方向から位相のそ
ろった光線をあてて、それらの2つの光線の干渉を利用
して光硬化性の未硬化物を層状に硬化させ、次いで全体
の硬化を完了することにより、液晶と硬化物とからな
り、その内部で液晶の含有量が周期的に変化することに
より屈折率が周期的に変化する層構造を有する体積ホロ
グラム光学フィルムを製造することを特徴とする体積ホ
ログラム光学フィルムの製造方法、及び、その液晶の含
有量の変化のピッチp(μm)が0.05≦p≦0.5 の関係
を有することを特徴とする体積ホログラム光学フィルム
の製造方法、及び、それらの硬化物に液晶が膨潤した状
態にあることを特徴とする体積ホログラム光学フィルム
の製造方法を提供するものである。
【0007】また、一対の電極付の基板間にその体積ホ
ログラム光学フィルムを挟持してなることを特徴とする
液晶光学素子、及び、電極付の基板間に光硬化性の未硬
化物と液晶との混合物を挟持し、その製造方法により光
線を当てて硬化させることを特徴とする液晶光学素子の
製造方法、及び、その液晶光学素子の一方の基板を各画
素毎に能動素子を配置した能動素子基板とし、画像を表
示することを特徴とする液晶表示素子を提供するもので
ある。
【0008】本発明の製造方法によって製造された液晶
と硬化物とからなる体積ホログラム光学フィルムでは、
そのフィルムの内部で屈折率が周期的に変化する層構造
を有している。本発明の体積ホログラム光学フィルム
は、米国特許 4938568号のようにオフ状態で光を散乱さ
せることを意図していなく、入射した光をランダムな方
向に反射させる能力はほとんどない。その屈折率の異な
る層により干渉作用を生じ、体積ホログラム光学フィル
ムとして作用する。
【0009】図1は、本発明により製造された体積ホロ
グラム光学フィルムの例の断面図である。図1におい
て、 1は体積ホログラム光学フィルムを表しており、屈
折率の高い層1A、1C、1E、1G…と、屈折率の低い層1B、
1D、1F…とが積層されている。この図では分かり易くす
るために、屈折率の高い層と屈折率の低い層とが完全に
分離した状態で表されているが、通常は徐々に屈折率が
変化している。
【0010】この屈折率の高い層と屈折率の低い層とが
組み合わさって1ピッチ(p) となっている。具体的に
は、屈折率の高い層1Aと、屈折率の低い層1Bを挟んで隣
接している屈折率の高い層1Cとの間が1ピッチ(p) とな
る。
【0011】具体的には、フィルムの内部で液晶の含有
量が周期的に変化する層構造を有しているものがある。
この硬化物の屈折率と液晶の屈折率とが異なることによ
り、液晶の含有割合によって両者の混合硬化物の屈折率
に差がつく。
【0012】本発明によれば上記の構成をとることによ
り、屈折率差を大きく取り、回折効率を向上したり、外
部の電界、磁界等の場により表示情報や波長依存性を変
化させたりすることができる。本発明の製造方法によれ
ば、通常の体積ホログラムに用いられるような特殊な材
料を必要としなく、硬化後、特定の材料を除去したり、
国際公開91-10926号のように他の材料を含浸させたりす
る必要がないので、生産性が良い。
【0013】従来の光硬化性樹脂による体積ホログラム
光学フィルムに比して、本発明の体積ホログラム光学フ
ィルムは硬化物と液晶とからなっているため、層間の屈
折率差を大きくすることができる。また、場を印加する
ことにより、表示情報や波長依存性を変化させることが
できる。
【0014】本発明の体積ホログラム光学フィルムで
は、屈折率の異なる層によって回折を行う。この場合、
どの波長の光を回折の対象にするかは、フィルムの材料
の屈折率、層構造のピッチで定まる。例えば、屈折率が
1.5 程度の樹脂材料を用いる場合には、約300nm の波長
の紫外、約1500nmの波長の近赤外までの間で、回折効果
を発現するためには、50nm〜 500nm程度のピッチ(p) の
層構造とすればよい。なお、高次の回折を使用すること
も考えられる。このため、層構造のピッチ(屈折率の高
い層と隣接する屈折率の高い層との距離)は、50nm〜 5
00nm程度のピッチの層構造とすればよい。
【0015】また、特定の波長の光のみ回折させたい場
合には、ピッチを一定にすればよい。これにより、特定
の波長のみを透過したり、反射したりするようにでき
る。これに外部の場の印加を併用すれば、場によって特
定の波長の透過をオンオフしたり、反射をオンオフした
りするようにできる。この応用としては、着色層を設け
ずにカラー表示することができる。例えば、RGBの3
色の対応する体積ホログラム光学フィルムを画素電極毎
に形成しておくことにより、カラーフィルターなしでカ
ラー表示することができる。
【0016】また、ある程度の波長域の光を回折させた
い場合には、ピッチをその範囲に合わせて変えればよ
い。これにより、特定の波長域を透過したり、反射した
りするようにできる。これに外部の場の印加を併用すれ
ば、場によって特定の波長域の透過をオンオフしたり、
反射をオンオフしたりするようにできる。この応用とし
ては、夏場は太陽の赤外線を反射し、冬場は太陽の赤外
線を透過するような調光窓が可能になる。
【0017】本発明では、屈折率が異なる層が積層され
る。この屈折率差は理想的には、2つの層間で屈折率n1
がn2に急激に変化するものであるが、実際の体積ホログ
ラム光学フィルムでは、通常徐々に屈折率が変化してい
る。このため、その屈折率の高い層の中の最大値をn1
屈折率の低い層の中の最小値をn2とし、屈折率差Δnを
Δn =n1−n2で表す。本発明では、この屈折率差Δn
は、回折効率と回折光の半値幅に関連するので、大きい
程よく、この層間の屈折率差を少なくとも0.02以上と
し、好ましくは0.05以上とする。
【0018】この層の数は、所望の回折効率によって決
まるが、ピッチ(屈折率の高い層と低い層とを1組にし
て 1ピッチとする)にしておおむね10〜 100程度であ
る。屈折率差Δn が0.2 程度の場合、30ピッチ積層する
ことにより、回折効率はほぼ90%を超える。屈折率差Δ
n が0.1 程度の場合には、同程度の回折効率を得るため
には、約60ピッチ程度積層する必要がある。
【0019】本発明では、この層構造は、フィルム面に
平行であってもよいし、フィルム面に対して特定の角度
傾斜していてもよい。フィルム面に平行に近い場合、反
射型の体積ホログラムになるし、フィルム面に垂直に近
い場合、透過型の体積ホログラムになる。
【0020】例えば、図1の体積ホログラム光学フィル
ムに対して、斜め上方2Aから光を入射させた場合、ピッ
チと屈折率によって決まる特定波長の光が逆の斜め上方
2Bに反射される。このため、ヘッドアップディスプレ
イ、ハイマウントストップランプ、赤外線反射窓等に利
用される。
【0021】層の方向が異なる体積ホログラム光学フィ
ルム(フィルム面に層1A〜1Gが垂直)では、特定波長の
光が2Aから2Bへ抜けることにより、フィルム面を透過さ
れることになる。このため、カラーフィルターを用いな
いカラー表示的な使用が可能になる。
【0022】本発明の硬化物は未硬化状態では液晶と混
合でき、特に均質溶液になるものが好ましい。一般的に
は、光硬化性樹脂が使用されるが、光硬化可能な材料で
あればケイ素やチタン等の有機物でも使用でき、必要に
応じて加熱工程を併用してもよい。混合物が均質溶液に
なるものは、容易に取り扱えるので、好ましい。ここで
重要な点は、本発明では光硬化可能な材料は通常の光硬
化可能な材料でよい点であり、通常の体積ホログラムに
用いられるような特殊な材料を必要としないことであ
る。
【0023】本発明の液晶は、ネマチック液晶、スメク
ティック液晶等が使用でき、屈折率異方性を有する液晶
であれば使用できる。また、通常は数種類の液晶材料及
び液晶類似構造の非液晶材料を混合して、所望の屈折率
異方性、誘電率異方性、液晶性を示す温度範囲、閾値電
圧等を得れるように組成物として用いられる。
【0024】電場を印加する場合には、特に、正の誘電
異方性を有するネマチック液晶と光硬化性樹脂(モノマ
ー、オリゴマー等)との組み合わせが好ましい。そし
て、その光硬化性樹脂が硬化した硬化物の屈折率(nP)
が、使用する液晶の常光屈折率(n0)または異常光屈折率
(ne)とほぼ一致するようにされることが好ましい。特
に、液晶の常光屈折率(n0)とほぼ一致するようにされる
ことが好ましい。
【0025】電場を印加していない状態では、樹脂マト
リクス中の硬化物の屈折率と液晶の屈折率とが異なって
いるため、屈折率差が生じており、特定波長の回折が生
じ、反射または透過が生じる。逆に、電場印加時には、
液晶の配列が変化し、液晶の屈折率が変化する。この
際、硬化物の屈折率と液晶の屈折率とが一致し、ホログ
ラム性がなくなり、光がそのまま透過する。nP=n0とす
ることにより、電場印加時の液晶は、充分高い電場を印
加すれば完全に一方向に配列するため、透過性が極めて
高くなる。
【0026】また、逆に電場を印加していない状態で、
樹脂マトリクス中の硬化物の屈折率と液晶の屈折率とを
一致させることもできる。この場合には、層間の屈折率
差がないので、光がそのまま透過する。電場を印加する
と、液晶の屈折率が変化し、層間の屈折率差が生じる。
このため、特定波長の回折が生じ、反射または透過が生
じる。
【0027】このほか、光硬化可能な材料の外に、屈折
率を調整するため等に他のモノマー、オリゴマー、ポリ
マー等を併用してもよい。これは最初の硬化工程では光
硬化する必要があるが、全体硬化の工程では、熱硬化等
でもよいためである。これらの材料も相溶性を有してい
ることが好ましい。さらに、これに粘度調整剤、着色
剤、2色性色素等の添加剤を添加してもよい。
【0028】本発明の製造方法を説明する。本発明で
は、まず第1の工程として、光硬化性の未硬化物と液晶
とを含む混合物に、2方向から位相のそろった光線をあ
てて、それらの2つの光線の干渉を利用して光硬化性の
未硬化物を層状に硬化させる。次いで第2の工程とし
て、光を照射したり、加熱したりして全体の硬化を完了
する。これにより、液晶と硬化物とからなり、その内部
で屈折率が周期的に変化する層構造を有する体積ホログ
ラム光学フィルムを製造することができる。この場合、
液晶と硬化物が明確な散乱を生じるような粒状に分離し
ないように第1の工程の光硬化時の光量は大きくすべき
である。
【0029】この場合、図1の2Aと2Dの2方向から位相
の揃った光を照射すれば、図1のよな屈折率の異なる層
構造を形成できる。この層構造を90°ずらして垂直な方
向にしたいのであれば、2Aと2Cの2方向から光を照射す
ればよい。この位相の揃った光の供給方法としては、例
えばシングルモードのレーザー光を、ビームエキスパン
ダーを用いて、広がった平行光として用いればよい。
【0030】層状に屈折率を変える方法としては、前述
のように液晶の含有量を変える方法と液晶の配向状態を
変える2つの方法がある。
【0031】液晶の含有量を変える場合には、上記の方
法がそのまま使用できる。即ち、光硬化性の未硬化物と
液晶とを含む混合物に、2方向から位相の揃ったた光線
をあてて、それらの2つの光線の干渉を利用して光硬化
性の未硬化物を層状に硬化させる。次いで全体に光を照
射するか加熱等により全体の硬化を完了させ、散乱を生
じるような液晶が硬化物と明確に分離した状態にならな
いようにされればよい。
【0032】この場合、光硬化性の未硬化物と液晶とを
含む混合物が均質溶液になるものが好ましい。この方法
によれば、2つの光線の干渉を利用して光硬化性の未硬
化物を層状に硬化させた部分が低い液晶含有量の層にな
る。これは、光が干渉により強められた層で光硬化が生
じ、硬化物が形成してくるためである。硬化が進むと、
その部分では未硬化物が少なくなるが、溶液状であるた
め、周辺の未硬化物を含む溶液と混ざりあう。これによ
り、この第1の工程で硬化させられる層では硬化物の含
有量が増える。その後、全体に光を当てて硬化させる
(第2の工程)。この後で硬化される層では、相対的に
未硬化物の量が少なくなるので、硬化物の含有量が減
る。
【0033】また、第1の工程での光照射の時間が短い
場合には、その工程中での周辺の未硬化物を含む溶液と
混ざりあいの影響は少なくなる。この場合にも、第1の
工程と第2の工程との間の時間(非照射時間)に混ざり
あいが起き、結果としては同様に、第1の工程で硬化し
た部分は硬化物の含有量が多くなり、残りの部分では硬
化物の含有量が相対的にみて少なくなる。
【0034】具体的には、硬化後の硬化物の屈折率(nP)
がnP=1.50の光硬化性化合物を用い、液晶の常光屈折率
(nO)がnO≒nPであり、液晶がほぼランダム配列した時の
屈折率と常光屈折率との差が約0.20のものを用い、液晶
の平均含有率が50%程度の均質溶液状の混合物としたと
する。分かり易くするために第1の工程の光照射時間は
短くしたとする。この場合、第1の工程で2つの光線を
あてて光を最も干渉により強め合う部分では、その含有
樹脂がほぼ硬化すると約50%の樹脂が析出する。
【0035】次いで、2つの光線の照射を止めてしばら
くすると、溶液状の部分は混ざりあう。その後、第2の
工程として、全体に光を照射して硬化を完了させると、
理想的には均一に樹脂の硬化が生じる。このため、あら
かじめ樹脂が硬化していた部分ではさらに約33%の樹脂
が硬化し、合わせて約67%(50%+33%×0.5 )の樹脂
の含有量になる。残りの部分では、約33%の樹脂の含有
量になる。これにより、2つの層の間での屈折率差は0.
067 程度となる。実際の系においては、硬化物と液晶と
の相溶性により、樹脂の割合は決定される。また、光の
干渉により生じる光強度の大小の繰り返しは連続的な変
化であるので、硬化の割合は、照射する光強度とも関連
する。
【0036】液晶の屈折率の差、2つの光線の照射時
間、放置時間、液晶の平均含有量等を適宜選択すること
により、この屈折率差を所望の値とすることができる。
なお、本発明では、液晶が硬化物のマトリクスに膨潤し
て均一な状態になっていることが好ましいが、可視光域
や近赤外光域で散乱が生じないような明確に分離してい
ない状態になっていてもよい。
【0037】また、本発明によれば、ホログラム性を電
場でオンオフできるので、例えば、電場の有無により、
近赤外線の透過のみを制御し、可視光は常に透過状態に
することもできる。これにより、窓として用いて、夏場
は近赤外線を反射し、冬場は電場を印加して近赤外線も
透過するような窓とすることができる。
【0038】図2は、本発明の体積ホログラム光学フィ
ルムを電極付の基板間に挟持した液晶光学素子の正面図
である。図2において、体積ホログラム光学フィルム1
は、電極3Aを設けた基板4Aと、電極3Bを設けた基板4Bと
に挟持されている。この図では示されていないが、体積
ホログラム光学フィルム1 の端にシールを形成してもよ
い。
【0039】この上下の電極3A、3B間に電場を印加する
ことにより、液晶の配向が変わり、屈折率が変化する。
具体的に正の誘電異方性のネマチック液晶を用いた例を
もとに説明する。図1の体積ホログラム光学フィルムが
そのまま挟持されているとし、なにもしない状態で青色
の光が反射しているとする。この状態で、両電極間に電
場を印加し、液晶分子がほぼ上下方向に配向した場合、
硬化物の屈折率と液晶の常光屈折率とが一致し、体積ホ
ログラム光学フィルムは単なる均一屈折率のフィルムと
なる。この状態では、光は全て透過するため、青い光は
反射してこないことになる。
【0040】図2の電極付の基板間に、図1の体積ホロ
グラム光学フィルムが90°ずらした状態(層が基板面に
垂直になる)で挟持されているとする。この状態で青色
の光が透過しているとする。この状態で、両電極間に電
場を印加し、液晶分子がほぼ上下方向に配向した場合、
硬化物の屈折率と液晶の常光屈折率とが一致し、体積ホ
ログラム光学フィルムは単なる均一屈折率のフィルムと
なる。この状態では、光は全て透過することになる。
【0041】本発明の光硬化可能な材料としては、前述
のように光硬化性化合物が一般的であるが、特に、ビニ
ル系光硬化性化合物が好適であり、中でもアクリル系光
硬化性化合物が最適である。
【0042】電極付の基板としては、ITO(In2O3-SnO
2)、SnO2等の透明電極付のガラス、プラスチック等の透
明基板が使用できる。もちろん、その一部に金属線等の
不透明電極が形成された基板にしたり、画素電極毎に薄
膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード、金属絶縁
体金属非線形抵抗素子(MIM)等の能動素子を設けた
アクティブマトリクス基板にしたりしてもよい。また、
鏡等の用途では、一方の電極は反射電極であってもよい
し、基板も不透明基板であってもよい。
【0043】本発明により製造された体積ホログラム光
学フィルムは、前述のように従来の体積ホログラム光学
フィルムと同じような用途に使用できる。具体的には、
ヘッドアップディスプレイ、ハイマウントストップラン
プ、赤外線反射窓、立体3次元表示等がある。また、そ
の使い方も窓等のガラス面やプラスチック面に貼り付け
て使用してもよいし、積層ガラスや合わせガラス内に封
じ込めて使用してもよい。
【0044】電場を印加可能にしてホログラム特性を可
変する液晶光学素子として使用する場合には、電極付の
基板間に挟持して用いる。このための製法としては、以
下のような製法がある。
【0045】1番目として、電極付の基板間に光硬化性
の未硬化物と液晶とを含む混合物を挟持して、光線をあ
てて硬化させる方法がある。より具体的には、電極付の
基板を周辺をシールしてセルを形成し、その中に光硬化
性の未硬化物と液晶とを含む混合物を注入する等して挟
持して硬化させる方法がある。これは主として小型の表
示素子的用途の場合に有効である。
【0046】また、電極付の基板上に光硬化性の未硬化
物と液晶とを含む混合物を供給し、次いで他の電極付の
基板を重ね、その後光線をあてて硬化させる方法があ
る。これは主として窓等の大面積の用途に有効である。
これらの方法は、いずれも基板間に挟持した状態で硬化
させることから硬化時に気体等の副生成物が生じない材
料を用いる必要がある。また、この方法によれば、膜厚
が均一にしやすい利点がある。
【0047】2番目としては、電極付の基板上に光硬化
性の未硬化物と液晶とを含む混合物を供給し、光線をあ
てて硬化させた後に、他の電極付の基板を重ねる方法が
ある。この方法によれば、硬化時に気体等の副生成物が
生じるものでも使用可能である。しかし、副生成物の離
脱時に悪影響を生じることがあるので、この場合におい
ても副生成物が生じない材料を用いる方が好ましい。
【0048】3番目としては、光硬化性の未硬化物と液
晶とを含む混合物に、光線をあてて硬化させて体積ホロ
グラム光学フィルムを製造し、その後、この体積ホログ
ラム光学フィルムの両面に電極付の基板を重ねる方法が
ある。これも2番目とほぼ同じ効果を有するが、2枚の
電極付の基板に完全に接合するようにしないとオンオフ
がうまく行かない。
【0049】本発明の液晶光学素子は、調光窓、表示素
子等で用いることができる。また、この液晶光学素子
に、バックライト、レンズ、プリズム、ミラー、拡散
板、光吸収体、カラーフィルター、紫外線カットフィル
ター等をを組み合わせて使用してもよい。
【0050】
【実施例】
実施例1 屈折率異方性が0.26の正の誘電異方性のネマチック液
晶、アクリル系光硬化性化合物、光反応開始剤、増感色
素を混合し、未硬化の溶液を得た。なお、液晶の常光屈
折率とアクリル系光硬化性化合物の硬化樹脂の屈折率は
ほぼ同じであった。この溶液をガラス板上に流延した。
【0051】露光用光源として、アルゴンレーザー(波
長514.5nm )を用い、ビームエキスパンダーで平行光線
とし、これを鏡を用いて2つの光束にした後、図1の2A
と2Dの2方向からガラス板上に流延した溶液層に照射し
た。その後、全体を紫外線をあてて硬化を完了させて、
体積ホログラム光学フィルムを製造した。この体積ホロ
グラム光学フィルムは、緑の反射を持っており、分光測
定を行ったところ、540nm 付近に反射帯が見られた。
【0052】実施例2 実施例1の未硬化の溶液を一対のポリエステルフィルム
間に挟み、実施例1と同様にして硬化させたところ、実
施例1と同様に540nm 付近に反射帯が見られた。
【0053】実施例3 実施例1の溶液を、ITO電極付のガラス基板を用いて
セル化したセル内に注入し、同じ方法で露光した。この
セルは、実施例1と同様に緑の反射を持っており、分光
測定を行ったところ、540nm 付近に反射帯が見られた。
電極間に電場を印加したところ、緑の反射が減少した。
【0054】実施例4 実施例1の溶液を、ITO電極付のプラスチックフィル
ム基板上に流延し、その上にもう1枚のITO電極付の
プラスチックフィルム基板を重ねあわせ、同じ方法で露
光した。この液晶光学素子は、実施例3と同様に緑の反
射を持っており、分光測定を行ったところ、540nm 付近
に反射帯が見られ、電極間に電場を印加したところ、緑
の反射が減少した。
【0055】実施例5 実施例1で製造した体積ホログラム光学フィルムの両面
に、ITO電極付のプラスチックフィルム基板を重ねあ
わせた。この液晶光学素子は、実施例4と同様に緑の反
射を持っており、分光測定を行ったところ、540nm 付近
に反射帯が見られ、電極間に電場を印加したところ、緑
の反射が減少した。
【0056】
【発明の効果】本発明の製造方法により製造された体積
ホログラム光学フィルムは、層間の屈折率差を大きくす
ることが容易であり、少ない層数で回折効率の高い体積
ホログラム光学フィルムが得られやすい。また、使用す
る光硬化性の未硬化物として通常の光硬化性化合物が使
用できるという利点もある。さらに、硬化後に使用材料
を除去したり、他の材料を含浸させたりする必要がな
く、生産性が良い。
【0057】この体積ホログラム光学フィルムを電極付
基板間に挟持した液晶光学素子とすることにより、電場
のオンオフにより特定波長の光を反射、透過の制御が可
能になる。これにより、調光窓やカラー表示素子等に使
用もできる。特に、カラーフィルターなしでカラー表示
が可能にもなる。
【0058】体積ホログラム光学フィルムの層の方向を
フィルム面に平行にしたり、垂直にしたり、ある角度傾
斜させることにより、種々の特性の体積ホログラム光学
フィルムが容易に得られる。
【0059】本発明は、本発明の効果を損しない範囲内
で種々の応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の体積ホログラム光学フィルムの概念を
説明するための断面図
【図2】本発明の体積ホログラム光学フィルムを用いた
液晶光学素子の正面図
【符号の説明】
1 :体積ホログラム光学フィルム 2A、2B、2C、2D:光の方向 3A、3B :電極 4A、4B :基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新山 聡 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1160番 地 エイ・ジー・テクノロジー株式会社内 (72)発明者 福井 卓臣 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社中央研究所内 (72)発明者 武信 省太郎 神奈川県愛甲郡愛川町角田字小沢上原426 番1 旭硝子株式会社相模事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光硬化性の未硬化物と液晶とを含む混合物
    に、2方向から位相のそろった光線をあてて、それらの
    2つの光線の干渉を利用して光硬化性の未硬化物を層状
    に硬化させ、次いで全体の硬化を完了することにより、
    液晶と硬化物とからなり、その内部で液晶の含有量が周
    期的に変化することにより屈折率が周期的に変化する層
    構造を有する体積ホログラム光学フィルムを製造するこ
    とを特徴とする体積ホログラム光学フィルムの製造方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、液晶の含有量の変化の
    ピッチp(μm)が0.05≦p≦0.5の関係を有すること
    を特徴とする体積ホログラム光学フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、硬化物に液晶
    が膨潤した状態にあることを特徴とする体積ホログラム
    光学フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】一対の電極付の基板間に請求項1または2
    の製造方法で製造された体積ホログラム光学フィルムを
    挟持してなることを特徴とする液晶光学素子。
  5. 【請求項5】電極付の基板間に光硬化性の未硬化物と液
    晶との混合物を挟持し、請求項1の製造方法により光線
    を当てて硬化させることを特徴とする液晶光学素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】請求項4の液晶光学素子の一方の基板を各
    画素毎に能動素子を配置した能動素子基板とし、画像を
    表示することを特徴とする液晶表示素子。
JP15405992A 1991-04-27 1992-04-24 体積ホログラム光学フィルム、液晶光学素子の製造方法 Withdrawn JPH05181401A (ja)

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Cited By (6)

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