JPH05180831A - 細胞分析装置 - Google Patents

細胞分析装置

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JPH05180831A
JPH05180831A JP12178792A JP12178792A JPH05180831A JP H05180831 A JPH05180831 A JP H05180831A JP 12178792 A JP12178792 A JP 12178792A JP 12178792 A JP12178792 A JP 12178792A JP H05180831 A JPH05180831 A JP H05180831A
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JP
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cell
sample
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cells
concentration
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Application number
JP12178792A
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English (en)
Inventor
Akishi Yamamoto
晃史 山本
Masahiro Hanabusa
昌弘 花房
Fumio Konuma
文雄 小沼
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 病態を正確に把握するために検査精度を向上
させた細胞分析装置を提供することである。 【構成】 細胞分析装置は、対照検体の濃度を求め、そ
の濃度を記憶する第1の検体濃度確定手段と、被検検体
の濃度を求め、その濃度を、第1の検体濃度確定手段に
より得られる対照検体の濃度を用いて補正演算する第2
の検体濃度確定手段とを備える。 【作用】 細胞光情報の処理において、第1の検体濃度
確定手段により求めた対照検体(細胞)の濃度(単位体
積当たりの細胞数)を、第2の検体濃度確定手段により
求めた被検検体(細胞)の濃度を用いて補正演算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローサイトメトリー
を適用した細胞分析装置に関し、詳細には細胞の光情報
を処理する過程で細胞の濃度を正確に決定し、この濃度
を用いて細胞の光情報を処理する細胞分析装置、並びに
細胞の光情報を処理する過程で検体が正常であるか否か
を検出し、その検出結果を知らせることができる細胞分
析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フローサイトメトリーは、例えば蛍光色
素で標識された細胞(又はこれに準ずる粒子)を含む試
料をシース液と共に、細い液流中に流し、流体力学的焦
点合わせ効果により1列になって流れる細胞の一つ一つ
にレーザ等のビーム光を照射し、細胞より生じる散乱光
や蛍光の強度、即ち細胞光情報を瞬時に測定し、細胞を
分析するものである。このフローサイトメトリーは、大
量の細胞を高速度且つ高精度に分析できる特長を有して
いる。
【0003】上記フローサイトメトリーを適用した細胞
分析装置としては、細い液流を形成するためのフローセ
ルと、このフローセル内を流れる細胞に光ビームを照射
する光源(例えばレーザ)と、この光ビームが照射され
た細胞よりの細胞光情報を検出して電気信号に変換する
光検出器と、この光検出器の信号を増幅・積分する信号
処理回路と、この信号処理回路より出力される細胞光情
報の信号の演算処理等を行うコンピュータとを備えてい
るものが知られている。
【0004】例えば、血液中のリンパ球サブセット分析
の場合には、ヒト血液に蛍光色素で標識したモノクロー
ナル抗体を反応させ、その後に溶血処理したものが試料
として用いられる。フローセル中を流れる試料細胞には
レーザビームが照射され、例えば4つのパラメータ、即
ち前方散乱光強度I0 、90°散乱光強度I90、緑色蛍
光強度Ig 、赤色蛍光強度Ir がそれぞれ検出器で検出
され、細胞光情報(以下、単にデータという場合があ
る)が得られる。この試料中には、リンパ球の他に単
球、顆粒球等が含まれているので、リンパ球についての
データを他の細胞データより選別する必要がある。
【0005】そこで、細胞の大きさと内部構造を表すと
される前方散乱光強度I0 、90°散乱光強度I90を直
交座標軸とするサイトグラムを作成する(図10参
照)。図10において、bはリンパ球の分布、cは単球
の分布、dは顆粒球の分布をそれぞれ示している。又、
aはデブリスの分布を示しているが、デブリスは赤血球
の膜成分等より構成されるもので、通常はノイズ処理の
段階で取り除かれることが多い。このサイトグラム上
で、例えばリンパ球の分布bを含む分析領域B0 (多角
形又は楕円形)を設定して、リンパ球のデータを測定さ
れたデータより選別する(特開昭62−134559号
公報参照)。こうして選別されたリンパ球のデータにつ
いて、緑色蛍光強度Ig 、赤色蛍光強度Ir の演算処理
が行われ、陽性率の算出、又は分類された細胞の細胞数
の算出等が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、試料はヒト
血液より調製することが多いが、それは、血液がヒトの
病態を多様に反映し、フローサイトメトリーの散乱光サ
イトグラムや蛍光サイトグラムの細胞群のパターンに変
化が表れることが多いからである。ヒト血液に含まれる
各種血液細胞についての情報は幾つかあるが、リンパ球
サブセット検査では、従来は、陽性率や測定された細胞
総数中の各種細胞数等が用いられている。しかし、陽性
率や細胞数は疾患によっては必ずしも病態を正確に反映
しているとは限らない。例えば、AIDSの場合、CD
4及びCD8の細胞群の比が大きく変動することが多
い。このため、陽性率や細胞数のみでは病態を正確に把
握できないという問題点がある。
【0007】従って、本発明の目的は、上記問題点に鑑
み、病態を正確に把握するために検査精度を向上させた
細胞分析装置を提供することにある。本発明の別の目的
は、異常検体を判別してその結果をオペレータに報知す
ることができる細胞分析装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記前者の目的は本発明
の細胞分析装置(請求項1記載)により、また後者の目
的は本発明の細胞分析装置(請求項5記載)により達成
される。請求項1記載の装置は、従来の構成〔以下の構
成(1)〜(6)〕に加えて、以下の構成(7)、
(8)を備えることを特徴とする。即ち、(1)細胞浮
遊液等の対照検体が流されるフローセルと、(2)この
フローセル内を流れる細胞等に光ビームを照射する光源
と、(3)この光ビームが照射された各々の細胞等につ
いて1又は2以上のパラメータよりなる細胞光情報を検
出する細胞光情報検出手段と、(4)この細胞光情報検
出手段で検出された細胞光情報より目的細胞集団の細胞
光情報を選別する細胞光情報選別手段と、(5)前記細
胞光情報検出手段で検出された細胞光情報及び前記細胞
光情報選別手段で選別された細胞光情報を演算処理する
細胞光情報処理手段と、(6)この細胞光情報処理手段
での処理結果を出力する出力手段と、を備えてなる細胞
分析装置において、(7)前記対照検体の濃度を求め、
その濃度を記憶する第1の検体濃度確定手段と、(8)
被検検体の濃度を求め、その濃度を、前記第1の検体濃
度確定手段により得られる対照検体の濃度を用いて補正
演算する第2の検体濃度確定手段と、を備える。
【0009】又、請求項5記載の装置は、従来の構成
〔以下の構成(1)〜(7)〕に加えて、以下の構成
(8)を備えることを特徴とする。即ち、(1)細胞浮
遊液等が流されるフローセルと、(2)このフローセル
内を流れる細胞浮遊液等に光ビームを照射する光源と、
(3)この光ビームが照射された細胞浮遊液に含まれる
細胞等の各々の粒子状成分について、複数のパラメータ
よりなる細胞光情報を検出する細胞光情報検出手段と、
(4)この細胞光情報検出手段で得られる1又は2以上
のパラメータに基づいて、分析領域を設定する分析領域
設定手段と、(5)この分析領域設定手段で設定された
分析領域内で目的とする細胞集団の細胞光情報を収集す
る細胞光情報収集手段と、(6)前記細胞光情報検出手
段で検出された細胞光情報及び前記細胞光情報収集手段
で収集された目的細胞集団の細胞光情報を処理する細胞
光情報処理手段と、(7)この細胞光情報処理手段の処
理結果を出力する出力手段と、を備えてなる細胞分析装
置において、(8)前記細胞光情報処理手段は、検体が
正常であるか否かを判別する検体判別手段を有する。
【0010】
【作用】請求項1記載の細胞分析装置では、細胞光情報
の処理において、第1の検体濃度確定手段により求めた
対照検体(細胞)の濃度を、第2の検体濃度確定手段に
より求めた被検検体(細胞)の濃度を用いて補正演算す
ることにより、具体的には希釈率、測定細胞数又は測定
時間等のパラメータを用いて補正演算することにより、
単位体積当たりの細胞数(濃度)を算出し、この濃度を
用いて細胞光情報を処理する。この結果、検査や分析の
精度が向上すると共に、従来の装置と同様に自動化・効
率化も可能である。
【0011】又、請求項5記載の細胞分析装置では、細
胞光情報の処理において、陽性率及び実測の細胞数だけ
でなく、測定された細胞数を単位体積当たり(1mm3
又は1μl)に換算した細胞数も用い、この換算細胞数
を予め設定しておいた各々の細胞群の正常値範囲と比較
し、換算細胞数が範囲外であった場合に検体異常と判定
し、更にその旨を報知する。この結果、検査値の分析精
度が向上すると共に、従来の装置と同様に自動化・効率
化も可能である。
【0012】
【実施例】以下、本発明の細胞分析装置を実施例に基づ
いて説明する。図1はその一実施例に係る細胞分析装置
の構成を示す模式図である。試料細胞1はオートサンプ
ラ2によって供給され、オートサンプラ2の試料ラック
2aには複数の試料容器3,・・・,3が装填されてい
る。この試料ラック2aは駆動機構(図示せず)により
駆動され、指定の試料を試料吸引チューブ4の直下に位
置させる。更に、オートサンプラ2は振とう機構、冷却
機構(いずれも図示せず)を備えており、定時的に試料
を振とうすると共に、装填された試料容器3,・・・,
3内の試料を低温(例えば4〜10℃)に保持する。
【0013】前記試料吸引チューブ4は、三方弁5の1
つのポートに接続されている。三方弁5の他の2つのポ
ートには、試料送液チューブ6a、6bがそれぞれ接続
されており、試料送液チューブ6aと試料吸引チューブ
4、或いは試料送液チューブ6aと6bとを連通させる
ことができる。試料送液チューブ6aの他端には、試料
ポンプ7が設けられている。一方、試料送液チューブ6
bの他端は、シース液送液チューブ8内に開口してい
る。
【0014】このシース液送液チューブ8は、一端が送
液ポンプ9に接続され、他端がフローセル10に接続さ
れている。フローセル10は、石英ガラス等により構成
され、内部のフローチャネル10a内にシースフローが
形成され、流体力学的焦点合わせ効果により、試料中の
細胞(又は粒子)1がフローチャネル10aの中心軸上
を一列になって流される。
【0015】フローセル10より流出した液は、廃液チ
ューブ11に導かれて、廃液タンク12に収容される。
なお、この細胞分析装置は、シース液タンク(図示せ
ず)を備えており、前記試料ポンプ7、送液ポンプ9に
シース液が補充される。又、これらのポンプ7、9はシ
リンジポンプであることが好都合である。更に、オート
サンプラ2、ポンプ7、9等を含む送液系は密閉可能
で、バイオハザードを防止できる。
【0016】フローセル10の周囲には、レーザ(光
源)14、光検出器(細胞光情報検出手段)15a、1
5b、15c、15dが配設される。レーザ14よりの
レーザビームLは、フローチャネル10aを流れる細胞
(又は粒子)1に照射される。この細胞(又は粒子)1
よりは、信号光が発生するが、そのうちの前方方向のも
のは、前方散乱光として、レンズ16aに集光されて、
光検出器15aに入射する。なお、レーザビームLが直
接光検出器15aに入射するのを防止するビームブロッ
カ17が設けられている。
【0017】一方、細胞1よりの90°方向の信号光
は、レンズ16bで集光される。この信号光はその一部
がダイクロイックミラー18aで反射されて、90°散
乱光検出用の光検出器15bに入射する。ダイクロイッ
クミラー18aを透過した信号光は、更にその一部がも
う一つのダイクロイックミラー18bにより反射され
て、フィルタ19aを透過して、緑色蛍光用の光検出器
15cに受光される。ダイクロイックミラー18bを透
過した光は、フィルタ19bを透過して赤色蛍光用の光
検出器15dに受光される。なお、例えばレーザ14に
は、アルゴンレーザやヘリウムネオンレーザ、前方散乱
光用の光検出器15aにはフォトダイオード、その他の
検出器15b、15c、15dには光電子増倍管が適用
される。
【0018】光検出器15a、15b、15c、15d
の受光信号は、信号処理回路部20で増幅されノイズを
取除かれた後、アナログ/デジタル(A/D)変換器2
1によりデジタル信号に変換されて、MPU22に取り
込まれる。MPU22は、大きく分けてオートトリガに
関する機能、細胞数を記憶する機能、細胞数を補正演算
する機能等の各種機能を有している。その他の機能とし
ては、目的の細胞集団の光情報について蛍光解析を行う
機能、前記試料ポンプ7、送液ポンプ9及びオートサン
プラ2を制御する機能等も有している。
【0019】MPU22には、フロッピディスクドライ
ブ23、キーボード24、CRT25及びプリンタ26
が接続されている。フロッピディスクドライブ23は、
測定条件(プロトコル)や測定データ等を、フロッピデ
ィスクに保存させるためのものである。キーボード24
は、プロトコルの選択・設定或いはその他の指令をMP
U22に入力するためのものである。CRT25は、測
定をモニタするためのものであり、プリンタ(出力手
段)26は、MPU22の処理結果、例えばサイトグラ
ムやヒストグラム等をプリントアウトするためのもので
ある。
【0020】以下に、上記のように構成された細胞分析
装置を用いて、請求項1記載の装置に係る動作を図2及
び図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、分析目的に応じた処理が施された試料が、それぞ
れ試料容器3に入れられて、試料ラック2aに装填され
る。例えば、リンパ球サブセットの解析を行う試料は、
患者の血液に緑色蛍光としてフルオレセインイソチオシ
アネート(FITC)で標識したOKT4モノクローナ
ル抗体及び赤色蛍光としてファイコエリスリン(PE)
で標識したOKT8モノクローナル抗体を反応させた
後、溶血処理して得られる。
【0021】細胞分析装置の電源がオンされると、RO
M(図示せず)よりMPU22にプログラムが読込ま
れ、システムが立上がる〔ステップ( 以下STという)
1、図2参照〕。ここで、測定対象が対照検体の場合、
即ち血球カウンター等を用いて濃度が既知である試料を
本装置で測定する場合(ST2)、プロトコルが選択・
設定される(ST3)。このプロトコルは、光検出器1
5a、15b、15c、15dの検出ゲインや補正演算
等の測定条件を内容とするものである。これは、試料の
処理方法が測定目的に応じて異なるからである。例えば
各処理に用いられるモノクローナル抗体の細胞との反応
性が各々異なるため、光検出器15a、15b、15
c、15dの検出ゲインを変更する必要があり、また各
モノクローナル抗体と蛍光色素との結合様式が各々異な
るため、補正演算もそれに応じて変更する必要がある。
【0022】次のST4では、測定のために手動にて分
析領域の設定を行う。この分析領域の設定機能は、例え
ば血球コントロールの測定に用いられ、血球コントロー
ルの計数・演算処理を行うものである。この血球コント
ロールを試料として測定し(ST5)、測定終了後に上
記分析領域内の演算が行われる(ST6)。ST7で
は、この演算結果が必要に応じて記憶される。その記憶
内容は、MPU22に保存され、絶対数計数モードの時
に読み出され、演算に用いられる。
【0023】ST2において対照検体測定を行わない場
合、ST8にてプロトコルの選択・設定を行い、被検検
体の測定に進む(ST10)。対照検体測定後にST9
に進み、同一プロトコルを使用するか否かの選択を行
う。NOの場合は、上記ST8の処理に移り、YESの
場合は、ST10に進む。次いでST10でオートトリ
ガを行うか否かの選択を行い、NOの場合はST13
に、YESの場合はST11に行く。ST11では、新
規の測定か否かが判定され、以前に測定したことがある
場合には、ST12で以前の測定の際に入力された分析
領域が読み出されて設定される。新規の測定の場合は、
分析領域を手動設定する(ST13)。その後、測定が
開始される(ST14)。
【0024】ST14では、試料ラック2aが駆動さ
れ、最初に測定を行う試料が入れられた試料容器3が試
料吸引チューブ4の真下に位置する。そして、三方弁5
が試料吸引チューブ4と試料送液チューブ6aとを連通
するように切り換えられ、試料吸引チューブ4が試料容
器3内に降下し、試料ポンプ7が吸引側に駆動されて、
試料が試料送液チューブ6aに吸引される。次に、三方
弁5が試料送液チューブ6aと6bを連通するように切
り換えられ、試料ポンプ7が送液側に駆動され、試料が
送液チューブ8に送られる。一方、送液ポンプ9が送液
側に駆動され、シース液がフローセル10に送られる。
フローチャネル10a内では、シースフローが形成さ
れ、流体力学的焦点合わせ効果により、細胞はフローチ
ャネル10a中心軸上を一列になって流れていく。この
細胞の一つ一つについてレーザビームLが照射され、前
方散乱光強度I0 、90°散乱光強度I90、緑色蛍光強
度Ig 、赤色蛍光強度Ir がそれぞれ測定されていく。
これら細胞光情報は、必要に応じてフロッピディスク等
に順次記憶される。
【0025】そして、ST15で絶対数測定を行うかど
うかを選ぶ。行う場合には、絶対数演算が行われ、血液
細胞が試料であるときには、例えば個/μl又は個/m
3 のように単位体積当たりの細胞数(濃度)として演
算される(ST16)。絶対数測定を行わない場合、実
測定された細胞数をそのまま用いて、所定の演算を行う
(ST19)。
【0026】絶対数測定の原理は、血球カウンター等で
予め測定された血球コントロール等を用いてキャリブレ
ーションを行い(ST2〜7参照)、その測定で得られ
た結果(即ち対照検体の測定)に要した時間又は測定さ
れた細胞数と、ST9以降で測定される被検検体の時間
又は細胞数との比を用いて演算される。図4及び図5に
その原理の模式図を示す。対照検体試料の測定で、N0
個の細胞数を得るのにT0 秒要したとすると、図4に示
すように、T0 秒という同一時間の測定で得られる被検
検体の細胞数N個を求める方式を用いれば、被検検体の
濃度Cは対照検体の濃度C0 のN/N0 倍となる。又、
図5に示すように、N0 個の細胞数を得るのに要する被
検検体の測定時間T秒を求める方式を用いれば、被検検
体の濃度Cは次式で表される。
【0027】C=C0 ×(T0 /T) サンプル調製では、検体は実際は血液中に存在する状態
によって希釈されることが多いので、その希釈率を予め
入力しておけば、上記いずれの方式でも血液中に存在す
る場合と同じ条件下で対照及び被検検体の濃度を絶対数
モードにより演算することができる。
【0028】各々の演算を終了した後、いずれの場合も
蛍光特性解析が行われ(ST17、20)、それぞれ絶
対数モードの表示(ST18)、通常モードの表示(S
T21)が行われる。その後、結果は共にプリントアウ
トされ(ST22)、更に測定試料があるかどうかがM
PU22によって判定される(ST23)。試料がある
場合には再びST9に戻り、試料がない場合には測定動
作を終了する(ST24)。
【0029】次に、同じく図1に示すような装置を用い
て、請求項5記載の装置に係る動作を図6及び図7に示
すフローチャートを参照しながら説明する。用意する試
料は前記と同様に調製し、それぞれ試料容器3に入れ
て、試料ラック2aに装填する。そして、同じように装
置の電源がオンされると、ROMよりMPU22にプロ
グラムが読込まれ、システムが立上がる。ここで、測定
する試料に応じて、その試料に適合するプロトコルが選
択・設定される(ST31)。このプロトコルは、先程
と同様に光検出器15a、15b、15c、15dの検
出ゲインや補正演算等の測定条件を内容とするものであ
る。
【0030】次に、ST32では、キーボード24より
オートトリガを行う旨の入力が行われたかどうかが選択
される。ここで、YESであればST33に分岐し、N
OであればST34に分岐する。ST33では、今回の
測定が前回の測定とは異なる新たなプロトコルに従って
なされる旨の指令が入力されているかどうかが判定され
る。そして、YESの時にはST38に、NOの時には
ST34に進む。
【0031】一方、ST34では、オペレータがキーボ
ード24よりウィンドウBをI90(90°散乱光強度)
−I0 (前方散乱光強度)サイトグラム上に設定する
(図10参照)。ウィンドウBが設定されると、測定が
開始される(ST35)。測定は先述の動作と全く同様
に行われる。測定中は、上記ウィンドウBに属する細胞
数がカウントされる。ST36では、この細胞数が所定
値nに達したか否かを判定し、YESの場合にはST3
7へ、NOの場合にはST36を繰り返す。所定値n
は、所定の細胞数n0 に対し大きめのn0 +αとされる
(図9参照)。
【0032】ST37では測定を終了し、先に設定され
たウィンドウB内の細胞光情報について統計計算や各種
パラメータについて演算が行われる。この時、ウィンド
ウB内の細胞数Nは、前記所定の細胞数nよりも少なく
なるが、初めからα分だけ余裕をもってカウントしてい
るから、n0 を下回ることはないであろう。一方、ST
38では、直前の測定で得られた最終画分B0 をI90
0 サイトグラム上にウィンドウとして設定する(図1
0参照)。そして、ST35と同様に測定を開始し(S
T39)、最終画分B0 に入る細胞数をカウントし、S
T40で所定の細胞数nに達したか否かを判定する。S
T40の判定がYESになると、ST41に進み測定を
終了すると共に、オートトリガ演算を行う。このオート
トリガ演算は、本出願人の先願に係る特願昭63−19
3033号や特願平3−223225号に開示されてい
るように行われる。
【0033】ST37或いはST41の次には、絶対数
演算を行うかどうかの判定が行われる(ST42)。と
ころで本装置では、図1に模式的に示すように、試料ポ
ンプ7及び送液ポンプ9にシリンジタイプのものが用い
られているため、測定開始から終了までの時間により、
測定に用いられた試料の容量が求められ、測定で求めら
れた実細胞数を単位体積1mm3 (1μl)当たりの細
胞数に換算することが可能である。
【0034】ST42でYESと判定された場合、ST
43に進む。ST43では、絶対数及び細胞数統一演算
が行われる。この細胞数統一処理は、例えば特願平2−
24717号に開示されたのと同じように行われる。こ
こで演算されたデータは、更に蛍光特性解析が行われる
(ST44)。この解析では、例えば緑色蛍光強度
g 、赤色蛍光強度Ir について各々ヒストグラムを作
成し、陽性率や測定細胞数等が算出される。この蛍光特
性解析されたデータに関しては、ST45で図8に示さ
れるような予め入力しておいた正常値範囲を示すテーブ
ルを用いてデータの比較を行うか否かの判定が行われ
る。ST45でYES(異常)の場合、即ちデータが正
常値範囲外であれば、ST46で警報が報知される。こ
の警報報知には、プリンタ、CRTディスプレイ、液晶
ディスプレイ、発光ダイオード、ブザー等が用いられ
る。ST45でNO(正常)と判定された場合には、S
T48に進む。ST47では、ST46で報知された警
報を解除するか否かが判定される。解除するYESの場
合、ST48の絶対数表示に進み、データの絶対数がC
RTディスプレイに表示された後、プリンタに出力され
る(ST49)。解除しないNOの場合には、警報報知
が続行される。
【0035】一方、ST42で絶対数演算を行わないと
判定された場合、ST50で例えば特願平2−2471
7号に開示されたのと同様に細胞数統一演算が行われ
る。次いで、ST44と全く同様に蛍光特性解析が行わ
れる(ST51)。ここでは、測定で得られる細胞数を
そのまま用いて演算・表示する(ST52)。ST52
の処理後に、表示結果はST49でプリントアウトされ
る。
【0036】ST49の処理後に試料がまだあるかどう
かが判定され(ST53)、ある場合にはST31に戻
り、同じサイクルで細胞分析処理が繰り返される。ない
場合にはそのまま分析処理が終了する。このように前者
及び後者の実施例とも、測定で得られる実細胞数や陽性
率以外に、演算によっても細胞数を求め、双方のデータ
を比較・判定するので、データの信頼性の向上を図るこ
とができる。なお、上記いずれの実施例でも、リンパ球
にウィンドウを設定する場合について説明したが、単
球、顆粒球、白血球等の広範な試料についても適用可能
である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の細胞分析装置は、第1の検体濃度確定手段と第2
の検体濃度確定手段を備えるので、対照検体に関する情
報を予め血球コントロール等でキャリブレーションして
おけば、被検検体測定の時に、各種モノクローナル抗体
に対する陽性率やその実細胞数だけでなく、血液の単位
体積当たりの細胞数(濃度)も求めることができ、これ
らの対照検体と被検検体の情報に基づいて細胞光情報を
処理する。このため、より高精度の検査結果を得ること
ができ、病態を正確に把握できるようになるという効果
を奏する。
【0038】又、本発明の請求項5記載の細胞分析装置
は、細胞光情報処理手段が検体判別手段を有し、この検
体判別手段により特定の細胞群の陽性率、実細胞数だけ
でなく、単位体積当たりに換算した細胞数も合わせて得
られるので、測定の自動化のみならず、得られたデータ
の信頼性の向上に大いに寄与するという利点を有してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る細胞分析装置の構成を
説明する模式図である。
【図2】本発明の請求項1記載の装置の全体動作を説明
するフローチャートである。
【図3】図2に示すフローチャートに続くフローチャー
トである。
【図4】キャリブレーションにおいて、同一時間での測
定を行う場合の測定時間と細胞数との関係を示す図であ
る。
【図5】キャリブレーションにおいて、同一細胞数での
測定を行う場合の測定時間と細胞数との関係を示す図で
ある。
【図6】本発明の請求項5記載の装置の全体動作を説明
するフローチャートである。
【図7】図6に示すフローチャートに続くフローチャー
トである。
【図8】検体判別に用いられる単位体積当たりの細胞数
を示すテーブルである。
【図9】細胞数統一処理を説明する図である。
【図10】各種演算を説明するための90°散乱光強度
90と前方散乱光強度I0 とのサイトグラムである。
【符号の説明】
1 試料細胞 10 フローセル 14 レーザ 15a、15b、15c、15d 光検出器 20 信号処理回路部 22 MPU 25 CRT 26 プリンタ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記前者の目的は本発明
の細胞分析装置(請求項1記載)により、また後者の目
的は本発明の細胞分析装置(請求項5記載)により達成
される。請求項1記載の装置は、従来の構成〔以下の構
成(1)〜(6)〕に加えて、以下の構成(7)、
(8)を備えることを特徴とする。即ち、(1)細胞浮
遊液等の検体が流されるフローセルと、(2)このフロ
ーセル内を流れる細胞等に光ビームを照射する光源と、
(3)この光ビームが照射された各々の細胞等について
1又は2以上のパラメータよりなる細胞光情報を検出す
る細胞光情報検出手段と、(4)この細胞光情報検出手
段で検出された細胞光情報より目的細胞集団の細胞光情
報を選別する細胞光情報選別手段と、(5)前記細胞光
情報検出手段で検出された細胞光情報及び前記細胞光情
報選別手段で選別された細胞光情報を演算処理する細胞
光情報処理手段と、(6)この細胞光情報処理手段での
処理結果を出力する出力手段と、を備えてなる細胞分析
装置において、(7)予め既知の濃度の対照検体を用い
て測定し、測定された細胞数又は測定時間を記憶する対
照検体濃度情報記憶手段と、(8)被検検体の細胞数又
は測定時間を求め、前記対照検体濃度情報記憶手段中の
対照検体の細胞数又は測定時間を用いて、被検検体の細
胞数又は測定時間を補正演算して求める被検検体濃度補
正演算手段と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【作用】請求項1記載の細胞分析装置では、細胞光情報
の処理において、被検検体濃度補正演算手段により測定
した被検検体の細胞数又は測定時間を、対照検体濃度情
報記憶手段により測定した対照検体の細胞数又は測定時
間を用いて補正演算して求める。この結果、検査や分析
の精度が向上すると共に、従来の装置と同様に自動化・
効率化も可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】細胞分析装置の電源がオンされると、RO
M(図示せず)よりMPU22にプログラムが読込ま
れ、システムが立上がる〔ステップ( 以下STという)
1、図2参照〕。ここで、測定対象が血球コントロール
の如き対照検体の場合、即ち血球カウンター等を用いて
濃度が既知である試料を本装置で測定する場合(ST
2)、プロトコルが選択・設定される(ST3)。この
プロトコルは、光検出器15a、15b、15c、15
dの検出ゲインや補正演算等の測定条件を内容とするも
のである。これは、試料の処理方法が測定目的に応じて
異なるからである。例えば各処理に用いられるモノクロ
ーナル抗体の細胞との反応性が各々異なるため、光検出
器15a、15b、15c、15dの検出ゲインを変更
する必要があり、また各モノクローナル抗体と蛍光色素
との結合様式が各々異なるため、補正演算もそれに応じ
て変更する必要がある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】次のST4では、測定のために手動にて分
析領域の設定を行う。この分析領域の設定機能は、例え
ばPARA TECH(STRECK LABORAT
ORIES,INC.)の如き血球コントロールを用い
て行われ、血球コントロールの計数・演算処理を行うも
のである。この血球コントロールは、予め細胞数が既知
であり、散乱光強度等の光学的特性がヒト血球と類似で
あり、分析領域の設定及び計数処理に好都合である。こ
の血球コントロールを試料として測定し(ST5)、測
定終了後に上記分析領域内の演算が行われる(ST
6)。ST7では、この演算結果が必要に応じて記憶さ
れる。その記憶内容は、MPU22に保存され、絶対数
計数モードの時に読み出され、演算に用いられる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】C=C0 ×(T0 /T) サンプル調製を行う場合、実際の血液中に存在する状態
に比べると、検体中の細胞は溶血剤や等張緩衝液などに
よって希釈されるので、その希釈率を予め入力しておけ
ば、上記いずれの方式でも血液中に存在する場合と同じ
条件下で対照及び被検検体の濃度を絶対数モードにより
演算することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
記載の細胞分析装置は、対照検体濃度情報記憶手段と被
検検体濃度補正演算手段を備えるので、対照検体に関す
る情報を予め血球コントロール等でキャリブレーション
しておけば、被検検体測定の時に、各種モノクローナル
抗体に対する陽性率やその実細胞数だけでなく、血液の
単位体積当たりの細胞数(濃度)も求めることができ、
これらの対照検体と被検検体の情報に基づいて細胞光情
報を処理する。このため、より高精度の検査結果を得る
ことができ、病態を正確に把握できるようになるという
効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沼 文雄 京都市下京区中堂寺南町17番地 サイエン スセンタービル 株式会社オムロンライフ サイエンス研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞浮遊液等の対照検体が流されるフロー
    セルと、 このフローセル内を流れる細胞等に光ビームを照射する
    光源と、 この光ビームが照射された各々の細胞等について1又は
    2以上のパラメータよりなる細胞光情報を検出する細胞
    光情報検出手段と、 この細胞光情報検出手段で検出された細胞光情報より目
    的細胞集団の細胞光情報を選別する細胞光情報選別手段
    と、 前記細胞光情報検出手段で検出された細胞光情報及び前
    記細胞光情報選別手段で選別された細胞光情報を演算処
    理する細胞光情報処理手段と、 この細胞光情報処理手段での処理結果を出力する出力手
    段と、を備えてなる細胞分析装置において、 前記対照検体の濃度を求め、その濃度を記憶する第1の
    検体濃度確定手段と、 被検検体の濃度を求め、その濃度を、前記第1の検体濃
    度確定手段により得られる対照検体の濃度を用いて補正
    演算する第2の検体濃度確定手段と、を備えることを特
    徴とする細胞分析装置。
  2. 【請求項2】前記第2の検体濃度確定手段は、予め入力
    された希釈率を演算に用いるものであることを特徴とす
    る請求項1記載の細胞分析装置。
  3. 【請求項3】前記第2の検体濃度確定手段は、前記第1
    の検体濃度確定手段によって対照検体の濃度を求めるた
    めに予め入力することができる対照検体の細胞数を用い
    て対照検体の測定時間を求め、その測定時間と同一の測
    定時間で得られた細胞数から演算し、被検検体の濃度を
    求めるものであることを特徴とする請求項1記載の細胞
    分析装置。
  4. 【請求項4】前記第2の検体濃度確定手段は、前記第1
    の検体濃度確定手段によって対照検体の濃度を求めるた
    めに予め入力することができる対照検体の細胞数を用い
    て対照検体の測定時間を求め、その細胞数と同一の細胞
    数に達するのに要した時間から演算し、被検検体の濃度
    を求めるものであることを特徴とする請求項1記載の細
    胞分析装置。
  5. 【請求項5】細胞浮遊液等が流されるフローセルと、 このフローセル内を流れる細胞浮遊液等に光ビームを照
    射する光源と、 この光ビームが照射された細胞浮遊液等に含まれる細胞
    等の各々の粒子状成分について、複数のパラメータより
    なる細胞光情報を検出する細胞光情報検出手段と、 この細胞光情報検出手段で得られる1又は2以上のパラ
    メータに基づいて、分析領域を設定する分析領域設定手
    段と、 この分析領域設定手段で設定された分析領域内で、目的
    とする細胞集団の細胞光情報を収集する細胞光情報収集
    手段と、 前記細胞光情報検出手段で検出された細胞光情報及び前
    記細胞光情報収集手段で収集された目的細胞集団の細胞
    光情報を処理する細胞光情報処理手段と、 この細胞光情報処理手段の処理結果を出力する出力手段
    と、を備えてなる細胞分析装置において、 前記細胞光情報処理手段は、検体が正常であるか否かを
    判別する検体判別手段を有することを特徴とする細胞分
    析装置。
  6. 【請求項6】前記検体判別手段は、実測された検体の細
    胞数と単位体積当たりに換算された細胞数とを比較して
    検体判別を行うものであることを特徴とする請求項5記
    載の細胞分析装置。
  7. 【請求項7】前記出力手段は、検体判別手段で検体が正
    常でないと判別された場合に、その判別結果を報知する
    報知手段を有することを特徴とする請求項5又は請求項
    6記載の細胞分析装置。
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