JPH05180279A - 有限滑り差動装置 - Google Patents

有限滑り差動装置

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JPH05180279A
JPH05180279A JP15744892A JP15744892A JPH05180279A JP H05180279 A JPH05180279 A JP H05180279A JP 15744892 A JP15744892 A JP 15744892A JP 15744892 A JP15744892 A JP 15744892A JP H05180279 A JPH05180279 A JP H05180279A
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differential plate
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 既存の有限滑り差動装置に外部からの入力信
号で変調動作させる。 【構成】 通常時に歯車ケース11と同じ速さで回転する
外側差動板55、クラッチパック41に加力して歯車25およ
び歯車ケース11間の回転を遅延する作動機構51、外側差
動板55を歯車ケース11に対して回転させ歯車ケース11の
端壁67の開口69内にカム球79およびカム球79の這い上が
りおよび内側差動板53の軸方向の動きによってクラッチ
パック41にロードする電磁アクチュエータ81を備え、開
口69径をカム球79径よりわずかに大きく定めることによ
って端壁67内の金属量すなわち歯車ケース11のトルク伝
達容量を可及的に大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有限滑り差動装置、詳
細には差動動作を遅延させる手段を外部入力信号で変調
する形式の有限滑り差動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明が関連する形式の有限滑り差動装
置は典型的に、歯車室を規定する歯車ケースおよびその
中に配設された、少なくとも1個の入力ピニオンおよび
一対の出力側面歯車を含む一組の差動歯車を備えてい
る。
【0003】クラッチパックは、少なくとも1個の側面
歯車と歯車ケースの隣接面との間に軸方向に配設され、
クラッチパックが歯車ケースの端と一方の側面歯車との
間の相対的回転を遅らせ、または、阻止さえするように
なっているのが一般的である。
【0004】本発明は、クラッチパックが側面歯車の一
つと歯車ケースの隣接面との間に設けられる有限滑り差
動装置に限定されるものではないが、本発明は、このよ
うな構成を有する有限滑り差動装置と関連して使用する
とき特に有利であり、本発明をこれと関連して説明する
ことにする。
【0005】多数の有限滑り差動装置において、クラッ
チパックをその解放状態から係合状態に作動すなわち動
かすのにある種の作動機構が設けられている。
【0006】車両の牽引力変換器の分野における現時の
傾向の一つにクラッチパックを、従来技術の場合に一般
的であったように所定の速度差の検知だけに応答するの
ではなく、外部からの入力信号に応答して作動させるこ
とが望ましい。
【0007】有限滑り差動装置を変調することができる
ようにする従来技術の方法の一つは、変化する油圧をク
ラッチパックに係合して配設されているピストンに、
「バイアストルク」(すなわちクラッチパックの係合の
結果として牽引力の低い歯車から牽引力の高い歯車に伝
えられるトルクの量)が油圧の変化とともに変化するよ
うに加えることによっていた。このような有限滑り差動
装置については、米国特許第3,138,970 号に図解され、
説明されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した第3,138,970
号の教示にしたがって作られた差動装置は、主として全
体の構造が複雑過ぎ、数本の油圧管路が必要であったこ
とおよび回転油圧シールの構成が高価、かつ、複雑であ
るため、商品としては成功しなかった。
【0009】米国特許第4,644,823 号は、油圧信号を軸
受アセンブリのピストン状部材に、油圧が軸受アセンブ
リ全体および他の幾つかの部材を軸方向に片寄らせ、究
極的に差動装置のクラッチパックにロードするように加
える有限滑り差動装置を開示している。再び、引用した
特許の装置は、市場入手可能な有限滑り差動装置のすべ
てについて大きな設計変更を必要とし、さらに最もあり
そうなのは、周りの差動装置ハウジングの本質的な再設
計を必要とするように過度に複雑であり、これは元来の
車両機器設計者には受入れられないことである。
【0010】米国特許第4,805,486 号は、クラッチパッ
クのローディングが差動装置のケースの外部に設置され
ている球−傾斜路アクチュエータの傾きによって生ずる
クラッチパックを有する有限滑り差動装置を開示してい
る。
【0011】球−傾斜路アクチュエータの傾きはサーボ
モータの回転によりおよび平行軸歯車列により始められ
るが、これにも周りの差動装置ハウジングの本質的な再
設計が必要である。
【0012】したがって本発明の目的は、クラッチパッ
クを、外部入力信号に応答して、変調するように作動さ
せることができる形式の改良された有限滑り差動装置で
あって、従来技術の装置に関連する問題を克服する差動
装置を提供することである。
【0013】さらに詳細に述べれば、本発明の目的は、
クラッチパック作動手段が少なくとも一部が差動装置の
外部に設置されている比較単純なカム手段であるが、差
動装置の本質的な再設計、または現在市場で入手可能の
有限滑り差動装置のケースの全体の寸法または構成の変
更を必要としない改良された有限滑り差動装置を提供す
ることである。
【0014】本発明の他の目的は、クラッチ作動機構の
一部が差動装置の端壁を通過するが、ケースの端壁の金
属の量を最大にするように構成されている改良された有
限滑り差動装置を提供することである。
【0015】本発明の上述のおよび他の目的は、回転軸
および歯車室を規定する歯車ケースを備えている形式の
改良された有限滑り差動装置を設けることにより達成さ
れる。
【0016】
【課題を解決するための手段・作用】差動歯車手段は、
歯車室に配列され、少なくとも1個の入力歯車および第
1および第2の出力歯車を備えている。入力信号に応答
して差動歯車の差動動作を制限する手段を備えており、
該制御手段は、解放状態と係合状態との間で動作するこ
とができ、出力歯車と歯車ケースとの間の相対回転を遅
延させるのに効果がある。
【0017】また球−傾斜路アクチュエータを規定する
第1および第2の差動板からなる作動手段が備えられて
おり、これでは未作動状態から作動状態への第2の差動
板の回転はクラッチ手段を係合状態の方に片寄せるのに
役立つ。
【0018】改良された差動歯車手段は、第2の差動板
が、未作動状態で、歯車ケースとともに回転するように
配設されていることを特徴とする。球−傾斜路アクチュ
エータは複数のカム球を備えており、第2の差動板は複
数の傾斜路面を画定している。
【0019】歯車ケースは、第2の差動板に隣接して設
けられ、かつ、回転軸に垂直な向きを成す端壁を備えて
おり、該端壁は複数の開口を画定し、各開口は、その中
にカム球の一つが設けられ、その開口の大きさはカム球
に比してわずかに大きい。
【0020】歯車ケースの内部に配設されてカム球の軸
方向の動きを伝え、クラッチ手段を係合状態の方に動か
すように動作する手段がある。
【0021】アクチュエータは、歯車ケースに隣接して
配列され、入力信号に応答して、第2の差動板が未作動
状態にある未作動位置から、手段が第2の差動板と関連
して動作することができる作動状態まで動かし、第2の
差動板と歯車ケースとの間に相対回転を効果的に生ぜし
めて第2の差動板を作動状態まで動かすよう動作する手
段を備えている。
【0022】
【実施例】つぎに図面を参照すると、これら図面は本発
明を限定しないが、図1は、本発明の有限滑り差動装置
の軸方向断面図である。図1に示す有限滑り差動装置の
構造および動作は、本発明の譲渡人に譲渡され、ここに
引用により取入れてある米国特許第3,648,545 号を参照
することによって一層の理解を可能にする。
【0023】有限滑り差動装置は中に、図1中、13で示
した歯車室を規定する歯車ケース11を備えている。差動
装置へのトルク入力は、適切な手段(図示省略)により
歯車ケース11のフランジ15に取付けることができる入力
リングギア(図示省略)によるものが代表的である。
【0024】歯車室13の内部に配設されて、ピニオン軸
19に回転可能に取付けられている一対の入力ピニオン歯
車17を備えた差動歯車セットがある。典型的には、ピニ
オン軸19は、ロッキングピン21のような適切な手段によ
り歯車ケースに対して固定されている。
【0025】ピニオン歯車17は、差動歯車セットの入力
歯車を構成し、一対の側面歯車23,25と噛合い係合して
いる。側面歯車23,25は1組の内側直線スプライン27,
29をそれぞれ画定しており、これらスプラインは一対の
心軸(図示省略)の相手の外側スプラインとスプライン
係合するようになっている。
【0026】歯車ケース11は円環状ハブ部分31,33を備
えており、このハブ部分31,33に差動装置を外側差動装
置ハウジングHに対して回転支持するのに使用される一
対の軸受セット(図示省略)を取付けることができる
(図4参照)。
【0027】当業者には周知であるように車両の通常の
直進運転中、左および右の側面歯車23,25の間には差異
が発生せず、それゆえピニオン歯車17はピニオン軸19に
対して回転しない。歯車ケース11、ピニオン歯車17およ
び側面歯車23,25はすべて回転軸Aの周りに一つのユニ
ットとして回転する。
【0028】車両が向きを変えるとき、またはタイヤの
大きさにわずかな差が存在するときのように、ある動作
条件のもとで側面歯車23,25の間に一定量の差動動作が
発生することが許容される。
【0029】側面歯車23,25の速さの間の差が一定の所
定の差より大きいときは、駆動車輪の一方のスピンアウ
トを生じ、車両の制御を喪失させる可能性のある過度の
差動動作を防止するために、歯車ケース11と側面歯車2
3,24との間の相対回転を遅延させることが望ましい。
差動装置を作動させて、このような作用が発生するチャ
ンスがある前でも、差動動作を防止するのが望ましい動
作状態が存在することもある。
【0030】差動動作を遅延させるために、有限滑り差
動装置に、歯車ケース11に係合している3枚のクラッチ
円板37と、当業者には周知の仕方で側面歯車23にスプラ
イン係合している2枚のクラッチ円板39とからなり、図
中、35で示したクラッチパックが設けられている。
【0031】本実施例では、クラッチパック35は「ギア
アクチブ」と言われる形式のものである。すなわちそれ
はピニオン歯車17から側面歯車23に伝えられる歯車反作
用力にのみ応答して、解放状態から、歯車ケース11と側
面歯車23との間の相対回転を遅延させる係合状態に進
む。
【0032】しかしながらクラッチパック35も、それが
「ギアアクチブ」式のものであるという事実も本発明の
不可欠の特徴ではないということを理解すべきである。
【0033】差動動作をさらに遅延させるために、有限
滑り差動装置に、図中、41で示した別のクラッチパック
を設けてある。
【0034】このクラッチパック41は歯車ケース11と係
合している6枚のクラッチ円板43および側面歯車25とス
プライン係合している6枚のクラッチ円板45を備えてい
る。本実施例では、クラッチパック41は、「歯車インア
クチブ」と言われる形式のものである。
【0035】すなわちクラッチパック41は差動動作中ピ
ニオン歯車17から側面歯車25に伝えられる歯車の反力に
応答しては係合しない。代わりに側面歯車25の横断端面
と歯車ケース11の隣接横断面との間に推力ワッシャ47が
設けられている。
【0036】差動動作中歯車の反力が側面歯車25に伝え
られると、側面歯車25がクラッチパック41に係合するに
充分なだけ図1中、右方向に遠く移動する前に、側面歯
車25、歯車ケース11および推力ワッシャ47の間に摩擦係
合が存在し、ピニオン歯車17から側面歯車25に伝えられ
る歯車反力の幾分かを吸収する。
【0037】なおも図1を参照すると、本発明の有限滑
り差動装置は、図中、51で示した作動機構を備えてお
り、その一部は歯車ケース11の内部に設置され、その一
部はその外部に設置されている。
【0038】つぎに主として図4を参照すると、作動機
構51は、歯車ケース11の内部に設けられた円環状の内側
差動板53と、歯車ケース11の外部に設けられた円環状の
外側差動板55とを備えている。
【0039】図4中、板55の右側に軸受リテーナ57が設
けられているが、これは、ワイヤスナップリング59によ
りハブ部分33に対して保持されている。外側板55と軸受
リテーナ57との間に軸方向に推力軸受61が配設されてい
る。
【0040】つぎに図2を参照すると、外側差動板55
が、図1および図4において歯車ケース11の右端に軸方
向端面に隣接する内面63を規定している。内面63は実質
的に同一の、全般的に弓形を成す、3つの傾斜路面65を
規定しているが、これについては後に一層詳細に図解
し、かつ、説明することにする。傾斜路面65は図2で最
も良くわかるように円周方向に一様な空間であることが
望ましい。
【0041】つぎに図3を参照すると、歯車ケース11
は、実質的に同一の3個の円形開口69を規定する端壁67
(図1参照)を備えている。図2および図3を比較すれ
ば最も良くわかるように作動機構51が未作動状態(通常
の直進運転)にある場合、傾斜路面65は開口69と円周方
向に整列している。
【0042】すなわち各開口69はそのそれぞれの傾斜路
面65のほぼ中心(円周方向に)に配設されている。端壁
67に隣接して内側差動板53が設けられている。歯車ケー
ス11は4個の半円形凹所71を規定しているが、これらは
クラッチ円板43およびクラッチ円板37の「耳」を受ける
ようになっており、これにより一般に当業者が周知のよ
うに歯車ケース11に対するこれらクラッチ円板の回転を
阻止している。
【0043】内側差動板53は、端壁67に隣接する外面75
(図6参照)を備えている。外面75は全般的に円環状の
レース溝77(図3参照)を画定している。図4で最も良
くわかるように内側差動板53と隣接クラッチ円板45との
間にニードル推力軸受セット78および推力レース(歯車
ケース11に固定されている)が設置されており、これら
は、クラッチ円板45が側面歯車25とともに回転するよう
固定されているが内側差動板53は自由に回転できるの
で、設けられている。
【0044】図1および図3で最も良くわかるように3
個のカム球があり、その一つは開口69の各々に配設さ
れ、傾斜路面65の一つと係合している。図3に示す未作
動状態では、各カム球79は実質上傾斜路面65の各々の中
間(円周方向)に配置されている。
【0045】各開口69はそのそれぞれのカム球79径に対
してわずかに大きいことが望ましい。「わずかに大き
い」という意味は当業者には以下の本発明の動作の説明
を読むことにより容易に明らかになると信ぜられる。
【0046】ここに引用により取入れてある同時係属中
の米国特許出願548,317(1990年7月2日出願…本発明に
部分継続) に示されている装置では、カム球は歯車ケー
スの端壁にある弓形の切抜き部分に設置されており、球
は内側および外側差動板により規定される対向傾斜路面
内に拘束されていた。
【0047】それゆえ親出願の装置では、カム球と歯車
ケースの端壁との間には接触はあり得なかった。しかし
ながら円形開口69がカム球79と係合し、カム球79の軸方
向運動を行う際それぞれの傾斜路面65と協働することが
本発明の一つの重要な特徴である。それゆえ開口69を構
成する円筒状壁面は、壁面とカム球との間の摩擦係合を
極力少なくするよう可能な限り滑らかであることが望ま
しい。つぎに図4を参照すると、作動機構51は図4中、
81で示した電磁アクチュエータを備えており、これは図
4には静止している外側差動装置ハウジングHに溶接さ
れているように図示されている。
【0048】電磁アクチュエータ81の特定の構造は本発
明の一部を形成せず、代わりに、差動装置が、外部入力
信号に応答して、差動板55を係合してクラッチパック41
の係合を開始するよう動作可能な形態のアクチュエータ
を備えることだけが重要であるということを理解すべき
である。
【0049】電磁アクチュエータ81は一対の電気リード
(以下、電気入力信号に参照数字83を付す)83により電
気入力信号を受取る。電磁アクチュエータ81は、図中、
85で示したハウジングアセンブリとその中に設けられて
いる電磁コイル87とを備えている。コイル87は、電気入
力信号83の存在に応答して電機子89を未作動位置(図5
参照)と作動位置(図4参照)との間で移動させる。
【0050】電機子89により画定される開口の内部にブ
レーキ片91がゆるく受けられており、このブレーキ片
は、図5で最も良くわかるように一対の発散摩擦面93を
画定している。
【0051】摩擦面93は外側差動板55により画定される
一対の摩擦面95と係合するように構成されている。各摩
擦面95は板55の実質的全円周の周りに広がっているの
で、板55とブレーキ片91との間の摩擦係合が、板55の瞬
時回転位置とは無関係に発生するようになることが望ま
しい。
【0052】摩擦面93および95に対する適切な摩擦材料
を選択することは当業者の能力内であると信ぜられ、ま
た特定の摩擦材料は本発明の不可欠の特徴ではないか
ら、それについてはこれ以上の説明をここでは行わない
ことにする。
【0053】電磁アクチュエータ81が摩擦係合の原理で
動作するということは本発明の不可欠の特徴でさえな
い。本発明の目的では、外側差動板55を歯車ケース11に
対して回転させることができるアクチュエータが存在す
るということだけが不可欠である。 つぎに動作につい
てを説明する。電磁アクチュエータ81が電気入力信号83
を受取ると、コイル87が付勢されて電機子89を図4に示
す作動位置まで動かす。この位置で、ブレーキ片91によ
り画定されている摩擦面93が外側差動板55の摩擦面95と
係合する。
【0054】この係合の結果、板55が歯車ケース11に対
して回転し、外側差動板55がその未作動状態(図2参
照)からその作動状態(図6参照)まで移動するように
なる。
【0055】差動板55が歯車ケース11に対して回転し、
図6に示してある作動状態まで移動すると、カム球79の
各々が傾斜路面65に沿って這い上がり、外側差動板55が
端壁67と軸受リテーナ57との間に軸方向に拘束されてい
るので、カム球79が軸方向に動く。
【0056】それゆえ可能な唯一の軸方向運動はカム球
がさらに軸方向内方に(図1の左側および図3の上方)
動くことである。球79のこのような動きにより内側差動
板53の同様な動きが生ずる(図6矢印参照)。差動板53
のこのような動きによりクラッチパック41のローディン
グが生じ、加えられる力が増大し、したがって差動装置
のバイアストルクが増大する。
【0057】カム球79が傾斜路面65を転がり「上る」に
つれて、球と傾斜路面との間に一定量の摩擦係合が生
じ、これによりカム球の回転が誘起される。同時に、カ
ム球は開口69を構成する円筒状壁面のある部分と係合す
る(図6参照)。
【0058】それゆえカム球79の開口69の面に対する転
がり作用により、カム球も図6の上方に(または図1お
よび図4の軸方向内方に)移動するにつれて一定量の別
の(ただし望ましくない)摩擦が生ずる。
【0059】電磁アクチュエータ81に加えられるべき力
の量(外側差動板55に加えられるべきトルクの量)を判
定するときは、カム球と開口69の表面との間の摩擦係合
を考慮に入れなければならない。
【0060】それゆえ外側差動板55が歯車ケース11とは
異なる速さで回転するどんな時刻にでもカム球は開口69
の壁面と係合しているという事実に鑑み、壁面とカム球
との間の摩擦を可及的に小さくするには開口69に対して
比較的滑らかな面にすることが望ましい。
【0061】本発明における傾斜路面65の全円周範囲
は、親出願に図示してある装置におけるより大きいこと
が望ましい。親出願の装置では、両差動板が傾斜路面を
画定している状態で、外側差動板および歯車ケースの特
定の相対回転に対してより大きい全軸方向移動が存在し
ていた。
【0062】本発明では、外側差動板55が傾斜面を画定
しているだけの状態で、軸方向移動の損失を補償する一
つの方法は、傾斜路の「長さ」すなわち各傾斜路面65の
円周方向の範囲、を増すことである。
【0063】カム球および傾斜路面の構成がバイアスト
ルクを真に変調することを可能とするというのが本発明
の重要な特徴である。図6に示す特定の作動状態はトル
クバイアスの特定レベルに対応する。
【0064】電磁アクチュエータ81により一層大きな力
を加えてさえ摩擦面93および95が係合すれば、差動板55
はさらに図6の右に移動し、差動板53はさらに図6の上
方に移動し、さらに大きいバイアストルクさえ生ずる。
【0065】本発明の他の重要な特徴はコンパクトな構
成であり、これにより、部分的には端壁67がカム球の軸
方向の動きを案内することに関係する他に、カム球79を
囲みこれを半径方向および円周方向に拘束する「ケー
ジ」として作用するという理由により、差動装置全体が
簡単になり、一層コンパクトになる。
【0066】本発明の他の重要な特徴は、外側差動板55
が通状歯車ケース11とともに、同じ速さで回転し、本質
的に回転入力トルクを発生し、これが軸方向の力に変換
されてクラッチパック41を片寄せるということである。
【0067】本発明を前記明細書で非常に詳細に説明し
た。また本発明の種々の変形および修正が当業者にはこ
の明細書を読み理解することにより明らかになるであろ
う。このようなすべての変形および修正を、それらが特
許請求の範囲内にある限り、本発明に含める。
【0068】
【発明の効果】本発明は上記のように外側差動板、作動
機構、電磁アクチュエータを備え、開口径をカム球径よ
りわずかに大きく定めることにより、端壁内の金属量す
なわち歯車ケースのトルク伝達容量を可及的に大きくす
るので、既存の有限滑り差動装置に電磁アクチュエータ
を制御することによって油圧管路などを特別に設けた
り、再設計を要することなく、外部からの入力信号で変
調動作をさせることができる。これにより構成が複雑に
なることおよび開発の長期化をともに抑止できるので、
コストアップを容易に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有限滑り差動装置の軸方向断面図であ
る。
【図2】図1の外側差動板を示す線2−2に沿った同じ
尺度の横断面図である。
【図3】図1の差動装置のケース、カム球および内側差
動板を示す線3−3に沿ったほぼ同じ尺度の横断面図で
ある。
【図4】図1の電磁アクチュエータを示す断片的な軸方
向の拡大断面図である。
【図5】図4の未作動位置にあるアクチュエータを示す
断片的な軸方向のさらなる拡大断面図である。
【図6】図1の作動位置にある作動機構を図解する平面
に垂直な平面に沿った断片的な軸方向の拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
11 歯車ケース 25 歯車 41 クラッチパック 51 作動機構 53 内側差動板 55 外側差動板 67 端壁 69 開口 79 カム球 81 電磁アクチュエータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 デビッド アレン ジャンソン アメリカ合衆国,ミシガン 48170,プラ イマウス,ガーリン デーアール.255

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を画定する歯車ケースおよび少な
    くとも一つの入力歯車と第1および第2の出力歯車とを
    含む歯車室、該歯車室内に設置されている差動歯車手段
    と、該差動歯車手段の差動動作を所定の入力信号に応答
    して前記出力歯車と前記歯車ケースとの間の相対回転を
    遅延させるために解放状態と係合状態との間で動作する
    制限手段と、球−傾斜路アクチュエータを画定するため
    の第1および第2の差動板を備えた作動手段と、から構
    成され、前記第2の差動板の未作動状態から作動状態へ
    の回転により前記クラッチ手段が前記係合状態に向かっ
    て片寄る形式の有限滑り差動装置において、 前記第2の差動板が前記未作動状態に前記歯車ケースと
    ともに回転するために設置され、 前記球−傾斜路アクチュエータは複数のカム球を備える
    とともに前記第2の差動板は複数の傾斜路面を画定して
    おり、 前記歯車ケースは前記第2の差動板に隣接して配設され
    前記回転軸に垂直であり内部に前記カム球の一つを有し
    該カム球径に対してわずかに大きい寸法の複数の開口を
    画定する端壁を備え、 前記歯車ケース内に配設され前記クラッチ手段を前記係
    合状態に向かって動かすために前記カム球の軸方向の動
    きを伝える手段を備えており、 前記歯車ケースに隣接して設置され前記入力信号に応答
    して前記第2の差動板が前記未作動状態にある未作動位
    置から前記第2の差動板に関連して動作する作動位置ま
    で動作する手段を備え、 前記第2の差動板を前記作動状態まで動かすために前記
    第2の差動板と歯車ケースとの間に相対回転を生ずるア
    クチュエータを備えている、ことを特徴とする有限滑り
    差動装置。
  2. 【請求項2】 アクチュエータが電磁アクチュエータか
    ら構成され、入力信号は電気入力信号から構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の有限滑り差動装
    置。
  3. 【請求項3】 クラッチ手段が第2の出力歯車と歯車ケ
    ースとの間で軸方向に設置され、その一部は前記歯車ケ
    ースと係合し他部は前記第2の出力歯車と係合する複数
    のクラッチ円板から構成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の有限滑り差動装置。
  4. 【請求項4】 第1の差動板が歯車ケースの内部に設置
    され、第2の差動板は前記歯車ケースの外部に設置され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の有限滑り差動
    装置。
  5. 【請求項5】 第1の差動板が、前記カム球と係合する
    円環状レース溝を画定するための球レース部材から構成
    されていることを特徴とする請求項4に記載の有限滑り
    差動装置。
  6. 【請求項6】 歯車ケースが第2の差動板の歯車ケース
    に対する軸方向の動きを阻止しかつ前記第2の差動板の
    歯車ケースに対する回転運動を許容するための手段を備
    えていることを特徴とする請求項4に記載の有限滑り差
    動装置。
  7. 【請求項7】 端壁内の開口の各々は、第2の差動板が
    未作動状態にあるときに傾斜路面の一つと円周方向に整
    列していることを特徴とする請求項1に記載の有限滑り
    差動装置。
  8. 【請求項8】 各開口が歯車ケースの回転軸に平行な円
    筒状の壁面を備えており、傾斜路面は前記円筒状の壁面
    の一部との間で鋭角の夾角を画定していることを特徴と
    する請求項7に記載の有限滑り差動装置。
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