JP3393387B2 - 差動歯車機構の差動制限装置 - Google Patents

差動歯車機構の差動制限装置

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JP3393387B2 JP15744892A JP15744892A JP3393387B2 JP 3393387 B2 JP3393387 B2 JP 3393387B2 JP 15744892 A JP15744892 A JP 15744892A JP 15744892 A JP15744892 A JP 15744892A JP 3393387 B2 JP3393387 B2 JP 3393387B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、差動歯車機構の差動制
限装置、詳細には差動動作を制限する手段を外部入力信
号で調整する形式の差動歯車機構の差動制限装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】本発明が関連する形式の差動制限装置は
典型的に、歯車室を規定する歯車ケースおよびその中に
配設された、少なくとも1個の入力ピニオンおよび一対
の出力側面歯車を含む一組の差動歯車を備えている。
【0003】典型的には、クラッチパックが少なくとも
1個の側面歯車と歯車ケースの隣接面との間に配設さ
れ、歯車ケースと一方の側面歯車との間の相対的回転を
減少させ、または、阻止さえするようになっている。
【0004】本発明は、クラッチパックが側面歯車の一
つと歯車ケースの隣接面との間に設けられる差動制限装
置に限定されるものではないが、本発明は、このような
構成を有する差動制限装置と関連して使用するとき特に
有利であり、本発明をこれと関連して説明することにす
る。
【0005】多数の差動制限装置において、クラッチパ
ックをその解放状態から係合状態に作動させるすなわち
動かすのに、ある種の作動機構が設けられている。
【0006】車両の牽引力変換器の分野における現時の
傾向の一つにクラッチパックを、従来技術の場合に一般
的であったように所定の速度差の検知だけに応答するの
ではなく、外部からの入力信号に応答して作動させるこ
とが望ましい。
【0007】差動制限装置を調節することができるよう
にする従来技術の方法の一つは、変化する油圧をクラッ
チパックに係合して配設されているピストンに、「バイ
アストルク」(すなわちクラッチパックの係合の結果と
して牽引力の低い歯車から牽引力の高い歯車に伝えられ
るトルクの量)が油圧の変化とともに変化するように加
えることによっていた。このような差動制限装置につい
ては、米国特許第3,138,970 号に図解され、説明されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した米国特許第3,
138,970 号の教示にしたがって作られた差動制限装置
は、主として全体の構造が複雑過ぎ、数本の油圧管路が
必要であったことおよび回転油圧シールの構成が高価、
かつ、複雑であるため、商品としては成功しなかった。
【0009】米国特許第4,644,823 号は、油圧信号を軸
受アセンブリのピストン状部材に、油圧が軸受アセンブ
リ全体および他の幾つかの部材を軸方向に片寄らせ、究
極的に差動装置のクラッチパックにロードするように加
える差動制限装置を開示している。しかし、引用した特
許の装置は、過度に複雑であり、市場入手可能な差動制
限装置のすべてについて大きな設計変更を必要とし、さ
らに周りの差動装置ハウジングの本質的な再設計を大概
必要とし、このようなことは元来の車両機器設計者には
受入れられないことである。
【0010】米国特許第4,805,486 号は、クラッチパッ
クのローディングが差動装置のケースの外部に設置され
ている球−傾斜路アクチュエータの傾きによって生ずる
クラッチパックを有する差動制限装置を開示している。
【0011】球−傾斜路アクチュエータの傾きはサーボ
モータの回転によりおよび平行軸歯車列により始められ
るが、これにも周りの差動装置ハウジングの本質的な再
設計が必要である。
【0012】したがって本発明の目的は、クラッチパッ
クを、外部入力信号に応答して、調節するように作動さ
せることができる形式の改良された差動制限装置であっ
て、従来技術の装置に関連する問題を克服する差動装置
を提供することである。
【0013】さらに詳細に述べれば、本発明の目的は、
クラッチパック作動手段が、その少なくとも一部を差動
装置のケースの外部に設置してなる比較単純なカム手段
であるにも関わらず、差動装置の本質的な再設計、すな
わち、現在市場で入手可能な差動装置のケースの全体の
寸法や構成の変更を必要としない、改良された差動制限
装置を提供することである。
【0014】本発明の他の目的は、クラッチ作動機構の
一部が差動装置のケースの端壁を通って外部に設けられ
るにもかかわらず、そのケースの端壁を構成する素材の
量を最大限に、したがって、差動装置のケースのトルク
伝達容量を最大限に形成するようにした、改良された差
動制限装置を提供することである。
【0015】本発明の上述のおよび他の目的は、回転軸
および歯車室を規定する歯車ケースを備えている形式の
改良された差動制限装置を設けることにより達成され
る。
【0016】
【課題を解決するための手段・作用】差動歯車手段は、
歯車室に配列され、少なくとも1個の入力歯車および第
1および第2の出力歯車を備えている。入力信号に応答
して差動歯車の差動動作を制限する手段を備えており、
該制御手段は、解放状態と係合状態との間で動作するこ
とができ、出力歯車と歯車ケースとの間の相対回転を減
少させるのに効果がある。
【0017】また球−傾斜路アクチュエータを規定する
第1および第2の作動板からなる作動手段が備えられて
おり、これでは未作動状態から作動状態への第2の作動
板の回転はクラッチ手段を係合状態の方に片寄せるのに
役立つ。
【0018】改良された差動歯車手段は、第2の作動板
が、未作動状態で、歯車ケースとともに回転するように
配設されていることを特徴とする。球−傾斜路アクチュ
エータは複数のカム球を備えており、第2の作動板は複
数の傾斜路面を画定している。
【0019】歯車ケースは、第2の作動板に隣接して設
けられ、かつ、回転軸に垂直な向きを成す端壁を備えて
おり、該端壁は複数の開口を画定し、各開口は、その中
にカム球の一つが設けられ、その開口の大きさはカム球
に比してわずかに大きい。
【0020】歯車ケースの内部に配設されてカム球の軸
方向の動きを伝え、クラッチ手段を係合状態の方に動か
すように動作する手段がある。
【0021】アクチュエータは、歯車ケースに隣接して
配列され、入力信号に応答して、第2の作動板が未作動
状態にある未作動位置から、手段が第2の作動板と関連
して動作することができる作動状態まで動かし、第2の
作動板と歯車ケースとの間に相対回転を効果的に生ぜし
めて第2の作動板を作動状態まで動かすよう動作する手
段を備えている。
【0022】
【実施例】つぎに図面を参照すると、これら図面は本発
明を限定しないが、図1は、本発明の差動制限装置の軸
方向断面図である。図1に示す差動制限装置の構造およ
び動作は、本発明の譲渡人に譲渡され、ここに引用によ
り取入れてある米国特許第3,648,545 号を参照すること
によって一層の理解を可能にする。
【0023】差動装置は中に、図1中、13で示した歯車
室を規定する歯車ケース11を備えている。差動装置への
トルク入力は、適切な手段(図示省略)により歯車ケー
ス11のフランジ15に取付けることができる入力リングギ
ア(図示省略)によるものが代表的である。
【0024】歯車室13の内部に配設されて、ピニオン軸
19に回転可能に取付けられている一対の入力ピニオン歯
車17を備えた差動歯車セットがある。典型的には、ピニ
オン軸19は、ロッキングピン21のような適切な手段によ
り歯車ケースに対して固定されている。
【0025】ピニオン歯車17は、差動歯車セットの入力
歯車を構成し、一対の側面歯車23,25と噛合い係合して
いる。側面歯車23,25は1組の内側直線スプライン27,
29をそれぞれ画定しており、これらスプラインは一対の
アクスルシャフト(図示省略)の相手の外側スプライン
とスプライン係合するようになっている。
【0026】歯車ケース11は円環状ハブ部分31,33を備
えており、このハブ部分31,33に差動装置を外側差動装
置ハウジングHに対して回転支持するのに使用される一
対の軸受セット(図示省略)を取付けることができる
(図4参照)。
【0027】当業者には周知であるように車両の通常の
直進運転中、左および右の側面歯車23,25の間には差異
が発生せず、それゆえピニオン歯車17はピニオン軸19に
対して回転しない。歯車ケース11、ピニオン歯車17およ
び側面歯車23,25はすべて回転軸Aの周りに一つのユニ
ットとして回転する。
【0028】車両が向きを変えるとき、またはタイヤの
大きさにわずかな差が存在するときのように、ある動作
条件のもとで側面歯車23,25の間に一定量の差動動作が
発生することが許容される。
【0029】上述したことから明かであるように、側面
歯車23,25の速さの間の差が一定の所定の差より大きい
ときは、駆動車輪の一方にスピンアウトが生じ、車両の
制御を喪失させる可能性のある過度の差動動作を防止す
るために、歯車ケース11と側面歯車23,25との間の相対
回転を減少させることが望ましい。このような動作が発
生する可能性がある前でも、差動制限装置を作動させ
て、差動動作を防止するのが望ましい動作状態が存在す
ることもある。
【0030】差動動作を減少させるために、差動制限装
置に、歯車ケース11に係合している3枚のクラッチ円板
37と、当業者には周知の仕方で側面歯車23にスプライン
係合している2枚のクラッチ円板39とからなり、図中、
35で示したクラッチパックが設けられている。
【0031】本実施例では、クラッチパック35は「ギア
アクチブ」と言われる形式のものである。すなわちそれ
はピニオン歯車17から側面歯車23に伝えられる歯車反作
用力にのみ応答して、解放状態から、歯車ケース11と側
面歯車23との間の相対回転を減少させて係合状態に進
む。
【0032】しかしながらクラッチパック35も、それが
「ギアアクチブ」式のものであるという事実も本発明の
不可欠の特徴ではないということを理解すべきである。
【0033】差動動作をさらに減少させるために、差動
制限装置に、図中、41で示した別のクラッチパックを設
けてある。
【0034】このクラッチパック41は歯車ケース11と係
合している6枚のクラッチ円板43および側面歯車25とス
プライン係合している6枚のクラッチ円板45を備えてい
る。本実施例では、クラッチパック41は、「歯車インア
クチブ」と言われる形式のものである。
【0035】すなわちクラッチパック41は差動動作中ピ
ニオン歯車17から側面歯車25に伝えられる歯車の反力に
応答しては係合しない。代わりに側面歯車25の横断端面
と歯車ケース11の隣接横断面との間にスラストワッシャ
47が設けられている。
【0036】差動動作中歯車の反力が側面歯車25に伝え
られると、側面歯車25がクラッチパック41に係合するに
充分なだけ図1中、右方向に遠く移動する前に、側面歯
車25、歯車ケース11およびスラストワッシャ47の間に摩
擦係合が存在し、ピニオン歯車17から側面歯車25に伝え
られる歯車反力の幾分かを吸収する。
【0037】なおも図1を参照すると、本発明の差動制
限装置は、図中、51で示した作動機構を備えており、そ
の一部は歯車ケース11の内部に設置され、その一部はそ
の外部に設置されている。
【0038】つぎに主として図4を参照すると、作動機
構51は、歯車ケース11の内部に設けられた円環状の内側
作動板53と、歯車ケース11の外部に設けられた円環状の
外側作動板55とを備えている。
【0039】図4中、板55の右側に軸受リテーナ57が設
けられているが、これは、ワイヤスナップリング59によ
りハブ部分33に対して保持されている。外側板55と軸受
リテーナ57との間に軸方向にスラスト軸受61が配設され
ている。
【0040】つぎに図2を参照すると、外側作動板55
が、図1および図4において歯車ケース11の右端に軸方
向端面に隣接する内面63を規定している。内面63は実質
的に同一の、全般的に弓形を成す、3つの傾斜路面65を
規定しているが、これについては後に一層詳細に図解
し、かつ、説明することにする。傾斜路面65は図2で最
も良くわかるように円周方向に均一な間隔であることが
望ましい。
【0041】つぎに図3を参照すると、歯車ケース11
は、実質的に同一の3個の円形開口69を規定する端壁67
(図1参照)を備えている。図2および図3を比較すれ
ば最も良くわかるように作動機構51が未作動状態(通常
の直進運転)にある場合、傾斜路面65は開口69と円周方
向に整列している。
【0042】すなわち各開口69はそのそれぞれの傾斜路
面65のほぼ中心(円周方向に)に配設されている。端壁
67に隣接して内側作動板53が設けられている。歯車ケー
ス11は4個の半円形凹所71を規定しているが、これらは
クラッチ円板43およびクラッチ円板37の「耳」を受ける
ようになっており、これにより一般に当業者が周知のよ
うに歯車ケース11に対するこれらクラッチ円板の回転を
阻止している。
【0043】内側作動板53は、端壁67に隣接する外面75
(図6参照)を備えている。外面75は全般的に円環状の
レース溝77(図3参照)を画定している。図4で最も良
くわかるように、クラッチ円板45が側面歯車25とともに
回転するよう固定されているので、内側作動板53が自由
に回転できるように、内側作動板53とこれに隣接するク
ラッチ円板45との間には、ニードルスラスト軸受セット
78およびスラストレース(歯車ケース11に固定されてい
る)が設置されている。
【0044】図1および図3で最も良くわかるように3
個のカム球があり、その一つは開口69の各々に配設さ
れ、傾斜路面65の一つと係合している。図3に示す未作
動状態では、各カム球79は実質上傾斜路面65の各々の中
間(円周方向)に配置されている。
【0045】各開口69はそのそれぞれのカム球79径に対
してわずかに大きいことが望ましい。「わずかに大き
い」という意味は当業者には以下の本発明の動作の説明
を読むことにより容易に明らかになると信ぜられる。
【0046】ここに参考として含まれる特願平3−18
8044号に示されている装置では、カム球は歯車ケー
スの端壁にある円弧形の切抜き部分に設置されており、
球は内側および外側作動板により規定される対向傾斜路
面内に拘束されていた。
【0047】それゆえ、この特願平3−188044号
に示されている装置では、カム球と歯車ケースの端壁と
の間には接触はあり得なかった。しかしながら、本発明
の重要な特徴は、円形開口69がカム球79と係合し、それ
ぞれの傾斜路面65と協働してカム球79の軸方向運動を行
うようになることにある。それゆえ開口69を構成する円
筒状壁面は、壁面とカム球との間の摩擦係合を極力少な
くするよう可能な限り滑らかであることが望ましい。つ
ぎに図4を参照すると、作動機構51は図4中、81で示し
た電磁アクチュエータを備えており、これは図4には静
止している外側差動装置ハウジングHに溶接されている
ように図示されている。
【0048】電磁アクチュエータ81の特定の構造は本発
明の一部を形成せず、代わりに、差動装置が、外部入力
信号に応答して、作動板55を係合してクラッチパック41
の係合を開始するよう動作可能な形態のアクチュエータ
を備えることだけが重要であるということを理解すべき
である。
【0049】電磁アクチュエータ81は一対の電気リード
(以下、電気入力信号に参照数字83を付す)83により電
気入力信号を受取る。電磁アクチュエータ81は、図中、
85で示したハウジングアセンブリとその中に設けられて
いる電磁コイル87とを備えている。コイル87は、電気入
力信号83の存在に応答して電機子89を未作動位置(図5
参照)と作動位置(図4参照)との間で移動させる。
【0050】電機子89により画定される開口の内部にブ
レーキ片91がゆるく受けられており、このブレーキ片
は、図5で最も良くわかるように一対の放射状に広がっ
た摩擦面93が形成されている。
【0051】摩擦面93は、外側作動板55により画定され
る一対の摩擦面95と係合するように構成されている。各
摩擦面95は板55の実質的全円周の周りに広がっているの
で、板55とブレーキ片91との間の摩擦係合が、板55の瞬
時回転位置とは無関係に発生するようになることが望ま
しい。
【0052】摩擦面93および95に対する適切な摩擦材料
を選択することは当業者の能力内であると信ぜられ、ま
た特定の摩擦材料は本発明の不可欠の特徴ではないか
ら、それについてはこれ以上の説明をここでは行わない
ことにする。
【0053】電磁アクチュエータ81が摩擦係合の原理で
動作するということは本発明の不可欠の特徴でさえな
い。本発明の目的では、外側作動板55を歯車ケース11に
対して回転させることができるアクチュエータが存在す
るということだけが不可欠である。つぎに動作について
を説明する。電磁アクチュエータ81が電気入力信号83を
受取ると、コイル87が付勢されて電機子89を図4に示す
作動位置まで動かす。この位置で、ブレーキ片91により
画定されている摩擦面93が外側作動板55の摩擦面95と係
合する。
【0054】この係合の結果、板55が歯車ケース11に対
して回転し、外側作動板55がその未作動状態(図2参
照)からその作動状態(図6参照)まで移動するように
なる。
【0055】作動板55が歯車ケース11に対して回転し、
図6に示してある作動状態まで移動すると、カム球79の
各々が傾斜路面65に沿って這い上がり、外側作動板55が
端壁67と軸受リテーナ57との間に軸方向に拘束されてい
るので、カム球79が軸方向に動く。
【0056】それゆえ、カム球が軸方向に移動できるの
は、さらに軸方向内方(図1の左側および図6の上方)
だけである。球79のこのような動きにより、内側作動板
53には同様な動きが生ずる(図6矢印参照)。作動板53
のこのような動きによりクラッチパック41のローディン
グが生じ、加えられる力が増大し、したがって差動装置
のバイアストルクが増大する。
【0057】カム球79が傾斜路面65を転がり「上る」に
つれて、球と傾斜路面との間に一定量の摩擦係合が生
じ、これによりカム球の回転が誘起される。同時に、カ
ム球は開口69を構成する円筒状壁面のある部分と係合す
る(図6参照)。
【0058】それゆえカム球79の開口69の面に対する転
がり作用により、カム球も図6の上方に(または図1お
よび図4の軸方向内方に)移動するにつれて一定量の別
の(ただし望ましくない)摩擦が生ずる。
【0059】電磁アクチュエータ81に加えられるべき力
の量(外側作動板55に加えられるべきトルクの量)を判
定するときは、カム球と開口69の表面との間の摩擦係合
を考慮に入れなければならない。
【0060】それゆえ、外側作動板55が歯車ケース11と
は異なる速さで回転するいかなる場合にもカム球が開口
69の壁面と係合しているということに鑑み、壁面とカム
球との間の摩擦を可及的に小さくするには開口69に対し
て比較的滑らかな面にすることが望ましい。
【0061】本発明における傾斜路面65の全円周範囲
は、特願平3−188044号に図示された装置のもの
よりも大きいことが望ましい。特願平3−188044
号に示されている装置では、両作動板に傾斜路面を形成
しているため、特定の相対回転に対して外側作動板と歯
車ケースとの軸方向移動がより大きいものであった。
【0062】本発明では、外側作動板55のみに傾斜面を
形成したため、軸方向移動の低下を補償する一つの方法
として、傾斜路の「長さ」すなわち各傾斜路面65の円周
方向の範囲を増している。
【0063】本発明の重要な特徴は、バイアストルクを
真に調整することができるようにカム球と傾斜路面を構
成したことにある。その特定の作動状態が、バイアスト
ルクの特定レベルに対応して、図6に示されている。
【0064】電磁アクチュエータ81により一層大きな力
を加えてさえ摩擦面93および95が係合すれば、作動板55
はさらに図6の右に移動し、作動板53はさらに図6の上
方に移動し、さらに大きいバイアストルクさえ生ずる。
【0065】本発明の他の重要な特徴はコンパクトな構
成であり、これにより、部分的には端壁67がカム球の軸
方向の動きを案内することに関係する他に、カム球79を
囲みこれを半径方向および円周方向に拘束する「ケー
ジ」として作用するという理由により、差動装置全体が
簡単になり、一層コンパクトになる。
【0066】本発明の他の重要な特徴は、外側作動板55
が通常歯車ケース11とともに、同じ速さで回転し、本質
的に回転入力トルクを発生し、これが軸方向の力に変換
されてクラッチパック41を片寄せるということである。
【0067】本発明の詳細をこれまで説明してきたが、
当業者にはこの明細書を読み理解することにより本発明
の種々の改造や変更が明らかになるであろう。このよう
なすべての改造や変更は、特許請求の範囲内にある限
り、本発明に含まれる。
【0068】
【発明の効果】本発明は上記のように外側作動板、作動
機構、電磁アクチュエータを備え、開口径をカム球径よ
りわずかに大きく定めることにより、ケースの端壁を構
成する素材の量をすなわち歯車ケースのトルク伝達容量
を可及的に大きくすることができ、また、既存の差動制
限装置を、油圧管路などを特別に設けたり再設計を要す
ることなく、外部からの入力信号により電磁アクチュエ
ータを制御して、調節動作をさせることができる。これ
により構成が複雑になることおよび開発の長期化をとも
に抑止できるので、コストアップを容易に抑止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の差動制限装置の軸方向断面図である。
【図2】図1の外側作動板を示す線2−2に沿った同じ
尺度の横断面図である。
【図3】図1の差動装置のケース、カム球および内側作
動板を示す線3−3に沿ったほぼ同じ尺度の横断面図で
ある。
【図4】図1の電磁アクチュエータを示す断片的な軸方
向の拡大断面図である。
【図5】図4の未作動位置にあるアクチュエータを示す
断片的な軸方向のさらなる拡大断面図である。
【図6】図1の作動位置にある作動機構を図解する平面
に垂直な平面に沿った断片的な軸方向の拡大断面図であ
る。
【符号の説明】
11 歯車ケース 25 歯車 41 クラッチパック 51 作動機構 53 内側作動板 55 外側作動板 67 端壁 69 開口 79 カム球 81 電磁アクチュエータ
フロントページの続き (72)発明者 エドワード ジョン ゴセンスキー ジ ュニア アメリカ合衆国,ミシガン 49017,バ トル クリーク,ビードル レイク ロ ード 12276 (72)発明者 デビッド アレン ジャンソン アメリカ合衆国,ミシガン 48170,プ ライマウス,ガーリン デーアール. 255 (56)参考文献 特開 昭50−116853(JP,A) 特開 平1−320353(JP,A) 特開 平3−4055(JP,A) 特開 平4−249645(JP,A) 実開 昭62−196951(JP,U) 米国特許5092825(US,A) 欧州特許464719(EP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 48/30 F16H 48/22

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を画定する歯車ケースと歯車室、 該歯車室に配置された少なくとも1つの入力歯車と、第
    1および第2出力歯車とを含む差動歯車手段、 入力信号に応答して、解放状態と係合状態との間で動作
    可能なクラッチ手段を含み、前記出力歯車と前記歯車ケ
    ースとの間の相対的な回転を減少させて、前記差動歯車
    手段の差動動作を制限する制限手段、 球−傾斜路アクチュエータを形成する第1および第2の
    作動板を備えてなり、前記第2の作動板が回転すること
    によって未作動状態から作動状態となり前記クラッチ手
    段を前記係合状態に向かって片寄らせる作動手段、 を含む形式の差動歯車機構において、 (a)前記第2の作動板は、前記未作動状態のときに、
    前記歯車ケースとともに回転するように設置され、 (b)前記球−傾斜路アクチュエータは、複数のカム球
    と、前記第2の作動板に形成された複数の傾斜路面とを
    備えており、 (c)前記歯車ケースは、前記第2の作動板に隣接して
    配設された、前記回転軸と垂直な端壁を含んでおり、 該端壁には複数の開口が形成されており、該開口のそれ
    ぞれは、その内部に配置された前記カム球の1つを有し
    ていると共に、該カム球径に対してわずかに大きい寸法
    となっており、 (d)前記カム球の軸方向の動きを伝えて前記クラッチ
    手段を前記係合状態に向かって動かす手段が前記歯車ケ
    ース内に配設され、 (e)前記歯車ケースに隣接して設置され、前記入力信
    号に応答して前記第2の作動板が前記未作動状態となる
    未作動位置から前記第2の作動板と関連して動作する作
    動位置まで動作する手段を備え、 前記第2の作動板と歯車ケースとの間で相対回転を生じ
    させて、前記第2作動板を作動状態に動かすアクチュエ
    ータを備えていることを特徴とする差動制限装 置。
  2. 【請求項2】 アクチュエータが電磁アクチュエータか
    ら構成され、入力信号は電気入力信号から構成されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の差動制限装置
  3. 【請求項3】 クラッチ手段が第2の出力歯車と歯車ケ
    ースとの間で軸方向に設置され、その一部は前記歯車ケ
    ースと係合し他部は前記第2の出力歯車と係合する複数
    のクラッチ円板から構成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の差動制限装置
  4. 【請求項4】 第1の作動板が歯車ケースの内部に設置
    され、第2の作動板は前記歯車ケースの外部に設置され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の差動制限装
  5. 【請求項5】 第1の作動板が、前記カム球と係合する
    円環状レース溝を画定するための球レース部材から構成
    されていることを特徴とする請求項4に記載の差動制限
    装置
  6. 【請求項6】 歯車ケースが第2の作動板の歯車ケース
    に対する軸方向の動きを阻止しかつ前記第2の作動板の
    歯車ケースに対する回転運動を許容するための手段を備
    えていることを特徴とする請求項4に記載の差動制限装
  7. 【請求項7】 端壁内の開口の各々は、第2の作動板が
    未作動状態にあるときに傾斜路面の一つと円周方向に整
    列していることを特徴とする請求項1に記載の差動制限
    装置
  8. 【請求項8】 各開口が歯車ケースの回転軸に平行な円
    筒状の壁面を備えていることを特徴とする請求項7に記
    載の差動制限装置
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