JPH0517989U - 感熱発熱線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】細線化が図れ、ホットプレス法により電熱敷物
に埋設する場合にも生産性を高めることができる感熱発
熱線を提供するにある。 【構成】ポリエステル等の絶縁材からなる絶縁性の芯糸
１にスパイラル状に巻回する内巻電気導体線２は断面形
状が偏平の金属リボン線を２本用いている。外巻電気導
体線４は断面形状が偏平な金属リボン線を用い、内巻電
気導体線２の表面を押出し成形により被覆する感熱樹脂
層３の表面に内巻電気導体線２に対して逆方向となるよ
うにスパイラル状に巻回している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電気カーペット等に用いられる温度検知機能を有する感熱発熱線に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

電気カーペット等の電熱敷物は、図２に示すような断面構成よりなっている。 即ち、感熱発熱線Ｈは、カーペット生地よりなる表面材Ａとフェルト生地より なる裏面材３との間に、中央にアルミニュウム箔等の金属箔を設けてその金属箔 の両面に低密度ポリエチレンシート等の熱接着シート材を貼って形成した熱接着 シートＣを介して裏面材Ｂの中に埋め込まれるように全体をホットプレスするこ とにより熱接着されている。

【０００３】 ところで従来、使用される感熱発熱線Ｈは図３に示すように、ポリエステル等 の絶縁性の糸からなる芯糸１と、銅又は銅合金よりなる断面円形の金属線を必要 な抵抗値に合わせて複数本ひき揃えて芯糸１にスパイラル状に巻いた発熱抵抗体 よりなる内巻電気導体線２と、塩化ビニル系の樹脂に第４級アンモニア塩等のイ オン性添加剤を加えたイオン伝導性を利用した負特性サーミスタ材料よりなり、 押出成形により内巻電気導体線２に被覆してある感熱樹脂層３と、金属リボンよ りなり、感熱樹脂層３の温度−インピーダンス特性を電気信号量に変換して検出 する温度検知電極を構成し、上記内巻電気導体線２とは逆の方向にスパイラル状 に巻かれた外巻電気導体線４と、ポリエステルフィルム等よりなり、感熱樹脂層 ３の添加剤である可塑剤や第４級アンモニア塩等のイオン性添加剤がブリードア ウトして温度−インピーダンス特性に狂いが生じるのを防止する分離フィルム５ と、塩化ビニル等の樹脂よりなり押出し成形により被覆する絶縁層６と、更にこ の絶縁層６の表面を押出し成形により被覆する低密度ポリエチレン等よりなる熱 接着層７とで構成されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで従来の感熱発熱線Ｈは断面円形の内巻電気導体線２を使用しているた め太くなり、そのため上述のように電熱敷物の裏面材Ｂの中にホットプレスによ る熱接着を用いて埋め込む場合に、熱加圧による圧縮変形が起きやすく、この圧 縮変形が起きると感熱樹脂層３の温度−インピーダンス特性に狂いが生じたり、 絶縁層６が破れたりする恐れがあった。このような問題を避けるために、ホット プレスの圧力を低くするとともに加熱温度も比較的低くし、時間をかけてプレス を行う必要があり、生産性が低いという問題があった。

【０００５】 また変形しにくいように裏面材Ｂを厚くすると熱伝導が悪く、プレスする時間 を長くする必要があった。 また従来の感熱発熱線Ｈの内巻電気導体線２は上述のように断面円形であった ため、感熱樹脂層３の押出し成形時の樹脂と金属との密着にばらつきが生じやす く、温度−インピーダンス特性のばらつきが大きくなるので、樹脂量を多い目に して且つ外巻電気導体線４を巻き付ける時に外巻電気導体線４が感熱樹脂層３中 に食い込む程度に強く巻き付ける必要があった。

【０００６】 本考案は、上述の点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは屈曲性 能が向上し且つ細線化が図れ、ホットプレス法により電熱敷物に埋設する場合に も生産性を高めることができる感熱発熱線を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上述の目的を達成するために、絶縁性の芯糸と、前記芯糸にスパイ ラル状に巻かれた発熱抵抗体よりなる内巻電気導体線と、前記内巻電気導体線に 被覆して設けられた温度変化に応じてインピーダンス値が変化する感熱樹脂層と 、前記感熱樹脂層の外側に前記内巻電気導体線と逆方向にスパイラル状に巻かれ た断面形状が偏平である温度検知電極を構成する外巻電気導体線と、前記外巻電 気導体線の外側に被覆する絶縁層とから成る感熱発熱線において、前記内巻電気 導体線を断面形状が偏平な複数の金属リボン線より構成したものである。

【０００８】

【作用】

而して本考案によれば、内巻電気導体線を断面形状が偏平な複数の金属リボン 線より構成したので、従来の内巻電気導体線と同じ仕上がり抵抗値を同じとした 場合、巻きピッチが同一であれば抵抗線長が小さい分だけ断面積が小さく、しか も断面形状が偏平な複数本の金属リボン線で分割してあるので、屈曲性能の低下 は芯糸を細くしても発生せず、逆に分割数を増やせば、屈曲性能の向上も図れる 。更に内、外巻電気導体線を共に断面形状が偏平な金属リボン線により構成して いるため、両電気導体線が平面同士で対面し、そのため感熱樹脂層の温度−イン ピーダンス特性をばらつき少なく検出することができ、結果感熱樹脂層の厚みを 薄くすることが可能となる。

【０００９】 また内巻電気導体線に断面形状が偏平な金属リボン線を用いているため、内巻 電気導体線の巻回が終わった状態での凹凸は少なく、そのため感熱樹脂層の成形 ばらつきが少なくなって感熱樹脂層の肉厚が安定し、感熱樹脂層の肉厚を薄くす ることが可能となる。 以上の点から感熱発熱線全体を細線化することができるのである。

【００１０】 更に感熱発熱線を細線とすることにより変形の恐れがすくなくなり、ホットプ レス法により電熱敷物に埋設する場合にも圧力、温度を共に高くすることができ 、そのためプレスに要する時間が短縮でき、生産性の向上が図れる。

【００１１】

【実施例】

以下本考案を実施例により説明する。 図１は実施例の感熱発熱線Ｈの構造を示しており、本実施例の感熱発熱線Ｈで はポリエステル等の絶縁材からなる絶縁性の芯糸１にスパイラル状に巻回する内 巻電気導体線２として、断面形状が偏平の２本の金属リボン線を用いている。

【００１２】 ここで内巻電気導体線２の断面積Ａは、Ｒ＝ρ・ｌ／Ａの式より、抵抗線長（ ｌ）が小さいだけ、小さくできるのである。尚ρは固有抵抗値を示す。 また断面形状が偏平のリボン線を２本使用するため、芯糸１が細くなっても屈 曲性能の低下がないため、芯糸１を従来例の場合に比べて細くしている。 感熱樹脂層３は従来例と同様に負特性サーミスタ材料からなるもので、巻回し た内巻電気導体線２の表面を押出し成形により被覆し、更にこの感熱樹脂層３の 表面には従来例と同様に断面形状が偏平となるように圧延した金属リボン線から なる外巻電気導体線４を、内巻電気導体線２に対して逆方向となるようにスパイ ラル状に巻回している。

【００１３】 巻回した外巻電気導体線４を覆う分離フィルム５、更にその上に被覆する絶縁 層６、熱接着層７は従来例と同じ役割を持ち同じ材質からなる。 而して２０ｍ長で５７Ω（ＡＣ１００Ｖ・１７５Ｗ）相当の感熱発熱線Ｈを、 本考案実施例で実現した場合と、従来例構造で実現した場合とでは仕上がり外径 、仕上がり重量で表１のように本考案実施例の方が細く、且つ軽量となった。ま た使用材料の少なく済むという結果が得られた。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【考案の効果】

本考案は内巻電気導体線を断面形状が偏平な複数本の金属リボン線より構成し たため、従来にに比べて内巻電気導体の断面積を小さくでき且つ芯糸を細くして も屈曲性能が低下することがなく、しかも内、外巻の両電気導体線が平面同士で 対面し、そのため感熱樹脂層の温度−インピーダンス特性をばらつき少なく検出 することができ、結果感熱樹脂層の厚みを薄くすることが可能となり、また内巻 電気導体線に断面形状が偏平な金属リボン線を用いるため、巻回が終わった状態 での凹凸が少なく、そのため感熱樹脂層の成形ばらつきが少なくなって感熱樹脂 層の肉厚が安定し、結果感熱樹脂層の肉厚を薄くすることが可能となるのもので 、以上の結果より感熱発熱線全体を細線化することができるとともに、軽量化と 、省材料化が図れ、更に感熱発熱線を細線とすることにより変形の恐れがすくな くなり、ホットプレス法により電熱敷物に埋設する場合にも圧力、温度を共に高 くすることができ、そのためプレス時間が短縮でき生産性の向上が図れるという 効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の構造説明用斜視図である。

【図２】電熱敷物の断面図である。

【図３】従来例の構造説明用斜視図である。

【符号の説明】

１ 芯糸 ２ 内巻電気導体線 ３ 感熱樹脂層 ４ 外巻電気導体線 ５ 分離フィルム ６ 絶縁層 ７ 熱接着層

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁性の芯糸と、前記芯糸にスパイラル状
   に巻かれた発熱抵抗体よりなる内巻電気導体線と、前記
   内巻電気導体線に被覆して設けられた温度変化に応じて
   インピーダンス値が変化する感熱樹脂層と、前記感熱樹
   脂層の外側に前記内巻電気導体線と逆方向にスパイラル
   状に巻かれた断面形状が偏平である温度検知電極を構成
   する外巻電気導体線と、前記外巻電気導体線の外側に被
   覆する絶縁層とから成る感熱発熱線において、前記内巻
   電気導体線を断面形状が偏平な複数の金属リボン線より
   構成したことを特徴とする感熱発熱線。