JPH0517898A - 磁性膜めつき装置及び該装置の使用方法 - Google Patents

磁性膜めつき装置及び該装置の使用方法

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JPH0517898A
JPH0517898A JP6305091A JP6305091A JPH0517898A JP H0517898 A JPH0517898 A JP H0517898A JP 6305091 A JP6305091 A JP 6305091A JP 6305091 A JP6305091 A JP 6305091A JP H0517898 A JPH0517898 A JP H0517898A
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JP
Japan
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plating
magnetic
magnetic field
electrode
sample
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JP6305091A
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English (en)
Inventor
Hirohiko Kamimura
裕彦 上村
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 めっき槽11の外部にめっき槽11を挟んで永久磁石1
2が配設され、パルス電源19とステップモータ16と
を制御するマルチファンクションジェネレータ18及び
パルスジェネレータ17を備える。そしてマルチファン
クションジェネレータ18及びパルスジェネレータ17
によって回転電極11の回転及び回転電極11とアノー
ド14とへの通電を制御し、回転電極11を停止させて
いる間に回転電極11及びアノード15間に通電してめ
っきを行なう。このことによって、形成された磁性膜に
最適な誘導磁気異方性を付与することができ、高周波域
での透磁率を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性膜めっき装置及び該
装置の使用方法に関し、より詳しくは薄膜磁気ヘッド等
に用いられるパーマロイ等の磁性膜のめっき装置及びそ
の装置の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄膜磁気ヘッド等のデバイスに用
いられている磁性膜は、蒸着法、スパッタ法、めっき法
等により形成されている。このような磁性膜に必要とさ
れる磁気特性は、主として高周波域での高い透磁率であ
る。このためパーマロイ等のNiFe系合金膜を形成す
る場合には、成膜中に磁場を印加することにより磁性膜
に誘導磁気異方性を付与し、誘導磁気異方性により生じ
る困難軸方向において、高周波域での透磁率を向上させ
ることが広く行なわれている。そしてこのときの磁場の
印加は、試料周辺、若しくは装置外部に配設された永久
磁石又は電磁石を用いることにより行なわれている(特
開昭61−190091号、特願平1−224113号
公報)。
【0003】誘導磁気異方性の付与は透磁率の周波数特
性の改善に必要であるが、一方で誘導磁気異方性の値は
透磁率の値と相関があり、大きすぎる誘導磁気異方性は
透磁率を減少させる。従って誘導磁気異方性の値には最
適値が存在することになる。この誘導磁気異方性の最適
値は、磁性膜を構成する材料や成膜方法もさることなが
ら、磁性膜の形状やデバイスのプロセスによっても変化
する。しかしながら上記したような誘導磁気異方性を付
与する方法では、誘導磁気異方性の大きさは材料や成膜
方法でほとんど決定されてしまい必ずしも最適値になる
とは限らない。このため上記方法を用いる場合には、誘
導磁気異方性を制御することが必要となる。その方法の
一つとして、既に誘導磁気異方性が付与された試料を回
転磁場中でアニール処理することによってその値を小さ
くし、誘導磁気異方性を制御する方法が知られている。
ところがこの方法は、CoZrNb等のアモルファス材
料を用いた場合では効果的であるが、パーマロイ等の結
晶質材料では余り効果がない。
【0004】パーマロイ等の結晶質材料の誘導磁気異方
性を制御する方法としては、「W.R.BEAM and W.T.SIEGL
E, IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS MAG-1 p.66(196
5)」に紹介されているような直交印加磁場方法が知られ
ている。これは例えば図8に示したように、試料10の
周りに2組の電磁石50a、50bをそれぞれの作る磁
場が直交するように配設し、成膜中に各磁場を交互に印
加すると共に、そのときの磁場の印加時間の比率を2組
の電磁石50a、50b間で変えることにより誘導磁気
異方性を制御する方法である。なお図中の矢印及び破線
は、2組の電磁石50a、50bがそれぞれ形成する磁
場方向を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に蒸着法やスパッ
タリング法では、試料10近傍に永久磁石又は電磁石を
配設して用いるため、上記した方法によって誘導磁気異
方性を制御することは容易である。これに対してめっき
法の場合は、多くのめっき槽が塩化ビニール、アクリ
ル、テフロン等の非磁性の樹脂材料で形成されているの
で外から磁場が印加しやすいことや、試料10近傍に電
磁石等を配設すると周辺の平坦性が損なわれて液の流れ
が不均一になりやすく、膜厚及び組成の均一なめっき磁
性膜を形成するのが困難なことから、一般にめっき槽の
外側に電磁石やヘルムホルツコイル等を配設することに
より試料10に磁場を印加する方法がとられている。
【0006】しかしながら、めっき槽の外側から電磁石
やヘルムホルツコイル等によって試料10に磁場を印加
する場合、磁極間隙が広くなるために磁場出力を大きく
しなければならず、そのために巻数の大きなコイルや大
電流が必要となる。またこれらに加えて発熱を抑えるた
めの冷却機能も必要となる。しかも一定磁場を出力させ
るだけでなく、上記した制御方法のようにその磁場を周
期的に変化させる場合には、逆起電力に打ち勝ち歪のな
い磁場出力を行なうのに大出力の電源等が必要である。
そして逆起電力に打ち勝ち歪のない磁場出力を得ること
は、磁場発生の周期が短くなればなるほど、つまり磁場
を変化させる周期が速くなればなるほど困難である。こ
のようにめっき法で電磁石等を用いて磁場を変化させ、
試料10に所要の誘導磁気異方性を有する磁場を印加す
る方法は技術的にもコスト的にも困難である。
【0007】本発明は上記した課題に鑑みなされたもの
であり、誘導磁気異方性を制御することができ、高周波
域での透磁率が向上した磁性膜を形成することができる
磁性膜めっき装置及び該装置の使用方法を提供すること
を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明に係る磁性膜めっき装置は、めっき浴中の
回転電極をカソードとし、前記回転電極に試料を配置し
てアノードとの間に通電することにより前記試料に磁性
膜の電気めっきを施す磁性膜めっき装置において、めっ
き槽の外部に該めっき槽を挟んでN極とS極とが対向す
るように永久磁石又は電磁石が配設され、前記N極と前
記S極との間で形成される磁力線の方向及び該方向に略
直交する方向で前記回転電極の回転を停止させる制御機
構を備えていることを特徴としている。
【0009】また本発明に係る磁性膜めっき装置の使用
方法は、磁力線の方向及び該方向に略直交する方向で回
転電極の回転を停止させ、その間にアノード及びカソー
ド間の通電を行なうことを特徴としている。
【0010】
【作用】一般に成膜中に磁場を印加すると、試料には一
軸性の誘導磁気異方性が付与され、磁場を印加した方向
に磁化しやすい磁化容易軸が、また磁場を印加した方向
と略直交する方向に磁化し難い磁化困難軸が形成され
る。このときの誘導磁気異方性の大きさは、磁性膜を構
成する材料、成膜方法、使用する基板及び他のプロセス
条件等でほぼ決まり、また印加する磁場の大きさも一軸
性の良好な磁気異方性を誘導するのに必要な大きさの磁
場さえあれば十分であり、その大きさによって誘導磁気
異方性の大きさはそれほど変化しない。従って誘導磁気
異方性の大きさを制御するには、ある磁場印加方向とそ
の方向と直交する方向とで磁場を印加すると共に、それ
ぞれの方向での磁場印加時間の比率を変えることが必要
となる。すなわち、ある磁場印加方向とその方向と直交
する方向とで磁場を印加すると、形成した膜には磁化容
易軸と磁化困難軸とが同じ方向で交互に積み重なる。そ
して互いに打ち消しあって誘導磁気異方性が減少する。
このときそれぞれの方向での磁場印加時間の比率を変え
ると、トータルで磁場印加時間の長い方向に磁化容易軸
が、これと略直交する方向に磁化困難軸が形成される。
このことから磁場印加時間の比率を変えれば、誘導磁気
異方性の大きさが制御されることとなる。例えば2つの
方向で同じ時間磁場を印加すれば、誘導磁気異方性はト
ータルとしてゼロになり、一方向だけ磁場を印加すれば
これは通常の場合に相当し、このときの誘導磁気異方性
が最大となる。また2つの方向での磁場印加時間をそれ
ぞれT1 、T2 とし、印加時間比率として次に示す数1
を考えると、誘導磁気異方性の大きさは数1で決まる値
にほぼ比例して制御される。
【0011】
【数1】(T1 −T2 )/(T1 +T2) 蒸着法やスパッタリング法で成膜する際の簡単な誘導磁
気異方性の制御方法としては、2組の電磁石を用い、基
板も磁石も固定した状態で各組の電磁石の電流を切り替
えて直交磁界を印加する方法がある。しかし前述したよ
うにめっき法ではめっき槽の外側から磁場を印加するた
め、磁極間隙が広く、上記方法を採用するのは困難であ
る。従ってめっき法で誘導磁気異方性の大きさを制御す
るには、一方向だけ磁場を印加してめっきする装置にお
いて磁石を回すか試料を回すかのいずれかの方法が考え
られる。ところがめっき槽が大きくなれば当然磁石も大
きくなることが予想されるため、磁石を回転させること
は困難である。そこで試料を回す方法が有効であると考
えられる。そしてめっき装置を用いる場合、試料を挿着
している電極ごと回すのが簡単である。
【0012】しかしながらこの場合においては、もう一
点考慮しなければならないことがある。それは電極を回
転させるにしても、電極の回転は定常的には行なわれな
いことである。すなわちある磁場印加方向とその方向と
直交する方向との2方向の磁場の印加を行なうために、
電極はめっき中に静止しているときと回転しているとき
があるということである。一般にめっき膜は液の流れの
影響を受けやすいため、めっき中の液の流れはできるだ
け同じ条件になるようにするのが望ましいが、電極が回
転しているとき及び回転終了直後は、めっき液の流れ
が、静止しているときに比べて異なっていると考えられ
る。従ってこの場合には、パルスめっき法を用い、電極
の回転中及び回転終了直後のめっき液の流れが乱れてい
る間はめっきを中止し、電極が静止している間にめっき
を施すようにすれば上記問題が解決される。
【0013】本発明に係る磁性膜めっき装置によれば、
めっき槽の外部に該めっき槽を挟んでN極とS極とが対
向するように永久磁石又は電磁石が配設され、前記N極
と前記S極との間で形成される磁力線の方向及び該方向
に略直交する方向で回転電極の回転を停止させる制御機
構を備えているので、該制御機構によって前記回転電極
の静止時間が制御され、これに伴って前記磁力線の方向
及び該方向に略直交する方向の2方向での磁場印加時間
が制御されることになる。上記した如く、誘導磁気異方
性の大きさは2方向の磁場印加時間の比率に比例するた
め、磁場印加時間の制御によって形成後の磁性膜には最
適な誘導磁気異方性が付与され、高周波域での透磁率が
向上することとなる。
【0014】また本発明に係る磁性膜めっき装置の使用
方法によれば、磁力線の方向及び該方向に略直交する方
向で回転電極の回転を停止させ、その間にアノード及び
カソード間の通電を行なうので、めっき液の流れが乱れ
ている間のめっきは行なわれず、めっき液の流れの影響
がなくなった時点でめっきが行なわれる。従って最適な
誘導磁気異方性が付与されると共に、膜厚及び組成の均
一なめっき磁性膜が形成される。
【0015】以下に、本発明に係る装置及び方法を具体
的に説明する。まず磁石の間で電極を回転させることに
よって試料に対してどのように直交印加磁場が実現され
るかを図2に模式的に示す。図2に示したように永久磁
石12の磁極の間には、例えば丸い回転電極11が配設
されており、回転電極11上にはA、B、C、Dの試料
10が、AとC、BとDとが回転電極11の略中心を挟
んでそれぞれ対向するように配設されている。このよう
に試料10が配設された回転電極11を90°ずつ反時
計周りに(1)〜(4)のように回転させると、例えば
Aの試料10であれば、図3にしたように始めはの方
向に磁場が印加され、次いでの方向に磁場が印加さ
れ、続いて、と順に磁場の向きが変わって印加され
ることになる。ここで磁気異方性を誘導する磁場の向き
は180°異なっていても同じことなので、結局−
方向と、それに直交する−方向で交互に磁場が印加
されることになる。回転電極11の回転方法は、90°
回転した後90°反転することを繰り返す方法でも良い
が、試料10により対称的な磁場を印加する方法として
は前述の方法が望ましい。例えば定電流でめっきすると
きのタイミングチャートを図4に示す。なお図中T1
は、図3において−方向に磁場がかけられていると
きの時間を示しており、T2 は−方向に磁場がかけ
られているときの時間を示している。また図中上のチャ
ート図は定電流電源のオン、オフを示しており、下のチ
ャート図は回転電極11が90°回転している状態と静
止している状態を示している。この場合、それぞれの静
止時間がT1 、T2 となる。めっきが比較的撹拌の影響
を受にくく、回転電極11の回転時間もT1 、T2 に比
べて十分小さい場合にはこのような直流めっきを行な
う。
【0016】一方、めっきが撹拌の影響を受けるときに
はパルスめっきを行なう。図5にパルスめっきの場合の
タイミングチャートを示す。図5に示したようにこの場
合には、一定時間めっきを行なうと回転電極11を90
°回転させ、その後めっき液の流れが定常状態になるの
を待って一定時間めっきをし、また90°回転させる。
その後めっき液の流れが定常状態になるのを待って一定
時間めっきをし、また回転電極11を90°回転させ
る。これを繰り返してめっきを行なう。このときは−
方向、−方向のそれぞれにおける通電時間が
1、T2 となる。そして例えばめっき膜中の1原子層
の間隔が数Åであるとすると、トータルで数μm成膜す
る場合にはおよそ10000原子層あることになり、T
1 、T2 で数十原子層ずつ成膜するとすれば、成膜終了
までに数百サイクル繰り返すように時間設定すれば良い
ことになる。
【0017】このようにしてめっきを行なうと、−
方向に磁場を印加するときには−方向は磁化容易
軸、−方向は磁化困難軸になり、反対に−方向
に磁場を印加するときには−方向は磁化困難軸、
−方向は磁化容易軸になってそれぞれの方向で磁化困
難軸と磁化容易軸とを持った膜が交互に積層形成され
る。そしてこのときT1 とT2 との間に差があれば誘導
磁気異方性が残ることになる。例えばT1 >T2 ならば
−方向は磁化容易軸、−方向は磁化困難軸にな
り、T1 <T2 ならば−方向は磁化困難軸、−
方向は磁化容易軸になる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係る磁性膜めっき装置及び該
装置の使用方法の実施例を図面に基づいて説明する。図
1は本発明に係る磁性膜めっき装置を概略的に示した構
成図であり、図中13は有底円筒形状を有するめっき槽
を示している。めっき槽13は例えばメタクリル樹脂で
形成されており、めっき槽13内にはめっき液が満たさ
れる内槽14が配設されている。この内槽14の上側に
は、図2に示したような略円盤形状を有する回転電極1
1がカソードとして配設されており、回転電極11の表
面には試料10が載置されるようになっている。回転電
極11の略中心箇所には回転軸11aが取り付けられて
おり、回転電極11には回転軸11aを介してパルス電
源19が接続されている。この回転軸11aにはステッ
プモータ16が接続されており、回転電極11はステッ
プモータ16の駆動によって回動するようになってい
る。またステップモータ16はパルスジェネレータ17
に接続されており、ステップモータ16の駆動、すなわ
ち回転電極11の回転はパルスジェネレータ17により
制御されるようになっている。さらにパルスジェネレー
タ17はマルチファンクションジェネレータ18に接続
されており、上記したパルス電源19もまたこのマルチ
ファンクションジェネレータ18に接続されている。そ
してマルチファンクションジェネレータ18により、パ
ルスジェネレータ17とパルス電源19とが並列同期動
作するようになっている。
【0019】一方、内槽14の下側の回転電極11と対
向する箇所には、アノード15が回転電極11と平行に
配設されている。アノード15は回転電極11と同様に
略円盤形状を有しており、パルス電源19に接続されて
いる。アノード15の材質は白金のようなめっき液に不
溶性のものも用いられるが、通常はめっきされる単体金
属又は合金と同じものが最も望ましい。また合金めっき
の場合、同じ組成の合金板が手に入らなければ、合金元
素の一つと同じ元素の単体金属を用いることもできる。
また内槽14の底部には開口部14aが形成されてお
り、調整槽20で所定の温度、PH、濃度条件に管理さ
れためっき液はポンプ21によって開口部14aより内
槽14内に供給され、内槽14よりめっき槽13にあふ
れためっき液は、回収されて再び調整槽20に送られる
ようになっている。
【0020】そしてこのような外側のめっき槽13を挟
んで互いに対向する箇所には、回転電極11表面で均一
な磁場が発生するように永久磁石12が配設されてい
る。永久磁石12は2つのフェライト磁石を軟鉄ヨーク
23でつなぐことによって形成されており、本実施例に
おいては、回転電極11表面での磁場の強さは500O
e(エルステッド)であった。
【0021】なおこのような磁性膜めっき装置の構成材
料は、永久磁石12をめっき槽13の外側に配設する点
から考えてもメタクリル樹脂等のような非導電性、非磁
性で酸性めっき液と反応しない材料が望ましい。従って
塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、テフロン樹脂等も
用いることができる。
【0022】次に上記した磁性膜めっき装置を用いてパ
ーマロイ合金の磁性膜を形成した場合について説明す
る。回転電極11に載置された試料10としては、あら
かじめスパッタリング法により下地用のパーマロイ合金
膜を形成したものを用い、またアノード15として2m
m厚のNi金属板を用いた。さらにめっき液には、金属
イオンとして60g/lのNiCl2・6H2 Oと1.5
g/lのFeSO2・7H2 Oとを添加し、またPH緩衝
剤としてほう酸を添加してめっき液を3.00〜3.0
2PHに調整した。さらに磁性膜中の応力を緩和するた
めに、めっき液中には応力緩和剤としてサッカリンナト
リウムを添加し、その他に電解支持薬として塩化ナトリ
ウムを、また表面の濡れ特性向上のために界面活性剤で
あるラウリル硫酸ナトリウムをそれぞれ添加した。めっ
き液の温度は、ペルティエ素子を用いた電子恒温装置を
用いて23±0.1℃以内に調整した。
【0023】そしてこのようなめっき液をめっき槽13
へ毎分5リットルの流量で供給し、マルチファンクショ
ンジェネレータ18及びパルスジェネレータ17によっ
てパルス電源19とステップモータ16とを制御し、図
5に示したタイミングで回転電極11を回転させると共
に回転電極11及びアノード15との間に通電してめっ
きを行なった。すなわち、一定時間めっきを行なった後
回転電極11を90°回転させ、その後めっき液の流れ
が定常状態になるのを待って一定時間めっきをし、また
回転電極11を90°回転させる動作を繰り返して一定
時間めっきを行なった。なお図中T1 は図3における
−方向の通電時間、T2 は−方向における通電時
間を示しており、本実施例ではパルス通電時間をT1
2 =5sとなるように設定し、また回転電極11の回
転終了後の待機時間を10sとした。なお、パルス電流
密度は4mA/cm2 とした。
【0024】形成されたパーマロイ磁性膜のヒステリシ
スを図3の−方向で測定したときの結果を図6に示
す。なお図6(a)はT1 >T2 の場合、図6(b)は
1<T2 の場合をそれぞれ示している。図6(a)、
(b)から明らかなようにT1 >T2 のときは、試料1
0の−方向には磁化困難軸が形成され、T1 <T2
のときは磁化容易軸が形成されて良好な一軸磁気異方性
の磁性膜が得られた。ところで誘導磁気異方性の大きさ
を表わす物性値として、飽和磁束密度で規格化され磁場
の単位で表わされた異方性磁界Hkがある。この異方性
磁界Hkは図6に示したように、磁化困難軸方向のヒス
テリシスループが飽和する磁界にほぼ等しい。そして上
記したパルスめっきにおいて、T1 、T2 の比率を変化
させてめっきを行なったところ、図7に示したように異
方性磁界Hkの値を0〜3Oe(エルステッド)の間で
変化させることができた。
【0025】以上説明したように、上記実施例に係る磁
性膜めっき装置によれば、めっき槽11の外部にめっき
槽11を挟んで永久磁石12が配設され、パルス電源1
9とステップモータ16とを制御するマルチファンクシ
ョンジェネレータ18及びパルスジェネレータ17を備
えているので、マルチファンクションジェネレータ18
及びパルスジェネレータ17により磁力線の方向及び該
方向に略直交する方向での各通電時間を制御することが
でき、磁性膜の誘導磁気異方性を制御することができ
る。従って、最適な誘導磁気異方性が付与されて高周波
域での透磁率が向上した磁性膜を形成することができ
る。また上記実施例に係る方法によれば、めっき液の流
れが乱れている間のめっきは行なわれず、めっき液の流
れの影響がなくなった時点でめっきが行なわれるので、
膜厚及び組成の均一なめっき磁性膜を形成することがで
きる。
【0026】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明に係る磁性膜めっき装置にあっては、めっき槽の外部
に該めっき槽を挟んでN極とS極とが対向するように永
久磁石又は電磁石が配設され、前記N極と前記S極との
間で形成される磁力線の方向及び該方向に略直交する方
向で回転電極の回転を停止させる制御機構を備えている
ので、磁性膜の誘導磁気異方性を制御することができ、
最適な誘導磁気異方性を有し、高周波域での透磁率が向
上した磁性膜を形成することができる。
【0027】また本発明に係る磁性膜めっき装置の使用
方法にあっては、磁力線の方向及び該方向に略直交する
方向で回転電極の回転を停止させ、その間にアノード及
びカソード間の通電を行なうので、最適な誘導磁気異方
性が付与され、かつ膜厚及び組成の均一なめっき磁性膜
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁性膜めっき装置を概略的に示し
た構成図である。
【図2】(1)〜(4)は回転電極及び試料の回転と永
久磁石との関係を模式的に示した平面図である。
【図3】試料にかかる磁場の向きを模式的に示した平面
図である。
【図4】本発明に係る磁性膜めっき装置を使用する方法
における定電流めっきのときの電流と回転電極の回転と
のタイミングチャートである。
【図5】本発明に係る磁性膜めっき装置の使用方法にお
けるパルスめっきのときの電流と回転電極の回転とのタ
イミングチャートである。
【図6】(a)はT1 >T2 のときに得られた磁性膜の
ヒステリシス曲線、(b)はT1 <T2 のときに得られ
た磁性膜のヒステリシス曲線である。
【図7】T1 、T2 の比率と磁性膜の異方性磁界との関
係を示したグラフである。
【図8】従来の磁性膜めっき装置の要部を模式的に示し
た平面図である。
【符号の説明】
10 試料 11 回転電極(カソード) 12 永久磁石 13 めっき槽 15 アノード 17 パルスジェネレータ(制御機構) 18 マルチファンクションジェレネータ(制御機
構)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 めっき浴中の回転電極をカソードとし、
    前記回転電極に試料を配置してアノードとの間に通電す
    ることにより前記試料に磁性膜の電気めっきを施す磁性
    膜めっき装置において、めっき槽の外部に該めっき槽を
    挟んでN極とS極とが対向するように永久磁石又は電磁
    石が配設され、前記N極と前記S極との間で形成される
    磁力線の方向及び該方向に略直交する方向で前記回転電
    極の回転を停止させる制御機構を備えていることを特徴
    とする磁性膜めっき装置。
  2. 【請求項2】磁力線の方向及び該方向に略直交する方向
    で回転電極の回転を停止させ、その間にアノード及びカ
    ソード間の通電を行なうことを特徴とする請求項1記載
    の磁性膜めっき装置の使用方法。
JP6305091A 1991-03-27 1991-03-27 磁性膜めつき装置及び該装置の使用方法 Pending JPH0517898A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8877030B2 (en) 2008-07-10 2014-11-04 Ebara Corporation Plating apparatus and plating method for forming magnetic film

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