JPH05177725A - プラスチック成形品の製造方法 - Google Patents

プラスチック成形品の製造方法

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JPH05177725A
JPH05177725A JP34567191A JP34567191A JPH05177725A JP H05177725 A JPH05177725 A JP H05177725A JP 34567191 A JP34567191 A JP 34567191A JP 34567191 A JP34567191 A JP 34567191A JP H05177725 A JPH05177725 A JP H05177725A
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plastic molded
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    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D11/00Producing optical elements, e.g. lenses or prisms
    • B29D11/00009Production of simple or compound lenses
    • B29D11/00413Production of simple or compound lenses made by moulding between two mould parts which are not in direct contact with one another, e.g. comprising a seal between or on the edges

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  • Health & Medical Sciences (AREA)
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  • Ophthalmology & Optometry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、プラスチック成形品の製造方法に関
し、短時間で樹脂を塑性変形加工することができ、鏡面
が転写された高精度なプラスチック成形品の製造方法を
提供することを目的としている。 【構成】予め略最終形状に前加工した熱可塑性プラスチ
ック母材9の温度をその荷重たわみ温度以上で、かつそ
のガラス転移点未満にして、少なくとも1つの鏡面を有
する光学部品圧縮成形用金型1により圧縮力を加えて塑
性変形加工して鏡面を転写するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザビームプリン
タ、ファクシミリ等の光学走査系、ビデオカメラ等に適
用されるプラスチック成形品の製造方法に関し、詳しく
は、プラスチックレンズ、ミラー、プリズム等のプラス
チック成形品を短い時間で高精度に製造するのに好適な
プラスチック成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のプラスチック成形品にあ
っては、すべて樹脂をそのガラス転移点以上または軟化
温度以上から冷却してレンズ等の高精度なものを得てい
る。この際、少なくともガラス転移点以上から荷重たわ
み温度以下までの数十度の温度差を冷却するためゆっく
り徐冷しないと、ひけ等がなく、残留応力が少なく、ま
た、レンズの場合には複屈折の小さな成形品を得るのは
困難である。
【0003】そして、このひけ等をなくすためには、熱
伝導性の悪い樹脂が充填された金型キャビティ内の温度
をできるだけ均一にしながら冷却する必要がある。な
お、ここで言う荷重たわみ温度はASTMD648での
試験法により荷重18.6kgf/cm2での値である。このよう
に従来の方法により高精度のプラスチック成形品を得る
には、ガラス転移点を挟んで固液混在相となり、温度分
布や圧力分布が生じてしまうため、できるだけゆっくり
徐冷する必要がある。
【0004】従来のプラスチック成形品の製造方法とし
ては、図19のように示されるものがある。図19はその製
造方法を示すグラフである。図中aは射出成形により成
形した温度変化を示す線で、金型温度を樹脂のガラス転
移点以上に保ったところに高温の溶融した樹脂を射出充
填し、即座にゲートシールしてキャビティ内に内圧を発
生させ、キャビティ内の温度が金型温度と同等かつ均一
になるまで保持した後、このキャビティ内の温度を均一
に保ちつつゆっくりと徐冷するものである(図中の線a
1はその圧力変化を示す)。
【0005】図中bはプラスチック母材をその荷重たわ
み温度以下に保持された金型に入れ、型締め後に加熱し
てガラス転移点以上にして、キャビティ内に樹脂の溶融
膨張による内圧を生じさせ、一定時間保持後、徐冷して
鏡面転写性に優れたプラスチック成形品を得る例の温度
変化を示す線である(図中の線b1はその圧力変化を示
す)。
【0006】このように高精度の射出成形品を得るに
は、何れの方法でも温度制御による徐冷という方法を用
いなければならないが、この徐冷には数10分を要し、生
産性が非常に悪いという問題がある。また、その他の製
造方法としては、例えば、キャビティユニット金型を用
い、射出成形により効率よくレンズ等の高精度なプラス
チック成形品を得る方法(特開昭64−36421号公
報)、金型温度を樹脂のガラス転移点以上にて射出成形
し、レンズを歪なく冷却する方法(特開平1−2009
25号公報)、溶融樹脂の射出後、圧縮を加える成形に
て、ガラス転移点域で一旦均一化させた後、熱変形温度
域まで徐冷する方法(特開昭61−13927号公
報)、被加工部材を振動により加熱溶融させ、押圧形
成、抜き工程後、保圧冷却する方法(特開昭64−67
309号公報、特開平1−174425号公報、特開平
1−272422号公報、特開平1−316252号公
報)、樹脂を溶融温度まで加熱し、ガラス転移点付近か
ら加圧しながら徐冷する方法(特公平3−33494号
公報)等々、高精度プラスチック成形品を効率よく成形
するための技術は多数提案されているが、これらにおい
ても徐冷に数十分を要し、生産性が非常に悪いという問
題が発生してしまった。
【0007】このような問題を解消するために、射出成
形工程とエージング工程に分けることにより、高精度プ
ラスチック成形品を短いサイクルで得る方法が提案され
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに射出成形工程とエージング工程に分けてプラスチッ
ク成形品を製造する方法にあっては、射出成形工程は1
サイクル1〜2分と短時間で行えるが、エージング工程
に多大な時間を要してしまい、結果的に生産性が悪化し
てしまうという問題があった。
【0009】すなわち、エージング工程は樹脂のガラス
転移点以上への再加熱工程およびその後の徐冷工程から
なるが、通常は徐冷工程は成形品の内部歪等から余り時
間を短縮することができず、また再加熱工程の再加熱時
間をいかに短くするかについては、従来より知られてい
る1つの金型内に熱媒体を通したり、埋め込みヒーター
による加熱等による方法では、金型そのものを加熱して
その熱を成形品に伝えるため、成形品そのものが目的の
温度に達するには少なくとも数分、普通数10分前後の時
間を要するもので、再加熱工程の短縮化は図れなかっ
た。このため、エージング工程全体としての所要時間が
増大してしまった。
【0010】そこで本発明は、樹脂の変形がその荷重た
わみ温度以上で生じ、また、そのガラス転移点未満であ
れば樹脂は固体であるため、ガラス転移点を通過させる
ことによる固相−液相のアンバランス化を考えなくとも
よいことに着目し、応答性の良い圧力制御により、短時
間で樹脂を塑性変形加工することにより、鏡面が転写さ
れた高精度なプラスチック成形品の製造方法を提供する
ことを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、予め略最終形状に前加工し
た熱可塑性プラスチック母材の温度をその荷重たわみ温
度以上で、かつそのガラス転移点未満にして、少なくと
も1つの鏡面を有する光学部品圧縮成形用金型により圧
縮力を加えて塑性変形加工し、鏡面を転写することを特
徴としている。
【0012】請求項2記載の発明は、上記課題を解決す
るために、前記圧縮力を断続的に加えることを特徴とし
ている。請求項3記載の発明は、上記課題を解決するた
めに、前記圧縮力を断続的に、かつ減衰させながら加え
ることを特徴としている。請求項4記載の発明は、上記
課題を解決するために、ガラス転移点近傍で前記熱可塑
性プラスチック母材に圧縮力を加えて塑性変形加工を行
い、次いで、荷重たわみ温度近傍にプラスチック母材を
冷却した後、成形品を光学部品圧縮成形用金型から取り
出すようにしたことを特徴としている。
【0013】請求項5記載の発明は、上記課題を解決す
るために、荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移
点未満の一定の温度下で前記熱可塑性プラスチック母材
に圧縮力を加えて塑性変形加工を行い、該作業が終了し
た後、成形品を光学部品圧縮成形用金型から取り出すよ
うにしたことを特徴としている。請求項6記載の発明
は、上記課題を解決するために、前記熱可塑性プラスチ
ック母材を略最終形状に前加工するために射出成形法を
用いることを特徴としている。
【0014】請求項7記載の発明は、上記課題を解決す
るために、射出成形法によって前記熱可塑性プラスチッ
ク母材を略最終形状に前加工する際、射出成形用金型の
温度をその荷重たわみ温度近傍に設定し、溶融樹脂を遅
い速度で射出成形用金型のキャビティ内に射出すること
を特徴としている。請求項8記載の発明は、上記課題を
解決するために、少なくとも1つの鏡面を有し、圧縮機
構を備えた射出成形用金型を準備し、該射出成形用金型
に溶融樹脂を射出することにより熱可塑性プラスチック
母材を略最終形状に前加工した後、該金型内のプラスチ
ック母材の温度がその荷重たわみ温度以上で、かつその
ガラス転移点未満になったときに圧縮機構により圧縮力
を断続的あるいは断続的かつ減衰させながら加えて塑性
変形加工し、鏡面を転写することを特徴としている。
【0015】請求項9記載の発明は、上記課題を解決す
るために、予め前記光学部品圧縮成形用金型のキャビテ
ィの容積を略最終形状に前加工した熱可塑性プラスチッ
ク母材よりも大きく設定し、該キャビティ内に熱可塑性
プラスチック母材を挿入して該圧縮成形用金型により圧
縮力を加えて塑性変形加工し、加工後に該圧縮成形用金
型をその鏡面部分の型開き方向に対して直角方向にも型
開きするようにしたことを特徴としている。
【0016】請求項10記載の発明は、上記課題を解決す
るために、予め略最終形状に前加工した熱可塑性プラス
チック母材の温度をその荷重たわみ温度以上で、かつそ
のガラス転移点未満にして、少なくとも1つの鏡面を有
する光学部品圧縮成形用金型により型開き方向および該
方向と所定角度をなす方向から交互に圧縮力を加えて圧
縮変形および延伸変形を交互に与えて塑性変形加工し、
鏡面を転写することを特徴としている。
【0017】請求項11記載の発明は、上記課題を解決す
るために、前記圧縮力あるいは圧縮位置を制御すること
により圧縮量を交互に減衰させることにより、圧縮変形
および延伸変形を交互に与えて塑性変形加工し、鏡面を
転写することを特徴としている。請求項12記載の発明
は、上記課題を解決するために、前記所定角度を型開き
方向と直交する角度としたとき、光学部品圧縮成形用金
型の可逆弾性変形を利用して該直交方向に熱可塑性プラ
スチック母材を圧縮変形および延伸変形させるようにし
たことを特徴としている。
【0018】請求項13記載の発明は、上記課題を解決す
るために、前記所定角度を型開き方向と直交する角度と
したとき、光学部品圧縮成形用金型の該方向に対応する
部分の全部あるいは一部を入駒構造にするとともに、該
入駒の背面にばねを配置し、このばねを利用して該直交
方向に熱可塑性プラスチック母材を圧縮変形および延伸
変形させるようにしたことを特徴としている。
【0019】請求項14記載の発明は、上記課題を解決す
るために、前記所定角度を型開き方向と直交する角度と
したとき、光学部品圧縮成形用金型の該方向に対応する
部分の全部あるいは一部を入駒構造にするとともに、該
入駒の背面に可逆弾性部材を配置し、この可逆弾性部材
を利用して該直交方向に熱可塑性プラスチック母材を圧
縮変形および延伸変形させるようにしたことを特徴とし
ている。
【0020】
【作用】請求項1記載の発明では、予め略最終形状に前
加工された熱可塑性プラスチック母材の温度をその荷重
たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満にされ、
少なくとも1つの鏡面を有する光学部品圧縮成形用金型
により圧縮力が加えられて塑性変形加工され、鏡面が転
写される。
【0021】したがって、キャビティ内のプラスチック
母材が固相の状態であるので、該母材に圧縮力を加える
ときと成形品の取出し時の金型温度が略同一になり、成
形サイクルが数分になる。このため、数10分の成形サイ
クルを要していた従来の方法に比べて数分程度で樹脂の
塑性変形加工が行われて成形時間が大幅に短縮され、鏡
面が転写された高精度なプラスチック成形品が得られ
る。
【0022】このように熱可塑性プラスチック母材の温
度をその荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点
未満に設定したのは、樹脂の変形はその荷重たわみ温度
以上で生じ、また、そのガラス転移点未満であれば、樹
脂が固体であるため、ガラス転移点を通過させることに
よる固相−液相のアンバランス化を考えなくても良いか
らである。
【0023】すなわち、樹脂温度がそのガラス転移点以
上となると樹脂が軟化し始めるため、塑性変形加工が容
易になるが、成形品を金型から取り出す際に変形してし
まうという不具合が発生してしまう。また、荷重たわみ
温度未満では、金型の取り出しの際に変形が発生するこ
とがないが、目的とする鏡面を転写するための塑性変形
加工ができないばかりか、鏡面部を含めた金型そのもの
に損傷を与えるという不具合が発生してしまう。
【0024】したがって、樹脂温度をその荷重たわみ温
度以上で、かつガラス転移点未満にする必要がある。但
し、この温度域においても樹脂には塑性変形に対する抵
抗力が少し残っているため、塑性変形するには一定以上
の変形力が必要である。また、単に変形しただけでは残
留応力がかなり残り、例えそのときに鏡面転写性に優れ
たものが得られたとしても、経時変形や温度サイクルに
より変形してしまうという現象が生じる。このため、変
形を生じても残留応力が問題にならない程度にする必要
がある。
【0025】請求項2記載の発明では、圧縮力を断続的
に加えている。したがって、鏡面転写性に優れたプラス
チック成形品が得られる。請求項3記載の発明では、圧
縮力を断続的に、かつ減衰させながら加えている。した
がって、初期の段階でプラスチック母材に大きな圧縮力
を加えられて樹脂に大きな塑性変形が生じた後圧縮力が
減衰するので、鏡面転写性がさらに良好になる。
【0026】請求項4記載の発明では、熱可塑性プラス
チック母材に圧縮力を加えて塑性変形加工を行う作業が
ガラス転移点近傍で行なわれ、次いで、荷重たわみ温度
近傍にプラスチック母材が冷却された後、成形品が光学
部品圧縮成形用金型から取り出される。したがって、残
留応力が少なく、また、レンズ等に適用すれば複屈折の
小さいプラスチック成形品が得られる。
【0027】請求項5記載の発明では、熱可塑性プラス
チック母材に圧縮力を加えて塑性変形加工を行う作業が
荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満の一
定の温度下で行なわれ、該作業が終了した後、成形品が
光学部品圧縮成形用金型から取り出される。したがっ
て、温度変化を考慮せずに塑性変形加工が行われ、短時
間で高精度なプラスチック成形品が得られる。
【0028】請求項6記載の発明では、射出成形法によ
り熱可塑性プラスチック母材が略最終形状に前加工され
る。したがって、プラスチック母材の寸法および重量が
安定するとともに、そのコストが低減する。請求項7記
載の発明では、射出成形法によって熱可塑性プラスチッ
ク母材が略最終形状に前加工される際、射出成形用金型
の温度がその荷重たわみ温度近傍に設定され、この状態
で溶融樹脂が遅い速度でキャビティ内に射出される。し
たがって、射出成形時にひけ、ジェッティングおよび残
留応力の発生が最低限に抑えられつつ、略最終形状のプ
ラスチック母材が形成され、残留応力が少なく、また、
レンズ等に適用すれば複屈折の小さいプラスチック成形
品が得られる。
【0029】請求項8記載の発明では、少なくとも1つ
の鏡面を有する射出成形用金型に溶融樹脂が射出される
ことにより熱可塑性プラスチック母材が略最終形状に前
加工された後、該金型内のプラスチック母材の温度がそ
の荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満に
なったときに圧縮機構により圧縮力が加えられて塑性変
形加工されて鏡面が転写される。したがって、射出成形
からプラスチック成形品の取出しまで連続して同一の金
型で行われ、複数の金型を使用する必要がなく金型にプ
ラスチック母材の搬入、搬出する作業が不要になる。こ
の結果、プラスチック成形品の成形作業の作業工程が少
なくなり、その作業性が向上する。
【0030】請求項9記載の発明では、予め前記光学部
品圧縮成形用金型のキャビティの容積が略最終形状に前
加工された熱可塑性プラスチック母材よりも大きく設定
され、塑性変形加工後に該圧縮成形用金型がその鏡面部
分の型開き方向に対して直角方向にも型開きされる。し
たがって、プラスチック母材がキャビティ内に容易に搬
入されるとともに、塑性変形加工後にキャビティ内から
容易に取り出され、プラスチック成形品の成形作業の作
業性が向上する。
【0031】請求項10記載の発明では、光学部品圧縮成
形用金型により型開き方向および該方向と所定角度をな
す方向から交互に圧縮力が加えられて圧縮変形および延
伸変形を交互に与えて塑性変形加工される。したがっ
て、分子配向や残留応力の発生が抑制され、鏡面転写性
に優れたプラスチック成形品が得られる。請求項11記載
の発明では、圧縮力あるいは圧縮位置が制御されること
により圧縮量が交互に減衰され、プラスチック母材に圧
縮変形および延伸変形が交互に与えられて塑性変形加工
されて鏡面が転写される。したがって、プラスチック母
材のヒステリシスが減少され、分子配向や残留応力の発
生がさらに抑制され、鏡面転写性がより一層優れたプラ
スチック成形品が得られる。
【0032】請求項12〜14記載の発明では、型開き方向
に圧縮力が加えられたときに該方向と直角方向に圧縮変
形および延伸変形が生じ、鏡面転写性に優れたプラスチ
ック形成品が得られるとともに、金型の構造が簡単にな
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
図1〜7は本発明に係るプラスチック成形品の製造方法
の第1実施例を示す図であり、本実施例では樹脂にポリ
カーボネイトを用いた例を示している。まず、構成を説
明する。図1は本実施例を達成するための光学部品圧縮
成形用金型を示す図である。図1において、1は金型で
あり、該金型1は可動側型板2、固定側型板3、可動側
入駒4、固定側入駒5、高圧プレス機のパンチ6、7か
ら構成されており、可動側入駒4および固定側入駒5の
互いに対向する面には鏡面が形成され、該鏡面によって
キャビティ8が画成されている。また、パンチ6、7は
可動側入駒4および固定側入駒5を押圧して該可動側入
駒4および固定側入駒5を互いに近接させることによ
り、プラスチック母材9に圧縮力を加えるものである。
【0034】このような金型1を用いることによりプラ
スチック成形品を製造する方法について説明する。ま
ず、金型1のキャビティ形状8と略同容積のキャビティ
を有する図示しない射出成形用金型にポリカーボネイト
からなる溶融樹脂を射出して熱可塑性プラスチック母材
を略最終形状に前加工する。このとき、射出成形金型を
樹脂の荷重たわみ温度近傍に設定し、キャビティに遅い
速度で溶融樹脂を射出し、冷却、固化後に型を開いて取
り出しゲートをカットする。このため、射出成形時にひ
け、ジェッティングおよび残留応力の発生を最低限に抑
えつつ、略最終形状のプラスチック母材を形成すること
ができた。
【0035】次いで、この略最終形状に前加工されたプ
ラスチック母材を最終加工するため、予め温度を荷重た
わみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満である136
℃に設定された金型1を型開きしてキャビティ8内に該
母材9を搬入する。このとき、プラスチック母材9を金
型1の温度と早く一致するようにするため、金型1の温
度を荷重たわみ温度と略一致するように加熱しておくの
が好ましい。
【0036】次いで、母材9が金型1の温度と略一致し
たときにパンチ6、7を作動して可動および固定側入駒
4、5を互いに近接させ、図2にAで示すように136℃
一定温度でA1に示すようにプラスチック母材9に約10
0kgf/cm2の圧縮力を約3秒以上加えて保持して該加圧力
を解除した後、金型1を型開きしてキャビティ8から成
形品を取り出す。この結果、鏡面精度に優れたプラスチ
ック成形品を得ることができた。
【0037】なお、このようにプラスチック母材9に約
100kgf/cm2の圧縮力を加えたのは、図3に示すようにポ
リカーボネイトの場合に母材9に大きな歪みを発生させ
るには少なくとも30kgf/cm2以上の加圧力が必要である
からであり、特に約130℃〜140℃の荷重たわみ温度では
変形し易いからである。このように本実施例では、予め
略最終形状に前加工した熱可塑性プラスチック母材9の
温度をその荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移
点未満にして、少なくとも1つの鏡面を有する光学部品
圧縮成形用金型1により圧縮力を加えて塑性変形加工し
て鏡面を転写するようにしているため、キャビティ8内
のプラスチック母材9が固相の状態で鏡面を転写させる
ことができ、該母材9に圧縮力を加えるときと成形品の
取出し時の金型1の温度を略同一にして、成形サイクル
を短く(約数分)することができる。このため、数10分
の成形サイクルを要していた従来の方法に比べて数分程
度で樹脂の塑性変形加工を行なうことができ成形時間を
大幅に短縮して、鏡面が転写された高精度なプラスチッ
ク成形品を得ることができる。
【0038】また、射出成形法により熱可塑性プラスチ
ック母材9を略最終形状に前加工しているため、プラス
チック母材9の寸法および重量を安定させることができ
るとともに、そのコストを低減することができる。ま
た、射出成形法によって熱可塑性プラスチック母材9を
略最終形状に前加工する際、射出成形用金型の温度をそ
の荷重たわみ温度近傍に設定し、この状態で溶融樹脂を
遅い速度でキャビティ内に射出しているため、射出成形
時にひけ、ジェッティングおよび残留応力の発生を最低
限に抑えつつ、略最終形状のプラスチック母材9を形成
することができ、残留応力が少なく、また、レンズ等に
適用すれば複屈折の小さいプラスチック成形品を得るこ
とができる。
【0039】なお、本実施例では、一定温度でプラスチ
ック母材9に圧縮力を加えているが、これに限らず、熱
可塑性プラスチック母材9に圧縮力を加えて塑性変形加
工を行う作業を図2にB、B1で示すようにガラス転移
点近傍でかつ、一定の圧縮力で行い、次いで、荷重たわ
み温度近傍にプラスチック母材9を冷却した後、成形品
を金型1から取り出すようにしても良い。このようにす
ればより残留応力が少なく、また、レンズ等に適用すれ
ばより複屈折の小さいプラスチック成形品を得ることが
できる。
【0040】また、本実施例では、図4に示すようにプ
ラスチック母材9a、9bに圧縮力を一定方向から加え
ているが、これに限らず、図5に示すように上下および
左右の2方向から圧縮力を加えるようにしても良い。こ
の場合には、入駒4、5と別に左右方向に入駒を2つ設
け、プラスチック母材10の形状は直方体およびそれに類
似する構造が望ましい。また、図6に示すように上下、
左右および前後の3方向から圧縮力を加えるようにして
も良い。この場合には、入駒4、5と別に左右および前
後方向に入駒を4つ設けプラスチック母材11の形状は立
方体およびそれに類似する構造が望ましい。
【0041】また、本実施例では、射出成形金型により
プラスチック母材9を前加工し、加工後に金型1にプラ
スチック母材9を移送して該金型1により圧縮力を加え
るようにしているが、これに限らず、射出成形作業とプ
ラスチック母材の塑性変形加工を同一の金型で行うよう
にしてもよい。すなわち、少なくとも1つの鏡面を有
し、圧縮機構を備えた射出成形用金型を準備する。この
金型は図1に示す金型にキャビティに連通するスプルー
等を設けたものから構成し、射出成形作業時に該スプル
ーを通してキャビティ8内に溶融樹脂を射出成形すれば
良い。そして、図7に示すように該射出成形用金型に溶
融樹脂を射出することにより熱可塑性プラスチック母材
を略最終形状に前加工した後、該金型内のプラスチック
母材の温度がその荷重たわみ温度以上で、かつそのガラ
ス転移点未満になったときに圧縮機構により圧縮力を加
えてプラスチック母材を塑性変形加工して鏡面を転写す
るようにするのである。
【0042】このようにすれば、射出成形からプラスチ
ック成形品の取出しまで連続して同一の金型で行なうこ
とができ、複数の金型を使用する必要がなく金型にプラ
スチック母材の搬入、搬出する作業を不要にすることが
できる。この結果、プラスチック成形品の成形作業の作
業工程を少なくすることができ、作業性を向上させるこ
とができる。なお、本実施例では、ポリカーボネイトを
使用しているが、これに限らず、熱可塑性樹脂であれば
特に限定されないが、ポリスチレン、アモルファスポリ
オレフィン等の非晶質樹脂が好ましい。
【0043】図8は本発明に係るプラスチック成形品の
製造方法の第2実施例を示す図である。なお、本実施例
では、図1に示す金型を用いて行うため、説明の便宜上
図1に示す金型を用いて説明する。本実施例では、射出
成形法によって略最終形状のプラスチック母材9を形成
した後、該母材9をキャビティ8に搬入し、金型1の温
度が荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満
になったときに、図8に示すように上下のパンチ6、7
を作動して断続的に圧縮力を発生させる。
【0044】このため、本実施例では、プラスチック母
材9を容易に塑性変形させることができ、鏡面転写性に
優れたプラスチック成形品を得ることができる。なお、
本実施例では、このように断続的に圧縮力を発生させる
ものに限らず、図9に示すように圧縮力を断続的に、か
つ減衰させながら加えるようにしても良い。このように
すれば、初期の段階でプラスチック母材9に大きな圧縮
力を加えて樹脂に大きな塑性変形を生じせた後、圧縮力
を減衰させることができるため、さらに残留応力を低減
することができ、鏡面転写性をさらに良好にすることが
できる。
【0045】図10〜12は本発明に係るプラスチック成形
品の製造方法の第3実施例を示す図であり、本実施例で
は、プラスチック母材に2方向から圧縮力を交互に加え
る例を示している。図10において、21、22は鏡面が形成
されそれぞれ図示しないプレスのパンチが取り付けられ
た金型、23、24はそれぞれ図示しないパンチが固定さ
れ、該パンチにより金型21、22の型開き方向に対して直
角方向に移動可能な金型であり、該金型21〜24は互いに
対向してキャビティ25を画成し、該キャビティ25内には
射出形成法により略最終形状に前加工されたプラスチッ
ク母材26が搬入されている。また、予め金型23、24のX
方向長さはプラスチック母材26の形状よりも大きく設定
されており、キャビティ25の容積はプラスチック母材26
の形状よりも大きく設定されている。なお、図示してい
ないが、プラスチック母材26のZ方向両端側にはプラス
チック母材26のZ方向長さよりも大きめの長さで、プラ
スチック母材26がその荷重たわみ温度以上で、かつガラ
ス転移点未満に加熱されたとき、隙間がなくなるように
して一対の金型が対向配置されている。
【0046】このような金型21〜24によってプラスチッ
ク母材26に鏡面を転写するには、まず、金型21〜24を荷
重たわみ温度以上で、かつそのガラス転移点未満に保持
してキャビティ25内にプラスチック母材26を搬入する。
そして、プラスチック母材26を荷重たわみ温度以上で、
かつガラス転移点未満に加熱する。次いで、金型21、22
によりY方向から目的とする最終形状寸法にプラスチッ
ク母材26を圧縮する。このとき、金型23、24のX方向長
さはプラスチック母材26の形状より大きく設定されてい
るため、プラスチック母材26はX方向に延伸する。
【0047】次いでY方向に圧縮するのを停止し、金型
21、22をプラスチック母材26の目的とする最終形状(す
なわち、成形品としての形状)よりも大きい位置に戻
す。次いで、金型23、24によりX方向からプラスチック
母材26を圧縮する。このとき、プラスチック母材26はY
方向(図11に示す)に延伸する。本実施例では、このよ
うにX、Y方向に交互に圧縮力を加えることにより、プ
ラスチック母材26をX、Y方向に交互に延伸させ(図12
参照)、目的とする形状の成形品を製造するようにして
いる。このため、成形品に分子配向や残留応力が発生す
るのを抑制することができ、鏡面転写性に優れたプラス
チック成形品を得ることができる。
【0048】すなわち、本実施例では、2方向から圧縮
力を加えているため、プラスチック母材26が圧縮力によ
り変形し易くなるとともに、樹脂内に圧縮力を集中させ
ないようにすることができる。したがって、成形品に残
留応力が発生するのをより一層抑制することができる。
また、予め金型21〜24のキャビティ25の容積を略最終形
状に前加工したプラスチック母材26よりも大きく設定
し、塑性変形加工後に金型23、24を鏡面の形成された金
型21、22の型開き方向に対して直角方向にも型開きして
いるため、プラスチック母材26をキャビティ25内に容易
に搬入することができるとともに、塑性不変形加工後に
キャビティ25内から容易に取り出すことができ、プラス
チック成形品の成形作業の作業性を向上させることがで
きる。
【0049】なお、本実施例では、図12に示すように同
程度の圧縮力を連続して加えるようにしているが、圧縮
力を交互に減衰させて図13に示すようにプラスチック母
材26の圧縮量を減衰させるようにしても良い。すなわ
ち、図13に示すようにプラスチック母材26にX方向から
圧縮力を加えて圧縮変形させるのと同時にY方向に延伸
させることにより、キャビティ25内の圧力は正だがさほ
ど大きくならず、次いで延伸変形させた側(Y方向)か
ら圧縮力を加えて圧縮力を加えた側(X方向)を延伸さ
せ、逆方向に圧縮変形と延伸変形を生じさせる。そし
て、この変形量を減衰させながら交互にこれを繰り返す
のである。
【0050】このとき、キャビティ25内の圧力は圧縮と
延伸のバランスでもって大きく変化することがなく、こ
の圧力は小さいものである。このように本実施例では、
圧縮変形と延伸変形を減衰させながら交互に繰り返すこ
とにより樹脂の分子配分や、残留応力をより良く除くこ
とができるとともに、キャビティ25内の内圧力をごく小
さく押えてこの内圧の残圧による残留応力等も実用上問
題にならない程度に小さくすることができる。
【0051】図14はこのときの応力−ひずみ線図であ
る。図中A点では単なる圧縮変形のためかなりの残留応
力が残り、B点では残留応力が大で、最終形状を越えた
変形を生じてしまう。ところが、応力をC点にもって行
くと、ひずみがB点よりも逆方向のものとなり、以下D
点からH点まで順に圧縮、延伸を繰り返すとヒステリシ
スを減少させることができ、分子配向や残留応力の発生
をさらに抑制して、鏡面転写性のより一層優れたプラス
チック成形品を得ることができる。
【0052】なお、本実施例では、圧縮力を制御して圧
縮力を減衰させるようにしているが、これに限らず圧縮
位置を制御することにより圧縮量を交互に減衰させるよ
うにしても良い。この圧縮位置は金型21〜24を作動する
プレスにより制御すれば良い。図15、16は本発明に係る
プラスチック成形品の製造方法の第4実施例を示す図で
あり、本実施例では、一方向への圧縮力を利用して該方
向と直交する方向に圧縮変形および延伸変形を生じさせ
るようにしたものである。
【0053】図15に示すように金型31そのものは、断熱
板32を介して高圧プレス機の型締めダイプレート33に固
定されている。図示の例では金型の2面(一方向)から
の減圧が可能なように高圧プレス機の上下パンチ34、35
が取り付けられた構造となっている。また、この金型31
は、キャビティ36のプラスチック母材37の圧縮方向に対
して直角となる方向で可動に入駒38、39を配した構造と
なっている。そして、入駒38、39の背面にばね40、41が
配設され、該ばね40、41により入駒38、39がキャビティ
36側に向って付勢されている。
【0054】本実施例では、金型31を荷重たわみ温度以
上で、かつそのガラス転移点未満に加熱してキャビティ
36内にプラスチック母材37を搬入する。次いで、パンチ
34、35により金型31に対して圧縮方向Xで加圧すると、
プラスチック母材37には加圧方向Yに圧縮変形が生じ、
その垂直方向Yでは入駒38、39に対するばね40、41の力
とバランスをとりながら延伸変形する。
【0055】一定の圧縮変形後、加圧方向Xの圧力を減
圧してゼロまでもって行くとばね40、41のY方向の力が
大きくなり、今度は逆に延伸した方向Yが入駒38、39に
押されて圧縮変形し、圧縮した方向Xで延伸変形する。
加圧力を減衰させながら、このような圧縮変形、延伸変
形を繰り返させることにより、図14のグラフと同様にプ
ラスチック母材37の分子配向や残留応力を事実上問題に
ならない程度に小さく抑えることができ、鏡面転写性に
優れたプラスチック成形品を得ることができた。また、
本実施例では、金型31の型開き方向と垂直方向に入駒3
8、39を設けたので、金型の構造を簡単なものにするこ
とができる。
【0056】なお、本実施例では、入駒38、39により型
開き方向と直角方向にプラスチック母材37を圧縮変形お
よび延伸変形させているが、これに限らず、金型の可逆
弾性変形を利用して該直交方向に熱可塑性プラスチック
母材を圧縮変形および延伸変形させるようにしてもよ
く、また、ばね40、41の代わりにゴムあるいはプラスチ
ック等からなる可逆弾性部材を配置しても良い。このよ
うにしても金型の構造を簡単なものにすることができ
る。
【0057】図17は本発明に係るプラスチック成形品の
製造方法の第5実施例を示す図であり、本実施例では、
図示しないプレス機のパンチが接続された一対の金型51
a、51bのキャビティ52の両端部に逃がし部52a、52b
を設けるとともに、この逃がし部52a、52bに先端部が
出没可能にピン53a〜53dを設けたものである。本実施
例では、金型51a、51bに圧縮力を加えたときにプラス
チック母材54の両端部が逃がし部52a、52bに延伸する
ため、ピン53a〜53dが後退する。次いで、ピン53a〜
53dに圧縮力を加えると、プラスチック母材54が金型51
a、51bの型開き方向に延伸する。すなわち、本実施例
では、圧縮力を一方向から加えるのみで圧縮変形および
延伸変形を繰り返すことができ、特に円板上のプラスチ
ック母材を加工する上で有利である。この結果、より短
時間で鏡面転写性に優れたプラスチック成形品を得るこ
とができる。図18は本発明に係るプラスチック成形品の
製造方法の第6実施例を示す図であり、本実施例では、
プラスチック母材の長さ方向両端部における金型部分に
逃がし部やリブを形成した例を示している。本実施例で
は、図18(a)に示すように一対の金型61a、61bの両端
部に逃がし部62a、62bを設けたり、図18(b)に示すよ
うにプラスチック母材63の両端部にリブ63a、63bを設
けるとともに、金型64a、64bの両端部に逃がし部65
a、65bを設けることにより、プラスチック母材63、66
の圧縮時に該母材63、66の長手方向両端部に圧縮力を均
一に伝達することができ、プラスチック成形品に残留応
力が発生するのを抑制することができる。
【0058】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、キャビテ
ィ内のプラスチック母材が固相の状態で樹脂の塑性変形
加工を行うことができ、プラスチック母材に圧縮力を加
えるときと成形品の取出し時の金型温度を略同一にして
成形サイクルを数分にすることができる。このため、数
10分の成形サイクルを要していた従来の方法に比べて数
分程度で樹脂の塑性変形加工を行なうことができ、成形
時間を大幅に短縮して鏡面が転写された高精度なプラス
チック成形品を得ることができる。
【0059】請求項2記載の発明によれば、圧縮力を断
続的に加えているので、鏡面転写性に優れたプラスチッ
ク成形品を得ることができる。請求項3記載の発明によ
れば、圧縮力を断続的に、かつ減衰させながら加えてい
るので、初期の段階でプラスチック母材に大きな圧縮力
を加えて樹脂に大きな塑性変形を生じさた後、圧縮力を
減衰させることができ、鏡面転写性をさらに良好にする
ことができる。
【0060】請求項4記載の発明によれば、残留応力を
少なくすることができ、また、レンズ等に適用すれば複
屈折の小さいプラスチック成形品を得ることができる。
請求項5記載の発明によれば、温度変化を考慮せずに塑
性変形加工を行なうことができ、短時間で高精度なプラ
スチック成形品を得ることができる。請求項6記載の発
明によれば、プラスチック母材の寸法および重量を安定
させることができる。
【0061】請求項7記載の発明によれば、射出成形時
にひけ、ジェッティングおよび残留応力が発生するのを
最低限に抑えつつ、略最終形状のプラスチック母材を形
成することができる。この結果、残留応力が少なく、ま
た、レンズ等に適用すれば複屈折の小さいプラスチック
成形品を得ることができる。請求項8記載の発明によれ
ば、射出成形からプラスチック成形品の取出しまで連続
して同一の金型で行うことができ、複数の金型を使用す
るのを不要にして金型にプラスチック母材の搬入、搬出
する作業を不要にすることができる。この結果、プラス
チック成形品の成形作業の作業工程を少なくすることが
でき、その作業性を向上させることができる。
【0062】請求項9記載の発明によれば、プラスチッ
ク母材をキャビティ内に容易に搬入することができると
ともに、塑性変形加工後にキャビティ内から容易に取り
出すことができ、プラスチック成形品の成形作業の作業
性を向上させることができる。請求項10記載の発明によ
れば、分子配向や残留応力の発生を抑制することがで
き、鏡面転写性に優れたプラスチック成形品を得ること
ができる。
【0063】請求項11記載の発明によれば、プラスチッ
ク母材のヒステリシスを減少させることができ、分子配
向や残留応力の発生をさらに抑制することができる。こ
の結果、鏡面転写性のより一層優れたプラスチック成形
品を得ることができる。請求項12〜14記載の発明によれ
ば、型開き方向に圧縮力を加えたときに該方向と直角方
向に圧縮変形および延伸変形を生じさせることができ、
鏡面転写性に優れたプラスチック成形品を得ることがで
きとともに、金型の構造を簡単なものにすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第1実施例に用いる金型の断面図である。
【図2】第1実施例のプラスチック成形品の製造方法の
温度変化およびキャビティ内の圧力変化を示すグラフで
ある。
【図3】ポリカーボネイトの温度に係わる応力とひずみ
の関係を示すグラフである。
【図4】圧縮方向を一方向としたときの第1実施例の製
造方法を概念的に示す図である。
【図5】圧縮方向を2方向としたときの他の態様の製造
方法を概念的に示す図である。
【図6】圧縮方向を3方向としたときの他の態様の製造
方法を概念的に示す図である。
【図7】射出成形作業と塑性変形加工とを同一の金型で
連続して行ったときのプラスチック成形品の製造方法の
温度変化およびキャビティ内の圧力変化を示すグラフで
ある。
【図8】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第2実施例の圧縮力を示すグラフである。
【図9】圧縮力を断続的に、かつ減衰してプラスチック
母材に加えたときの圧縮力の変化を示すグラフである。
【図10】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第3実施例に用いる金型の概略構成図である。
【図11】第3実施例の圧縮、延伸変形方向を2方向とし
た場合の方法を概念的に示す斜視図である。
【図12】図11の方法における変形とキャビティ内の圧力
の変化を示すグラフである。
【図13】図11の方法における他の態様の変形とキャビテ
ィ内の圧縮量の変化を示すグラフである。
【図14】図13の方法を採用したときの応力−ひずみ線図
である。
【図15】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第4実施例に用いる金型の断面図である。
【図16】第4実施例の方法を概念的に示すプラスチック
母材の斜視図である。
【図17】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第5実施例に用いる金型の概略構成図である。
【図18】本発明に係るプラスチック成形品の製造方法の
第6実施例に用いる金型の概略構成図である。
【図19】従来のプラスチック成形品の製造方法の温度変
化およびキャビティ内の圧力の変化を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1、21、22、23、24、31、51a、51b、61a、61b、64
a、64b 金型(光学部品圧縮成形用金型) 9、10、11、26、37、54、63、66 プラスチック母材 38、39 入駒 40、41 ばね

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め略最終形状に前加工した熱可塑性プラ
    スチック母材の温度をその荷重たわみ温度以上で、かつ
    そのガラス転移点未満にして、少なくとも1つの鏡面を
    有する光学部品圧縮成形用金型により圧縮力を加えて塑
    性変形加工し、鏡面を転写することを特徴とするプラス
    チック成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】前記圧縮力を断続的に加えることを特徴と
    する請求項1記載のプラスチック成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】前記圧縮力を断続的に、かつ減衰させなが
    ら加えることを特徴とする請求項1記載のプラスチック
    成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】ガラス転移点近傍で前記熱可塑性プラスチ
    ック母材に圧縮力を加えて塑性変形加工を行い、次い
    で、荷重たわみ温度近傍にプラスチック母材を冷却した
    後、成形品を光学部品圧縮成形用金型から取り出すよう
    にしたことを特徴とする請求項1、2または3記載のプ
    ラスチック成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】荷重たわみ温度以上で、かつそのガラス転
    移点未満の一定の温度下で前記熱可塑性プラスチック母
    材に圧縮力を加えて塑性変形加工を行い、該作業が終了
    した後、成形品を光学部品圧縮成形用金型から取り出す
    ようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載
    のプラスチック成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】前記熱可塑性プラスチック母材を略最終形
    状に前加工するために射出成形法を用いることを特徴と
    する請求項1、2、3、4または5記載のプラスチック
    成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】射出成形法によって前記熱可塑性プラスチ
    ック母材を略最終形状に前加工する際、射出成形用金型
    の温度をその荷重たわみ温度近傍に設定し、溶融樹脂を
    遅い速度で射出成形用金型のキャビティ内に射出するこ
    とを特徴とする請求項6記載のプラスチック成形品の製
    造方法。
  8. 【請求項8】少なくとも1つの鏡面を有し、圧縮機構を
    備えた射出成形用金型を準備し、該射出成形用金型に溶
    融樹脂を射出することにより熱可塑性プラスチック母材
    を略最終形状に前加工した後、該金型内のプラスチック
    母材の温度がその荷重たわみ温度以上で、かつそのガラ
    ス転移点未満になったときに圧縮機構により圧縮力を断
    続的あるいは断続的かつ減衰させながら加えて塑性変形
    加工し、鏡面を転写することを特徴とするプラスチック
    成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】予め前記光学部品圧縮成形用金型のキャビ
    ティの容積を略最終形状に前加工した熱可塑性プラスチ
    ック母材よりも大きく設定し、該キャビティ内に熱可塑
    性プラスチック母材を挿入して該圧縮成形用金型により
    圧縮力を加えて塑性変形加工し、加工後に該圧縮成形用
    金型をその鏡面部分の型開き方向に対して直角方向にも
    型開きするようにしたことを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載のプラスチック成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】予め略最終形状に前加工した熱可塑性プラ
    スチック母材の温度をその荷重たわみ温度以上で、かつ
    そのガラス転移点未満にして、少なくとも1つの鏡面を
    有する光学部品圧縮成形用金型により型開き方向および
    該方向と所定角度をなす方向から交互に圧縮力を加えて
    圧縮変形および延伸変形を交互に与えて塑性変形加工
    し、鏡面を転写することを特徴とする請求項1、2また
    は3記載のプラスチック成形品の製造方法。
  11. 【請求項11】前記圧縮力あるいは圧縮位置を制御するこ
    とにより圧縮量を交互に減衰させることにより、圧縮変
    形および延伸変形を交互に与えて塑性変形加工し、鏡面
    を転写することを特徴とする請求項10記載のプラスチッ
    ク成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】前記所定角度を型開き方向と直交する角度
    としたとき、光学部品圧縮成形用金型の可逆弾性変形を
    利用して該直交方向に熱可塑性プラスチック母材を圧縮
    変形および延伸変形させるようにしたことを特徴とする
    請求項10または11記載のプラスチック成形品の製造方
    法。
  13. 【請求項13】前記所定角度を型開き方向と直交する角度
    としたとき、光学部品圧縮成形用金型の該方向に対応す
    る部分の全部あるいは一部を入駒構造にするとともに、
    該入駒の背面にばねを配置し、このばねを利用して該直
    交方向に熱可塑性プラスチック母材を圧縮変形および延
    伸変形させるようにしたことを特徴とする請求項10また
    は11記載のプラスチック成形品の製造方法。
  14. 【請求項14】前記所定角度を型開き方向と直交する角度
    としたとき、光学部品圧縮成形用金型の該方向に対応す
    る部分の全部あるいは一部を入駒構造にするとともに、
    該入駒の背面に可逆弾性部材を配置し、この可逆弾性部
    材を利用して該直交方向に熱可塑性プラスチック母材を
    圧縮変形および延伸変形させるようにしたことを特徴と
    する請求項10または11記載のプラスチック成形品の製造
    方法。
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