JPH05177113A - 排煙脱硫装置運転性能評価方法および排煙脱硫装置制御方法 - Google Patents

排煙脱硫装置運転性能評価方法および排煙脱硫装置制御方法

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JPH05177113A
JPH05177113A JP3346296A JP34629691A JPH05177113A JP H05177113 A JPH05177113 A JP H05177113A JP 3346296 A JP3346296 A JP 3346296A JP 34629691 A JP34629691 A JP 34629691A JP H05177113 A JPH05177113 A JP H05177113A
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JP
Japan
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desulfurization
temperature
exhaust gas
section
rate
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JP3346296A
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English (en)
Inventor
Koichi Yokoyama
公一 横山
Hirobumi Yoshikawa
博文 吉川
Naruhito Takamoto
成仁 高本
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 充分な精度を持ち、かつ簡便な方法で脱硫装
置の性能を推算できる排煙脱硫装置運転性能評価方法と
それを用いる制御方法を提供すること。 【構成】 脱硫剤を低温部(200℃以下)2に供給し、ボ
イラ排ガス中のSO2と反応させ、その一部がSO2と反
応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集塵装置5で回収
し、燃焼灰を中温部(500〜900℃)に供給口9から供給
し、SO2と反応させる脱硫方法において、(a)中温部
で反応した脱硫剤の500℃以下の領域での脱硫反応を無
視し、(b)中温部での脱硫率は、中温部での単位時間当
たりの(未反応脱硫剤の供給モル数)/(排ガス中のS
2モル数)(As/S)及び排ガス中のSO2濃度によ
り予め評価した中温部単独の脱硫率から決定し、(c)低
温部での脱硫率は、中温部での脱硫による排ガス中SO
2濃度低下、低温部でのAs/S及び低温部の相対湿度
により決定することで総合脱硫率を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルカリ金属又はアルカ
リ土類金属の酸化物、水酸化物または炭酸塩のうち一種
類以上を脱硫剤として用いて燃焼装置火炉または排ガス
煙道に噴霧する排煙脱硫装置運転性能評価方法およびそ
の運転性能評価方法により排煙脱硫装置運転時に脱硫性
能を事前に推測しながら排煙脱硫を行う排煙脱硫装置制
御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】火力発電所における重油焚、石炭焚ボイ
ラから排出される排ガス中には、硫黄化合物(SOx)
やHClなどの酸性有害物質が通常、100〜3000
ppmの割合で含まれており、酸性雨や光化学スモッグ
の原因物質とされるため、その効果的な処理手段が望ま
れている。従来から湿式法(例えば石灰石−石膏法)ま
たは乾式法(活性炭法)が実施されているが、湿式法は
有害物質の除去率が高い反面、廃水処理が困難で、排ガ
スを再加熱する必要があり、設備費や運転費が高く、乾
式法では高い除去率が得られないという問題があった。
このため、無排水の低コストプロセスで高い除去率が得
られる脱硫方法の開発が望まれている。
【0003】ボイラなどの排ガスの脱硫法としては、上
記方法のほかに、消石灰やそのスラリを排ガス中に噴霧
する半乾式法や火炉内や煙道内の高温ガス中に石灰石を
直接分散させて酸性有害物質を除去する乾式法が提案さ
れており、設備費や運転費が安いという特徴を有してい
るが、いずれの方法も除去率が低いという問題がある。
【0004】消石灰や生石灰を排ガス中に噴霧して排ガ
ス中のSO2と反応させ、これを集塵装置で除去する方
法の代表的なフローシートを図12に示す。ボイラ1か
らの排ガスはエアヒータ3で温度を下げられ、脱硫塔2
に導かれる。消石灰等の脱硫剤は煙道または脱硫塔2内
に噴霧して供給され、この時水も供給されることにより
排ガスの温度を下げ、湿度を上げる。この際水は脱硫剤
と別に供給しても、脱硫剤をスラリとして同時に供給し
てもよい。反応した脱硫剤は排ガス中の灰と共に集塵装
置5で捕集され、廃棄される。
【0005】このような方法において、酸性有毒物質の
除去率は排ガス中の水分(相対湿度)が支配的であると
されている。すなわち、除去率を上げるためには、排ガ
スの温度を下げ、水分濃度を上げることが必要である。
水分濃度を上げるために、水や消石灰スラリを噴霧する
方法が提案されているが、このようなガス中の水分濃度
を上げる方法では除去率の向上は十分ではない。除去率
が低い場合は、集塵装置5によって捕集された未反応の
脱硫剤を含む粒子に水や蒸気を添加し、表面に形成され
た反応生成物の殻を破壊した後、この一部を再び排ガス
中に噴霧することによって除去率が向上する方法も提案
されている(例えば、米国特許第3481289号明細
書、特開昭61−35827号)。
【0006】このような半乾式法では、脱硫反応が終了
した際、廃棄物として亜硫酸カルシウムが含まれた灰が
発生する。従来は、前記灰を酸素による酸化雰囲気中で
熱処理することにより酸化していたが、問題点として、 処理時間が長く、従って処理効果率が悪い。 燃焼装置とは別系統の装置を設ける必要があり、装置
が複雑・高価になる。 という点があった。
【0007】以上の問題を解決するために、200℃以
上の温度領域にアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
炭酸塩、酸化物または水酸化物のうち一種類以上を脱硫
剤として用いて排ガス中に噴霧する脱硫プロセスにおい
て、200℃以下の温度域で、水噴霧することによっ
て、その一部が排ガス中のSO2と反応した未反応脱硫
剤を含む脱硫剤を再びSO2と反応させ集塵装置で回収
した後、さらに温度500〜900℃の排ガス中に噴霧
供給し、排ガス中のSO2と反応させることを特徴とす
る脱硫プロセスが発明された(以下、このプロセスを低
温脱硫中温リサイクル方式と呼ぶ)。
【0008】また、高温脱硫中温リサイクル方式と呼ば
れる排煙脱硫方式も用いられている。この方式は、燃焼
装置または排ガス煙道中の900℃以上の温度領域にア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の一種以上の炭酸塩
または酸化物、水酸化物の一種以上と炭酸塩のうち一種
類以上との混合物を脱硫剤として噴霧して、前記化合物
の酸化物を生成させ、この酸化物と排ガス中のSO2
を反応させ、未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集塵装置で回
収した後、その一部を温度500〜900℃の排ガス中
に噴霧供給し、排ガス中のSO2と反応させることを特
徴とする脱硫プロセスである。
【0009】これらの脱硫方式において、運転中の総合
脱硫率を求める際、従来、高温脱硫部の脱硫率について
は脱硫剤噴霧時の単位時間当りの(脱硫剤の供給モル
数)/(排ガス中のSO2モル数)(以下、Ab/Sと
いう。)によってほぼ決定されることがわかっていた
が、中温及び低温脱硫部については、以下のような不明
点があるため、実際に脱硫率を測定して求めるしかなか
った。
【0010】すなわち、低温脱硫中温リサイクル方式に
おいては、 中温脱硫部の脱硫率をリサイクル時に見積る方法が不
明。 中温脱硫部で反応した脱硫剤が低温脱硫部に到達する
までいかに反応するかが不明。 中温脱硫部で反応した脱硫剤が低温脱硫部でいかに反
応するかが不明。
【0011】また、高温脱硫中温リサイクル方式におい
ては、 中温脱硫部の脱硫率をリサイクル時に見積る方法が不
明。 中温脱硫部で反応した脱硫剤が低温脱硫部でいかに反
応するかが不明。 高温脱硫部で反応した脱硫剤が中温脱硫部に到達する
までいかに反応するかが不明。 高温脱硫部で反応した脱硫剤が中温脱硫部でいかに反
応するかが不明。 高温脱硫部で反応した脱硫剤が低温脱硫部でいかに反
応するが不明。
【0012】そのため、実際の脱硫装置の制御には図1
(低温脱硫中温リサイクル方式)、図10(高温脱硫中
温リサイクル方式)に示すような装置が用いられてい
た。
【0013】すなわち、図1に示す低温脱硫中温リサイ
クル方式では、低温脱硫剤ホッパー13より低温脱硫剤
供給量制御器C3を介して温度200℃以下の排ガス中
に低温脱硫剤供給量制御器C3を介して低温脱硫剤噴霧
口15から脱硫剤を供給する。そして、集塵装置5で回
収されたリサイクル脱硫剤は温度500〜900℃の排
ガス煙道中にリサイクル剤ホッパー11より中温脱硫剤
供給量制御器C1を介して中温脱硫剤噴霧口9から供給
される。そして、中温脱硫部入口SO2濃度測定装置
1、中温脱硫部出口SO2濃度測定装置M2または低温
脱硫部入口SO2濃度測定装置M3、及び低温脱硫部出口
SO2濃度測定装置M4においてSO2濃度を測定し、得
られた各部のSO2濃度から実際の各部の脱硫率を求め
ていた。
【0014】そして、全体の脱硫率は、次の方法により
制御していた。 (1)中温脱硫部における脱硫率が要求値よりも低い場
合は、リサイクルする反応済み脱硫剤量を増加させる。
または、 (2)低温脱硫部における脱硫率が要求値よりも低い場
合は、供給する(高温脱硫中温リサイクル方式では高温
部に噴霧供給、低温脱硫中温リサイクル方式では低温部
に供給)脱硫剤量を増加させる(Ab/Sを高くす
る)。また、Ab/Sで表される供給量を一定にするた
めに、リサイクルする反応済み脱硫剤量を増減させると
いう方法もとられていた。
【0015】次に、図10の高温脱硫中温リサイクル方
式では、ボイラ1の火炉または排ガス煙道に高温脱硫剤
ホッパー10より高温脱硫剤供給量制御器C2を介して
高温脱硫剤噴霧口7から脱硫剤が供給される。そして、
集塵装置5で回収されたリサイクル脱硫剤は温度500
〜900℃の排ガス煙道中にリサイクル剤ホッパー11
より中温脱硫剤供給量制御器C1を介して中温脱硫剤噴
霧口9から供給される。そして、各脱硫部の入口と出口
のSO2濃度を測定し、得られた各脱硫部のSO2濃度か
ら実際の各部の脱硫率を求めていた。
【0016】図10の装置においては、燃料中の硫黄
分、燃料供給量と空気量(以上3条件から脱硫剤を噴霧
していない状態の初期SO2濃度から未反応脱硫剤の供
給モル数(mol/単位時間)/排ガス中のSO2モル
数(mol/単位時間)一定の条件下で安定した高温脱
硫部の脱硫率を得た上で、中、低温各脱硫部の脱硫率を
ほぼ決めておく。そして、中温及び/または低温脱硫部
の脱硫率が目標よりも変動した場合、前記低温脱硫中温
リサイクル方式と同様の方法で、全体の脱硫率を制御し
ていた。
【0017】しかしながら、脱硫装置を効率的に運用す
るには、(a)Ab/Sはできるだけ低く、(b)集塵
機の負荷を低くするために、中温脱硫部へ噴霧する反応
済み脱硫剤の供給量もできるだけ少なく、かつ(c)脱
硫率はできるだけ高いことが望まれる。
【0018】従来の方法では、燃焼装置の運転条件にと
もなう排ガス側の条件(総流量、SO2濃度など)の変
化に対して、また、事前に各部脱硫率の予想ができず、
実際に個々の脱硫部における脱硫率を測定し、運転中の
条件の変化に合わせてAb/Sや脱硫剤供給量のような
パラメータを制御しなければならならなかった。そのた
め、燃焼装置運転条件の変化に対して、中温脱硫部、低
温脱硫部での個々の脱硫剤供給量をどのように制御すれ
ば脱硫率がどう変化するかも全く不明であり、先に述べ
たような理想的な条件下での脱硫装置を運転することは
不可能であった。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、排
煙脱硫装置の脱硫率の制御は実際の脱硫率から判断する
ため、脱硫剤の供給量や排ガス中SO2濃度の変化に対
応した脱硫装置運転時の制御は困難であった。そこで、
性能試験で得られた高温脱硫部、中温脱硫部および低温
脱硫部のデータから総合脱硫率を推算し、燃焼装置の運
転条件を変更する前に、変更した後の脱硫率及び現在の
脱硫率を維持できる条件を予測することが必要になって
いる。
【0020】本発明の目的は、充分な精度を持ち、かつ
簡便な方法で脱硫装置の性能を推算できる排煙脱硫装置
運転性能評価方法および該運転性能評価方法を用いる排
煙脱硫装置制御方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は主に
次の構成により達成される。すなわち、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩の
うち一種類以上を脱硫剤として用い、燃焼装置から排出
される排ガス路の温度200℃以下の低温脱硫部に供給
し、排ガス中の硫黄酸化物と反応させ、その一部が排ガ
ス中のSO2と反応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集
塵装置で回収した後、回収した未反応脱硫剤を含む燃焼
灰を温度500〜900℃の中温脱硫部に供給し、排ガ
ス中のSO2と反応させる排煙脱硫方法において、 (a)中温脱硫部で反応した脱硫剤の低温脱硫部を含む
温度500℃以下の領域での脱硫反応を無視する、 (b)集塵装置で回収され、中温脱硫部に供給される脱
硫剤の脱硫率は、中温脱硫部での単位時間当たりの(未
反応脱硫剤の供給モル数)/(排ガス中のSO2モル
数)及び排ガス中のSO2濃度をパラメータとして予め
評価しておいた中温脱硫部単独の脱硫率から決定する、 (c)低温脱硫部での脱硫率は、低温脱硫部での単位時
間当たりの(脱硫剤供給モル数)/(排ガス中のSO2
モル数)及び低温脱硫部の相対湿度をパラメータとして
決定し、排ガス中のSO2濃度をパラメータとしない、こ
とを条件として総合脱硫率を求め、排煙脱硫装置の運転
性能を評価する排煙脱硫装置運転性能評価方法(第1発
明)およびそれを用いる排煙脱硫装置制御方法、また
は、
【0022】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸
化物、水酸化物または炭酸塩のうち一種類以上を脱硫剤
として用いて温度900℃以上の高温脱硫部の燃焼装置
火炉または排ガス煙道中に供給し、燃焼装置から排出さ
れる排ガス中の硫黄酸化物と反応させ、脱硫剤の一部が
排ガス中のSO2と反応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤
を温度200℃以下の低温脱硫部の排ガス中に導き、該
低温脱硫部の湿度を制御して、低温脱硫部内での脱硫反
応を促進させた後、集塵装置で回収し、回収した未反応
脱硫剤を含む燃焼灰を温度500〜900℃の中温脱硫
部の排ガス中に供給し、排ガス中のSO2と反応させる
排煙脱硫方法において、(a)中温脱硫部で反応した脱
硫剤の500℃以下の排ガス温度領域では脱硫反応を無
視する、(b)高温脱硫部に供給した脱硫剤は中温脱硫
部では反応しない、(c)集塵装置で回収した脱硫剤を
中温脱硫部に供給される脱硫剤の脱硫率は、中温脱硫部
での単位時間当たりの(未反応脱硫剤の供給モル数)/
(排ガス中のSO2モル数)及び排ガス中のSO2濃度を
パラメータとして予め評価しておいた中温脱硫部単独の
脱硫率から決定する、(d)低温脱硫部での脱硫率は、
低温脱硫部での単位時間当たりの(脱硫剤供給モル数)
/(排ガス中SOモル数)及び低温脱硫部の相対湿度
をパラメータとして決定し、排ガス中のSO2濃度をパ
ラメータとしない、ことを条件として総合脱硫率を求
め、排煙脱硫装置の運転性能を評価する排煙脱硫装置運
転性能評価方法(第2発明)およびそれを用いる排煙脱
硫装置制御方法である。
【0023】また、本発明は上記第1発明と第2発明に
おける排煙脱硫方法のうち、集塵装置で回収した未反応
脱硫剤を含む燃焼灰を中温脱硫部に供給するステップを
前記燃焼灰をスラリー化した上で中温脱硫部の排ガス中
に供給するステップに置き換える排煙脱硫方法に適用し
た排煙脱硫装置運転性能評価方法およびそれを用いる排
煙脱硫装置制御方法も含む。
【0024】
【作用】本発明は、種々の条件下で高温脱硫部、中温脱
硫部及び低温脱硫部における脱硫の実験を行うことによ
り、得られた次のような新たな知見に基づくものであ
る。本発明の第1発明の排煙脱硫装置運転性能評価方法
(低温脱硫中温リサイクル方式)に関しては次のような
条件を設定し、その条件に従って各温度域における脱硫
率を算出し、それに基づき総合脱硫率を求める。
【0025】まず、中温脱硫部の脱硫に関して、 (1)中温脱硫部の脱硫において、単位時間当りに供給
する脱硫剤成分(例えばCaO、MgOなど)のモル数
と排ガス中のSO2の中温脱硫部への単位時間当りの流
入モル数との比(Ab/S)および排ガス中のSO2
度により決定される。このことは、脱硫剤の履歴(新し
い脱硫剤を用いるか、一旦、低温部を経由したリサイク
ル脱硫剤であるか、またはその低温部のリサイクル数が
何回目かなど)および性状は問題とならないことをも示
している。
【0026】また、低温脱硫部の脱硫に関して、 (2)中温脱硫部を経由した脱硫剤は、低温脱硫部でほ
とんど反応しないので脱硫率は無視できる。 (3)未使用脱硫剤のAb/Sが一定であれば脱硫率は
相対湿度に比例する(温度依存性は無視できる)。 (4)(3)に加えて、脱硫部の相対湿度が一定であれ
ば、未使用脱硫剤のAb/Sに比例して脱硫率は増加す
る。 (5)排ガス中のSO2濃度が低下するほど脱硫率が上
昇するが、排ガス中のSO2濃度変化の絶対値が小さい
ので無視できるので、低温脱硫率の計算には排ガス中の
SO2濃度はパラメータとしない。
【0027】上記条件設定により、各温度域における脱
硫率を計算で算出し、その脱硫率から総合脱硫率を次の
ようにして求める。 総合脱硫率=中温脱硫部脱硫率+(1−中温脱硫部脱硫
率)×低温脱硫部脱硫率
【0028】また、本発明の第2発明の排煙脱硫装置運
転性能評価方法(高温脱硫中温リサイクル方式)に関し
ては次のような条件を設定し、その条件に従って各温度
域における脱硫率を算出し、それに基づき総合脱硫率を
求める。まず、高温脱硫部および中温脱硫部における脱
硫に関して、 (1)高温脱硫部および中温脱硫部における脱硫率は、
単位時間当りに供給する脱硫剤成分(例えばCaO、M
gOなど)のモル数と排ガス中のSO2の高温脱硫部お
よび中温脱硫部への単位時間当りの流入モル数との比
(Ab/S)及び排ガス中SO2濃度により決定され
る。このことは、脱硫剤の前記履歴及び性状が問題とな
らないことをも示している。
【0029】しかしながら、例外的に中温脱硫部の脱硫
において (2)高温脱硫部で脱硫反応に使用された脱硫剤(以
下、高温反応済み脱硫剤と呼ぶ。)が排ガス煙道中を経
由して中温脱硫部に導かれても、その表面を無水硫酸塩
で覆われており、中温脱硫部では全く脱硫反応に関与し
ない。
【0030】また、低温脱硫部の脱硫に関して、 (3)集塵装置で回収され、中温脱硫部に噴霧した使用
済脱硫剤は、低温脱硫部でほとんど反応しないので、こ
の使用済脱硫剤の脱硫率は無視できる。 (4)高温反応済み脱硫剤のAb/Sが一定であれば脱
硫率は相対湿度に比例する(温度依存性は無視でき
る)。 (5)(4)に加えて、脱硫部の相対湿度が一定であれ
ば、高温反応済み脱硫剤のAb/Sに比例して脱硫率は
増加する。 (6)SO2濃度が低下するほど脱硫率が上昇するが、
変化の絶対値が小さいので無視できるので、低温脱硫率
の計算には排ガス中のSO2濃度はパラメータとしな
い。
【0031】上記条件設定により、各温度域における脱
硫率を計算で算出し、その脱硫率から総合脱硫率を次の
ようにして求める。 総合脱硫率=高温脱硫部脱硫率+(1−高温脱硫部脱硫
率)×中温脱硫部脱硫率+{1−(1−高温脱硫部脱硫
率)×中温脱硫部脱硫率}×低温脱硫部脱硫率 このとき脱硫率は中温脱硫部にリサイクルされる使用済
み脱硫剤の成分と低温脱硫部入口のSO2濃度等の条件
が1サイクル毎に変化するので、前記リサイクル脱硫剤
のリサイクルを繰り返し、ある程度脱硫率が一定化する
ことを確認して、総合脱硫率を求める。
【0032】集塵装置で回収され、中温脱硫部にリサイ
クルされる使用済み脱硫剤の成分が変化する理由を低温
脱硫中温リサイクル方式で説明すると次の通りである。 まず、低温脱硫部に新らしい脱硫剤(未反応脱硫剤)
1が供給され低温脱硫部における脱硫だけが行われる場
合 リサイクル脱硫剤1=低温脱硫部脱硫剤1 次に、リサイクル脱硫剤1による中温脱硫部における
脱硫と次に供給される新しい脱硫剤2による低温脱硫部
における脱硫が行われる場合 リサイクル脱硫剤2=リサイクル脱硫剤1+低温脱硫部
脱硫剤2 さらに、リサイクル脱硫剤2による中温脱硫部におけ
る脱硫と新しい脱硫剤3による低温脱硫部における脱硫
が行われる場合 リサイクル脱硫剤3=リサイクル脱硫剤2+低温脱硫部
脱硫剤3 このように総合脱硫率は中温脱硫部にリサイクルする脱
硫剤成分が最初の2〜3サイクル目では変化する。しか
し、大体5〜6サイクル目で脱硫剤成分は安定化する。
そのため、総合脱硫率もリサイクル脱硫剤成分が安定化
してから算出する。
【0033】そこで、特定のリサイクル比において、リ
サイクルされる脱硫剤中の未反応脱硫剤量(例えば消石
灰量)が一定(偏差<0.00001)になるかどうか
で収束を判断する。そして、この収束計算に、前記第1
発明の条件(1)〜(5)(第1発明の要件(a)〜
(c)に同じ)、第2発明の条件(1)〜(6)(第2
発明の要件(a)〜(d)に同じ)を考慮に入れて行
う。その収束計算のフローは図4(第1発明)、図11
(第2発明)に示す。
【0034】こうして種々のリサイクル比における収束
条件を満たす中温脱硫部でのAb/S、低温脱硫部での
Ab/Sが求められ、これらのAb/Sに基づきあらか
じめ実験的に求めてある、下記の計算式により各脱硫部
での脱硫率を算出し、それを用いて総合脱硫率を求め
る。
【0035】標準条件での本脱硫装置の低温脱硫部にお
けるAb/S(XL)と脱硫率(YL)の関係は、 YL=a(θ)XL+b(θ) (e≦XL≦f) ・・・(1) ただし、a(θ)とb(θ)は相対湿度θの関数であ
る。一方、中温脱硫部におけるAb/S(XM)と脱硫
率(YM)の関係は、 YM=cXM+d (g≦XM≦h) ・・・(2) と表すことができる。ただし、c、d、e、f、gおよ
びhは定数である。
【0036】なお、常圧下において、100℃以上の温
度では水蒸気の飽和状態でも、相対湿度は無視し得る程
度(例えば500℃、常圧下で、飽和水蒸気の状態でも
相対湿度は0.30%にしかすぎない。)であるので、
相対湿度という概念は存在しない。このように、相対湿
度θにより、影響を受けるのは低温脱硫部のみであるの
で、式(1)には低温脱硫部でのみ相対湿度による関数
a(θ)とb(θ)を考慮に入れる。また、相対湿度が
一定の条件下ではAb/Sと脱硫率の関係は一次式で近
似できるといえる。
【0037】ただし、一般に、低温脱硫部内の相対湿度
は、水噴霧量で制御されてほぼ一定(本発明の下記実施
例では標準条件が運転条件)であるので、通常は関数a
(θ)とb(θ)は定数として扱い、相対湿度による脱
硫率変化を考慮に入れないこととした。
【0038】また、本発明の以下に述べる実施例では、
ボイラ燃料により排ガス中のSO2濃度は一定として扱
えるので、高温脱硫部および/または中温脱硫部での脱
硫率の算出にはSO2濃度の関数は算入しないこととし
た。
【0039】以上の条件下で、脱硫装置の総合脱硫率を
推算して実測値とを比較したところ非常によく一致して
いた。また、こうして排ガス中のSO2濃度に応じて、
低温脱硫中温リサイクル方式の排煙脱硫装置では低温脱
硫部への新鮮な脱硫剤供給量および高温脱硫中温リサイ
クル方式の排煙脱硫装置では高温脱硫部への新鮮な脱硫
剤供給量をコントロールすることで、総合脱硫率を制御
することができる。
【0040】
【実施例】本発明は、下記の実施例によって、さらに詳
細に説明されるが、下記の例で制限されるものではな
い。なお、実施例1〜4には低温脱硫中温リサイクル方
式の具体例を示し、実施例5、6には高温脱硫中温リサ
イクル方式の具体例を示した。
【0041】実施例1 脱硫剤として消灰石を用い、石炭焚ボイラの排ガスを脱
硫処理する場合について、脱硫装置への本発明の適用例
を用いて説明する。図1において、ボイラ1からの排ガ
スはエアヒータ3で温度を下げられ、排ガス煙道に設け
られた低温脱硫剤ホッパー13より低温脱硫剤供給量制
御器C3と低温脱硫剤噴霧口15を介して新鮮な脱硫剤
が供給される。脱硫塔2では水噴霧ノズル4から水が噴
霧され、ガス温度が約65℃まで低下することにより、
相対湿度が上昇し、脱硫反応が促進される。反応した脱
硫剤は排ガス中の灰とともに集塵装置5で捕集され、一
部は廃棄される。
【0042】また、集塵装置5で回収された未反応脱硫
剤を含むリサイクル脱硫剤はリサイクル経路8を経てリ
サイクル剤ホッパー11にリサイクルされる。そしてこ
のリサイクル脱硫剤は温度約650℃の排ガス煙道中に
中温脱硫剤供給量制御器C1と中温脱硫剤噴霧口9を介
して供給される。
【0043】この装置を用いて、A炭(石炭中の硫黄分
2.5%)を燃焼したときの脱硫性能を測定した。ただ
し、脱硫剤としての消石灰を排ガス中に含まれるSO2
に対しモル比で2.0倍(以下、Ca/S=2.0と略
す。なお、Ca/S=2.0は脱硫装置の脱硫性能と運
転コストから求められる標準的な条件である。)添加し
た。また、脱硫塔2内では塔内温度が65℃になるよう
に水を噴霧した。この際、ガス中の水蒸気分圧は、大気
圧の約17%(相対湿度約85%、水噴霧前は水蒸気分
圧約10%)(以下、これを標準条件と言う。)であっ
た。
【0044】ボイラ1出口および低温脱硫部出口SO2
濃度測定装置M4(実際は粉塵の影響を避けるため、集
塵装置5出口で測定している。)において、ガス中の水
分を除去した後、SO2濃度を測定したところ、それぞ
れ2,000ppmおよび900ppmであった。すな
わち、排ガス中のSO2の内55%が除去されたことに
なる。
【0045】以上の反応が終了したのち集塵装置5から
回収された灰には、脱硫剤1モル当りSO2吸収量が2
7.5%の反応済み脱硫剤が含まれていた。該反応済み
脱硫剤の半分を廃棄した後、これをリサイクル経路8か
らリサイクル脱硫剤ホッパー11に供給し、このホッパ
ー11からボイラの中温脱硫部(ガス温度650℃)に
供給する。ここで、リサイクル率αを リサイクル率α=(中温脱硫剤としてリサイクルする脱
硫剤量)/(全反応済み脱硫剤量) と定義する。上記の条件においてはα=0.5(集塵装
置5の能力のほぼ上限値)である。以上のプロセスを繰
り返して連続的に行う。
【0046】この際、本発明で述べられている脱硫率推
算法を用いた場合と脱硫率の実測値を用いた従来方式と
の比較を行った。ここで従来方式とは、中温脱硫部入口
SO2濃度測定装置M1、中温脱硫部出口SO2濃度測定
装置M2または低温脱硫部入口SO2濃度測定装置M3
よび低温脱硫部出口SO2濃度測定装置M4でそれぞれサ
ンプリングを行い、その排ガス中のSO2濃度を測定
し、得られた各部のSO2濃度から実際の各部の脱硫率
を求め、各部の脱硫率の要求値に合致するようにリサイ
クル脱硫剤または低温脱硫部への新鮮な未反応脱硫剤の
供給量を調節する方式である。
【0047】まず、脱硫率推算法を用いた制御装置によ
り実際の運転(ボイラ1の運転条件は変動)を行ってみ
た。運転前に、低温脱硫部および中温脱硫部において、
排ガスの反応温度およびSO2濃度を一定にしてCa/
Sと脱硫率の関係をそれぞれ求めた。温度65℃、ガス
中の水蒸気分圧は、大気圧の約17%(相対湿度約85
%、水噴霧前は水蒸気分圧約10%)の標準条件下での
測定結果を図2および図3(図3は中温脱硫部(650
℃)での脱硫率とCa/Sの関係を示したものであ
る。)に示す。なお、併せて低温脱硫において、相対湿
度が脱硫率を決定するので、相対湿度と脱硫率の関係の
一例も図2に示す。
【0048】また、低温脱硫部における消石灰と排ガス
中のCO2(中温脱硫部入口での濃度12%)との反応
について調査してみたところ、本装置においては、脱硫
剤1モル当りのCO2吸収量はほぼ10%で一定だっ
た。
【0049】以上の実験値から得られる関係は、本実施
例の場合、最小自乗法による直線近似と強い相関がみら
れたので、Ca/Sと脱硫率の関係を一次式で表すこと
とした。
【0050】標準条件での本脱硫装置の低温脱硫部にお
けるCa/S(XL)と脱硫率(YL)の関係は、 YL=0.168XL+0.128 (1≦XL≦3) (3) 一方、中温脱硫部におけるCa/S(XM)と脱硫率
(YM)の関係は、 YM=0.258XM+0.030 (0.4≦XM≦1.4) (4) と表すことができる。
【0051】また、本実施例では、ボイラ燃料により排
ガス中のSO2濃度は一定として扱えるので、中温脱硫
部での脱硫率YMの算出にはSO2濃度の関数は算入しな
いこととした。
【0052】また、同様に、低温脱硫部内の相対湿度
は、水噴霧量で制御されてほぼ一定であるので、相対湿
度による脱硫量変化を考慮に入れないこととした。
【0053】以上の条件下で、脱硫装置性能を推算した
場合の計算値と実測値とを比較した。計算はS(硫黄)
とCaの物質収支がバランスするように行った。リサイ
クルされる脱硫剤中の消石灰流量が一定(偏差<0.0
0001)になるかどうかで収束を判断した。
【0054】図4にリサイクルされる脱硫剤中の消石灰
流量が一定となる条件を満たす中温脱硫部と低温脱硫部
における脱硫率を求める計算フローを示す。まず、初期
値として、ボイラ1で用いられる燃料を燃焼させた場合
の排ガス中のSO2流量(mol/単位時間)S1(一
定)(SO2濃度測定装置M1で測定する値を用いる。)
と低温脱硫部へ供給する消石灰流量Ca1(一定)と供
給エア流量(一定)(ボイラが定常運転状態であること
を示す。)を入力する。
【0055】次に、リサイクル脱硫剤の中温脱硫部での
脱硫率YMとCa/S=XMの初期値として0.0を入力
する(図4のフローの循環サイクルのなかで初期値以外
の数値は後述の式(10)がフローの各サイクル毎に違
う値を取るので、この結果から求められる数値が順次入
力される。以下の各物性値も同様である。)。
【0056】次いで、低温脱硫部入口のCa/S=XL
は XL=Ca1/S2 (5) で計算する。ただし、S2は低温脱硫部入口SO2流量で
あり、初期値は排ガス中のSO2流量S1である。
【0057】また、低温脱硫部での脱硫率YLは前記し
た実験式(3)のとおり YL=0.168XL+0.218 (1.0≦XL≦3.0) であり、低温脱硫部出口SO2流量S3(mol/単位時
間)と低温脱硫部入口SO2流量S2(mol/単位時
間)との間には次のような関係が成立する。 S3=S2×(1−YL) (6) なお、ここで低温脱硫部出口SO2流量S3は本実施例の
総合脱硫率の計算値を算出するために必要である。
【0058】また、集塵装置5から排出される排出脱硫
剤中の未反応脱硫剤流量(脱硫塔2の水蒸気中を経るこ
とで、CaOの大部分がCa(OH)2となってい
る。)Ca2は第1発明の前提条件(a)より、次の式
で求められる。 Ca2=Ca1+Ca4−S2×YL (7) ここでCa4は中温脱硫部での未反応の脱硫剤流量であ
り、初期値は0.0である。
【0059】そして、リサイクル比α=0.5(一定)
とすると、中温脱硫部にリサイクルされる脱硫剤中の未
反応脱硫剤流量Ca3は第1発明の前提条件(b)から
脱硫剤の履歴に無関係であるという条件が成立するの
で、 Ca3=α×Ca2 (8) が成立する。そして、中温脱硫部でのCa/S=X
Mは、 XM=Ca3/S1 (9) として計算できる。
【0060】また、中温脱硫部の脱硫率YMは前記した
実験式(4)より YM=0.0.258XM+0.030 (0.4≦XM≦1.4) であるので、中温脱硫部出口SO2流量(=低温脱硫部
入口SO2流量)S2は S2=(1−YM)×S1 (10) である。
【0061】リサイクル脱硫剤中の脱硫剤流量の収束を
見るための判定値Ca4は Ca4=Ca3−YM×S1 (11) であり、判定値(一回前の脱硫剤をリサイクルした時の
Ca4)の初期値は0.0とおくと、 |(Ca4−判定値)/Ca4|<10-5 (12) を満足する結果が得られれば、収束があるものとする。
【0062】リサイクル比αが0.5の場合、計算上の
総合脱硫率Yは次の式で求められる。 Y=YM+(1−YM)YL (13) または、 Y=(ボイラ1用燃料の燃焼排ガス中のSO2流量S1 −前記収束後の低温脱硫部出口SO2流量S3) /ボイラ1用燃料の燃焼排ガス中のSO2流量S1 (14) 以上の条件下で、脱硫装置性能を推算した場合と実測値
とを比較した。リサイクル比が0.5の場合、計算上の
総合脱硫率は約81%であるのに対し、SO2濃度測定
装置M1およびM4の値から得た実測値では約80〜82
%であった。また、中温脱硫部の脱硫率は、計算では約
33%であるが、SO2濃度測定装置M1およびM2の値
から得た実測値では約31〜34%であり、測定誤差を
考慮に入れれば、いずれの場合も非常によく一致してい
るといえる。
【0063】この推算から、ボイラ1の運転条件が変化
する場合であっても、リサイクル比α=0.5が一定に
なるように中温脱硫部の脱硫剤供給量を制御し(制御装
置C1により)、かつ、SO2濃度測定装置M1の値とガ
ス流量からCa/S=2.0となるよう低温脱硫部の脱
硫剤供給量を制御する(制御装置C3により)ことの二
点を注意することによって、安定的に80〜82%の総
合脱硫率を得ることができた。
【0064】比較例1 次に、脱硫率を測定しながら制御する従来法に基づいて
運転を行った。この方法では、リサイクル比αは変化さ
せ、消灰石の供給量をCa/S=2.0という条件だけ
を固定して運転することとした。この方法で、先の実験
の場合と全く同じ燃焼器運転状態のため、中温脱硫部で
供給される脱硫剤の供給量がボイラ1からでる排ガスの
量の変動に追従して刻々と変化する。そこで、目標の脱
硫率が81%であるならば、SO2濃度測定装置M1およ
びM4の値から得た脱硫率の実測値から、脱硫率81%
を越えた時点で中温脱硫剤供給量を一定にし、更に上昇
するようなら該供給量を減少させ、81%よりも低くな
れば供給量を増加させることにより脱硫率制御を行っ
た。
【0065】脱硫率の安定性は本発明に基づく脱硫率推
算法を用いた場合よりも劣り、78〜85%の間でしか
制御できなかった。これは、中温脱硫部単独の脱硫率を
Ca/Sから事前に予測する方法が組み込まれていない
ために、対応できなかったものである。このことから、
脱硫率が変動した後に対処する従来の方法では、実施例
1の脱硫率推測法を組み込んだ制御方法よりも応答速度
が遅いといえる。
【0066】実施例2 実施例1と全く同じ装置および排ガス条件下で、リサイ
クル比αを変化させて中温脱硫部のみの脱硫率YMと総
合脱硫率Y=YL+YMの推算値をもとめた(図5参
照)。低温脱硫部の脱硫率YLはリサイクル比αが0.
51よりも大きくなるとCa/S(XL)>3で収束値
となり、前記実験式(3)の適用できる実測値の範囲を
越えてしまう。同様にして中温脱硫部のCa/S
(XM)についても0.4≦Ca/S(XM)≦1.4を
満たす範囲は、0.24≦α≦0.56である(図6参
照)。
【0067】以上より、今回のリサイクル脱硫率推算に
関してはリサイクル比αが0.24以上かつ0.51以
下の場合に十分な精度が期待できる。実際にリサイクル
比αの値が0.24≦α≦0.51においては、総合脱
硫率Yは偏差±5%以内で非常によく一致することがわ
かった。
【0068】なお、反応済み脱硫剤の中温脱硫部へのリ
サイクル時に、スラリ化した場合についても、中温脱硫
部の蒸気分圧約12%になるようにし、上記と同様な検
討を行ったところ、スラリー化しない場合と同等の精度
で推算できた。そのときの推算値は実施例1とほとんど
同じで約82%であり、実測値は約81〜83%であっ
た。
【0069】実施例3 実施例1と同じ装置および排ガス条件下で、脱硫装置立
ち上がりの脱硫率の制御に当り、脱硫率の推算値を用い
た。実施例2で用いたリサイクル比αから求めた低温脱
硫部のCa/S(XL)の収束値を利用する。リサイク
ル比α=0.5の場合、Ca/S(XL)=2.94で
収束するので、煙道ガス流量と低温脱硫部入口排ガス中
のSO2流量から計算し、Ca/S(XL)=2.94で
一定になるように低温脱硫部に消石灰を供給する。以上
の脱硫装置制御法により装置立ち上げ時の脱硫率の変動
を最小限に防止できた(図7参照)。
【0070】実施例4 実施例1とまったく同じ装置および同じ条件下で、リサ
イクル比α=0.5で運転した。これに対して、ボイラ
1の出力変動時を模擬し、石炭の供給量および送風量を
120%にした場合、低温脱硫部の消石灰供給量を一定
のまま脱硫率を維持するため、低温脱硫部のCa/S
(XL)が1/1.20倍(XL=2.0/1.20=
1.67)のリサイクル比αと総合脱硫率との関係(図
8参照)およびリサイクル比αとCa/Sの関係(図9
参照)を実施例2の場合と同様に求めた。
【0071】この結果によれば、リサイクル比αを0.
64にする事により脱硫率はほぼ維持できることが予想
される。実際に該装置において、リサイクル比αを0.
64に変化させたところ脱硫率は、実施例1(α=0.
5)の場合の総合脱硫率80〜82%に対して、α=
0.64(ただし、石炭の供給量および送風量は実施例
3の120%)の場合、約79〜81%とほぼ予想通り
の結果を得た。これにより、リサイクル比αを変化させ
て運転した場合であっても、容易に総合脱硫率を推測で
きた。
【0072】実施例5 脱硫剤として石灰石を用い、石炭焚ボイラの排ガスを脱
硫処理する場合について、脱硫装置への本発明の適用例
を用いて説明する。図10において、ボイラ1からの排
ガスに前記脱硫剤が加えられた後、排ガスはエアヒータ
3で温度を下げられ、脱硫塔2に導かれる。反応した脱
硫剤は排ガス中の灰とともに集塵装置5で捕集され、廃
棄される。
【0073】ボイラ1の火炉には高温脱硫剤ホッパー1
0より高温脱硫剤供給量制御器C2を介して高温脱硫剤
噴霧口7から新鮮な脱硫剤が供給される。この時石灰石
は高温分解されて脱硫反応性の高い生石灰となる。ま
た、集塵装置5で回収された未反応脱硫剤を含むリサイ
クル脱硫剤はリサイクル経路8を経てリサイクル剤ホッ
パー11にリサイクルされる。そしてこのリサイクル脱
硫剤は温度650℃の排ガス煙道中に中温脱硫剤供給量
制御器C1と中温脱硫剤噴霧口9を介して供給される。
【0074】この装置を用いて、A炭(石炭中の硫黄分
2.5%)を燃焼したときの脱硫性能を測定した。ただ
し、Ca/S=2.0の割合で添加した。また、脱硫塔
2内では塔内温度が65℃になるように水を噴霧した。
この際、前記標準条件(ガス中の水蒸気分圧は、大気圧
の約17%(相対湿度約85%、水噴霧前は水蒸気分圧
約10%))とした。
【0075】脱硫剤を噴霧する前にボイラ1の出口にお
いてガス中の水分を除去した後、SO2濃度を測定した
ところ2,000ppmであった。脱硫剤噴霧開始後、
ボイラ1出口および低温脱硫部出口SO2濃度測定装置
4(実際は集塵装置5出口で測定する。)において、
ガス中の水分を除去した後、SO2濃度を測定したとこ
ろそれぞれ1,200ppmおよび800ppmであっ
た。すなわち、排ガス中のSO2の内60%が除去され
たことになる。
【0076】以上の反応が終了したのち集塵装置5から
回収された灰には、脱硫剤1モル当りのSO2吸収量
が、30.0%の反応済み脱硫剤が含まれていた。該反
応済み脱硫剤の半分を廃棄した後、これをリサイクル経
路8からボイラ1の中温脱硫部(ガス温度650℃)に
供給する。ここでリサイクル率αは、上記の条件におい
てはα=0.5である。以上のプロセスを繰り返して連
続的に行う。
【0077】この際、本発明で述べられている脱硫率推
算法を用いた場合と脱硫率の実測値を用いた従来方式の
各脱硫部での脱硫率を測定してリサイクル脱硫剤量を決
める方式との比較をおこなった。ここで従来方式とは、
中温脱硫部入口SO2濃度測定装置M1、中温脱硫部出口
SO2濃度測定装置M2または低温脱硫部入口SO2濃度
測定装置M3および低温脱硫部出口SO2濃度測定装置M
4でそれぞれサンプリングを行い、その排ガス中のSO2
濃度を測定し、得られた各脱硫部のSO2濃度から実際
の各部の脱硫率を求め、各部の脱硫率の要求値に合致す
るようにリサイクル脱硫剤または低温脱硫部への新鮮脱
硫剤の供給量を調節する方式である。
【0078】まず、実際の運転前に、低温脱硫部、中温
脱硫部および高温脱硫部において、排ガスの反応温度お
よびSO2濃度を一定にしてCa/Sと脱硫率の関係を
それぞれ求めた。なお、低温脱硫部における脱硫剤(C
aOが水噴霧により、Ca(OH)2と成っている。)
と排ガス中のCO2(中温脱硫部入口での濃度12%)
との反応について調査してみたところ、本装置において
は、脱硫剤1モル当りのCO2吸収量はほぼ10%で一
定だった。また、本実施例では、高温脱硫の条件はCa
/Sが変化しない条件であるので高温脱硫率は26%で
一定とした。
【0079】以上の実験値から、実施例1と同様の手順
で次の実験式(15)、(16)が得られた。標準条件
での本脱硫装置の低温脱硫部におけるCa/S(XL
と脱硫率(YL)の関係は、 YL=0.137XL+0.128 (1.0≦XL≦3.3) (15) 一方、中温脱硫部におけるCa/S(XM)と脱硫率
(YM)の関係は、 YM=0.171XM−0.022 (0.4≦XM≦2.0) (16) と表すことができる。
【0080】以上の条件下で、脱硫装置性能を推算した
場合の計算値と実測値とを比較した。計算は実施例1と
同様に、S(硫黄)とCaの物質収支がバランスするよ
うに行った。リサイクルされる脱硫剤中の未反応の脱硫
剤流量が一定(偏差<0.00001)になるかどうか
で収束を判断した。
【0081】図11にリサイクルされる脱硫剤中の未反
応脱硫剤流量が一定となる条件を満たす中温脱硫部と低
温脱硫部における脱硫率を求める計算フローを示す。ま
ず、初期値として、脱硫前のボイラ1で用いられる燃料
を燃焼させた場合の排ガス中のSO2濃度(一定、単位
%)(SO2濃度測定測定M1での測定値)と高温脱硫部
へ供給するCaO換算石灰石流量Ca0(一定)とエア
を含めた全ガス流量(一定)(ボイラ1が定常運転状態
であることを示す。)を入力する。そして、CaO換算
石灰石流量Ca0と排ガス中のSO2濃度と全ガス流量
(m3/単位時間)から求められる高温脱硫部でのCa
/S=S1(mol/単位時間)と予備実験で求められ
た高温脱硫部脱硫剤反応率(=0.13)、高温脱硫部
脱硫率(=0.26)は一定であると仮定できる。な
お、全ガス流量は厳密にはSO2と熱分解で発生するC
2が加わるが、これらは無視できる流量であるのでほ
ぼ供給エア流量と等しい。このとき高温脱硫部から中温
脱硫部へ流入する未反応脱硫剤流量Ca1は前記高温脱
硫部脱硫剤反応率から Ca1=0.87Ca0 (17) となる。
【0082】次に高温脱硫部に供給される脱硫剤の中温
脱硫部での脱硫率=0.0(一定)と第2発明の前提条
件(b)で仮定したので、高温脱硫部に供給される脱硫
剤の中温脱硫部での反応率=0.0とする。また、リサ
イクル脱硫剤の中温脱硫部での脱硫率YMとCa/S=
Mの初期値として0.0を入力する。
【0083】次いで、低温脱硫部入口のCa/S=XL
は XL=Ca1/S2 (18) で計算する。ただし、S2は低温脱硫部入口SO2流量で
あり、初期値は第2発明の前提条件(b)より、高温脱
硫部で脱硫された後のSO2量は(S1−0.26S1
=0.74S1である(初期値以外の数値は後述の式
(23)から入力する。)。
【0084】また、低温脱硫部での脱硫率YLは前記し
た実験式(15)のとおり YL=0.137XL+0.128 (1.0≦XL≦3.3) であり、低温脱硫部出口SO2流量S3と低温脱硫部入口
SO2流量S2との間には次のような関係が成立する。 S3=S2×(1−YL) (19) なお、ここで低温脱硫部出口SO2流量S3は本実施例の
総合脱硫率の計算値を算出するために必要である。
【0085】また、集塵装置5から排出される排出脱硫
剤中の未反応脱硫剤流量Ca2は第2発明の前提条件
(a)、(b)より、次の式で求められる。 Ca2=Ca1+Ca4−S2×YL (20) ここでCa4は中温脱硫部での未反応の脱硫剤流量であ
り、初期値は0.0である。
【0086】そして、リサイクル比α=0.5(一定)
とすると、中温脱硫部にリサイクルされる脱硫剤中の未
反応脱硫剤流量Ca3は第2発明の前提条件(c)から
脱硫剤の履歴に無関係であるという条件が成立するの
で、 Ca3=α×Ca2 (21) が成立する。そして、中温脱硫部でのCa/S=XM
第2発明の前提条件(b)より、 XM=Ca3/0.74S1 (22) として計算する。ここで、中温脱硫部入口SO2流量は
高温脱硫部で順次供給される新鮮な脱硫剤により高温脱
硫部で除去されたSO2流量であり、その値は一定値
(S1−0.26S1=0.74S1)を持つ。
【0087】また、中温脱硫部の脱硫率YMは前記した
実験式(16)より YM=0.173XM−0.022 (0.4≦XM≦2.0) であるので、中温脱硫部出口SO2流量(=低温脱硫部
入口SO2流量)S2は S2=(1−YM)×0.74S1 (23) である。
【0088】リサイクル脱硫剤中の未反応脱硫剤流量の
収束を見るための判定値Ca4は Ca4=Ca3−YM×0.74S1 (24) であり、判定値(一回前の脱硫剤をリサイクルした時の
Ca4)の初期値は0.0とおくと、 |(Ca4−判定値)/Ca4|<10-5 (25) を満足する結果が得られれば、収束があるものとする。
【0089】リサイクル比が0.5の場合、計算上の総
合脱硫率Yは次の式で求められる。 Y=0.26+0.74YM+0.74(1−YM)YL (26) または、 Y=(ボイラ1用燃料の燃焼排ガス中のSO2流量S1 −前記収束後の低温脱硫部出口SO2流量S3) /ボイラ1用燃料の燃焼排ガス中のSO2流量S1 (27)
【0090】本実施例の総合脱硫率は約76%であるの
に対し、実測値では約75〜77%であった。この推算
から、ボイラ1の運転条件が変化する場合であっても、
リサイクル比α=0.5が一定になるように中温脱硫部
の脱硫剤供給量を制御し(制御装置C1により)、か
つ、燃料中の硫黄成分割合、燃料供給量、SO2濃度測
定装置M1の値とガス流量からCa/S=2.0となる
よう高温脱硫部の脱硫供給量を制御する(制御装置C2
により)ことの二点を注意することによって、安定的に
75〜77%の総合脱硫率を得ることができた。
【0091】比較例2 次に、図10に示す排煙脱硫装置を用いて、脱硫率を測
定しながら制御する従来法に基づいて運転を行った。こ
の方法では、リサイクル比αは変化させ、石灰石の供給
量をCa/S=2.0という条件だけを固定して運転す
ることとした。この方法で、先の実験の場合と全く同じ
ボイラ1の運転状態のため、中温脱硫部で供給される脱
硫剤の供給量がボイラ1から出る排ガスの量の変動に追
従して刻々と変化する。
【0092】そこで、目標の脱硫率が76%であるなら
ば、SO2濃度測定装置M1で実測した初期SO2濃度と
SO2濃度測定装置M4の値から得た脱硫率の実測値か
ら、脱硫率76%を越えた時点でリサイクル脱硫剤供給
量制御器C1を制御することで、中温脱硫剤供給量を一
定にし、更に上昇するようなら該供給量を減少させ、7
6%よりも低くなれば供給量を増加させることにより脱
硫率制御を行った。
【0093】脱硫率の安定性は本発明に基づく脱硫率推
算法を用いた場合よりも劣り、72〜80%の間でしか
制御できなかった。これは、中温脱硫部単独の脱硫率を
Ca/Sから事前に予測する方法が組み込まれていない
ために、対応できなかったものである。このことから、
脱硫率が変動した後に対処する従来の方法では、本発明
の脱硫率推測法を組み込んだ制御方法よりも応答速度が
遅いといえる。
【0094】実施例6 実施例5と全く同じ装置および排ガス条件下で、リサイ
クル比αを変化させて総合脱硫率の推算値をもとめた。
この際、実測値の範囲の値(低温脱硫のCa/Sが1.
0〜3.3、中温脱硫のCa/Sが0.4〜2.0)で
評価する必要がある。そこで、リサイクル脱硫率推算に
関してはリサイクル比αが0.20の場合について実測
値と推測値とを比較してみた。
【0095】実施例5記載の推算式から総合脱硫率Yを
推測すると、約63%になる。実際に、リサイクル比α
が0.2においては、総合脱硫率は62〜64%とな
り、よく一致することがわかった。
【0096】なお反応済み脱硫剤の中温脱硫部へのリサ
イクル時に、スラリ化した場合についても、低温脱硫部
の脱硫率の値を変更することによって、上記と同様な検
討を行ったところ、スラリ化しない場合と同等の精度で
推算できることが確認された。そのときの推算値は約7
7%であり、実測値は約76〜78%である。
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、従来、総合脱硫率の推
算法が確立していなかった低温脱硫中温リサイクル方
式、高温脱硫中温リサイクル方式の脱硫装置の制御が可
能になるばかりではなく、事前に対象装置における最適
な運転条件を検討することにより運転コストの低減が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の脱硫装置のフローシート
および概略図である。
【図2】 実施例1の脱硫装置における任意のCa/S
に対する低温脱硫単独の脱硫性能を示すグラフである。
【図3】 実施例1の脱硫装置における中温脱硫単独の
脱硫率とCa/Sの関係を示すグラフである。
【図4】 実施例1で用いた脱硫性能推算法のフローシ
ートである。
【図5】 実施例1で示した脱硫率推算法により算出し
たリサイクル比と脱硫率の関係を示すグラフである。
【図6】 実施例2で示した脱硫率推算法により算出し
たリサイクル比と低温部および中温部でのCa/Sとの
関係を示すグラフである。
【図7】 実施例3に示した脱硫装置立ち上げ法の効果
を示すグラフである。
【図8】 実施例4に示したボイラからの排ガス量が一
時的に変動した場合に、消石灰供給量一定でリサイクル
比を変化させることでどのような脱硫率が得られるかを
推定したグラフである。
【図9】 実施例4において、リサイクル比を変化させ
ることでCa/Sがどうなるか推算した結果をグラフ化
したものである。
【図10】 実施例5の脱硫装置のフローシートおよび
概略図である。
【図11】 実施例5で用いた脱硫性能推算法のフロー
シートである。
【図12】 一般的な脱硫装置のフローシートである。
【符号の説明】
1…ボイラ、2…脱硫塔、3…エアヒータ、4…水噴出
ノズル、5…集塵装置、8…リサイクル経路、10、1
3…新鮮(未反応)脱硫剤ホッパー、11…リサイクル
脱硫剤ホッパー、M…SO2濃度測定装置、C…脱硫剤
供給量制御装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
    酸化物、水酸化物又は炭酸塩のうち一種類以上を脱硫剤
    として用い、燃焼装置から排出される排ガス路の温度2
    00℃以下の低温脱硫部に供給し、排ガス中の硫黄酸化
    物(SO2)と反応させ、その一部が排ガス中のSO2
    反応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集塵装置で回収し
    た後、回収した未反応脱硫剤を含む燃焼灰を温度500
    〜900℃の中温脱硫部に供給し、排ガス中のSO2
    反応させる排煙脱硫方法において、(a)中温脱硫部で
    反応した脱硫剤の低温脱硫部を含む温度500℃以下の
    領域での脱硫反応を無視する、(b)集塵装置で回収さ
    れ、中温脱硫部に供給される脱硫剤の脱硫率は、中温脱
    硫部での単位時間当たりの(未反応脱硫剤の供給モル
    数)/(排ガス中のSO2モル数)及び排ガス中のSO2
    濃度をパラメータとして予め評価しておいた中温脱硫部
    単独の脱硫率から決定する、(c)低温脱硫部での脱硫
    率は、低温脱硫部での単位時間当たりの(脱硫剤供給モ
    ル数)/(排ガス中のSO2モル数)及び低温脱硫部の
    相対湿度をパラメータとして決定し、排ガス中のSO2
    濃度をパラメータとしない、ことを条件として総合脱硫
    率を求め、排煙脱硫装置の運転性能を評価することを特
    徴とする排煙脱硫装置運転性能評価方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
    酸化物、水酸化物又は炭酸塩のうち一種類以上を脱硫剤
    として用い、燃焼装置から排出される排ガス路の温度2
    00℃以下の低温脱硫部に供給し、排ガス中の硫黄酸化
    物(SO2)と反応させ、その一部が排ガス中のSO2
    反応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集塵装置で回収し
    た後、回収した未反応脱硫剤を含む燃焼灰に水を添加し
    て、これをスラリ状態にした後に、温度500〜900
    ℃の中温脱硫部に供給し、排ガス中のSO2と反応させ
    る排煙脱硫方法において、(a)中温脱硫部で反応した
    脱硫剤の低温脱硫部を含む温度500℃以下の領域での
    脱硫反応を無視する、(b)集塵装置で回収され、中温
    脱硫部に供給される脱硫剤の脱硫率は、中温脱硫部での
    単位時間当たりの(未反応脱硫剤の供給モル数)/(排
    ガス中のSO2モル数)及び排ガス中のSO2濃度をパラ
    メータとして予め評価しておいた中温脱硫部単独の脱硫
    率から決定する、(c)低温脱硫部での脱硫率は、低温
    脱硫部での単位時間当たりの(脱硫剤供給モル数)/
    (排ガス中SO2モル数)及び低温脱硫部の相対湿度を
    パラメータとして決定し、排ガス中のSO2濃度をパラ
    メータとしない、ことを条件として総合脱硫率を求め、
    排煙脱硫装置の運転性能を評価することを特徴とする排
    煙脱硫装置運転性能評価方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の排煙脱硫装置運
    転性能評価方法により、低温脱硫部または中温脱硫部の
    少なくともいずれかの脱硫部での単位時間当たりの(脱
    硫剤供給モル数)/(排ガス中のSO2モル数)を変化
    させることにより、中温脱硫部を含めた排煙脱硫装置全
    体の脱硫率を一定に制御することを特徴とする排煙脱硫
    装置制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の排煙脱硫装置運
    転性能評価方法により、脱硫剤リサイクル時の定常状態
    での低温部脱硫部または中温脱硫部の少なくともいずれ
    かの脱硫部での単位時間当たりの(脱硫剤供給モル数)
    /(低温部脱硫部入口SO2流入モル数)を推算し、該
    推算モル比を運転当初から推算した値とすることによっ
    て排煙脱硫装置をより早く定常状態にすることを特徴と
    する排煙脱硫装置制御方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
    酸化物、水酸化物または炭酸塩のうち一種類以上を脱硫
    剤として用いて温度900℃以上の高温脱硫部の燃焼装
    置火炉または排ガス煙道中に供給し、燃焼装置から排出
    される排ガス中の硫黄酸化物(SO2)と反応させ、脱
    硫剤の一部が排ガス中のSO2と反応した未反応脱硫剤
    を含む脱硫剤を温度200℃以下の低温脱硫部の排ガス
    中に導き、該低温脱硫部の湿度を制御して、低温脱硫部
    内での脱硫反応を促進させた後、集塵装置で回収し、回
    収した未反応脱硫剤を含む燃焼灰を温度500〜900
    ℃の中温脱硫部の排ガス中に供給し、排ガス中のSO2
    と反応させる排煙脱硫方法において、(a)中温脱硫部
    で反応した脱硫剤の低温脱硫部を含む温度500℃以下
    の排ガス温度領域では脱硫反応を無視する、(b)高温
    脱硫部に供給した脱硫剤は中温脱硫部では反応しない、
    (c)集塵装置で回収した脱硫剤を中温脱硫部に供給さ
    れる脱硫剤の脱硫率は、中温脱硫部での単位時間当たり
    の(未反応脱硫剤の供給モル数)/(排ガス中のSO2
    モル数)及び排ガス中のSO2濃度をパラメータとして
    予め評価しておいた中温脱硫部単独の脱硫率から決定す
    る、(d)低温脱硫部での脱硫率は、低温脱硫部での単
    位時間当たりの(脱硫剤供給モル数)/(排ガス中SO
    2モル数)及び低温脱硫部の相対湿度をパラメータとし
    て決定し、排ガス中のSO2濃度をパラメータとしな
    い、ことを条件として総合脱硫率を求め、排煙脱硫装置
    の運転性能を評価することを特徴とする排煙脱硫装置運
    転性能評価方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属またはアルカリ土類金属の
    酸化物、水酸化物又は炭酸塩のうち一種類以上を脱硫剤
    として用い、燃焼装置から排出される排ガス路の温度2
    00℃以下の低温脱硫部に供給し、排ガス中の硫黄酸化
    物(SO2)と反応させ、その一部が排ガス中のSO2
    反応した未反応脱硫剤を含む脱硫剤を集塵装置で回収し
    た後、回収した未反応脱硫剤を含む燃焼灰に水を添加し
    て、これをスラリ状態にした後に、温度500〜900
    ℃の中温脱硫部に供給し、排ガス中のSO2と反応させ
    る排煙脱硫方法において、(a)中温脱硫部で反応した
    脱硫剤の低温脱硫部を含む温度500℃以下の排ガス温
    度領域では脱硫反応を無視する、(b)高温脱硫部に供
    給した脱硫剤は中温脱硫部では反応しない、(c)集塵
    装置で回収した脱硫剤を中温脱硫部に供給される脱硫剤
    の脱硫率は、中温脱硫部での単位時間当たりの(未反応
    脱硫剤の供給モル数)/(排ガス中のSO2モル数)及
    び排ガス中のSO2濃度をパラメータとして予め評価し
    ておいた中温脱硫部単独の脱硫率から決定する、(d)
    低温脱硫部での脱硫率は、低温脱硫部での単位時間当た
    りの(脱硫剤供給モル数)/(排ガス中SO2モル数)
    及び低温脱硫部の相対湿度をパラメータとして決定し、
    排ガス中のSO2濃度をパラメータとしない、ことを条
    件として総合脱硫率を求め、排煙脱硫装置の運転性能を
    評価することを特徴とする排煙脱硫装置運転性能評価方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の排煙脱硫装置運
    転性能評価方法により、中温脱硫部または低温脱硫部の
    少なくともいずれかの脱硫部での単位時間当たりの(未
    反応脱硫剤供給モル数)/(排ガス中のSO2モル数)
    を変化させることにより、低温脱硫部を含めた排煙脱硫
    装置全体の脱硫率を一定に制御することを特徴とする排
    煙脱硫装置制御方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6記載の排煙脱硫装置運
    転性能評価方法により、脱硫剤リサイクル時の定常状態
    での中温脱硫部または低温脱硫部の少なくともいずれか
    の脱硫部での単位時間当たりの(未反応脱硫剤供給モル
    数)/(低温脱硫部入口SO2流入モル数)を推算し、
    該推算モル比を運転当初から推算した値とすることによ
    って排煙脱硫装置をより早く定常状態にすることを特徴
    とする排煙脱硫装置制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160060209A (ko) * 2014-11-19 2016-05-30 한국기계연구원 탈황 제어방법 및 장치 및 이를 이용한 폐자원 에너지화 시스템
CN112990652A (zh) * 2021-01-27 2021-06-18 中国特种设备检测研究院 一种耦合污染物减排的锅炉能效与经济技术性结合的评价方法

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