JP5024735B2 - 排ガス処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、都市ごみ焼却施設、産業廃棄物焼却施設、およびその他の燃焼装置、加熱装置等において燃焼、加熱工程に伴って排出される排ガス中に含まれる塩化水素、二酸化硫黄からなる酸性ガスを除去する排ガス処理方法に関し、詳しくは液状アルカリ剤および粉末状アルカリ剤(以下、総称して単に「アルカリ剤」ともいう)を排ガス中に供給して酸性ガスと反応させ該酸性ガスとの反応生成物を除去する際の、液状アルカリ薬剤および粉末状アルカリ薬剤の供給量を制御する排ガス処理方法に関する。
都市ごみや産業廃棄物を焼却処理する際に生ずる排ガスや、その他の燃焼装置や加熱装置で燃焼、加熱工程に伴って排出される排ガスには塩化水素や二酸化硫黄を含む酸性ガスが含まれている。これらの酸性ガスは有害なので、排ガスを大気へ放出する際には酸性ガス濃度を規制値以下とするように排ガス処理が行われている。
ごみ焼却施設等において用いられている排ガス処理方法として、特許文献1に記載のものが知られている。該特許文献1の排ガス処理方法では、まず、焼却炉、二次燃焼室そしてボイラを経た排ガスをガス冷却塔に導き、このガス冷却塔において苛性ソーダ水溶液を噴霧し、排ガスを所定温度に減温するとともに、排ガス中の酸性ガスを中和し、さらに排ガスをバグフィルタに導く。該バグフィルタ入口側煙道において排ガス中に粉末アルカリ剤である消石灰を噴霧して、排ガス中の残存する酸性ガス成分と粉末アルカリ剤との反応により生成した反応生成物を煤塵とともにフィルタにより捕集して排ガスから除去している。
上記特許文献1の排ガス処理方法によれば、ガス冷却塔で苛性ソーダ水溶液を噴霧する処理あるいはバグフィルタ入口側煙道において排ガス中に粉末アルカリ剤を噴霧する処理を単独で行う場合に比べて、排ガス中の酸性ガスをより多く除去することができ、また、苛性ソーダ水溶液使用量や粉末アルカリ剤使用量を低減できるため、排ガス処理コストを低減できる。
特開2004−324956
しかしながら、廃棄物焼却炉等では、燃焼処理対象物の組成、性状が常に変動するので排ガス中の酸性ガス成分濃度も常に大きな幅で変動している。かかる廃棄物焼却炉等において、特許文献1による排ガス処理方法を適用しても、酸性ガスの排出規制値以下に酸性ガスを安定的に低減することが困難であり、排出規制値以下に酸性ガスを低減するためには苛性ソーダ水溶液や粉末アルカリ剤を多く使用せざるを得ず、その結果、アルカリ剤の使用量が増大し、その分、処理コストも増大してしまうという問題が生じる。
例えば、ガス冷却塔において苛性ソーダ水溶液を一定量で吹き込み、バグフィルタ下流側の煙突部分で塩化水素濃度および二酸化硫黄濃度を計測し、これらの濃度が目標濃度以下になるようにバグフィルタ入口煙道において噴霧する消石灰噴霧量をフィードバック制御する方式を行ったとしても、排ガス中の酸性ガス成分濃度の変動に十分に対応するのは難しく、上述した問題は解決されない。
また、特許文献1による排ガス処理方法において粉末アルカリ剤として消石灰を噴霧する場合、例えば、排ガスをおおよそ180℃まで冷却した後に消石灰粉末を排ガス流路又は集塵機入口に噴霧して塩化水素及び二酸化硫黄と反応させ、集塵機として使用されるバグフィルタによって反応生成物である塩化カルシウム(CaCl2)及び石膏(CaSO4)を煤塵とともに捕集して排ガスから除去する場合には後述するような問題が生じる。
上記特許文献1では、排ガス中の酸性ガスとしての塩化水素(HCl)を除去するために、消石灰(Ca(OH)2)を排ガス中に吹き込み、
2HCl+Ca(OH)2→CaCl2+2H2O
の反応のもとに、塩化カルシウム(CaCl2)を生成し、この塩化カルシウムをフィルタにて煤塵とともに捕集している。
しかしながら、塩化水素が消石灰と反応して生成されるCaCl2は吸湿性が高いので、排ガス中の水分を吸収して水和物CaCl2(H2O)nを生成し、この水和物が接着性物質として作用して煤塵粒子を凝集させたり煤塵粒子をバグフィルタに固着させてしまう。したがって、該バグフィルタに付着した煤煙を払い落とすべく該バグフィルタに払い落としガスを噴射しても、煤塵がバグフィルタに固着しているので払い落としが十分に行えない。その結果、フィルタの目詰まりによって、バグフィルタの差圧が上昇し誘引ブロワの負荷を増大させる問題、煤塵粒子が流路内面に固着して流路で詰まりが生じたり有効流通断面積が小さくなり排ガスの円滑な流送が困難になる問題、バグフィルタから払い落とされた煤塵を受けて排出するホッパあるいは搬出コンベアで煤塵が固化したり、ブリッジを形成して煤塵を排出することが困難になる問題が生じる。
また、排ガス中の二酸化硫黄濃度が比較的高い場合には、消石灰と塩化水素の反応により生じるCaCl2が、さらに排ガス中の二酸化硫黄と反応することにより石膏(CaSO4)が生成され、煤塵粒子が石膏により凝集したり接着されて固化しバグフィルタに固着する。この結果、払い落としが十分に行えずに、フィルタの目詰まりが生じるという問題や、煤塵を排出することが困難になる問題が生じている。このように、塩化水素と二酸化硫黄に対して消石灰を吹き込む場合には、煤塵の固化固着が生じるという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、排ガス中の酸性ガス成分濃度の変動が大きい排ガスを処理する際に、酸性ガスの排出規制値以下に酸性ガスを安定的に除去でき、かつ低い処理コストで処理することができ、また、酸性ガスを含有する排ガスに消石灰を供給して酸性ガス濃度を低減する場合には、バグフィルタや周辺機器への煤塵の固着を防止することのできる排ガス処理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る排ガス処理方法は、塩化水素と二酸化硫黄を含む酸性ガスを含有する排ガスをガス冷却塔で冷却する冷却工程と、ガス冷却塔で排ガスに液状アルカリ剤を供給する第一の酸性ガス除去工程と、ガス冷却塔から排出された排ガスに粉末アルカリ剤を供給する第二の酸性ガス除去工程と、粉末アルカリ剤が供給された排ガス中のダストを除去するとともに、酸性ガスと粉末アルカリ剤との反応生成物を集塵器で除去する集塵工程とを有している。
かかる排ガス処理方法において、本発明は、上記第一の酸性ガス除去工程と上記第二の酸性ガス除去工程との間で、ガス冷却塔から排出された排ガス中の塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度を計測する濃度計測工程を有し、上記第一の酸性ガス除去工程で、上記濃度計測工程で計測された二酸化硫黄濃度に基づき、排ガス中の二酸化硫黄濃度が所定の目標濃度に近づくように液状アルカリ剤の供給量をフィードバック制御し、上記第二の酸性ガス除去工程で、上記濃度計測工程で計測された塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度の計測値に基づき、排ガス中の塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度がそれぞれの所定の目標濃度に近づくように粉末アルカリ剤の供給量をフィードフォワード制御することを特徴としている。
本発明では、粉末アルカリ剤として、例えば、消石灰を用いる場合に、フィードフォワード制御される消石灰の供給量を下記のように演算し決定する。
第一の酸性ガス除去工程により処理された排ガス中の塩化水素濃度の計測値および二酸化硫黄濃度の計測値に基づき、塩化水素と反応し塩化水素濃度を目標塩化水素濃度に低減するために必要十分な消石灰の供給量と、二酸化硫黄と反応し二酸化硫黄濃度を目標二酸化硫黄濃度に低減するために必要十分な消石灰の供給量との和である消石灰の供給量Zを(1)式により演算する。
(数1)
Z=3.3×10−3(X−X)・Q・K+3.3×10−3(Y−Y
・Q・K (1)
ここで、
Z:消石灰の供給量(g/h)
:塩化水素濃度計測値(ppm)
:目標塩化水素濃度(ppm)
:二酸化硫黄濃度計測値(ppm)
:目標二酸化硫黄濃度(ppm)
Q :排ガス流量(Nm/h)
:モル係数(塩化水素との反応)
:モル係数(二酸化硫黄との反応)
上記(1)式は次のようにして導かれた式である。
(数2)
Z=(X−X)×10−6・Q・10・74・K/22.4
+(Y−Y)×10−6・Q・10・74・K/22.4
=3.3×10−3(X−X)・Q・K+3.3×10−3(Y−Y
・Q・K (2)
74:消石灰の式量 g/mol
22.4:理想気体のモル体積 l/mol
上記(2)式において、前項は塩化水素濃度計測値Xppmの塩化水素と中和反応して、目標塩化水素濃度Xppmにまで低減させるのに必要な消石灰供給量であり、後項は二酸化硫黄濃度計測値Yppmの二酸化硫黄と中和反応して、目標二酸化硫黄濃度Yppmにまで低減させるのに必要な消石灰供給量である。
本発明によれば、第一の酸性ガス除去工程により処理された排ガス中に上記(1)式で算出した供給量Zの消石灰を排ガス流路に供給して、排ガス中の塩化水素濃度と二酸化硫黄濃度を目標濃度以下に抑制することができる。
<モル係数の説明>
ここで、モル係数について、説明を加えておく。
例えば、排ガス中の酸性ガス成分であるHCl又はSO2の除去に必要な消石灰のモル数を算出するに当たり、排ガス流量と排ガス中のHCl濃度又はSO2濃度から算出される排ガス中のHCl又はSO2の時間当たりのモル数に乗じて、必要な消石灰の時間当たりのモル数を求める際に用いられる係数をモル係数という。すなわち、酸性成分の除去に必要な消石灰のモル数は、排ガス中の酸性ガス成分のモル数にモル係数を乗じることにより求められる。ここで、モル係数は酸性ガス成分の種類と消石灰粉末の種類によって異なる。
モル係数の求め方について、酸性ガス成分としてHClを例に挙げ以下に説明する。排ガス中のHClに対して消石灰(Ca(OH)2)を吹き込んで反応させ除去する際の反応は、次のとおりである。
HCl+1/2Ca(OH)2→1/2 CaCl2+H2O
1モルのHClと反応するのに理論的に必要な消石灰は1/2モルである。ここで、排ガス中においてガスとして存在しているHClに対し、消石灰は粉末状(固体状)であり、気相−固相反応となることから、実際の反応に必要な量は理論的必要量よりも多くなり、その必要量は実験的に求めることができる。消石灰の実際の必要量を求めるために実験を行ったところ、消石灰粉末としてJIS特号消石灰を用いた場合、180℃においてHClを96%除去するために必要な消石灰の当量比(実際に供給するモル数/理論モル数)は、3であった。そこで、モル係数は以下のとおりとなる。
特号消石灰を用いてHCl除去を行うとき、当量比3で除去率96%なので、100%除去するためには、次のようにモル係数は1.56となる。
(数3)
モル係数K=(100÷96)×3×1/2=1.56 (3)
また、酸性ガス成分がSO2の場合には、排ガス中のSO2に対して消石灰を吹き込んで反応させ除去する際の反応は、次のとおりである。
SO2+Ca(OH)2+1/2O2→CaSO4+H2O
1モルのSO2と反応するのに理論的に必要な消石灰は1モルである。HClと同様の実験によりSO2を除去するために必要な消石灰を算出するためのモル係数を求めたところ、以下のとおりとなる。
特号消石灰を用いてSO2除去を行うとき、180℃において当量比2で除去率45%なので、100%除去するためには、次のようにモル係数は4.44となる。
(数4)
モル係数K=(100÷45)×2=4.44 (4)
第二の酸性ガス除去工程で、粉末アルカリ剤としての消石灰を用いる場合に、バグフィルタに煤塵が固着したり周辺機器で固化して問題が生じることを防止するため、バグフィルタに固着したり周辺機器で固化した煤塵を詳細に解析した結果、消石灰と塩化水素、二酸化硫黄との反応生成物について検討して、以下のことが判明した。
(1)塩化水素と消石灰粉末の反応によって生じる塩化カルシウム(CaCl2)は吸湿性が高く、CaCl2が排ガス中の水分を吸収することにより水和物(CaCl2(H2O)n)が生成され、該水和物により煤塵粒子が凝集したり接着されて固化または固着したりする。
(2)排ガス中の二酸化硫黄濃度が比較的高い場合には、消石灰と塩化水素の反応により生じるCaCl2がさらに排ガス中の二酸化硫黄と反応することにより石膏(CaSO4)が生成され、該石膏により煤塵粒子が凝集したり接着されて固化または固着したりする。
これらの現象の反応プロセスを分析し解明した結果、塩化水素そして二酸化硫黄について、発明者は、以下のような対策が煤塵の固化固着を防止するのに効果的であることを見出した。
<塩化水素 HCl>
消石灰は塩化水素と反応する際に次のような2段階の反応で進む。
第1段階の反応:HCl+Ca(OH)2→CaClOH+H2O
第2段階の反応:HCl+CaClOH→CaCl2+H2O
そこで、吸湿性が高いCaCl2を生じさせないためには、第1段階で反応を終結させることが有効である。このために第1段階で塩化水素と反応させ水酸化塩素カルシウム(CaClOH)を生成させるのに必要十分な消石灰の供給量を塩化水素濃度から下限量として算出して、その下限量以上の消石灰を排ガス流路に供給して、塩化水素のほとんどの量と反応させ、第2段階の反応がなされないようにする。すなわち、第1段階の反応で塩化水素のほとんどの量をCaClOHとすることにより消石灰と塩化水素との反応を第1段階で終結させ、CaCl2を発生させないようにする。
第1段階の反応で終結される結果として生成されたCaClOHは、無害な固体粉末であり、吸湿性がないので、フィルタに固着することもなく、容易に払い落され捕集されて処分される。
<二酸化硫黄 SO2
排ガス中の二酸化硫黄濃度が比較的高い場合には、次のように塩化水素と消石灰の反応により生じたCaCl2が二酸化硫黄および排ガス中の水分と反応して、石膏(CaSO4)が生成される。石膏は煤塵粒子を凝集させたり煤塵粒子をフィルタに固着させてしまう等、不具合をもたらす。
CaCl2とSO2の反応:CaCl2+SO2+H2O→CaSO4+2HCl
そこで、SO2から有害な石膏(CaSO4)を生成させないために、次のようにCa(OH)2とSO2を反応させてCaSO3を生成するようにする。
Ca(OH)2とSO2の反応:Ca(OH)2+SO2→CaSO3+H2O
そのためには、排ガス中の塩化水素(HCl)に対しては、該塩化水素と消石灰との反応を既述の第1段階の反応で終結させてCaCl2が発生しないようにすべく、塩化水素と反応しCaClOHを生成させることにより、塩化水素濃度を目標塩化水素濃度以下に低減するために必要十分な消石灰の供給量を塩化水素濃度の計測値から算出する。そして、排ガス中にHClとともに存在する二酸化硫黄SO2に対しては、二酸化硫黄と反応しCaSO3を生成させることにより二酸化硫黄濃度を目標二酸化硫黄濃度以下に低減するために必要十分な消石灰の供給量を算出する。本発明では、両者の供給量の合計を下限量として消石灰を排ガス流路に供給して、その結果、CaCl2とCaSO4を発生させないようにする。
HClに対してはCaClOHを生成させ、CaCl2を生成しないようにするので、SO2はCaCl2とは反応できずにCa(OH)2と反応しCaSO3を生成する。このCaSO3は、CaClOHと同様、無害であり、固体で吸湿性がないので、フィルタに固着することもなく、容易に捕集され処分される。
このような検討の結果、粉末アルカリ剤が消石灰であり、排ガス中の酸性ガスを除去するとともに、集塵器での煤塵の固化固着を防止することができる排ガス処理方法を次のように見出した。
本発明に係る排ガス処理方法では、第二の酸性ガス除去工程で、塩化水素と反応してCa
ClOHを生成するとともに二酸化硫黄と反応してCaSO3を生成するために必要十分な粉末アルカリ剤としての消石灰の供給量Wを(5)式により演算し、該供給量Wを下限量として消石灰を供給する。
(数5)
W=3.3×10−3(X0+Y0)・Q (5)
W:消石灰の供給量(g/h)
X0:塩化水素濃度(ppm)
Y0:二酸化硫黄濃度(ppm)
Q :排ガス流量(Nm3/h)
上記(5)式により演算した消石灰の供給量Wを求めて、該供給量Wを下限量として消石灰を供給する排ガス処理方法は、排ガス中の酸性ガスを除去するとともに、集塵機での煤塵の固化固着を防止するためになされるものである。
ここで、上記式(5)は次のようにして導いた式である。
W=(X+Y)×10−6・Q×10×74/22.4
=3.3×10−3(X+Y)・Q
74:消石灰の式量 g/mol
22.4:理想気体のモル体積 l/mol
供給量Wを下限量とする消石灰が排ガス流路に供給されると、塩化水素HClに対しては水酸化塩素カルシウム(CaClOH)が生成されるに留まり、CaCl2は生成されないので、煤塵がフィルタに付着・固化することがない。また、二酸化硫黄SO2に対してはCaSO3が生成され、CaSO4は生成されないので、煤塵がフィルタに付着・固化することがない。このように、煤塵がフィルタ等に付着・固化することがないので、フィルタでの払い落とし操作により煤塵と反応生成物がフィルタから容易に払い落とされる。
上記(5)式により演算した消石灰の供給量Wを求めて、該供給量Wを下限量として消石灰を供給する排ガス処理方法の本発明では、塩化水素濃度を目標塩化水素濃度に低減するとともに二酸化硫黄濃度を目標二酸化硫黄濃度まで低減するために必要十分な量以上の供給量Wの消石灰を排ガス流路に供給する。さらに、該消石灰の供給量Wは、塩化水素と反応しCaClOHを生成し二酸化硫黄と反応しCaSOを生成するために必要十分な供給量Wを下限量としているので、塩化水素HClに対してはCaClOHを生成するに留まりCaCl2が生成されず、二酸化硫黄に対してはCaSOが生成されるに留まりCaSOを生成しない。したがって、本発明により、排ガス中の塩化水素濃度と二酸化硫黄濃度が目標濃度以下に抑制されるとともに、集塵器での煤塵の固化固着を防止される。
本発明によれば、排ガス中の酸性ガス成分濃度の変動が大きい排ガスを処理する際に、酸性ガスの排出規制値以下に酸性ガスを安定的に除去でき、かつ低い処理コストで処理することのできる排ガス処理方法を提供することができる。
また、本発明によれば、酸性ガスを含有する排ガスに消石灰を供給して酸性ガス濃度を低減するにあたって、煤塵の固化を防止でき、バグフィルタや周辺機器への煤塵の固着を防止することができる。したがって、バグフィルタから煤塵の払い落としが十分に行えるので、バグフィルタの差圧が上昇したり、排ガス流路で詰まりが生じたり有効流通断面積が小さくなって、排ガスの円滑な流送が困難になるという問題や、バグフィルタから払い落とされた煤塵を受けるホッパあるいは搬出コンベアで煤塵が固化しブリッジを形成して煤塵を排出することが困難になるという問題が生じることなく、円滑に排ガス中の酸性ガスを除去することができる。
実施形態に係る排ガス処理装置の構成を示すブロック図である。
以下、添付図面に基づいて本発明に係る排ガス処理方法の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る排ガス処理装置1の構成を示すブロック図である。同図において、排ガス中に供給されるアルカリ剤の経路が実線の矢印で示され、電気的な信号の経路が破線の矢印で示されている。本実施形態では、焼却炉2から排出された排ガスは、ボイラ3で熱回収されてから、後述するように排ガス処理装置1で該排ガス中の酸性ガスが除去された後、煙突4から大気中へ放出される。
焼却炉2によって廃棄物が焼却されると、該焼却炉2からは塩化水素や二酸化硫黄などの酸性ガスを含有する排ガスが排出される。ボイラ3は、焼却炉2から受けた排ガスから熱を回収し蒸気を生成する。
排ガス処理装置1は、ボイラ3からの排ガスを冷却するガス冷却塔10と、該ガス冷却塔10内の排ガスに液状アルカリ剤である苛性ソーダ水溶液を供給する液状アルカリ剤供給装置20と、この苛性ソーダ水溶液が供給された排ガス中に含まれる二酸化硫黄の濃度を計測する二酸化硫黄濃度計30と、苛性ソーダ水溶液が供給された排ガス中に含まれる塩化水素の濃度を計測する塩化水素濃度計40と、該二酸化硫黄濃度計30および該塩化水素濃度計40よりも下流側の位置で排ガスに粉末アルカリ剤である消石灰を供給する粉末アルカリ剤供給装置50と、上記二酸化硫黄濃度計30で計測された二酸化硫黄濃度および上記塩化水素濃度計40で計測された塩化水素濃度の少なくとも一つに基づいて苛性ソーダ水溶液の供給量および消石灰の供給量を制御する制御装置60と、消石灰が供給された排ガスからダスト(煤塵)を除去するとともに酸性ガスと粉末アルカリ剤との反応生成物を捕集し除去するバグフィルタ70とを有している。
ガス冷却塔10は、ボイラ3から排出された排ガスに減温水を散布して該排ガスを冷却する。液状アルカリ剤供給装置20は、苛性ソーダ水溶液を貯留する貯留槽(図示せず)と、該貯留槽から苛性ソーダ水溶液を送り出す送液ポンプ(図示せず)と、送液ポンプで貯留槽から送られてきた苛性ソーダ水溶液をガス冷却塔10内の排ガスに噴霧する噴霧ノズル(図示せず)とを有している。苛性ソーダ水溶液が排ガスに噴霧されることにより該排ガス中の酸性ガスの一部が中和される。後述するように、液状アルカリ剤供給装置20から苛性ソーダ水溶液が供給される量は制御装置60によってフィードバック制御される。
二酸化硫黄濃度計30は、ガス冷却塔10の出口からバグフィルタ60の入口までの間の煙道あるいはガス冷却塔10の出口で排ガスに含まれる二酸化硫黄濃度を計測する。また、塩化水素濃度計40は、ガス冷却塔10の出口からバグフィルタ60の入口までの間の煙道あるいはガス冷却塔10の出口で排ガスに含まれる塩化水素濃度を計測する。
粉末アルカリ剤供給装置50は、上述したように二酸化硫黄濃度計30および該塩化水素濃度計40よりも下流側の位置で、ガス冷却塔10の出口からバグフィルタ60の入口までの間の煙道あるいはバグフィルタ60の入口で排ガス中に消石灰を噴霧する。消石灰が排ガスに噴霧されることにより排ガス中に残存する酸性ガスが中和される。後述するように、粉末アルカリ剤供給装置50から消石灰が供給される量は制御装置60によってフィードフォワード制御される。
制御装置60は、液状アルカリ剤供給装置20からの苛性ソーダ水溶液の供給量を制御する液状アルカリ剤供給量制御部61と、粉末アルカリ剤供給装置50からの消石灰の供給量を制御する粉末アルカリ剤供給量制御部62とを有している。液状アルカリ剤供給量制御部61は、後述するように、二酸化硫黄濃度計30で計測された二酸化硫黄濃度に基いて、二酸化硫黄濃度が目標濃度まで低減するのに必要十分な苛性ソーダ水溶液の供給量を算出してフィードバック制御を行う。
粉末アルカリ剤供給量制御部62は、二酸化硫黄濃度計30で計測された二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度計40で計測された塩化水素濃度に基いて、二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度をそれぞれの所定の目標濃度にまで低減するのに必要十分な消石灰の供給量を算出してフィードフォワード制御を行う。本実施形態では、二酸化硫黄の目標濃度および塩化水素の目標濃度は、例えば、二酸化硫黄および塩化水素のそれぞれの排出規制値に基づいて定められる。
バグフィルタ70は、消石灰が供給された排ガスからダスト(煤塵)を捕集して除去するとともに酸性ガスと粉末アルカリ剤との反応生成物を捕集し除去する。本実施形態では、バグフィルタにより上記ダストおよび上記反応生成物を捕集することとしたが、これに代えて、電気集塵機により捕集することとしてもよい。
以下、本実施形態に係る排ガス処理装置1の動作について説明する。まず、燃焼炉1から排出された排ガスはボイラ3で熱回収された後、排ガス処理装置1のガス冷却塔10に導入される。該ガス冷却塔10内において、排ガスは、減温水によって冷却されるとともに、液状アルカリ剤供給装置20により苛性ソーダ水溶液を噴霧される。該苛性ソーダ水溶液が噴霧されることにより、該苛性ソーダ水溶液と排ガス中の酸性ガスに含まれる二酸化硫黄および塩化水素とが次のように反応し、該二酸化硫黄および塩化水素の一部が中和される。
HCl+NaOH→NaCl+H2O
SO2+2NaOH+1/2 O2→Na2SO4+H2O
上記液状アルカリ剤供給装置20からの苛性ソーダ水溶液の供給量は次のようにフィードバック制御される。具体的には、まず、ガス冷却塔10から排出された排ガス中における二酸化硫黄濃度が二酸化硫黄濃度計30により計測される。そして、制御装置60の液状アルカリ剤供給量制御部61が、二酸化硫黄濃度計30で計測された二酸化硫黄濃度に基いて、以下の(6)式を用いて二酸化硫黄濃度をガス冷却塔出口側での所定の目標濃度にまで低減するのに必要十分な苛性ソーダの供給量Vを算出する。
(数6)
V=1.8×10−3(Y−Y(1))・Q・KNY(6)
ここで、
V:苛性ソーダの供給量(g/h)
:二酸化硫黄濃度計測値(ppm)
(1):ガス冷却塔出口側での目標二酸化硫黄濃度(ppm)
Q :排ガス流量(Nm/h)
NY:モル係数(苛性ソーダと二酸化硫黄との反応)
上記(6)式は次のようにして導かれた式である。
(数7)
V=(Y−Y(1))×10−6・Q・10・40・KNY/22.4
=1.8×10−3(Y−Y(1))・Q・KNY (7)
40:苛性ソーダの式量 g/mol
22.4:理想気体のモル体積 l/mol
液状アルカリ剤供給量制御部61は、算出した量を下限量として、該下限量以上の苛性ソーダ水溶液が排ガス中に供給されるように、液状アルカリ剤供給装置20の送液ポンプの吐出量を調整するための指示信号を液状アルカリ剤供給装置20へ送る。該液状アルカリ剤供給装置20は、該指示信号に応じた量、すなわち液状アルカリ剤供給量制御部61で算出された量の苛性ソーダ水溶液をガス冷却塔10内に噴霧する。
また、ガス冷却塔10から排出された排ガス中における塩化水素濃度が塩化水素濃度計40により計測される。制御装置60の粉末アルカリ剤供給量制御部62は、二酸化硫黄濃度計30で計測された二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度計40で計測された塩化水素濃度に基いて、既述した(1)式を用いて二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度をそれぞれの所定の目標濃度にまで低減するのに必要十分な消石灰の供給量を算出する。
粉末アルカリ剤供給量制御部62は、算出した量を下限量として該下限量以上の消石灰が排ガス中に供給されるように指示信号を粉末アルカリ剤供給装置50へ送る。該粉末アルカリ剤供給装置40は、ガス冷却塔10およびバグフィルタ70までの間の煙道において、二酸化硫黄濃度計30および塩化水素濃度計40よりも下流側の位置あるいはバグフィルタ70の入口で排ガス中に上記指示信号に応じた量の消石灰を噴霧する。つまり、消石灰の噴霧量は、計測された二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度に基いて粉末アルカリ剤供給量制御部62でフィードフォワード制御される。
消石灰が排ガスに噴霧されることにより排ガス中に残存する酸性ガスが中和され、塩化水素が消石灰と反応してCaClOHが生成され、二酸化硫黄が消石灰と反応して亜硫酸カルシウム(CaSO3)が生成される。排ガス中のダストおよび生成されたCaClOHと亜硫酸カルシウムは、バグフィルタ70で捕集される。バグフィルタを通過した排ガス中の二酸化硫黄および塩化水素はそれぞれの目標濃度にまで低減されており、該排ガスは煙突4から大気中へ排出される。
仮に、粉末アルカリ剤供給装置50からの消石灰の供給量を、バグフィルタ70の出口における二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度に基づいてフィードバック制御しようとすると、焼却炉2から排出された排ガスに含まれる二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度が大きく変動したとき、消石灰の供給量をフィードバック制御により増減させてもその応答は遅く、上記二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度の変動に対応するのが困難である。
本実施形態では、粉末アルカリ剤供給装置50からの消石灰の供給量は、粉末アルカリ剤供給装置50よりも上流側に設けられた二酸化硫黄濃度計30および塩化水素濃度計40でそれぞれ計測された二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度に基づいてフィードフォワード制御されている。このように、上記消石灰の量の供給量をフィードフォワード制御することにより、上述したフィードバック制御する場合と比較して、焼却炉2からの排ガス中の二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度の変動に対して早期に応答して、消石灰の供給量を増減させることができる。
また、本実施形態では、液状アルカリ剤供給装置61にて算出された苛性ソーダ水溶液の供給量を下限量として、該下限量以上の苛性ソーダ水溶液を排ガス中に供給するとともに、粉末アルカリ剤供給装置62にて算出された消石灰の供給量を下限量として、該下限量以上の消石灰を排ガス中に供給するので、煙突4から排出される排ガス中の二酸化硫黄濃度および塩化水素濃度を常に目標濃度以下に維持することができ、排ガス中の二酸化硫黄および塩化水素を安定的に低減させることができる。
本実施形態では、算出された下限量に近い量の苛性ソーダ水溶液および消石灰を供給することにより苛性ソーダ水溶液および消石灰の供給量を低減できる。また、消石灰の供給量が低減される分、バグフィルタ70で捕集される反応生成物の量も低減でき、その結果、該反応生成物の処理コストも低減できる。
本実施形態では、二酸化硫黄濃度および塩化水素のそれぞれの目標濃度は所定の値として設定されていたが、これに代えて、該目標濃度が所定の幅の範囲として設定されてもよい。この場合、制御装置60では、二酸化硫黄濃度および塩化水素の濃度が上記範囲内の濃度となるのに必要十分な量を下限値として苛性ソーダ水溶液および消石灰の供給量を算出して制御を行う。
本実施形態では、液状アルカリ剤として苛性ソーダ水溶液を用いているが、液状アルカリ剤として消石灰スラリを用いてもよい。
以下、本発明に係る排ガス処理方法の実施例を説明する。
<ごみ焼却炉排ガス中の塩化水素および二酸化硫黄の除去試験>
排ガス流量180Nm/hの燃焼炉で模擬ごみを燃焼させ、後段に設けられたガス冷却塔の出口の排ガス温度が180℃になるようにガス冷却塔における減温水の吹込み量を制御して排ガスを冷却した。
液状アルカリ剤供給装置からの苛性ソーダ水溶液の供給量はガス冷却塔の出口部分に設けられた二酸化硫黄濃度計による二酸化硫黄濃度の計測値がガス冷却塔の出口での目標濃度になるようにフィードバック制御されるように設定した。この試験で用いた苛性ソーダ水溶液は24重量%水溶液である。
本実施例では、バグフィルタの入口部で消石灰粉末を噴霧する。該消石灰粉末の供給量は、上記塩化水素濃度計による塩化水素の計測値と、上記二酸化硫黄濃度計による二酸化硫黄濃度の計測値とに基づき、バグフィルタの出口での塩化水素濃度と二酸化硫黄濃度が目標値以下(塩化水素100ppm、二酸化硫黄50ppm)となるようにフィードフォワード制御されるように設定した。この試験で用いた消石灰は特号消石灰である。
また、ガス冷却塔の入口における排ガス中の酸性ガス成分の濃度を変化させるために、模擬ごみ中の塩素あるいは硫黄の含有量を変化させ、ガス冷却塔の入口に塩化水素濃度計および二酸化硫黄濃度計を設置して塩化水素濃度および二酸化硫黄濃度を測定した。
さらに、バグフィルタの出口に塩化水素濃度計および二酸化硫黄濃度計を設置し、塩化水素濃度および二酸化硫黄濃度を測定し検証した。
以下、従来の排ガス処理方法により排ガス処理を行った比較例および本発明に係る排ガス処理方法により排ガス処理を行った実施例を以下に示す。
<比較例>
比較例として、ガス冷却塔での苛性ソーダ水溶液の供給量を2.0L/h又は1.0L/hの一定量に固定し、バグフィルタ出口に設置した塩化水素濃度計および二酸化硫黄濃度計のデータに基づき、バグフィルタ入口部で噴霧する消石灰吹込み量をバグフィルタ出口における目標値(塩化水素=100ppm、二酸化硫黄=50ppm)以下になるようフィードバック制御を行った。
本比較例において、上述した制御を行ったときの酸性ガス濃度の計測結果と、苛性ソーダ水溶液の供給量と消石灰の供給量を表1に示す。また、苛性ソーダ24%水溶液および消石灰の市中価格より、それぞれの薬剤費用を計算し示した。
Figure 0005024735
本比較例において、六つの比較例(比較例1〜6)が表1にて示されている。比較例1〜6は、ガス冷却塔の入口における二酸化硫黄濃度によってA〜Cの三つのグループに分類される。表1に示されているように、該二酸化硫黄濃度が約300ppmである比較例1,2はグループAに、該二酸化硫黄濃度が約430ppmである比較例3,4はグループBに、該二酸化硫黄濃度が約800ppmである比較例5,6はグループCに分類されている。
<実施例>
ガス冷却塔出口に設置した塩化水素濃度計および二酸化硫黄濃度計のデータを用いて、苛性ソーダ水溶液および消石灰の吹込み量の制御を行った。ガス冷却塔における苛性ソーダ水溶液の吹込み量については、ガス冷却塔出口における二酸化硫黄濃度の目標値を定め、該二酸化硫黄濃度がその目標値になるようにフィードバック制御をおこなった。
また、消石灰の吹込み量については、塩化水素濃度および二酸化硫黄濃度がバグフィルタ出口におけるそれぞれの目標値(塩化水素=100ppm、二酸化硫黄=50ppm)以下になるようフィードフォワード制御を行った。
酸性ガス濃度の計測結果と、苛性ソーダ水溶液、消石灰の供給量を表2に示す。また、苛性ソーダ24%水溶液および消石灰の市中価格(苛性ソーダ24%:9.5円/kg、消石灰:22円/kg)より、それぞれの薬剤費用を計算し示した。
Figure 0005024735
本実施例において、八つの実施例(実施例1〜8)が表2にて示されている。実施例1〜8は、上記比較例と同様に、ガス冷却塔の入口における二酸化硫黄濃度によってA〜Cの三つのグループに分類される。表2に示されているように、該二酸化硫黄濃度が約300ppmである実施例1,2はグループAに、該二酸化硫黄濃度が約430ppmである実施例3,4はグループBに、該二酸化硫黄濃度が約800ppmである実施例5〜8はグループCに分類されている。
本実施例のグループA〜Cと上述の比較例のグループA〜Cとを、それぞれ対応する同じグループ同士でそれぞれ比較してみると、いずれのグループにおいても、本実施例で必要な消石灰の供給量は上述の比較例で必要な消石灰の供給量よりも少なく、その分、薬剤費用を低減できることが確認された。
また、バグフィルタに払い落とし操作を行った後に、バグフィルタ入口と出口との差圧の上昇があるか否か(差圧上昇の有無)およびバグフィルタのホッパ部での煤塵の固化の有無について確認した。本実施例1〜6では、差圧上昇及び煤塵の固化のなかったが、実施例7では、差圧上昇及び煤塵の固化が生じた。固化した煤塵を分析したところ、CaCl2とCaSO4が含まれており煤塵をバグフィルタに固着させたり、煤塵同士を固着させる原因となっていることが分かった。
そこで、実施例8として、ガス冷却塔出口における排ガス中の塩化水素濃度の計測値及び二酸化硫黄濃度の計測値に基づき、塩化水素と反応してCaClOHを生成するとともに二酸化硫黄と反応してCaSOを生成するために必要十分な消石灰の供給量を算出し、その算出した供給量の消石灰をバグフィルタ入口部に供給した。その結果、バグフィルタの差圧上昇及び煤塵の固化の発生を防止できた。
1 排ガス処理装置
10 ガス冷却塔
20 液状アルカリ剤供給装置
30 二酸化硫黄濃度計
40 塩化水素濃度計
50 粉末アルカリ剤供給装置
60 制御装置
61 液状アルカリ剤供給量制御部
62 粉末アルカリ剤供給量制御部

Claims (1)

  1. 塩化水素と二酸化硫黄を含む酸性ガスを含有する排ガスをガス冷却塔で冷却する冷却工程と、
    ガス冷却塔で排ガスに液状アルカリ剤を供給する第一の酸性ガス除去工程と、
    ガス冷却塔から排出された排ガスに粉末アルカリ剤を供給する第二の酸性ガス除去工程と、
    粉末アルカリ剤が供給された排ガス中のダストを除去するとともに、酸性ガスと粉末アルカリ剤との反応生成物を集塵器で除去する集塵工程と、
    を有する排ガス処理方法において、
    上記第一の酸性ガス除去工程と上記第二の酸性ガス除去工程との間で、ガス冷却塔から排出された排ガス中の塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度を計測する濃度計測工程を有し、
    上記第一の酸性ガス除去工程で、上記濃度計測工程で計測された二酸化硫黄濃度に基づき、排ガス中の二酸化硫黄濃度が所定の目標濃度に近づくように液状アルカリ剤の供給量をフィードバック制御し、
    上記第二の酸性ガス除去工程で、上記濃度計測工程で計測された塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度の計測値に基づき、排ガス中の塩化水素濃度及び二酸化硫黄濃度がそれぞれの所定の目標濃度に近づくように粉末アルカリ剤の供給量をフィードフォワード制御し、さらに、該粉末アルカリ剤として消石灰を用い、塩化水素と反応してCaClOHを生成するとともに二酸化硫黄と反応してCaSO を生成するために必要十分な上記消石灰の供給量Wを(A)式により演算し、該供給量Wを下限量として消石灰を供給することを特徴とする排ガス処理方法。
    W=3.3×10 −3 (X +Y )・Q (A)
    W:消石灰の供給量(g/h)
    :塩化水素濃度(ppm)
    :二酸化硫黄濃度(ppm)
    Q :排ガス流量(Nm /h)
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