JPH05171246A - Pおよびsの低減した高純度鋼溶湯の製造方法 - Google Patents
Pおよびsの低減した高純度鋼溶湯の製造方法Info
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- JPH05171246A JPH05171246A JP33479691A JP33479691A JPH05171246A JP H05171246 A JPH05171246 A JP H05171246A JP 33479691 A JP33479691 A JP 33479691A JP 33479691 A JP33479691 A JP 33479691A JP H05171246 A JPH05171246 A JP H05171246A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 極低P量(P≦0.006%)および極低S
量(S≦0.004%)が要求される高純度鋼溶湯の製
造方法。 【構成】 塩基性アーク炉に目標成分になるように地金
を配合し、地金が完全に溶け落ちた直後に鋼滓を排出
し、残留溶湯中に造滓剤を投入して造滓し、重量比でC
aO:Al2 O3 :(鉄の酸化物及び/又はクロムの酸
化物)=1:1:1〜8:2:1をアルゴンガス等で吹
き込むか、または炉内に攪拌して溶湯と接触させ、成分
分析においてP量,S量を確認した後、塩基性アーク炉
より鋼滓を排出して極低PおよびSの高純度鋼の溶湯を
製造する方法。
量(S≦0.004%)が要求される高純度鋼溶湯の製
造方法。 【構成】 塩基性アーク炉に目標成分になるように地金
を配合し、地金が完全に溶け落ちた直後に鋼滓を排出
し、残留溶湯中に造滓剤を投入して造滓し、重量比でC
aO:Al2 O3 :(鉄の酸化物及び/又はクロムの酸
化物)=1:1:1〜8:2:1をアルゴンガス等で吹
き込むか、または炉内に攪拌して溶湯と接触させ、成分
分析においてP量,S量を確認した後、塩基性アーク炉
より鋼滓を排出して極低PおよびSの高純度鋼の溶湯を
製造する方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極低P量(P≦0.00
6%)および極低S量(S≦0.004%)が要求され
る高純度鋼溶湯の製造方法に関する。
6%)および極低S量(S≦0.004%)が要求され
る高純度鋼溶湯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の極低P量および極低S量が要求さ
れる高純度鋼溶湯の製造方法を図2によって説明する。
れる高純度鋼溶湯の製造方法を図2によって説明する。
【0003】図2の(a)に示すように、石灰石および
溶解用地金を塩基性アーク炉9内に装入後溶解する。溶
解後、ランスパイプ10を通して溶湯11中に酸素を吹
き込むことによって、溶湯11中からC,Pを除去す
る。なお、Pは溶解時に発生した鋼碎12中に吸収され
る。
溶解用地金を塩基性アーク炉9内に装入後溶解する。溶
解後、ランスパイプ10を通して溶湯11中に酸素を吹
き込むことによって、溶湯11中からC,Pを除去す
る。なお、Pは溶解時に発生した鋼碎12中に吸収され
る。
【0004】次に、図2の(b)に示すように、溶湯1
1および鋼滓12を取鍋13に移して、さらに図2の
(c)に示すように取鍋13より取鍋精錬炉14に溶湯
15のみを移すことにより鋼滓16を除去する。この鋼
滓16の除去は取鍋13の栓13′を抜くことにより、
取鍋13中の溶湯15を取鍋精錬炉14に流出させ、取
鍋13の上部に存在する鋼滓16が取鍋13中に残って
いる段階で栓13′を閉めることにより、最終的に鋼滓
16に浸透したPを取鍋13中に残して鋼滓16を除去
することが行われる。
1および鋼滓12を取鍋13に移して、さらに図2の
(c)に示すように取鍋13より取鍋精錬炉14に溶湯
15のみを移すことにより鋼滓16を除去する。この鋼
滓16の除去は取鍋13の栓13′を抜くことにより、
取鍋13中の溶湯15を取鍋精錬炉14に流出させ、取
鍋13の上部に存在する鋼滓16が取鍋13中に残って
いる段階で栓13′を閉めることにより、最終的に鋼滓
16に浸透したPを取鍋13中に残して鋼滓16を除去
することが行われる。
【0005】次に、図2の(d)に示すように、取鍋精
錬炉14内で溶湯17は成分調整され、また、真空脱ガ
ス装置18によって真空雰囲気にした後に新たに生成さ
れる鋼滓19およびArガスの吹き込み20によって溶
湯17中からガスならびにSなどの不純物元素を除去す
る。
錬炉14内で溶湯17は成分調整され、また、真空脱ガ
ス装置18によって真空雰囲気にした後に新たに生成さ
れる鋼滓19およびArガスの吹き込み20によって溶
湯17中からガスならびにSなどの不純物元素を除去す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の溶解方法では取鍋精錬炉および真空脱ガス装置が必要
で、これらの設備がなければ極低P量および極低S量が
要求される高純度鋼溶湯を得ることはできない。また、
これらの設備を導入するためには多大な設備投資が必要
である。さらに、脱P処理と脱S処理を同時に行なえな
い欠点がある。
の溶解方法では取鍋精錬炉および真空脱ガス装置が必要
で、これらの設備がなければ極低P量および極低S量が
要求される高純度鋼溶湯を得ることはできない。また、
これらの設備を導入するためには多大な設備投資が必要
である。さらに、脱P処理と脱S処理を同時に行なえな
い欠点がある。
【0007】本発明は上記技術水準に鑑み、取鍋精錬炉
および真空脱ガス装置を使用せずに、脱P処理と脱S処
理を同時に行なわせて、塩基性アーク炉のみによってP
≦0.006%、S≦0.004%の高純度鋼溶湯を製
造しうる方法を提供しようとするものである。
および真空脱ガス装置を使用せずに、脱P処理と脱S処
理を同時に行なわせて、塩基性アーク炉のみによってP
≦0.006%、S≦0.004%の高純度鋼溶湯を製
造しうる方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は塩基性アーク炉
に、前もって装入していた地金が完全に溶けてしまった
時点において、P,S,CおよびSi以外の成分を目標
成分以下となるように地金を配合する第1工程、これら
の地金が完全に溶け落ちた直後に該塩基性アーク炉より
鋼滓を排出する第2工程、残留溶湯中に造滓材として石
灰石およびホタル石を投入して造滓する第3工程、重量
比で、1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2 O
3 および鉄の酸化物の混合物または重量比で、1:1:
1〜8:2:1であるCaO,Al2 O3 およびクロム
の酸化物の混合物または重量比で1:1:1〜8:2:
1であるCaO,Al2 O3 および鉄の酸化物+クロム
の酸化物の混合物をアルゴンガス等で直接溶湯中に吹き
込むか、または炉内に投入後攪拌して溶湯と接触させて
反応を促進させる第4工程、成分分析においてP量およ
びS量を確認する第5工程、該塩基性アーク炉より鋼滓
を排出する第6工程よりなることを特徴とするPおよび
Sの低減した高純度鋼溶湯の製造方法である。
に、前もって装入していた地金が完全に溶けてしまった
時点において、P,S,CおよびSi以外の成分を目標
成分以下となるように地金を配合する第1工程、これら
の地金が完全に溶け落ちた直後に該塩基性アーク炉より
鋼滓を排出する第2工程、残留溶湯中に造滓材として石
灰石およびホタル石を投入して造滓する第3工程、重量
比で、1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2 O
3 および鉄の酸化物の混合物または重量比で、1:1:
1〜8:2:1であるCaO,Al2 O3 およびクロム
の酸化物の混合物または重量比で1:1:1〜8:2:
1であるCaO,Al2 O3 および鉄の酸化物+クロム
の酸化物の混合物をアルゴンガス等で直接溶湯中に吹き
込むか、または炉内に投入後攪拌して溶湯と接触させて
反応を促進させる第4工程、成分分析においてP量およ
びS量を確認する第5工程、該塩基性アーク炉より鋼滓
を排出する第6工程よりなることを特徴とするPおよび
Sの低減した高純度鋼溶湯の製造方法である。
【0009】なお、本発明の上記第5工程において、P
量およびS量が目標値以上であれば、第2工程にもど
り、第3工程、第4工程、第5工程と進み、P量および
S量が目標値以下であれば第6工程に進むようにする。
量およびS量が目標値以上であれば、第2工程にもど
り、第3工程、第4工程、第5工程と進み、P量および
S量が目標値以下であれば第6工程に進むようにする。
【0010】
【作用】塩基性アーク炉内に前もって装入していた地金
が完全に溶けてしまった直後に鋼滓を排出させることに
より、溶湯の初期P,S濃度を低下させる。
が完全に溶けてしまった直後に鋼滓を排出させることに
より、溶湯の初期P,S濃度を低下させる。
【0011】残留溶湯中に造滓材として石灰石およびホ
タル石を投入することにより、溶湯中のP,Sを鋼滓中
に吸収する能力を増加させる。
タル石を投入することにより、溶湯中のP,Sを鋼滓中
に吸収する能力を増加させる。
【0012】重量比で、1:1:1〜8:2:1である
CaO,Al2 O3 および鉄の酸化物の混合物または重
量比で、1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2
O3 およびクロムの酸化物の混合物または重量比におい
て1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2 O3 お
よび鉄の酸化物+クロムの酸化物の混合物をアルゴンガ
ス等で直接溶湯中に吹き込むか、または炉内に投入後攪
拌して鋼滓と接触させてPおよびSを鋼滓中に吸収させ
る。
CaO,Al2 O3 および鉄の酸化物の混合物または重
量比で、1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2
O3 およびクロムの酸化物の混合物または重量比におい
て1:1:1〜8:2:1であるCaO,Al2 O3 お
よび鉄の酸化物+クロムの酸化物の混合物をアルゴンガ
ス等で直接溶湯中に吹き込むか、または炉内に投入後攪
拌して鋼滓と接触させてPおよびSを鋼滓中に吸収させ
る。
【0013】CaO,Al2 O3 および鉄酸化物及び/
又はクロム酸化物の混合物の融点はその重量比が1:
1:1の場合は約1300℃、8:2:1の場合は約1
700℃となる。また、CaOの重量割合が大きくなる
と脱P,脱S力は大きくなるが、融点も1700℃以上
となってしまうので、8:2:1以上にCaOの割合を
大きくすることは不適当である。また、逆にCaOの重
量割合が小さくなると脱P,脱S力は低下してしまい、
P≦0.006%、S≦0.004%の溶湯を得ること
が困難になってしまい不適当である。
又はクロム酸化物の混合物の融点はその重量比が1:
1:1の場合は約1300℃、8:2:1の場合は約1
700℃となる。また、CaOの重量割合が大きくなる
と脱P,脱S力は大きくなるが、融点も1700℃以上
となってしまうので、8:2:1以上にCaOの割合を
大きくすることは不適当である。また、逆にCaOの重
量割合が小さくなると脱P,脱S力は低下してしまい、
P≦0.006%、S≦0.004%の溶湯を得ること
が困難になってしまい不適当である。
【0014】鉄の酸化物及び/又はクロム酸化物含有量
が40%程度で脱P能力はピークを示す。これらの酸化
物を過剰に添加すると溶鋼中のC,Si,Mnなどの金
属を酸化消費してしまって損失となる。重量比が1:
1:1〜8:2:1でのこれらの酸化物の含有量は33
%〜9%となるので、溶鋼中の金属を過剰に酸化消費す
ることなくPを溶鋼中から除去することができる。
が40%程度で脱P能力はピークを示す。これらの酸化
物を過剰に添加すると溶鋼中のC,Si,Mnなどの金
属を酸化消費してしまって損失となる。重量比が1:
1:1〜8:2:1でのこれらの酸化物の含有量は33
%〜9%となるので、溶鋼中の金属を過剰に酸化消費す
ることなくPを溶鋼中から除去することができる。
【0015】このPおよびSを吸収した鋼滓を塩基性ア
ーク炉より排出することで、PおよびSが溶鋼中へ戻る
ことを防止し、溶鋼中からPおよびSを除去する。この
際、鋼はガス成分を吸収しやすく、溶解においてはガス
吸収を防止し、さらには溶湯中からガスを除去する脱ガ
ス処理を実施している。アーク炉内には炉内ガスとして
N2 ,CO,CO2 等が存在しているので、鋼滓を90
%以上排出した状態では溶湯が炉内ガスと直接接触す
る。そのため、溶鋼中のガス濃度が上昇してしまい、品
質に悪影響を与えてしまうので、鋼滓を90%以上排出
した上に、石灰石、ホタル石などの造滓剤を添加するこ
とが好ましい。
ーク炉より排出することで、PおよびSが溶鋼中へ戻る
ことを防止し、溶鋼中からPおよびSを除去する。この
際、鋼はガス成分を吸収しやすく、溶解においてはガス
吸収を防止し、さらには溶湯中からガスを除去する脱ガ
ス処理を実施している。アーク炉内には炉内ガスとして
N2 ,CO,CO2 等が存在しているので、鋼滓を90
%以上排出した状態では溶湯が炉内ガスと直接接触す
る。そのため、溶鋼中のガス濃度が上昇してしまい、品
質に悪影響を与えてしまうので、鋼滓を90%以上排出
した上に、石灰石、ホタル石などの造滓剤を添加するこ
とが好ましい。
【0016】
(実施例1)
【0017】〇 地金配合(第1工程) 塩基性アーク炉に、石灰石(CaCO3 )を250k
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を2100
kg、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−
0.015P−0.008S)を6400kg装入し
た。
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を2100
kg、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−
0.015P−0.008S)を6400kg装入し
た。
【0018】〇 完全溶落後の鋼滓の排出(第2工程) 塩基性アーク炉に前もって装入していた地金が完全に溶
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上のノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.012
%へ、S量が0.008%から0.006%に低減でき
た。なお、この操作は1530℃にて実施した。
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上のノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.012
%へ、S量が0.008%から0.006%に低減でき
た。なお、この操作は1530℃にて実施した。
【0019】〇 造滓材の投入(第3工程) 鋼滓を排出した後に石灰石(CaCO3 )を200kg
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
【0020】〇 CaO,Al2 O3 および鉄の酸化物
の吹き込みによるP,Sの除去(第4工程) 図1において、Arガスポンベ1に圧力計2および流量
計3を接続して、粉体供給装置4に接続する。この粉体
供給装置4にはランスパイプ5を接続する。
の吹き込みによるP,Sの除去(第4工程) 図1において、Arガスポンベ1に圧力計2および流量
計3を接続して、粉体供給装置4に接続する。この粉体
供給装置4にはランスパイプ5を接続する。
【0021】粉体供給装置4にCaO,Al2 O3 およ
び鉄の酸化物の混合物(CaO:Al2 O3 :鉄の酸化
物の重量比=10:5:4)を27.5kg入れ、ラン
スパイプ5の一部6を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿
入してArガスボンベ1を開くことにより、Arガスお
よびCaO,Al2 O3 ,鉄の酸化物の混合物を塩基性
アーク炉7内の溶湯8中に吹き込んだ。この操作におけ
る条件はArガス圧力:7kg/cm2 、Arガス流
量:3Nm3 /min、吹き込み開始時の溶湯温度:1
600℃であった。
び鉄の酸化物の混合物(CaO:Al2 O3 :鉄の酸化
物の重量比=10:5:4)を27.5kg入れ、ラン
スパイプ5の一部6を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿
入してArガスボンベ1を開くことにより、Arガスお
よびCaO,Al2 O3 ,鉄の酸化物の混合物を塩基性
アーク炉7内の溶湯8中に吹き込んだ。この操作におけ
る条件はArガス圧力:7kg/cm2 、Arガス流
量:3Nm3 /min、吹き込み開始時の溶湯温度:1
600℃であった。
【0022】CaO,Al2 O3 ,鉄の酸化物の混合物
を塩基性アーク炉7内の溶湯8に直接吹き込むことによ
って、溶湯8中のPは鉄の酸化物中の酸素をうばって五
酸化二燐(P2 O5 )となり、CaOと反応して次式の
ような安定な燐酸カルシウムを生成し鋼滓中に移行す
る。 2P(溶湯中)+5O(鉄の酸化物中)→ P2 O5 3CaO+P2 O5 →Ca3 P2 +4O2 →Ca3 (PO4 )2
を塩基性アーク炉7内の溶湯8に直接吹き込むことによ
って、溶湯8中のPは鉄の酸化物中の酸素をうばって五
酸化二燐(P2 O5 )となり、CaOと反応して次式の
ような安定な燐酸カルシウムを生成し鋼滓中に移行す
る。 2P(溶湯中)+5O(鉄の酸化物中)→ P2 O5 3CaO+P2 O5 →Ca3 P2 +4O2 →Ca3 (PO4 )2
【0023】また、CaO,Al2 O3 ,鉄の酸化物の
混合物を塩基性アーク炉7内の溶湯8に直接吹き込むこ
とによって、溶湯8中のSはCaOと反応して次式のよ
うにCaSとなって鋼滓中に移行する。 Fe(溶湯中)+S(溶湯中)+CaO → FeO(鋼滓中)+CaS(鋼滓中)
混合物を塩基性アーク炉7内の溶湯8に直接吹き込むこ
とによって、溶湯8中のSはCaOと反応して次式のよ
うにCaSとなって鋼滓中に移行する。 Fe(溶湯中)+S(溶湯中)+CaO → FeO(鋼滓中)+CaS(鋼滓中)
【0024】〇 P量およびS量の分析(第5工程) 塩基性アーク炉7内の溶湯8の一部をサンプリングし、
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.008%、S=0.004%となって
いた。これで目的が達成されないので、次の工程を付加
した。
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.008%、S=0.004%となって
いた。これで目的が達成されないので、次の工程を付加
した。
【0025】 〇 造滓材の投入(再度の第2工程及び第3工程) 塩基性アーク炉7内の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を2
00kgとホタル石(CaF2 )を50kg投入した。
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を2
00kgとホタル石(CaF2 )を50kg投入した。
【0026】〇 CaO,Al2 O3 および鉄の酸化物
の吹き込みによるP,Sの除去(再度の第4工程) この工程は上述の第4工程と同じ操作である。
の吹き込みによるP,Sの除去(再度の第4工程) この工程は上述の第4工程と同じ操作である。
【0027】 〇 P量およびS量の分析(再度の第5工程) 塩基性アーク炉7内の溶湯8の一部をサンプリングし、
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.003%、S=0.003%となって
いた。
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.003%、S=0.003%となって
いた。
【0028】〇 鋼滓の排出(第6工程) 塩基性アーク炉7内の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使
って人力にて排出した後、石灰石(CaCO3 )を20
0kgとホタル石(CaF2 )を50kg投入した。
って人力にて排出した後、石灰石(CaCO3 )を20
0kgとホタル石(CaF2 )を50kg投入した。
【0029】この工程でPは鋼滓中では酸化された状態
で存在しているが、のちの還元期において、酸化された
Pは還元されて溶湯中に戻ってくる(復リン現象)。こ
の復リン現象を防止するために鋼滓の90%以上を排出
する。
で存在しているが、のちの還元期において、酸化された
Pは還元されて溶湯中に戻ってくる(復リン現象)。こ
の復リン現象を防止するために鋼滓の90%以上を排出
する。
【0030】第6工程の次に酸素吹込みによる酸化、さ
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼溶湯
を製造した。
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼溶湯
を製造した。
【表1】
【0031】(実施例2) 〇 地金配合(第1工程) 塩基性アーク炉に、石灰石(CaCO3 )を250k
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を2000
kg、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−
0.015P−0.008S)を5500kg装入し
た。
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を2000
kg、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−
0.015P−0.008S)を5500kg装入し
た。
【0032】〇 完全溶落後の鋼滓の排出(第2工程) 塩基性アーク炉に前もって装入していた地金が完全に溶
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.010
%へ、S量が0.008%から0.007%に低減でき
た。なお、この操作は1540℃にて実施した。
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.010
%へ、S量が0.008%から0.007%に低減でき
た。なお、この操作は1540℃にて実施した。
【0033】〇 造滓材の投入(第3工程) 鋼滓を排出した後に石灰石(CaCO3 )を200kg
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
【0034】〇 CaO,Al2 O3 およびクロムの酸
化物の吹き込みによるP,Sの除去(第4工程) 前記実施例1に説明した図1の装置を用い、粉体供給装
置4にCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物の混合物
(CaO:Al2 O3 :クロムの酸化物の重量比=2:
2:1)を22.5kg入れ、ランスパイプ5の一部6
を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿入してArガスボン
ベ1を開くことにより、ArガスおよびCaO,Al2
O3 ,クロムの酸化物の混合物を塩基性アーク炉7内の
溶湯8中に吹き込んだ。この操作における条件は、Ar
ガス圧力:7kg/cm2 、Arガス流量:3Nm3 /
min、吹き込み開始時の溶湯温度:1580℃であっ
た。
化物の吹き込みによるP,Sの除去(第4工程) 前記実施例1に説明した図1の装置を用い、粉体供給装
置4にCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物の混合物
(CaO:Al2 O3 :クロムの酸化物の重量比=2:
2:1)を22.5kg入れ、ランスパイプ5の一部6
を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿入してArガスボン
ベ1を開くことにより、ArガスおよびCaO,Al2
O3 ,クロムの酸化物の混合物を塩基性アーク炉7内の
溶湯8中に吹き込んだ。この操作における条件は、Ar
ガス圧力:7kg/cm2 、Arガス流量:3Nm3 /
min、吹き込み開始時の溶湯温度:1580℃であっ
た。
【0035】〇 P量およびS量の分析(第5工程) 塩基性アーク炉7内の溶湯8の一部をサンプリングし、
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.004%、S=0.003%となって
いた。
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.004%、S=0.003%となって
いた。
【0036】〇 造滓材の投入(第6工程) 塩基性アーク炉7内の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を1
40kg,ホタル石(CaF2 )を30kg投入した。
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を1
40kg,ホタル石(CaF2 )を30kg投入した。
【0037】第6工程の次に酸素吹込みによる酸化、さ
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼溶湯
を溶製した。
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼溶湯
を溶製した。
【表2】
【0038】(実施例3) 〇 地金配合(第1工程) 塩基性アーク炉に、石灰石(CaCO3 )を250k
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を800k
g、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−0.
015P−0.008S)を5200kg装入した。
g、普通鋳鋼のリターン材(0.2C−0.4Si−
0.7Mn−0.015P−0.008S)を800k
g、板金(0.15C−0.1Si−0.7Mn−0.
015P−0.008S)を5200kg装入した。
【0039】〇 完全溶落後の鋼滓の排出(第2工程) 塩基性アーク炉に前もって装入していた地金が完全に溶
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.010
%へ、S量については0.008%のままで変化はなか
った。なお、この操作は1545℃にて実施した。
けてしまったことを確認後、直ちに塩基性アーク炉7内
の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使って人力にて排出し
た。この操作によりP量が0.015%から0.010
%へ、S量については0.008%のままで変化はなか
った。なお、この操作は1545℃にて実施した。
【0040】〇 造滓材の投入(第3工程) 鋼滓を排出した後に石灰石(CaCO3 )を200kg
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
とホタル石(CaF2 )を17kg投入した。
【0041】〇 CaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物
および鉄の酸化物の吹き込みによるP,Sの除去(第4
工程) 前記実施例1に説明した図1の装置を用い、粉体供給装
置4にCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物,鉄の酸化
物の混合物(CaO:Al2 O3 :クロムの酸化物+鉄
の酸化物の重量比=2:1:1)を18kg入れ、ラン
スパイプ5の一部6を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿
入してArガスボンベ1を開くことにより、Arガスお
よびCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物,鉄の酸化物
の混合物を塩基性アーク炉7内の溶湯8中に吹き込ん
だ。この操作における条件は、Arガス圧力:7kg/
cm2 、Arガス流量:3Nm3 /min、吹き込み開
始時の溶湯温度:1570℃であった。
および鉄の酸化物の吹き込みによるP,Sの除去(第4
工程) 前記実施例1に説明した図1の装置を用い、粉体供給装
置4にCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物,鉄の酸化
物の混合物(CaO:Al2 O3 :クロムの酸化物+鉄
の酸化物の重量比=2:1:1)を18kg入れ、ラン
スパイプ5の一部6を塩基性アーク炉7内の溶湯8に挿
入してArガスボンベ1を開くことにより、Arガスお
よびCaO,Al2 O3 ,クロムの酸化物,鉄の酸化物
の混合物を塩基性アーク炉7内の溶湯8中に吹き込ん
だ。この操作における条件は、Arガス圧力:7kg/
cm2 、Arガス流量:3Nm3 /min、吹き込み開
始時の溶湯温度:1570℃であった。
【0042】〇 P量およびS量の分析(第5工程) 塩基性アーク炉7内の溶湯8の一部をサンプリングし、
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.003%、S=0.002%となって
いた。
カントバック分析装置によってP量およびS量を分析し
た結果、P=0.003%、S=0.002%となって
いた。
【0043】〇 造滓材の投入(第6工程) 塩基性アーク炉7内の鋼滓の90%以上をノロ掻きを使
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を1
40kg,ホタル石(CaF2 )を30kg投入した。
って人力にて排出した後に、石灰石(CaCO3 )を1
40kg,ホタル石(CaF2 )を30kg投入した。
【0044】第6工程の次に酸素吹込みによる酸化、さ
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼を溶
製した。
らに還元、成分調整を経て、以下の組成の高純度鋼を溶
製した。
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、溶湯のP含有量を0.
006%以下に、また、溶湯のS含有量を0.004%
以下にすることが可能となり、取鍋精錬炉および真空脱
ガス装置を使用せずに、脱P処理と脱S処理を同時に行
なわせて極低P量および極低S量が要求される高純度鋼
溶湯を製造することが可能となった。
006%以下に、また、溶湯のS含有量を0.004%
以下にすることが可能となり、取鍋精錬炉および真空脱
ガス装置を使用せずに、脱P処理と脱S処理を同時に行
なわせて極低P量および極低S量が要求される高純度鋼
溶湯を製造することが可能となった。
【図1】本発明の実施態様の説明図
【図2】従来の高純度鋼溶湯の製造方法の説明図
Claims (1)
- 【請求項1】 塩基性アーク炉に、前もって装入してい
た地金が完全に溶けてしまった時点において、P,S,
CおよびSi以外の成分を目標成分以下となるように地
金を配合する第1工程、これらの地金が完全に溶け落ち
た直後に、該塩基性アーク炉より鋼滓を排出する第2工
程、残留溶湯中に造滓材として石灰石およびホタル石を
投入して造滓する第3工程、重量比で、1:1:1〜
8:2:1であるCaO,Al2 O3 および鉄の酸化物
の混合物または重量比で、1:1:1〜8:2:1であ
るCaO,Al2 O3 およびクロムの酸化物の混合物ま
たは重量比において1:1:1〜8:2:1であるCa
O,Al2 O3 および鉄の酸化物+クロムの酸化物の混
合物をアルゴンガス等で直接溶湯中に吹き込むか、また
は炉内に投入後攪拌して溶湯と接触させて反応を促進さ
せる第4工程、成分分析においてP量およびS量を確認
する第5工程、該塩基性アーク炉より鋼滓を排出する第
6工程よりなることを特徴とするPおよびSの低減した
高純度鋼溶湯の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33479691A JPH05171246A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | Pおよびsの低減した高純度鋼溶湯の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33479691A JPH05171246A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | Pおよびsの低減した高純度鋼溶湯の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05171246A true JPH05171246A (ja) | 1993-07-09 |
Family
ID=18281324
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33479691A Withdrawn JPH05171246A (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | Pおよびsの低減した高純度鋼溶湯の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05171246A (ja) |
-
1991
- 1991-12-18 JP JP33479691A patent/JPH05171246A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990311 |