JPH0517054Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、歯科治療を行なう切削装置（ハンド
ピース等）やうがい装置（ベースン等を含む）を
備えた歯科治療ユニツトへ給水する為の給水浄化
装置に関する。

（従来の技術） 従来、歯科医院等で上記歯科治療ユニツトに給
水する場合、直接上水道管を該ユニツトに配管接
続するか、途中に該ユニツト中の鉄錆を除去する
為のフイルターを配設していた。ところで、最近
歯科治療に於ける細菌汚染が指摘されるようにな
つた。即ち、上水と雖も極微量の細菌が含まれて
おり、これが抜歯或いは切開した治療部位に侵入
すると化膿などの二次疾患を惹起することであ
る。また、患者が持つ固有の細菌がインスツルメ
ント等から逆流し他の患者に悪影響を及ぼすこと
も指摘されている。そしてこれらの細菌は、上記
の除塵フイルターでは除去できず、その為最近に
なつて特開昭59−62649号公報で開示された多孔
質中空糸膜型フイルター（セルロースアセテート
多孔体…極微細な透孔を多数備え細菌のような極
微細粒子を除去出来る）を給水管路の途中に配設
することもなされるようになつた。

（考案が解決しようとする問題点） 上記多孔質の中空糸膜型フイルターを用いる
と、細菌が効果的に除去されるので前記問題点が
一気に解消されることとなつたが、その操作性の
点で次のような問題点が新たに指摘されるように
なつた。即ち、上記多孔質の中空糸膜型フイルタ
ーは、定期的に交換する必要があるが、この交換
の際にはフイルターが空気に晒され乾燥状態とな
り、そのままフイルターケースに装着し通水して
も、原水収容部側のフイルター表面に空気泡が付
着したまま残り、これが原因で通水抵抗が大とな
り浄化水の供給量が著しく低下することである。

本考案は上記問題点を解消すべくなされたもの
であり、フイルター交換後速やかに通常の通水状
態となし得る新規な歯科用給水浄化装置を提供せ
んとするものである。

問題点を解決する為の手段 上記目的を達成する為の本考案の構成を添付の
実施例図に基づき説明する。第１図は本考案装置
が採用された歯科治療ユニツトの一例を示す全体
斜視図、第２図は第１図−線の拡大縦断面図
である。即ち、本考案の歯科用給水浄化装置は、
多孔質中空糸膜型フイルター１を着脱自在に内蔵
したフイルターケース２を、原水供給管３及び浄
化水排出管４の間に配設した歯科用給水浄化装置
に於いて、上記フイルターケース２の原水収容部
２１上端より排気を兼ねたベースン鉢洗い用給水
管５を導出したことを特徴とするものである。

多孔質中空糸膜型フイルター１としては、前記
先行出願に係るセルロースアセテート多孔体、或
いはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ４−メ
チルペンテン−１、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ弗化
ビニリデン等による多孔質中空糸膜によりカート
リツジ型に調製されたものが望ましく採用され
る。ポリエチレン中空糸膜としては三菱レイヨン
社製EHF、ポリプロピレン中空糸膜としては同
社製KPFを挙げることができる。

（作用） 上記構成の歯科用給水浄化装置は、例えば第１
図に示す如き歯科治療ベツド６の側部に配設さ
れ、原水供給管３より供給された水はフイルター
ケース２内の原水収容部２１から多孔質中空糸膜
型フイルター１を通過する。この時、原水中に含
まれる鉄錆等の塵埃は勿論極微量に含まれる各種
細菌も該フイルター１により濾過される。そして
浄化された水は浄化水排出管４より各種歯科用イ
ンスツルメント（不図示）やうがい装置（ベース
ン７１を含む）７等に供給される。また、インス
ルメント等の放水口から細菌が逆流しても上記フ
イルター１により堰き止められる。而して、フイ
ルター１は中空糸膜より成るから、平膜を用いた
場合に比べてコンパクトで大きな濾過面積を有
し、上記細菌や塵埃の濾過が極めて効果的になさ
れる。亦、上記フイルター１を交換した後、ベー
スン鉢洗い用給水管５を開とし原水を通水させれ
ばフイルター１の原水収容部２１側表面に付着し
た空気泡が原水と共にベースン７１より排出さ
れ、その後の給水浄化が極めて円滑になされる。
ここで、ベースン鉢洗い用給水管５から供給され
る原水は、通常は歯科治療の際にベースン７１の
鉢洗いに供せられることは当然である。

（実施例） 次に実施例について述べる。第１図及び第２図
に於いて、フイルターケース２は、原水受口２２
１及び浄化水排出口２２２を有するケース取付基
部２２と、該ケース取付基部２２の下部に水密的
に螺合一体とされる透明樹脂製（例えば、ポリカ
ーボネート樹脂）受水容器２３とより成る。該原
水受口２２１は、フイルターケース２内の原水収
容部２１側に開口し、これには原水供給管３が接
続され、一方浄化水排出口２２２は、後記するフ
イルター本体１１の上方中空部１１０に連通し、
これには浄化水排水管４が接続される。

亦、多孔質中空糸膜型フイルター１は、前記中
空糸膜を束ね端部をボツテイング材で固定した下
端閉成の円筒状フイルター本体１１と、これを保
持する保持筒１２とより成り、上記フイルターケ
ース２とフイルター本体１１との間が原水収容部
２１とされている。該保持筒１２の周体には多数
の透孔１２１…が穿設され、原水収容部２１に滞
留する原水はこの透孔１２１…を経てフイルター
本体１１で濾過浄化され、更に浄化水排出口２２
２及び浄化水排出管４を経て歯科用インスツルメ
ント等に給送される。保持筒１２は、フイルター
本体１１を内挿した状態で、その上端を前記ケー
ス取付基部２２の円筒状装着口２１３にＯリング
１２２を介して水密的に内嵌することにより装着
される。そして、上記受水容器２３をケース取付
基部２２に螺合一体とした時には、該受水容器２
２の内底に形成された突起２３１…に保持筒１２
の下端が当接しその安定化が図られる。

ベースン鉢洗い用給水管５は、文字通りベース
ン７１の鉢洗いに使用されるもので、該給水管５
の途中に設けられた電磁弁５１を開とすると、ベ
ースン７１の上縁より原水が供給され、ベースン
７１の内面が渦流水により洗浄される。該給水管
５が接続される鉢洗い用給水口２２３は、前記ケ
ース取付基部２３に設けられ、原水収容部２１に
連通する。従つて、上記電磁弁５１を開とする
と、原水はフイルター本体１１を透過せずそのま
まベースン７１に供給される。この時、フイルタ
ー本体１１の原水収容部２１側表面に付着した空
気泡も押出され、ベースン７１に排出されるの
で、フイルター本体１１を交換直後にこの操作を
すれば、フイルターケース２内の排気が行なわ
れ、爾後の給水浄化が円滑になされる。ここで、
本来のベースン鉢洗いの為の使用と、フイルター
交換後の排気使用の使い分けは、例えばうがい装
置７に設置されたうがい用コツプ７２がその受台
７３に置かれた後（患者がうがいをした後）、一
定時間上記電磁弁５１が開となるよう自動制御
し、フイルター交換後の排気使用の場合は制御回
路をマニユアルに切替え、上記電磁弁５１を手動
で開とする、などの方法が採用される。

尚、上記実施例に限定されるものではなく、例
えばフイルター１及びフイルターケース２の構成
は本考案を逸脱しない限りその変更が可能である
ことは云うまでもない。

（考案の効果） 叙上の如く、本考案の歯科用給水浄化装置は、
多孔質中空糸膜型フイルターを採用しているか
ら、原水中に含まれる鉄錆等の塵埃は勿論微量の
細菌もここで除去され、患者の口腔内への侵入が
完全に阻止される。そしてベースン鉢洗い用給水
管をフイルターケースの原水収容部から導出して
いるので、通常の鉢洗いをこれでなし得ることは
勿論、フイルター交換後この給水管を開とすれば
フイルターの原水収容部側表面に付着した空気泡
がその水流によつて除去され、爾後の給水浄化の
際には濾過抵抗が大となることがなく円滑な浄化
が約束される。これにより操作性が飛躍的に向上
し、上記細菌汚染の防止目的がより効果的に達成
される。更に、ベースン鉢洗いと排気とを兼用さ
せているから、通常の鉢洗に使用する際にフイル
ター表面が絶えず洗われその目詰り等が可及的に
防止され、且つ鉢洗いや排気の為の別の配管を設
ける必要がなく、全体の配管構造が簡略化され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置が採用された歯科治療ユニ
ツトの一例を示す全体斜視図、第２図は第１図
−線の拡大縦断面図である。 符号の説明、１……多孔質中空糸膜型フイルタ
ー、２……フイルターケース、２１……原水収容
部、３……原水供給管、４……浄化水排出管、５
……ベースン鉢洗い用給水管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 多孔質中空糸膜型フイルター１を着脱自在に内
   蔵したフイルターケース２を、原水供給管３及び
   浄化水排出管４の間に配設した歯科用給水浄化装
   置に於いて、上記フイルターケース２の原水収容
   部２１上端より排気を兼ねたベースン鉢洗い用給
   水管５を導出したことを特徴とする歯科用給水浄
   化装置。