JPH05168490A - 生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法及び使用方法 - Google Patents
生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法及び使用方法Info
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- JPH05168490A JPH05168490A JP33908091A JP33908091A JPH05168490A JP H05168490 A JPH05168490 A JP H05168490A JP 33908091 A JP33908091 A JP 33908091A JP 33908091 A JP33908091 A JP 33908091A JP H05168490 A JPH05168490 A JP H05168490A
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- pectin oligomer
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 エリシターであるペクチンオリゴマーを工業
的生産ができるようにし、製造コストを低くすることを
第一の目的としている。また、植物の抗病原性機構を利
用し、植物の抗病原菌性を発揮させ病原菌による病害か
ら植物を守ることを第二の目的としている。 【構成】 第一の目的に対して、ペクチンにペクチナー
ゼを作用させてペクチンオリゴマー混合物を生成させ、
限外ろ過法及び逆浸透法により処理して生理活性ペクチ
ンオリゴマーを作る。第二の目的に対して、ペクチンオ
リゴマーを植物に作用させることにより、エリシター効
果を発揮し、抗病原性物質を誘導する。
的生産ができるようにし、製造コストを低くすることを
第一の目的としている。また、植物の抗病原性機構を利
用し、植物の抗病原菌性を発揮させ病原菌による病害か
ら植物を守ることを第二の目的としている。 【構成】 第一の目的に対して、ペクチンにペクチナー
ゼを作用させてペクチンオリゴマー混合物を生成させ、
限外ろ過法及び逆浸透法により処理して生理活性ペクチ
ンオリゴマーを作る。第二の目的に対して、ペクチンオ
リゴマーを植物に作用させることにより、エリシター効
果を発揮し、抗病原性物質を誘導する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、農作物など植物が病
原菌に感染することを防止することに関し、特に植物に
おけるいわゆる免疫機構である交叉防御機構を活性化
し、植物に抗病原性物質を誘導させるエリシターとして
の生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法および使用方
法に関するものである。
原菌に感染することを防止することに関し、特に植物に
おけるいわゆる免疫機構である交叉防御機構を活性化
し、植物に抗病原性物質を誘導させるエリシターとして
の生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法および使用方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】植物が病原菌に感染することを防止する
ために、殺菌剤を散布し、病原菌の攻撃にそなえ、ある
いは殺していた。このような殺菌剤は、農作物や芝草な
どに多量に使用され、人体や環境に悪影響を及ぼし問題
となっていた。
ために、殺菌剤を散布し、病原菌の攻撃にそなえ、ある
いは殺していた。このような殺菌剤は、農作物や芝草な
どに多量に使用され、人体や環境に悪影響を及ぼし問題
となっていた。
【0003】この解決のためには、例えば特開平2−9
7396号公報(1990年4月9日)に開示されてい
るように、植物本来の持つ抗病原性機構を活性化し、農
薬の使用を抑える試みがなされている。なかでも植物の
細胞壁を形成する物質の分解物が、感染防御機構を活性
化することが示され、病原性物質に対する分子認識機構
も解明されている。
7396号公報(1990年4月9日)に開示されてい
るように、植物本来の持つ抗病原性機構を活性化し、農
薬の使用を抑える試みがなされている。なかでも植物の
細胞壁を形成する物質の分解物が、感染防御機構を活性
化することが示され、病原性物質に対する分子認識機構
も解明されている。
【0004】すなわち、植物細胞壁の構成成分であるペ
クチンにペクチン酸リアーゼを作用させて得られたペク
チンの分解物オリゴガラクツロニドが、抗病原性物質
(ファイトアレキシン)を誘導するエリシターとして働
くことが開示されている。
クチンにペクチン酸リアーゼを作用させて得られたペク
チンの分解物オリゴガラクツロニドが、抗病原性物質
(ファイトアレキシン)を誘導するエリシターとして働
くことが開示されている。
【0005】なお、ファイトアレキシンは、これまで茄
子科、豆科などの主要植物に120種以上発見され報告
されているが、最も主要な作物としてのイネ科植物には
現在モミラクトン、アベナルミン等が報告されているに
すぎない。
子科、豆科などの主要植物に120種以上発見され報告
されているが、最も主要な作物としてのイネ科植物には
現在モミラクトン、アベナルミン等が報告されているに
すぎない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ペクチ
ンにぺクチン酸リアーゼを作用させて、脱離反応によ
り、エステルを脱離し、ペクチンをランダムに分解して
非還元末端ガラクチュロン酸残基のC−4,C−5が不
飽和のオリゴマー(オリゴガラクツロニド)を生成さ
せ、イオン交換クロマトグラフィーにより分離、精製し
ていたので、分離、精製の段階で製造方法の効率化や量
産化などに問題があった。
ンにぺクチン酸リアーゼを作用させて、脱離反応によ
り、エステルを脱離し、ペクチンをランダムに分解して
非還元末端ガラクチュロン酸残基のC−4,C−5が不
飽和のオリゴマー(オリゴガラクツロニド)を生成さ
せ、イオン交換クロマトグラフィーにより分離、精製し
ていたので、分離、精製の段階で製造方法の効率化や量
産化などに問題があった。
【0007】
【発明の目的】そこで、この発明は、植物における免疫
機構である交叉防御機構を活性化し、植物に抗病原性物
質を誘導させるエリシターとしての生理活性ペクチンオ
リゴマーを安価にかつ高収率で製造する方法及び使用方
法を提供することを目的としている。
機構である交叉防御機構を活性化し、植物に抗病原性物
質を誘導させるエリシターとしての生理活性ペクチンオ
リゴマーを安価にかつ高収率で製造する方法及び使用方
法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】本発明で
は、従来報告されている内容と異なり、抗菌性物質誘導
効果を有するペクチンオリゴマーを効率的に製造する方
法として、その原料に市販のペクチンを用い、また他の
原料として蜜柑缶詰工場より排出される酸性廃液より回
収されるペクチン質を検討した。
は、従来報告されている内容と異なり、抗菌性物質誘導
効果を有するペクチンオリゴマーを効率的に製造する方
法として、その原料に市販のペクチンを用い、また他の
原料として蜜柑缶詰工場より排出される酸性廃液より回
収されるペクチン質を検討した。
【0009】次に、エリシター活性の高いペクチンオリ
ゴマーを得るため、ペクチン分解酵素としてペクチナー
ゼを検討し、さらにエリシター活性の高いペクチンオリ
ゴマーを多量に含む混合物を得るための、高収率で低コ
ストの製造方法として、限外ろ過法と逆浸透法を組み合
わせる製造方法を確立した。
ゴマーを得るため、ペクチン分解酵素としてペクチナー
ゼを検討し、さらにエリシター活性の高いペクチンオリ
ゴマーを多量に含む混合物を得るための、高収率で低コ
ストの製造方法として、限外ろ過法と逆浸透法を組み合
わせる製造方法を確立した。
【0010】現在、ペクチンオリゴマーをエリシターと
して植物に作用させ、ファイトアレキシンを誘導して抗
病原性を付与する内容のものが報告されているが、これ
は、ペクチンオリゴマーを製造するための酵素にペクチ
ン酸リアーゼを用いるもので、生成するペクチンオリゴ
マーの還元末端は不飽和結合となる。
して植物に作用させ、ファイトアレキシンを誘導して抗
病原性を付与する内容のものが報告されているが、これ
は、ペクチンオリゴマーを製造するための酵素にペクチ
ン酸リアーゼを用いるもので、生成するペクチンオリゴ
マーの還元末端は不飽和結合となる。
【0011】本発明によるペクチンオリゴマーの調製に
は、ペクチン分解酵素としてペクチナーゼを用いるもの
で、生成するペクチンオリゴマーの還元末端は飽和状態
である。京都大学 林助教授の報告(化学と生物 Vol.2
9,No.3 P150〜P159)でも、ペクチンオリゴマーが植物に
抗病原性物質を誘導する効果(エリシター活性)は、還元
末端が飽和状態のものが不飽和のものに比べ強力であ
る。以上の結果からも、本発明によるペクチンオリゴマ
ーはこれまでの技術と比較し、植物に抗病原性機能を付
与する効果は大きいといえる。
は、ペクチン分解酵素としてペクチナーゼを用いるもの
で、生成するペクチンオリゴマーの還元末端は飽和状態
である。京都大学 林助教授の報告(化学と生物 Vol.2
9,No.3 P150〜P159)でも、ペクチンオリゴマーが植物に
抗病原性物質を誘導する効果(エリシター活性)は、還元
末端が飽和状態のものが不飽和のものに比べ強力であ
る。以上の結果からも、本発明によるペクチンオリゴマ
ーはこれまでの技術と比較し、植物に抗病原性機能を付
与する効果は大きいといえる。
【0012】本発明では、ペクチンの主成分であるα−
1,4結合のポリガラクツロニドのグリコシド結合を切
り、重合度が低下して適当なペクチンオリゴマーが得ら
れる。生成したペクチンオリゴマーは、まず限外ろ過
(UF)処理によりその透過液を得ることで重合度を一
定の数値以下に揃えることができ、また処理時の酵素の
残骸や他の不純物を除去できる。次にこのペクチンオリ
ゴマー混合物を含む透過液を逆浸透(RO)処理するこ
とで、モノ及びジガラクツロニドを除去しつつ混合液を
濃縮し、同時に緩衝塩その他の無機塩類を除去した、高
純度のペクチンオリゴマー混合液を得ることができる。
1,4結合のポリガラクツロニドのグリコシド結合を切
り、重合度が低下して適当なペクチンオリゴマーが得ら
れる。生成したペクチンオリゴマーは、まず限外ろ過
(UF)処理によりその透過液を得ることで重合度を一
定の数値以下に揃えることができ、また処理時の酵素の
残骸や他の不純物を除去できる。次にこのペクチンオリ
ゴマー混合物を含む透過液を逆浸透(RO)処理するこ
とで、モノ及びジガラクツロニドを除去しつつ混合液を
濃縮し、同時に緩衝塩その他の無機塩類を除去した、高
純度のペクチンオリゴマー混合液を得ることができる。
【0013】このようにして得たペクチンオリゴマー混
合液は、アルコール沈殿法により固形分とすることもで
きるが、好ましくは凍結乾燥により重合度の安定したペ
クチンオリゴマー混合物を調整する。調整されたペクチ
ンオリゴマー混合物は重合度6〜8量体を多量に含み、
ついて10〜12量体、3〜5量体の順に含む。エンバ
クを用いたエリシター活性の評価では、重合度6〜10
のペクチンオリゴマーは総て高い活性を示し、混合物と
して使用しても十分に高いエリシター効果を期待できる
ものであった。
合液は、アルコール沈殿法により固形分とすることもで
きるが、好ましくは凍結乾燥により重合度の安定したペ
クチンオリゴマー混合物を調整する。調整されたペクチ
ンオリゴマー混合物は重合度6〜8量体を多量に含み、
ついて10〜12量体、3〜5量体の順に含む。エンバ
クを用いたエリシター活性の評価では、重合度6〜10
のペクチンオリゴマーは総て高い活性を示し、混合物と
して使用しても十分に高いエリシター効果を期待できる
ものであった。
【0014】本発明ではUF及びRO処理の組み合わせ
により、容易にペクチンオリゴマーの重合度を揃えるこ
とが可能であり、単離、精製しないでも高いエリシター
活性を保持できることから、製造コストの低い、より実
際的な応用の幅を広げることが期待できる。
により、容易にペクチンオリゴマーの重合度を揃えるこ
とが可能であり、単離、精製しないでも高いエリシター
活性を保持できることから、製造コストの低い、より実
際的な応用の幅を広げることが期待できる。
【0015】本発明によって得られるペクチンオリゴマ
ーは、自然界では単なる植物の細胞壁のフラグメントに
すぎない。そのため肥料や農薬のような使用方法では、
植物に代謝、吸収されてしまうとか、微生物による分解
を受けることにより所定の重合度を保てないなどの結果
を招き、生理活性を示さない恐れがある。
ーは、自然界では単なる植物の細胞壁のフラグメントに
すぎない。そのため肥料や農薬のような使用方法では、
植物に代謝、吸収されてしまうとか、微生物による分解
を受けることにより所定の重合度を保てないなどの結果
を招き、生理活性を示さない恐れがある。
【0016】ペクチンオリゴマーを最も効果的に植物に
作用させるには、植物体の一部に傷をつけ、その部分か
ら吸収させることである。このような使用形態をとりや
すいものとして、定期的に刈り込みを行う芝草がある。
発明者はエンバクで実験を行う傍ら、同じイネ科植物で
ある芝草に対しても同様の試験を行い、良好な結果を得
ている。植物の産生する抗菌性物質であるファイトアレ
キシンとは、同じ科の植物であればほぼ近似の構造の物
質を有することが分かっており、芝草についてもファイ
トアレキシンの存在が充分に考えられる。
作用させるには、植物体の一部に傷をつけ、その部分か
ら吸収させることである。このような使用形態をとりや
すいものとして、定期的に刈り込みを行う芝草がある。
発明者はエンバクで実験を行う傍ら、同じイネ科植物で
ある芝草に対しても同様の試験を行い、良好な結果を得
ている。植物の産生する抗菌性物質であるファイトアレ
キシンとは、同じ科の植物であればほぼ近似の構造の物
質を有することが分かっており、芝草についてもファイ
トアレキシンの存在が充分に考えられる。
【0017】もちろん、一般的な方法として水耕栽培や
液耕栽培などの液肥に添加したり、土壌や葉面散布を行
う潅水に添加するという形態で植物に作用させ、植物活
力剤として使用することで抗病原性機能を強化すること
ができる。
液耕栽培などの液肥に添加したり、土壌や葉面散布を行
う潅水に添加するという形態で植物に作用させ、植物活
力剤として使用することで抗病原性機能を強化すること
ができる。
【0018】
【実施例】以下にペクチンオリゴマーの製造及びエンバ
クにおけるファイトアレキシンの生成、誘導などの実施
例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの内
容に限定されるものではない。
クにおけるファイトアレキシンの生成、誘導などの実施
例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの内
容に限定されるものではない。
【0019】[実施例1]ペクチンオリゴマーの製造方
法及び生成方法 (1)ペクチンオリゴマーの製造方法 コペンハーゲンペクチン社製のシュガーフリーの製品で
ある「ゲニューペクチンLM−84AS」1gに水99g
を加え、75〜80℃にて溶解した後35℃程度に冷却
した。これにBritton Robinson Buffer 100gを加
え、溶液のpHを4.1〜4.2とした。この溶液に市
販のペクチナーゼ(Pectinase Fungal 470 u/gフナコシ
株式会社製)0.4gを加え、35℃±1℃で4時間保
温、攪拌した。反応終了後、75℃に加熱し、酵素を失
活させた。溶液をガラスフィルターでろ過後、日東電工
製の限外ろ過膜(NTU-3020)で処理して未反応の高分子
物を除去した透過液を採取し、さらに同社製逆浸透膜
(NTR-7410)で処理して低分子物や緩衝塩類を除去した
濃縮液を採取した。以上の処理により分子量が500以
上、3000未満となったペクチンオリゴマーを含む溶
液を、さらにロータリーエバポレータにより35℃以下
で濃縮し、凍結乾燥機により乾燥して粉末とした。
法及び生成方法 (1)ペクチンオリゴマーの製造方法 コペンハーゲンペクチン社製のシュガーフリーの製品で
ある「ゲニューペクチンLM−84AS」1gに水99g
を加え、75〜80℃にて溶解した後35℃程度に冷却
した。これにBritton Robinson Buffer 100gを加
え、溶液のpHを4.1〜4.2とした。この溶液に市
販のペクチナーゼ(Pectinase Fungal 470 u/gフナコシ
株式会社製)0.4gを加え、35℃±1℃で4時間保
温、攪拌した。反応終了後、75℃に加熱し、酵素を失
活させた。溶液をガラスフィルターでろ過後、日東電工
製の限外ろ過膜(NTU-3020)で処理して未反応の高分子
物を除去した透過液を採取し、さらに同社製逆浸透膜
(NTR-7410)で処理して低分子物や緩衝塩類を除去した
濃縮液を採取した。以上の処理により分子量が500以
上、3000未満となったペクチンオリゴマーを含む溶
液を、さらにロータリーエバポレータにより35℃以下
で濃縮し、凍結乾燥機により乾燥して粉末とした。
【0020】(2)ペクチンオリゴマーの分子量測定 (1)により得られたペクチンオリゴマーの分子量を以
下の条件で測定したときの、重合度:3〜12の分離パ
ターンを図1に示す。
下の条件で測定したときの、重合度:3〜12の分離パ
ターンを図1に示す。
【0021】測定条件 試料 ペクチンオリゴマー溶液:5%−10ml 充填ゲル TOSO HW−40S カラム RFC 420×2 移動相 0.1M NaCl 流量 1.09 ml/min 圧力 4.0 kg/cm2 温度 22℃〜25℃ なお、みかん缶詰工場廃水からの回収によるペクチン質
のオリゴマーは、同様の処理による検討の結果、市販の
ペクチンの場合とほぼ同じ分子量分布パターンを示すこ
とも確認している。
のオリゴマーは、同様の処理による検討の結果、市販の
ペクチンの場合とほぼ同じ分子量分布パターンを示すこ
とも確認している。
【0022】[実施例2]ペクチンオリゴマーのエンバ
クに対するアベナルミンIの生成誘導効果の評価及び生
成誘導されたファイトアレキシンの定量 ペクチンオリゴマーが、植物の抵抗性発現に関与すると
いわれているファイトアレキシンの生成誘導能を持つか
否かを、既知のイネ科植物のファイトアレキシンについ
て検討した。
クに対するアベナルミンIの生成誘導効果の評価及び生
成誘導されたファイトアレキシンの定量 ペクチンオリゴマーが、植物の抵抗性発現に関与すると
いわれているファイトアレキシンの生成誘導能を持つか
否かを、既知のイネ科植物のファイトアレキシンについ
て検討した。
【0023】その結果、オートムギのファイトアレキシ
ンであるアベナルミンは、ペクチンオリゴマー(重合
度;6,8,10,12)によって、いずれも0.1mg
/ml以上の濃度で誘導された。オートムギの子葉鞘細胞
に対する影響について、FDA染色による蛍光顕微鏡観
察したところ、細胞死を伴う傷害誘導能を持つことも確
認できた。
ンであるアベナルミンは、ペクチンオリゴマー(重合
度;6,8,10,12)によって、いずれも0.1mg
/ml以上の濃度で誘導された。オートムギの子葉鞘細胞
に対する影響について、FDA染色による蛍光顕微鏡観
察したところ、細胞死を伴う傷害誘導能を持つことも確
認できた。
【0024】(1)エンバクに対するアベナルミンの誘
導 所定濃度に調整したペクチンオリゴマー水溶液を接種し
て各種エンバクの、先端部0.5cmを除外した長さ4cm
の葉片をとり、接種して96時間後に0.5mlのメタノ
ールで抽出した。抽出液は0.45μmメンブランフィ
ルターでろ過し、アベナルミンI定量用の逆相液体クロ
マトにより分析を行った。
導 所定濃度に調整したペクチンオリゴマー水溶液を接種し
て各種エンバクの、先端部0.5cmを除外した長さ4cm
の葉片をとり、接種して96時間後に0.5mlのメタノ
ールで抽出した。抽出液は0.45μmメンブランフィ
ルターでろ過し、アベナルミンI定量用の逆相液体クロ
マトにより分析を行った。
【0025】(2)アベナルミンIの定量 全クロマトグラムは、以下の条件により多波長モニター
を用いて分析した。アベナルミンIは単一ピークとして
検出され、その量は合成アベナルミンIを基に定量され
た。
を用いて分析した。アベナルミンIは単一ピークとして
検出され、その量は合成アベナルミンIを基に定量され
た。
【0026】分析条件 分析カラム Hitachi ODS 3056(C−
18) 移動相 水アセトニリル(5:2)+0.1%オル
トリン酸 流量 1.0ml/min 温度 25℃ 検出 紫外分光光度計(340nm) 4種類のエンバクと各重合度のペクチンオリゴマーにつ
いて、アベナルミン生成、誘導の測定結果を表1及び図
2に示す。
18) 移動相 水アセトニリル(5:2)+0.1%オル
トリン酸 流量 1.0ml/min 温度 25℃ 検出 紫外分光光度計(340nm) 4種類のエンバクと各重合度のペクチンオリゴマーにつ
いて、アベナルミン生成、誘導の測定結果を表1及び図
2に示す。
【0027】
【表1】 以上の結果より、ペクチンオリゴマーのアベナルミン生
成、誘導効果は、重合度;8,10のものが高い活性を
示しているが、本発明の製造方法による重合度6〜12
までのペクチンオリゴマーの混合物が、複合体として活
性を示すことがわかる。また、エンバクの品種間のアベ
ナルミン生成、誘導活性に差があることも観察される。
成、誘導効果は、重合度;8,10のものが高い活性を
示しているが、本発明の製造方法による重合度6〜12
までのペクチンオリゴマーの混合物が、複合体として活
性を示すことがわかる。また、エンバクの品種間のアベ
ナルミン生成、誘導活性に差があることも観察される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲルろ過法によるペクチンオリゴマー(重合
度;3〜12,分子量;600〜2600)の分子量分
布を示す。
度;3〜12,分子量;600〜2600)の分子量分
布を示す。
【図2】ペクチンオリゴマー(重合度;6,8,10,
12)のエンバク4品種に対するファイトアレキシン
(アベナルミン)の生成、誘導作用の結果を示す。
12)のエンバク4品種に対するファイトアレキシン
(アベナルミン)の生成、誘導作用の結果を示す。
Claims (6)
- 【請求項1】 ペクチンにペクチン分解酵素としてのペ
クチナーゼを作用させてペクチンオリゴマー混合物を生
成し、該ペクチンオリゴマー混合物を限外ろ過法及び逆
浸透法により処理し、生理活性を有するペクチンオリゴ
マーを分離、精製する生理活性ペクチンオリゴマーの製
造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、ぺクチンは市販のペ
クチンあるいは産業廃棄物より回収されるペクチンであ
ることを特徴とする生理活性ペクチンオリゴマーの製造
方法。 - 【請求項3】 請求項1において、限外ろ過法及び逆浸
透法によりペクチンオリゴマーの重合度を3〜12に調
整することを特徴とする生理活性ペクチンオリゴマーの
製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3の製造方法で得られたペク
チンオリゴマーを植物にエリシターとして作用させるこ
とを特徴とする生理活性ペクチンオリゴマーの使用方
法。 - 【請求項5】 請求項4において、植物はエンバク等の
イネ科植物であることを特徴とする生理活性ペクチンオ
リゴマーの使用方法。 - 【請求項6】 請求項4において、植物はその植物体の
一部に傷がつけられていることを特徴とする生理活性ペ
クチンオリゴマーの使用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33908091A JPH05168490A (ja) | 1991-12-20 | 1991-12-20 | 生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法及び使用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33908091A JPH05168490A (ja) | 1991-12-20 | 1991-12-20 | 生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法及び使用方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05168490A true JPH05168490A (ja) | 1993-07-02 |
Family
ID=18324070
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33908091A Pending JPH05168490A (ja) | 1991-12-20 | 1991-12-20 | 生理活性ペクチンオリゴマーの製造方法及び使用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05168490A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2762189A1 (fr) * | 1997-04-18 | 1998-10-23 | Goemar Lab Sa | Composition et procede pour la stimulation des defenses naturelles des plantes, en particulier des cereales et notamment du ble ainsi que de la pomme de terre |
WO1998047364A1 (fr) * | 1997-04-21 | 1998-10-29 | Plant Biological Defense System Laboratories | Procede de selection d'un eliciteur induisant la production de phytoalexine dans le riz et agent de lutte contre les maladies du riz contenant cet eliciteur comme ingredient actif |
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