JPH05168053A - 画像表示管のリンギング検査方法および装置 - Google Patents

画像表示管のリンギング検査方法および装置

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JPH05168053A
JPH05168053A JP33026391A JP33026391A JPH05168053A JP H05168053 A JPH05168053 A JP H05168053A JP 33026391 A JP33026391 A JP 33026391A JP 33026391 A JP33026391 A JP 33026391A JP H05168053 A JPH05168053 A JP H05168053A
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signal
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明 斎藤
Toshiro Asano
敏郎 浅野
Keisuke Kawame
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】画像表示管のリンギング検査の定量評価方法と
自動化方法を提供する。 【構成】画像表示管1に白色画像信号を入力する手段2
と、この入力信号により画面に発生するリンギング縞を
撮像する撮像装置3と、前記撮像装置の画像出力信号を
増幅するプリアンプ4と、デジタル信号に変換するA/
D変換器5と、このデジタル化された画像信号を取り込
む画像信号記憶手段6と、その出力信号からリンギング
縞の位置を検出し、縞のコントラストを求める演算処理
手段7とを具備する。 【効果】リンギングを人間の目に頼ることなく、高感度
でしかも目視での評価とよい一致を保ちながらリンギン
グの定量化測定を可能とし、迅速に製品の良品・不良品
の分別を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陰極線管としてブラウ
ン管に代表される画像表示管の画質検査方法および装置
に係り、特に画像表示管のリンギング検査に好適な検査
方法および検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】白黒もしくはカラーを問わずブラウン管
のリンギング現象は、例えば白色画面を映出したときに
画面左側に明暗の縞が縦方向に発生することにより確認
できる。このブラウン管のリンギングは、電子ビームを
偏向し走査する際に、偏向コイルの励磁電圧値が立上り
時にふらつき直線的に変化せず波打つことにより走査速
度に大小のむらが発生し、それが輝度の大小を生じるこ
とによる。電子ビームは通常画面の左端から右端へ走査
されるが、この走査開始時に偏向コイルの励磁電圧値が
ふらつく場合にリンギングが発生するため、画面では走
査開始の左寄りに限って発生する。
【0003】このリンギング検査方法に関する従来技術
としては、目視による判定がほとんどで、縞の強弱、実
際には検査基準となる限度見本との比較により良否判定
を行う方法が取られている。しかしながらこの方法で
は、評価の個人差が大きく、しかも定量化が困難であ
り、また検査者の作業負担も大きいため自動検査が切望
されている。
【0004】リンギング検査の自動化に当たっては、フ
ォーカス・コンバーゼンス等の検査項目より測定結果の
定量化が困難なため比較的遅れている。
【0005】画質検査の自動化例として、シェーディン
グ特性の測定(例えば特開昭61−189095号公報
参照)等はあるが、単純な輝度変化の検出は行えても輝
度値の高低を繰り返すリンギング縞の評価までは不可能
である。また、リンギング縞を除去する方法としては、
例えば特開平1−216690号公報等を挙げることが
できるが、これは映像信号自体のリンギングについてで
あり、ブラウン管自体によるリンギングではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は目視に
よる検査が殆どで、人手に頼らざるを得ず、リンギング
検査装置による自動化の配慮がなされず非能率的な方法
であった。
【0007】したがって、本発明の目的は、上記従来の
問題点を解消することにあり、その第1の目的は目視評
価と同等で、しかも正確で迅速な自動化された検査法に
よりリンギングを定量的に評価し、良品・不良品の判別
を行うことのできる改良されたリンギング検査方法を提
供することにある。
【0008】そして、本発明の第2の目的は、上記検査
方法を具体的に実現するための改良された検査装置を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者等は種々実験検討の結果、以下に述べるよ
うな知見を得た。すなわち、第1の手法として、ブラウ
ン管において映出された白色画面をTVカメラを用い、
プリアンプにより検出感度を上げながら撮像し、リンギ
ングのランダムノイズを低減するために画像を縦方向に
投影する。なお、この画像を縦方向に投影するというこ
とは、各走査線の同一位置における輝度信号を縦方向に
積算することを意味する。
【0010】次にリンギングが存在していなければそう
なったであろう輝度分布、即ち背景輝度分布を求める。
そしてその投影結果と背景輝度分布との除算結果から得
られるリンギング縞のコントラストの大小により良品・
不良品を判別する。
【0011】更に第2の手法として、ブラウン管におい
て映出された白色画面をTVカメラを用い、プリアンプ
により検出感度を上げながら撮像する。その画像を平滑
化し、着目画素の輝度値とその点から水平方向にある距
離だけ離れた位置の輝度値との大小関係で二値化を行
う。これによりリンギングの微弱な縦縞が強調された画
像が得られる。この二値化処理を、検出する縞の空間周
波数を調整するために前述の距離を変化させ、二値化を
数回繰り返す。以降この二値化処理を比較二値化処理と
呼ぶことにする。
【0012】次に得られた各比較二値化画像を縦方向に
輝度値を投影する。そして各二値化画像の投影結果を加
算平均することにより合成し、その波形からリンギング
縞位置の検出を行う。一方原画像の縦方向輝度値投影分
布を求め、検出された縞位置を参照して各リンギング縞
のコントラストを求める。そしてこのリンギング縞のコ
ントラストの大小により、良品・不良品を判別する。
【0013】本発明は、かかる知見に基づいて為された
ものであり、以下に具体的な目的達成手段について説明
する。
【0014】上記本発明の第1の目的は、(1)画像表
示管に白色画像信号を入力して、リンギング縞を有する
白色画像を映出せしめ、この画像を撮像装置に取り込
み、その出力信号をデジタル信号に変換して画面の縦方
向輝度値投影分布を求める段階と、前記縦方向輝度値投
影分布をスムージング処理することにより、背景輝度分
布を求める段階と、前記縦方向輝度値投影分布をその背
景輝度分布で除算し、その除算結果から求められるコン
トラストにより前記画像表示管に映出せしめられたリン
ギング縞の大小の程度を定量化する段階とを有して成る
画像表示管のリンギング検査方法により、達成される。
【0015】そして更に好ましくは、(2)画像表示管
に白色画像信号を入力して、リンギング縞を有する白色
画像を映出せしめ、この画像を撮像装置に取り込み、そ
の出力信号をデジタル信号に変換して画面の縦方向輝度
値投影分布を求める段階と、前記縦方向輝度値投影分布
をスムージング処理することにより、背景輝度分布を求
める段階と、前記縦方向輝度値投影分布をその背景輝度
分布で除算し、その除算結果から求められるコントラス
トと、予め設定された基準コントラストとを比較し、こ
の基準コントラストに基づいて前記画像表示管に映出せ
しめられたリンギング縞の大小の程度を判定する検査段
階とを有して成る画像表示管のリンギング検査方法によ
り、達成される。
【0016】そして更に好ましくは、(3)画像表示管
に白色画像信号を入力し、リンギング縞を有する白色画
像を映像させ、この画像を撮像装置に取り込み、その出
力信号をデジタル信号に変換して画面の平滑化処理を行
う段階と、各画素の輝度値をその点からある距離だけ離
れた画素の輝度値と比較し二値化する段階と、比較する
距離を変え、二値化処理画像を複数回生成し、異なる空
間周波数の縞を個別に強調させる段階と、各二値化画像
を縦方向に輝度値を投影し、それらを合成する段階と、
その結果求まる波形からリンギング縞の位置を検出し、
原画像の縦方向輝度値投影分布に照らし合わせ、リンギ
ング縞のコントラストを求め定量化する手段とを有して
成る画像表示管のリンギング検査方法により、達成され
る。
【0017】更に好ましくは、上記(1),(2),
(3)のリンギング検査方法において、上記撮像装置に
取り込んだ白色画像アナログ信号を増幅してゲインを上
げリンギング縞の検出感度を高めてからデジタル信号に
変換するようにすることが望ましい。
【0018】また、上記縦方向輝度値投影分布をスムー
ジング処理する方法としては、例えば3点移動平均法、
指数関数近似法、中点連結法などいずれの周知の方法に
よってもよいが、とりわけ3点移動平均法が実用的で好
ましい。
【0019】また、上記本発明の第2の目的は、(4)
画像表示管に白色画像信号を入力する手段と;この入力
信号により画面に発生するリンギング縞を撮像する撮像
装置と;前記撮像装置の画像出力信号を増幅しデジタル
信号に変換する手段と;このデジタル化された画像信号
を取り込む画像信号記憶手段と;この画像信号から縦方
向輝度値投影分布と、さらにこの縦方向輝度値投影分布
をスムージング処理することにより背景輝度分布とをそ
れぞれ求め、しかもこの縦方向輝度値投影分布を背景輝
度分布で除算してコントラストを求める演算処理手段と
を具備して成り、この演算処理結果のコントラストの大
小から、前記画像表示管に映出せしめられたリンギング
縞の大小の程度を定量化するように成した画像表示管の
リンギング検査装置により、更に好ましくは、(5)画
像表示管に白色画像信号を入力する手段と;この入力信
号により画面に発生するリンギング縞を撮像する撮像装
置と;前記撮像装置の画像出力信号を増幅しデジタル信
号に変換する手段と;このデジタル化された画像信号を
取り込む画像信号記憶手段と;この画像信号から縦方向
輝度値投影分布と、さらにこの縦方向輝度値投影分布を
スムージング処理することにより背景輝度分布とをそれ
ぞれ求め、しかもこの縦方向輝度値投影分布を背景輝度
分布で除算する演算処理手段と;前記除算結果から求め
られたコントラストを、予め設定された基準コントラス
トと比較するコントラスト比較手段と;この基準コント
ラストとの比較結果に基づいて前記画像表示管に映出せ
しめられたリンギング縞の大小の程度を判定する判定手
段とを具備して成る画像表示管のリンギング検査装置に
より、達成される。更に好ましくは、(6)画像表示管
に白色画像信号を入力する手段と、この入力信号により
画面に発生するリンギング縞を撮像する撮像装置と、前
記撮像装置の画像出力信号をデジタル信号に変換する手
段と、このデジタル化された画像信号を取り込む画像信
号記憶手段と、その出力信号から画面の平滑化処理を行
い、各画素の輝度値をその点からある距離だけ離れた画
素の輝度値と比較し2値化した画像の縦方向投影分布を
求め、更に輝度値を比較する距離を変え、二値化処理画
像を複数回生成し、異なる空間周波数の縞を個別に強調
させ、各二値化画像を縦方向に輝度値を投影し、それら
を合成した波形からリンギング縞の位置を検出し、原画
像の縦方向輝度値投影分布に照らし合わせ、リンギング
縞のコントラストを求める演算処理手段とを具備して成
り、前記画像表示管に映出されたリンギング縞を定量化
するように成した画像表示管のリンギング検査装置によ
り、達成される。
【0020】
【作用】(1)本発明によれば、リンギング縞をTVカ
メラの如き撮像装置を用い、プリアンプで測定感度を上
げながら撮像し、演算処理手段としての計算機により定
量評価を行うことにより、迅速なリンギング検査が可能
となる。
【0021】(2)本発明によれば、縦方向輝度値投影
分布と背景輝度分布との除算結果より求められる各縞の
コントラストは、人間の視覚特性とよく一致しており、
正確なリンギング検査が可能となる。
【0022】(3)縦方向輝度値投影分布の算出は、各
走査線の同一縦方向位置における輝度を積算して走査方
向の分布(積算輝度分布)を求めることにより行われ、
実際には計算機で各走査線の同一位置の輝度信号を積算
演算処理することにより容易に得ることができる。
【0023】(4)背景輝度分布の算出は、リンギング
が存在していなければそうなったであろう輝度分布を求
めるのであるが、縦方向輝度値投影分布をデーターベー
スとしてこの情報を計算機によりスムージング処理すれ
ば容易に得ることができる。
【0024】(5)リンギング縞の有無は比較二値化処
理により明確に判断できる。縦方向輝度値投影分布によ
り求まる縞位置と原画像の縦方向輝度値投影分布により
求められる各縞のコントラストは、人間の視覚特性とよ
く一致しており、正確なリンギング検査が可能となる。
【0025】(6)比較二値化処理は、撮像した画面の
平滑化処理を行い、各画素の輝度値をある距離だけ離れ
た画素の輝度値よりも大きかったら1、小さかったら0
とする処理で、計算機により二値化処理するので高速に
かつ容易に得ることが出来る。 (7)コントラストは、縦方向輝度値投影分布を背景輝
度分布で除算すればよく、これも計算機処理により容易
に得ることができる。
【0026】その他の手段及び作用等については、以下
の実施例の項で補足されよう。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。図1は、本発明のリンギング検査方法及び装置構成
を説明するブロック図を示したものである。同図におい
て、1は被検査ブラウン管、2はごく標準的なテストパ
ターンを発生することのできるTV信号発生器、3は工
業用視覚センサとして一般的に用いられているTVカメ
ラ(白黒)、4は画像のゲインを上げるプリアンプ、5
は画像信号のデジタル化を行うA/D変換器、6は画像
メモリ、7は画像メモリ上に格納された画像データを処
理し、リンギングを評価するための演算処理手段として
の計算機である。
【0028】リンギング評価時には、ブラウン管1は、
通常のラスタ走査を行った状態で、TV信号発生器によ
り生成されるテストパターンの映像信号、同期信号が与
えられて、パターンが映出されている。検査パターンと
しては、白色画面が用いられる。この画面の縦サイズが
全て視野に入るようにTVカメラ3により撮像する。T
Vカメラ3により撮像された検査パターンは、プリアン
プ4に入る。ここでは不要なDCレベルをオフセットと
して減算しながらゲインを上げ、リンギング縞の検出感
度を向上させる。そしてA/D変換装置5を通した後
に、画像メモリ6上に画像データとして格納される。こ
の画像データを計算機7により演算処理することにより
リンギングを評価する。
【0029】次に、計算機7により行われる演算処理の
第1の手法について、図2の処理概略フロー及び図3〜
図8の各処理の説明図を用いて説明する。
【0030】まず、図2の101に示すように画像の取
り込みを行う。この際、ブラウン管画面の左端部から画
面全体の約1/2位までの領域を撮像する。その撮像画
面の一例を図3(a)に示す。
【0031】次にリンギング縞は縦方向におよそ一様な
濃淡パターンであり、そこに各縦ライン間でランダムな
ノイズ成分が加わったものが原画像であるので、各縦ラ
インでの輝度分布の平均をとることによりリンギングに
対するランダムノイズ成分を低減することができる。そ
こで、取り込んだ画像の各画素の持つ輝度値を縦方向に
順次積算する。それによりリンギングに対するランダム
ノイズの影響を低減しながら一次元の濃淡波形を得るこ
とができる。即ち、これが輝度値の縦方向投影である
(図2の102)。その縦方向輝度値投影結果を図3
(b)に示す。
【0032】次にこの求まった輝度値縦方向投影分布の
最初の立ち上がりを除いた範囲で、図4に示すように、
ある点とその前後の合計3点の投影値の平均を、その点
の平均値とする処理、即ち3点移動平均法によるスムー
ジング処理を複数回、投影分布に対して施し、細かな変
化を取り除くことによりリンギングがなければそうなっ
たであろう輝度分布を求め、これを背景輝度分布とする
(図2の103)。その結果の一例を図3(c)に示
す。なお、背景輝度分布を求める方法としては、今回用
いた3点移動平均法の他に、図5に示す投影値を指数関
数に当てはめる指数関数近似法、あるいは図6に示す投
影値の山と谷の中点を連結させてゆく中点連結法等いず
れの方法も使用可能である。しかし、3点移動平均法が
実用上特に好ましいので本実施例ではこれを採用した。
【0033】次に輝度値投影分布を背景輝度分布で除す
る、除算処理を行う(図2の104)。これによりコン
トラストが算出される。
【0034】以下、コントラストの算出法の根拠とリン
ギングの定量評価につき説明する。そもそも投影波形
は、リンギングと、画面端部が中央部より輝度値が低く
なるブラウン管輝度シェーディングの2つによって生成
されると考えられる。そこで次のような簡単なモデルを
想定した。リンギングのない場合の走査線速度は一定で
0とし、その場合の輝度分布をL0(x)とする。ただ
し、xは水平方向(走査線方向)に取った座標を表す。
このL0(x)には輝度シェーディングの形が現れてい
る。また、リンギングのある場合の走査線速度を v(x)=k(x)×v0 …(1) とする。ただしk(x)は走査線速度の過渡成分を表す。
このとき観察される実際の輝度分布を L(x)=L0(x)×F(k(x)) …(2) であると考える。ただしFは速度によって決まる一種の
発光効率のようなもので、k(x)が大きければFが小さ
くなるような関数である。つまり、速度が0に近いほど
電子ビームによる螢光体単位面積当たりの商社時間が長
くなるため発光輝度は大きくなり、速度が大きいほど発
光輝度が小さくなる関係にある。そこで、 F(k)=1/k …(3) のようにFの形を決めることが考えられるが、実際には
このように単純な形で表せる可能性は少ない。しかし、
少なくともL(x)/L0(x)がリンギングにより引き起
こされる輝度分布の物理的状況を反映した量であるとみ
なすことはできる。即ち、このL(x)/L0(x)を求め
ることによりリンギング波形を再現することができる。
ここで、ブラウン管輝度シェーディングL0(x)は、背
景輝度分布とよぶことにする。
【0035】また、リンギング検査は官能検査である踏
め、視覚特性との関係付けが必要である。そこで、刺激
強度に関する実験心理学的な法則であるウェーバーの法
則を適用することにより、視覚特性とよい一致を得るこ
とができる。式(4)にウェーバーの法則を示す。
ΔI/I=const. …(4) ただし、Iは背景輝度、ΔIは変化の知覚される最小の
輝度差である。いまこのウェーバーの法則を拡大解釈
し、縦方向投影分布をA、背景輝度分布をBとした時、
(A−B)がΔIに、BがIに相当し、 視感によるコントラスト∝(A−B)/B =A/B−1 …(5) となる。
【0036】ここで縦方向輝度分布/背景輝度分布がA
/Bと表されることを考慮すると、これから1を引いた
ものが視感によるコントラスト(変化の知覚される最小
の輝度差)であるので、この除算処理は、リンギング波
形成分を求めると同時にリンギングの明暗パターンの視
感によるコントラストを求める処理にもなっている。
【0037】次に、リンギングの強度・幅をそれぞれ図
7に示すような、視感コントラスト(除算結果)のプロ
ファイルの谷とその右側の山とのコントラストの差(強
度)と、ゼロをクロスする2点間の長さ(幅)から求め
る(図2の105)。そのコントラストの差(強度)
と、一つのピークの0をクロスする幅からリンギングを
定量化し、予め求めておいたリンギングがあっても許容
される限度見本のリンギングの設定値との大小関係から
リンギングの定量評価、つまりブラウン管の良否判定を
行う(図2の106)。即ち、図8に示すように良品か
ら不良品まで含んだ多数のブラウン管をサンプルとして
目視判定と本発明による定量評価を同時に行うことによ
り、実験的に良品限界を求めることが出来る。この良品
限界を用いてリンギングの検査を行う。
【0038】次に、計算機7により行われる演算処理の
第2の手法について、図9の処理概略フロー及び図10
〜15図の各処理の説明図を用いて説明する。まず、画
像の取り込みを行う(図9の201)。この際、ブラウ
ン管画面の左端部から画面全体の約1/2位までの領域
を撮像する。その撮像画面の一例を図3(a)に示す。
次に図10に示すように、各画素についてその点とその
回りの4連結成分の画素との平均値を求める(図9の2
02)。そして図11に示すように、得られた平均化画
像のある点の値とそこから距離1だけ離れたA,B点の
平均値で比較二値化処理する(図9の204)。その結
果、図12(a)に示すような縦方向の縞が強調された
画像が得られる。次にこの画像を縦方向に輝度値を投影
し、図12(b)に示すような波形を得る(図9の20
5)。ここで、様々な空間周波数の縞を強調させるた
め、図9の203〜205までの処理を距離1を変化さ
せ(図9の203)繰り返す。繰り返し得られた図12
(b)のような波形を単純に加算平均することで合成し
(図9の206)、図13に示すような合成波形からリ
ンギング縞位置を検出する(図9の207)。一方、図
3(a)に示す原画像の縦方向輝度値投影分布を求める
(図9の208)。この波形から図9の207の処理で
得られた縞位置情報を参照しながら、図14に示すよう
に各縞の輝度差hを求める。次に図15に示すように縞
の谷位置であるx2の投影値f1を図14で求めた縞の
輝度差hの中点f2の値で除算した結果から1を引いた
値、即ち縞の明暗による輝度差(f2−f1)を輝度差
hの中点の値f2で除算した値を縞コントラストとして
求める(図9の209)。この除算処理により、撮像画
像の平均輝度値の変動によらない相対的な評価値が得ら
れる。またx2なる縞の谷位置から両側の山までを結ぶ
長さ、即ちx3−x1をリンギング縞の幅とする。この
縞コントラスト値と幅によりリンギングを定量化し(図
9の210)、ブラウン管の良否判定を行う。
【0039】図16は、第1の手法による検査結果を示
したものであり、熟達した検査員が選択した12本の試
料ブラウン管(試料番号1の合格品1本、試料番号2〜
12のリンギング不良品11本)につき、本実施例の検
査方法を採用した装置を用いて実測した結果を示してい
る。図示のとおり、本実施例による評価結果は、熟達し
た検査員の検査結果と良く一致している。なお、第2の
手法による検査結果についてもほぼ同一な結果が得られ
た。
【0040】評価実験の結果から、この方法ではコント
ラストが0.01(1%)程度までの縞の検出が可能であ
る。コントラストの1%は目視での認識限界とほぼ一致
しており、実用上十分な検出感度といえる。熟達した検
査員の目視による検査結果では、リンギング不良品は選
別できても定量的なリンギングの大きさを正確に知るこ
とは不可能であるが、本発明によれば個々の不良品につ
いて正確な定量化が可能である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、リ
ンギングを人間の目に頼ることなく、目視での評価とよ
い一致を保ちながらリンギングの定量化測定を可能と
し、迅速に製品の良品・不良品の分別を行うことができ
る。
【0042】かかる本発明は、今後益々需要が高まると
想定される高品質カラーブラウン管の製造時の検査工程
の自動化に、また、新製品開発時の品質検査に寄与する
ことができ、産業上多大な貢献が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すリンギング検査方法及
び検査装置を説明するブロック図、
【図2】同じく本実施例における第1の手法として計算
機により行われる演算処理の概略フロー図、
【図3】(a)はブラウン管上で発生するリンギング現
象を示す図、(b)は輝度値の縦方向投影分布を示す曲
線図、(c)は背景輝度分布の算出結果を示す特性曲線
図、
【図4】スムージング処理の3点移動平均法を示す説明
図、
【図5】同じく指数関数近似法を示す説明図、
【図6】同じく中点連結法を示す説明図、
【図7】リンギングの強度・幅の定義を示す説明図、
【図8】リンギングの良否判定基準とそれによる選別結
果を示す説明図、
【図9】本実施例における第2の手法として計算機によ
り行われる演算処理の概略フロー図、
【図10】輝度値の平滑化処理方法の説明図、
【図11】比較二値化処理方法の説明図、
【図12】(a)は原画像の比較二値化処理結果を示す
図、(b)は図3(a)の縦方向輝度値投影結果を示す
図、
【図13】様々な比較距離での比較二値化画像の投影波
形を合成した図、
【図14】リンギング縞の輝度差の算出方法の説明図、
【図15】リンギング縞のコントラスト幅の算出方法の
説明図、
【図16】本発明実施例によるリンギング定量化の実測
結果を示す試料分布図である。
【符号の説明】
1…ブラウン管 2…TV信号発生器 3…TVカメラ 4…プリアンプ 5…A/D変換器 6…画像メモリ 7…計算機

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像表示管に白色画像信号を入力して、リ
    ンギング縞を有する白色画像を映出せしめ、この画像を
    撮像装置に取り込み、その出力信号をデジタル信号に変
    換して画面の縦方向輝度値投影分布を求める段階と、前
    記縦方向輝度値投影分布をスムージング処理することに
    より、背景輝度分布を求める段階と、前記縦方向輝度値
    投影分布をその背景輝度分布で除算し、その除算結果か
    ら求められるコントラストにより前記画像表示管に映出
    せしめられたリンギング縞の大小の程度を定量化する段
    階とを有して成る画像表示管のリンギング検査方法。
  2. 【請求項2】画像表示管に白色画像信号を入力して、リ
    ンギング縞を有する白色画像を映出せしめ、この画像を
    撮像装置に取り込み、その出力信号をデジタル信号に変
    換して画面の縦方向輝度値投影分布を求める段階と、前
    記縦方向輝度値投影分布をスムージング処理することに
    より、背景輝度分布を求める段階と、前記縦方向輝度値
    投影分布をその背景輝度分布で除算し、その除算結果か
    ら求められるコントラストと、予め設定された基準コン
    トラストとを比較し、この基準コントラストにに基づい
    て前記画像表示管に映出せしめられたリンギング縞の大
    小の程度を判定する検査段階とを有して成る画像表示管
    のリンギング検査方法。
  3. 【請求項3】画像表示管に白色画像信号を入力し、リン
    ギング縞を有する白色画像を映像させ、この画像を撮像
    装置に取り込み、その出力信号をデジタル信号に変換し
    て画面の平滑化処理を行う段階と、各画素の輝度値をそ
    の点からある距離だけ離れた画素の輝度値と比較し二値
    化する段階と、比較する距離を変え、二値化処理画像を
    複数回生成し、異なる空間周波数の縞を個別に強調させ
    る段階と、各二値化画像を縦方向に輝度値を投影し、そ
    れらを合成する段階と、その結果求まる波形からリンギ
    ング縞の位置を検出し、原画像の縦方向輝度値投影分布
    に照らし合わせ、リンギング縞のコントラストを求め定
    量化する段階とを有して成る画像表示管のリンギング検
    査方法。
  4. 【請求項4】上記撮像装置に取り込んだ白色画像アナロ
    グ信号を増幅してゲインを上げリンギング縞の検出感度
    を高めてからデジタル信号に変換するように成した請求
    項1,2,3記載の画像表示管のリンギング検査方法。
  5. 【請求項5】上記縦方向輝度値投影分布をスムージング
    処理する方法を、3点移動平均法により施して成る請求
    項1もしくは2記載の画像表示管のリンギング検査方
    法。
  6. 【請求項6】画像表示管に白色画像信号を入力する手段
    と;この入力信号により画面に発生するリンギング縞を
    撮像する撮像装置と;前記撮像装置の画像出力信号を増
    幅しデジタル信号に変換する手段と;このデジタル化さ
    れた画像信号を取り込む画像信号記憶手段と;この画像
    信号から縦方向輝度値投影分布と、さらにこの縦方向輝
    度値投影分布をスムージング処理することにより背景輝
    度分布とをそれぞれ求め、しかもこの縦方向輝度値投影
    分布を背景輝度分布で除算してコントラストを求める演
    算処理手段とを具備して成り、この演算処理結果のコン
    トラストの大小から、前記画像表示管に映出せしめられ
    たリンギング縞の大小の程度を定量化するように成した
    画像表示管のリンギング検査装置。
  7. 【請求項7】画像表示管に白色画像信号を入力する手段
    と;この入力信号により画面に発生するリンギング縞を
    撮像する撮像装置と;前記撮像装置の画像出力信号を増
    幅しデジタル信号に変換する手段と;このデジタル化さ
    れた画像信号を取り込む画像信号記憶手段と;この画像
    信号から縦方向輝度値投影分布と、さらにこの縦方向輝
    度値投影分布をスムージング処理することにより背景輝
    度分布とをそれぞれ求め、しかもこの縦方向輝度値投影
    分布を背景輝度分布で除算する演算処理手段と;前記除
    算結果から求められたコントラストを、予め設定された
    基準コントラストと比較するコントラスト比較手段と;
    この基準コントラストとの比較結果に基づいて前記画像
    表示管に映出せしめられたリンギング縞の大小の程度を
    判定する判定手段とを具備して成る画像表示管のリンギ
    ング検査装置。
  8. 【請求項8】画像表示管に白色画像信号を入力する手段
    と;この入力信号により画面に発生するリンギング縞を
    撮像する撮像装置と;前記撮像装置の画像出力信号をデ
    ジタル信号に変換する手段と、このデジタル化された画
    像信号を取り込む画像信号記憶手段と、その出力信号か
    ら画面の平滑化処理を行い、各画素の輝度値をその点か
    らある距離だけ離れた画素の輝度値と比較し2値化した
    画像の縦方向投影分布を求め、更に輝度値を比較する距
    離を変え、二値化処理画像を複数回生成し、異なる空間
    周波数の縞を個別に強調させ、各二値化画像を縦方向に
    輝度値を投影し、それらを合成した波形からリンギング
    縞の位置を検出し、原画像の縦方向輝度値投影分布に照
    らし合わせ、リンギング縞のコントラストを求める演算
    処理手段とを具備してなり、前記画像表示管に映出され
    たリンギング縞を定量化するように成した画像表示管の
    リンギング検査装置。
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