JP3372839B2 - 画質測定方法及び装置、これを用いた表示装置の製造方法 - Google Patents

画質測定方法及び装置、これを用いた表示装置の製造方法

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JP3372839B2
JP3372839B2 JP23437297A JP23437297A JP3372839B2 JP 3372839 B2 JP3372839 B2 JP 3372839B2 JP 23437297 A JP23437297 A JP 23437297A JP 23437297 A JP23437297 A JP 23437297A JP 3372839 B2 JP3372839 B2 JP 3372839B2
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功 吉見
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  • Testing, Inspecting, Measuring Of Stereoscopic Televisions And Televisions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーディスプレ
イ管やTFT,プラズマディスプレイ装置などの表示装
置の画質測定方法及び装置、これを用いた表示装置の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表示装置の画質測定方法として、その一
例であるむらの検査方法が、例えば、特開平2−193
271号公報に記載されている。これは、検査対象を撮
影してその画像を得、その画像とそれを所定の方向にず
らした画像との輝度差分画像を求め、この輝度差分画像
を複数領域に分割して、各領域の輝度関係から検査対象
のむら状態を検査するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術では、画像のずらし量やその方向に応じて輝度差分画
像が異なるため、安定したむら評価を実現することは困
難である。
【0004】また、むらが存在する領域をずらしたと
き、この領域が他のむらが存在する領域と重なってしま
う場合もあり、このような場合には、その輝度差分画像
にむらの様子が反映されなくなってしまい、妥当なむら
評価が困難になってしまう。
【0005】さらに、検査対象を連続した発光面として
評価を行なうため、表示装置の表示画面を構成する発光
単位(即ち、蛍光ドット)の数個毎に生ずるむらといっ
た細かいざらむら(以下、粒状むらという。モトリング
むらと呼ばれることもある)を評価することは不可能で
ある。
【0006】本発明の目的は、かかる問題を解消し、シ
ェーディングのような周波数の低いむらのみならず、蛍
光ドット数個単位で生ずるような高い周波数の細かいざ
らむら、即ち、粒状むらを定量的に測定することのでき
るようにした画質測定方法及び装置,これを用いた表示
装置の製造方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、目視では困難な表示
画面でのむらや蛍光ドットの欠陥の発生要因の類推を可
能にし、むらや蛍光ドットの欠陥が低減された高画質の
表示装置を製造可能とする画質測定方法及び装置,これ
を用いた表示装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による画質測定装置及び方法は、表示画面を
構成する最小単位である画素毎に特徴量を算出し、画面
内での特徴量の分布から画質の判定を行なうものであ
り、シェーディングのような低周波数のむらから画素数
個からなる高周波数のむらまで定量的測定及び欠陥の検
出を可能にするものである。
【0009】また、本発明による画質測定装置及び方法
は、特徴量として各画素の発光量や面積,単位面積当り
の平均発光量、画素内部の発光分布のばらつき、画素の
形状などの1種あるいは複数種を用いるものであって、
これにより、むらや画素の欠陥の要因を類推可能とす
る。
【0010】そして、本発明による画質測定装置及び方
法を表示装置の製造工程に用いることにより、かかる要
因の類推結果を工程にフィードバックすることができ
て、本発明による画質測定装置及び方法が表示装置の製
造工程に効果的に作用し、高画質の表示装置を製造可能
とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、検査対象としてカラーブラ
ウン管を例にとり、その表示画面に発生する粒状むらを
測定する本発明の実施形態を図面により説明する。
【0012】図1は本発明による画質測定方法及び装置
の一実施形態を示す構成図であって、1は検査対象とし
てのカラーブラウン管、2は画像処理装置、3は信号発
生装置、4はカメラである。
【0013】同図において、カラーブラウン管1の表示
画面には、画像処理装置2に記述されたアルゴリズムに
従って信号発生装置3から発生される画像信号により、
所定のラスタ画像(即ち、表示装置の表示画面全体を一
様な輝度・色度とする画像)が映出される。
【0014】表示画面で表示されるかかるラスタ画像の
所望の一部が、カメラ4により、ラスタ画像の各蛍光ド
ットが認識できる程度に拡大して撮像される。その際、
強い干渉縞が発生しないようにするために、撮像装置と
して撮像管を用いてもよい。また、高解像度カメラを用
いたり、図2に示すように、カメラ4を複数台用い、夫
々が画面上の異なる領域を撮像するようにしてもよい。
さらに、一次元ラインセンサで表示されるラスタ画像を
スキャンして撮像してもよい。
【0015】カメラ4から得られる撮影画像は画像処理
装置2に供給され、予め記述されたアルゴリズムに従っ
て処理されて、粒状むら量が算出される。
【0016】図3は図1における画像処理装置2の一具
体例を示すブロック図であって、5は画像補正部、6は
特徴抽出部、7はむら量算出部である。
【0017】同図において、カメラ4の出力画像は画像
処理装置2に供給され、まず、画像補正部5により、黒
レベルが補正され、さらに、カメラ4の光学系による影
響が補正される。画像補正部5でかかる補正がなされた
画像は特徴抽出部6に供給され、カラーブラウン管の表
示画面の蛍光ドット毎に特徴量が抽出される。むら量算
出部7では、これら抽出された特徴量から粒状むら量が
算出される。
【0018】次に、これら画像補正部5,特徴抽出部6
及びむら量算出部7の詳細な作用について説明するが、
まず、画像補正部5の作用について説明する。
【0019】一般に、CCDカメラなどでは、入力光が
なくても、あるパターンの画像を出力する特性を有して
いる。このような画像を黒レベル画像という。図4はC
CDカメラの1画素(CCDの受光単位)での入力光量
に対する出力の例を示すものであって、同図において、
入力光量が0のときのレベルが黒レベルである。撮像面
での画素の位置に応じてその黒レベルが異なることか
ら、上記の黒レベル画像が生ずる。カメラ4の出力画像
は、受光に伴う被写体画像にこの黒レベル画像が加わっ
たものである。
【0020】画像補正部5では、カメラ4を入力光がな
い状態にして、そのときの出力画像、即ち、黒レベル画
像を取り込んで保持しておき、カメラ4でカラーブラウ
ン管1の表示画面に表示される上記のラスタ画像を撮像
するとき、このカメラ4から取り込む画像からこの黒レ
ベル画像を差し引いて黒レベル補正を行なう。
【0021】また、光学系では、その光軸から離れた周
辺になる程が暗くなるという傾向がある。これを光学む
らという。図5(a)はむらのない均一な輝度の画面を
光学系を通してみたときの画像を示すものであって、中
央部が光学系の光軸部分である。同図から明らかなよう
に、光学系の光軸部分に比べて周辺部が暗くなり、この
画面のA−Aに沿う各位置(画素)の輝度を示すと、図
5(b)に示すように、光軸部分に比べて周辺の画素の輝
度が低下する。
【0022】画像補正部5はかかる光学むらも補正する
ものであるが、このために、次のような処理を行なう。
【0023】画像補正部5に、上記のようにして、黒レ
ベル画像を保持した後、まず、カメラ4にそれに使用す
る光学系(カメラ・レンズ)をセットし、この光学系が
セットされたカメラ4で輝度むらのない基準光源の画像
を撮影する。画像補正部5は、この撮影して得られる画
像を取り込んで上記の黒レベル補正を行ない、この黒レ
ベル補正した画像に対して、次のようにして、光学むら
の補正を行なう。
【0024】即ち、黒レベル補正された画像を構成する
各画素が持つ画素値のうちで最大の画素値を検出し、こ
れら画素毎にこの最大画素値とその画素の画素値とに応
じた補正係数を求める。例えば、いま、図5(b)が全
ての画素の画素値を表わすものとして、最大画素値をY
M、i番目の画素i(i=1,2,3,……)の画素値を
iとすると、この画素iの補正係数αiを αi=YM/Yi とする。各画素毎に、かかる補正係数αiを求めて画素
値に乗ずることにより、画像の光学むらが補正される。
【0025】このようにして、画像補正部5では、黒レ
ベルと光学むらとが補正されることになる。これらの補
正は、得られる画像に対して、光学系や受光素子の出力
むらといった外的条件によって生ずるむらを補正するも
のであればよい。
【0026】次に、特徴量抽出部6の作用について説明
する。これは、蛍光ドット毎に特徴量を抽出するもので
あるが、ここでは、特徴量として、蛍光ドットの発光量
を例にして説明する。
【0027】強い干渉縞が生じないように撮像され、か
つ画像補正部5で上記の補正がなされると、図6に示す
ように、蛍光ドットとブラックマトリクスが明確に区別
できる画像が得られる。特徴抽出部6は、次のような手
順で、蛍光ドットの発光量を特徴量として算出する。
【0028】まず、かかる画像を適当な閾値をもって2
値化し、各々の蛍光ドット毎に、その重心座標と直径の
平均(輪郭が正確に円状をなしていないため)とを算出す
る。蛍光ドットの輪郭が楕円形である場合には、その直
径の平均としてその長軸方向の直径の平均を算出する。
【0029】次に、図7に白抜きの枠で示すように、各
蛍光ドット毎に、その重心を中心とする正方形の輝度算
出ウィンドウを設定する。このとき、この輝度算出ウィ
ンドウの一辺の長さWとしては、1つの蛍光ドットが充
分含まれ、かつそれ以外の蛍光ドットを含まないよう
に、算出した蛍光ドットの直径の平均値に1以上の所定
の定数を乗算した値とする。なお、設定する輝度算出ウ
ィンドウの大きさとしては、蛍光ドットが充分含まれ、
かつそれ以外の蛍光ドットを含まなければ、短軸平均あ
るいは長短軸平均の平均を用いてもよく、蛍光ドットの
大きさから適当な定数を用いてもよい。
【0030】このようにして、蛍光ドット毎に輝度算出
ウィンドウが設定されると、設定された輝度算出ウィン
ドウ内での画素値を積分し、その積分値をこの蛍光ドッ
トの発光量とする。これが蛍光ドットの特徴量である。
この特徴量は、表示画面での検査対象となる領域(表示
画面全体でもよいし、その一部であってもよく、以下、
検査対象領域という)に含まれる全ての蛍光ドットに対
して求める。
【0031】なお、蛍光ドットの特徴量としては、かか
る発光量ばかりでなく、蛍光ドットの面積,蛍光ドット
のピッチ,蛍光ドット内の最大画素値,蛍光ドット内の
最小画素値,蛍光ドット内の最大画素値と最小画素値と
の差などを用いてもよい。
【0032】次に、むら量算出部7の作用について説明
する。
【0033】人間の目には、明るさの急激に変化する部
分を特に強く知覚する特徴がある。そのため、粒状むら
のような細かいざらむらを官能評価に合うように定量評
価するためには、表示画像全体の発光量のばらつきより
も、互いに近傍に位置する蛍光ドット間の発光量の差が
より重要となる。
【0034】むら量算出部7は、かかる発光量の差をも
とにして粒状むらの程度を表わす粒状むら指数を求める
のであるが、その動作を図8に示すフローチャートを用
いて説明する。
【0035】同図において、いま、検査対象領域内で、
或る蛍光ドットを対象蛍光ドットとして注目し、この対
象蛍光ドットとその近傍の蛍光ドットとの発光量(特徴
量)の差の絶対値aを計算する(ステップ100)。こ
の場合、近傍の蛍光ドットとしては、1個でもよいし、
複数個でもよい。そして、求めた絶対値aのうち最大の
値のものをこの対象蛍光ドットの代表値とする(ステッ
プ101)。求める絶対値aが1個の場合には、それが
代表値となる。以下、検査対象領域内の全ての蛍光ドッ
トを順次対象ドットとして、夫々の代表値を求める(ス
テップ100〜103)。
【0036】次に、求められた各蛍光ドットの代表値の
平均値bを計算する(ステップ104)。粒状むらがあ
る場合には、対象蛍光ドットとそれに対してある方向の
近傍の蛍光ドットとの間の発光量との差の絶対値a(即
ち、代表値)は大きくなり、粒状むらが大きいほど代表
値は大きくなる。また、検査対象領域内についてみる
と、そこでの粒状むらが大きくなると、代表値が大きい
蛍光ドットの割合が大きくなる。このことからして、各
蛍光ドットの代表値の平均値bは粒状むらの程度を表わ
す値となる。
【0037】ところで、この代表値の平均値bは、蛍光
ドットの大きさや蛍光体の種類などの違いなどの表示画
面の品種に応じて異なる場合がある。そこで、品種が異
なっても、粒状むらの程度を互いに比較できる値とする
ために、この代表値の平均値bを検査対象領域内の全蛍
光ドットの発光量の平均値で除算した値を百分率で表わ
したもの、つまり、蛍光ドットの発光量平均に対する発
光量のばらつきの割合を粒状むら指数とする(ステップ
105)。この粒状むら指数が小さい程画面のざらつき
が小さいということになる。
【0038】また、かかる全蛍光ドットの発光量の平均
値が品種に関係なく設定した平均値を持つように、 補正係数β=(全蛍光ドットの発光量の平均値)/(設
定した平均値) を夫々の蛍光ドットの発光量に乗算することにより、夫
々の蛍光ドットの発光量を修正し、この修正した発光量
についてステップ100〜104の処理を行なうように
することもでき、これによって得られる代表値の平均値
bそのものを用いて同様の粒状むらの程度の評価しても
よい。
【0039】さらに、代表値の算出には、ソーベルフィ
ルタといった一般的な微分フィルタを用いてもよい。
【0040】図9は、むら量算出部7(図3)におい
て、近傍の蛍光ドットとの発光量差を利用して粒状むら
指数を定義する他の方法を示すフローチャートである。
【0041】この方法は、検査対象領域を、予め設定さ
れた閾値で決まる同程度の発光量の蛍光ドットの群毎に
分割し、かかる群の個数に応じて粒状むらの程度を評価
するものである。かかる蛍光ドットの群をセグメントと
いう。この場合、同程度の発光量の蛍光ドットがあって
も、これらが夫々異なる発光量の蛍光ドットで囲まれて
いる場合には、これに蛍光ドットは異なるセグメントに
属している。なお、ここでは、各蛍光ドットの発光量は
上記の補正係数βで修正されている。
【0042】図9において、まず、最初のセグメントと
して、そのセグメント番号を1と設定する。そして、あ
る蛍光ドットを対象蛍光ドットとして、その近傍の蛍光
ドットとの間の発光量の差の絶対値aを求め(ステップ
200)、この差の絶対値aが予め設定された一定の閾
値内にあるかどうか判定する(ステップ201)。この
差の絶対値aがこの閾値内にあるときには、この近傍の
蛍光ドットにセグメント番号1を付与し(ステップ20
2)、次のセグメント番号が付与されていない近傍蛍光
ドットを選んで(ステップ203)上記対象蛍光ドット
とでステップ200からの処理を始める。
【0043】なお、差の絶対値aがこの閾値を越える蛍
光ドットには、このセグメントに含まれないものとし
て、セグメント番号は付与されない。
【0044】このようにして、対象蛍光ドットの近傍の
順次の蛍光ドットについてかかる処理が行なわれ、この
対象蛍光ドットとの発光量の差の絶対値aが上記閾値内
にある蛍光ドットにセグメント番号1が付与されて、こ
の対象蛍光ドットの近傍の蛍光ドット全てについての処
理が終わると、次に、セグメント番号1が付与された他
の蛍光ドットの近傍のセグメント番号が付与されていな
い蛍光ドットと上記の対象蛍光ドットとについて同様の
ステップ200〜203の処理を行なう。
【0045】かかる処理をセグメント1を付与できる近
傍とする蛍光ドットが得られなくなるまで行なう。これ
により、セグメント番号1が付与されている蛍光ドット
の範囲が決まる。この範囲がセグメント番号1のセグメ
ントであり、このセグメント内での近傍同士の蛍光ドッ
トの発光量の差は全て、上記の閾値内に入っていること
になる。
【0046】以上の処理が終わると、セグメント番号
(この場合、セグメント番号1)が付与されていない蛍
光ドットがある場合(ステップ204)、次のセグメン
ト番号2を設定し(ステップ205)、セグメント番号
が付与されていない1つの蛍光ドットを新たな対象蛍光
ドットとして(ステップ206)、ステップ200〜2
03の上記処理を行なう。この処理は、セグメント番号
が付与されていない蛍光ドットがなくなるまで行なう
(ステップ204)。
【0047】以上の処理によって設定されたセグメント
数NSは、画像のざらつきが大きい程多くなり、ざらつ
きが小さい程少ない。そこで、このセグメント数NS
全蛍光ドット数NPとから、 NS/NP を求め、その百分率を粒状むら指数と定義する(ステッ
プ207)。
【0048】以上の説明では、蛍光ドットの特徴量をそ
の発光量としたが、その他の量を発光量として用いても
よい。
【0049】即ち、特徴量として蛍光ドットの面積を用
いてもよい。この場合には、画像を適当な閾値でもって
2値化し、これから抽出された蛍光ドットの領域の面積
を特徴量として求め、上記と同様にして、むら量を定義
する。これによると、蛍光ドットの発光むらによらず、
そのホール(即ち、蛍光ドットを生ずるブラックマトリ
クス(図6,図7)のホール)面積のばらつきに起因す
るむらを分別してその評価が可能となる。
【0050】また、特徴量として蛍光ドットの単位面積
当りの平均発光量を用いてもよい。この場合には、蛍光
ドット毎に発光量と面積を求め、求めた発光量を面積で
除算することにより、特徴量が求まる。この場合も、こ
の特徴量を用い、上記と同様にして、むら量を定義する
ことにより、面積の場合とは逆に、ホール面積によら
ず、蛍光ドットの発光むらに起因するむらを分別してそ
の評価が可能となる。
【0051】さらに、特徴量として蛍光ドット内部の発
光分布のばらつきを用いてもよい。以下、この点につい
て説明する。
【0052】図10は蛍光ドットの1つを拡大して示す
図であって、図示するように、蛍光ドットの内部では、
均一でない発光分布が存在する。
【0053】また、図11(a)に示すように、蛍光膜
の品質が高ければ、蛍光ドット内部の発光むらは小さく
なり、この結果、発光分布の幅は小さくなる。また、図
11(b)に示すように、蛍光膜の品質が低ければ、蛍
光ドット内部の発光むらは大きくなり、発光分布の幅は
大きくなる。そこで、蛍光ドット毎に、その内部の発光
分布のヒストグラムをとり、このばらつき、例えば、標
準偏差の3倍である3σを特徴量としてデータを作成す
る。
【0054】しかし、この際、蛍光ドットの輪郭部分で
は、発光量が減衰するため、その部分のデータを発光分
布のデータから除く必要がある。このために、図12
(a)に示すような蛍光ドットの横断部A−Aに沿う発
光分布が図12(b)で表わされるものとすると、この
蛍光ドット内部の最大発光量を検出して、その最大発光
量に対して一定の割合で閾値を設け、発光量がこの閾値
以上の領域での発光分布からヒストグラムを計算するよ
うにする。
【0055】また、図13(a)に示すような蛍光ドッ
トの発光分布に対し、その二階微分の0交差点などを求
めてこの蛍光ドットの輪郭を抽出し、次に、図13
(b)に示すように、この蛍光ドットの重心を中心とし
て輪郭を一定割合で矢印で示すように縮小し、図13
(c)に示すように、この縮小した輪郭内の発光分布を
計算し、この発光分布から、図13(d)に示すよう
に、ヒストグラムを求めるようにしてもよい。
【0056】また、以上のように各蛍光体ドット毎に得
られる3σの平均値を算出することにより、蛍光膜自体
の品質評価を行なうこともできるし、表示画面内を適当
な領域に分割し、各領域毎に3σの平均値を計算するこ
とにより、表示画面内での蛍光膜の品質の比較を行なう
ことができ、蛍光体塗布が一様に行なわれているかどう
かを評価することもできる。
【0057】さらに、所定の時間間隔で3σの平均値を
求め、夫々を比較することにより、蛍光膜の品質の変化
も検出することができる。
【0058】また、特徴量として蛍光ドットの形状を用
いてもよい。この場合、蛍光ドットの輪郭を楕円近似し
て、この近似楕円の周長と実際に検出した輪郭の周長と
の比で表わされる複雑度を特徴量とする。または、ある
蛍光ドットについて、その近傍の蛍光ドットと重心点を
中心に重ね合わせ、その重ならない部分の面積を特徴量
とすることもできる。この特徴量を上記のような画面内
の分割された領域毎に求め、これら領域毎にその平均値
を求めて互いに比較したり、あるいは、上記のように、
所定の時間間隔で同様の平均値を求めて比較したりする
ことにより、蛍光ドットの形成の安定性を評価すること
ができるし、また、これにより、露光レンズの部分的な
劣化や露光光源の寿命といった露光における画質の劣化
要因を検出することができる。
【0059】また、蛍光ドットの特徴量よりも、粒状む
らよりも大きな空間周波数を持つむらを評価することも
できる。例えば、発光量を特徴量として求め、この特徴
量の平均値に対して一定の割合大きい閾値と小さい閾値
を設定する。そして、大きい閾値以上の発光量をもつ蛍
光ドットの領域を抽出するとともに、小さい閾値以下の
発光量をもつ蛍光ドットの領域を抽出し、前者の領域の
面積×領域の数と後者の領域の面積×領域の数とを求め
てこれらを評価値とする。
【0060】なお、この場合の特徴量としては、上記の
蛍光ドットの面積や平均面積当りの発光量,蛍光ドット
内部の発光分布ばらつき,蛍光ドットの形状などを用い
てもよい。
【0061】また、むらを評価する手法として次のよう
な方法でもよい。まず、特徴量を画素値とする画像を作
成し、フーリエ変換を用いてこの画像を空間周波数のパ
ワースペクトラム画像に変換する。次に、このパワース
ペクトラム画像での同じ周波数を表わす同心円上に領域
を設定し、その領域内の値を積分する。そして、周波数
毎の積分値より、特定の周波数を持つむらの程度を判定
することができる。
【0062】また、特徴量のデータをカラーブラウン管
の蛍光ドットの欠陥検出に用いることもできる。その場
合、蛍光ドットの発光量または面積を特徴量として用い
る。例えば、図14に示すように、蛍光ドットに黒鉛が
付着したり、蛍光ドットに欠けがあったりして画面の蛍
光ドットに欠陥がある場合、この欠陥をもつ蛍光ドット
の特徴量は、全体の特徴量の平均値に比べて大きく異な
る。そこで、画面内の蛍光ドットの特徴量の分布に対し
て、例えば、4σ(標準偏差の4倍)より外れた蛍光ド
ットというような基準を設けることにより、かかる蛍光
ドットの欠陥の存在を判定することができる。
【0063】また、以上説明した実施形態をカラーブラ
ウン管の製造の複数の工程中に配置し、各工程毎に画質
測定を行なうことにより、問題を早期に発見して即座に
その対策をうつことことができ、高品質な製品を安定し
て製造することができる。
【0064】図15はかかる画質測定装置を用いた本発
明による表示装置の製造工程の一実施形態を示すフロー
チャートである。
【0065】同図において、ステップ300はシャドウ
マスクの検査工程であり、ここでは、例えば、シャドウ
マスクを均一な輝度の光源で照明し、そのホールを画素
として、かかる画素の透過光を検出して夫々の画素の発
光量や面積などを特徴量として測定する。これにより、
シャドウマスクのむらレベル、欠陥の有無を判定するこ
とができる。そして、不良と判定したものは、返品ある
いは廃棄することにより、不良マスクによる製品の作り
込みを防ぐことができる。
【0066】次に、パネルでのブラックマトリクスの露
光工程(ステップ301)での検査(ステップ302)
では、このパネルのブラックマトリクス塗布面を照明
し、そのホールの透過光を検出することにより、夫々の
ホールの発光量(透過光量)や面積などを特徴量として
測定する。これにより、ブラックマトリクスパネルでの
むらレベル、欠陥の有無を判定することができる。ここ
で、ごみなどの付着によって生じたホールの欠陥を判定
し、再処理を施すよう指示を出すことにより、不良の作
り込みを防ぐことができる。また、時系列にむらレベル
を監視することにより、露光レンズや光源の劣化を判定
することができる。
【0067】次に、蛍光体の塗布工程(ステップ30
3)での検査(ステップ304)では、完成球とした後
で画面を表示させ、蛍光ドットの発光量を特徴量として
測定することにより、むらレベルの判定を行なうことが
できる。また、蛍光ドット内部の発光分布ばらつきを特
徴量とすることにより、蛍光膜の膜質の判定をすること
ができる。一般的に、塗布膜が適正であれば、蛍光体内
部の発光分布ばらつきは小さいが、薄くなると、発光分
布ばらつきは大きくなる。そこで、発光分布ばらつきを
画面内をいくつかの領域に分けて計算し、膜質の分布を
測定する。そして、例えば、中央に比べて周辺のばらつ
きが大きい場合には、蛍光体塗料の粘性を下げるよう
に、また、逆の場合には、上げるように制御することに
より、膜質が全画面にわたって均質になるように製造す
ることができる。
【0068】電子銃の組付け後の性能検査や画質調整後
の最終性能においても、特徴量を用いて同様に行なうこ
とができる。
【0069】以上、本発明の一実施形態について説明し
たが、本発明はこの実施形態のみに限定されるものでは
ない。例えば、上記の実施形態では、検査対象をカラー
ブラウン管としたが、これのみに限定されるのではな
く、TFT,プラズマディスプレイ装置,EL,FED
などの表示装置を検査対象としてもよいことは明らかで
ある。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
表示装置の最小構成単位である画素個々の特徴量を用い
て表示装置の画質評価を行なうため、画素シェーディン
グのような周波数の低いむらのみならず、従来定量化が
難しかった発光体数個で構成されるような周波数の高い
細かいざらむらを定量的に測定することができる。
【0071】また、本発明によれば、様々な特徴量を用
いることにより、むらの発生要因の類推を可能とし、効
果的に製造工程にフィードバックを行なうことができ
て、高品質な製品を安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画質測定方法及び装置の一実施形
態を示す構成図である。
【図2】図1におけるカメラの配置の一具体例を示す図
である。
【図3】図1における画像処理装置の一具体例を示すブ
ロック図である。
【図4】CCDカメラでの1画素における光量に対する
出力の関係の一例を示す図である。
【図5】光学系のむらの一例を示す図である。
【図6】図1に示した実施形態でのカメラによる撮像画
像の一例を示す図である。
【図7】図3における特徴量抽出部で設定される輝度算
出ウィンドウの一例を示す図である。
【図8】図3におけるむら量算出部での粒状むら指数算
出動作の一具体例を示すフローチャートである。
【図9】図3におけるむら量算出部での粒状むら指数算
出動作の他の具体例を示すフローチャートである。
【図10】蛍光ドット内部の発光ばらつきの一例を示す
図である。
【図11】蛍光ドット内部の発光分布の異なる例を示す
図である。
【図12】図3における特徴量抽出部での特徴量として
の蛍光ドット内部の発光分布を算出する方法の一具体例
を示す図である。
【図13】図3における特徴量抽出部での特徴量として
の蛍光ドット内部の発光分布を算出する方法の他の具体
例を示す図である。
【図14】カラーブラウン管の蛍光ドットの欠陥の一例
を示す図である。
【図15】図1に示した実施形態を用いた表示装置の製
造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 カラーブラウン管 2 画像処理装置 3 信号発生装置 4 カメラ 5 画像補正部 6 特徴量抽出部 7 むら量算出部
フロントページの続き (72)発明者 望月 淳 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 生産技術研究所 内 (72)発明者 浅野 敏郎 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社 日立製作所 生産技術研究所 内 (72)発明者 小金沢 信之 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 吉見 功 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 無藤 里志 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社 日立製作所電子デバイス事業部内 (56)参考文献 特開 平6−222316(JP,A) 特開 平8−122206(JP,A) 特開 平7−64521(JP,A) 特開 平10−62305(JP,A) 特開 平9−5161(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 11/00 - 11/08 H04N 17/00 - 17/06 H01J 9/00 - 9/50 H01J 29/00 - 29/08

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示装置の表示画面の画質を測定する画
    質測定方法であって、 表示装置の表示画面にラスタ画像を表示させた状態で該
    表示画面を撮像して該表示画面の画像を得、 得られた該表示画面の画像での外的条件によって生じた
    むらを補正し、 補正した該画像から該表示画面を構成する各画素特徴
    量を各画素毎に抽出し、 該抽出された各画素毎の特徴量の情報を用いて該表示画
    面の画質を測定することを特徴とする画質測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記特徴量が、前記画素の発光量,前記画素の面積,前
    記画素の単位面積当りの平均発光量,前記画素内での発
    光分布,前記画素の形状のいずれかであることを特徴と
    する画質測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、 撮像して得られた前記表示画面の画像の補正は黒レベル
    の補正を含むことを特徴とする画質測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 撮像して得られた前記表示画面の画像の補正は前記表示
    画面を撮像する手段の光学系の光学むらの影響の補正を
    含むことを特徴とする画質測定方法。
  5. 【請求項5】 表示装置の表示画面の画質を測定する画
    質測定方法であって、 表示装置の表示画面にラスタ画
    像を表示させた状態で該表示画面を撮像して該表示画面
    の画像を得、 得られた該表示画面の画像から該表示画面を構成する各
    画素毎の特徴量を抽出し、 該抽出された各画素毎の特徴量の情報を用いて該表示画
    面内で周波数の高い表示むらと周波数が低い表示むらと
    を検出することを特徴とする画質測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 撮像して得られた前記表示画面の画像を補正した後に、
    前記各画素毎の特徴量の抽出を行なうことを特徴とする
    画質測定方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 撮像して得られた前記表示画面の画像の補正は前記画像
    の黒レベルの補正を含むことを特徴とする画質測定方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項5において、 前記特徴量が、前記画素の発光量,前記画素の面積,前
    記画素の単位面積当りの平均発光量,前記画素内での発
    光分布,前記画素の形状のいずれかであることを特徴と
    する画質測定方法。
  9. 【請求項9】 表示装置の表示画面の画質を測定する画
    質測定方法であって、 表示装置の表示画面にラスタ画像を表示させた状態で該
    表示画面を撮像して該表示画面の画像を得、 得られた該表示画面の画像で該表示画面を構成する画素
    毎に該画素の夫々に対応するウィンドウを設定し、 設定された該ウィンドウ毎に該画素の特徴量を求め、 求められた該特徴量の情報を用いて該表示画面の画質を
    測定することを特徴とする画質測定方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、 前記特徴量が、前記画素の発光量,前記画素の面積,前
    記画素の単位面積当りの平均発光量,前記画素内での発
    光分布,前記画素の形状のいずれかであることを特徴と
    する画質測定方法。
  11. 【請求項11】 表示装置の表示画面の画質を測定する
    画質測定装置であって、 表示装置の表示画面を撮像して該表示画面の画像を得る
    画像取得手段と、 該表示画面にラスタ画像を表示させた状態で該画像取得
    手段により得られた該表示画面の画像での外的条件によ
    って生じたむらを補正する画像補正手段と、 該画像補正手段で補正された該画像から該表示画面を構
    成する各画素毎に該画素が持つ物理的な特徴量を抽出す
    る特徴量抽出手段と、 該特徴量抽出手段で抽出された各画素毎の特徴量から該
    表示画面の画像むらを求める画像むら算出手段とを備え
    たことを特徴とする画質測定装置。
  12. 【請求項12】 請求項11において、 前記特徴量抽出手段は、前記画素の発光量,前記画素の
    面積,前記画素の単位面積当りの平均発光量,前記画素
    内での発光分布,前記画素の形状のいずれかを前記特徴
    量として抽出することを特徴とする画質測定装置。
  13. 【請求項13】 表示装置の表示画面の画質を測定する
    画質測定装置であって、 表示装置の表示画面を撮像して該表示画面の画像を得る
    画像取得手段と、 該表示画面にラスタ画像を表示させた状態で該画像取得
    手段により得られた該表示画面の画像から該表示画面を
    構成する各画素が持つ物理的な特徴量を画素単位で抽出
    する特徴量抽出手段と、 該特徴量抽出手段で抽出された各画素毎の特徴量の情報
    を用いて該表示画面内の周波数の高い表示むらと周波数
    の低い表示むらとを検出する画像むら算出手段とを備え
    たことを特徴とする画質測定装置。
  14. 【請求項14】 請求項11〜13のいずれか1つに記
    載の画質測定装置を用いて、製造中または製造された表
    示装置の表示画面の画質評価を行なうことを特徴とする
    表示装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 一連の部品取り付け工程や部品製造工
    程からなる表示装置の製造方法において、 請求項11に記載の画質測定装置により、所望の工程毎
    に、製造中の表示装置の該工程に応じた画質評価を得る
    ことを特徴とする表示装置の製造方法。
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