JPH051652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は内燃機関用電磁式燃料噴射弁に関し、
詳しくは、弁体を閉弁付勢するスプリングの固定
側端部が当接されると共に、軸方向に貫通形成さ
れた中空部が燃料供給経路を構成するパイプ材の
形状改善に関する。

〈従来の技術〉 従来の内燃機関用電磁式燃料噴射弁及びこれに
接続される燃料供給系としては、例えば第３図及
び第４図に示すようなものがある（実開昭61−
175565号公報等参照）。

これについて説明すると、図示しない機関の吸
気通路に取り付けられた電磁式の燃料噴射弁２０
は、弁体としてのニードルバルブ１を摺動自由に
嵌挿保持するノズルボデイ２と、該ノズルボデイ
２を先端部に連結保持する筒状のハウジング３
と、該ハウジング３内に保持されてニードルバル
ブ１を駆動する電磁コイル４等を備えている。

そして、ハウジング３の後端開口部に接続され
た鉄心５の後端部に設けられたコネクタ部１４に
は燃料ポート６が形成されており、該燃料ポート
６には燃料ポンプ２１の吐出口からの配管を接続
し、余剰の燃料はプレツシヤレギユレータ２２を
介して燃料タンク２３に返送されるようになつて
いる。

ここで、ノズルボデイ２内のニードルバルブ１
はスプリング７によつて図の下方へ付勢されてい
る。これにより、ニードルバルブ１の先端のシー
ト部１ａがノズルボデイ２のシート部２ａ（弁座）
に着座させられており、この状態が閉弁状態とな
る。

また、ニードルバルブ１はアンカー８に連結さ
れており、電磁コイル４に通電されると鉄心５が
励磁されて、前記鉄心５が該アンカー８を磁気吸
引し、これによりニードルバルブ１は、その鍔部
１ｂがノズルボデイ２の後端面に配設したストツ
パープレート９に当接する位置までリフトさせら
れる。このリフトさせられた状態が開弁状態とな
る。

尚、第３図において、１０は燃料フイルタ、１
１は電磁コイル４への供電のための電気端子をそ
れぞれ示す。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところで、上記のように構成された燃料噴射弁
２０において、スプリング７はニードルバルブ１
に連結されたアンカー８と、鉄心５に嵌挿されそ
の中空部１２ａが燃料供給経路を構成する中空パ
イプ材１２の下流端部との間に配設され、前記中
空パイプ材１２を固定側としてその弾性復帰力に
よつてニードルバルブ１を閉弁方向に付勢するも
のであり、前記中空パイプ材１２の鉄心５に対す
る軸方向位置を変化させることにより、スプリン
グ７による閉弁付勢力を調整できるよう構成して
ある。

そこで、燃料噴射弁２０の動的流量の設定や慣
らし運転時には、前記中空パイプ材１２を鉄心５
に対して固定せず（中空パイプ材１２の固定は鉄
心５を加締めて行われる。）、第５図に示すよう
に、燃料フイルタ１０を取外した状態で燃料ポー
ト６側から挿入した調整ピン１３により前記中空
パイプ材１２の上流端部を押さえ、調整ピン１３
を出し入れすることによりスプリング７のセツト
荷重（閉弁付勢力）を変動させたり一体に保つよ
うな操作を行わせるようにしていた。

しかしながら、前記中空パイプ材１２の上流側
端部を、中空パイプ材１２の嵌挿部から拡径され
て燃料ポート６に連通するコネクタ部１４のテー
パ状拡径部付近や更に奥まつた場所に位置させる
と、前述のようにして調整ピン１３で中空パイプ
材１２を抑えるときに、部品バラツキやガタ等に
よつて調整ピン１３先端が前記コネクタ部１４の
内壁を削つてしまい、その削りカスがニードルバ
ルブ１に噛み込んでしまうなどの問題が発生する
惧れがある。

このため、第５図に示すように、中空パイプ材
１２の上流側先端がコネクタ部１４のテーパ状拡
径部付近から充分に離れた位置に配設されるよう
に中空パイプ材１２の長さを延長することを検討
したが、このように中空パイプ材１２を長くした
場合には、第６図に示すように、中空パイプ材１
２のコネクタ部１４内に突出する部分の周壁によ
つて燃料の流れが行き止まる空間が形成されてし
まい、この部分にエアが溜まつたり、かかる空間
からの跳ね返り燃料流によつて通常の燃料流れが
妨げられ、噴射燃料の脈動が発生する惧れがあ
り、このような燃料脈動の発生により、燃料噴射
弁２０をパルス制御する場合のパルス巾に対する
噴射燃料量の特性の直線性が損なわれることがあ
るという問題があつた。

本考案は上記問題点に鑑みなされたものであ
り、調整ピンによつて中空のパイプ材を押さえて
スプリングのセツト荷重を調整するときの調整ピ
ンによるコネクタ部の削りを回避すべく、中空パ
イプ材の上流端部がコネクタ部内に突出して配設
される燃料噴射弁において、中空パイプ材の形状
を改善することにより燃料脈動の発生を防止でき
るようにすることを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 そのため本考案では、スプリングにより弾性付
勢されて弁座に着座する弁体と、電磁コイルで励
磁されることにより前記弁体を吸引して開弁させ
る鉄心と、燃料供給経路を構成する中空部が軸方
向に貫通延設されると共に、下流側端部に前記ス
プリングの固定側端部が当接し該スプリングの閉
弁付勢力がその軸方向固定位置によつて可変する
パイプ材と、を備える一方、前記パイプ材の上流
側端部がこのパイプ材の外径よりも大である内径
に形成されたコネクタ部内に突出して配設され、
このコネクタ部内に供給された燃料が前記パイプ
材の中空部を介して噴射されるよう構成された内
燃機関用電磁式燃料噴射弁において、前記パイプ
材の前記コネクタ部内に突出する上流側端部の周
壁に内外空間を連通する貫通孔を形成し、この貫
通孔を介してパイプ材の中空部と前記コネクタ部
内とが連通されるよう構成した。

〈作用〉 中空のパイプ材の上流側端部を、パイプ材の外
径よりも拡大された内径のコネクタ部内に突出す
るよう配設すれば、スプリングのセツト荷重の調
整時などで調整ピンによりパイプ材の上流側端部
を押さえるときに、調整ピンがコネクタ部の内壁
を削ることを防止できる。しかしながら、パイプ
材の上流側端部をコネクタ部内に突出させること
により、パイプ材の上流側端部の周囲に燃料流れ
の行き止まり空間を形成することになつてしまう
ため、かかる空間とパイプ材の中空部とを連通す
る貫通孔を形成し、コネクタ部内に供給された燃
料のうちパイプ材の周囲に流れ込んだものについ
ても燃料の流れを大きく乱すことなくパイプ材の
中空部に導かれるようにしたものである。

〈実施例〉 以下に本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。尚、第３図に示した従来例と同一要素には同
一符号を付して説明を省略する。

第１図に示す燃料噴射弁２０において、中空パ
イプ材１２は鉄心５に嵌挿固定されるものであ
り、中空パイプ材１２の嵌挿部から上流側に拡径
形成されるコネクタ部１４内に燃料ポート６を介
して供給された燃料が、この中空パイプ材１２の
中空部１２ａを介してニードルバルブ１に至り、
電磁コイル４へ通電することによりニードルバル
ブ１がリフトさせられると、前記中空部１２ａを
介して供給された燃料が噴射される。

ここで、前記中空パイプ材１２の上流側端部は
コネクタ部１４内に突出する（例えば３mm程度）
ようにその長さが設定されている。このため、動
的流量の調整時などで中空パイプ材１２を鉄心５
に対して固定せず、燃料ポート６側から挿入した
調整ピン１３（第５図参照）により中空パイプ１
２の上流側端部を押さえ、調整ピン１３の出し入
れにより中空パイプ材１２の軸方向位置を変化さ
せてスプリング７のセツト荷重（閉弁付勢力）を
調整するときに、調整ピン１３の先端によつてコ
ネクタ部１４の内壁が傷付けられることを防止で
きるようになつている。

また、前記中空パイプ材１２の両端部の周壁そ
れぞれには、半径方向に相対する２つの貫通孔１
５を形成してあり、この貫通孔１５によつて中空
部１２と中空パイプ材１２の外側の空間とが連通
される。そして、中空パイプ材１２のどちらの端
部が上流側に配設されても、上流側端部に配設さ
れた貫通孔１５がコネクタ部１４内に臨むように
してある。

このように、コネクタ部１４内と中空パイプ材
１２の中空部１２ａとを連通させる貫通孔１５を
形成してあれば、第２図に示すように、コネクタ
部１４に供給される燃料が中空パイプ材１２の周
壁とコネクタ部１４内壁とによつて囲まれる空間
（行き止まり空間）に流れ込んでも、かかる行き
止まり空間における燃料流の跳ね返りを抑止し
て、貫通孔１５を介して燃料を中空部１２内に導
くことができ、前記跳ね返り燃料流により中空部
１２ａに直接流入する燃料流（主流）が妨げられ
ることがなく、噴射燃料の脈動が発生することを
防止できるものである。

従つて、本実施例によると、第５図に示すよう
な調整ピン１３により中空パイプ材１２の上流側
端部を押さえるときに、前記調整ピン１３によつ
てコネクタ部１４の壁面が削られることを回避で
き、然も、前述のような削れ回避のためにコネク
タ部１４の壁面から突出させた中空パイプ材１２
によつて燃料流に乱れが生じることを抑止でき、
燃料噴射弁２０をパルス制御する場合の制御直線
性を安定して得られるものである。

尚、本実施例では、中空パイプ材１２の両端部
それぞれ貫通孔１５を形成するようにしたが、こ
れは中空パイプ１２の組付け時に方向性を無くし
て組付けを容易するためのものであり、一方端に
のみ貫通孔１５を形成して、貫通孔１５が形成さ
れた側が上流側に配設されるよう組付けるように
しても良い。

また、本実施例では、半径方向に相対させて２
つの貫通孔１５を形成するようにしたが、これ
は、穴開け加工が簡単に行えるようにするためで
あり、例えば、中空パイプ材１２の周壁にリング
状の凹陥部を形成し、かかる凹陥部の底面に３つ
以上の貫通孔１５を開口させるなどして、燃料流
の乱れをより一層良好に回避できるよう構成して
も良く、貫通孔１５の形状や数については本実施
例に限るものではない。

〈考案の効果〉 以上説明したように、本考案によると、中空の
パイプ材の上流側先端部をコネクタ部内に突出さ
せたので、調整ピンによるスプリングのセツト荷
重の調整時に調整ピンによつてコネクタ部が削ら
れることを防止できると共に、パイプ材をコネク
タ部内に突出させたことによる燃料流れの乱れ
を、パイプ材先端の周壁に形成した貫通孔により
緩和して燃料噴射弁の流量特性を良好に維持でき
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す燃料噴射弁断
面図、第２図は第１図示の燃料噴射弁における中
空パイプ材の上流側先端部を示す拡大断面図、第
３図は従来の燃料噴射弁を示す断面図、第４図は
第３図示の燃料噴射弁が組込まれた燃料供給系を
示すシステム概略図、第５図は調整ピンによるス
プリングのセツト荷重調整状態を示す噴射弁基端
部の断面図、第６図は従来の問題点を説明するた
めの中空パイプ材の上流側先端部の拡大断面図で
ある。 １……ニードルバルブ、２……ノズルボデイ、
４……電磁コイル、５……鉄心、６……燃料ポー
ト、７……スプリング、８……アンカー、１２…
…中空パイプ材、１２ａ……中空部、１４……コ
ネクタ部、１５……貫通孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプリングにより弾性付勢されて弁座に着座す
   る弁体と、電磁コイルで励磁されることにより前
   記弁体を吸引して開弁させる鉄心と、燃料供給経
   路を構成する中空部が軸方向に貫通延設されると
   共に、下流側端部に前記スプリングの固定側端部
   が当接し該スプリングの閉弁付勢力がその軸方向
   固定位置によつて可変するパイプ材と、を備える
   一方、前記パイプ材の上流側端部が該パイプ材の
   外径よりも大である内径に形成されたコネクタ部
   内に突出して配設され、該コネクタ部内に供給さ
   れた燃料が前記パイプ材の中空部を介して噴射さ
   れるよう構成された内燃機関用電磁式燃料噴射弁
   において、前記パイプ材の前記コネクタ部内に突
   出する上流側端部の周壁に内外空間を連通する貫
   通孔を形成し、該貫通孔を介してパイプ材の中空
   部と前記コネクタ部内とが連通されるよう構成し
   たことを特徴とする内燃機関用電磁式燃料噴射
   弁。