JPH05158276A - 非磁性一成分現像剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接触あるいは非接触現像方式において用いる
現像剤として、充分な帯電性と流動性、対環境安定性を
有し、画像濃度が高く、カブリの少ない、画質レベルの
高い非磁性一成分現像剤を提供すること。長時間使用し
た場合にも、現像ロール等に現像剤の付着によるフィル
ムの形成がなく、また、現像剤をリサイクル方式で使用
しても、流動性の低下がなく、画質の変化しない非磁性
一成分現像剤を提供すること。 【構成】 現像剤の層厚を規制する現像ブレードを現像
ロール表面に圧接するよう配置し、現像ロール表面に現
像剤を均一に塗布し、感光体上の静電潜像に現像ロール
を直接接触させ、あるいは非接触に対向させ、現像する
方法で用いる現像剤であって、少なくとも結着樹脂と着
色剤とを含有する着色微粒子１００重量部に対し、平均
粒径が１〜５０μｍのガラス製球形微粉体を０．２〜
５．０重量部混合してなることを特徴とする非磁性一成
分現像剤。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、現像剤に関し、さらに
詳しくは、電子写真装置または静電記録装置によって感
光体もしくは誘電体上に形成された静電潜像を可視化す
る非磁性一成分現像剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む着
色微粒子に、流動化剤として細かいコロイダルシリカ等
を外添（着色微粒子と独立して加えること）したものを
以下トナーというが、そのトナーとキャリヤーからなる
二成分現像剤は、画質のよいことから広範囲に用いられ
ている。

【０００３】しかしながら、その反面、以下に示すよう
な二成分現像剤に共通する欠点がある。 （１）トナーは、トナーとキャリヤー間の相互摩擦によ
り摩擦電荷を受け取るが、長時間にわたり使用している
と、キャリヤー表面がトナーによって汚染され、その結
果、トナーが充分摩擦電荷を獲得できなくなる。 （２）トナーとキャリヤーは、所定範囲の混合比に調整
されていなければならないが、長時間にわたって使用し
ていると、その混合比が変動して所定範囲から外れてし
まう。 （３）キャリヤーとして、一般に、表面を酸化した鉄粉
もしくはガラスビーズが汎用されているが、これらのキ
ャリヤーによって感光体の表面が機械的に損傷される。

【０００４】そこで、近年、キャリヤーを用いないで、
トナーの中に磁性粉を含有させた磁性一成分現像剤を用
いた種々の現像法が提案されている（例えば、米国特許
第３，９０９，２５８号、米国特許第４，１２１，９３
１号）。

【０００５】しかしながら、これら公知の方法にも次の
ような欠点がある。 （１）磁性一成分現像剤は、電気抵抗が小さい磁性粉を
多量に含有しているので、静電潜像上の現像像を普通紙
等の支持部材へ静電的に転写することが困難である。特
に、多湿の雰囲気下では充分な転写性能が得られない。 （２）磁性一成分現像剤は、黒色の磁性粉を多量に含有
させるため、現像剤のカラー化が困難である。 （３）磁性一成分現像剤は、磁性粉が多量に含有されて
いるため、二成分現像剤に比較して定着力が低下する。
その結果、定着器の温度や圧力を高くしなければなら
ず、ランニングコストが高くなる欠点を有する。

【０００６】ところで、最近、磁性粉を含有せず、抵抗
の大きい一成分現像剤を用いた現像法が注目を集めてい
る。それらの現像法としては、例えば、米国特許第２，
８９５，８４７号、米国特許第３，１５２，０１２号、
特公昭４１−９４７５号、特公昭４５−２８７７号、特
公昭５４−３６２４号等に記載されているタッチダウン
またはインプレッション現像に基づくものが挙げられ
る。これらの方法では、従来二成分現像剤に用いられて
いた現像剤のうち、キャリヤーを除いたトナーを非磁性
一成分現像剤として利用している。

【０００７】しかしながら、この場合にも、以下に述べ
るように、非磁性一成分現像剤に関連する種々の問題の
発生が避けられない。

【０００８】第一の問題点は、感光体等に対する現像剤
の付着現象である。これまでの二成分現像剤では、トナ
ーの他に多量の鉄粉やガラスビーズなどのキャリヤーが
混合されているため、現像ローラや現像ブレード、感光
体上に一時的にトナーの付着があっても、キャリヤーに
よって研磨され問題とならなかった。

【０００９】しかしながら、従来の非磁性一成分現像剤
には、通常、流動化剤として、粒径が１０〜２０ｍμの
小さなコロイダルシリカしかトナーに外添されていなか
ったので研磨効果が充分でなく、長時間使用すると、現
像ロールや現像ブレード、感光体上にトナーが付着し
て、現像剤のフィルムが形成されることが多かった。こ
のような現像剤のフィルムが形成されると、帯電させる
べき現像剤と現像ロールあるいは現像ブレードとが充分
に接触できなくなり、現像剤の帯電不足が起き、カブリ
が発生する。また、現像剤が感光体に付着すると、黒い
汚れとなって画像に現れ、問題となっていた。

【００１０】こうしたことから、最近では、粒径が０．
１〜１０μｍ（あるいは比表面積０．２〜３０ｍ²／
ｇ）と大きな無機微粉体を外添することにより、研磨効
果を向上させることが提案されている（例えば、特開昭
６０−３２０６０号、同６０−１３６７５２号、同６１
−１８３６６４号、同６４−８８５５４号等）。

【００１１】しかしながら、特開昭６０−１３６７５２
号、同６１−１８３６６４号等で使われている微粉末だ
けでは流動性が充分でなく、特開昭６０−３２０６０
号、同６４−８８５５４号等のように、従来のコロイダ
ルシリカ等の流動化剤の併用が不可欠となっており、そ
の結果、次の問題が避けられない。

【００１２】第二の問題点は、現像剤のリサイクル方式
での使用が困難になっていることである。すなわち、感
光体表面の静電潜像を現像した後、現像剤の像は、紙等
の支持部材に転写されるが、現像された感光体上の現像
剤の全てが転写されずに、通常、２０〜４０重量％の現
像剤が感光体上に残存する。従来の非磁性一成分現像剤
を使用する複写機あるいはプリンターにおいては、感光
体上に残った未転写現像剤は、クリーニングブレード等
でかきとられ、そして集められて、廃現像剤容器に捨て
られていた。

【００１３】その理由は、現像剤をリサイクル方式で使
用すると、現像剤が繰り返し画像形成プロセスを通過す
るため、頻繁に機械的外力を受け、現像剤粒子表面に存
在すべき流動化剤（コロイダルシリカ）が現像剤粒子中
に埋め込められたり、脱落したりするためである。

【００１４】その結果、初期の流動性は優れているもの
の、長期にリサイクル方式で使用すると、現像剤の流動
性が低下し、現像ロール上に現像剤を一定の厚みで塗布
することができなくなって、画質が不均一となる。ま
た、帯電量が変化し、カブリも発生してくる。

【００１５】また、感光体上の未転写現像剤をスクリュ
ー等で搬送し、リサイクル方式で使用すると流動性が低
下するため、現像剤が圧縮されて詰まったり、各部分に
付着したり、凝集したりして、長期間の連続運転は困難
であった。

【００１６】本来、現像剤をリサイクル使用すること
は、これまで廃棄していた２０〜４０重量％分の現像剤
が再使用でき、しかも廃現像剤容器が不要になることか
ら、経済的であり、複写機、プリンター等の装置の小型
化のためにも望ましいことである。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の有する問題点を克服し、接触あるいは非接触
現像方式において用いる現像剤として、充分な帯電性と
流動性、対環境安定性を有し、画像濃度が高く、カブリ
の少ない、画質レベルの高い非磁性一成分現像剤を提供
することにある。

【００１８】また、本発明の目的は、長時間使用した場
合においても、現像ロールや現像ブレード等あるいは感
光体に現像剤の付着によるフィルムの形成がなく、画質
の低下のない非磁性一成分現像剤を提供することにあ
る。

【００１９】本発明の他の目的は、現像剤をリサイクル
方式で使用しても、流動性の低下がなく、画質の変化し
ない非磁性一成分現像剤を提供することにある。

【００２０】本発明者らは、前記従来技術の有する問題
点を克服するために鋭意研究した結果、大粒径で研磨効
果を有するガラス製球形微粉体をそのままであるいは疎
水化処理剤で処理して改質したものを用いることによ
り、単品であるいは従来用いられてきたコロイダルシリ
カのように小粒径の流動化剤および／またはクレー等の
研磨剤と併用しても、長期間の使用において現像剤の流
動性を高く維持することができ、前記目的を達成できる
ことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完
成するに至ったものである。

【００２１】

【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、現像剤の層厚を規制する現像ブレードを現像ロール
表面に圧接するよう配置し、現像ロール表面に現像剤を
均一に塗布し、感光体上の静電潜像に現像ロールを直接
接触させ、あるいは非接触に対向させ、現像する方法で
用いる現像剤であって、少なくとも結着樹脂と着色剤と
を含有する着色微粒子１００重量部に対し、平均粒径が
１〜５０μｍのガラス製球形微粉体を０．２〜５．０重
量部混合してなることを特徴とする非磁性一成分現像剤
が提供される。

【００２２】本発明の非磁性一成分現像剤は、従来用い
られてきた流動化剤のコロイダルシリカや研磨剤のクレ
ー等をさらに外添することができる。

【００２３】複写機やプリンター等に使用される装置
は、種々の方式で使用できるが、現像後、感光体上に残
存する未転写の現像剤をクリーニングブレード等でクリ
ーニングして回収し、再び現像部（現像剤容器など）に
戻す、リサイクル方式で用いる方式が、現像剤のすべて
を使用でき、装置も小型化できるため好ましい。

【００２４】ガラス製球形微粉体としては、形状が球形
で、ガラス製であれば材質は限定されないが、そのまま
用いる場合は、ソーダガラスは電気抵抗が低いので、低
アルカリガラスが好ましい。以下、本発明について詳述
する。

【００２５】（ガラス製球形微粉体）本発明で使用する
ガラス製球形微粉体は、平均粒径が１〜５０μｍ、好ま
しくは３〜４５μｍ、より好ましくは５〜４０μｍの範
囲のものである。平均粒径が１μｍより小さいと、流動
性の低下が見られ、５０μｍより大きいと、ガラス製球
形微粉体が現像ブレードと現像ロール表面との間を通過
できず、現像ブレードの手前に貯ってしまい、画像濃度
が低下する。また、解像度も低下する。

【００２６】ガラス製球形微粉体の形状は球形でなけれ
ばならない。この球形の程度は電子顕微鏡写真で、各ガ
ラス製球形微粉体の長軸と短軸の長さを測定し、長軸に
対する短軸の比率を、サンプル数１００個以上について
計算する。この平均値を球形度という。本発明で用いる
ガラス製球形微粉体の球形度は０．８以上である。

【００２７】ガラス製球形微粉体の使用割合は、少なく
とも結着樹脂と着色剤とを含有する着色微粒子１００重
量部に対し、０．２〜５．０重量部、好ましくは０．３
〜２．０重量部の範囲である。この割合が０．２重量部
より少ないと、長時間使用後の流動性の低下防止が充分
でなくなり、５．０重量部より多くなると、感光体上に
付着したガラス製球形微粉体のクリーニングが充分でな
く、印字した紙上にカブリとして出現し、画質が低下す
る。

【００２８】（疎水化処理）本発明では、ガラス製球形
微粉体を未処理のまま使用できるが、予めシリコーンオ
イルまたはシランカップリング剤で疎水化処理したもの
を使用することもできる。

【００２９】シリコーンオイルまたはシランカップリン
グ剤は、そのままで、あるいは有機溶媒で希釈して用い
る。シリコーンオイルあるいはシランカップリング剤の
使用量は、ガラス製球形微粉体１００重量部に対して、
通常０．１〜１０重量部程度である。

【００３０】疎水化処理は、ガラス製球形微粉体にシリ
コーンオイルまたはシランカップリング剤をそのまま
で、あるいは有機溶媒で希釈した液として添加し、ヘン
シェル・ミキサー等の混合器を用いて混合した後、溶媒
を用いた場合は次いで風乾で溶媒を除去した後、室温か
ら３００℃までの温度条件下において、数分から数日間
かけて、シリコーンオイルまたはシランカップリング剤
を硬化あるいは湿潤させることにより行なう。

【００３１】（コロイダルシリカ）コロイダルシリカと
は、乾式法で製造したケイ酸微粉体である。乾式法と
は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化によりケイ酸微
粉体を生成させる製造法である。四塩化ケイ素ガスの酸
水素焔中における熱分解酸化反応を利用する方法が代表
的なものである。

【００３２】コロイダルシリカは、平均粒径が０．００
５〜０．０５０μｍで、その表面にシランカップリング
剤、シリコーンオイル、脂肪酸またはその金属塩による
疎水化処理がされているものが好ましい。疎水化処理
は、前記と同様にして行なうことができる。

【００３３】コロイダルシリカとガラス製球形微粉体を
併用すると、ガラス製球形微粉体単品で用いるより、流
動性、クリーニング性、画像の解像度の向上と帯電性の
制御の観点から好ましい。コロイダルシリカの使用量
は、少なくとも結着樹脂と着色剤から成る着色微粒子１
００重量部に対して、０．１〜０．５重量部の範囲が好
ましい。

【００３４】（クレー）クレーは、通常、その表面をシ
ランカップリング剤またはシリコーンオイルで疎水化処
理されたカオリンクレーを使用する。特に、焼成された
クレーは電気抵抗が高く好ましい。

【００３５】本発明発明で使用するクレーは、平均粒径
が０．１〜２．０μｍの範囲内にあるものが好ましい。
その使用量は、少なくとも結着樹脂と着色剤から成る着
色微粒子１００重量部に対して、０．１〜５．０重量部
の範囲が好ましい。

【００３６】クレーとガラス製球形微粒体を併用する
と、ガラス製球形微粒体単品使用の場合より、研磨効果
が高くなり、画像の解像度が向上するため好ましい。ま
た、クレー単品使用の場合と比較すると、研磨効果と転
写性が向上するため、併用使用が好ましい。

【００３７】（結着樹脂、着色剤など）本発明で用いる
現像用の結着樹脂（バインダー樹脂）としては、従来か
ら電子写真用あるいはプリンター用現像剤に広く用いら
れている樹脂類、例えば、ポリスチレン、ポリｐ−クロ
ルスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンおよびそ
の置換体の重合体；スチレン−ｐ−クロルスチレン共重
合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニ
ルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重
合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン
−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブ
チル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合
体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン
−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル
酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸
メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合
体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレ
ン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニル
メチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合
体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリ
ロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸
共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等の
スチレン共重合体；ポリメチルメタクリレート、ポリ塩
化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポ
キシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹
脂、ロジン、変成ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹
脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹
脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が単独あ
るいは混合して使用できる。

【００３８】着色剤としては、カーボンブラックをはじ
め、各種の染料、顔料等が使用できる。また、帯電制御
剤として、例えば、酸化デンプン、含金属染料、サリチ
ル酸金属錯体、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系
染料、ローダミン系染料、フタロシアニン系染料等従来
公知のものが使用できる。

【００３９】（未転写現像剤のリサイクル式使用）複写
機あるいはプリンター等に使用される装置で、現像後、
感光体上に残存する未転写の現像剤は、クリーニングブ
レ−ド等でクリーニングして回収し、スクリュー等で元
の現像剤容器（現像部）に搬送し、再使用するリサイク
ル方式で用いるのが好ましい。

【００４０】（現像方法）本発明の非磁性一成分現像剤
は、現像剤の層厚を規制する現像ブレードを現像ロール
表面に圧接するよう配置し、現像ロール表面に現像剤を
均一に塗布し、感光体上の静電潜像に現像ロールを直接
接触させ、あるいは非接触に対向させ、現像する方法で
用いる現像剤である。

【００４１】本発明の現像剤が用いられる現像装置およ
び現像方法について、図１の接触現像方式に使用する現
像装置の模式図を参照しながら説明する。図１に示すよ
うに、現像剤容器５に入った現像剤４は、撹拌棒６で現
像ロール２と現像ブレード３の間に移動させ、強制的に
現像剤を薄層化し、かつ、帯電させる。

【００４２】感光体１は、予めチャージャ線９で帯電さ
せ、そこに光信号や光画像１０を照射し、静電潜像を形
成させ、そこに現像ロール２上の現像剤を接触させて、
現像させる。次に、転写チャージャ線１１を用いて、現
像された感光体上の現像剤を紙などの支持部材１３に転
写し、それを加熱ロール１２に通し、定着させる。

【００４３】この時、感光体上の未転写現像剤はクリー
ニングブレード７でかきとられ、スクリュー８で現像剤
容器５に戻され、リサイクル使用される。

【００４４】

【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。なお、物性の評価は次の方法
で行なった。

【００４５】〈流動性〉現像剤の流動性は、ホソカワミ
クロン（株）社製のパウダーテスター装置を使用して測
定し、評価した。すなわち、現像剤を一定量秤量し、６
０メッシュの篩に乗せ、一定の振幅で、一定の時間振動
させ、通過する量を１分間当たりの重量に換算し、表示
する。

【００４６】〈画像特性〉耐久試験として、図１に示す
現像装置で、２０，０００枚複写し、画像濃度、カブリ
の有無、感光体上に現像剤によるフィルム付着の有無等
を目視で観察して評価した。画像濃度（ＩＤ）の評価
は、マクベス反射濃度計を用いて、黒べた部を測定し
た。なお、現像剤は、リサイクル方式で使用した。環境
試験（環境性）は、３０℃×８０％ＲＨの高温高湿と、
１０℃×２０％ＲＨの低温低湿の環境下で、それぞれ２
０，０００枚複写し、同様に画像特性を評価した。

【００４７】画像特性は、画像濃度、カブリ、耐久性
（総合評価）および環境性（環境試験での画像特性）の
それぞれについて、次の３段階で評価した。 ○：安定した良好な画像。 △：画像濃度がやや低い、またはカブリの発生が少し見
られるなどの場合。 ×：画像濃度が低い、カブリが発生、画像にムラが生じ
る、または現像剤のフィルムが形成するなどの場合。

【００４８】［実施例１］結着樹脂としてスチレン−ブ
チルアクリレート共重合体１００重量部、着色剤として
カーボンブラック８重量部、低分子量ポリプロピレン４
重量部、含金染料２重量部をヘンシェル・ミキサーで混
合した後、１５０℃の混練ロールで均一に混練し、次い
で冷却し、粗砕機で粉砕後、エアージェット粉砕機で５
ないし２０μｍに粉砕し、分級機で平均粒径を１２μｍ
に揃え、着色微粒子を調製した。

【００４９】この着色微粒子１００重量部に対して、平
均粒径１０μｍ、球形度０．９８の低アルカリガラス製
球形微粒体２．０重量部を添加し、ヘンシェル・ミキサ
ーで混合して、非磁性一成分現像剤を得た。

【００５０】得られた現像剤の流動性は３５ｇ／分と高
く、充分な流動性を有するものであった。また、耐久試
験として、図１に示す現像装置で、２０，０００枚複写
したが、初期から画像は安定しており、２０，０００枚
複写しても画質の変化は見られなかった。さらに、１０
℃で２０％ＲＨの低湿度条件下でも、あるいは３０℃で
８０％ＲＨの高湿度条件下でも、画像濃度の変化は少な
く、良好であった。評価の結果を表１に示す。

【００５１】［比較例１］実施例１で使用したものと同
じ材質の低アルカリガラスを粉砕し、平均粒径を実施例
１と同じ１０μｍ、球形度０．６５にした。着色微粒子
１００重量部に対して、粉砕した非球形のガラス製微粉
体を実施例１と同様に２．０重量部添加して非磁性一成
分現像剤を得た。

【００５２】得られた現像剤の流動性は１０ｇ／分と低
く、充分な流動性を示さなかった。また、耐久性試験を
行なったが、初期から画像濃度が低く、カブリも見られ
た。１００枚複写すると、画像にすじが見られ、感光体
や現像ブレードに傷が見られたので、途中で中止した。
評価の結果を表１に示す。

【００５３】［実施例２］実施例１において、平均粒径
が０．０１５μｍ、ヘキサメチルシラザンで疎水化処理
したコロイダルシリカを着色微粒子１００重量部に対し
て０．３重量部さらに外添した以外は、実施例１とほぼ
同様にして現像剤を得、同様に評価した。その結果、得
られた現像剤は、流動性が６５ｇ／分と高い流動性を有
しており、画像は安定した良好なものであった。評価の
結果を表１に示す。

【００５４】［実施例３］実施例１において、平均粒径
が１．２μｍ、ジメチルシリコーンオイルで疎水化処理
した焼成クレーを着色微粒子１００重量部に対して２．
０重量部さらに外添した以外は、実施例１とほぼ同様に
して現像剤を得、同様に評価した。その結果、得られた
現像剤は、実施例１と同様に、高い流動性を有してお
り、画像は安定した良好なものであった。評価の結果を
表１に示す。

【００５５】［比較例２］ガラス製球形微粒体を添加せ
ずに、平均粒径が０．０１５μｍ、ヘキサメチルシラザ
ンで疎水化処理したコロイダルシリカだけを着色微粒子
１００重量部に対して０．３重量部外添し、実施例１と
同様にして非磁性一成分現像剤を得た。

【００５６】得られた現像剤の流動性は７５ｇ／分と高
く、充分な流動性を示していた。耐久性試験は、初期は
問題なかったが、複写枚数が増えると、画像に黒い筋が
見えるようになった。感光体上を調べてみると、現像剤
の付着によるフィルムが見られた。評価の結果を表１に
示す。

【００５７】［比較例３］ガラス製球形微粒体を添加せ
ずに、平均粒径が１．２μｍ、シリコーンオイルで疎水
化処理した焼成クレーだけを着色微粒子１００重量部に
対して２．０重量部用い、実施例１と同様にして非磁性
一成分現像剤を得た。

【００５８】得られた現像剤の流動性は２０ｇ／分と低
く、充分な流動性を示さなかった。環境試験の低温低湿
条件下での転写性が充分でなく、印字にカスレが見ら
れ、使用に耐え難い結果であった。評価の結果を表１に
示す。

【００５９】［実施例４］ガラス製球形微粉体として、
平均粒径５μｍ、球形度０．９５の低アルカリガラス製
球形微粒体を用いたこと以外は実施例１と同様にして現
像剤を得、同様に評価した。得られた現像剤の流動性は
高く、安定した良好な画像が得られた。評価の結果を表
１に示す。

【００６０】［実施例５］ガラス製球形微粉体として、
平均粒径４０μｍ、球形度０．９７の低アルカリガラス
製球形微粒体を用いたこと以外は実施例１と同様にして
現像剤を得、同様に評価した。得られた現像剤の流動性
は高く、安定した良好な画像が得られた。評価の結果を
表１に示す。

【００６１】［比較例４］実施例１で用いたガラス製球
形微粉体の使用量を、着色微粒子１００重量部に対し
０．１重量部にした以外は、実施例１と同様にして現像
剤を得、評価したところ、得られた現像剤は、画像濃度
が低く、複写枚数が増えると、カブリや黒い筋の発生が
見られ、よく調べると感光体に現像剤フィルムが形成さ
れていた。評価の結果を表１に示す。

【００６２】［比較例５］実施例１で用いたガラス製球
形微粉体の使用量を、着色微粒子１００重量部に対し７
重量部にした以外は、実施例１と同様にして現像剤を得
た。

【００６３】得られた現像剤の流動性は低く、画像濃度
も低かった。複写枚数が増えると、ガラス製球形微粉体
がカブリとして見られ、使用に耐え難い結果であった。
評価の結果を表１に示す。

【００６４】［実施例６］実施例１において、ジメチル
シリコーンオイルで疎水化処理を行なった平均粒径１０
μｍ、球形度０．９８のアルカリガラス製球形微粉体を
用いた以外は、実施例１と同様にして現像剤を得た。な
お、疎水化処理において、ジメチルシリコーンオイル
は、ガラス製球形微粉体１００重量部に対して０．５重
量部の割合で使用した。

【００６５】得られた現像剤の流動性は、４０ｇ／分と
高く、耐久性試験では、初期から画像濃度が高く、カブ
リも少なかった。複写枚数が増えても、カブリや画像の
ムラが少なく、安定した画像が得られた。さらに、高温
高湿条件下でも安定した画像が得られた。評価の結果を
表１に示す。

【００６６】

【表１】

【００６７】（注）表１中、ガラス製球形微粉体および
その他の外添剤の使用量は、着色微粒子１００重量部に
対する重量部数である。また、疎水化処理におけるジメ
チルシリコーンオイルの使用量は、ガラス製球形微粉体
１００重量部に対する重量部数である。

【００６８】

【発明の効果】本発明によれば、接触または非接触現像
方式において用いる現像剤として、充分な帯電性と流動
性、対環境安定性を有し、画像濃度が高く、カブリの少
ない、画質レベルの高い非磁性一成分現像剤が提供され
る。本発明の非磁性一成分現像剤は、長時間使用した場
合においても、現像ロールや現像ブレード、感光体に現
像剤の付着によるフィルムの形成がなく、また、リサイ
クル方式で使用しても、画質が変化しない優れた諸特性
を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】非磁性一成分現像剤を適用する現像装置および
現像方式の一実施態様を示す断面略図である。

【符号の説明】

１ 感光体 ２ 現像ロール ３ 現像ブレード ４ 現像剤 ５ 現像剤容器 ６ 撹拌棒 ７ クリーニングブレード ８ リサイクルスクリュー ９ チャージャ線 １０ 光信号、光画像 １１ 転写チャージャ線 １２ 定着ロール １３ 紙等の現像剤支持部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 純 神奈川県川崎市川崎区夜光１−２−１ 日 本ゼオン株式会社研究開発センター内 (72)発明者 伊藤 克之 東京都港区虎ノ門１丁目７番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 現像剤の層厚を規制する現像ブレードを
   現像ロール表面に圧接するよう配置し、現像ロール表面
   に現像剤を均一に塗布し、感光体上の静電潜像に現像ロ
   ールを直接接触させ、あるいは非接触に対向させ、現像
   する方法で用いる現像剤であって、少なくとも結着樹脂
   と着色剤とを含有する着色微粒子１００重量部に対し、
   平均粒径が１〜５０μｍのガラス製球形微粉体を０．２
   〜５．０重量部混合してなることを特徴とする非磁性一
   成分現像剤。
2. 【請求項２】 コロイダルシリカをさらに外添した請求
   項１記載の非磁性一成分現像剤。
3. 【請求項３】 クレーをさらに外添した請求項１または
   ２記載の非磁性一成分現像剤。
4. 【請求項４】 現像後、感光体上の未転写現像剤を回収
   し、再び現像部に戻す、リサイクル方式で使用されるこ
   とを特徴とする請求項１記載の非磁性一成分現像剤。