JPH0515635Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、例えばオフシヨアーのような浮体が
緊急係止離脱を要する非常の際の切離しリンクに
関するものである。

〔従来の技術〕

切離しリンクは、浮体係止用アンカーチエーン
の展張部ではなく、通常使用されない格納部に装
備され、係止場所より緊急離脱するときに適用さ
れる。即ち、オフシヨアーなどが係止場所より緊
急に離れる必要が発生したとき、アンカーチエー
ンを捲き込まずに、逆にチエーンを繰り出して海
底に降下させる。アンカーチエーンの通常の展張
部を過ぎて格納部のアンカーチエーンまで繰り出
し、切離しリンクがチエーン巻上げ装置を越える
と、元来アンカーチエーンには、稼動部水深に応
じて海底と海面上の船舶との間にチエーン自重に
よる張力が加わつているので、この張力が切離し
リンクに加わることによつて切離しリンクが破断
し、係止から解放されてオフシヨアーは緊急離脱
することが出来る。即ち、切離しリンクを予め装
備しておけば、予定の位置でアンカーチエーンが
切断されて緊急離脱が出来るばかりでなく、次の
アンカーチエーンが巻上げ装置の上にかけられて
残つているので、再装着を容易に行うことが出来
る。このように切離しリンクは非常の際の重大な
作用をするものであるが、従来から使用されるも
のには次のようなものがあつた。

(1) ケンターシヤツクル方式 第４図はケンターシヤツクルの模式図で、Ａは
側面図、Ｂは平面図である。図に示すように、半
リンク１１，１２がその接合部に互いに逆の凹凸
部を形成しており、この凹凸部を嵌合して組合せ
次にこの嵌合の離脱を防止するためスタツド１３
を挿入し、更にストツパーピン１４を打ち込んで
スタツド１３の脱落を防止するようにしてある。
即ち、リンクにかゝる張力は嵌合凹凸部で受ける
ようになつており、第４図に示されるＸ部、Ｙ部
の断面積が破断強度を決定する。従つてこのＸ
部、Ｙ部の断面積を調節することによつて切離し
リンクとしての機能を果すことが出来る。

(2) コモンリンク方式 第５図ははコモンリンク方式による切離しリン
クの模式図でＡは側面図、Ｂは平面図である。図
に示すように、コモンリンクがスタツド１５を外
れた個所で半リンク１６及び１７に分離されてお
り、半リンク１７の側からボルト１８を半リンク
１６の雌ねじ部１９へ螺合することによつて１つ
のリンクを形成するようになつている。即ち、リ
ンクにかゝる張力はこの螺合部で受けるようにな
るから、この螺合部のボルト１８の切断強度を必
要強度に調整することによつて、切離しリンクと
しての機能を果すことが出来る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の方式による切離しリンクには次のような
欠点があつた。

(1) ケンターシヤツクル方式 設定破断強度に凹部を調整すれば、これと嵌合
する凸部の寸法もこれに応じて変化させる必要が
あるため、ケンターシヤツクル全体を取換えるこ
とになる。

(2) コモンリンク方式 切離しリンクとしての設定破断強度に調節する
には、螺合部のボルトを取換えればよいが、長期
間海水に浸つていたリンクからボルトを抜きとり
変換することは容易でなく、リンク全体を取換え
るようになる場合が多い。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、このような問題点を解決するために
なされたもので、２分割されたリンク本体の接続
部に凹部を形成し、この凹部を貫通するピンを設
け、このピンに破断力調整板を嵌合して成る切離
しリンクを提供する。

〔作用〕

切離しリンクの接続部にまたがり、両端をピン
に嵌合して止められる破断力調整板の数量又は寸
法を調節するだけで、切離しリンクの破断強度を
調整することが可能であり、又取付、取外しが容
易である。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例を模式的に示す側断
面図、第２図は第１図Ａ部の拡大図である。図に
示すように、半リンク１，２が接合されて１リン
クを形成するようになつており、その接続部はス
タツド３を外れた中央寄りのリンクの横方向に設
けられている。第２図に示すように接続部には凹
部が形成されており、半リンク１の凹部を貫通し
て接続ピン４が、同じく半リンク２の凹部には接
続ピン５が備えられ、この両接続ピン４及び５に
両端部を嵌合させ、接続部にまたがつて破断調整
板６が取りつけられている。尚７は接続ピン４又
は５の外れ止め用の詰めもので、一般に鉛等が埋
め込まれる。８は破断調整板６の厚さｔ及び数量
によつて生ずる空隙を調整するスペーサーであ
る。又第１図で示すように、半リンク１と２の接
続部はリンク横方向の２ケ所に設けられるが、リ
ンクに対するねじれを防ぐため直角方向に形成さ
れ、これによつて接続ピン４ａ，５ａ及び破断力
調整板６ａは、前記の接続ピン４，５及び破断力
調整板６に対して直角方向にセツトされている。

第３図Ａ，Ｂは破断力調整板６の形状を示すも
ので、両端部に接続ピンと嵌合する孔が設けら
れ、中央部の幅Ｗ，W′を調整することによつて
破断強度の調節を行うことが出来るようになつて
いる。

次にこの作用を説明する。必要な破断力に応じ
て破断力調整板６の厚さｔ、幅Ｗ及び数量を定
め、これを半リンク１及び２の接続部にまたが
り、両端部の孔を夫々接続ピン４，５及び４ａ，
５ａに嵌合させて取付け、切離しリンクを形成し
てアンカーチエーンに取りつければ、緊急その他
非常の際、アンカーチエーンを繰り出すことによ
つて切離しリンクに張力がかゝり、設定破断力に
達すると破断力調整板６が破断して切離され、緊
急離脱することが出来る。

〔考案の効果〕

本考案によれば、破断力調整板の寸法、数量を
調整することによつて必要破断力を容易に設定す
ることが出来るばかりでなく、従来のように切離
しリンク全体を取り換える要がなく、切離しリン
クとして再使用が可能であり、又腐食によつてピ
ン開放不能を生じることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の側断面図、第２図
は第１図の一部拡大図、第３図Ａ，Ｂは破断力調
整板の形状図、第４図、第５図は従来例の模式図
で、夫々Ａは側面図、Ｂは平面図である。 １，２……半リンク、３……スタツド、４，４
ａ，５，５ａ……接続ピン、６，６ａ……破断力
調整板、７……詰めもの、８……スペーサー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ２分割されたリンク本体の接続部に凹部を形成
   し、該凹部を貫通するピンを設けて該ピンに破断
   力調整板を嵌合して成る切離しリンク。