JPH05155689A - 炭素材料作製方法 - Google Patents

炭素材料作製方法

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JPH05155689A
JPH05155689A JP3348218A JP34821891A JPH05155689A JP H05155689 A JPH05155689 A JP H05155689A JP 3348218 A JP3348218 A JP 3348218A JP 34821891 A JP34821891 A JP 34821891A JP H05155689 A JPH05155689 A JP H05155689A
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JP
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diamond
gas
carbon material
film
hydrogen
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JP3348218A
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Inventor
Toru Inoue
亨 井上
Hisashi Otani
久 大谷
Shoji Miyanaga
昭治 宮永
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コストの高いプロセスを使用せずに六方晶ダ
イヤモンドを含む炭素材料を容易に安価に形成する方法
を提案する。 【構成】 ダイポールモーメントを有するハロゲン化炭
化水素原料と水素とを必要に応じて希ガスにて希釈した
原料を使用して、ほぼ常圧の雰囲気下で、炭素材料を形
成する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、六方晶ダイヤモンドを
含む炭素材料または六方晶ダイヤモンド材料の作製方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、その硬度の大きさや熱
伝導性の高さ等の魅力ある特性により、切削工具にまた
は半導体材料にという具合に、多方面に渡って非常に研
究が活発に行われている材料である。
【0003】そしてその製法としては、現在のところ大
きく分けて2つあり、一つは高圧下において単結晶ダイ
ヤモンドを得る製法であり、他方は低圧下において気相
からダイヤモンド薄膜を成膜する方法である。
【0004】その中でも、化学的気相成長法を用いてダ
イヤモンドを含む炭素材料またはダイヤモンド材料を形
成する方法としては熱フィラメントCVD(化学的気相
成長)法が最もよく利用されている。該方法とは、例え
ば図1に示すように石英反応管1に反応性ガスをガス導
入口2より流入し金属タングステン(またはタンタル)
製フィラメント3に電流を流し該フィラメントを1500℃
〜3000℃に加熱し、熱電子を放出させることによって基
板4を 400℃〜1300℃に加熱する。それと同時に、前記
反応性ガスを接触加熱により熱分解し、基板上にダイヤ
モンドを含む炭素材料またはダイヤモンド材料を形成す
る方法である。この時、反応容器内の圧力は 1〜350Tor
rに維持されている。それゆえ、熱フィラメントCVD
法は安価で手軽に行うことができる方法である。
【0005】他のダイヤモンドを含む炭素材料またはダ
イヤモンド材料形成方法として、マイクロ波プラズマC
VD法がある。該方法とは、例えば図2に示すようにマ
イクロ波導波管6の一部に石英反応管1を挿入し該石英
反応管の上部から、反応ガスを導入し、下部から真空排
気を行う。マイクロ波の発振周波数は2.45GHzが最も
よく用いられている。反応容器の圧力は10〜200Torr に
保たれている。
【0006】マイクロ波と磁界の相互作用を利用してダ
イヤモンドを含む炭素材料およびダイヤモンド材料を形
成する方法としては反応圧力が 0.1Torrより高い場合に
起こる現象であるMCR( Mixed Cyclotron Resonanc
e)を用いる有磁場マイクロ波プラズマCVD法と、反
応圧力が 0.1Torr以下と非常に低い場合に起こる現象で
あるECR(Electron Cyclotron Resonance)を用いる
ECRプラズマCVD法とがある。
【0007】有磁場マイクロ波プラズマCVD法で使用
する装置の概略図を図3に示す。磁場コイル7による磁
界とマイクロ波導波管6から反応室に導入されたマイク
ロ波の相互作用を利用してガス導入口2より流入される
反応性ガスを効率よく励起し、基板4上にダイヤモンド
を含む炭素材料またはダイヤモンド材料を形成する。基
板4は基板保持板を加熱することにより外部コントロー
ルされている。また、浮遊電界8を基板4に加えること
もできる。反応ガスとしてはメタン、一酸化炭素、エチ
レン、メタノール、エタノールなどの通常において気体
または液体の炭化水素を水素で希釈したガスが用いられ
ている。また、水、二酸化炭素、酸素を少量添加したガ
スも用いられている。
【0008】ECRプラズマCVD法で使用する装置の
形状は有磁場マイクロ波CVD装置とほぼ同じである
が、反応圧力が 0.1Torr以下と非常に低いためにプラズ
マが有磁場マイクロ波CVD法より広がり大面積成膜が
可能になっている。そのため、ほとんどのECRプラズ
マCVD装置が図4に示してあるようにデポダウン形式
である。図3のような有磁場マイクロ波CVD装置では
反応室の質量および操作性の問題から必然的に大面積に
成膜するのは非常に効率が悪い。一般には反応ガスをガ
ス導入口2より流入するが、希釈ガスをガス導入口2よ
り、原料ガスをガス導入口9またはガス導入口10より流
入する方法も用いられている。希釈ガスとしては水素が
用いられ、原料ガスとして通常は気体で存在しているメ
タン、アセチレン、一酸化炭素、二酸化炭素などが用い
られ、極稀に通常は液体で存在しているメタノール、エ
タノール、アセトンなどが用いられている。基板保持台
を回転させることによって基板4上のダイヤモンドを含
む炭素材料またはダイヤモンド材料の膜厚および膜質の
均一性を向上させることを行うこともある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在行
われている方法には数多くの問題点がある。
【0010】例えば熱フィラメントCVDにおいては、
フィラメント材料の蒸気圧が必然的に高くなるため成膜
した膜を汚染する可能性が高い。また、フィラメントの
寿命が短いため、交換の頻度が高くならざるをえないと
共に、経時変化やバッチ毎の均一性、再現性に乏しいと
いう欠点も有する。
【0011】他方、前述のプラズマCVDによる成膜に
関しては、大面積を均一に成膜することが、大型のプラ
ズマを均一に発生することに直結するため本質的に困難
であり、成膜速度も有磁場マイクロ波CVD法で1μm
/hr以下、ECRプラズマCVD法においては 0.3μ
m/hr以下と低いという決定的な欠点も有する。
【0012】これらの問題点をまとめると、従来の様な
真空プロセスにおいては反応性ガス濃度が低くなるため
に、必然的に成膜速度は低下する。そこで、比較的低真
空、望ましくは常圧プロセスでダイヤモンドを含む炭素
材料またはダイヤモンド材料の薄膜を成膜が可能であれ
ば良いのであるが、従来のメタン系及びメタノール系に
おいては不可能であった。確かにプラズマジェットによ
る溶射という方法も常圧プロセスとして存在するが、膜
質や均一性等から考えて問題外と言わざるを得ない。
【0013】また、上記の成膜速度の問題以外にも、成
膜温度の低温化も従来は達成されていなかった。このこ
とが克服されれば、低融点金属などの熱に弱い物質上に
低温においてダイヤモンドを含む炭素材料またはダイヤ
モンド材料を作製することが可能となり、現在はスロー
アウェイチップ等のみである用途が更に広がることが予
想され産業上大きなメリットがある。また、高温におけ
る成膜では試料を取り出した際の冷却によるダイヤモン
ドを含む炭素材料またはダイヤモンド材料の剥離が発生
しやすく、この現象を防ぐ意味でも重要である。そし
て、最大の問題点は単結晶ライクな膜が得られていない
ということである。このことは核発生密度の不足という
理由と共に、異方性を持たないダイヤモンドについては
本質的な困難を伴っている可能性がある。しかしなが
ら、この問題を解決する可能性が大きいのが六方晶ダイ
ヤモンドである。六方晶ダイヤモンドは、ダイヤモンド
に似た特性を有すると予想されると共に、異方性を有す
るため、配向性の制御等の手段によって単結晶膜を得る
ためのひとつのアプローチとなりうる可能性を有するの
である。
【0014】
【問題を解決するための手段】前述の様に、六方晶ダイ
ヤモンドは、現在の問題を解決する可能性を秘めた物質
である。しかしながらこの物質は現在までには鉱物や高
圧合成の準安定相として得られているのみであり、CV
Dプロセスにおいては現在までには確認されていない。
そこで、従来とは全く異なった、従来より格段に低温化
を行ったプロセスにおいて六方晶ダイヤモンドの合成を
試みることにした。そのためには、従来のメタン系及び
メタノール系等に代わる原料(反応性ガス)から考える
必要があった。
【0015】実は、六方晶ダイヤモンドの合成が目的で
はないと思うが、最近ライス大のパターソンらが、CF
4 と水素あるいはCS2 とフッ素等の原料気体を使用し
た場合において、従来のメタン系よりも低温化等が可能
であることを報告している。彼らは、固体炭素形成に関
する簡単な熱力学的考察から、固体炭素の形成と安定性
を議論している。具体的には、固体炭素形成の際、原料
から側鎖等を全て取り去る時の自由エネルギーの変化を
みているのであるが、1000℃において、自由エネルギー
の変化を比較したところ、メタン単独のそれは−4.5KJ/
mol にしか過ぎないのに対し、CF4 と水素から固体炭
素を作る際のそれは−340.0KJ/mol と桁違いに大きく、
それゆえに彼らは、ダイヤモンドの成膜が容易に行われ
る可能性があるという。
【0016】しかしながら、彼らの考察においては、活
性化エネルギーの考慮が全く欠けており、自由エネルギ
ーだけでは反応性を議論することは不十分である。ま
た、同様にグラファイトも形成されるのだが、それに関
する考察が安易であり、彼らのモデル化は不十分であっ
た。しかしながら、我々が考えていた低温化による六方
晶ダイヤモンドの合成のモデルと比較的近い内容である
ため、興味深い内容ではある。
【0017】ここで、我々のモデルをより詳細に述べる
こととする。我々が注目したのは、分子の対称性が低
く、ダイポールモーメントを有する分子であって、その
中でもハロゲン化炭化水素である。ダイポールモーメン
トを有するのは、電荷の偏りが生じていた方が、より反
応性に富むという理由による。また、ハロゲンを有する
のは、これらが電気陰性度から考えて、ダイポールモー
メントを大きくするのに有利に働くと考えられること
と、水素によって引き抜かれた際に生成するハロゲン化
水素、例えばHFの安定性が高い為、自由エネルギーか
ら考えて有利であろうという予想からであった。そし
て、従来のメチルラジカルやカルベン等と異なった側鎖
を付けることにより、結合の方向性を変えて、六方晶ダ
イヤモンドを合成しようと考えたのである。
【0018】我々のモデルに従って原料を選び、成膜し
てみたところ、従来のダイヤモンドと共に六方晶ダイヤ
モンドが合成可能であることが判明し、パターソンが良
いといっているCF4 で追試実験をしてみたところダイ
ヤモンドさえも確認されなかったのである。
【0019】 即ち具体的にはCHF3 ,CH2 2
のダイポールモーメントを有するハロゲン化炭化水素と
水素、または必要に応じて不活性ガスを添加したガスを
原料ガスとして用いた低真空(数百Torr)望ましくは常
圧における熱CVDにおいて、比較的高速でダイヤモン
ド含む炭素材料またはダイヤモンド材料からなる薄膜を
成膜することが可能であり、その中に六方晶ダイヤモン
ドが確認されることを見いだすに至ったのである。
【0020】また、前記熱CVDにおいて、材料ガスの
反応領域と、基板上への成膜領域とを分け、それぞれの
温度を独立に制御すると共に、前記反応領域で発生した
プリカーサーが効率よく基板上に到達すべくガスの流れ
を制御することにより、基板温度が100 〜400 ℃と比較
的低温において六方晶ダイヤモンド含む炭素材料または
六方晶ダイヤモンド材料からなる薄膜を成膜することが
可能であること、即ち低温化が可能であることも見いだ
したのである。
【0021】そして忘れてはならないのは、本発明の方
法で六方晶ダイヤモンド薄膜を作製する際には、副生成
物としてフッ化水素等のハロゲン化水素が発生するた
め、これらと高温で接触するチャンバー部分には従来の
半導体等で使用された石英やステンレスを使用すること
が実質的には困難であることである。そこで、チャンバ
ーの材料として、フッ化水素等と比較的反応性が低く、
かつ高温における構造用材料として機能する材料、具体
的にはアルミナ、サファイア、SiC、等のセラミック
材料及びモネル等の耐酸化性金属材料を使用した。この
中でも、SiCに関しては、焼結体の上からCVDコー
ティングした材料を用いたところ、出来上がった膜中の
不純物の濃度が低く、非常に優れていた。
【0022】以下に実施例を示してより詳細に本発明を
説明する。
【実施例】
『実施例1』まず第一ステップとして、パターソンらの
モデルに従ってCF4 +水素系で、熱CVDを試みるこ
とにした。成膜の条件は、チャンバー内圧力が760torr
、CF4 濃度が1 〜5 %、材料ガスの反応領域におけ
る温度が880 ℃、前述の反応領域をガスが通過する際の
所要時間が約1 〜10秒、成膜領域の基板温度が300 〜40
0 ℃、成膜時間が8時間という条件で行った。また、チ
ャンバーの材質はモネル400 を使用した。実は、これら
のパラメーターは、ライス大のパターソンらの実験の際
のパラメータに準拠したものであった。
【0023】今回の実験に用いた実験装置の構成を図5
に示す。基本的には、電気炉を加熱源としたホットウォ
ール型の熱CVDであり、電気炉の温度及び、電気炉に
挿入されたチャンバーの長さを変更することにより、反
応領域における温度及び通過に要する時間を調節するこ
とが可能である。また、温度勾配については、断熱材の
有無及び冷却用ファンの設置等によって調節を行い、88
0 ℃〜室温までリニアとなるように調節して実験を行っ
た。
【0024】まず、チャンバー内の、400 〜200 ℃に相
当する部分に、チャンバーと同様のモネル400 からなる
基板を設置し、その後、チャンバー内を少なくとも10-3
torr以下まで真空に引いた。尚、基板は念のためにダイ
ヤモンドパウダーによる傷つけ処理を行った。
【0025】チャンバー内が十分に真空になった後、電
気炉の温度を昇温し、定常状態になったところで反応ガ
スを導入し、成膜を行った。成膜中の温度は、図6に示
す様な、チャンバー内の構造により、インサイチュウで
測定可能であり、其故に基板温度も正確に把握すること
ができた。
【0026】8時間の成膜終了後、反応ガスを止め、十
分に真空引き(少なくとも10-3torr以下)を行った後、
試料を取り出した。勿論基板温度が高い際に大気に暴露
すると酸化されてしまうので注意が必要である。
【0027】成膜後の膜について、ラマン分光測定、及
びXRD の測定を行った。しかしながら残念にもダイヤモ
ンドに起因すると思われるピークは確認されなかった。
その後、パラメータを各種変更し、成膜時間も最長40時
間まで延長してみたが結果は同様であった。
【0028】次いで、我々のモデルに従い、ダイポール
モーメントが大きなハロゲン化炭化水素としてCHF3
及び水素に原料を変更し、同様の実験を行った。上述の
実験は、単なる追試実験であった為、モネル基板を使用
したが、我々は半導体プロセスへの応用を考えており、
今回はノーマルに基板材料として利用されている、単結
晶シリコンウェハーをカットしたものを使用した。
【0029】まず、チャンバー内の、400 〜200 ℃に相
当する部分に単結晶シリコンからなる基板を設置し、そ
の後、チャンバー内を少なくとも10-3torr以下まで真空
に引いた。尚、今回も基板は念のためにダイヤモンドパ
ウダーによる傷つけ処理を行った。その他の条件は、前
述の方法と全く同様である。
【0030】成膜終了後、基板を取り出してラマン分光
測定を行って見たところ、基板温度が高い部分は、全て
不定型炭素に起因すると見られるピークであったが、20
0 〜300 ℃の部分については、1550cm-1付近にアモルフ
ァス状炭素材料のブロードなピークが存在しているが、
1324cm-1に六方晶ダイヤモンドの鋭いピークを確認する
ことができた。レーザー出力の変更等を行っても、ピー
ク位置がずれないことを確認し、このピークがダイヤモ
ンドであると同定した。すなわち、ダイヤモンド材料を
含む炭素膜が成膜されたと考えても良い。ラマン分光の
感度はアモルファス状炭素に対しては鋭い感度をもって
いるがダイヤモンドに対してはそれほどの感度はもって
いないこともピーク強度の差になってあらわれていると
考えられる。
【0031】パターソンの理論によれば、CF4 はCH
3よりもダイヤモンドを作製し易いはずであり、今回
の実験結果と矛盾する。すなわち、パターソンらの理論
は不十分であり、我々のモデルの方がより正しかったこ
とが確認されたわけである
【0032】『実施例2』本実験においては、実施例1
を更にプロセスを最適化した例を示す。即ち、原料は全
く同一のCHF3 と水素であり、CHF3 の濃度を低く
するためにヘリウムを加えている。各パラメータは、C
HF3 濃度が1 〜0.25%、材料ガスの反応領域における
温度が840 ℃、前述の反応領域をガスが通過する際の所
要時間が約1 〜5 秒、成膜領域の基板温度が100 〜350
℃、成膜時間が8時間という条件で行った。実験に使用
した装置及び実験方法等は実施例1と同様である。
【0033】まず、CHF3 濃度が1%の際に得られた
ラマン分光の結果を図7に示す。1332cm-1のはっきりと
ダイヤモンドに起因するピークが確認されているが、そ
の肩の部分に六方晶ダイヤモンドに起因するとみられる
ピークも確認されている。残念ながら、それ以外のピー
クも数多く確認されており、これらは従来のメタン系で
も確認された不定型炭素あるいは炭素のポリマーに起因
するピークと考えられ、原料ガスが適正濃度より高いと
きに多く確認されるケースが多い。そこで、更に濃度を
下げ、CHF3 濃度0.25%におけるラマン分光の結果を
図8に示す。CHF3 濃度以外の成膜条件は全く同一で
ある。この結果より、明らかに六方晶ダイヤモンドが成
膜されていることが確認された。デポレートは約1μm
/hr以上で、材料ガスの反応領域における温度が880
℃°C であった実施例1よりも明らかに増大しており、
成膜機構を考える上で非常に興味深かった。又、膜の均
一性は非常に高かった。
【0034】『実施例3』本実験においては、実施例2
のプロセスにおいて、原料を変更した例を示す。即ち、
原料としてCH3 Fと水素であり、希釈のためにヘリウ
ムを加えた。各パラメータは、CH3 F濃度が0.25%、
材料ガスの反応領域における温度が840 ℃、前述の反応
領域をガスが通過する際の所要時間が約1 〜5 秒、成膜
領域の基板温度が100 〜350 ℃、成膜時間が8時間とい
う条件で行った。実験に使用した装置及び実験方法等は
実施例2と同様である。
【0035】得られた薄膜について、ラマン分光で測定
したところ、非常ブロードな六方晶ダイヤモンドに起因
するピークが確認された。しかしながら膜厚に関して
は、CHF3 濃度0.25%の結果よりも明らかに薄く、デ
ポレートが低下していることが確認された。
【0036】『実施例4』本実験においては、実施例2
のプロセスにおいて、原料を変更した例を示す。即ち、
原料としてCHCl3 と水素であり、希釈のためにヘリ
ウムを加えた。実施例1〜3においては原料は全て常温
で気体であった為問題なかったのであるが、今回の原料
は常温で液体であるため、ベーパーソースを用いて実験
を行った。また、成膜の際に必然的に塩化水素が発生す
るため、チャンバーをモネル管からアルミナ管に変更し
た。各パラメータは、CHCl3 濃度が0.25%、材料ガ
スの反応領域における温度が820 ℃、前述の反応領域を
ガスが通過する際の所要時間が約1 〜5 秒、成膜領域の
基板温度が100 〜350 ℃、成膜時間が8時間という条件
で行った。実験に使用した装置及び実験方法等は、上述
の変更点を除いては実施例2と同様である。実験に先立
って、チャンバー内に傷つけ処理を行ったシリコン基板
を設置し、その後チャンバー内が十分に真空になった
後、電気炉の温度を昇温し、定常状態になったところで
反応ガスを導入し、成膜を行った。尚、減圧状態でベイ
パーソースと接続すると、一時的にCHCl3濃度が高
くなってしまうという問題が生じたため、まずは水素と
ヘリウムでチャンバー内を760torrにした後にCHCl
3 を導入して成膜を行った。
【0037】得られた薄膜について、ラマン分光で測定
したところ、非常にはっきりと六方晶ダイヤモンドに起
因するピークが確認された。また、この試料をXRDで
分析したところ、六方晶ダイヤモンドに起因するディフ
ラクションパターンが得られた。しかも膜厚に関して
は、CHF3 濃度0.25%の結果よりも明らかに厚く、デ
ポレートが上昇していることが確認された。
【0038】
【発明の効果】本発明によって、低真空あるいは常圧プ
ロセスで六方晶ダイヤモンドを含む炭素材料または六方
晶ダイヤモンド材料の薄膜の成膜が可能となった。その
方法も、最もコンベンショナルな熱CVDで成膜するこ
とが可能であり、そのためにプラズマCVD等とは異な
りガスの流れだけを考慮すれば大面積化も容易である。
また、デポレートも、我々の実験において約1μm/h
r以上と有磁場プラズマCVD等よりは高い値を得てお
り、パラメータの最適化を図ることにより更なる高いデ
ポレートも可能であろう。
【0039】また、前記熱CVDにおいて、材料ガスの
反応領域と、基板上への成膜領域とを分け、それぞれの
温度を独立に制御すると共に、前記反応領域で発生した
プリカーサーが効率よく基板上に到達すべくガスの流れ
を制御することにより、基板温度が100 〜400 ℃と比較
的低温において六方晶ダイヤモンドを含む炭素材料また
は六方晶ダイヤモンド材料からなる薄膜を成膜すること
が可能に、即ち低温化が可能となった。このことによっ
て、従来は不可能と思われた材料、例えばプラスチック
の様に高温プロセスに耐えられず、従来の方法ではアモ
ルファスカーボン等しか成膜できなかった物にまで六方
晶ダイヤモンドが成膜可能となり、新しい用途が可能と
なる。
【0040】まだ、現状では単結晶膜の作製には至って
はいないものの、これらは核発生密度の向上によって可
能であると考えられ、本発明は産業上非常に有用な特許
であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱フィラメントCVD装置の概略図である。
【図2】マイクロ波CVD装置の概略図である。
【図3】有磁場マイクロ波CVD装置の概略図である。
【図4】ECRプラズマCVD装置の概略図である。
【図5】本実験で用いたハロゲン化炭化水素を用いた熱
CVD装置の概略図である。
【図6】本実験で用いたハロゲン化炭化水素を用いた熱
CVD装置のチャンバー内の概略図である。
【図7】本実施例の実験で得られたダイヤモンド材料の
ラマンスペクトルである。
【図8】本実施例の実験で得られたダイヤモンド材料の
ラマンスペクトルである。
【符号の説明】 1 石英反応管 2、9、10、14 ガス導入口 3 フィラメント 4 基板 5 排気 6 マイクロ波導波管 7 磁場コイル 8 浮遊電位 11 チャンバー 12 電気炉( 加熱源) 13 ベーパーソース 15 熱電対用保護管 16 原料ガス 17 基板保持用ボート 18 基板 19 反応領域 20 マスフローコントローラー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】六方晶ダイヤモンドを含む炭素材料または
    六方晶ダイヤモンド材料の作製方法であって、反応用出
    発原料として、常温で気体あるいは液体の状態で存在
    し、ダイポールモーメントを有するハロゲン化炭化水素
    及び水素、あるいは前記ハロゲン化炭化水素及び水素と
    希釈ガスとして希ガスからなる原料を使用して作製する
    ことを特徴とする炭素材料作製方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、作製された六方晶ダイ
    ヤモンドを含む炭素材料または六方晶ダイヤモンド材料
    は、粒子状あるいは薄膜状の形状を有することを特徴と
    する炭素材料作製方法。
  3. 【請求項3】請求項1において、原料に含まれるハロゲ
    ン化炭化水素の濃度は1%以下であることを特徴とする
    炭素材料作製方法。
  4. 【請求項4】六方晶ダイヤモンドを含む炭素材料または
    六方晶ダイヤモンド材料の作製方法であって、大気圧に
    おける熱CVD法にて、反応用出発原料として、常温で
    気体あるいは液体の状態で存在し、ダイポールモーメン
    トを有するハロゲン化炭化水素及び水素、あるいは前記
    ハロゲン化炭化水素及び水素と希釈ガスとして希ガスか
    らなる原料を使用して作製することを特徴とする炭素材
    料作製方法。
  5. 【請求項5】請求項4において、作製された六方晶ダイ
    ヤモンドを含む炭素材料またはダイヤモンド材料は、粒
    子状あるいは薄膜状の形状を有することを特徴とする炭
    素材料作製方法。
  6. 【請求項6】請求項4において、原料に含まれるハロゲ
    ン化炭化水素の濃度は1%以下であることを特徴とする
    炭素材料作製方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010056560A (ja) * 2007-08-10 2010-03-11 Mitsubishi Electric Corp カーボン膜成膜装置
JP2011190125A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Ss Alloy Kk バイオマスカーボンの賦活方法とその装置
CN105603385A (zh) * 2016-01-15 2016-05-25 山西大学 一种制备金刚石晶体薄膜材料的装置和方法

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