JPH0515509U - 誘電体共振器の端子構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で成形し易く量産向きであり、共
振子穴への挿入が容易で挿入量（挿入深さ）も調整可能
な構造とする。 【構成】 誘電体共振器１０の共振子穴１４に挿入し、
その穴壁面の内導体１６に電気的に接続する端子であ
る。バネ性に富む帯状金属板の先端部分を一方向に曲げ
た一体成形品であって、外部回路と接続するための基端
側の平坦部分２０ａと、共振子穴に挿入され板バネの弾
性により内部で圧接保持される先端側の湾曲部分２０ｂ
とを備えている。湾曲箇所は１箇所でもよいし、複数箇
所連続する波形状でもよい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、誘電体共振器の共振子穴に挿入する端子の構造に関し、更に詳しく 述べると、バネ性に富む材料からなる帯状金属板の先端に湾曲部分を成形して、 板バネの弾性により共振子穴内部で圧接保持されるように一方向に曲げた構造の 誘電体共振器用端子に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

角筒状あるいは円筒状の誘電体共振器、あるいは誘電体ブロックに複数の共振 子穴を並設した一体構造の多段誘電体共振器は従来公知であり、各種マイクロ波 通信機器等に用いられている。それら誘電体共振器と外部回路との接続には、金 属端子を共振子穴に挿入して、その穴壁面の内導体に電気的に接続する構成が採 られている。

【０００３】 従来の金属端子の一例としては平坦な帯状をなす金属板がある。この極く単純 な形状の金属端子では、その先端部分を共振子穴に挿入して半田付けし、基端部 分を外部回路に接続している。また別の例としては、ほぼＴ形に打ち抜いた金属 板を用い、中央の端子本体部分から両側に張り出した部分を「く」の字型に折曲 し対向配置してスナップ形状とし、そのバネ性を利用して共振子穴の内導体に圧 入結合する端子が提案されている（特開平１−２０９８０２号公報）。更に他の 例として、共振子穴への挿入部分を、該共振子穴に丁度嵌合するようなすり割り 円筒状に成形し、そのバネ性を利用して共振子穴に圧入する金属端子もある（実 開昭５９−１５４９０６号公報）。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

単なる帯状の金属端子の場合は共振子穴に対する自己保持力が無く、それゆえ 機械的並びに電気的な接続は半田付けによらざるを得ない。強固で且つ確実な半 田付けを行おうとすると、半田付着量も多くなり熱衝撃の際の収縮・膨張で共振 子穴の内導体が剥離する虞れがある。

【０００５】 他方、従来の圧入結合方式の端子は、いずれにしても、構造が複雑で寸法精度 も厳しくなるため製作コストが高くなる問題がある。特にスナップ形状の端子の 場合は、共振子穴に対する挿入位置が決められているため、外部回路との距離が 変わると対応できなくなる。また、すり割り円筒形状の端子の場合は、共振子穴 に深く挿入し難く作業性が悪い欠点がある。

【０００６】 本考案の目的は、上記のような従来技術の欠点を解消し、構造が簡単で成形し 易く量産向きであり、共振子穴への挿入が容易で、挿入量（挿入深さ）も調整可 能な誘電体共振器の端子構造を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、誘電体共振器の共振子穴に挿入し、その穴壁面の内導体に電気的に 接続する端子である。その特徴は、バネ性に富む帯状金属板の先端部分を一方向 に曲げた一体成形品であって、外部回路と接続するための基端側の平坦部分と、 共振子穴に挿入され板バネの弾性により内部で圧接保持される先端側の湾曲部分 とを備えている点にある。湾曲部分は湾曲箇所が１箇所の単なる湾曲部分でもよ いし、湾曲箇所が複数連続する波形状をなしていてもよい。

【０００８】

【作用】

端子を共振子穴に挿入すると、その湾曲膨出部分が内導体に圧接し、その弾力 性により保持される。そのため組立上、容易に挿入深さを制御できる。共振器及 びそれに接続される外部回路が固定されれば、この端子も安定し固定される。

【０００９】

【実施例】

図１は誘電体共振器及びそれに取り付ける端子の一実施例を示し、図２に挿入 時の断面図を、図３にその正面図を示す。ここで誘電体共振器１０は、角柱状の 誘電体材料１２の中心を貫通する共振子穴１４に内導体１６を形成する共に、誘 電体材料１２の４側面に外導体１８を形成し一端面で内導体１６と外導体１８を 短絡した構造である。

【００１０】 それに対して端子２０は、共振子穴１４に挿入し、その穴壁面の内導体１６に 電気的に接続するものである。この端子２０は、バネ性に富む帯状金属板の先端 部分を一方向に曲げた一体成形品であり、外部回路と接続するための基端側の平 坦部分２０ａと、共振子穴に挿入され板バネの弾性により内部で圧接保持される 先端側の湾曲部分２０ｂとを備えている。この実施例では、湾曲部分２０ｂは、 湾曲箇所が唯１箇所の単純な構造である。

【００１１】 共振器１０の共振子穴１４内に端子２０の先端側の湾曲部分２０ｂを挿入し、 適当な深さで止め、外部回路（図示せず）に基端側の平坦部分２０ａを半田付け 接続する。これによって、湾曲膨出した箇所が共振子穴１４の内導体１６に圧接 し機械的に保持されると共に電気的な接続が達成され、この端子２０は安定に固 定される。この時、端子２０は内導体１６に圧接しているだけだから、熱衝撃な ど温度変化を受けても端子２０が伸びることで熱膨張ひずみが吸収され、内導体 １６の剥離などは生じない。

【００１２】 端子に使用する材料としては、温度特性の面では熱膨張係数が小さく、圧接の 面ではバネ性を有する金属材料が好ましく、具体的には例えばリン青銅板やニッ ケル合金板に銀や銅のメッキを施したものが望ましい。

【００１３】 なお端子２０を共振器１０の共振子穴１４に挿入した後、共振子穴１４の開放 端の部分で半田付けすれば、より電気的安定度が向上する。

【００１４】 図４及び図５は本考案の他の実施例を示している。この実施例に示す端子３０ も、基本的には基端側の平坦部分３０ａと先端側の湾曲部分３０ｂとを備えてい る。但し、湾曲部分３０ｂは湾曲箇所が２箇所あり、それらが連続する波形状を なしている。このように内導体１４との圧接箇所が増すと、機械的保持並びに電 気的接続がより安定化する。

【００１５】 上記の実施例は共振子穴が唯１個の共振器の場合であるが、本考案は誘電体ブ ロックに複数の共振子穴を並設した多段誘電体共振器の端子にも適用できること は言うまでもない。

【００１６】

【考案の効果】

本考案の端子は、上記のように帯状の金属板を用いており、曲げ方向が一方向 のため量産向きで製作コストが安くなり、小型化も容易である。また共振子穴へ の挿入作業を容易に行えるし、挿入量も自由に調整可能なため外部回路との距離 が変わっても同一寸法で対応でき共用が可能なため部品在庫管理点数を少なくで きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】誘電体共振器と本考案に係る端子の一実施例を
示す組立説明図。

【図２】その組立後の断面図。

【図３】その組立後の正面図。

【図４】本考案に係る端子の他の実施例を示す斜視図。

【図５】その組立後の断面図。

【符号の説明】

１０ 誘電体共振器 １２ 誘電体材料 １４ 共振子穴 １６ 内導体 １８ 外導体 ２０，３０ 端子 ２０ａ，３０ｂ 平坦部分 ２０ｂ，３０ｂ 湾曲部分

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 誘電体共振器の共振子穴に挿入し、その
   穴壁面の内導体に電気的に接続する端子において、バネ
   性に富む帯状金属板の先端部分を一方向に曲げた一体成
   形品であって、外部回路と接続するための基端側の平坦
   部分と、共振子穴に挿入され板バネの弾性により内部で
   圧接保持される先端側の湾曲部分とを備えていることを
   特徴とする誘電体共振器の端子構造。
2. 【請求項２】 湾曲部分が波形状をなしている請求項１
   記載の誘電体共振器の端子構造。