JPH05149378A - 振動制御装置 - Google Patents

振動制御装置

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Publication number
JPH05149378A
JPH05149378A JP3336197A JP33619791A JPH05149378A JP H05149378 A JPH05149378 A JP H05149378A JP 3336197 A JP3336197 A JP 3336197A JP 33619791 A JP33619791 A JP 33619791A JP H05149378 A JPH05149378 A JP H05149378A
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JP
Japan
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vibration
displacement
same
bracket
engine
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Application number
JP3336197A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Kobayashi
利彰 小林
Hidetaka Ozawa
英隆 小沢
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動源を確実に支持することができ、且つ振
動源から基台への振動伝達を確実に且つ精度良く制御
ることができる振動制御装置を提供すること。 【構成】 振動源の振動に応じて外部から入力される制
御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する一
対の変位体2,3が、振動源に固定されたブラケット4
を挟むように且つ下部変位体3がブラケット4と支持基
盤5との間に位置するように配置され、一対の変位体
2,3及びブラケット4が共締めボルト6により支持基
盤5に保持され、且つ下部変位体3を、振動源の振動と
適切な位相差を有して伸縮変位させるように構成されて
いる。ブラケット4と支持基盤5との間に配置された下
部変位体3が、振動源の振動と適切な位相差を有して
縮変位してブラケット4と支持基盤5の間の振動伝達特
が変化し、これによってブラケット4から支持基盤5
への振動伝達が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン等の振動源か
らこの振動源を支持する基台への振動伝達を遮断する振
動遮断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このような振動遮断装置として
は、例えば、電歪素子(圧電素子)を振動伝達径路の途
中に設け、電歪素子に振動伝達径路を伝わる振動の周期
に同期して変化する電圧を印加し、電歪素子の歪により
前記振動の変位を吸収するものが知られている(特開昭
59−23139号公報、特開昭59−65640号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、圧電素子自体は引張力に対し非常に弱いため、
圧電素子の両側に板部材を配し、この両板部材をボルト
で締結することによって圧電素子に圧縮力(ボルトの軸
力)をかけている構造であるので、圧電素子の変位によ
りボルトに繰り返し荷重が作用し、これによってボルト
の緩み、疲労破壊が生じ、振動源の支持が困難になって
しまうという問題がある。また、前記ボルトの軸力が小
さすぎると、圧電素子がはく離して破損する虞れがあ
り、これによって振動源の支持が困難になってしまい、
逆にボルトの軸力が大きすぎると、圧電素子の変位がボ
ルトの軸力によって規制されてしまい、振動源からこれ
を支持する基台への振動伝達を確実に且つ精度良く遮断
できないという問題がある。
【0004】本発明は、このような従来の問題点に着目
して為されたもので、耐久性に優れ、振動源を確実に支
持することができ、且つ振動源からこれを支持する基台
への振動伝達を確実に且つ精度良く遮断することができ
る振動遮断装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、振動源からこれを支持する基台への振動
伝達を遮断する振動遮断装置において、前記振動源の振
動に応じて外部から入力される制御信号に応じて互いに
逆向きに且つ同量伸縮変位する一対の変位体が、前記振
動源に固定された支持片を挟むように且つその一方が前
記支持片と前記基台との間に位置するように配置され、
前記一対の変位体及び前記支持片が締め付け部材により
前記基台に保持され、且つ前記一方の変位体を、前記振
動源の振動と同方向に伸縮変位させるように構成されて
いる。
【0006】好ましくは、前記各変位体は、磁歪素子
と、この磁歪素子の外周に巻回されたコイルと、磁歪素
子にバイアス磁界を与える永久磁石とを備え、前記両変
位体の各コイルの巻線方向を互いに逆にし且つ各永久磁
石のバイアス磁界の方向を同じにしてあり、前記各コイ
ルに、前記制御信号として同じ制御電流が入力されるよ
うに構成されている。
【0007】また、好ましくは、前記各変位体は、磁歪
素子と、この磁歪素子の外周に巻回されたコイルと、磁
歪素子にバイアス磁界を与える永久磁石とを備え、前記
両変位体の各コイルの巻線方向を同じにし且つ各永久磁
石のバイアス磁界の方向を互いに逆にしてあり、前記各
コイルに、前記制御信号として同じ制御電流が入力され
るように構成されている。
【0008】さらに、好ましくは、前記各変位体は、圧
電素子を備え、該各圧電素子に同じバイアス電荷がかけ
られており、且つ該各圧電素子に、前記制御信号として
絶対値が同じで且つ逆位相の制御電圧が印加されるよう
に構成されている。
【0009】
【作用】振動源に固定された支持片を挟むように配置さ
れた一対の変位体及び支持片が締め付け部材により基台
に保持されているので、各変位体には引張り方向の力は
作用せず、しかも一対の変位体が外部から入力される制
御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位するの
で、一対の変位体及び支持片の3つの部材の全長が常に
一定であり、締め付け部材には、一対の変位体の変位に
よる繰り返し荷重は作用しない。また、支持片と基台と
の間に配置された一方の変位体が、振動源の振動と同方
向に伸縮変位して支持片と基台の間隔が変化し、これに
よって支持片から基台への振動伝達が遮断されるが、前
記3つの部材の全長は常に一定であるので、前記締め付
け部材の締め付け力は前記3つの部材を基台に保持する
程度の大きさであればよく、前記一方の変位体の変位が
締め付け部材からの圧縮力により規制されない。
【0010】
【実施例】以下、図面に基いて本発明の各実施例を説明
する。
【0011】図1は本発明の第1実施例に係る振動遮断
装置を示している。
【0012】この振動遮断装置1は、この実施例では車
両に搭載されるエンジンを車体に支持するエンジンマウ
ントであり、エンジン側から車体側への振動伝達を遮断
するようになっている。
【0013】振動遮断装置1は、図1に示すように、エ
ンジン(振動源)の振動に応じて外部から入力される制
御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する一
対の上部及び下部変位体2及び3を有している。この両
変位体2,3はエンジンに固定されたブラケット(支持
片)4を挟むように配置されており、且つ下部変位体3
はブラケット4と車体側に固定された支持基盤(基台)
5との間に位置するように配置されている。そして、一
対の変位体2,3及びブラケット4が、共締めボルト
(締め付け部材)6により支持基盤5に共締めされて保
持されている。共締めボルト6の頭部と上部変位体2の
上端面との間に皿ばね7が介装されており、共締めボル
ト6の頭部により押圧されて弾性変形した皿ばね7の付
勢力により一対の変位体2,3に圧縮力が与えられてい
る。そして、ブラケット4と支持基盤5との間に配置さ
れた下部変位体3は、エンジンの振動と同方向に伸縮変
位するようになっている。すなわち、下部変位体3は、
エンジンの振動によりブラケット4が上方へ変位してこ
のブラケット4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸
び、ブラケット4が下方へ変位して前記間隔が狭くなる
ときには縮むようになっている。
【0014】前記各変位体2,3は、超磁歪素子21,
31と、この超磁歪素子21,31の外周に巻回された
コイル22,32と、超磁歪素子21,31にバイアス
磁界を与える永久磁石23,33と、磁気回路を形成す
る上側及び下側ケース24,34及び25,35とから
構成されている。両変位体2,3の各コイル22,32
の巻線方向は、図2に示すように、互いに逆にしてあ
る。そして、各超磁歪素子21,31には、永久磁石2
3,33によりバイアス磁界がかけられており、この両
バイアス磁界の方向及び強さは同じであり、各バイアス
磁界の強さは、超磁歪素子2,3を、その最大弾性変形
量(最大伸び量)の略半分弾性変形させるように設定さ
れている。これによって、各超磁歪素子2,3は、永久
磁石23,33によりバイアス磁界がかけられて弾性変
形した同じ基準位置から伸縮変位可能である。
【0015】このように構成された両変位体2,3の各
コイル22,32に、1つの電源装置8からエンジンの
振動波形(図4(a)を参照)と略同じ波形の制御電流
(図4(b)を参照)が入力されると、各コイル22,
32に制御電流に応じた強さで且つ互いに逆向きの磁界
が発生し、これによって各超磁歪素子2,3が前記基準
位置から互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する。なお、
この明細書では、各超磁歪素子2,3が前記基準位置か
ら伸びる方向の変位を正の変位とし、各超磁歪素子2,
3が基準位置から縮む方向の変位を負の変位としてい
る。
【0016】前記電源装置8は、エンジンの振動波形
(図4(a)を参照)と同じ波形の制御電流(図4
(b)を参照)を前記各コイル22,32に出力するよ
うに、コントローラ9によって制御される。このコント
ローラ9には、後述する第1及び第2の比較回路91及
び92が設けられている(図3を参照)。
【0017】電源装置8は、図3に示すように、第1,
第2の電源回路81,82と、外部端子8a〜8nとを
備えている。第1の電源回路81には、4つのスイッチ
ング用トランジスタT1〜T4が設けられている。トラン
ジスタT1,T3の各ソース側端子は接続点C1で接続さ
れ、この接続点C1は外部端子8aを介して車両バッテ
リのプラス側に接続されている。トランジスタT2,T4
の各ドレイン側端子は接続点C2で接続され、この接続
点C2は外部端子8dを介して接地されている。トラン
ジスタT1のドレイン側端子とトランジスタT4のソース
側端子、及びトランジスタT3のドレイン側端子とトラ
ンジスタT2のソース側端子は、それぞれ接続点C3,C
4で接続されている。この接続点C3は上部変位体2のコ
イル22の一端に、接続点C4はその他端にそれぞれ接
続されている。この上部変位体2の超磁歪素子21に
は、そのコイル22に発生する磁束をモニターするため
の磁束モニター用コイル26がコイル22と同方向に巻
回されている。このコイル26の一端は接地され、その
他端は外部端子8eに接続されている。トランジスタT
1,T2の各ゲート側端子は外部端子8b,8fに接続さ
れている。この端子8b,8fは、配線h1,h2
3、及びコントローラ9の出力回路(図示略)を介し
て第1の比較回路91の出力端子91aにそれぞれ接続
されている。トランジスタT3,T4の各ゲート側端子は
外部端子8g,8cに接続されている。この端子8g,
8cは、配線h4,h5,h6、及びコントローラ9の出
力回路を介して第1の比較回路91の出力端子91bに
それぞれ接続されている。そして、前記外部端子8e
は、配線h7及びコントローラ9の入力回路(図示略)
を介して比較回路91の入力端子91cに接続されてい
る。
【0018】第2の電源回路82は、第1の電源回路8
1と同様に接続された4つのスイッチング用トランジス
タT1〜T4を有しており、接続点C1は外部端子8hを
介して車両バッテリのプラス側に接続され、接続点C2
は外部端子8kを介して接地されている。接続点C3
下部変位体3のコイル32の一端に、接続点C4はその
他端にそれぞれ接続されている。この下部変位体3の超
磁歪素子31にも、磁束モニター用コイル36がコイル
32と同方向に巻回されている。このコイル36の一端
は接地され、その他端は外部端子8lに接続されてい
る。トランジスタT1,T2の各ゲート側端子は外部端子
8i,8mに接続されている。この端子8i,8mは、
配線h8,h9,h10、及びコントローラ9の出力回路
(図示略)を介して第2の比較回路92の出力端子92
aにそれぞれ接続されている。トランジスタT3,T4
各ゲート側端子は外部端子8n,8jに接続され、この
端子8n,8jは、配線h11,h12,h13、及びコント
ローラ9の出力回路を介して比較回路92の出力端子9
2bにそれぞれ接続されている。そして、前記外部端子
8lは、配線l14及びコントローラ9の入力回路(図示
略)を介して比較回路92の入力端子92cに接続され
ている。
【0019】前記第1,第2の比較回路91,92の各
入力端子91d,92dには、エンジンの回転に同期し
たエンジンの振動波形(図4(a)を参照)を表わす基
準信号がコントローラ9の入力回路を介して入力されて
いる。各比較回路91,92は、各超磁歪素子21,3
1の前記基準位置からの変位が各コイル22,32に発
生する磁束の変化に応じてリニアに変化することから、
各磁束モニター用コイル26,36に流れる誘導電流の
変化から磁束の変化を演算し、この磁束変化に基づき前
記制御電流(図4(b)を参照)の変化を演算し、且つ
この制御電流の位相及び振幅を前記基準信号の位相及び
振幅と比較しながら、制御電流の波形が基準信号の波形
に近づくように、各出力端子91a、91b,92a、
92bからそれぞれオン、オフのパルス信号を出力し、
このパルス信号のパルス幅により前記各トランジスタT
1〜T4をPWM制御するように構成されている。すなわ
ち、比較回路91,92の各出力端子91a,92aか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C3側から接続点C4側へ電流
が流れて電流値が増大し、各出力端子91b,92bか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C4側から接続点C3側へ電流
が流れて電流値が減少する。
【0020】このようにして、各比較回路91,92に
よって電源回路81,82のトランジスタT1〜T4をP
WM制御することにより、各電源回路81,82から変
位体2,3のコイル22,32に、図4(a)に示すエ
ンジンの振動波形と略同じ波形の制御電流(図4(b)
を参照)が出力されるようになっている。
【0021】このようにして、この第1実施例では、エ
ンジンの振動に応じた前記制御電流が各変位体2,3の
コイル22,32に入力されることにより、上部変位体
2の超磁歪素子21がエンジンの振動波形(即ち、エン
ジン振動によるブラケット4の変位波形)と逆相で且つ
同じ振幅で伸縮変位すると共に、下部変位体3の超磁歪
素子31がエンジンの振動波形と同相で且つ同じ振幅で
伸縮変位するようにしてある。
【0022】次に、上記構成を有する第1実施例の作動
を説明する。
【0023】コントローラ9の各比較回路91,92の
入力端子91d,92dに図4(a)に示すようなエン
ジンの振動波形を表わす基準信号が入力されると、上述
したPWM制御により、電源回路81から上部変位体2
のコイル22、及び電源回路82から下部変位体3のコ
イル32にそれぞれ前記エンジンの振動波形と略同じ波
形の制御電流(図4(a)を参照)が出力される。
【0024】このような同じ制御電流が各変位体2,3
のコイル22,32に流れると、上部変位体2のコイル
22に生じる磁界は、永久磁石23によるバイアス磁界
を基準にして図4(c)の破線で示すように変化すると
共に、このコイル22と逆方向に巻回されている下部変
位体3のコイル32に生じる磁界は、永久磁石33によ
るバイアス磁界を基準にして図4(c)の実線で示すよ
うに、前記制御電流と同相で且つコイル22に生じる磁
界と逆位相で変化する。このとき、コイル22付近の磁
束密度は図4(d)の破線で示すように、コイル32付
近の磁束密度は図4(d)の実線で示すようにそれぞれ
変化する。
【0025】このように各変位体2,3のコイル22,
32に生じる磁界が変化することにより、上部変位体2
の超磁歪素子21が、図4(e)の破線で示すように、
前記制御電流と逆位相で且つ同じ振幅で伸縮変位する一
方、下部変位体3の超磁歪素子31が、図4(e)の実
線で示すように、前記制御電流と同相で且つ同じ振幅で
伸縮変位する。すなわち、ブラケット4と支持基盤5と
の間に配置された下部変位体3の超磁歪素子31は、エ
ンジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ
振幅だけ伸縮変位し、上部変位体2の超磁歪素子21
は、下部変位体3の超磁歪素子31とは逆方向に同じ振
幅だけ伸縮変位する。
【0026】このように、下部変位体3の超磁歪素子3
1がエンジンの振動によるブラケット4の変位と同方向
に同じ振幅だけ伸縮変位することにより、すなわち、超
磁歪素子31が、ブラケット4が上方へ変位してこのブ
ラケット4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸び、
ブラケット4が下方へ変位して前記間隔が狭くなるとき
には縮む(図5(a)〜(e)及び図6を参照)ことに
より、ブラケット4の変位に応じて下部変位体3の下部
ケース35の下面から上部ケース34の上面までの寸法
が変化するので、エンジン(振動源)側に固定されたブ
ラケット(支持片)4から車体側に固定された支持基盤
(基台)5への振動伝達が遮断される。
【0027】また、上部変位体2の超磁歪素子21と下
部変位体3の超磁歪素子31は互いに逆向きに且つ同量
伸縮変位するので、すなわち、超磁歪素子31が伸びる
ときにはその伸び量だけ超磁歪素子21が縮み、超磁歪
素子31が縮むときにはその縮み量だけ超磁歪素子21
が伸びる(図5(a)〜(e)及び図6を参照)ので、
一対の変位体2,3及びブラケット4の3つの部材の全
長Lが常に一定であり、皿ばね7及び共締めボルト6に
は、一対の変位体2,3の変位による繰り返し荷重は作
用しない。従って、共締めボルト6の緩み、疲労破壊が
防止され、耐久性が向上し、エンジン(振動源)を車体
に確実に支持することができる。また、共締めボルト6
の締め付け力は、皿ばね7を弾性変形させ、この皿ばね
7の付勢力により超磁歪素子21,31に僅かな圧縮力
を与える程度の大きさであればよく、しかも前記全長L
が常に一定であるため、皿ばね7の付勢力も常に一定で
あるので、超磁歪素子21,31の変位が前記圧縮力に
より規制されず、各変位体2,3の超磁歪素子21,3
1は圧縮力に影響されることなく前記制御電流に応じて
伸縮変位する。これによって、ブラケット4から支持基
盤5への振動伝達が、確実に且つ精度良く遮断される。
【0028】さらに、各変位体2,3の超磁歪素子2
1,31には、皿ばね7の付勢力により圧縮力が作用し
ているので、各超磁歪素子21,31には引張り方向の
力は作用せず、両超磁歪素子21,31のはく離や破損
が防止され、その耐久性が向上する。
【0029】なお、上記第1実施例において、コントロ
ーラ9に第1,第2の比較回路91,92を設ける代わ
りに、前記各磁束モニター用コイル26,36に流れる
誘導電流の変化から磁束の変化を演算し、この磁束変化
と前記各入力端子91d,92dに入力されるエンジン
の振動波形を表わす基準信号とに基づき、ブラケット4
の変位と各超磁歪素子21,31の変位との位相及び振
幅の誤差を逐次検出し、この誤差が最小となるように前
記各出力端子91a、91b,92a、92bからオ
ン、オフのパルス信号を前記各電源回路81,82に出
力する第1及び第2の適応制御手段を設けてもよい。こ
の場合にも、前記パルス信号のパルス幅により各電源回
路81,82の各トランジスタT1〜T4をPWM制御
し、これによって上部変位体2の超磁歪素子21がエン
ジンの振動波形(即ち、エンジン振動によるブラケット
4の変位波形)と逆相で且つ同じ振幅で変位すると共
に、下部変位体3の超磁歪素子31がエンジンの振動波
形と同相で且つ同じ振幅で変位するようになっている。
【0030】次に、図7(a)〜(e)に基いて本発明
の第2実施例を説明する。
【0031】この第2実施例に係る振動遮断装置は、前
記各変位体2,3のコイル22,32の巻線方向を同じ
にし且つ各永久磁石23,33により超磁歪素子21,
31に与えられるバイアス磁界の方向を互いに逆にして
あり(図7(c)を参照)、且つ各コイル22,32
に、上記第1実施例と同様に、前記各電源回路81,8
2から同じ制御電流(図7(b)を参照)が入力される
ように構成されている。なお、超磁歪素子の特性上、そ
の変位量は磁界の絶対値で決まり、磁界方向による変位
量の差はない。従って、この第2実施例においても、各
永久磁石23,33によるバイアス磁界の絶対値を同じ
にしておけば、各超磁歪素子21,31は、上記第1実
施例の場合と同様に、バイアス磁界により弾性変形した
同じ基準位置から伸縮変位可能である。
【0032】この第2実施例では、図3に示す前記コン
トローラ9の各比較回路91,92の入力端子91d,
92dに図7(a)に示すようなエンジンの振動波形を
表わす基準信号が入力されると、上記第1実施例と同様
に、上述したPWM制御により、電源回路81から上部
変位体2のコイル22に、及び電源回路82から下部変
位体3のコイル32にそれぞれ図7(a)に示すエンジ
ン振動波形と略同じ波形の制御電流(図7(b)を参
照)が出力される。
【0033】このような同じ制御電流が各変位体2,3
のコイル22,32に流れると、上部変位体2のコイル
22に生じる磁界は、永久磁石23により負の方向にバ
イアスされたバイアス磁界を基準にして図7(c)の破
線で示すように変化すると共に、このコイル22と同方
向に巻回されている下部変位体3のコイル32に生じる
磁界は、永久磁石33により正の方向で且つ永久磁石2
3によるバイアス磁界と同じ絶対値でバイアスされたバ
イアス磁界を基準にして図7(c)の実線で示すよう
に、前記制御電流及びコイル22に生じる磁界と同相で
変化する。このとき、コイル22付近の磁束密度は図7
(d)の破線で示すように、コイル32付近の磁束密度
は図7(d)の実線で示すようにそれぞれ変化する。
【0034】このように、超磁歪素子21,31は互い
に逆方向に同じ絶対値だけバイアスされており、各コイ
ル22,32に生じる磁界は図7(c)に示すように同
相で変化するので、各超磁歪素子21,31は、上記第
1実施例の場合と同様に、バイアス磁界により弾性変形
した同じ基準位置から互いに逆方向に伸縮変位する。す
なわち、上部変位体2の超磁歪素子21が、図7(e)
の破線で示すように、前記制御電流と逆位相で且つ同じ
振幅で伸縮変位する一方、下部変位体3の超磁歪素子3
1が、図7(e)の実線で示すように、前記制御電流と
同相で且つ同じ振幅で伸縮変位する。
【0035】このように、この第2実施例では、上記第
1実施例と同様に、下部変位体3の超磁歪素子31がエ
ンジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ
振幅だけ伸縮変位することにより、エンジン(振動源)
側に固定されたブラケット(支持片)4から車体側に固
定された支持基盤(基台)5への振動伝達が遮断され
る。また、上部変位体2の超磁歪素子21と下部変位体
3の超磁歪素子31は互いに逆向きに且つ同量伸縮変位
するので(図5(a)〜(e)及び図6を参照)ので、
一対の変位体2,3及びブラケット4の3つの部材の全
長Lが常に一定である。
【0036】次に、本発明の第3実施例に係る振動遮断
装置を説明する。
【0037】図8は、第3実施例に係る振動遮断装置を
示している。
【0038】図8に示す振動遮断装置1は、圧電素子2
0a,30aの積層体で構成された一対の変位体20,
30を有し、この両変位体20,30は、エンジンに固
定されたブラケット(支持片)4を挟むように配置され
ており、且つ下部変位体30はブラケット4と車体側に
固定された支持基盤5との間に位置するように配置され
ている。各変位体20,30の圧電素子20a,30a
には、同じバイアス電荷が後述する電荷制御回路80に
よってかけられている。このバイアス電荷は、各圧電素
子20a,30aを、その最大弾性変形量(最大伸び
量)の略半分弾性変形させる電荷量に設定されている。
各圧電素子20a,30aに制御信号として絶対値が同
じで且つ逆位相の制御電圧を電荷制御回路80によって
印加することにより、各圧電素子20a,30aが、バ
イアス電荷がかけられて弾性変形した同じ基準位置から
制御電圧に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する
ようになっている。
【0039】図9に示す電荷制御回路80は、前記各圧
電素子20a,30aに、予めバイアス電荷をかけてお
くと共に制御電圧を印加して各圧電素子20a,30a
の電荷を制御するものであり、この電荷制御回路80は
コントローラ9により制御される。
【0040】電荷制御回路80は、図9に示すように、
4つのスイッチング用トランジスタT10,T20,T30
びT40と、2つの充電用抵抗R1,R2と、2つの放電用
抵抗R3,R4と、各圧電素子20a,30aの電荷をモ
ニターする電荷モニター用コンデンサ83,84と、外
部端子80a〜80hとを備えている。トランジスタT
10,T20の各ソース側端子は接続点C10で接続され、こ
の接続点C10は外部端子80aを介して車両バッテリの
プラス側(車両バッテリの電源電圧を500V程度まで
昇圧したプラス側電源)に接続されている。トランジス
タT30,T40の各ドレイン側端子は接続点C20で接続さ
れ、この接続点C20は外部端子80dを介して車両バッ
テリのマイナス側(車両バッテリの電源電圧を−100
V程度まで降圧したマイナス側電源)に接続されてい
る。トランジスタT10、抵抗R1、抵抗R3、及びトラン
ジスタT30、及びトランジスタT20、抵抗R2、抵抗
4、及びトランジスタT40は、それぞれ前記プラス側
とマイナス側との間で直列に接続されている。圧電素子
20aとコンデンサ83、及び圧電素子30aとコンデ
ンサ84はそれぞれ直列に接続されている。圧電素子2
0aの一端は抵抗R1,抵抗R3の接続点C30に、圧電素
子30aの一端は抵抗R2,抵抗R4の接続点C40にそれ
ぞれ接続されている。各コンデンサ83,84の一端は
接地されている。トランジスタT10,T30の各ゲート側
端子は、外部端子80b,80c、配線h20,h21及び
コントローラ9の出力回路(図示略)を介してコントロ
ーラ9の第1の比較回路91の各出力端子91a,91
bに接続されている。トランジスタT20,T40の各ゲー
ト側端子は、外部端子80h,80g、配線h22,h23
及び前記出力回路(図示略)を介してコントローラ9の
第2の比較回路92の各出力端子92a,92bに接続
されている。そして、圧電素子20aとコンデンサ83
の接続点C50は外部端子80e、配線h24及びコントロ
ーラ9の入力回路(図示略)を介して比較回路91の入
力端子91cに、圧電素子30aとコンデンサ84の接
続点C60は外部端子80f、配線h25及び前記入力回路
(図示略)を介して比較回路92の入力端子92cにそ
れぞれ接続されている。
【0041】前記第1,第2の比較回路91,92の各
入力端子91d,92dには、エンジンの回転に同期し
たエンジンの振動波形(図10(a)を参照)を表わす
基準信号がコントローラ9の入力回路を介して入力され
ている。各比較回路91,92は、各圧電素子20a,
30aの前記基準位置からの変位が各圧電素子20a,
30aの電荷の変化に応じてリニアに変化することか
ら、各圧電素子20a,30aと同じ電荷になる各電荷
モニター用コンデンサ83,84の電荷を、各配線
24,h25を介して検出される前記各接続点C50,C60
の電圧変化から演算し、この電荷の変化に基づき前記制
御電圧(図10(b)を参照)の変化を演算し、且つこ
の制御電圧の位相及び振幅を前記基準信号の位相及び振
幅と比較しながら、制御電圧の波形が基準信号の波形に
近づくように、各出力端子91a、91b,92a、9
2bからそれぞれオン、オフのパルス信号を出力し、こ
のパルス信号のパルス幅により前記各トランジスタT1
〜T4をPWM制御するように構成されている。すなわ
ち、比較回路91,92の各出力端子91a,92aか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
圧電素子20a,30aが充電されて各々の電荷が増加
し、各出力端子91b,92bから出力されるパルス信
号のオン時間が長くなるほど、各圧電素子20a,30
aが放電されて各々の電荷が減少する。
【0042】また、各比較回路91,92は、予め圧電
素子20a,30aの各電荷が上記バイアス電荷になる
ように各出力端子91a、91b,92a、92bから
それぞれオン、オフのパルス信号を出力し、前記各電荷
がバイアス電荷になったところで4つのトランジスタT
10,T20,T30及びT40を全てオフにし、これによって
圧電素子20a,30aの各バイアス電荷を保持するよ
うになっている。
【0043】このようにして、各比較回路91,92に
よって電荷制御回路80のトランジスタT10〜T40をP
WM制御することにより、電荷制御回路80から上部変
位体20の圧電素子20aには、図10(b)の破線で
示すような、エンジンの振動波形(図10(a)を参
照)と逆位相で且つ同じ振幅の制御電圧が、電荷制御回
路80から下部変位体30の圧電素子30aには、同図
(b)の実線で示すような、エンジンの振動波形と同相
で且つ同じ振幅の制御電圧が印加されるようになってい
る。
【0044】次に、上記構成を有する第3実施例の作動
を説明する。
【0045】コントローラ9の各比較回路91,92の
入力端子91d,92dに図10(a)に示すようなエ
ンジンの振動波形を表わす基準信号が入力されると、上
述したPWM制御により、電荷制御回路80から上部変
位体20の圧電素子20aには、図10(b)の破線で
示すような制御電圧が、電荷制御回路80から下部変位
体30の圧電素子30aには、同図(b)の実線で示す
ような制御電圧がそれぞれ印加される。
【0046】このような制御電圧の印加により、上部変
位体20の圧電素子20aの電荷は図10(c)の破線
で示すように変化すると共に、下部変位体30の圧電素
子30aの電荷は図10(c)の実線で示すように変化
する。このように圧電素子20a,30aの各電荷が変
化することにより、上部変位体20の圧電素子20a
が、図10(d)の破線で示すように、前記制御電流と
逆位相で且つ同じ振幅で伸縮変位する一方、下部変位体
30の圧電素子30aが、図10(d)の実線で示すよ
うに、前記制御電流と同相で且つ同じ振幅で伸縮変位す
る。すなわち、ブラケット4と支持基盤5との間に配置
された下部変位体30の圧電素子30aは、エンジンの
振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ振幅だけ
伸縮変位し、上部変位体2の超磁歪素子21は、下部変
位体3の超磁歪素子31とは逆方向に同じ振幅だけ伸縮
変位する。
【0047】このように、下部変位体30の圧電素子3
0aが、上記第1実施例の超磁歪素子31と同様に、エ
ンジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ
振幅だけ伸縮変位することにより、すなわち、圧電素子
30aが、ブラケット4が上方へ変位してこのブラケッ
ト4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸び、ブラケ
ット4が下方へ変位して前記間隔が狭くなるときには縮
むことにより、エンジン(振動源)側に固定されたブラ
ケット(支持片)4から車体側に固定された支持基盤
(基台)5への振動伝達が遮断される。
【0048】また、この第3実施例では、上記第1実施
例の場合と同様に、上部変位体20の圧電素子20aと
下部変位体30の圧電素子30aは互いに逆向きに且つ
同量伸縮変位するので、すなわち、圧電素子30aが伸
びるときにはその伸び量だけ圧電素子20aが縮み、圧
電素子30aが縮むときにはその縮み量だけ圧電素子2
0aが伸びるので、一対の変位体20,30及びブラケ
ット4の3つの部材の全長Lが常に一定であり、皿ばね
7及び共締めボルト6には、一対の変位体2,3の変位
による繰り返し荷重は作用しない。従って、共締めボル
ト6の緩み、疲労破壊が防止され、耐久性が向上し、エ
ンジン(振動源)を車体に確実に支持することができ
る。また、共締めボルト6の締め付け力は、皿ばね7を
弾性変形させ、この皿ばね7の付勢力により圧電素子2
0a,30aに僅かな圧縮力を与える程度の大きさであ
ればよく、しかも前記全長Lが常に一定であるため、皿
ばね7の付勢力も常に一定であるので、圧電素子20
a,30aの変位が前記圧縮力により規制されず、各変
位体20,30の圧電素子20a,30aは圧縮力に影
響されることなく前記制御電圧に応じて伸縮変位する。
これによって、ブラケット4から支持基盤5への振動伝
達が、確実に且つ精度良く遮断される。
【0049】なお、本発明に係る振動遮断装置1は、振
動源としてのエンジン側から車体側への振動伝達を遮断
するエンジンマウントに限られず、エンジン以外の他の
振動源からこれを支持する基台への振動伝達を遮断する
装置に広く応用できる。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明(請求項
1)によれば、振動源からこれを支持する基台への振動
伝達を遮断する振動遮断装置において、前記振動源の振
動に応じて外部から入力される制御信号に応じて互いに
逆向きに且つ同量伸縮変位する一対の変位体が、前記振
動源に固定された支持片を挟むように且つその一方が前
記支持片と前記基台との間に位置するように配置され、
前記一対の変位体及び前記支持片が締め付け部材により
前記基台に保持され、且つ前記一方の変位体を、前記振
動源の振動と同方向に伸縮変位させるように構成されて
いることにより、下記の効果が得られる。
【0051】 振動源に固定された支持片を挟むよう
に配置された一対の変位体及び支持片が締め付け部材に
より基台に保持されているので、各変位体には引張り方
向の力は作用せず、しかも一対の変位体が外部から入力
される制御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変
位するので、一対の変位体及び支持片の3つの部材の全
長が常に一定であり、締め付け部材には、一対の変位体
の変位による繰り返し荷重は作用しない。従って、締め
付け部材の緩み、疲労破壊を防止することができ、これ
によって耐久性が向上し、振動源を確実に支持すること
ができる。
【0052】 また、支持片と基台との間に配置され
た一方の変位体が、振動源の振動と同方向に伸縮変位し
て支持片と基台の間隔が変化し、これによって支持片か
ら基台への振動伝達が遮断されるが、前記3つの部材の
全長は常に一定であるので、前記締め付け部材の締め付
け力は前記3つの部材を基台に保持する程度の大きさで
あればよく、前記一方の変位体の変位が締め付け部材か
らの圧縮力により規制されない。従って、各変位体は圧
縮力に影響されることなく制御信号に応じて伸縮変位で
き、振動減から基台への振動伝達を確実に且つ精度良く
遮断することができる。
【0053】また、本発明(請求項2)によれば、前記
各変位体は、磁歪素子と、この磁歪素子の外周に巻回さ
れたコイルと、磁歪素子にバイアス磁界を与える永久磁
石とを備え、前記両変位体の各コイルの巻線方向を互い
に逆にし且つ永久磁石のバイアス磁界の方向を同じにし
てあり、前記各コイルに、前記制御信号として同じ制御
電流が入力されるように構成されていることにより、車
載バッテリの如き低電圧電源を特別な昇圧装置等で昇圧
することなく使用できると共に、各コイルの巻線方向を
互いに逆にするだけの簡単な構成であり、特別な回路等
が不要となる。
【0054】また、本発明(請求項3)によれば、前記
各変位体は、磁歪素子と、この磁歪素子の外周に巻回さ
れたコイルと、磁歪素子にバイアス磁界を与える永久磁
石とを備え、前記両変位体の各コイルの巻線方向を同じ
にし且つ各永久磁石のバイアス磁界の方向を互いに逆に
してあり、前記各コイルに、前記制御信号として同じ制
御電流が入力されるように構成されていることにより、
車載バッテリの如き低電圧電源を特別な昇圧装置等で昇
圧することなく使用できると共に、各コイルの巻線方向
が同じであるために、構成のより一層の簡略化が図られ
る。
【0055】さらに、本発明(請求項4)によれば、前
記各変位体は、圧電素子を備え、該各圧電素子に同じバ
イアス電荷がかけられており、且つ該各圧電素子に、前
記制御信号として絶対値が同じで且つ逆位相の制御電圧
が印加されるように構成されていることにより、圧電素
子は外乱(磁気等)による影響の少ない素子であるた
め、磁気シールド等をほどこすことなく構成することが
でき、これによって装置全体の小型化及び製造コストの
低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る振動遮断装置を示す
縦断面図である。
【図2】一対の超磁歪素子の各コイルと電源装置の接続
状態を示す斜視図である。
【図3】電源装置とコントローラを示す回路図である。
【図4】(a)は第1実施例に係る振動遮断装置におけ
るエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は同
振動遮断装置における制御電流を示す波形図である。
(c)は同振動遮断装置における磁界の変化を示す波形
図である。(d)は同振動遮断装置における磁束密度の
変化を示す波形図である。(e)は同振動遮断装置にお
ける一対の変位体の変位を示す波形図である。
【図5】(a)〜(e)は図1に示す振動遮断装置の作
動を示す説明図である。
【図6】図1に示す振動遮断装置の作動を示す説明図で
ある。
【図7】(a)は第2実施例に係る振動遮断装置におけ
るエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は同
装置における制御電流を示す波形図である。(c)は同
装置における磁界の変化を示す波形図である。(d)は
同装置における磁束密度の変化を示す波形図である。
(e)は同装置における一対の変位体の変位を示す波形
図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る振動遮断装置を示す
縦断面図である。
【図9】第3実施例に係る振動遮断装置に使用される電
荷制御回路とコントローラを示す回路図である。
【図10】(a)は第3実施例に係る振動遮断装置にお
けるエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は
同装置における制御電圧を示す波形図である。(c)は
同装置における電荷の変化を示す波形図である。(d)
は同装置における一対の変位体の変位を示す波形図であ
る。
【符号の説明】
1 振動遮断装置 2,3;20,30 変位体 4 ブラケット(支持片) 5 支持基盤(基台) 6 共締めボルト(締め付け部材)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月17日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 振動制御装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン等の振動源か
らこの振動源を支持する基台への振動伝達を制御する振
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このような振動制御装置として
は、例えば、電歪素子(圧電素子)を振動伝達径路の途
中に設け、電歪素子に振動伝達径路を伝わる振動の周期
に同期して変化する電圧を印加し、電歪素子の歪により
前記振動の変位を吸収するものが知られている(特開昭
59−23139号公報、特開昭59−65640号公
報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、圧電素子自体は引張力に対し非常に弱いため、
圧電素子の両側に板部材を配し、この両板部材をボルト
で締結することによって圧電素子に圧縮力(ボルトの軸
力)をかけている構造であるので、圧電素子の変位によ
りボルトに繰り返し荷重が作用し、これによってボルト
の緩み、疲労破壊が生じ、振動源の支持が困難になって
しまうという問題がある。また、前記ボルトの軸力が小
さすぎると、圧電素子がはく離して破損する虞れがあ
り、これによって振動源の支持が困難になってしまい、
逆にボルトの軸力が大きすぎると、圧電素子の変位がボ
ルトの軸力によって規制されてしまい、振動源からこれ
を支持する基台への振動伝達を確実に且つ精度良く制御
できないという問題がある。
【0004】本発明は、このような従来の問題点に着目
して為されたもので、耐久性に優れ、振動源を確実に支
持することができ、且つ振動源からこれを支持する基台
への振動伝達を確実に且つ精度良く制御することができ
る振動制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、振動源からこれを支持する基台への振動
伝達を制御する振動制御装置において、前記振動源の振
動に応じて外部から入力される制御信号に応じて互いに
逆向きに且つ同量伸縮変位する一対の変位体が、前記振
動源に固定された支持片を挟むように且つその一方が前
記支持片と前記基台との間に位置するように配置され、
前記一対の変位体及び前記支持片が締め付け部材により
前記基台に保持され、且つ前記一方の変位体を、前記振
動源の振動と適切な位相差を有して伸縮変位させるよう
に構成されている。
【0006】好ましくは、前記各変位体は、磁歪素子
と、この磁歪素子の外周に巻回されたコイルと、磁歪素
子にバイアス磁界を与える永久磁石とを備え、前記両変
位体の各コイルの巻線方向を互いに逆にし且つ各永久磁
石のバイアス磁界の方向を同じにしてあり、前記各コイ
ルに、前記制御信号として同じ制御電流が入力されるよ
うに構成されている。
【0007】また、好ましくは、前記各変位体は、磁歪
素子と、この磁歪素子の外周に巻回されたコイルと、磁
歪素子にバイアス磁界を与える永久磁石とを備え、前記
両変位体の各コイルの巻線方向を同じにし且つ各永久磁
石のバイアス磁界の方向を互いに逆にしてあり、前記各
コイルに、前記制御信号として同じ制御電流が入力され
るように構成されている。
【0008】さらに、好ましくは、前記各変位体は、圧
電素子を備え、該各圧電素子に同じバイアス電荷がかけ
られており、且つ該各圧電素子に、前記制御信号として
絶対値が同じで且つ逆位相の制御電圧が印加されるよう
に構成されている。
【0009】
【作用】振動源に固定された支持片を挟むように配置さ
れた一対の変位体及び支持片が締め付け部材により基台
に保持されているので、各変位体には引張り方向の力は
作用せず、しかも一対の変位体が外部から入力される制
御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位するの
で、一対の変位体及び支持片の3つの部材の全長が常に
一定であり、締め付け部材には、一対の変位体の変位に
よる繰り返し荷重は作用しない。また、支持片と基台と
の間に配置された一方の変位体が、振動源の振動と適切
な位相差を有して伸縮変位して支持片と基台の間の振動
伝達特性が変化し、これによって基における振動伝達
制御されるが、前記3つの部材の全長は常に一定であ
るので、前記締め付け部材の締め付け力は前記3つの部
材を基台に保持する程度の大きさであればよく、前記一
方の変位体の変位が締め付け部材からの圧縮力により規
制されない。
【0010】
【実施例】以下、図面に基いて本発明の各実施例を説明
する。
【0011】図1は本発明の第1実施例に係る振動制御
装置を示している。
【0012】この振動制御装置1は、この実施例では車
両に搭載されるエンジンを車体に支持するエンジンマウ
ントであり、エンジン側から車体側への振動伝達を制御
するようになっている。
【0013】振動制御装置1は、図1に示すように、エ
ンジン(振動源)の振動に応じて外部から入力される制
御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する一
対の上部及び下部変位体2及び3を有している。この両
変位体2,3はエンジンに固定されたブラケット(支持
片)4を挟むように配置されており、且つ下部変位体3
はブラケット4と車体側に固定された支持基盤(基台)
5との間に位置するように配置されている。そして、一
対の変位体2,3及びブラケット4が、共締めボルト
(締め付け部材)6により支持基盤5に共締めされて保
持されている。共締めボルト6の頭部と上部変位体2の
上端面との間に面圧を均等にする為の皿状部材7が介装
されており、共締めボルト6の頭部により押圧されて一
対の変位体2,3に圧縮力が与えられている。そして、
ブラケット4と支持基盤5との間に配置された下部変位
体3は、エンジンの振動と適切な位相差を有して伸縮変
位するようになっている。この実施例においては、位相
差が0を例示している。すなわち、下部変位体3は、エ
ンジンの振動によりブラケット4が上方へ変位してこの
ブラケット4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸
び、ブラケット4が下方へ変位して前記間隔が狭くなる
ときには縮むようになっている。
【0014】前記各変位体2,3は、磁歪素子21,3
1と、この磁歪素子21,31の外周に巻回されたコイ
ル22,32と、磁歪素子21,31にバイアス磁界を
与える永久磁石23,33と、磁気回路を形成する上側
及び下側ケース24,34及び25,35とから構成さ
れている。両変位体2,3の各コイル22,32の巻線
方向は、図2に示すように、互いに逆にしてある。そし
て、各磁歪素子21,31には、永久磁石23,33に
よりバイアス磁界がかけられており、この両バイアス磁
界の方向及び強さは同じであり、各バイアス磁界の強さ
、磁歪素子2,3を、その最大弾性変形量(最大伸び
量)の略半分弾性変形させるように設定されている。こ
れによって、各磁歪素子2,3は、永久磁石23,33
によりバイアス磁界がかけられて弾性変形した同じ基準
位置から伸縮変位可能である。
【0015】このように構成された両変位体2,3の各
コイル22,32に、1つの電源装置8からエンジンの
振動波形(図4(a)を参照)と略同じ波形の制御電流
(図4(b)を参照)が入力されると、各コイル22,
32に制御電流に応じた強さで且つ互いに逆向きの磁界
が発生し、これによって各磁歪素子2,3が前記基準位
置から互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する。なお、こ
の明細書では、各磁歪素子2,3が前記基準位置から伸
びる方向の変位を正の変位とし、各磁歪素子2,3が基
準位置から縮む方向の変位を負の変位としている。
【0016】前記電源装置8は、エンジンの振動波形
(図4(a)を参照)と同じ波形の制御電流(図4
(b)を参照)を前記各コイル22,32に出力するよ
うに、コントローラ9によって制御される。このコント
ローラ9には、後述する第1及び第2の比較回路91及
び92が設けられている(図3を参照)。
【0017】電源装置8は、図3に示すように、第1,
第2の電源回路81,82と、外部端子8a〜8nとを
備えている。第1の電源回路81には、4つのスイッチ
ング用トランジスタT1〜T4が設けられている。トラン
ジスタT1,T3の各ソース側端子は接続点C1で接続さ
れ、この接続点C1は外部端子8aを介して車両バッテ
リのプラス側に接続されている。トランジスタT2,T4
の各ドレイン側端子は接続点C2で接続され、この接続
点C2は外部端子8dを介して接地されている。トラン
ジスタT1のドレイン側端子とトランジスタT4のソース
側端子、及びトランジスタT3のドレイン側端子とトラ
ンジスタT2のソース側端子は、それぞれ接続点C3,C
4で接続されている。この接続点C3は上部変位体2のコ
イル22の一端に、接続点C4はその他端にそれぞれ接
続されている。この上部変位体2の超磁歪素子21に
は、そのコイル22に発生する磁束をモニターするため
の磁束モニター用コイル26がコイル22と同方向に巻
回されている。このコイル26の一端は接地され、その
他端は外部端子8eに接続されている。トランジスタT
1,T2の各ゲート側端子は外部端子8b,8fに接続さ
れている。この端子8b,8fは、配線h1,h2
3、及びコントローラ9の出力回路(図示略)を介し
て第1の比較回路91の出力端子91aにそれぞれ接続
されている。トランジスタT3,T4の各ゲート側端子は
外部端子8g,8cに接続されている。この端子8g,
8cは、配線h4,h5,h6、及びコントローラ9の出
力回路を介して第1の比較回路91の出力端子91bに
それぞれ接続されている。そして、前記外部端子8e
は、配線h7及びコントローラ9の入力回路(図示略)
を介して比較回路91の入力端子91cに接続されてい
る。
【0018】第2の電源回路82は、第1の電源回路8
1と同様に接続された4つのスイッチング用トランジス
タT1〜T4を有しており、接続点C1は外部端子8hを
介して車両バッテリのプラス側に接続され、接続点C2
は外部端子8kを介して接地されている。接続点C3
下部変位体3のコイル32の一端に、接続点C4はその
他端にそれぞれ接続されている。この下部変位体3の超
磁歪素子31にも、磁束モニター用コイル36がコイル
32と同方向に巻回されている。このコイル36の一端
は接地され、その他端は外部端子8lに接続されてい
る。トランジスタT1,T2の各ゲート側端子は外部端子
8i,8mに接続されている。この端子8i,8mは、
配線h8,h9,h10、及びコントローラ9の出力回路
(図示略)を介して第2の比較回路92の出力端子92
aにそれぞれ接続されている。トランジスタT3,T4
各ゲート側端子は外部端子8n,8jに接続され、この
端子8n,8jは、配線h11,h12,h13、及びコント
ローラ9の出力回路を介して比較回路92の出力端子9
2bにそれぞれ接続されている。そして、前記外部端子
8lは、配線l14及びコントローラ9の入力回路(図示
略)を介して比較回路92の入力端子92cに接続され
ている。
【0019】前記第1,第2の比較回路91,92の各
入力端子91d,92dには、エンジンの回転に同期し
たエンジンの振動波形(図4(a)を参照)を表わす基
準信号がコントローラ9の入力回路を介して入力されて
いる。各比較回路91,92は、各超磁歪素子21,3
1の前記基準位置からの変位が各コイル22,32に発
生する磁束の変化に応じてリニアに変化することから、
各磁束モニター用コイル26,36に流れる誘導電流の
変化から磁束の変化を演算し、この磁束変化に基づき前
記制御電流(図4(b)を参照)の変化を演算し、且つ
この制御電流の位相及び振幅を前記基準信号の位相及び
振幅と比較しながら、制御電流の波形が基準信号の波形
に近づくように、各出力端子91a、91b,92a、
92bからそれぞれオン、オフのパルス信号を出力し、
このパルス信号のパルス幅により前記各トランジスタT
1〜T4をPWM制御するように構成されている。すなわ
ち、比較回路91,92の各出力端子91a,92aか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C3側から接続点C4側へ電流
が流れて電流値が増大し、各出力端子91b,92bか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C4側から接続点C3側へ電流
が流れて電流値が減少する。
【0020】このようにして、各比較回路91,92に
よって電源回路81,82のトランジスタT1〜T4をP
WM制御することにより、各電源回路81,82から変
位体2,3のコイル22,32に、図4(a)に示すエ
ンジンの振動波形と略同じ波形の制御電流(図4(b)
を参照)が出力されるようになっている。
【0021】このようにして、この第1実施例では、エ
ンジンの振動に応じた前記制御電流が各変位体2,3の
コイル22,32に入力されることにより、上部変位体
2の超磁歪素子21がエンジンの振動波形(即ち、エン
ジン振動によるブラケット4の変位波形)と逆相で且つ
同じ振幅で伸縮変位すると共に、下部変位体3の超磁歪
素子31がエンジンの振動波形と同相で且つ同じ振幅で
伸縮変位するようにしてある。
【0022】次に、上記構成を有する第1実施例の作動
を説明する。
【0023】コントローラ9の各比較回路91,92の
入力端子91d,92dに図4(a)に示すようなエン
ジンの振動波形を表わす基準信号が入力されると、上述
したPWM制御により、電源回路81から上部変位体2
のコイル22、及び電源回路82から下部変位体3のコ
イル32にそれぞれ前記エンジンの振動波形と略同じ波
形の制御電流(図4(a)を参照)が出力される。
【0024】このような同じ制御電流が各変位体2,3
のコイル22,32に流れると、上部変位体2のコイル
22に生じる磁界は、永久磁石23によるバイアス磁界
を基準にして図4(c)の破線で示すように変化すると
共に、このコイル22と逆方向に巻回されている下部変
位体3のコイル32に生じる磁界は、永久磁石33によ
るバイアス磁界を基準にして図4(c)の実線で示すよ
うに、前記制御電流と同相で且つコイル22に生じる磁
界と逆位相で変化する。このとき、コイル22付近の磁
束密度は図4(d)の破線で示すように、コイル32付
近の磁束密度は図4(d)の実線で示すようにそれぞれ
変化する。
【0025】このように各変位体2,3のコイル22,
32に生じる磁界が変化することにより、上部変位体2
の磁歪素子21が、図4(e)の破線で示すように、前
記制御電流と逆位相で且つ同じ振幅で伸縮変位する一
方、下部変位体3の磁歪素子31が、図4(e)の実線
で示すように、前記制御電流と同相で且つ同じ振幅で伸
縮変位する。すなわち、ブラケット4と支持基盤5との
間に配置された下部変位体3の磁歪素子31は、エンジ
ンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ振幅
だけ伸縮変位し、上部変位体2の磁歪素子21は、下部
変位体3の磁歪素子31とは逆方向に同じ振幅だけ伸縮
変位する。
【0026】このように、下部変位体3の磁歪素子31
がエンジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に
同じ振幅だけ伸縮変位することにより、すなわち、磁
素子31が、ブラケット4が上方へ変位してこのブラケ
ット4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸び、ブラ
ケット4が下方へ変位して前記間隔が狭くなるときには
縮む(図5(a)〜(e)及び図6を参照)ことによ
り、ブラケット4の変位に応じて下部変位体3の下部ケ
ース35の下面から上部ケース34の上面までの寸法が
変化するので、エンジン(振動源)側に固定されたブラ
ケット(支持片)4から車体側に固定された支持基盤
(基台)5への振動伝達が制御される。
【0027】また、上部変位体2の磁歪素子21と下部
変位体3の磁歪素子31は互いに逆向きに且つ同量伸縮
変位するので、すなわち、磁歪素子31が伸びるときに
はその伸び量だけ磁歪素子21が縮み、磁歪素子31が
縮むときにはその縮み量だけ磁歪素子21が伸びる(図
5(a)〜(e)及び図6を参照)ので、一対の変位体
2,3及びブラケット4の3つの部材の全長Lが常に一
定であり、皿ばね7及び共締めボルト6には、一対の変
位体2,3の変位による繰り返し荷重は作用しない。従
って、共締めボルト6の緩み、あるいは疲労破壊が防止
され、耐久性が向上し、エンジン(振動源)を車体に確
実に支持することができる。また、共締めボルト6の締
め付け力は、皿状部材により磁歪素子21,31に圧
縮力を与える前記全長Lが常に一定であるため、締め
付け力も常に一定であるので、磁歪素子21,31の変
位が前記圧縮力により規制されず、各変位体2,3の磁
歪素子21,31は圧縮力に影響されることなく前記制
御電流に応じて伸縮変位する。これによって、ブラケッ
ト4から支持基盤5への振動伝達が、確実に且つ精度良
制御される。
【0028】さらに、各変位体2,3の磁歪素子21,
31には、ボルト6の締め付け力により圧縮力が作用し
ているので、各磁歪素子21,31には引張り方向の力
は作用せず、両磁歪素子21,31のはく離や破損が防
止され、その耐久性が向上する。
【0029】なお、上記第1実施例において、コントロ
ーラ9に第1,第2の比較回路91,92を設ける代わ
りに、前記各磁束モニター用コイル26,36に流れる
誘導電流の変化から磁束の変化を演算し、この磁束変化
と前記各入力端子91d,92dに入力されるエンジン
の振動波形を表わす基準信号とに基づき、ブラケット4
の変位と各磁歪素子21,31の変位との位相及び振幅
の誤差を逐次検出し、この誤差が最小となるように前記
各出力端子91a、91b,92a、92bからオン、
オフのパルス信号を前記各電源回路81,82に出力す
る第1及び第2の適応制御手段を設けてもよい。この場
合にも、前記パルス信号のパルス幅により各電源回路8
1,82の各トランジスタT1〜T4をPWM制御し、こ
れによって上部変位体2の磁歪素子21がエンジンの振
動波形(即ち、エンジン振動によるブラケット4の変位
波形)と逆相で且つ同じ振幅で変位すると共に、下部変
位体3の磁歪素子31がエンジンの振動波形と同相で且
つ同じ振幅で変位するようになっている。
【0030】次に、図7(a)〜(e)に基いて本発明
の第2実施例を説明する。
【0031】この第2実施例に係る振動制御装置は、前
記各変位体2,3のコイル22,32の巻線方向を同じ
にし且つ各永久磁石23,33により磁歪素子21,3
1に与えられるバイアス磁界の方向を互いに逆にしてあ
り(図7(c)を参照)、且つ各コイル22,32に、
上記第1実施例と同様に、前記各電源回路81,82か
ら同じ制御電流(図7(b)を参照)が入力されるよう
に構成されている。なお、磁歪素子の特性上、その変位
量は磁界の絶対値で決まり、磁界方向による変位量の差
はない。従って、この第2実施例においても、各永久磁
石23,33によるバイアス磁界の絶対値を同じにして
おけば、各磁歪素子21,31は、上記第1実施例の場
合と同様に、バイアス磁界により弾性変形した同じ基準
位置から伸縮変位可能である。
【0032】この第2実施例では、図3に示す前記コン
トローラ9の各比較回路91,92の入力端子91d,
92dに図7(a)に示すようなエンジンの振動波形を
表わす基準信号が入力されると、上記第1実施例と同様
に、上述したPWM制御により、電源回路81から上部
変位体2のコイル22に、及び電源回路82から下部変
位体3のコイル32にそれぞれ図7(a)に示すエンジ
ン振動波形と略同じ波形の制御電流(図7(b)を参
照)が出力される。
【0033】このような同じ制御電流が各変位体2,3
のコイル22,32に流れると、上部変位体2のコイル
22に生じる磁界は、永久磁石23により負の方向にバ
イアスされたバイアス磁界を基準にして図7(c)の破
線で示すように変化すると共に、このコイル22と同方
向に巻回されている下部変位体3のコイル32に生じる
磁界は、永久磁石33により正の方向で且つ永久磁石2
3によるバイアス磁界と同じ絶対値でバイアスされたバ
イアス磁界を基準にして図7(c)の実線で示すよう
に、前記制御電流及びコイル22に生じる磁界と同相で
変化する。このとき、コイル22付近の磁束密度は図7
(d)の破線で示すように、コイル32付近の磁束密度
は図7(d)の実線で示すようにそれぞれ変化する。
【0034】このように、磁歪素子21,31は互いに
逆方向に同じ絶対値だけバイアスされており、各コイル
22,32に生じる磁界は図7(c)に示すように同相
で変化するので、各磁歪素子21,31は、上記第1実
施例の場合と同様に、バイアス磁界により弾性変形した
同じ基準位置から互いに逆方向に伸縮変位する。すなわ
ち、上部変位体2の磁歪素子21が、図7(e)の破線
で示すように、前記制御電流と逆位相で且つ同じ振幅で
伸縮変位する一方、下部変位体3の磁歪素子31が、図
7(e)の実線で示すように、前記制御電流と同相で且
つ同じ振幅で伸縮変位する。
【0035】このように、この第2実施例では、上記第
1実施例と同様に、下部変位体3の磁歪素子31がエン
ジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ振
幅だけ伸縮変位することにより、エンジン(振動源)側
に固定されたブラケット(支持片)4から車体側に固定
された支持基盤(基台)5への振動伝達が制御される。
また、上部変位体2の磁歪素子21と下部変位体3の磁
歪素子31は互いに逆向きに且つ同量伸縮変位するので
(図5(a)〜(e)及び図6を参照)ので、一対の変
位体2,3及びブラケット4の3つの部材の全長Lが常
に一定である。
【0036】次に、本発明の第3実施例に係る振動制御
装置を説明する。
【0037】図8は、第3実施例に係る振動制御装置を
示している。
【0038】図8に示す振動制御装置1は、電歪素子2
0a,30aの積層体で構成された一対の変位体20,
30を有し、この両変位体20,30は、エンジンに固
定されたブラケット(支持片)4を挟むように配置され
ており、且つ下部変位体30はブラケット4と車体側に
固定された支持基盤5との間に位置するように配置され
ている。各変位体20,30の電歪素子20a,30a
には、同じバイアス電荷が後述する電荷制御回路80に
よってかけられている。このバイアス電荷は、各圧電素
子20a,30aを、その最大弾性変形量(最大伸び
量)の略半分弾性変形させる電荷量に設定されている。
電歪素子20a,30aに制御信号として絶対値が同
じで且つ逆位相の制御電圧を電荷制御回路80によって
印加することにより、各電歪素子20a,30aが、バ
イアス電荷がかけられて弾性変形した同じ基準位置から
制御電圧に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変位する
ようになっている。
【0039】図9に示す電荷制御回路80は、前記各
素子20a,30aに、予めバイアス電荷をかけてお
くと共に制御電圧を印加して各電歪素子20a,30a
の電荷を制御するものであり、この電荷制御回路80は
コントローラ9により制御される。
【0040】電荷制御回路80は、図9に示すように、
4つのスイッチング用トランジスタT10,T20,T30
びT40と、2つの充電用抵抗R1,R2と、2つの放電用
抵抗R3,R4と、各圧電素子20a,30aの電荷をモ
ニターする電荷モニター用コンデンサ83,84と、外
部端子80a〜80hとを備えている。トランジスタT
10,T20の各ソース側端子は接続点C10で接続され、こ
の接続点C10は外部端子80aを介して車両バッテリの
プラス側(車両バッテリの電源電圧を500V程度まで
昇圧したプラス側電源)に接続されている。トランジス
タT30,T40の各ドレイン側端子は接続点C20で接続さ
れ、この接続点C20は外部端子80dを介して車両バッ
テリのマイナス側(車両バッテリの電源電圧を−100
V程度まで降圧したマイナス側電源)に接続されてい
る。トランジスタT10、抵抗R1、抵抗R3、及びトラン
ジスタT30、及びトランジスタT20、抵抗R2、抵抗
4、及びトランジスタT40は、それぞれ前記プラス側
とマイナス側との間で直列に接続されている。電歪素子
20aとコンデンサ83、及び電歪素子30aとコンデ
ンサ84はそれぞれ直列に接続されている。電歪素子2
0aの一端は抵抗R1,抵抗R3の接続点C30に、電歪
子30aの一端は抵抗R2,抵抗R4の接続点C40にそれ
ぞれ接続されている。各コンデンサ83,84の一端は
接地されている。トランジスタT10,T30の各ゲート側
端子は、外部端子80b,80c、配線h20,h21及び
コントローラ9の出力回路(図示略)を介してコントロ
ーラ9の第1の比較回路91の各出力端子91a,91
bに接続されている。トランジスタT20,T40の各ゲー
ト側端子は、外部端子80h,80g、配線h22,h23
及び前記出力回路(図示略)を介してコントローラ9の
第2の比較回路92の各出力端子92a,92bに接続
されている。そして、電歪素子20aとコンデンサ83
の接続点C50は外部端子80e、配線h24及びコントロ
ーラ9の入力回路(図示略)を介して比較回路91の入
力端子91cに、電歪素子30aとコンデンサ84の接
続点C60は外部端子80f、配線h25及び前記入力回路
(図示略)を介して比較回路92の入力端子92cにそ
れぞれ接続されている。
【0041】前記第1,第2の比較回路91,92の各
入力端子91d,92dには、エンジンの回転に同期し
たエンジンの振動波形(図10(a)を参照)を表わす
基準信号がコントローラ9の入力回路を介して入力され
ている。各比較回路91,92は、各電歪素子20a,
30aの前記基準位置からの変位が各電歪素子20a,
30aの電荷の変化に応じてリニアに変化することか
ら、各電歪素子20a,30aと同じ電荷になる各電荷
モニター用コンデンサ83,84の電荷を、各配線
24,h25を介して検出される前記各接続点C50,C60
の電圧変化から演算し、この電荷の変化に基づき前記制
御電圧(図10(b)を参照)の変化を演算し、且つこ
の制御電圧の位相及び振幅を前記基準信号の位相及び振
幅と比較しながら、制御電圧の波形が基準信号の波形に
近づくように、各出力端子91a、91b,92a、9
2bからそれぞれオン、オフのパルス信号を出力し、こ
のパルス信号のパルス幅により前記各トランジスタT1
〜T4をPWM制御するように構成されている。すなわ
ち、比較回路91,92の各出力端子91a,92aか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
電歪素子20a,30aが充電されて各々の電荷が増加
し、各出力端子91b,92bから出力されるパルス信
号のオン時間が長くなるほど、各電歪素子20a,30
aが放電されて各々の電荷が減少する。
【0042】また、各比較回路91,92は、予め電歪
素子20a,30aの各電荷が上記バイアス電荷になる
ように各出力端子91a、91b,92a、92bから
それぞれオン、オフのパルス信号を出力し、前記各電荷
がバイアス電荷になったところで4つのトランジスタT
10,T20,T30及びT40を全てオフにし、これによって
電歪素子20a,30aの各バイアス電荷を保持するよ
うになっている。
【0043】このようにして、各比較回路91,92に
よって電荷制御回路80のトランジスタT10〜T40をP
WM制御することにより、電荷制御回路80から上部変
位体20の電歪素子20aには、図10(b)の破線で
示すような、エンジンの振動波形(図10(a)を参
照)と逆位相で且つ同じ振幅の制御電圧が、電荷制御回
路80から下部変位体30の電歪素子30aには、同図
(b)の実線で示すような、エンジンの振動波形と同相
で且つ同じ振幅の制御電圧が印加されるようになってい
る。
【0044】次に、上記構成を有する第3実施例の作動
を説明する。
【0045】コントローラ9の各比較回路91,92の
入力端子91d,92dに図10(a)に示すようなエ
ンジンの振動波形を表わす基準信号が入力されると、上
述したPWM制御により、電荷制御回路80から上部変
位体20の電歪素子20aには、図10(b)の破線で
示すような制御電圧が、電荷制御回路80から下部変位
体30の電歪素子30aには、同図(b)の実線で示す
ような制御電圧がそれぞれ印加される。
【0046】このような制御電圧の印加により、上部変
位体20の電歪素子20aの電荷は図10(c)の破線
で示すように変化すると共に、下部変位体30の電歪
子30aの電荷は図10(c)の実線で示すように変化
する。このように電歪素子20a,30aの各電荷が変
化することにより、上部変位体20の電歪素子20a
が、図10(d)の破線で示すように、前記制御電流と
逆位相で且つ同じ振幅で伸縮変位する一方、下部変位体
30の電歪素子30aが、図10(d)の実線で示すよ
うに、前記制御電流と同相で且つ同じ振幅で伸縮変位す
る。すなわち、ブラケット4と支持基盤5との間に配置
された下部変位体30の電歪素子30aは、エンジンの
振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ振幅だけ
伸縮変位し、上部変位体2電歪素子20aは、下部
変位体3電歪素子30aとは逆方向に同じ振幅だけ
伸縮変位する。
【0047】このように、下部変位体30の電歪素子3
0aが、上記第1実施例の磁歪素子31と同様に、エン
ジンの振動によるブラケット4の変位と同方向に同じ振
幅だけ伸縮変位することにより、すなわち、電歪素子3
0aが、ブラケット4が上方へ変位してこのブラケット
4と支持基盤5の間隔が広がるときには伸び、ブラケッ
ト4が下方へ変位して前記間隔が狭くなるときには縮む
ことにより、エンジン(振動源)側に固定されたブラケ
ット(支持片)4から車体側に固定された支持基盤(基
台)5への振動伝達が制御される。
【0048】また、この第3実施例では、上記第1実施
例の場合と同様に、上部変位体20の電歪素子20aと
下部変位体30の電歪素子30aは互いに逆向きに且つ
同量伸縮変位するので、すなわち、電歪素子30aが伸
びるときにはその伸び量だけ電歪素子20aが縮み、
素子30aが縮むときにはその縮み量だけ電歪素子2
0aが伸びるので、一対の変位体20,30及びブラケ
ット4の3つの部材の全長Lが常に一定であり、皿ばね
7及び共締めボルト6には、一対の変位体2,3の変位
による繰り返し荷重は作用しない。従って、共締めボル
ト6の緩み、あるいは疲労破壊が防止され、耐久性が向
上し、エンジン(振動源)を車体に確実に支持すること
ができる。また、共締めボルト6の締め付け力は、電歪
素子20a,30aに圧縮力を与える程度の大きさであ
ればよく、しかも前記全長Lが常に一定であるため、電
歪素子20a,30aの変位が前記圧縮力により規制さ
れず、各変位体20,30の電歪素子20a,30aは
圧縮力に影響されることなく前記制御電圧に応じて伸縮
変位する。これによって、ブラケット4から支持基盤5
への振動伝達が、確実に且つ精度良く制御される。
【0049】なお、本発明に係る振動制御装置1は、振
動源としてのエンジン側から車体側への振動伝達を制御
するエンジンマウントに限られず、エンジン以外の他の
振動源からこれを支持する基台への振動伝達を制御する
装置に広く応用できる。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明(請求項
1)によれば、振動源からこれを支持する基台への振動
伝達を制御する振動制御装置において、前記振動源の振
動に応じて外部から入力される制御信号に応じて互いに
逆向きに且つ同量伸縮変位する一対の変位体が、前記振
動源に固定された支持片を挟むように且つその一方が前
記支持片と前記基台との間に位置するように配置され、
前記一対の変位体及び前記支持片が締め付け部材により
前記基台に保持され、且つ前記一方の変位体を、前記振
動源の振動と適切な位相差を有して伸縮変位させるよう
に構成されていることにより、下記の効果が得られる。
【0051】 振動源に固定された支持片を挟むよう
に配置された一対の変位体及び支持片が締め付け部材に
より基台に保持されているので、各変位体には引張り方
向の力は作用せず、しかも一対の変位体が外部から入力
される制御信号に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変
位するので、一対の変位体及び支持片の3つの部材の全
長が常に一定であり、締め付け部材には、一対の変位体
の変位による繰り返し荷重は作用しない。従って、締め
付け部材の緩み、あるいは疲労破壊を防止することがで
き、これによって耐久性が向上し、振動源を確実に支持
することができる。
【0052】 また、支持片と基台との間に配置され
た一方の変位体が、振動源の振動と同方向に伸縮変位し
て支持片と基台の間隔が変化し、これによって支持片か
ら基台への振動伝達が制御されるが、前記3つの部材の
全長は常に一定であるので、前記締め付け部材の締め付
け力は前記3つの部材を基台に保持する程度の大きさで
あればよく、前記一方の変位体の変位が締め付け部材か
らの圧縮力により規制されない。従って、各変位体は圧
縮力に影響されることなく制御信号に応じて伸縮変位で
き、振動減から基台への振動伝達を確実に且つ精度良く
制御することができる。
【0053】また、本発明(請求項2)によれば、前記
各変位体は、磁歪素子と、この磁歪素子の外周に巻回さ
れたコイルと、磁歪素子にバイアス磁界を与える永久磁
石とを備え、前記両変位体の各コイルの巻線方向を互い
に逆にし且つ永久磁石のバイアス磁界の方向を同じにし
てあり、前記各コイルに、前記制御信号として同じ制御
電流が入力されるように構成されていることにより、車
載バッテリの如き低電圧電源を特別な昇圧装置等で昇圧
することなく使用できると共に、各コイルの巻線方向を
互いに逆にするだけの簡単な構成であり、特別な回路等
が不要となる。
【0054】また、本発明(請求項3)によれば、前記
各変位体は、磁歪素子と、この磁歪素子の外周に巻回さ
れたコイルと、磁歪素子にバイアス磁界を与える永久磁
石とを備え、前記両変位体の各コイルの巻線方向を同じ
にし且つ各永久磁石のバイアス磁界の方向を互いに逆に
してあり、前記各コイルに、前記制御信号として同じ制
御電流が入力されるように構成されていることにより、
車載バッテリの如き低電圧電源を特別な昇圧装置等で昇
圧することなく使用できると共に、各コイルの巻線方向
が同じであるために、構成のより一層の簡略化が図られ
る。
【0055】さらに、本発明(請求項4)によれば、前
記各変位体は、電歪素子を備え、該各電歪素子に同じバ
イアス電荷がかけられており、且つ該各電歪素子に、前
記制御信号として絶対値が同じで且つ逆位相の制御電圧
が印加されるように構成されていることにより、電歪
子は外乱(磁気等)による影響の少ない素子であるた
め、磁気シールド等をほどこすことなく構成することが
でき、これによって装置全体の小型化及び製造コストの
低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る振動制御装置を示す
縦断面図である。
【図2】一対の磁歪素子の各コイルと電源装置の接続状
態を示す斜視図である。
【図3】電源装置とコントローラを示す回路図である。
【図4】(a)は第1実施例に係る振動制御装置におけ
るエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は同
振動制御装置における制御電流を示す波形図である。
(c)は同振動制御装置における磁界の変化を示す波形
図である。(d)は同振動制御装置における磁束密度の
変化を示す波形図である。(e)は同振動制御装置にお
ける一対の変位体の変位を示す波形図である。
【図5】(a)〜(e)は図1に示す振動制御装置の作
動を示す説明図である。
【図6】図1に示す振動制御装置の作動を示す説明図で
ある。
【図7】(a)は第2実施例に係る振動制御装置におけ
るエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は同
装置における制御電流を示す波形図である。(c)は同
装置における磁界の変化を示す波形図である。(d)は
同装置における磁束密度の変化を示す波形図である。
(e)は同装置における一対の変位体の変位を示す波形
図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る振動制御装置を示す
縦断面図である。
【図9】第3実施例に係る振動制御装置に使用される電
荷制御回路とコントローラを示す回路図である。
【図10】(a)は第3実施例に係る振動制御装置にお
けるエンジンの振動波形を示す波形図である。(b)は
同装置における制御電圧を示す波形図である。(c)は
同装置における電荷の変化を示す波形図である。(d)
は同装置における一対の変位体の変位を示す波形図であ
る。
【符号の説明】 1 振動制御装置 2,3;20,30 変位体 4 ブラケット(支持片) 5 支持基盤(基台) 6 共締めボルト(締め付け部材) ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、電歪素子自体は引張力に対し非常に弱いため、
電歪素子の両側に板部材を配し、この両板部材をボルト
で締結することによって電歪素子に圧縮力(ボルトの軸
力)をかけている構造であるので、電歪素子の変位によ
りボルトに繰り返し荷重が作用し、これによってボルト
の緩み、疲労破壊が生じ、振動源の支持が困難になって
しまうという問題がある。また、前記ボルトの軸力が小
さすぎると、電歪素子がはく離して破損する虞れがあ
り、これによって振動源の支持が困難になってしまい、
逆にボルトの軸力が大きすぎると、電歪素子の変位がボ
ルトの軸力によって規制されてしまい、振動源からこれ
を支持する基台への振動伝達を確実に且つ精度良く制御
できないという問題がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 さらに、好ましくは、前記各変位体は、
電歪素子を備え、該各電歪素子に同じバイアス電荷がか
けられており、且つ該各電歪素子に、前記制御信号とし
て絶対値が同じで且つ逆位相の制御電圧が印加されるよ
うに構成されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 前記第1,第2の比較回路91,92の
各入力端子91d,92dには、エンジンの回転に同期
したエンジンの振動波形(図4(a)を参照)を表わす
基準信号がコントローラ9の入力回路を介して入力され
ている。各比較回路91,92は、各磁歪素子21,3
1の前記基準位置からの変位が各コイル22,32に発
生する磁束の変化に応じてリニアに変化することから、
各磁束モニター用コイル26,36に流れる誘導電流の
変化から磁束の変化を演算し、この磁束変化に基づき前
記制御電流(図4(b)を参照)の変化を演算し、且つ
この制御電流の位相及び振幅を前記基準信号の位相及び
振幅と比較しながら、制御電流の波形が基準信号の波形
に近づくように、各出力端子91a、91b,92a、
92bからそれぞれオン、オフのパルス信号を出力し、
このパルス信号のパルス幅により前記各トランジスタT
1〜T4をPWM制御するように構成されている。すなわ
ち、比較回路91,92の各出力端子91a,92aか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C3側から接続点C4側へ電流
が流れて電流値が増大し、各出力端子91b,92bか
ら出力されるパルス信号のオン時間が長くなるほど、各
コイル22,32に接続点C4側から接続点C3側へ電流
が流れて電流値が減少する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】 このようにして、この第1実施例では、
エンジンの振動に応じた前記制御電流が各変位体2,3
のコイル22,32に入力されることにより、上部変位
体2の磁歪素子21がエンジンの振動波形(即ち、エン
ジン振動によるブラケット4の変位波形)と逆相で且つ
同じ振幅で伸縮変位すると共に、下部変位体3の磁歪素
子31がエンジンの振動波形と同相で且つ同じ振幅で伸
縮変位するようにしてある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】 コントローラ9の各比較回路91,92
の入力端子91d,92dに図4(a)に示すようなエ
ンジンの振動波形を表わす基準信号が入力されると、上
述したPWM制御により、電源回路81から上部変位体
2のコイル22、及び電源回路82から下部変位体3の
コイル32にそれぞれ前記エンジンの振動波形と略同じ
波形の制御電流(図4()を参照)が出力される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】 図8に示す振動制御装置1は、電歪素子
20a,30aの積層体で構成された一対の変位体2
0,30を有し、この両変位体20,30は、エンジン
に固定されたブラケット(支持片)4を挟むように配置
されており、且つ下部変位体30はブラケット4と車体
側に固定された支持基盤5との間に位置するように配置
されている。各変位体20,30の電歪素子20a,3
0aには、同じバイアス電荷が後述する電荷制御回路8
0によってかけられている。このバイアス電荷は、各
素子20a,30aを、その最大弾性変形量(最大伸
び量)の略半分弾性変形させる電荷量に設定されてい
る。各電歪素子20a,30aに制御信号として絶対値
が同じで且つ逆位相の制御電圧を電荷制御回路80によ
って印加することにより、各電歪素子20a,30a
が、バイアス電荷がかけられて弾性変形した同じ基準位
置から制御電圧に応じて互いに逆向きに且つ同量伸縮変
位するようになっている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】 電荷制御回路80は、図9に示すよう
に、4つのスイッチング用トランジスタT10,T20,T
30及びT40と、2つの充電用抵抗R1,R2と、2つの放
電用抵抗R3,R4と、各電歪素子20a,30aの電荷
をモニターする電荷モニター用コンデンサ83,84
と、外部端子80a〜80hとを備えている。トランジ
スタT10,T20の各ソース側端子は接続点C10で接続さ
れ、この接続点C10は外部端子80aを介して車両バッ
テリのプラス側(車両バッテリの電源電圧を500V程
度まで昇圧したプラス側電源)に接続されている。トラ
ンジスタT30,T40の各ドレイン側端子は接続点C20
接続され、この接続点C20は外部端子80dを介して車
両バッテリのマイナス側(車両バッテリの電源電圧を−
100V程度まで降圧したマイナス側電源)に接続され
ている。トランジスタT10、抵抗R1、抵抗R3、及びト
ランジスタT30、及びトランジスタT20、抵抗R2、抵
抗R4、及びトランジスタT40は、それぞれ前記プラス
側とマイナス側との間で直列に接続されている。電歪素
子20aとコンデンサ83、及び電歪素子30aとコン
デンサ84はそれぞれ直列に接続されている。電歪素子
20aの一端は抵抗R1,抵抗R3の接続点C30に、電歪
素子30aの一端は抵抗R2,抵抗R4の接続点C40にそ
れぞれ接続されている。各コンデンサ83,84の一端
は接地されている。トランジスタT10,T30の各ゲート
側端子は、外部端子80b,80c、配線h20,h21
びコントローラ9の出力回路(図示略)を介してコント
ローラ9の第1の比較回路91の各出力端子91a,9
1bに接続されている。トランジスタT20,T40の各ゲ
ート側端子は、外部端子80h,80g、配線h22,h
23及び前記出力回路(図示略)を介してコントローラ9
の第2の比較回路92の各出力端子92a,92bに接
続されている。そして、電歪素子20aとコンデンサ8
3の接続点C50は外部端子80e、配線h24及びコント
ローラ9の入力回路(図示略)を介して比較回路91の
入力端子91cに、電歪素子30aとコンデンサ84の
接続点C60は外部端子80f、配線h25及び前記入力回
路(図示略)を介して比較回路92の入力端子92cに
それぞれ接続されている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動源からこれを支持する基台への振動
    伝達を遮断する振動遮断装置において、前記振動源の振
    動に応じて外部から入力される制御信号に応じて互いに
    逆向きに且つ同量伸縮変位する一対の変位体が、前記振
    動源に固定された支持片を挟むように且つその一方が前
    記支持片と前記基台との間に位置するように配置され、
    前記一対の変位体及び前記支持片が締め付け部材により
    前記基台に保持され、且つ前記一方の変位体を、前記振
    動源の振動と同方向に伸縮変位させるように構成されて
    いることを特徴とする振動遮断装置。
  2. 【請求項2】 前記各変位体は、磁歪素子と、この磁歪
    素子の外周に巻回されたコイルと、磁歪素子にバイアス
    磁界を与える永久磁石とを備え、前記両変位体の各コイ
    ルの巻線方向を互いに逆にし且つ各永久磁石のバイアス
    磁界の方向を同じにしてあり、前記各コイルに、前記制
    御信号として同じ制御電流が入力されるように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の振動遮断装置。
  3. 【請求項3】 前記各変位体は、磁歪素子と、この磁歪
    素子の外周に巻回されたコイルと、磁歪素子にバイアス
    磁界を与える永久磁石とを備え、前記両変位体の各コイ
    ルの巻線方向を同じにし且つ各永久磁石のバイアス磁界
    の方向を互いに逆にしてあり、前記各コイルに、前記制
    御信号として同じ制御電流が入力されるように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の振動遮断装置。
  4. 【請求項4】 前記各変位体は、圧電素子を備え、該各
    圧電素子に同じバイアス電荷がかけられており、且つ該
    各圧電素子に、前記制御信号として絶対値が同じで且つ
    逆位相の制御電圧が印加されるように構成されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の振動遮断装置。
JP3336197A 1991-11-26 1991-11-26 振動制御装置 Pending JPH05149378A (ja)

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US07/981,017 US5275388A (en) 1991-11-26 1992-11-24 Vibration control system
EP92120118A EP0545264B1 (en) 1991-11-26 1992-11-25 Vibration control system
DE69222122T DE69222122T2 (de) 1991-11-26 1992-11-25 Schwingungsregelsystem

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005147151A (ja) * 2003-11-18 2005-06-09 Varian Spa 振動減衰器を備えた真空ポンプ
EP2520825A1 (fr) * 2011-05-05 2012-11-07 L'air Liquide, Societe Anonyme Pour L'etude Et L'exploitation Des Procedes Georges Claude Dispositif et procédé pour amortir des efforts parasites dans un moteur électrodynamique linéaire et moteur électrodynamique linéaire comprenant un tel dispositif
JP2015048894A (ja) * 2013-09-02 2015-03-16 鹿島建設株式会社 圧電材料を用いた制震装置
KR20190032734A (ko) * 2017-09-20 2019-03-28 현대자동차주식회사 조향장치용 마운팅장치 및 이를 갖춘 조향장치

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FR2974869A1 (fr) * 2011-05-05 2012-11-09 Air Liquide Dispositif et procede pour amortir des efforts parasites dans un moteur electrodynamique lineaire et moteur electrodynamique lineaire comprenant un tel dispositif
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