JPH05148611A - 鋼材の脱炭防止方法 - Google Patents
鋼材の脱炭防止方法Info
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- JPH05148611A JPH05148611A JP33960691A JP33960691A JPH05148611A JP H05148611 A JPH05148611 A JP H05148611A JP 33960691 A JP33960691 A JP 33960691A JP 33960691 A JP33960691 A JP 33960691A JP H05148611 A JPH05148611 A JP H05148611A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 脱炭した鋼材の雰囲気焼鈍において、A1変
態点以下におけるCOの分解を抑制して煤の発生なく、
A1変態点以下の温度域で復炭せしめる。 【構成】 雰囲気ガスがCO−CO2−H2−H2O−N2
系からなる装入部1、抽出部2が開放型の雰囲気連続焼
鈍炉において、被処理材抽出温度500℃以上、抽出部
2の雰囲気ガス流速0.5m/sec以上、かつ抽出部
2の炉内圧力0.1mm/H2O以上の条件で、被処理
材をA1変態点以上に加熱・均熱したのち、A1変態点か
ら抽出温度まで200℃/Hr以下、雰囲気ガス中のC
O、CO2が(CO)2/CO2で求められる値で100
以上300以下の条件で冷却する。 【効果】 低温浸炭反応における煤の発生を防止でき、
A3変態点以上の高温での長時間の均熱が不要となり、
低温、短時間での処理が可能となり、熱処理コストを大
幅に低減できる。
態点以下におけるCOの分解を抑制して煤の発生なく、
A1変態点以下の温度域で復炭せしめる。 【構成】 雰囲気ガスがCO−CO2−H2−H2O−N2
系からなる装入部1、抽出部2が開放型の雰囲気連続焼
鈍炉において、被処理材抽出温度500℃以上、抽出部
2の雰囲気ガス流速0.5m/sec以上、かつ抽出部
2の炉内圧力0.1mm/H2O以上の条件で、被処理
材をA1変態点以上に加熱・均熱したのち、A1変態点か
ら抽出温度まで200℃/Hr以下、雰囲気ガス中のC
O、CO2が(CO)2/CO2で求められる値で100
以上300以下の条件で冷却する。 【効果】 低温浸炭反応における煤の発生を防止でき、
A3変態点以上の高温での長時間の均熱が不要となり、
低温、短時間での処理が可能となり、熱処理コストを大
幅に低減できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表面に脱炭層の生じ
た機械構造用鋼材の復炭のための熱処理方法に関する。
た機械構造用鋼材の復炭のための熱処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】機械構造用に使用される鋼材は、切削加
工、冷間鍛造等の加工が施されるが、素材表面に脱炭層
が存在すると、脱炭層部分において所定の強度、組織が
得られないため、加工後の製品品質を満足しない場合が
ある。鋼材の製造プロセスにおいては、スラブ、ビレッ
トは通常脱炭性雰囲気で加熱されるため、熱間加工され
たままの材料では脱炭が避けられない。したがって、こ
のような場合、通常は研削などの手段で脱炭層を除去す
ることも行われているが、これは工数の増加、歩留の低
下などにより製造コストが大幅に増加させてしまう。こ
の問題の解決策の一つとして、脱炭層の生じた鋼材に浸
炭処理を施して復炭させ、脱炭層をなくす方法(特公昭
62−47605号公報)が提案されている。この方法
は、上記脱炭層を研削除去する方法に比較し、遥かに優
れた方法である。しかし、特公昭62−47605号公
報に開示の方法は、復炭処理を800〜950℃という
高温で、しかも24時間というような長時間行うもので
あり、材料劣化を招くばかりでなく、エネルギーコスト
の増加が避けられない。
工、冷間鍛造等の加工が施されるが、素材表面に脱炭層
が存在すると、脱炭層部分において所定の強度、組織が
得られないため、加工後の製品品質を満足しない場合が
ある。鋼材の製造プロセスにおいては、スラブ、ビレッ
トは通常脱炭性雰囲気で加熱されるため、熱間加工され
たままの材料では脱炭が避けられない。したがって、こ
のような場合、通常は研削などの手段で脱炭層を除去す
ることも行われているが、これは工数の増加、歩留の低
下などにより製造コストが大幅に増加させてしまう。こ
の問題の解決策の一つとして、脱炭層の生じた鋼材に浸
炭処理を施して復炭させ、脱炭層をなくす方法(特公昭
62−47605号公報)が提案されている。この方法
は、上記脱炭層を研削除去する方法に比較し、遥かに優
れた方法である。しかし、特公昭62−47605号公
報に開示の方法は、復炭処理を800〜950℃という
高温で、しかも24時間というような長時間行うもので
あり、材料劣化を招くばかりでなく、エネルギーコスト
の増加が避けられない。
【0003】上記したとおり、鋼材の浸炭処理は、鋼の
オーステナイト(γ)域で行うのが常識とされてきた。
例えば、第3版「鉄鋼便覧第6巻」(丸善、昭和57年
5月31日発行)の第563頁には、「浸炭は、オース
テナイト中に炭素を固溶させる反応」と定義されてい
る。また、改定3版「金属便覧」(丸善、昭和46年6
月25日発行)の第1687頁の図14・16にあるよ
うに、浸炭温度は850〜1000℃とオーステナイト
域になっている。このように従来は、ガス浸炭であれ固
体浸炭であれ、浸炭処理は、温度の高いオーステナイト
域で炭素を拡散浸透させるのが常識であった。これは温
度の低いところで浸炭した場合は、拡散した炭素が結晶
粒界に塊状炭化物を生成し、これが拡散障壁となるため
十分な深さの浸炭層が得られないと信じられていたので
ある。浸炭層深さは、種々の要因により決まるが、一般
には炭化物の生成挙動ならびに固溶炭素の母材中の拡散
に大きく依存し、温度が高く、処理時間が長いほど浸炭
層は深くなると考えられていた。このため、同じ浸炭層
深さを得るには、高温で処理するほど短時間ですむとい
うのが常識である。前述のように、従来の浸炭処理が高
温のオーステナイト域で行われていたのはこの理由によ
る。
オーステナイト(γ)域で行うのが常識とされてきた。
例えば、第3版「鉄鋼便覧第6巻」(丸善、昭和57年
5月31日発行)の第563頁には、「浸炭は、オース
テナイト中に炭素を固溶させる反応」と定義されてい
る。また、改定3版「金属便覧」(丸善、昭和46年6
月25日発行)の第1687頁の図14・16にあるよ
うに、浸炭温度は850〜1000℃とオーステナイト
域になっている。このように従来は、ガス浸炭であれ固
体浸炭であれ、浸炭処理は、温度の高いオーステナイト
域で炭素を拡散浸透させるのが常識であった。これは温
度の低いところで浸炭した場合は、拡散した炭素が結晶
粒界に塊状炭化物を生成し、これが拡散障壁となるため
十分な深さの浸炭層が得られないと信じられていたので
ある。浸炭層深さは、種々の要因により決まるが、一般
には炭化物の生成挙動ならびに固溶炭素の母材中の拡散
に大きく依存し、温度が高く、処理時間が長いほど浸炭
層は深くなると考えられていた。このため、同じ浸炭層
深さを得るには、高温で処理するほど短時間ですむとい
うのが常識である。前述のように、従来の浸炭処理が高
温のオーステナイト域で行われていたのはこの理由によ
る。
【0004】浸炭処理時間を短縮して生産能率を上げる
には、可能な限り短時間で必要な浸炭層深さを得ること
が必要であるが、従来は、前記第3版「鉄鋼便覧第6
巻」の第566〜567頁に記載のとおり、高温浸炭
(960〜1000℃で浸炭させる)でその目的を達成
していた。しかしながら、高温浸炭法には、高温処理の
ため熱処理炉の寿命が短く、燃料原単位が悪化するとい
う問題点がある。さらに材料の特性面からは、処理温度
が高いため非浸炭部の結晶粒が粗大化してしまい、材料
の靭性低下を招くという大きな問題点がある。これに対
処するには、高価な合金元素であるNi、V等の元素を
鋼に添加し、結晶粒成長を抑制するという対策が必要と
なり、浸炭材の製造コストがその分高くなる。
には、可能な限り短時間で必要な浸炭層深さを得ること
が必要であるが、従来は、前記第3版「鉄鋼便覧第6
巻」の第566〜567頁に記載のとおり、高温浸炭
(960〜1000℃で浸炭させる)でその目的を達成
していた。しかしながら、高温浸炭法には、高温処理の
ため熱処理炉の寿命が短く、燃料原単位が悪化するとい
う問題点がある。さらに材料の特性面からは、処理温度
が高いため非浸炭部の結晶粒が粗大化してしまい、材料
の靭性低下を招くという大きな問題点がある。これに対
処するには、高価な合金元素であるNi、V等の元素を
鋼に添加し、結晶粒成長を抑制するという対策が必要と
なり、浸炭材の製造コストがその分高くなる。
【0005】上記高温浸炭に替わる方法としては、前工
程で表面に脱炭層の生じた軸受鋼に、その鋼のA1変態
点以下の温度で、浸炭処理を施して脱炭層に復炭させる
方法(特開平3−126858号公報)、処理対象鋼の
A1変態点以下の温度域で浸炭処理を行う方法(特開平
3−188256号公報)のように、フェライト中への
カーボン拡散係数がオーステナイトよりも大きいことに
着目し、A1変態点近傍より浸炭処理を行う方法が提案
されている。
程で表面に脱炭層の生じた軸受鋼に、その鋼のA1変態
点以下の温度で、浸炭処理を施して脱炭層に復炭させる
方法(特開平3−126858号公報)、処理対象鋼の
A1変態点以下の温度域で浸炭処理を行う方法(特開平
3−188256号公報)のように、フェライト中への
カーボン拡散係数がオーステナイトよりも大きいことに
着目し、A1変態点近傍より浸炭処理を行う方法が提案
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平3−126
858号公報および特開平3−188256号公報に開
示の方法は、A1変態点付近の700℃程度からCOは
CとCO2に分解し、Cは煤になり易い。鋼材の熱処理
においては、煤が発生すると炉体に付着した場合、雰囲
気制御が不能になり、被処理材に付着した場合は、熱処
理後の酸洗デスケーリングや製品への塗油等が不可能と
なる。このため煤発生防止対策を講じなければ実用に供
し難い。しかしながら、特開平3−126858号公報
および特開平3−188256号公報に開示のA1変態
点付近より浸炭熱処理する方法は、A3変態点以上で浸
炭熱処理する方法に比較し、処理時間が大幅に短縮され
るメリットがある。
858号公報および特開平3−188256号公報に開
示の方法は、A1変態点付近の700℃程度からCOは
CとCO2に分解し、Cは煤になり易い。鋼材の熱処理
においては、煤が発生すると炉体に付着した場合、雰囲
気制御が不能になり、被処理材に付着した場合は、熱処
理後の酸洗デスケーリングや製品への塗油等が不可能と
なる。このため煤発生防止対策を講じなければ実用に供
し難い。しかしながら、特開平3−126858号公報
および特開平3−188256号公報に開示のA1変態
点付近より浸炭熱処理する方法は、A3変態点以上で浸
炭熱処理する方法に比較し、処理時間が大幅に短縮され
るメリットがある。
【0007】この発明の目的は、鋼材のA1変態点以下
の温度域におけるCOのCとCO2への分解を抑制し、
A1変態点以下の温度域で脱炭には至らず、煤の発生の
ない熱処理方法を提供することにある。
の温度域におけるCOのCとCO2への分解を抑制し、
A1変態点以下の温度域で脱炭には至らず、煤の発生の
ない熱処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、熱処理
炉での冷却時A1変態点以下より雰囲気ガス制御を行う
と共に、冷却速度を特定範囲に規制することによって、
COのCとCO2への分解が抑制されて煤の発生が防止
できることを究明し、この発明に到達した。
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、熱処理
炉での冷却時A1変態点以下より雰囲気ガス制御を行う
と共に、冷却速度を特定範囲に規制することによって、
COのCとCO2への分解が抑制されて煤の発生が防止
できることを究明し、この発明に到達した。
【0009】すなわちこの発明は、雰囲気ガスがCO−
CO2−H2−H2O−N2系からなる装入、抽出部が開放
型の雰囲気連続焼鈍炉において、被処理材抽出温度50
0℃以上、抽出部の雰囲気ガス流速0.5m/sec以
上、かつ抽出部の炉内圧力0.1mm/H2O以上の条
件で、被処理材をA1点以上に加熱・均熱したのち、A1
点から抽出温度まで200℃/Hr以下、雰囲気ガス中
のCO、CO2が(CO)2/CO2で求められる値で1
00以上300以下の条件で冷却するのである。
CO2−H2−H2O−N2系からなる装入、抽出部が開放
型の雰囲気連続焼鈍炉において、被処理材抽出温度50
0℃以上、抽出部の雰囲気ガス流速0.5m/sec以
上、かつ抽出部の炉内圧力0.1mm/H2O以上の条
件で、被処理材をA1点以上に加熱・均熱したのち、A1
点から抽出温度まで200℃/Hr以下、雰囲気ガス中
のCO、CO2が(CO)2/CO2で求められる値で1
00以上300以下の条件で冷却するのである。
【0010】
【作用】この発明における炉型式、雰囲気ガス組成、雰
囲気ガス流速、炉内圧力、抽出温度、ヒートパターンお
よびA1変態点から抽出温度までの間の雰囲気ガス中の
(CO)2/CO2値の限定理由について説明する。熱処
理炉型式を装入、抽出部が開放型の雰囲気連続焼鈍炉と
したのは、バッチ炉、パージ室を有する連続焼鈍炉のよ
うに密閉された炉構造をもつ場合、700℃より低温側
で(CO)2/CO2を大きくすると、ガス流速が小さい
ため、2CO→CO2+Cなる反応によって、Cが煤に
なり易いためである。雰囲気ガスをCO−CO2−H2−
H2O−N2系ガスに限定したのは、吸熱形変成ガス(通
常RX)、発熱形変成ガス(通常DX、NX、HNX)
の混合ガスを使用すると、CO−CO2−H2−H2O−
N2系ガスとなる。抽出部の雰囲気ガス流速を0.5m
/sec以上、かつ抽出部の炉内圧力を0.1mm/H
2O以上としたのは、装入、抽出部が開放型の雰囲気連
続焼鈍炉では、炉外から炉内へO2が侵入すると、(C
O)2/CO2値の低下や、爆発等が発生する危険がある
のでこれを回避しなければならない。このためには、図
2に示すとおり、(CO)2/CO2値が制御可能な、O
2が侵入しない、抽出部の雰囲気ガス流速0.5m/s
ec以上、かつ抽出部の炉内圧力0.1mm/H2O以
上とした。
囲気ガス流速、炉内圧力、抽出温度、ヒートパターンお
よびA1変態点から抽出温度までの間の雰囲気ガス中の
(CO)2/CO2値の限定理由について説明する。熱処
理炉型式を装入、抽出部が開放型の雰囲気連続焼鈍炉と
したのは、バッチ炉、パージ室を有する連続焼鈍炉のよ
うに密閉された炉構造をもつ場合、700℃より低温側
で(CO)2/CO2を大きくすると、ガス流速が小さい
ため、2CO→CO2+Cなる反応によって、Cが煤に
なり易いためである。雰囲気ガスをCO−CO2−H2−
H2O−N2系ガスに限定したのは、吸熱形変成ガス(通
常RX)、発熱形変成ガス(通常DX、NX、HNX)
の混合ガスを使用すると、CO−CO2−H2−H2O−
N2系ガスとなる。抽出部の雰囲気ガス流速を0.5m
/sec以上、かつ抽出部の炉内圧力を0.1mm/H
2O以上としたのは、装入、抽出部が開放型の雰囲気連
続焼鈍炉では、炉外から炉内へO2が侵入すると、(C
O)2/CO2値の低下や、爆発等が発生する危険がある
のでこれを回避しなければならない。このためには、図
2に示すとおり、(CO)2/CO2値が制御可能な、O
2が侵入しない、抽出部の雰囲気ガス流速0.5m/s
ec以上、かつ抽出部の炉内圧力0.1mm/H2O以
上とした。
【0011】また、抽出温度を500℃以上としたの
は、抽出部において炉体および材料に煤が付着するから
である。均熱温度をA1変態点以上としたのは、冷却中
にフェライトが析出しなければ、本発明法が適用できな
いからである。A1変態点から抽出温度までの冷却速度
を200℃/Hr以下としたのは、冷却速度が200℃
/Hr以上では、A1変態点から抽出温度までの所要時
間が短く、浸炭反応が不十分となるからである。冷却速
度規定温度をA1変態点以上としたのは、(CO)2/C
O2≧300の場合、A1変態点以下の温度域に(CO)
2/CO2値の高いガスが持込まれるため、A1変態点以
下の温度域で煤が発生し、(CO)2/CO2<300の
場合、均熱域での脱炭の進行が大きく、熱処理後も脱炭
層が残留する。また、冷却終了後温度<抽出温度とした
のは、抽出部では被処理材が炉外へ抽出されており、雰
囲気ガス制御が不可能であるからである。
は、抽出部において炉体および材料に煤が付着するから
である。均熱温度をA1変態点以上としたのは、冷却中
にフェライトが析出しなければ、本発明法が適用できな
いからである。A1変態点から抽出温度までの冷却速度
を200℃/Hr以下としたのは、冷却速度が200℃
/Hr以上では、A1変態点から抽出温度までの所要時
間が短く、浸炭反応が不十分となるからである。冷却速
度規定温度をA1変態点以上としたのは、(CO)2/C
O2≧300の場合、A1変態点以下の温度域に(CO)
2/CO2値の高いガスが持込まれるため、A1変態点以
下の温度域で煤が発生し、(CO)2/CO2<300の
場合、均熱域での脱炭の進行が大きく、熱処理後も脱炭
層が残留する。また、冷却終了後温度<抽出温度とした
のは、抽出部では被処理材が炉外へ抽出されており、雰
囲気ガス制御が不可能であるからである。
【0012】(CO)2/CO2値を100以上、300
以下としたのは、(CO)2/CO2値が300を超える
と、炉体および被処理材に煤が付着し、(CO)2/C
O2値が100未満の場合、被処理材熱処理前の脱炭層
が熱処理後にも残存するからである。装入部の雰囲気ガ
スの流量および炉内圧力、ならびに加熱、均熱部域での
(CO)2/CO2は、限定しなくても特に悪影響を与え
ることはない。
以下としたのは、(CO)2/CO2値が300を超える
と、炉体および被処理材に煤が付着し、(CO)2/C
O2値が100未満の場合、被処理材熱処理前の脱炭層
が熱処理後にも残存するからである。装入部の雰囲気ガ
スの流量および炉内圧力、ならびに加熱、均熱部域での
(CO)2/CO2は、限定しなくても特に悪影響を与え
ることはない。
【0013】この発明方法によれば、炉型式、雰囲気ガ
ス組成、雰囲気ガス流速、炉内圧力、抽出温度、ヒート
パターンおよびA1変態点から抽出温度までの間の雰囲
気ガス中の(CO)2/CO2値を所定範囲に保持するこ
とによって、A3変態点以上での長時間の均熱が不要と
なり、短時間処理が可能となる。しかも、低温浸炭反応
にかかわらず煤の発生を防止することができる。
ス組成、雰囲気ガス流速、炉内圧力、抽出温度、ヒート
パターンおよびA1変態点から抽出温度までの間の雰囲
気ガス中の(CO)2/CO2値を所定範囲に保持するこ
とによって、A3変態点以上での長時間の均熱が不要と
なり、短時間処理が可能となる。しかも、低温浸炭反応
にかかわらず煤の発生を防止することができる。
【0014】
実施例1 表1に示す化学成分の外径48.6mm、肉厚5.0m
mのX〜Zの鋼管について、図1に示すとおり、装入部
1、抽出部2が開放型で加熱・均熱帯3、冷却帯4を有
する雰囲気連続焼鈍炉を用い、雰囲気ガスとして発熱形
変成ガスNXと吸熱形変成ガスRXとの混合ガスを使用
し、抽出部2の雰囲気ガス流速0.6m/sec、炉内
圧力0.13mm/H2Oの条件で、3種類の鋼管をA1
変態点以上に加熱・均熱したのち、表2に示すとおり、
710℃から抽出温度の450℃または500℃まで、
150℃/Hrまたは300℃/Hrで冷却し、この間
の雰囲気ガス中のCO、CO2を(CO)2/CO2値で
50、250、400に制御して焼鈍を行った。その場
合における煤発生の有無、脱浸炭の区分と状況を調査し
た。その結果を表3に示す。
mのX〜Zの鋼管について、図1に示すとおり、装入部
1、抽出部2が開放型で加熱・均熱帯3、冷却帯4を有
する雰囲気連続焼鈍炉を用い、雰囲気ガスとして発熱形
変成ガスNXと吸熱形変成ガスRXとの混合ガスを使用
し、抽出部2の雰囲気ガス流速0.6m/sec、炉内
圧力0.13mm/H2Oの条件で、3種類の鋼管をA1
変態点以上に加熱・均熱したのち、表2に示すとおり、
710℃から抽出温度の450℃または500℃まで、
150℃/Hrまたは300℃/Hrで冷却し、この間
の雰囲気ガス中のCO、CO2を(CO)2/CO2値で
50、250、400に制御して焼鈍を行った。その場
合における煤発生の有無、脱浸炭の区分と状況を調査し
た。その結果を表3に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】表3に示すとおり、この発明の焼鈍条件を
満足する試験No.6の場合は、煤の発生がなく、しか
も焼鈍時の浸炭によって脱炭が大幅に低減している。こ
れに対し抽出温度の低い試験No.1、3、5、7およ
び(CO)2/CO2値の高い試験No.9〜12の場合
は、いずれも煤が発生している。また、冷却速度の早い
試験No.8、(CO)2/CO2値が低い試験No.
2、4の場合は、煤の発生がないが、熱処理前の脱炭が
焼鈍後にも残存しており、本発明の目的を達成すること
ができない。
満足する試験No.6の場合は、煤の発生がなく、しか
も焼鈍時の浸炭によって脱炭が大幅に低減している。こ
れに対し抽出温度の低い試験No.1、3、5、7およ
び(CO)2/CO2値の高い試験No.9〜12の場合
は、いずれも煤が発生している。また、冷却速度の早い
試験No.8、(CO)2/CO2値が低い試験No.
2、4の場合は、煤の発生がないが、熱処理前の脱炭が
焼鈍後にも残存しており、本発明の目的を達成すること
ができない。
【0019】実施例2 実施例1の表1に示す化学成分の外径48.6mm、肉
厚5.0mmのX〜Zの鋼管について、実施例1と同じ
装入、抽出部が開放型の雰囲気連続焼鈍炉を用い、実施
例1と同じ雰囲気ガスを使用し、抽出部の雰囲気ガス流
速0.6m/sec、炉内圧力0.13mm/H2Oの
条件で、X〜Zの鋼管を図1に示すとおり、A1変態点
以上に加熱・均熱したのち、表4に示すとおり、750
℃から抽出温度の450℃または500℃まで、150
℃/Hrまたは300℃/Hrで冷却し、この間の雰囲
気ガス中のCO、CO2を(CO)2/CO2値で50、
250、400に制御して焼鈍を行った。その場合にお
ける煤発生の有無、脱浸炭の区分と状況を調査した。そ
の結果を表5に示す。
厚5.0mmのX〜Zの鋼管について、実施例1と同じ
装入、抽出部が開放型の雰囲気連続焼鈍炉を用い、実施
例1と同じ雰囲気ガスを使用し、抽出部の雰囲気ガス流
速0.6m/sec、炉内圧力0.13mm/H2Oの
条件で、X〜Zの鋼管を図1に示すとおり、A1変態点
以上に加熱・均熱したのち、表4に示すとおり、750
℃から抽出温度の450℃または500℃まで、150
℃/Hrまたは300℃/Hrで冷却し、この間の雰囲
気ガス中のCO、CO2を(CO)2/CO2値で50、
250、400に制御して焼鈍を行った。その場合にお
ける煤発生の有無、脱浸炭の区分と状況を調査した。そ
の結果を表5に示す。
【0020】
【表4】
【0021】
【表5】
【0022】表5に示すとおり、この発明の焼鈍条件を
満足する試験No.18の場合は、煤の発生がなく、し
かも焼鈍時の浸炭によって脱炭が大幅に低減している。
これに対し抽出温度の低い試験No.13、15、1
7、19および(CO)2/CO2値の高い試験No.2
1〜24の場合は、いずれも煤が発生している。また、
冷却速度の早い試験No.20、(CO)2/CO2値の
低い試験No.14、16の場合は、煤の発生がない
が、焼鈍前の脱炭が焼鈍後にも残存しており、本発明の
目的を達成することができない。
満足する試験No.18の場合は、煤の発生がなく、し
かも焼鈍時の浸炭によって脱炭が大幅に低減している。
これに対し抽出温度の低い試験No.13、15、1
7、19および(CO)2/CO2値の高い試験No.2
1〜24の場合は、いずれも煤が発生している。また、
冷却速度の早い試験No.20、(CO)2/CO2値の
低い試験No.14、16の場合は、煤の発生がない
が、焼鈍前の脱炭が焼鈍後にも残存しており、本発明の
目的を達成することができない。
【0023】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、低温浸炭反応にかかわらず、炉内での煤発生を防止
することができ、しかも、A3変態点以上の温度での長
時間の均熱が不要となり、短時間での処理が可能とな
り、熱処理コストを大幅に低減することができる。さら
に、この発明方法は、焼準、焼鈍に適用可能である。
ば、低温浸炭反応にかかわらず、炉内での煤発生を防止
することができ、しかも、A3変態点以上の温度での長
時間の均熱が不要となり、短時間での処理が可能とな
り、熱処理コストを大幅に低減することができる。さら
に、この発明方法は、焼準、焼鈍に適用可能である。
【図1】この発明方法の原理説明のための雰囲気連続焼
鈍炉の各位置と材料温度との関連を示す説明図である。
鈍炉の各位置と材料温度との関連を示す説明図である。
【図2】この発明の雰囲気連続焼鈍炉の抽出部の雰囲気
ガス流速と炉内圧力と(CO)2/CO2値の制御可否を
示すグラフである。
ガス流速と炉内圧力と(CO)2/CO2値の制御可否を
示すグラフである。
1 装入部 2 抽出部 3 加熱・均熱帯 4 冷却帯
Claims (1)
- 【請求項1】 雰囲気ガスがCO−CO2−H2−H2O
−N2系からなる装入、抽出部が開放型の雰囲気ガス連
続焼鈍炉において、被処理材抽出温度500℃以上、抽
出部の雰囲気ガス流速0.5m/sec以上、かつ抽出
部の炉内圧力0.1mm/H2O以上の条件で、被処理
材をA1点以上に加熱・均熱したのち、A1点から抽出温
度まで200℃/Hr以下、雰囲気ガス中のCO、CO
2が(CO)2/CO2で求められる値で100以上30
0以下の条件で冷却することを特徴とする鋼材の脱炭防
止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33960691A JPH05148611A (ja) | 1991-11-27 | 1991-11-27 | 鋼材の脱炭防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33960691A JPH05148611A (ja) | 1991-11-27 | 1991-11-27 | 鋼材の脱炭防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05148611A true JPH05148611A (ja) | 1993-06-15 |
Family
ID=18329078
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33960691A Pending JPH05148611A (ja) | 1991-11-27 | 1991-11-27 | 鋼材の脱炭防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05148611A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012081229A1 (ja) | 2010-12-13 | 2012-06-21 | 住友金属工業株式会社 | 高炭素クロム軸受鋼およびその製造方法 |
-
1991
- 1991-11-27 JP JP33960691A patent/JPH05148611A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012081229A1 (ja) | 2010-12-13 | 2012-06-21 | 住友金属工業株式会社 | 高炭素クロム軸受鋼およびその製造方法 |
US8808470B2 (en) | 2010-12-13 | 2014-08-19 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | High-carbon chromium bearing steel and production method of the same |
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