JPH0514710Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は多速度電動機に関わるものである。

〔従来技術〕

以下第３図〜第６図により従来技術とその問題
点を説明する。

第３図は例えば第４図のように４極巻線１−１
２と第５図に示す２極巻線１−２２の双方を、第
６図に示す８個の溝をもつ固定子鉄芯１に巻装し
て形成した２速度電動機を示す断面図で、前記２
速用巻線をもつ固定子１の内周面には１個の回転
子２が軸４を介して支承され、これ等がケース５
に内蔵されている。６は軸４の軸受である。

この構成では、４極用と２極用の夫々の巻線は
第４図、第５図に示す如く巻線のピツチは異なる
ものの、固定子鉄心１の同じ溝１−３に一緒に巻
装される為、その巻装する事の出来る銅量は２速
用として２種類に分割され、単速用として一組の
コイルでよい場合に比し半減し、この銅量減に伴
い、夫々の速度における出力もほぼ半減する事に
なる。

又、この構成では回転子２はいずれの速度の場
合に対しても共用となつており、該回転子の質量
は共通となつている固定子鉄芯に対して大きさと
なる為、固定子巻線１−１２，１−２２の銅量減
に対し、これのもつ慣性能率が相対的に過大とな
り、この結果特に永久磁石を回転子２とするイン
ダクタモータでは、その動作可能帯域を狭めると
云う問題があつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、夫々の速度において、発生ト
ルクと回転子慣性能率とのバランスの良い、動作
の安定した多速度電動機を得るにある。

〔考案の概要〕

本考案の多速度電動機は、固定子として同心状
に互に軸方向に分割した複数の固定子を用い、こ
の各固定子に夫々回転子を空隙を介して対向配設
し、この各回転子を一本の共通の回転軸上に、い
ずれも同方向に動力を伝達する様にしたワンウエ
イクラツチを介して夫々連結し、夫々の固定子に
夫々異なる磁極数を形成する巻線を巻回し、この
各巻線に個別に電力を供給する事により多速度を
得る様構成した事を特徴とする。

〔考案の実施例〕 以下図面によつて本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の２速度電動機の例を示す断面
図であつて、本考案においてはケース５の内部の
固定子鉄芯１を同心状に互に軸方向に分割して配
設した２つの固定子１−１及び１−２によつて構
成し、この夫々の固定子鉄芯１−１及び１−２に
第４図の４極巻線１−１２及び第５図の２極巻線
１−２２を巻装し前記２つの固定子の内周面には
小空隙を介して夫々別の回転子２−１及び２−２
を配設せしめる。

更に本考案においては前記２つの回転子２−１
及び２−２と一本の共通の回転軸４間にその動作
方向を同一にするワンウエイクラツチ３−１及び
３−２を夫々介挿せしめる。

以下上記のような構成の２速度電動機をその固
定子１−１に巻装された４極巻線１−１２のみに
通電し、４極の電動機として動作する例を説明す
る。

第２図は２つの電動機の構成要素の動作を説明
する略図であるが、固定子１−１の４極巻線１−
１２に通電し、回転磁界を発生させると、小空隙
を介してこれと対向する回転子２−１にトルクＴ
が生じ、例えば同図実線矢印イの様に回転する。

この回転子２−１の動作は、同図に示す様に回
転子２−１の内面に装着されたワンウエイクラツ
チ３−１の動力伝達機能で、このワンウエイクラ
ツチ３−１の内周に嵌着された軸４にトルク
T′＝Ｔとして伝達されるロ。

即ち固定子１−１側への通電による動作では、
固定子１−１、回転子２−１が、通常の単速電動
機と同じ動作を実現する。

この時、固定子１−２は無通電である為、これ
に対応した回転子２−２は動作する事なく静止状
態にある。

この回転子２−２を支承する軸４は前記の如く
回転子２−１側と一体を成す為、回転子２−１と
一体となつてトルクT′をもつて実線矢印ハの如
く回転するが、軸４から回転子２−２に伝達され
るトルクToワンウエイクラツチ３−２が逆方向
動作〔空転＝非結合〕である為、ゼロとなり
〔To＝Ｏ）ニで回転子２−２を動作させる事はな
い。即ち固定子１−１への通電、本例での４極動
作時には一方の２極構成例の回転子２−２は慣性
負荷として作用する事はなく、従来第３図に示す
様に共用の回転子２として常に一体となつて作用
していた慣性体が２分割され、夫々が独立して動
作する事になり、特に回転子慣性能率の影響が大
きい永久磁石形電動機についてはそのメリツトは
大きい。

固定子１−２に巻装された巻線１−２２のみに
通電した場合も同様である。

〔考案の効果〕

本考案の多速度電動機は上記の様な構成である
ので、夫々の速度において発生トルクと回転子慣
性能率とのバランスの良い、安定した動作を得る
利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に成る２速度電動機の例を示す
断面図、第２図はその動作説明図、第３図に従来
の電動機の断面図、第４図は８溝の固定子鉄芯に
対する４極巻線の構成例、第５図は同じく８溝の
固定子鉄芯に対応する２極巻線の構成例、第６図
は電動機の固定子説明図である。 １，１−１，１−２……固定子鉄芯、１−１
２，１−２２……巻線、１−３……溝、２，２−
１，２−２……回転子、３−１，３−２……ワン
ウエイクラツチ、４……回転軸、５……ケース、
６……軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定子として同心状に互いに軸方向に分割した
   複数の固定子を用い、この各固定子に夫々回転子
   を空隙を介して対向配設し、この各回転子を１本
   の共通の回転軸上に、何れも同方向に動力を伝達
   する様にしたワンウエイクラツチを介して夫々連
   結し、夫々の固定子に夫々異なる磁極数を形成す
   る巻線を巻回し、この各巻線に個別に電力を供給
   する事により多速度を得る様構成した事を特徴と
   する多速度電動機。