JPH05145379A - 適応フイルタ装置における係数更新方法 - Google Patents

適応フイルタ装置における係数更新方法

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JPH05145379A
JPH05145379A JP3244625A JP24462591A JPH05145379A JP H05145379 A JPH05145379 A JP H05145379A JP 3244625 A JP3244625 A JP 3244625A JP 24462591 A JP24462591 A JP 24462591A JP H05145379 A JPH05145379 A JP H05145379A
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真作 森
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    • H03H21/00Adaptive networks
    • H03H21/0012Digital adaptive filters

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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Complex Calculations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 適応フィルタの収束性を向上させる。 【構成】 単位遅延素子M1 〜ML の縦続接続回路を入
力端子1に接続する。サンプリング時刻の異なる複数の
信号x(k) 、x(k-1) …x(k-L) に係数w0(k)、w1(k)
…wL(k)を乗算する。乗算出力を加算器3で加算して出
力信号y(k) を得る。係数はサンプリング毎に更新す
る。更新する係数値は、入力信号と基準信号とを使用し
た複数回の内部更新演算を行った後に決定する。複数回
の内部更新演算を能率的に行うために係数に対応した数
の単位演算回路を並列に接続する。1回の内部更新演算
が終了したら単位演算回路の出力をその入力に戻して次
の内部更新演算を行う。内部更新演算をホップフィール
ドモデルの動作を使用することにより、収束性を向上さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズキャンセリング
やシステムの同定等に使用されるディジタルフィルタの
1種である適応フィルタ装置における係数更新方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】適応信号処理のアルゴリズムとして、L
MS(Least Mean Square)アルゴリズム、自己直交化
アルゴリズム、RLS(Recursive Least Square)
アルゴリズム、入力を直交変換してからLMSアルゴリ
ズムを行う変換領域LMSアルゴリズム、学習同定法な
どが知られている。なかでも、LMSアルゴリズムは他
のアルゴリズムに比べ収束性の点で劣るが、計算量が少
ないこと、機構の単純さ、装置化の容易さから広く用い
られており、LMSアルゴリズムのこれらの優れた特徴
を生かし、収束性などの特性を改善する方法が提案され
ている。
【0003】LMSアルゴリズム法に従う従来の適応フ
ィルタ(適応ディジタルフィルタ)は図1に示すよう、
一定のサンプリング周期でデータ(入力信号)x(k) を
入力させるための入力端子1に1サンプリング周期を単
位遅延時間として入力信号x(k) を順次に遅延させるた
めの遅延手段2としてのL個の遅延素子M1 、M2 …M
L と、入力端子1と各遅延素子M1 〜ML の出力段に夫
々接続されたL+1個のラインC0 、C1 …CL と、乗
算器A0 、A1 …AL と、加算器3と、要求信号即ち基
準信号d(k) を入力させるための手段としての基準信号
入力端子4と、誤差信号e(k) を形成するための誤差演
算回路5とから成る。L+1個(但しLは1以上の正の
整数)のラインC0 〜CL に同時に得られる異なるサン
プリング時刻のL+1個の入力信号x(k) 、x(k-1) 、
x(k-2) …x(k-L) が乗算器A1〜AL に入力し、これ
等に係数w0 (k) 、w1(k)…wL(k)が乗算されて出力x
(k) wi(k)、x(k-1) w1(k)…x(k-L) wL(k)が得ら
れ、これ等が加算器3で加算されて出力y(k) となる。
出力y(k) は誤差演算回路5に入力し、基準信号d(k)
との差に対応する誤差出力e(k) が発生する。なお、y
(k) 及びd(k) を次式(1)(2)で示すことができ
る。 y(k) =w0 (k) x(k) +w1 (k) x(k-1) …+wL (k) x(k-L) (1) e(k) =d(k) −y(k) (2) y(k) を示す式(1)のベクトル表現は次の式(3)、
ラインC0 〜CL の信号のベクトル表現は次の式
(4)、係数のベクトル表現は次の式(5)、誤差信号
e(k) の式のベクトル表現は次の式(6)で示される。
なお、式(3)〜(6)の中のTはベクトルの転置を表
わす。
【0004】
【数2】
【0005】図1には示されていないが従来の適応フィ
ルタにおいては誤差信号e(k) に基づいて係数w0(k)、
w1(k)…wL(k)の更新値を演算する。次の式(7)は従
来のLMSアルゴリズムによる適応フィルタの係数更新
を示す。
【0006】
【数3】
【0007】適応フィルタの係数の平均値は次の条件を
満たすときウィーナー解に収束する 。 0<μ<1/λmax (8) ここで、λmax は入力信号xk の相関行列の固有値の最
大値である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】LMSアルゴリズムで
は収束を速めるためにステップサイズを大きく設定する
必要があるが、収束性を確保するためにステップサイズ
は十分小さく設定しなければならず、希望する収束性を
得ることが困難なことがしばしばある。
【0009】この種の問題を解決する方法が1991年
1月25日電子情報通信学会から発行された「電子情報
通信学会論文誌」VOL・J74−ANo.1の第19
頁〜第24頁の高橋潔の論文「LMS適応アルゴリズム
の特性改善」に開示されている。ここに開示されている
改良された係数更新方法によれば収束性が大幅に向上す
る。ところで、簡単な回路で係数の更新演算を高速に行
うことが要求されている。
【0010】そこで、本発明の目的は収束性の高い係数
更新を簡単な回路で行うことができる方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、所定のサンプリング周期で基準信号d(k)
を供給するための基準信号供給手段と、前記基準信号に
関係を有する入力信号x(k) を所定のサンプリング周期
で供給するための入力信号供給手段と、前記基準信号供
給手段と前記入力信号供給手段に接続され、1サンプリ
ング周期を単位遅延時間として前記入力信号を順次に遅
延することによってサンプリング時点の異なる0番目か
らL番目までのL+1個(但し、Lは1よりも大きい正
の整数)の入力信号を同時に得、前記0番目からL番目
の入力信号に0番目からL番目の係数{w0 (k) 、w1
(k) …wL (k) }を夫々乗算し、これによって得られた
L+1個の乗算出力を加算した出力y(k) を得るための
ディジタルフィルタ信号処理回路とを有する適応フィル
タ装置において前記係数を更新する方法であって、時刻
kにおける前記基準信号d(k) 及び前記L+1個の入力
信号に基づいて、 Tam(k) =−2x(k-a) x(k-m) Ia (k) =2d(k) x(k-a) (但し、ここで、a及びmは、夫々、0からLまでのL
+1個の変数であり、kはサンプリング時刻を示す記号
であり、Tam(k) は各係数の更新演算で使用する第1の
値であって、同一値を含めて(L+1)2 個の値を示
し、Ia (k) は各係数の更新演算で使用する第2の値で
あって、L+1個の値を示し、x(k-a) は同時に得られ
る前記L+1個の入力信号から順次に選択されたL+1
個の第1の入力信号を示し、x(k-m)は同時に得られる
前記L+1個の入力信号から順次に選択されたL+1個
の第2の入力信号を示す)を求める第1のステップと、
前記Tam(k) 、前記Ia (k) 、及び時刻kにおける前記
複数の係数w0(k)、w1(k)…wL(k)に基づいて、前記複
数の係数を、夫々、
【数4】 で示される演算式に従って時刻kから次のサンプリング
時刻k+1までの期間にn回(但し、nは2以上の正の
整数)の内部更新演算を行い、n回目の内部更新係数値
を次のサンプリング時刻k+1における係数値とする第
2のステップ(但し、ここで、iは0からLまでのL+
1個の係数の位置を示す変数であって、前記変数aに対
応するものであり、jは0からLまでのL+1値の係数
の位置を示す変数であって前記変数mに対応するもので
あり、nはサンプリング時刻kから次のサンプリング時
刻k+1までの1サンプリング周期における内部更新演
算の回数を示す変数であり、Wi ・n-1 (k) は0番目か
らL番目までのL+1個の係数のn回の内部更新演算に
おける各更新前の係数値を夫々示し、wi ・n (k) は0
番目からL番目までのL+1個の係数のn回の内部更新
演算における各更新後の係数値を夫々示し、μはステッ
プサイズを示し、Tij(k) は任意の1つの係数の更新値
を求めるために必要な前記Tam(k) に対応するL+1個
の第1の値を示し、wj ・n-1(k)は更新前のL+1個の
係数を示し、Ii(k)は任意の1つの係数の更新値を求め
るために必要な前記Ia(k)に対応する第2の値を示す)
とを有することを特徴とする適応フィルタ装置における
係数更新方法において、第1及び第2のデ−タ入力端子
と出力端子とを有して前記係数の更新演算を行うL+1
個の単位演算回路を具備し、前記L+1個の単位演算回
路の前記第1のデ−タ入力端子が更新前の係数を示すデ
−タを供給する第1のデ−タ供給回路に夫々接続され、
前記L+1個の単位演算回路の前記出力端子が前記第1
のデ−タ供給回路に接続され、前記L+1個の単位演算
回路の前記第2のデ−タ入力端子が前記0番目から前記
L番目までの係数の更新演算に必要な前記第1及び第2
の値Tij(k)、Ii(k)を供給する第2のデ−タ供給回路
に夫々接続されたデ−タ処理回路を用意し、前記0番目
からL番目までの係数を更新するために前記n回の内部
更新演算を行う際に、内部更新演算に必要な更新前係数
値Wi ・n-1(k)として前記単位演算回路の出力を使用す
ることを特徴とする適用フィルタ装置における係数更新
方法に係わるものである。
【0012】本発明に従う係数更新方法では、ニューラ
ルネットワーク(Neural Networks)の1つであるホッ
プフィールド(Hopfield)モデルとLMS法との類似性
に着目し、誤差信号e(k) に依存しないで係数の更新を
行う。図2にホップフィールドモデルを示す。ホップフ
ィールドモデルは“0”か“1”を出力とするニューロ
ンと呼ばれる非線形なユニットの相互結合により構成さ
れるニューラルネットである。ホップフィールドモデル
におけるユニットの動作は離散的なものと連続的なもの
とがあり、ユニット間の相互結合の強さは対称である。
ユニットiへの入力Ui は次の式(9)で表される。
【0013】
【数5】
【0014】ここで、Nはホップフィールドモデルにお
けるユニットの個数、Tijはユニット間の結合の強さ、
またIi はユニットiのバイアス値を表している。ユニ
ットの動作が離散的なモデルでは、ユニットiの出力V
iは次の式(10)のように更新される。 Vi(k+1)=1、(Ui(k)>0又はUi(k)=0) Vi(k+1)=0、(Ui(k)<0) (10) 相互結合の強さTijが対称性(Tij=Tji)をもつなら
ば、次の式で表されるネットワークのエネルギーはネッ
ワークの動作と共に減少し極小点に達することが示され
ている。
【0015】
【数6】
【0016】ホップフィールドモデルを数値問題に応用
する際のユニットによる数値表現方法として、数値をユ
ニットの和で表現する方法、更に1つの数値を表すいく
つかのグループを設け各グループ内での和にグループご
との重みを付けることにより表現する方法などが提案さ
れている。ここでは、新たに時刻kにおけるユニットi
の出力を時刻kにおける関数g[Ui(k)]と時刻(k-1)
におけるユニットiの出力Vi(k-1)との和として表され
るモデルを考える。
【0017】
【数7】
【0018】ここではLMSアルゴリズムとの対応を考
え、関数gとして g(x) =1、(x>0又はx=0) g(x) =−1、(x<0) (13) を用いることとする。このように定義されたネットワー
クのエネルギーをホップフィールドモデルと同様に次の
式で表すものとする。
【0019】
【数8】
【0020】式(14)に示されたエネルギーにおい
て、ユニットiの出力がk−1から時刻kの間にVi(k-
1)からVi(k)へ変化したときのエネルギーの変化量は、
次式で与えられる。
【0021】
【数9】
【0022】式(13)の関係から、エネルギーの変化
量は常に負となり、ネットワークの動作と共にネッワー
クのエネルギーは減少していくことがわかる。式(1
2)に示したモデルを図1に示した適応フィルタに用い
る。ネットワークの相互結合の強さTijとバイアスIi
を求めるため、ネットワークのエネルギー式(14)に
対応する適応フィルタのエネルギーとして式(6)に示
した誤差信号e(k) の2乗を用いることとする。
【0023】
【数10】
【0024】式(16)におけるエネルギーEは時刻k
における適応フィルタの係数の2次関数であり単一の最
小値をもつ。式(14)と式(16)を比較することに
よりネッワークの相互結合の強さTijとバイアスIi は
次式となる。 Tim(k) =−2x(k-1) x(k-m) Ii(k)=2d(k) x(k-1) (17) 式(16)のd2 (k) の項は定数項であるので無視でき
る。式(17)を用い、式(12)に従い繰り返しVi
を計算することによりVi に対応する適応フィルタの係
数Wi は式(16)に定義したエネルギーを減少させる
方向に変化することがわかる。しかし、このモデルでは
係数の変化量が+1、−1に限られているため十分な収
束性を得ることはできない。
【0025】式(12)に示したモデルとLMSアルゴ
リズムの類似性から式(17)に示した相互結合の強さ
TijとバイアスIi を用いてLMSアルゴリズムを表現
できることを示し、相互結合の強さTijとバイアスIi
を用い複数回適応フィルタの係数を更新する新しいLM
Sアルゴリズムを提案する。LMSアルゴリズムは式
(6)を式(7)に代入し、整理することにより次の式
で与えられる。
【0026】
【数11】
【0027】式(18)の右辺の第2項は式(17)に
示した相互結合の強さTijとバイアスIi に対応してい
る。式(18)に示した従来のLMSアルゴリズムにホ
ップフィールドモデルでの動作を加えた新しいLMSア
ルゴリズムを提案する。即ち、 (1) 時刻kにおけ
るデータをもとに式(17)に示した、相互結合の強さ
Tij(k) とバイアスIi(k)とを計算する。 (2) ホップフィールドモデルの動作と同様にTij
(k) とIi(k)を用い、係数をn回更新する。最後に更新
された係数を時刻k+1での係数とする。表には、係数
を10回(n=10)更新するものとし、係数wim(k)
は時刻kにおけるi番目の係数として、m回ホップフィ
ールドモデルの動作を繰り返した係数を表している。
【0028】
【表1】
【0029】新しいLMSアルゴリズムでは、ホップフ
ィールドモデルのユニットに相当する係数の値は式(1
3)に示すような離散的な動作はせず、連続的な値をと
るものとする。即ち、式(13)に示した関数gとして
単調に増加する線形関数を用いるものとする。このと
き、式(15)で表されるユニットiの出力が時刻k−
1から時刻kに変化したときのエネルギーの変化は関数
gが単調増加であることから常に負またはゼロとなるこ
とがわかる。
【0030】
【作用】新しいLMSアルゴリズムと従来のLMSアル
ゴリズムを比較し、その収束性、収束するステップサイ
ズμの範囲を検討する。提案するアルゴリズムは実時間
処理を前提としており、処理時間は限定されておりホッ
プフィールドモデルの動作による係数wk の更新回数は
限定されている。表に示したアルゴリズムにより、係数
wk とn回の更新により決定される係数wk+1 との間に
は次の関係が成り立つ。
【0031】
【数12】
【0032】ここで、“I”は単位行列を表す。ステッ
プサイズμの値が小さいとき、以下に示す近似が成り立
つ。
【0033】
【数13】
【0034】式(18)と比べ式(22)ではステップ
サイズμが繰り返し数倍(n倍)となり、収束性が向上
していることがわかる。また、ステップサイズμの値が
十分小さいとき、提案するアルゴリズムにより推定され
る係数は式(18)においてステップサイズを“nμ”
として推定される係数と同等であることがわかる。適応
フィルタが収束するステップサイズμの範囲としては式
(19)の右辺の第1項の絶対値が1より小さければよ
い。即ち、
【0035】
【数14】
【0036】このことから、新しいLMSアルゴリズム
の収束するステップサイズμの範囲は従来のLMSアル
ゴリズムと同様に 0<μ<1/λmax (24) となる。
【0037】時定数について従来のLMSと本発明のL
MSを比較すると、従来のLMSの時定数は1/4μλ
であるのに対して本発明のLMSの時定数は1/4μn
λであり、1/nになる。L+1個の単位演算回路は0
番目からL番目までの係数に対応しているので、各係数
のn回の内部更新演算を並列に進めることができる。各
単位演算回路の出力は次の内部更新演算の更新係数(初
期値)として使用するので、L+1個の係数のn回の更
新を簡単に行うことができる。
【0038】
【実施例】次に、図3を参照して本発明の実施例に係わ
る適応フィルタ装置を説明する。但し、図3において図
1と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省
略する。図3のノイズキャンセリング回路はトランスバ
ーサル型適応フィルタ10と比較回路即ち誤差演算回路
5とから成る。実際にはこれ等の全て又は一部をコンピ
ュータ又はディジタル信号処理装置で構成するが、理解
を容易にするためにタップ付き遅延線フィルタ即ちトラ
ンスバーサルフィルタとして示されている。図3では誤
差信号e(k) を使用して係数w0(k)、w1(k)…wL(k)を
更新する代りに、入力信号x(k) と基準信号(要求信
号)d(k) を使用して各係数を更新している。このた
め、信号入力端子1と基準信号入力端子4とがデータ処
理回路11に接続され、このデータ処理回路11の0か
らLまでの出力ラインが乗算器(係数器)A0 〜AL に
接続されている。データ処理回路11は入力信号x(k)
の1サンプリング周期に1回の割合で更新した係数を出
力する。但し、データ処理回路11は1サンプリング周
期中にn回の内部更新のための演算を行い、最後の内部
更新値を乗算器A0 〜AL に与える。係数更新の方法は
発明を解決するための手段の欄で説明した通りである。
【0039】次に、理解を容易にするために、図4に示
すように2つの係数w0(k)、w1(k)を本発明に従って更
新する方法を説明する。図4において、入力端子1から
は一定のサンプリング周期で入力信号(ディジタルデー
タ)x(k) が入力する。単位遅延素子M1 の出力ライン
C1 には1サンプリング周期だけ先に入力した信号x(k
-1) が出力されている。従ってある時刻kにおいてライ
ンC0 、C1 に同時に第1及び第2の入力信号x(k) と
x(k-1) とが得られる。乗算器A0 、A1 においては、
サンプリング時刻の異なる第1及び第2の入力信号x
(k) 、x(k-1) に対して第1及び第2の係数w0(k)、w
1(k)が乗算され、出力x(k) w0(k)、x(k-1) w1(k)が
得られ、これ等が加算器3で加算されて出力信号y(k)
になる。第1及び第2の係数w0(k)、w1(k)は1サンプ
リング周期に1回更新される。この更新する係数は1回
の更新演算で決定せずに複数回(n回)の内部更新演算
を行った後に決定される。今、理解を容易にするために
1サンプリング周期における内部更新回数を2回として
説明する。
【0040】まず、第1のステップにおいて、時刻kに
おける基準信号d(k) と第1及び第2の入力信号x(k)
、x(k-1) に基づいて、 −2x(k) x(k) (以下、T00(k) と言う)と、 −2x(k-1) x(k) (以下、T01(k) と言う)と、 −2x(k) x(k-1) (以下、T10(k) と言う)と、 −2x(k-1) x(k-1) (以下、T11(k) と言う)と、 2d(k) x(k) (以下、I0(k)と言う)と、 2d(k) x(k-1) (以下、I1(k)と言う)とを夫々決定
する。
【0041】第2のステップにおいては、第1のステッ
プで決定したT00(k) 、T01(k) 、T10(k) 、T11(k)
、I0(k)、I1(k)と、第1のサンプリング時刻kにお
ける第1及び第2の係数w0(k)、w1(k)と、ステップサ
イズμに基づいて、次のサンプリング時刻k+1で使用
するための新しい第1の係数w0(k+1)を決定するため
に、第1回目の内部更新値w01(k) を、 w01(k) =w00(k) +μ{T00(k) w00(k) +T01(k) w10(k) +I0(k)} の演算式に従って求める。また、次のサンプリング時刻
k+1における第2の係数w1(k+1)に決定するために、
第1回目の内部更新値w11(k)を、 w11(k) =w1(k)+μ{T10(k) w00(k) +T11(k) w10(k) +I1(k)} の演算式に従って求める。次に第1の係数の第2回目の
内部更新値w02(k) を、 w02(k) =w01(k) +μ{T00(k) w01(k) +T01(k) w11(k) +I0(k)} の演算式に従って求める。また、第2の係数の第2回目
の内部更新値w12(k) を 、 w12(k) =w11(k) +μ{T10(k) w01(k) +T11(k) w11(k) +I1(k)} の演算式に従って求める。第2回目の内部更新が終了し
たら、次のサンプリング時刻k+1における第1及び第
2の係数として第2回目の内部更新値w02(k) とw12
(k) を乗算器A0 、A1 に送り、次のサンプリング時刻
k+1の第1及び第2の入力端子x(k+1) 、x(k) に乗
算する。
【0042】今、2回の内部更新によって次のサンプリ
ング時刻k+1の第1及び第2の係数を決定したが、実
際には2回よりも多いn回の内部更新演算を第1回及び
第2回の内部更新演算と同様に行って決定することが望
ましい。内部更新を2回行うと時定数は従来方法の1/
2になり、収束性が良くなる。内部更新をn回行うと時
定数は従来方法の1/nになり、同様に収束性が良くな
る。
【0043】本実施例の適応フィルタ装置の収束性を図
5に示す方式で確認した。図5では入力端子1の前段に
第1及び第2の入力端子1a、1bと加算器1cを有
し、第1の入力端子1aからsin(2πk/N)の正
弦波信号が入力し、第2の入力端子1bから平均0、分
散0.01のランダムノイズ(白色雑音)r(k) が入力
し、これ等が加算されて入力信号x(k) となる。要求信
号即ち基準信号d(k) としては2cos(2πk/N)
が端子4から入力している。
【0044】図6及び図7は図5の本発明に従う方式に
おける係数w0 、w1 の変化をアナログ的に示し、図8
は誤差信号e(k) に基づいて1サンプリング周期に1回
のみ更新する従来方式の係数の変化を示す。図6、図
7、図8の横軸のサンプル番号は時刻kにおけるサンプ
ル番号を0としてその後のサンプル番号を示す。従って
横軸は時間を示していることになる。図6はステップサ
イズμが0.01、内部更新回数nが10の場合の係数
変化を示し、図7はステップサイズμが0.1、内部更
新回数nが10の場合の係数変化を示し、図8はステッ
プサイズμが図7と同じ0.1の場合の従来の係数変化
を示す。図6と図7との比較から明らかなように、本発
明に従う適応フィルタではステップサイズμを従来の1
/10にしても収束性の低下が生じない。また、図7と
図8の比較から明らかなように、ステップサイズμが従
来と同一の場合には収束性が大幅に向上する。即ち図8
の従来方式ではほぼサンプル番号500で収束するのに
対し、本発明に従う図7ではほぼサンプル番号50で収
束する。従って時定数が1/10になり、収束性が大幅
に良くなる。図7においては収束性が向上している代り
に係数の変動(誤差)が大きくなる。従って、この係数
誤差よりも収束性を優先しなければならないシステムに
おいて本発明は大きな効果を発揮する。また、図7に示
す係数誤差の影響を軽減するために、係数の内部更新回
数nを適応フィルタの収束の度合に応じて増減させるこ
とができる。即ち、適応過程時(立上り時)には係数の
内部更新回数nを大きく増し、収束後にnを小さくす
る。
【0045】ところで、図3のデータ処理回路11にお
ける係数更新演算を簡単な回路で高速に行うことが要求
される。そこで、本実施例では、データ処理回路11を
図9に示すようにシストリックアレー構造にした。
【0046】図9において、S0 、S1 …SL は0番目
からL番目までのL+1個の係数に対応した単位演算回
路であり、第1及び第2のデータ入力端子21、22
と、出力端子23と、乗算器24と、加算器25と、1
サンプル遅延回路26を夫々有している。乗算器24は
第1及び第2のデータ入力端子21、22に接続されて
いる。加算器25は乗算器24とメモリから成る遅延回
路26に接続され、加算出力を出力端子23に与えると
共に遅延回路26に与える。
【0047】第1のデータ供給回路27は各単位演算回
路S0 〜SL の第1のデータ入力端子21に接続されて
いる。この第1のデータ供給回路27は係数更新演算に
必要な更新前の係数wi ・n-1(k)、Wj・n-1(k)及び数
値1を示すデータを出力する。更新前の係数値を単位演
算回路S0 〜SL から得るために各出力端子23が第1
のデータ供給回路27に接続されている。
【0048】各単位演算回路S0 〜SL の第2のデータ
入力端子22は0番目からL番目の第2のデータ供給回
路B0 〜BL に夫々接続されている。第2のデータ供給
回路B0 〜BL は0番目からL番目までの係数の更新演
算に必要な第1の値Tij(k)とステップサイズμとの積
μTij(k) と、第2の値Ii(k)とステップサイズμとの
積μIi(k)とを演算で求め、これを出力する。図9では
図示を簡略化するために全部の第2のデータ供給回路B
0 〜BL に同一のデータが示されているが、実際には0
番目からL番目までのL+1個の係数の更新で要求され
る第1及び第2の値は異なる。例えば、L=9の場合に
は、0番目の第2のデータ供給回路B0は、μTij(k)
として、μT00(k) 、μT10(k) 、μT20(k) …μT90
(k) 、μT100(k)を出力し、μIi(k)としてμI0(k)を
出力する。また、1番目の第2のデータ供給回路B1
は、μTij(k)としてμT01、μT11、μT21…μT9
1、μT101 を出力し、μIi(k)としてμI1(k)を出力
する。L番目即ち9番目の第2のデータ供給回路BL
は、μTij(k) としてμT09、μT19、μT29…μT9
9、μT109 を出力し、Ii(k)としてμT9 を出力す
る。
【0049】1回の更新演算の開始時には遅延回路26
に更新前の係数wi ・n-1(k)が保持されている。次に、
第1のデータ供給回路27からwj・n-1(k)で示される
0番からL番までのL+1個の係数から選択された1つ
を単位演算回路S0 〜SL の第1のデータ入力端子21
に与え同時にμTij(k) で示される値を第2のデータ入
力端子22に与え、乗算器24でμTij(k) wj ・n-1
(k)の演算をなし、この出力と遅延回路26のNi ・n-1
(k)とを加算器25で加算してwi ・n-1(k)+μTij(k)
wj ・n-1(k)を得る。次に、この加算出力を遅延回路
26に入れる。次に、乗算器24に第1のデータ供給回
路27からwj ・n-1(k)におけるjの値の異なる係数値
を与えると共に第2のデータ供給回路B0 〜BL からT
ij(k) におけるjの値の異なる値を与え、これ等の乗算
出力を得て、これと遅延回路26の値とを加算器25で
加算する。即ち、 {wi ・n-1(k)+μTij(k) wj ・n-1(k)}+{μTij(k) wj ・n-1(k)} を求める。なお、この式において2つのμTij(k) wj
・n-1(k)はjが異なる値であるので、実際には異なる値
になる。この様な演算処理をjの値を0からLまで変え
てL回行う。次に、第1のデータ供給回路27から1を
示すデータを乗算器24に与え、第2のデータ供給回路
B0 〜BL からμIi(k)を乗算器24に与えて乗算器2
4からμIj(k)を出力し、遅延回路25から得られる wi ・n-1(k)+{μTij(k) ・wj ・n-1(k)}+{μTij(k) wj ・n-1(k)}… と乗算器24の出力μIj(k)とを加算器25で加算して
n回の内部更新後の係数として利用する。
【0050】図9では一般式に基づいて演算処理を説明
したが、理解を容易にするために図10を参照して2回
の内部更新演算を行う場合の動作を説明する。図10は
図4の適応フィルタにおけるデータ処理回路11を示
す。図4の適応フィルタはL=1であって2つの係数を
有するのみであるから、図10の単位演算回路はS0 と
S1 との2つのみである。内部更新回数nは2であるの
で、第1のデータ供給回路27には第1回の内部更新演
算に使用される更新前の係数wj ・n-1(k)を示すw00
(k) とw10(k)と1とが含まれている。0番目の係数の
更新のための第2のデータ供給回路B0 はμIi(k)を示
すμI0(k)とμTij(k) を示すμT00(k) とμT01(k)
とを予め演算して保持している。1番目の係数の更新の
ための第2のデータ供給回路B1 は同様にμI1(k)、μ
T10(k) μT11(k) を予め演算して保持している。
【0051】図4で説明した0番目と1番目の2つの係
数の第1回目の内部更新演算を w01(k) =w00(k) +μ{T00(k) w00(k) +T01(k) w10(k) +I0(k)} w11(k) =w10(k) +μ{T10(k) w00(k) +T11(k) w10(k) +I1(k)} で示される式に従うように実行するために、まず、第1
のデータ供給回路27からk−1のサンプリング時刻で
決定された第1の係数値w00(k) を各単位演算回路S0
、S1 の乗算器24に夫々与えると共に、第2のデー
タ供給回路B0 、B1 からμT00(k) とμT10(k) とを
各乗算器24に与えてμT00(k) w00(k) とμT10(k)
w00(k) とを得る。
【0052】次に、加算器25において乗算器24の出
力と遅延回路26に保持されている更新前の係数w00
(k) 、w10(O) とを加算することによって w00(k) +μT00(k) w00(k) 及び w10(k) +μT10(k) w00(k) を得る。そして、この値を夫々の遅延回路26で保持す
る。
【0053】次に、第1のデータ供給回路27で保持し
ているW10(k) を単位演算回路S0、S1 の乗算器24
に夫々与えると共に第2のデータ供給回路B0 、B1 か
らμT01(k) とμT11(k) とを夫々乗算器24に与え、
μT01(k) w10(k) 及びμT11(k) w10(k) の演算出力
を得る。次に、乗算出力と遅延回路26の出力とを加算
器25で加算して w00+μT00(k) w00(k) +μT01(k) w10(k) 及び w10(k) +μT10(k) w00(k) +μT11(k) w10(k) を得、これを遅延回路26で保持する。
【0054】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27から1を与えると共に、第2のデータ供給回
路B0 、B1 からμI0(k)、μI1(k)を与えて乗算出力
μI0(k)、μI1 (k) を得、これと遅延回路26の出力
とを加算器25で加算することによって w00(k) +μT00(k) w00(k) +μT01(k) w10(k) +
μI0(k)及び w10(k) +μT10(k) w00(k) +μT11(k) w10(k) +
μI1(k) を得る。これは前述した第1回目の内部更新された2つ
の係数w01(k)、w11(k) と同一である。このようにし
て第1回目の内部更新演算が終了したら、この2つの係
数w01(k) 、w11(k) を夫々の遅延回路26で保持する
と共に、第1のデータ供給回路27で保持する。
【0055】2つの係数の第2回目の内部更新演算を前
述した w02(k) =w01(k) +μ{T00(k) w01(k) +T01(k) w11(k) +I0(k)} 及び w12(k) =w11(k) +μ{T10(k) w01(k) +T11(k) w11(k) +I1(k)} の式に従って実行するために、まず、夫々の乗算器24
に第1のデータ供給回路27からw11(k) を与えると共
に第2のデータ供給回路B0 、B1 からμT00(k) 、μ
T10(k) を与えてμT00(k) w01(k) 及びμT10(k) w
01(k) の乗算出力を得る。
【0056】次に、加算器25において上記乗算出力と
遅延回路26のw01(k) 、w11(k)とを加算して w01(k) +μT00(k) w01(k) 及び w11(k) +μT10(k) w01(k) を得て遅延回路26で夫々保持する。
【0057】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27からw11(k) を与えると共に、第2のデータ
供給回路B0 、B1 からT01(k) 、T11(k) を与えてμ
T01(k) w11(k) 及びμT11(k) w11(k) の乗算出力を
得る。次に、夫々の乗算出力と夫々の遅延回路26の値
とを夫々の加算器25で加算して w01(k) +μT00(k) w01(k) +μT01(k) w11(k) 及
び w11(k) +μT10(k) w01(k) +μT11(k) w11(k) を得て夫々の遅延回路26で保持する。
【0058】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27から1を与えると共に、第2のデータ供給回
路B0 、B1 からμI0(k)、μI1(k)を与えてこれと同
一の乗算出力を得る。次に、夫々の乗算出力μI0(k)、
μI1(k)と夫々の遅延回路26の出力とを夫々の加算器
25で加算することによって w01(k) +μT00(k) w01(k) +μT01(k) w11(k) +
μI0(k)及び w11(k) +μT10(k) w01(k) +μT11(k) w11(k) +
μI1(k) を得る。これは前述した第2回目の2つの内部更新係数
値w02(k) 及びw12(k)を示す値と同一である。これに
より、第2回目の内部更新演算が終了したことになる。
この例では1サンプリング周期に内部更新を2回のみ行
うと仮定したので、第2回目の2つの内部更新係数値w
02(k) 、w12(k) を夫々遅延回路26で保持すると共に
第1のデータ供給回路27で保持し、更にライン27に
よって図4の係数乗算器A0 、A1 に送る。これによ
り、サンプリング時刻kの次のサンプリング時刻k+1
の係数が得られたことになる。
【0059】単位演算回路S0 〜SL の内部構成は図9
及び図10に示されているものに限るものではなく、こ
れと同等な演算を実行できればどの様な回路構成にして
もよい。
【0060】
【発明の効果】上述から明らかなように本発明によれ
ば、複数個の単位演算回路を使用して複数個の係数のn
回の更新演算を並列的に進めるので、比較的簡単な回路
でn回の更新演算を迅速に終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の適応フィルタを示すブロック図である。
【図2】ホップフィールドモデルを示すブロック図であ
る。
【図3】本発明の実施例に係わる適応フィルタを説明的
に示すブロック図である。
【図4】本発明に従う最も簡単な適応フィルタを示すブ
ロック図である。
【図5】本発明に従う適応フィルタの収束性を調べるた
めの回路を示す図である。
【図6】図5の回路でステップサイズを0.01、内部
更新回数を10とした場合の係数変化をアナログ的に示
す図である。
【図7】図5の回路でステップサイズを0.1、内部更
新回数を10とした場合の係数変化をアナログ的に示す
図である。
【図8】図5の回路でステップサイズを0.1とし、更
に係数更新を誤差信号e(k) に基づいて1回のみ行った
場合の係数変化をアナログ的に示す図である。
【図9】デ−タ処理回路を示すブロック図である。
【図10】2つの係数のためのデ−タ処理回路を示すブ
ロックずである。
【符号の説明】
1 信号入力端子 2 遅延手段 3 加算器 4 基準信号入力端子 11 係数更新データ処理回路 A0 〜AL 乗算器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【数1】で示される演算式に従って時刻kから次のサン
プリング時刻k+1までの期間にn回(但し、nは2以
上の正の整数)の内部更新演算を行い、n回目の内部更
新係数値を次のサンプリング時刻k+1における係数値
とする第2のステップ(但し、ここで、iは0からLま
でのL+1個の係数の位置を示す変数であって、前記変
数aに対応するものであり、jは0からLまでのL+1
値の係数の位置を示す変数であって前記変数mに対応す
るものであり、nはサンプリング時刻kから次のサンプ
リング時刻k+1までの1サンプリング周期における内
部更新演算の回数を示す変数であり、wi ・n-1 (k) は
0番目からL番目までのL+1個の係数のn回の内部更
新演算における各更新前の係数値を夫々示し、wi ・n
(k)は0番目からL番目までのL+1個の係数のn回の
内部更新演算における各更新後の係数値を夫々示し、μ
はステップサイズを示し、Tij(k) は任意の1つの係数
の更新値を求めるために必要な前記Tam(k) に対応する
L+1個の第1の値を示し、wj ・n-1(k)は更新前のL
+1個の係数を示し、Ii(k)は任意の1つの係数の更新
値を求めるために必要な前記Ia(k)に対応する第2の値
を示す)とを有することを特徴とする適応フィルタ装置
における係数更新方法において、 第1及び第2のデ−タ入力端子と出力端子とを有して前
記係数の更新演算を行うL+1個の単位演算回路を具備
し、前記L+1個の単位演算回路の前記第1のデ−タ入
力端子が更新前の係数を示すデ−タを供給する第1のデ
−タ供給回路に夫々接続され、前記L+1個の単位演算
回路の前記出力端子が前記第1のデ−タ供給回路に接続
され、前記L+1個の単位演算回路の前記第2のデ−タ
入力端子が前記0番目から前記L番目までの係数の更新
演算に必要な前記第1及び第2の値Tij(k) 、Ii(k)を
供給する第2のデ−タ供給回路に夫々接続されたデ−タ
処理回路を用意し、 前記0番目からL番目までの係数を更新するために前記
n回の内部更新演算を行う際に、内部更新演算に必要な
更新前係数値Wi ・n-1(k)として前記単位演算回路の出
力を使用することを特徴とする適用フィルタ装置におけ
る係数更新方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノイズキャンセリング
やシステムの同定等に使用されるディジタルフィルタの
1種である適応フィルタ装置における係数更新方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】適応信号処理のアルゴリズムとして、L
MS(Least Mean Square)アルゴリズム、自己直交化
アルゴリズム、RLS(Recursive Least Square)
アルゴリズム、入力を直交変換してからLMSアルゴリ
ズムを行う変換領域LMSアルゴリズム、学習同定法な
どが知られている。なかでも、LMSアルゴリズムは他
のアルゴリズムに比べ収束性の点で劣るが、計算量が少
ないこと、機構の単純さ、装置化の容易さから広く用い
られており、LMSアルゴリズムのこれらの優れた特徴
を生かし、収束性などの特性を改善する方法が提案され
ている。
【0003】LMSアルゴリズム法に従う従来の適応フ
ィルタ(適応ディジタルフィルタ)は図1に示すよう、
一定のサンプリング周期でデータ(入力信号)x(k) を
入力させるための入力端子1に1サンプリング周期を単
位遅延時間として入力信号x(k) を順次に遅延させるた
めの遅延手段2としてのL個の遅延素子M1 、M2 …M
L と、入力端子1と各遅延素子M1 〜ML の出力段に夫
々接続されたL+1個のラインC0 、C1 …CL と、乗
算器A0 、A1 …AL と、加算器3と、要求信号即ち基
準信号d(k) を入力させるための手段としての基準信号
入力端子4と、誤差信号e(k) を形成するための誤差演
算回路5とから成る。L+1個(但しLは1以上の正の
整数)のラインC0 〜CL に同時に得られる異なるサン
プリング時刻のL+1個の入力信号x(k) 、x(k-1) 、
x(k-2) …x(k-L) が乗算器A1〜AL に入力し、これ
等に係数w0 (k) 、w1(k)…wL(k)が乗算されて出力x
(k) w0(k)、x(k-1) w1(k)…x(k-L) wL(k)が得ら
れ、これ等が加算器3で加算されて出力y(k) となる。
出力y(k) は誤差演算回路5に入力し、基準信号d(k)
との差に対応する誤差出力e(k) が発生する。なお、y
(k) 及びe(k) を次式(1)(2)で示すことができ
る。 y(k) =w0 (k) x(k) +w1 (k) x(k-1) …+wL (k) x(k-L) (1) e(k) =d(k) −y(k) (2) y(k) を示す式(1)のベクトル表現は次の式(3)、
ラインC0 〜CL の信号のベクトル表現は次の式
(4)、係数のベクトル表現は次の式(5)、誤差信号
e(k) の式のベクトル表現は次の式(6)で示される。
なお、式(3)〜(6)の中のTはベクトルの転置を表
わす。
【0004】
【数2】
【0005】図1には示されていないが従来の適応フィ
ルタにおいては誤差信号e(k) に基づいて係数w0(k)、
w1(k)…wL(k)の更新値を演算する。次の式(7)は従
来のLMSアルゴリズムによる適応フィルタの係数更新
を示す。
【0006】
【数3】
【0007】適応フィルタの係数の平均値は次の条件を
満たすときウィーナー解に収束する。 0<μ<1/λ
max (8) ここで、λmax は入力信号xk の相関行列の固有値の最
大値である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】LMSアルゴリズムで
は収束を速めるためにステップサイズを大きく設定する
必要があるが、収束性を確保するためにステップサイズ
は十分小さく設定しなければならず、希望する収束性を
得ることが困難なことがしばしばある。
【0009】この種の問題を解決する方法が1991年
1月25日電子情報通信学会から発行された「電子情報
通信学会論文誌」VOL・J74−ANo.1の第19
頁〜第24頁の高橋潔の論文「LMS適応アルゴリズム
の特性改善」に開示されている。ここに開示されている
改良された係数更新方法によれば収束性が大幅に向上す
る。ところで、簡単な回路で係数の更新演算を高速に行
うことが要求されている。
【0010】そこで、本発明の目的は収束性の高い係数
更新を簡単な回路で行うことができる方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、所定のサンプリング周期で基準信号d(k)
を供給するための基準信号供給手段と、前記基準信号に
関係を有する入力信号x(k) を所定のサンプリング周期
で供給するための入力信号供給手段と、前記基準信号供
給手段と前記入力信号供給手段に接続され、1サンプリ
ング周期を単位遅延時間として前記入力信号を順次に遅
延することによってサンプリング時点の異なる0番目か
らL番目までのL+1個(但し、Lは1よりも大きい正
の整数)の入力信号を同時に得、前記0番目からL番目
の入力信号に0番目からL番目の係数{w0 (k) 、w1
(k) …wL (k) }を夫々乗算し、これによって得られた
L+1個の乗算出力を加算した出力y(k) を得るための
ディジタルフィルタ信号処理回路とを有する適応フィル
タ装置において前記係数を更新する方法であって、時刻
kにおける前記基準信号d(k) 及び前記L+1個の入力
信号に基づいて、 Tam(k) =−2x(k-a) x(k-m) Ia (k) =2d(k) x(k-a) (但し、ここで、a及びmは、夫々、0からLまでのL
+1個の変数であり、kはサンプリング時刻を示す記号
であり、Tam(k) は各係数の更新演算で使用する第1の
値であって、同一値を含めて(L+1)2 個の値を示
し、Ia (k) は各係数の更新演算で使用する第2の値で
あって、L+1個の値を示し、x(k-a) は同時に得られ
る前記L+1個の入力信号から順次に選択されたL+1
個の第1の入力信号を示し、x(k-m)は同時に得られる
前記L+1個の入力信号から順次に選択されたL+1個
の第2の入力信号を示す)を求める第1のステップと、
前記Tam(k) 、前記Ia (k) 、及び時刻kにおける前記
複数の係数w0(k)、w1(k)…wL(k)に基づいて、前記複
数の係数を、夫々、
【0012】
【数4】
【0013】で示される演算式に従って時刻kから次の
サンプリング時刻k+1までの期間にn回(但し、nは
2以上の正の整数)の内部更新演算を行い、n回目の内
部更新係数値を次のサンプリング時刻k+1における係
数値とする第2のステップ(但し、ここで、iは0から
LまでのL+1個の係数の位置を示す変数であって、前
記変数aに対応するものであり、jは0からLまでのL
+1値の係数の位置を示す変数であって前記変数mに対
応するものであり、nはサンプリング時刻kから次のサ
ンプリング時刻k+1までの1サンプリング周期におけ
る内部更新演算の回数を示す変数であり、Wi ・n-1
(k) は0番目からL番目までのL+1個の係数のn回の
内部更新演算における各更新前の係数値を夫々示し、w
i ・n (k) は0番目からL番目までのL+1個の係数の
n回の内部更新演算における各更新後の係数値を夫々示
し、μはステップサイズを示し、Tij(k) は任意の1つ
の係数の更新値を求めるために必要な前記Tam(k) に対
応するL+1個の第1の値を示し、wj ・n-1(k)は更新
前のL+1個の係数を示し、Ii(k)は任意の1つの係数
の更新値を求めるために必要な前記Ia(k)に対応する第
2の値を示す)とを有することを特徴とする適応フィル
タ装置における係数更新方法において、第1及び第2の
デ−タ入力端子と出力端子とを有して前記係数の更新演
算を行うL+1個の単位演算回路を具備し、前記L+1
個の単位演算回路の前記第1のデ−タ入力端子が更新前
の係数を示すデ−タを供給する第1のデ−タ供給回路に
夫々接続され、前記L+1個の単位演算回路の前記出力
端子が前記第1のデ−タ供給回路に接続され、前記L+
1個の単位演算回路の前記第2のデ−タ入力端子が前記
0番目から前記L番目までの係数の更新演算に必要な前
記第1及び第2の値Tij(k)、Ii(k)を供給する第2の
デ−タ供給回路に夫々接続されたデ−タ処理回路を用意
し、前記0番目からL番目までの係数を更新するために
前記n回の内部更新演算を行う際に、内部更新演算に必
要な更新前係数値Wi ・n-1(k)として前記単位演算回路
の出力を使用することを特徴とする適用フィルタ装置に
おける係数更新方法に係わるものである。
【0014】本発明に従う係数更新方法では、ニューラ
ルネットワーク(Neural Networks)の1つであるホッ
プフィールド(Hopfield)モデルとLMS法との類似性
に着目し、誤差信号e(k) に依存しないで係数の更新を
行う。図2にホップフィールドモデルを示す。ホップフ
ィールドモデルは“0”か“1”を出力とするニューロ
ンと呼ばれる非線形なユニットの相互結合により構成さ
れるニューラルネットである。ホップフィールドモデル
におけるユニットの動作は離散的なものと連続的なもの
とがあり、ユニット間の相互結合の強さは対称である。
ユニットiへの入力Ui は次の式(9)で表される。
【0015】
【数5】
【0016】ここで、Nはホップフィールドモデルにお
けるユニットの個数、Tijはユニット間の結合の強さ、
またIi はユニットiのバイアス値を表している。ユニ
ットの動作が離散的なモデルでは、ユニットiの出力V
iは次の式(10)のように更新される。 Vi(k+1)=1、(Ui(k)>0又はUi(k)=0) Vi(k+1)=0、(Ui(k)<0) (10) 相互結合の強さTijが対称性(Tij=Tji)をもつなら
ば、次の式で表されるネットワークのエネルギーはネッ
ワークの動作と共に減少し極小点に達することが示され
ている。
【0017】
【数6】
【0018】ホップフィールドモデルを数値問題に応用
する際のユニットによる数値表現方法として、数値をユ
ニットの和で表現する方法、更に1つの数値を表すいく
つかのグループを設け各グループ内での和にグループご
との重みを付けることにより表現する方法などが提案さ
れている。ここでは、新たに時刻kにおけるユニットi
の出力を時刻kにおける関数g[Ui(k)]と時刻(k-1)
におけるユニットiの出力Vi(k-1)との和として表され
るモデルを考える。
【0019】
【数7】
【0020】ここではLMSアルゴリズムとの対応を考
え、関数gとして g(x) =1、(x>0又はx=0) g(x) =−1、(x<0) (13) を用いることとする。このように定義されたネットワー
クのエネルギーをホップフィールドモデルと同様に次の
式で表すものとする。
【0021】
【数8】
【0022】式(14)に示されたエネルギーにおい
て、ユニットiの出力がk−1から時刻kの間にVi(k-
1)からVi(k)へ変化したときのエネルギーの変化量は、
次式で与えられる。
【0023】
【数9】
【0024】式(13)の関係から、エネルギーの変化
量は常に負となり、ネットワークの動作と共にネッワー
クのエネルギーは減少していくことがわかる。式(1
2)に示したモデルを図1に示した適応フィルタに用い
る。ネットワークの相互結合の強さTijとバイアスIi
を求めるため、ネットワークのエネルギー式(14)に
対応する適応フィルタのエネルギーとして式(6)に示
した誤差信号e(k) の2乗を用いることとする。
【0025】
【数10】
【0026】式(16)におけるエネルギーEは時刻k
における適応フィルタの係数の2次関数であり単一の最
小値をもつ。式(14)と式(16)を比較することに
よりネッワークの相互結合の強さTijとバイアスIi は
次式となる。 Tim(k) =−2x(k-1) x(k-m) Ii(k)=2d(k) x(k-1) (17) 式(16)のd2 (k) の項は定数項であるので無視でき
る。式(17)を用い、式(12)に従い繰り返しVi
を計算することによりVi に対応する適応フィルタの係
数Wi は式(16)に定義したエネルギーを減少させる
方向に変化することがわかる。しかし、このモデルでは
係数の変化量が+1、−1に限られているため十分な収
束性を得ることはできない。
【0027】式(12)に示したモデルとLMSアルゴ
リズムの類似性から式(17)に示した相互結合の強さ
TijとバイアスIi を用いてLMSアルゴリズムを表現
できることを示し、相互結合の強さTijとバイアスIi
を用い複数回適応フィルタの係数を更新する新しいLM
Sアルゴリズムを提案する。LMSアルゴリズムは式
(6)を式(7)に代入し、整理することにより次の式
で与えられる。
【0028】
【数11】
【0029】式(18)の右辺の第2項は式(17)に
示した相互結合の強さTijとバイアスIi に対応してい
る。式(18)に示した従来のLMSアルゴリズムにホ
ップフィールドモデルでの動作を加えた新しいLMSア
ルゴリズムを提案する。即ち、 (1) 時刻kにおけ
るデータをもとに式(17)に示した、相互結合の強さ
Tij(k) とバイアスIi(k)とを計算する。 (2) ホップフィールドモデルの動作と同様にTij
(k) とIi(k)を用い、係数をn回更新する。最後に更新
された係数を時刻k+1での係数とする。表には、係数
を10回(n=10)更新するものとし、係数wim(k)
は時刻kにおけるi番目の係数として、m回ホップフィ
ールドモデルの動作を繰り返した係数を表している。
【0030】
【表1】
【0031】新しいLMSアルゴリズムでは、ホップフ
ィールドモデルのユニットに相当する係数の値は式(1
3)に示すような離散的な動作はせず、連続的な値をと
るものとする。即ち、式(13)に示した関数gとして
単調に増加する線形関数を用いるものとする。このと
き、式(15)で表されるユニットiの出力が時刻k−
1から時刻kに変化したときのエネルギーの変化は関数
gが単調増加であることから常に負またはゼロとなるこ
とがわかる。
【0032】
【作用】新しいLMSアルゴリズムと従来のLMSアル
ゴリズムを比較し、その収束性、収束するステップサイ
ズμの範囲を検討する。提案するアルゴリズムは実時間
処理を前提としており、処理時間は限定されておりホッ
プフィールドモデルの動作による係数wk の更新回数は
限定されている。表に示したアルゴリズムにより、係数
wk とn回の更新により決定される係数wk+1 との間に
は次の関係が成り立つ。
【0033】
【数12】
【0034】ここで、“I”は単位行列を表す。ステッ
プサイズμの値が小さいとき、以下に示す近似が成り立
つ。
【0035】
【数13】
【0036】式(18)と比べ式(22)ではステップ
サイズμが繰り返し数倍(n倍)となり、収束性が向上
していることがわかる。また、ステップサイズμの値が
十分小さいとき、提案するアルゴリズムにより推定され
る係数は式(18)においてステップサイズを“nμ”
として推定される係数と同等であることがわかる。適応
フィルタが収束するステップサイズμの範囲としては式
(19)の右辺の第1項の絶対値が1より小さければよ
い。即ち、
【0037】
【数14】
【0038】このことから、新しいLMSアルゴリズム
の収束するステップサイズμの範囲は従来のLMSアル
ゴリズムと同様に 0<μ<1/λmax (24) となる。
【0039】時定数について従来のLMSと本発明のL
MSを比較すると、従来のLMSの時定数は1/4μλ
であるのに対して本発明のLMSの時定数は1/4μn
λであり、1/nになる。L+1個の単位演算回路は0
番目からL番目までの係数に対応しているので、各係数
のn回の内部更新演算を並列に進めることができる。各
単位演算回路の出力は次の内部更新演算の更新係数(初
期値)として使用するので、L+1個の係数のn回の更
新を簡単に行うことができる。
【0040】
【実施例】次に、図3を参照して本発明の実施例に係わ
る適応フィルタ装置を説明する。但し、図3において図
1と共通する部分には同一の符号を付してその説明を省
略する。図3のノイズキャンセリング回路はトランスバ
ーサル型適応フィルタ10と比較回路即ち誤差演算回路
5とから成る。実際にはこれ等の全て又は一部をコンピ
ュータ又はディジタル信号処理装置で構成するが、理解
を容易にするためにタップ付き遅延線フィルタ即ちトラ
ンスバーサルフィルタとして示されている。図3では誤
差信号e(k) を使用して係数w0(k)、w1(k)…wL(k)を
更新する代りに、入力信号x(k) と基準信号(要求信
号)d(k) を使用して各係数を更新している。このた
め、信号入力端子1と基準信号入力端子4とがデータ処
理回路11に接続され、このデータ処理回路11の0か
らLまでの出力ラインが乗算器(係数器)A0 〜AL に
接続されている。データ処理回路11は入力信号x(k)
の1サンプリング周期に1回の割合で更新した係数を出
力する。但し、データ処理回路11は1サンプリング周
期中にn回の内部更新のための演算を行い、最後の内部
更新値を乗算器A0 〜AL に与える。係数更新の方法は
発明を解決するための手段の欄で説明した通りである。
【0041】次に、理解を容易にするために、図4に示
すように2つの係数w0(k)、w1(k)を本発明に従って更
新する方法を説明する。図4において、入力端子1から
は一定のサンプリング周期で入力信号(ディジタルデー
タ)x(k) が入力する。単位遅延素子M1 の出力ライン
C1 には1サンプリング周期だけ先に入力した信号x(k
-1) が出力されている。従ってある時刻kにおいてライ
ンC0 、C1 に同時に第1及び第2の入力信号x(k) と
x(k-1) とが得られる。乗算器A0 、A1 においては、
サンプリング時刻の異なる第1及び第2の入力信号x
(k) 、x(k-1) に対して第1及び第2の係数w0(k)、w
1(k)が乗算され、出力x(k) w0(k)、x(k-1) w1(k)が
得られ、これ等が加算器3で加算されて出力信号y(k)
になる。第1及び第2の係数w0(k)、w1(k)は1サンプ
リング周期に1回更新される。この更新する係数は1回
の更新演算で決定せずに複数回(n回)の内部更新演算
を行った後に決定される。今、理解を容易にするために
1サンプリング周期における内部更新回数を2回として
説明する。
【0042】まず、第1のステップにおいて、時刻kに
おける基準信号d(k) と第1及び第2の入力信号x(k)
、x(k-1) に基づいて、 −2x(k) x(k) (以下、T00(k) と言う)と、 −2x(k-1) x(k) (以下、T01(k) と言う)と、 −2x(k) x(k-1) (以下、T10(k) と言う)と、 −2x(k-1) x(k-1) (以下、T11(k) と言う)と、 2d(k) x(k) (以下、I0(k)と言う)と、 2d(k) x(k-1) (以下、I1(k)と言う)とを夫々決定
する。
【0043】第2のステップにおいては、第1のステッ
プで決定したT00(k) 、T01(k) 、T10(k) 、T11(k)
、I0(k)、I1(k)と、第1のサンプリング時刻kにお
ける第1及び第2の係数w00(k) 、w10(k) と、ステッ
プサイズμに基づいて、次のサンプリング時刻k+1で
使用するための新しい第1の係数w00(k+1) 及びW10(K
+1)を決定するために、第1回目の内部更新値w01(k)
を、 w01(k) =w00(k) +μ{T00(k) w00(k) +T01(k) w10(k) +I0(k)} の演算式に従って求める。また、次のサンプリング時刻
k+1における第2の係数w1(k+1)に決定するために、
第1回目の内部更新値w11(k)を、 w11(k) =w10(k) +μ{T10(k) w00(k) +T11(k) w10(k) +I1(k)} の演算式に従って求める。次に第1の係数の第2回目の
内部更新値w02(k) を、 w02(k) =w01(k) +μ{T00(k) w01(k) +T01(k) w11(k) +I0(k)} の演算式に従って求める。また、第2の係数の第2回目
の内部更新値w12(k) を 、 w12(k) =w11(k) +μ{T10(k) w01(k) +T11(k) w11(k) +I1(k)} の演算式に従って求める。第2回目の内部更新が終了し
たら、次のサンプリング時刻k+1における第1及び第
2の係数として第2回目の内部更新値w02(k) とw12
(k) を乗算器A0 、A1 に送り、次のサンプリング時刻
k+1の第1及び第2の入力端子x(k+1) 、x(k) に乗
算する。
【0044】今、2回の内部更新によって次のサンプリ
ング時刻k+1の第1及び第2の係数を決定したが、実
際には2回よりも多いn回の内部更新演算を第1回及び
第2回の内部更新演算と同様に行って決定することが望
ましい。内部更新を2回行うと時定数は従来方法の1/
2になり、収束性が良くなる。内部更新をn回行うと時
定数は従来方法の1/nになり、同様に収束性が良くな
る。
【0045】本実施例の適応フィルタ装置の収束性を図
5に示す方式で確認した。図5では入力端子1の前段に
第1及び第2の入力端子1a、1bと加算器1cを有
し、第1の入力端子1aからsin(2πk/N)の正
弦波信号が入力し、第2の入力端子1bから平均0、分
散0.01のランダムノイズ(白色雑音)r(k) が入力
し、これ等が加算されて入力信号x(k) となる。要求信
号即ち基準信号d(k) としては2cos(2πk/N)
が端子4から入力している。
【0046】図6及び図7は図5に従う方式における係
数w0 、w1 の変化をアナログ的に示し、図8は誤差信
号e(k) に基づいて1サンプリング周期に1回のみ更新
する従来方式の係数の変化を示す。図6、図7、図8の
横軸のサンプル番号は時刻kにおけるサンプル番号を0
としてその後のサンプル番号を示す。従って横軸は時間
を示していることになる。図6はステップサイズμが
0.01、内部更新回数nが10の場合の係数変化を示
し、図7はステップサイズμが0.1、内部更新回数n
が10の場合の係数変化を示し、図8はステップサイズ
μが図7と同じ0.1の場合の従来の係数変化を示す。
図6と図7との比較から明らかなように、本発明に従う
適応フィルタではステップサイズμを従来の1/10に
しても収束性の低下が生じない。また、図7と図8の比
較から明らかなように、ステップサイズμが従来と同一
の場合には収束性が大幅に向上する。即ち図8の従来方
式ではほぼサンプル番号500で収束するのに対し、本
発明に従う図7ではほぼサンプル番号50で収束する。
従って時定数が1/10になり、収束性が大幅に良くな
る。図7においては収束性が向上している代りに係数の
変動(誤差)が大きくなる。従って、この係数誤差より
も収束性を優先しなければならないシステムにおいて本
発明は大きな効果を発揮する。また、図7に示す係数誤
差の影響を軽減するために、係数の内部更新回数nを適
応フィルタの収束の度合に応じて増減させることができ
る。即ち、適応過程時(立上り時)には係数の内部更新
回数nを大きく増し、収束後にnを小さくする。
【0047】ところで、図3のデータ処理回路11にお
ける係数更新演算を簡単な回路で高速に行うことが要求
される。そこで、本実施例では、データ処理回路11を
図9に示すようにシストリックアレー構造にした。
【0048】図9において、S0 、S1 …SL は0番目
からL番目までのL+1個の係数に対応した単位演算回
路であり、第1及び第2のデータ入力端子21、22
と、出力端子23と、乗算器24と、加算器25と、1
サンプル遅延回路26を夫々有している。乗算器24は
第1及び第2のデータ入力端子21、22に接続されて
いる。加算器25は乗算器24とメモリから成る遅延回
路26に接続され、加算出力を出力端子23に与えると
共に遅延回路26に与える。
【0049】第1のデータ供給回路27は各単位演算回
路S0 〜SL の第1のデータ入力端子21に接続されて
いる。この第1のデータ供給回路27は係数更新演算に
必要な更新前の係数wi ・n-1(k)、Wj・n-1(k)及び数
値1を示すデータを出力する。更新前の係数値を単位演
算回路S0 〜SL から得るために各出力端子23が第1
のデータ供給回路27に接続されている。
【0050】各単位演算回路S0 〜SL の第2のデータ
入力端子22は0番目からL番目の第2のデータ供給回
路B0 〜BL に夫々接続されている。第2のデータ供給
回路B0 〜BL は0番目からL番目までの係数の更新演
算に必要な第1の値Tij(k)とステップサイズμとの積
μTij(k) と、第2の値Ii(k)とステップサイズμとの
積μIi(k)とを演算で求め、これを出力する。図9では
図示を簡略化するために全部の第2のデータ供給回路B
0 〜BL に同一のデータが示されているが、実際には0
番目からL番目までのL+1個の係数の更新で要求され
る第1及び第2の値は異なる。例えば、0番目の第2の
データ供給回路B0 は、μTij(k) として、μT00(k)
、μT01(k) 、μT02(k) …μT0L(k) を出力し、μ
Ii(k)としてμI0(k)を出力する。また、1番目の第2
のデータ供給回路B1 は、μTij(k) としてμT10、μ
T11、μT12…μT1Lを出力し、μIi(k)としてμI1
(k)を出力する。L番目の第2のデータ供給回路BL
は、μTij(k)としてμTL0、μTL1、μTL2…μTLL
を出力し、μIi(k)としてμIL(k)を出力する。
【0051】1回の更新演算の開始時には遅延回路26
に更新前の係数wi ・n-1(k)が保持されている。次に、
第1のデータ供給回路27からwj・n-1(k)で示される
0番からL番までのL+1個の係数から選択された1つ
を単位演算回路S0 〜SL の第1のデータ入力端子21
に与え同時にμTij(k) で示される値を第2のデータ入
力端子22に与え、乗算器24でμTij(k) wj ・n-1
(k)の演算をなし、この出力と遅延回路26のNi ・n-1
(k)とを加算器25で加算してwi ・n-1(k)+μTij(k)
wj ・n-1(k)を得る。次に、この加算出力を遅延回路
26に入れる。次に、乗算器24に第1のデータ供給回
路27からwj ・n-1(k)におけるjの値の異なる係数値
を与えると共に第2のデータ供給回路B0 〜BL からT
ij(k) におけるjの値の異なる値を与え、これ等の乗算
出力を得て、これと遅延回路26の値とを加算器25で
加算する。即ち、 {wi ・n-1(k)+μTij(k) wj ・n-1(k)}+{μTij(k) wj ・n-1(k)} を求める。なお、この式において2つのμTij(k) wj
・n-1(k)はjが異なる値であるので、実際には異なる値
になる。この様な演算処理をjの値を0からLまで変え
てL回行う。次に、第1のデータ供給回路27から1を
示すデータを乗算器24に与え、第2のデータ供給回路
B0 〜BL からμIi(k)を乗算器24に与えて乗算器2
4からμIj(k)を出力し、遅延回路25から得られる wi ・n-1(k)+{μTij(k) ・wj ・n-1(k)}+{μTij(k) wj ・n-1(k)}… と乗算器24の出力μIj(k)とを加算器25で加算して
n回の内部更新後の係数として利用する。
【0052】図9では一般式に基づいて演算処理を説明
したが、理解を容易にするために図10を参照して2回
の内部更新演算を行う場合の動作を説明する。図10は
図4の適応フィルタにおけるデータ処理回路11を示
す。図4の適応フィルタはL=1であって2つの係数を
有するのみであるから、図10の単位演算回路はS0 と
S1 との2つのみである。内部更新回数nは2と仮定し
ているので、第1のデータ供給回路27には第1回の内
部更新演算に使用される更新前の係数wj ・n-1(k)を示
すw00(k) とw10(k) と1とが含まれている。0番目の
係数の更新のための第2のデータ供給回路B0 はμIi
(k)を示すμI0(k)とμTij(k) を示すμT00(k) とμ
T01(k) とを予め保持している。1番目の係数の更新の
ための第2のデータ供給回路B1 は同様にμI1(k)、μ
T10(k) μT11(k) を予め保持している。
【0053】図4で説明した0番目と1番目の2つの係
数の第1回目の内部更新演算を w01(k) =w00(k) +μ{T00(k) w00(k) +T01(k) w10(k) +I0(k)} w11(k) =w10(k) +μ{T10(k) w00(k) +T11(k) w10(k) +I1(k)} で示される式に従うように実行するために、まず、第1
のデータ供給回路27からk−1のサンプリング時刻で
決定された第1の係数値w00(k) を各単位演算回路S0
、S1 の乗算器24に夫々与えると共に、第2のデー
タ供給回路B0 、B1 からμT00(k) とμT10(k) とを
各乗算器24に与えてμT00(k) w00(k) とμT10(k)
w00(k) とを得る。
【0054】次に、加算器25において乗算器24の出
力と遅延回路26に保持されている更新前の係数w00
(k) 、w10(O) とを加算することによって w00(k) +μT00(k) w00(k) 及び w10(k) +μT10(k) w00(k) を得る。そして、この値を夫々の遅延回路26で保持す
る。
【0055】次に、第1のデータ供給回路27で保持し
ているW10(k) を単位演算回路S0、S1 の乗算器24
に夫々与えると共に第2のデータ供給回路B0 、B1 か
らμT01(k) とμT11(k) とを夫々乗算器24に与え、
μT01(k) w10(k) 及びμT11(k) w10(k) の演算出力
を得る。次に、乗算出力と遅延回路26の出力とを加算
器25で加算して w00+μT00(k) w00(k) +μT01(k) w10(k) 及び w10(k) +μT10(k) w00(k) +μT11(k) w10(k) を得、これを遅延回路26で保持する。
【0056】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27から1を与えると共に、第2のデータ供給回
路B0 、B1 からμI0(k)、μI1(k)を与えて乗算出力
μI0(k)、μI1 (k) を得、これと遅延回路26の出力
とを加算器25で加算することによって w00(k) +μT00(k) w00(k) +μT01(k) w10(k) +
μI0(k)及び w10(k) +μT10(k) w00(k) +μT11(k) w10(k) +
μI1(k) を得る。これは前述した第1回目の内部更新された2つ
の係数w01(k)、w11(k) と同一である。このようにし
て第1回目の内部更新演算が終了したら、この2つの係
数w01(k) 、w11(k) を夫々の遅延回路26で保持する
と共に、第1のデータ供給回路27で保持する。
【0057】2つの係数の第2回目の内部更新演算を前
述した w02(k) =w01(k) +μ{T00(k) w01(k) +T01(k) w11(k) +I0(k)} 及び w12(k) =w11(k) +μ{T10(k) w01(k) +T11(k) w11(k) +I1(k)} の式に従って実行するために、まず、夫々の乗算器24
に第1のデータ供給回路27からw11(k) を与えると共
に第2のデータ供給回路B0 、B1 からμT00(k) 、μ
T10(k) を与えてμT00(k) w01(k) 及びμT10(k) w
01(k) の乗算出力を得る。
【0058】次に、加算器25において上記乗算出力と
遅延回路26のw01(k) 、w11(k)とを加算して w01(k) +μT00(k) w01(k) 及び w11(k) +μT10(k) w01(k) を得て遅延回路26で夫々保持する。
【0059】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27からw11(k) を与えると共に、第2のデータ
供給回路B0 、B1 からT01(k) 、T11(k) を与えてμ
T01(k) w11(k) 及びμT11(k) w11(k) の乗算出力を
得る。次に、夫々の乗算出力と夫々の遅延回路26の値
とを夫々の加算器25で加算して w01(k) +μT00(k) w01(k) +μT01(k) w11(k) 及
び w11(k) +μT10(k) w01(k) +μT11(k) w11(k) を得て夫々の遅延回路26で保持する。
【0060】次に、夫々の乗算器24に第1のデータ供
給回路27から1を与えると共に、第2のデータ供給回
路B0 、B1 からμI0(k)、μI1(k)を与えてこれと同
一の乗算出力を得る。次に、夫々の乗算出力μI0(k)、
μI1(k)と夫々の遅延回路26の出力とを夫々の加算器
25で加算することによって w01(k) +μT00(k) w01(k) +μT01(k) w11(k) +
μI0(k)及び w11(k) +μT10(k) w01(k) +μT11(k) w11(k) +
μI1(k) を得る。これは前述した第2回目の2つの内部更新係数
値w02(k) 及びw12(k)を示す値と同一である。これに
より、第2回目の内部更新演算が終了したことになる。
この例では1サンプリング周期に内部更新を2回のみ行
うと仮定したので、第2回目の2つの内部更新係数値w
02(k) 、w12(k) を夫々遅延回路26で保持すると共に
第1のデータ供給回路27で保持し、更にライン27に
よって図4の係数乗算器A0 、A1 に送る。これによ
り、サンプリング時刻kの次のサンプリング時刻k+1
の係数が得られたことになる。
【0061】単位演算回路S0 〜SL の内部構成は図9
及び図10に示されているものに限るものではなく、こ
れと同等な演算を実行できればどの様な回路構成にして
もよい。
【0062】
【発明の効果】上述から明らかなように本発明によれ
ば、複数個の単位演算回路を使用して複数個の係数のn
回の更新演算を並列的に進めるので、比較的簡単な回路
でn回の更新演算を迅速に終了させることができる。
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のサンプリング周期で基準信号d
    (k) を供給するための基準信号供給手段と、 前記基準信号に関係を有する入力信号x(k) を所定のサ
    ンプリング周期で供給するための入力信号供給手段と、 前記基準信号供給手段と前記入力信号供給手段に接続さ
    れ、1サンプリング周期を単位遅延時間として前記入力
    信号を順次に遅延することによってサンプリング時点の
    異なる0番目からL番目までのL+1個(但し、Lは1
    よりも大きい正の整数)の入力信号を同時に得、前記0
    番目からL番目の入力信号に0番目からL番目の係数
    {w0 (k) 、w1 (k) …wL (k) }を夫々乗算し、これ
    によって得られたL+1個の乗算出力を加算した出力y
    (k) を得るためのディジタルフィルタ信号処理回路とを
    有する適応フィルタ装置において前記係数を更新する方
    法であって、 時刻kにおける前記基準信号d(k) 及び前記L+1個の
    入力信号に基づいて、 Tam(k) =−2x(k-a) x(k-m) Ia (k) =2d(k) x(k-a) (但し、ここで、a及びmは、夫々、0からLまでを区
    別するためのL+1個の変数であり、kはサンプリング
    時刻を示す記号であり、Tam(k) は各係数の更新演算で
    使用する第1の値であって、同一値を含めて(L+1)
    2 個の値を示し、Ia (k) は各係数の更新演算で使用す
    る第2の値であって、L+1個の値を示し、x(k-a) は
    同時に得られる前記L+1個の入力信号から順次に選択
    されたL+1個の第1の入力信号を示し、x(k-m) は同
    時に得られる前記L+1個の入力信号から順次に選択さ
    れたL+1個の第2の入力信号を示す)を求める第1の
    ステップと、 前記Tam(k) 、前記Ia (k) 、及び時刻kにおける前記
    複数の係数w0(k)、w1(k)…wL(k)に基づいて、前記複
    数の係数を、夫々、 【数1】 で示される演算式に従って時刻kから次のサンプリング
    時刻k+1までの期間にn回(但し、nは2以上の正の
    整数)の内部更新演算を行い、n回目の内部更新係数値
    を次のサンプリング時刻k+1における係数値とする第
    2のステップ(但し、ここで、iは0からLまでのL+
    1個の係数の位置を示す変数であって、前記変数aに対
    応するものであり、jは0からLまでのL+1値の係数
    の位置を示す変数であって前記変数mに対応するもので
    あり、nはサンプリング時刻kから次のサンプリング時
    刻k+1までの1サンプリング周期における内部更新演
    算の回数を示す変数であり、wi ・n-1 (k) は0番目か
    らL番目までのL+1個の係数のn回の内部更新演算に
    おける各更新前の係数値を夫々示し、wi ・n(k)は0番
    目からL番目までのL+1個の係数のn回の内部更新演
    算における各更新後の係数値を夫々示し、μはステップ
    サイズを示し、Tij(k) は任意の1つの係数の更新値を
    求めるために必要な前記Tam(k) に対応するL+1個の
    第1の値を示し、wj ・n-1(k)は更新前のL+1個の係
    数を示し、Ii(k)は任意の1つの係数の更新値を求める
    ために必要な前記Ia(k)に対応する第2の値を示す)と
    を有することを特徴とする適応フィルタ装置における係
    数更新方法において、 第1及び第2のデ−タ入力端子と出力端子とを有して前
    記係数の更新演算を行うL+1個の単位演算回路を具備
    し、前記L+1個の単位演算回路の前記第1のデ−タ入
    力端子が更新前の係数を示すデ−タを供給する第1のデ
    −タ供給回路に夫々接続され、前記L+1個の単位演算
    回路の前記出力端子が前記第1のデ−タ供給回路に接続
    され、前記L+1個の単位演算回路の前記第2のデ−タ
    入力端子が前記0番目から前記L番目までの係数の更新
    演算に必要な前記第1及び第2の値Tij(k) 、Ii(k)を
    供給する第2のデ−タ供給回路に夫々接続されたデ−タ
    処理回路を用意し、 前記0番目からL番目までの係数を更新するために前記
    n回の内部更新演算を行う際に、内部更新演算に必要な
    更新前係数値Wi ・n-1(k)として前記単位演算回路の出
    力を使用することを特徴とする適用フィルタ装置におけ
    る係数更新方法。
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