JPH05142241A - 四輪駆動車用車体速度推定装置 - Google Patents

四輪駆動車用車体速度推定装置

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JPH05142241A
JPH05142241A JP32694891A JP32694891A JPH05142241A JP H05142241 A JPH05142241 A JP H05142241A JP 32694891 A JP32694891 A JP 32694891A JP 32694891 A JP32694891 A JP 32694891A JP H05142241 A JPH05142241 A JP H05142241A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、四輪駆動車用の車体速度推定装置
に関し、実加速度の検出に誤差が生じたりスリップ中に
運転者がアクセルを緩めない場合にも車体速度の推定を
適切に行なえるようにすることを目的とする。 【構成】 車輪速度対応加速度VBFと実加速度GXと
を比較して車輪がスリップを開始したかどうかを判断す
るスリップ開始判断手段216fと、車輪のスリップ開
始時にはこの時に得られた車輪速度対応車体速度VB0
と実加速度GXとに基づき該実加速度GXに関する値を
時間積分して得られる速度値を該車輪速度対応車体速度
VB0 に加算して車体速度を算出してかかる車体速度を
推定車体速度VBとする実加速度対応車体速度推定手段
216gとをそなえ、車輪のスリップ開始から所定時間
経過した後には実加速度対応車体速度推定手段216g
による推定車体速度の採用を停止するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、全ての車輪がスリップ
しうる四輪駆動式自動車(四輪駆動車)において車体速
度を推定する四輪駆動車用車体速度推定装置に関し、特
に、トラクションコントロール機構のように車両の制御
に車体速度を必要とする装置をそなえた四輪駆動車に用
いて好適の、四輪駆動車用車体速度推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪駆動車では、全ての車輪が路面に対
してスリップしうるので車輪速度(車輪速とも略す)か
ら確実に車体速度(車体速とも略す)を得ることができ
ないので、車体速度に近い値を推定する必要がある。こ
のような車体速度推定手段としては、次のようなものが
ある。
【0003】すなわち、通常は4輪のそれぞれに車輪速
度センサ(車輪速センサとも略す)を付設して、これら
の車輪速センサの検出値のうち、小さい方から2番目の
車輪速V3(ここでは、車輪速とは車輪の回転数を車速
レベルに換算した値であり、車輪速は大きい方から順に
番号付けしている)を推定車体速度VBとして採用して
いる。なお、推定車体速度VBのうち、この車輪速度に
対応した推定車体速度をVBFとする。
【0004】これは、四輪駆動車では、何れの車輪も僅
かながらでも路面に対してスリップしているものと推測
でき、4輪のいずれの車輪に基づいて車体速を算出して
も実際の車体速(実車体速)よりも大きくなるものと考
えられる。したがって、4輪の車輪速値のうち最も小さ
い値V4として得られる車体速が実車体速に最も近いも
のと推定できる。
【0005】一方、車輪速センサによる検出では、外乱
等により正確な値が得られないことがある。そこで、検
出の信頼性を考慮して、最も小さい値V4でなく、小さ
い方から2番目の車輪速V3を推定車体速度VBとして
採用しているのである。
【0006】ところで、低μ路(摩擦係数μの低い路
面)等では、何れの車輪のスリップ量も大きくなって、
小さい方から2番目の車輪速V3も最も小さい車輪速V
4も、実車体速とは大きく異なった値となる。このた
め、車輪のスリップ時(限度以上にスリップした時)に
は、上述とは異なる手段で推定車体速度VBを得る必要
がある。
【0007】そこで、まず、上記の推定車体速度VBF
から得られる車体の加速度(VBF ′=dVBF/d
t)と車両に設けた前後加速度センサ(前後Gセンサ)
で検出した実加速度の値(GX)とを比較して車輪が限
度以上にスリップしているかどうかを判断する。
【0008】すなわち、次式(1)を満たすときには、
車輪が限度以上にスリップしているものとする。 VBF′>GX+α ・・・・・・(1) ただし、α:定数(スリップ許容範囲に応じて設定しう
る定数)
【0009】そして、車輪が限度以上にスリップしてい
るときには、車輪が限度以上にスリップしていると判断
されたときに推定された推定車体速度VB0と制御周期
毎に前後加速度センサから入力される実加速度GXとに
基づき次式(2)により、推定車体速度VBを算出す
る。つまり、制御周期毎に前後加速度センサから入力さ
れる実加速度GXに定数βを積算して定数γを加算した
値を、経過時間だけ(即ち、時間T経過したとするとt
=oからt=Tまで)積分して、推定車体速度VB0
この値を加算することにより、推定車体速度VBを算出
する。なお、推定車体速度VBのうち、この実加速度に
基づいて算出した推定車体速度をVB2 とする。 VB2 =VB0 +∫(β・GX+γ)dt ・・・・・・(2)
【0010】さらに、式(2)により算出された推定車
体速度VB2 が車輪速V3に対応した推定車体速度VB
F(=V3)と等しくなったとき(VB2 =V3が成立
するようになったとき)、式(2)による車輪のスリッ
プを加味した車速推定を中止して、前述のVBF(=V
3)を推定車体速度VBとして設定する。
【0011】このような手段により算出された推定車体
速度VBに基づき、トラクションコントール等の制御の
ため、コントローラから各制御部へ制御信号が出力され
る。
【0012】なお、スリップ開始後には実加速度GXが
ほぼ一定であるとして、スリップ開始時の実加速度GX
0 (=定数)を用いて、推定車体速度をVB2 を次式
(2)′により求めることも考えられる。 VB2 =VB0 +∫(β・GX0 +γ)dt ・・・・・・(2)′
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常は式
(2)又は(2)′における定数β,γをβ=1,γ=
0と設定するが、このような場合、次のような不具合の
発生するおそれがある。
【0014】すなわち、図8は、加速時における車体速
度の推定が適切に行なわれた場合における車体速度の変
化を、横軸を時間軸として表したものであり、一点鎖線
が実車体速度VBR、破線が推定車体速度VB2 、実線
が推定車体速度VBFを示している。
【0015】図8に示すように、車輪のスリップ量が小
さいときに車輪速度V3が実車体速度VBRとほぼ等し
い値となるが、車輪のスリップ量が大きくなると車輪速
度V3が実車体速度VBRとある程度大きく異なるよう
になる。このときには、前述のごとく車輪速度V3に基
づく加速度と実加速度との比較から車輪のスリップを判
定でき、所要以上のスリップがあると判断されると、こ
のスリップ判定時の推定速度VB0 から傾き(β・GX
+γ)の直線のごとく推定車体速度VB2 が設定され
る。
【0016】そして、推定車体速度VBF(つまり、車
輪速度V3)がピークを過ぎて実車体速度に近づいてく
ると、VBF=VB2 となって、推定車体速度VB2
算出が停止され、推定車体速度VBとしては推定車体速
度VBF(=車輪速度V3)が採用される。
【0017】ところで、スリップ時に推定車体速度VB
2 を低めに設定した場合には、推定車体速度VB2 は実
際の車体速度に対して、図9に示すように設定されるこ
とがある。なお、図9中、横軸は時間軸であり、一点鎖
線が実車体速度VBR、破線が推定車体速度VB2 、実
線が推定車体速度VBFを示している。
【0018】図9に示すように、車輪のスリップ量が小
さいときには図8と同様であるが、車輪のスリップ量が
大きくなると、前述のごとく車輪速度V3に基づく加速
度と実加速度との比較から車輪のスリップを判定でき、
所要以上のスリップがあると判断されると、このスリッ
プ判定時の推定速度VB0 から傾き(β・GX+γ)の
直線のごとく推定車体速度VB2 が設定される。
【0019】このとき、実加速度GXの検出値が小さい
場合、即ち、Gセンサの精度が不良であったり、路面外
乱等による車体振動等で正確な加速度が検出されなかっ
たりして、GXの検出値が小さくなると、破線で示すよ
うに推定車体速度VB2 の傾きが小さくなり、推定車体
速度VBが次第に小さくなって、実車体速度VBRを下
回るようになる。
【0020】このため、推定車体速度VBF(つまり、
車輪速度V3)がピークを過ぎて実車体速度に近づいて
きても、車輪のスリップがほぼ終了しても、車輪速度V
3が実車体速度を下回ることはないため、VBF=VB
2 とならず、推定車体速度VBは車輪スリップ時の推定
状態が保たれ、実車体速度VBRからさらに離れていく
推定車体速度VB2 を推定車体速度VBとして採用して
いくことになり、適切な車体速度の推定が行なわれない
ことになる。
【0021】そこで、式(2)又は(2)′における定
数β又は定数γの値を上記の値よりも大きく設定する手
段が考えられる。つまり、定数βをβ>1の適当な値に
設定するか、又は、定数γをγ>0の適当な値に設定す
るのである。
【0022】これにより、推定車体速度VB2 の傾きが
大きくなるので、実加速度GXの検出値が小さくても、
推定車体速度VB2 を実車体速度VBR以上に保持で
き、VBF=VB2 とすることができ、スリップ時の推
定から非スリップ時の推定へ戻すことができるようにな
る。
【0023】しかしながら、このように定数β又は定数
γの値を大きく設定した場合には、スリップ中に運転者
がアクセルを緩めないと、推定車体速度VBF,VB2
は実際の車体速度に対して、図10に示すように設定さ
れることがある。なお、図10中、横軸は時間軸であ
り、一点鎖線が実車体速度VBR、破線が推定車体速度
VB2 、実線が推定車体速度VBFを示している。
【0024】図10に示すように、車輪がスリップして
からも運転者がアクセルを緩めないと車輪のスリップが
続行するので、推定車体速度VBFはなかなか実車体速
度VBRに近づかない。
【0025】一方、推定車体速度VB2 については、定
数β又は定数γの値を大きく設定しているので、この推
定車体速度VB2 の傾き(β・GX+γ)は、実車体速
度VBRの傾きよりも大きくなり、推定車体速度VB2
が実車体速度VBRを大幅に上回るようになる。
【0026】このため、推定車体速度VBFが実車体速
度VBRに近づかないのに、つまり、車輪がスリップし
ているのに、VBF=VB2 となることがあり、この後
には、スリップ中にも係わらずし非スリップ時の推定車
体速度VBFを採用することになってしまい、適切な車
体速度の推定が行なわれないことになる。
【0027】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、実加速度の検出に誤差が生じたりスリップ中
に運転者がアクセルを緩めない場合にも、車体速度の推
定を適切に行なえるようにした、四輪駆動車用車体速度
推定装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の四輪
駆動車用車体速度推定装置は、四輪駆動車における車体
速度を推定する車体速度推定装置において、車輪速度を
検出する車輪速度検出手段と、上記車輪速度に基づいて
車体速度を推定する車輪速度対応車体速度推定手段と、
上記の車輪速度対応車体速度推定手段で推定した車輪速
度対応車体速度に基づいて加速度を算出する車輪速度対
応加速度算出手段と、上記車体の実加速度を検出する実
加速度検出手段と、上記の車輪速度対応加速度と実加速
度とを比較して車輪がスリップを開始したかどうかを判
断するスリップ開始判断手段と、上記スリップ開始判断
手段で車輪がスリップを開始したと判断されるとこの時
に得られた上記車輪速度対応車体速度と上記実加速度と
に基づき該実加速度に関する値を時間積分して得られる
速度値を該車輪速度対応車体速度に加算して車体速度を
算出してかかる車体速度を推定車体速度とする実加速度
対応車体速度推定手段と、上記スリップ開始判断手段に
より車輪がスリップを開始したと判断されるまでと上記
スリップ開始判断手段により車輪がスリップを開始した
と判断されてから所定時間経過した後には上記車輪速度
対応車体速度を推定車体速度として採用し上記スリップ
開始判断手段により車輪がスリップを開始したと判断さ
れてから所定時間経過するまでの間には上記実加速度対
応車体速度を推定車体速度として採用するように構成さ
れていることを特徴としている。
【0029】
【作用】上述の本発明の四輪駆動車用車体速度推定装置
では、車輪速度検出手段により車輪速度が検出され、車
輪速度対応車体速度推定手段により上記車輪速度に基づ
いて車体速度が推定される。
【0030】さらに、車輪速度対応加速度算出手段によ
り上記の車輪速度対応車体速度推定手段で推定した車輪
速度対応車体速度に基づいて加速度が算出され、スリッ
プ開始判断手段により上記の車輪速度対応加速度と実加
速度とを比較して車輪がスリップを開始したかどうかが
判断される。
【0031】さらに、実加速度対応車体速度推定手段に
より、上記スリップ開始判断手段で車輪がスリップを開
始したと判断されるとこの時に得られた上記車輪速度対
応車体速度と上記実加速度とに基づき該実加速度に関す
る値を時間積分して得られる速度値を該車輪速度対応車
体速度に加算して車体速度を算出してかかる車体速度を
推定車体速度とする。
【0032】そして、スリップ開始判断手段により車輪
がスリップを開始したと判断されるまでとスリップ開始
判断手段により車輪がスリップを開始したと判断されて
から所定時間経過した後には車輪速度対応車体速度を推
定車体速度として採用し、上記スリップ開始判断手段に
より車輪がスリップを開始したと判断されてから所定時
間経過するまでの間には実加速度対応車体速度を推定車
体速度として採用する。
【0033】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の四輪駆動車用車体速度推定装置について説明すると、
図1はその装置の要部構成を示すブロック図、図2はそ
の装置をそなえる自動車の駆動系の構成を示す摸式図、
図3はその要部の作動を示すフローチャート、図4はそ
の車速推定例を示すグラフ、図5,6はいずれもその被
積分値(実加速度に関する値)の補正係数の特性を示す
グラフ、図7はその車速推定例を示すグラフである。
【0034】この実施例の四輪駆動車用車体速度推定装
置は、自動車の駆動系制御(トラクションコントロー
ル)の装置に用いられており、図1に示すように、駆動
状態を制御する機能をそなえた中央処理装置(CPU)
内に設けられている。
【0035】まず、図1を参照してこの四輪駆動車用車
体速度推定装置をそなえる車両の駆動系の全体構成を説
明する。
【0036】図2において、符号2はエンジンであっ
て、このエンジン2の出力はトルクコンバータ4及び自
動変速機6を介して出力軸8に伝達される。出力軸8の
出力は、中間ギア10を介して前輪と後輪とのエンジン
トルクを所要の状態に配分する作動装置としての遊星歯
車式差動装置12に伝達される。
【0037】この遊星歯車式差動装置12の出力は、一
方において減速歯車機構19,前輪用の差動歯車装置1
4を介して車軸17L,17Rから左右の前輪16、1
8に伝達され、他方においてベベルギヤ機構15,プロ
ペラシャフト20及びベベルギヤ機構21,左右輪差動
機構としての後輪用の差動歯車装置(リヤディファレン
シャル)22を介して車軸25L,25Rから左右の後
輪24,26に伝達される。
【0038】また、遊星歯車式差動装置14には、その
前輪側出力部と後輪側出力部との差動を拘束(又は制
限)することにより前輪と後輪とのエンジンの出力トル
クの配分を変更しうる差動制限手段又は差動調整手段と
しての油圧多板クラッチ28が付設されている。
【0039】すなわち、油圧多板クラッチ28は、サン
ギヤ121(又はリングギア123)とキャリア125
との間に介装されており、自身の油圧室に作用される制
御圧力によって摩擦力が変わり、サンギヤ121(又は
リングギア123)とキャリヤ125との差動を拘束す
るようになっている。
【0040】これにより、遊星歯車式差動装置12は、
油圧多板クラッチ28を完全フリーの状態からロックさ
せた状態まで適宜制御することにより、前輪側及び後輪
側へ伝達されるトルクの配分を制御できるようになって
いる。油圧多板クラッチ28を完全ロックさせた状態で
は、車重の前後配分に応じて例えば前輪:後輪の比は5
0:50とか60:40とかの所定比になるから、完全
フリー状態での前輪:後輪の比は例えば30:70程度
とすると、前輪:後輪の比を、30:70から50:5
0とか、30:70から60:40とかの範囲で制御で
きる。
【0041】また、ここでは、リヤディファレンシャル
22にも、差動制限機構23が設けられており、差動制
限を通じて左右輪間でのトルク配分調整を行なえるよう
に構成されている。
【0042】さらに、符号30はステアリングホイール
32の中立位置からの回転角度、即ちハンドル角θを検
出するハンドル角センサ、34a,34bはそれぞれ車
体の前部および後部に作用する横方向の加速度Gyf,G
yrを検出する横加速度センサであり、この例では、2つ
の検出データGyf,Gyrを平均して横加速度データとし
ているが、車体の重心部付近に横加速度センサ34を1
つだけ設けて、この検出値を横加速度データとしてもよ
い。36は車体に作用する前後方向の加速度Gxを検出
する前後加速度センサ、38はエンジン2のスロットル
開度θtを検出するスロットルポジションセンサ、39
はエンジン2のエンジンキースイッチ、40、42、4
4、46はそれぞれ左前輪16、右前輪18、左後輪2
6、右後輪28の回転速度を検出する車輪速センサであ
り、これらスイッチ及び各センサの出力はコントローラ
48に入力されている。
【0043】符号50はアンチロックブレーキ装置であ
り、このアンチロックブレーキ装置50はブレーキスイ
ッチ50Aと連動して作動する。つまり、ブレーキペダ
ル51の踏込時にブレーキスイッチ50Aがオンとなる
と、これに連動してアンチロックブレーキの作動信号が
出力されて、アンチロックブレーキ装置50が作動す
る。また、アンチロックブレーキの作動信号が出力され
るときには同時にその状態を示す信号がコントローラ4
8に入力されるように構成されている。また、52はコ
ントローラ48の制御信号に基づき点灯する警告灯であ
る。
【0044】なお、コントローラ48は、図示しないが
後述する制御に必要なCPU、ROM、RAM、インタ
フェイス等を備えている。
【0045】符号54は油圧源、56は同油圧源54と
油圧多板クラッチ28の油圧室との間に介装されてコン
トローラ48からの制御信号により制御される圧力制御
弁系(以下、圧力制御弁と略す)である。
【0046】また、この自動車には自動変速機がそなえ
られており、符合160は自動変速機のシフトレバー1
60Aの選択シフトレンジを検出するシフトレバー位置
センサ(シフトレンジ検出手段)であり、この検出情報
もコントローラ48に送られる。
【0047】さらに、エンジン回転数センサ(エンジン
回転速度センサ)170で検出されたエンジン回転数N
eやトランスミッション回転数センサ(トランスミッシ
ョン回転速度センサ)180で検出されたトランスミッ
ション回転数Ntもコントローラ48に送られる。
【0048】また、この例では、トラクションコントロ
ールシステム151もそなえている。つまり、エンジン
2は、アクセルペダル162の踏み込み量に応じて開度
が制御される主スロットル弁152をそなえており、ア
クセルペダル162および連結策等とともにアクセルペ
ダル系エンジン出力調整装置を構成している。
【0049】そして、アクセルペダル系エンジン出力調
整装置と独立して制御されるエンジン出力制御手段とし
ての副スロットル弁153が、エンジン2の吸気通路内
において主スロットル弁152と直列的に設けられてい
る。この副スロットル弁153はモータにより駆動さ
れ、このモータは後輪速センサ44,46や前輪速セン
サ40,42やエンジン回転数センサ170やエンジン
負荷センサ172等の検知結果にもとづき駆動制御され
る。
【0050】ところで、上述の各制御では制御要素の1
つとして車体速度が必要であり、本車体速度推定装置に
より推定した車体速度が用いられるようになっている。
【0051】ここで、本車体速度推定装置について説明
すると、この装置は、図1に示すように、前述の車輪速
センサ(車輪速度検出手段)40〜46と、車輪速度対
応車体速度推定手段216aと、車輪速度対応加速度算
出手段216eと、前後加速度センサ(実加速度検出手
段)36と、スリップ開始判断手段216fと、実加速
度対応車体速度推定手段216gと、スリップ終了判断
手段216hと、推定車体速度を設定する推定車体速度
設定手段216iとをそなえて構成される。
【0052】なお、符号216は、コントローラ48内
の車体速度推定部を示し、216b,216dは前回の
データと今回のデータとの平均化によりデータのばらつ
きを防ぐフィルタを示す。
【0053】車輪速度対応車体速度推定手段216a
は、車輪速センサ40〜46の検出値のうち、小さい方
から2番目の車輪速V3(ここでは、車輪速とは車輪の
回転数を車速レベルに換算した値であり、車輪速は大き
い方から順に番号付けしている)を推定車体速度VBと
して採用するようになっている。なお、推定車体速度V
Bのうち、この車輪速度に対応した推定車体速度をVB
Fとする。
【0054】これは、従来例の説明でも述べたように、
四輪駆動車では、何れの車輪も僅かながらでも路面に対
してスリップしているものと推測でき、4輪のいずれの
車輪に基づいて車体速を算出しても実際の車体速(実車
体速)よりも大きくなるものと考えられる。したがっ
て、4輪の車輪速値のうち最も小さい値V4として得ら
れる車体速が実車体速に最も近いものと推定できる。し
かし、車輪速センサによる検出では、外乱等により正確
な値が得られないことがある。そこで、検出の信頼性を
考慮して、最も小さい値V4でなく、小さい方から2番
目の車輪速V3を推定車体速度VBとして採用している
のである。
【0055】車輪速度対応加速度算出手段216eは、
車輪速度対応車体速度推定手段216aで推定した車輪
速度対応車体速度VBFを時間微分することで加速度V
BF′(=dVBF/dt)を算出するようになってい
る。
【0056】スリップ開始判断手段216fは、車輪速
度対応加速度VBF′と前後加速度センサ36で検出さ
れた実加速度GXとを比較して車輪がスリップを開始し
たかどうかを判断するようになっている。
【0057】これは、低μ路(摩擦係数μの低い路面)
等では、何れの車輪のスリップ量も大きくなって、小さ
い方から2番目の車輪速V3も最も小さい車輪速V4
も、実車体速とは大きく異なった値となる。このため、
車輪のスリップ時(限度以上にスリップした時)には、
上述とは異なる手段で推定車体速度VBを得る必要があ
る。
【0058】そこで、まず、上記の推定車体速度VBF
から得られる車体の加速度(VBF′=dVBF/d
t)と車両に設けた前後加速度センサ(前後Gセンサ)
で検出した実加速度の値(GX)とを比較して車輪が限
度以上にスリップしているかどうかを判断するのであ
る。
【0059】すなわち、次式(1)を満たすときには、
車輪が限度以上にスリップしているものとする。 VBF′>GX+α ・・・・・・(1) ただし、α:定数(スリップ許容範囲に応じて設定しう
る定数)
【0060】実加速度対応車体速度推定手段216g
は、スリップ開始判断手段216fで車輪がスリップを
開始したと判断されると、このスリップ開始時に得られ
た車輪速度対応車体速度VB0 と制御周期毎に前後加速
度センサ36から入力された実加速度GXとに基づき車
体速度(実加速度対応車体速度)VB2 を算出する。
【0061】つまり、制御周期毎に前後加速度センサか
ら入力される実加速度GXに定数βを積算して定数γを
加算した値(=β・GX+γ;これを「実加速度に関す
る値」とする)を、経過時間だけ(即ち、時間T経過し
たとするとt=oからt=Tまで)積分して、推定車体
速度VB0 にこの値を加算して、推定車体速度VBを算
出する。 VB2 =VB0 +∫(β・GX+γ)dt ・・・・・・(2)
【0062】そして、この時、加速状態ならば、データ
として用いる実加速度GXの値が所定値GX5 (≧0)
以上にクリップされる。つまり、データとして用いる実
加速度GXの値が、所定値GX5 よりも小さい場合は、
GX5 を実加速度データGXとして用いるように設定さ
れている。これは、Gセンサの精度不足や取付不良など
により、加速中にもかかわらず減速G信号が入力される
のを防止するために施される処理である。
【0063】このGX5 の値は、実際の路面(極低μ路
の急な登坂路を除く)で車輪が加速スリップしていると
き考えられる最低の加速度の値であり、例えば0.1G
程度の大きさである。また、単に減速G信号の入力を防
止するには、GX5 を0に設定してもよい。
【0064】一方、この時、減速状態ならば、データと
して用いる実加速度GXの値が所定値GX5 (≦0)以
下にクリップされる。つまり、データとして用いる実加
速度GXの値が、所定値GX6 (≦0)よりも大きい場
合は、GX6 を実加速度データGXとして用いるように
設定されている。これは、前述とは逆に、Gセンサの精
度不足や取付不良などにより、減速中にもかかわらず加
速G信号が入力されるのを防止するために施される処理
である。
【0065】このGX6 の値は、実際の路面(極低μ路
の急な降坂路を除く)で車輪が減速スリップしていると
き考えられる最低の加速度の値であり、例えば0.1G
程度の大きさである。また、単に加速G信号の入力を防
止するには、GX6 を0に設定してもよい。
【0066】なお、スリップ開始後には実加速度GXが
ほぼ一定であるとして、スリップ開始時の実加速度GX
0 (=定数)を用いて、推定車体速度をVB2 を次式
(2)′により求めることも考えられる。 VB2 =VB0 +∫(β・GX0 +γ)dt ・・・・・・(2)′
【0067】そして、本装置では、式(2)又は
(2)′における定数β又はγをスリップ開始後の適当
な時間経過後に変化させて、実加速度に関する値〔(β
・GX+γ)又は(β・GX0 +γ)〕が時間経過とと
もに変化していくように設定されている。
【0068】つまり、図5に示すように、例えばスリッ
プ開始後のβの値(初期値)を1よりもやや大きく設定
して、適当な時間(例えば時間t1 )経過後に、βの値
を1よりもやや小さく変化させる。
【0069】これにより、推定車体速度VB2 は図4に
示す曲線VBのように、傾きが途中で(時間t1 経過
後)小さくなるように変化して、推定車体速度VBが実
車体速度VBRよりも大きいが実車体速度VBRに近い
値になって、スリップ中に運転者がアクセルを緩めない
場合でも、実車体速度VBRに近いところで、VBF=
VB2 となり、車輪のスリップの終了を適切に判断でき
るようになっている。
【0070】また、図6に示すように、例えばスリップ
開始後のγの値(初期値)をやや大きく設定して、適当
な時間(例えば時間t1 )経過後に、γの値をこれより
もやや小さく変化させる。
【0071】この場合も、推定車体速度VB2 は略図4
に示す曲線VBのように、傾きが途中(時間t1 経過
後)で小さくなるように変化して、推定車体速度VBが
実車体速度VBRよりも大きいが実車体速度VBRに近
い値になって、スリップ中に運転者がアクセルを緩めな
い場合でも、実車体速度VBRに近いところで、VBF
=VB2 となる。
【0072】なお、β,γを何れも上述のごとく変化す
るように設定してもよいが、β,γの一方のみを上述の
ごとく設定して他方を適当な一定値に設定することも考
えられる。また、この場合のβ又はγの変化を複数回行
なうように設定することも考えられる。
【0073】スリップ終了判断手段216hは、スリッ
プ開始判断後に、式(2)又は(2)′により算出され
た推定車体速度VB2 が車輪速V3に対応した推定車体
速度VBF(=V3)と等しくなると(VB2 =V3が
成立すると)、スリップ終了と判断してするようになっ
ている。
【0074】推定車体速度設定手段216iは、比スリ
ップ時(スリップ開始と判断されるまで及びスリップ終
了と判断された後)は、車輪速V3に対応した推定車体
速度VBFを推定車体速度VBに設定して、スリップ時
(スリップ開始と判断されてからスリップ終了と判断さ
れるまでの間)は、式(2)又は(2)′により算出さ
れた推定車体速度VB2 を推定車体速度VBに設定する
ようになっている。
【0075】ただし、推定車体速度設定手段216i
は、一定条件〔例えばトラクション制御中に車輪速度が
目標とする速度(目標速度)よりもある程度大きい状
態〕のときに、推定車体速度VB2 の採用をスリップ開
始後から一定時間内(例えば時間t3 だけ経過するま
で)に制限している。
【0076】つまり、例えばトラクション制御中に車輪
速度V3が目標速度VAよりもある程度(例えばV0
上)大きい状態(V3≧VA+V0 )がスリップ開始後
からt0 時間以上続くと、スリップ終了判断手段216
hでスリップ終了が判定されなくても、推定車体速度V
2の採用を止めて、車輪速V3に対応した推定車体速
度VBFを推定車体速度VBに採用するようになってい
る。
【0077】また、このような推定車体速度設定手段2
16iによる推定車体速度VBの設定に代えて、スリッ
プ終了判断手段216hを、トラクション制御中にV3
≧VA+V0 の状態がスリップ開始後からt0 時間以上
続くと、推定車体速度VB2 が推定車体速度VBF(=
V3)と等しくならなくても、スリップ終了と判断する
ように構成してもよい。
【0078】なお、実加速度対応車体速度推定手段21
6gによる演算は、スリップ開始と判断されてからスリ
ップ終了と判断されるまでの間だけ行なうようにしても
よい。
【0079】そして、このような手段により算出された
推定車体速度VBに基づき、トラクションコントール等
の制御のため、コントローラから各制御部へ制御信号が
出力される。
【0080】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車
体速度推定装置は、上述のごとく構成されるので、車両
制御の基準となる車体速度の推定は、例えば図3に示す
フローチャートのように実施される。
【0081】すなわち、ステップS1において、前後左
右の4輪にそれぞれ付設された車輪速度センサ40〜4
6により各車輪速度VFR(FRとも略す),VFL
(FLとも略す),VRR(RRとも略す),VRL
(RLとも略す)が検出され、コントローラ48の車体
速度推定部216に読み込まれるとともに、Gセンサ2
により車体の加減速度GXが検出され、車体速度推定部
216に読み込まれる。
【0082】ついで、ステップS2において、フィルタ
処理が行なわれ、前回のデータと今回のデータとの平均
が行なわれる。
【0083】次に、ステップS3において、ステップS
1で読み込まれた各車輪速度VFR,VFL,VRR,
VRLのうち、下から2番目の車輪速度V3が推定車体
速度VBFとして選択される〔VBF=Select
(VFR,VFL,VRR,VRL)〕。
【0084】そして、車両が所定の加速状態にあるかど
うかが、ステップS4,S5,S13,S14において
判断される。
【0085】すなわち、ステップS4において、基準速
度VBFの微分値であるVBF′が、予め設定された値
VBF1′以上であり、かつ、車体の加減速度GXが、
予め設定された値GX1 以上であるかどうかが判断され
る。
【0086】また、ステップS5において、基準速度V
BFの微分値であるVBF′が、車体の加減速度GXに
予め設定された値GX3 を加算した値(GX+GX3
以上であるかどうかが判断される。
【0087】このステップS4とステップS5との判断
が、ともにYESである場合、すなわち、基準速度によ
り算出された加速度VBF′が所定値以上で、且つ、車
体の加減速度GXが所定値以上であって、基準速度によ
り算出された加速度VBF′が車体の加減速度GXを所
定量以上上回っている時には、ステップS6に進み、車
輪が加速スリップ中であることを示すフラグFLAG
(1)が「1」とされる。
【0088】一方、ステップS4の判断がNOである場
合には、ステップS13に進み、ステップS13におい
て、基準速度VBFの微分値であるVBF′が、予め設
定された値VBF2′より小さく、且つ、車体の加減速
度GXが、予め設定された値GX2より小さいかどうか
が判断される。
【0089】また、ステップS14において、基準速度
VBFの微分値であるVBF′が、車体の加減速度GX
から、予め設定された値GX4を減算した値より小さい
かどうかが判断される。
【0090】このステップS13とステップS14との
判断が、ともにYESである場合、すなわち、基準速度
により算出された加速度VBF′が所定値より小さく、
且つ、車体の加減速度GXが所定値より小さくて、基準
速度により算出された加速度VBF′が車体の加減速度
GXを所定量をこえて下回っているとき、ステップS1
5において、車輪が加速スリップ中であることを示すフ
ラグFLAG(2)が「1」とされる。
【0091】このような各判断により、FLAG(1)
及び(2)が設定されたら、つまり、車輪が加速スリッ
プ状態にあるか減速スリップ状態にあるかが判断された
ら、加減速スリップ毎に推定車体速度VBの算出が行な
われる。
【0092】まず、ステップS7において、フラグFL
AG(1)が1であると判断されると、車両は加速スリ
ップ状態にあるので、ステップS8以降のステップで加
速スリップ時の車速推定が行なわれる。また、ステップ
S7において、フラグFLAG(1)が1でないと判断
されると、ステップS16に進む。そして、ステップS
16において、フラグFLAG(2)が1であると判断
されると、車両は減速スリップ状態にあるので、ステッ
プS17以降のステップで減速スリップ時の車速推定が
行なわれる。さらに、ステップS16で、フラグFLA
G(2)が1でないと判断されると、車両はスリップ状
態にないので、ステップS20以降のステップで非スリ
ップ時の車速推定が行なわれる。
【0093】非スリップ時の車速推定は、まず、ステッ
プS20で、車輪速度に対応した推定車体速度VBFを
推定車体速度VBに設定して、ステップS21で、加減
速スリップ時に行なわれる推定動作の継続時間としてカ
ウントするタイマーt1 ,t2 の値を「0」にクリアす
る。
【0094】加速スリップ時の車体速度の推定は、ま
ず、ステップS8で、推定車体速度VB2 を求めるため
の実加速度に関する値(β・GX+γ)の中の定数(補
正係数)β,γの特性を設定する。ここでは、加速時の
β,γをそれぞれβ1 ,γ1 で示している。
【0095】このβ1 ,γ1 は、加速スリップの判定開
始後の経過時間tに応じて設定される。β1 について
は、例えば図5に示すように、スリップ開始後の値(初
期値)を1よりもやや大きく設定して、適当な時間経過
後に1よりもやや小さく変化させる。γ1 については、
例えば図6に示すように、スリップ開始後の値(初期
値)をやや大きく設定して、適当な時間経過後にこれよ
りもやや小さく変化させる。
【0096】ついで、ステップS9において、加速時の
推定車体速度VBが次式(4)により算出される。な
お、式(4)では、推定車体速度VB(n)として、制
御周期毎に、β1 ×GX+γ1 の値が加算されていく
が、これは、式(2)の計算と同様な積分計算である。 VB(n)=VB(n−1)+(β1 ×GX+γ1 ) ・・・・・(4) ただし、(β1 ×GX+γ1 )は、予め設定された所定
値GX5 以上の値を採るものとする。
【0097】そして、ステップS10において、推定車
体速度VB(=VB2 )が車体速度VBFに達していな
いかどうかが判断され、達していない場合には、次の回
の車体速度推定に際しても、(β1 ×GX+γ1 )を加
算するステップS9による推定車体速度VB2 が推定車
体速度VBとして用いられる。
【0098】このような推定動作は、ステップS11に
おいて、トラクション制御中であり且つ車輪速度が目標
車輪速度+V0 (V0 は正の所定値)以上である状態が
所定時間t0 以上連続したと判断されるまで継続され
る。
【0099】そして、ステップS11において、YES
と判断された場合には、ステップS12において、所定
の加速状態が終了したとして、フラグFLAG(1)を
「0」に復帰させる動作が行なわれる。
【0100】これにより、次の回の車体速度推定に際し
ては、ステップS4,S5,S7,S16を経てステッ
プS20に進み、ステップS20で、下から2番目の車
輪速度V3である推定車体速度VBFが推定車体速度V
Bとされる。この採用は、ステップS4又はS5の判断
がYESとなるまで続行される。
【0101】ところで、本実施例では、β1 ,γ1 が、
上述のように、予め大きめに設定された値から所定時間
後に小さく変更されるが、これとは逆に、初めはβ1
1,γ1 =0に設定しておき、推定開始の時間経過とと
もに大きくしていくように構成しても、推定車体速度V
2 は推定車体速度VBFに確実に接近していく。
【0102】したがって、このような方法を採用して車
体速度VBの推定を行なっても、精度の良い推定が行な
われる。また、本実施例では、β1 ,γ1 のうち一方だ
けを変化させて、他方を一定に保持しても、上述と略同
様に、精度の良い推定が行なわれる。
【0103】一方、減速スリップ時の車体速度の推定
は、まず、ステップS17で、推定車体速度VB2 を求
めるための実加速度に関する値(β・GX+γ)の中の
定数(補正係数)β,γの特性を設定する。ここでは、
減速時のβ,γをそれぞれβ2 ,γ2 で示している。
【0104】このβ2 ,γ2 は、減速スリップの判定開
始後の経過時間tに応じて設定される。β1 ,γ1 とほ
ぼ同様に設定される。
【0105】ついで、ステップS18において、加速時
の推定車体速度VBが次式(4)′により算出される。
なお、式(4)′では、推定車体速度VB(n)とし
て、制御周期毎に、β2 ×GX−γ2 の値が加算されて
いくが、これは、式(2)の計算と同様な積分計算であ
る。 VB(n)=VB(n−1)+(β2 ×GX−γ2 ) ・・・・・(4)′ ただし、(β2 ×GX−γ2 )は、予め設定された所定
値GX6以下の値を採るものとする。
【0106】そして、ステップS19において、推定車
体速度VB(=VB2 )が車体速度VBFに達していな
いかどうかが判断され、達していない場合には、次の回
の車体速度推定に際しても、(β2 ×GX−γ2 )を加
算するステップS18による推定車体速度VB2 が推定
車体速度VBとして用いられる。このような推定動作
は、ステップS19において、推定車体速度VBが基準
速度VBFに達するまで継続される。
【0107】推定車体速度VB(=VB2 )が車体速度
VBFに達していれば、ステップS22において、減速
スリップ状態が終了したとして、フラグFLAG(2)
が「0」に復帰される。
【0108】これにより、次の回の車体速度推定に際し
ては、ステップS20で、下から2番目の車輪速度V3
である推定車体速度VBFが推定車体速度VBとされ、
この採用は、ステップS4又はS5の判断がYESとな
るまで続行される。
【0109】また、ステップS19においてNOと判断
された場合には、ステップS22において、減速スリッ
プ状態が終了したとして、フラグFLAG(2)が
「0」に復帰され、次の回の車体速度推定に際しては、
ステップS20で、下から2番目の車輪速度V3である
推定車体速度VBFが推定車体速度VBとされる。
【0110】この結果、推定車体速度VB2 は、例えば
図4に示すように、傾きが途中で(時間t1 経過後)小
さくなるように変化して、推定車体速度VBが実車体速
度VBRよりも大きいが実車体速度VBRに近い値にな
って、スリップ中に運転者がアクセルを緩めない場合で
も、実車体速度VBRに近いところで、VBF=VB2
となり、車輪のスリップの終了を適切に判断できる。
【0111】また、上述のβ,γの変化によってもしも
推定車体速度VB2が推定車体速度VBFになかなか等
しくならない場合があっても、つまり、スリップ終了判
断手段216hでスリップ終了が判定されなくても、ト
ラクション制御中に車輪速度V3が目標速度VAよりも
ある程度(V0 以上)大きい状態(V3≧VA+V0
がスリップ開始後からt0 時間以上続くと、推定車体速
度VB2 の採用を止めて、車輪速V3に対応した推定車
体速度VBFを推定車体速度VBに採用する。これによ
り、例えば図7に示すように、実際には、スリップが終
了しているにもかかわらず、スリップ終了判断がなされ
ないような不具合か解消され、車体速度VBの推定を的
確に行なえる。
【0112】さらに、加速状態ならば、データとして用
いる実加速度GXの値が所定値GX5 (≧0)以上にク
リップされ、減速状態ならば、データとして用いる実加
速度GXの値が所定値GX6 (≦0)以下にクリップさ
れるので、加速スリップ時に負の加速度(減速加速度)
GXが入力されたり、減速スリップ時に正の加速度GX
が入力されたりする不具合が防止され、車体速度VBの
推定が精度良くおこなえるようなる。
【0113】ところで、本実施例では、β,γ(β1
γ1 又はβ2 ,γ2 )が、上述のように、予め大きめに
設定された値から所定時間後に小さく変更されるが、こ
れとは逆に、初めはβ=1,γ=0に設定しておき、推
定開始の時間経過とともに大きくしていくように構成し
ても、推定車体速度VB2 は実車体速度VBRに近い領
域で推定車体速度VBFに確実に接近していく。
【0114】したがって、このような方法を採用して車
体速度VBの推定を行なっても、精度の良い車速推定が
行なわれる。
【0115】また、本実施例では、β1 ,γ1 のうち一
方だけを変化させて、他方を一定に保持しても、上述と
略同様に、精度の良い車速推定が行なわれる。
【0116】なお、トラクション制御中にV3≧VA+
0 の状態がスリップ開始後からt0 時間以上続くと、
推定車体速度VB2 の採用を止めるという時間限定を省
いて、上述のようにβ又はγを変化させるだけでも、精
度良く車速推定を行なうことができる。
【0117】また、β,γをいずれも適当な一定値とし
て、スリップ終了をスリップ開始からの一定時間と定め
て、スリップ時の車体速度VB2 の採用を時間限定し
て、非スリップ時の車体速度VBFの採用に切り替える
ように構成するだけでも、ある程度の精度で車速推定を
行なうことができる。
【0118】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の四輪駆動
車用車体速度推定装置によれば、四輪駆動車における車
体速度を推定する車体速度推定装置において、車輪速度
を検出する車輪速度検出手段と、上記車輪速度に基づい
て車体速度を推定する車輪速度対応車体速度推定手段
と、上記の車輪速度対応車体速度推定手段で推定した車
輪速度対応車体速度に基づいて加速度を算出する車輪速
度対応加速度算出手段と、上記車体の実加速度を検出す
る実加速度検出手段と、上記の車輪速度対応加速度と実
加速度とを比較して車輪がスリップを開始したかどうか
を判断するスリップ開始判断手段と、上記スリップ開始
判断手段で車輪がスリップを開始したと判断されるとこ
の時に得られた上記車輪速度対応車体速度と上記実加速
度とに基づき該実加速度に関する値を時間積分して得ら
れる速度値を該車輪速度対応車体速度に加算して車体速
度を算出してかかる車体速度を推定車体速度とする実加
速度対応車体速度推定手段と、上記スリップ開始判断手
段により車輪がスリップを開始したと判断されるまでと
上記スリップ開始判断手段により車輪がスリップを開始
したと判断されてから所定時間経過した後には上記車輪
速度対応車体速度を推定車体速度として採用し上記スリ
ップ開始判断手段により車輪がスリップを開始したと判
断されてから所定時間経過するまでの間には上記実加速
度対応車体速度を推定車体速度として採用するように構
成されることにより、加速時等に車輪がスリップした場
合に適確な車体速度の推定を行なえるようになり、車両
のトラクション制御や他の走行制御やエンジン制御や操
舵制御等の各種制御に際して、適正な車体速度データを
用いることができるようになって、各種制御の信頼性の
向上等に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置をそなえる自動車の駆動系の構成を示す摸式
図である。
【図3】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置の要部の作動を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置の車速推定例を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置における被積分値(実加速度に関する値)の
補正係数の特性を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置における被積分値(実加速度に関する値)の
補正係数の特性を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施例としての四輪駆動車用車体速
度推定装置の車速推定例を示すグラフである。
【図8】従来の四輪駆動車用車体速度推定装置の車速推
定例を示すグラフである。
【図9】従来の四輪駆動車用車体速度推定装置の車速推
定例を示すグラフである。
【図10】従来の四輪駆動車用車体速度推定装置の車速
推定例を示すグラフである。
【符号の説明】
36 前後加速度センサ(実加速度検出手段) 40〜46 車輪速センサ(車輪速度検出手段) 216a 車輪速度対応車体速度推定手段 216b,216d フィルタ 216e 車輪速度対応加速度算出手段 216f スリップ開始判断手段 216g 実加速度対応車体速度推定手段 216h スリップ終了判断手段 216i 推定車体速度設定手段 216 車体速度推定部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四輪駆動車における車体速度を推定する
    車体速度推定装置において、車輪速度を検出する車輪速
    度検出手段と、上記車輪速度に基づいて車体速度を推定
    する車輪速度対応車体速度推定手段と、上記の車輪速度
    対応車体速度推定手段で推定した車輪速度対応車体速度
    に基づいて加速度を算出する車輪速度対応加速度算出手
    段と、上記車体の実加速度を検出する実加速度検出手段
    と、上記の車輪速度対応加速度と実加速度とを比較して
    車輪がスリップを開始したかどうかを判断するスリップ
    開始判断手段と、上記スリップ開始判断手段で車輪がス
    リップを開始したと判断されるとこの時に得られた上記
    車輪速度対応車体速度と上記実加速度とに基づき該実加
    速度に関する値を時間積分して得られる速度値を該車輪
    速度対応車体速度に加算して車体速度を算出してかかる
    車体速度を推定車体速度とする実加速度対応車体速度推
    定手段と、上記スリップ開始判断手段により車輪がスリ
    ップを開始したと判断されるまでと上記スリップ開始判
    断手段により車輪がスリップを開始したと判断されてか
    ら所定時間経過した後には上記車輪速度対応車体速度を
    推定車体速度として採用し上記スリップ開始判断手段に
    より車輪がスリップを開始したと判断されてから所定時
    間経過するまでの間には上記実加速度対応車体速度を推
    定車体速度として採用するように構成されていることを
    特徴とする、四輪駆動車用車体速度推定装置。
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