JPH05140901A - 鉄道の分岐装置 - Google Patents

鉄道の分岐装置

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JPH05140901A
JPH05140901A JP30608991A JP30608991A JPH05140901A JP H05140901 A JPH05140901 A JP H05140901A JP 30608991 A JP30608991 A JP 30608991A JP 30608991 A JP30608991 A JP 30608991A JP H05140901 A JPH05140901 A JP H05140901A
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JP30608991A
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English (en)
Inventor
Masao Uchida
雅夫 内田
Kinai Takagi
喜内 高木
Masao Sato
正男 佐藤
Shiro Nagai
士郎 長井
Nobuhiro Yoshizawa
暢紘 吉沢
Kazuhiko Sakiyama
和彦 崎山
Hideki Tanaka
秀基 田仲
Minoru Aoi
実 青井
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NIPPON KOTSU GIJUTSU KK
Railway Technical Research Institute
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
NIPPON KOTSU GIJUTSU KK
Railway Technical Research Institute
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分岐軌道を移動させる移動装置の構成を簡略
化して各種コストの低廉化およびメンテナンスの容易化
を実現し、かつ、軌道の移動をスムーズに行わせる。 【構成】 分岐軌道Cを基準位置と分岐位置との間で移
動させる手段として、分岐軌道Cを挟んだ一方にモータ
21で駆動される駆動輪24、他方に従動輪25を設
け、これらの間に牽引部材22を掛け渡して閉ループ体
を構成し、かつ、モータ21の制御手段として、動作指
令部からの基本制御信号に基づいて求められる計算上の
軌道位置と、位置センサによって検出される軌道位置と
の偏差を求め、この偏差が予め設定された基準値を超え
る場合にのみ偏差に応じたフィードバック信号を上記基
本制御信号に加算して制御量を求めるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気浮上式鉄道等におけ
る進路切換用の分岐装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、磁気浮上式鉄道における分岐
方式として、たとえば特開昭59−134201号およ
び特開昭59−134202号両公報に示されているよ
うに断面U字形の可動桁を台車に搭載し、この台車を床
面上で移動させて、分岐軌道を基準位置と分岐位置との
間で移動させるトラバーサ方式が一般に用いられてい
る。
【0003】このトラバーサ式分岐装置の概要を図12
乃〜15によって説明する。
【0004】図12,13において、A1は基準線(本
線軌道)の分岐始点側固定桁、A2は同終点側固定桁、
Bは分岐線(側線軌道)の基端側固定桁、Cは分岐軌道
で、この分岐軌道Cを、床面D(図15参照)上におい
て、分岐始点側端部の垂直ピンPを支点として、分岐終
点側端部が基準線の分岐終点側固定桁A2に接続される
図12の基準位置(直線状態)と、分岐終点側端部が分
岐線の固定桁Bに接続される図13の分岐位置(曲線に
近い状態)との間で移動させることにより、列車進路を
基準線と分岐線との間で切換えるようにしている。
【0005】この分岐軌道Cは、軌道長さ方向に並べら
れた断面U字形の複数(図例では四つ、以下この場合で
説明する)の可動桁C1〜C4が、隣り合うもの同士、
相対向する端部で垂直軸Qまわりに相対回動可能に連結
されて構成されている。
【0006】なお、図示しないが、各固定桁A1,A
2,Bおよび各可動桁C1〜C4には、左右両側の上面
に、列車を側方ガイドする案内路が設けられている。
【0007】分岐軌道Cは、各可動桁C1〜C4(以
下、分岐始点側から順に第1〜第4可動桁という)の相
対向する端部、および終点側の端部可動桁C4の先端部
でそれぞれ左右一組の台車1,2によって移動可能に支
持されている。
【0008】各組台車1,2は、図14,15に示すよ
うに連結杆3で一体移動可能に連結され、この台車1,
2が、後述する移動装置により駆動されて台車レールE
…(図15参照)上を左右方向に走行することにより、
各可動桁C1〜C4が移動して分岐軌道Cが基準位置と
分岐位置とに切換えられる。
【0009】移動装置は、各組台車ごとに分岐軌道Cを
挟んで床面上の左右両側に設けられた分岐用および復帰
用両引張り機構F1…,F2…によって構成されてい
る。
【0010】なお、図14は第3および第4両可動桁C
3,C4用の引張り機構F1,F2を例示している。
【0011】両引張り機構F1,F2は、それぞれ駆動
源としてのシリンダ(油圧シリンダ)4,5とチェン
6,7とから成っている。
【0012】両チェン6,7は、一端が台車1,2に、
他端が床面D上に固定された止め金具8,9にそれぞれ
止め付けられ、このチェン6,7の中間部が、シリンダ
4,5のロッド端部に取付けられた駆動スプロケット1
0,11と、床面Dに固定された固定スプロケット1
2,13とに掛けられている。
【0013】この構成において、分岐時には、図13に
示すように分岐用引張り機構F1のシリンダ4が縮小作
動することにより、チェン6を介して台車1,2が分岐
側に牽引される。
【0014】このとき、復帰用引張り機構F2のシリン
ダ5は、牽引力に対しブレーキ力を働かせながら伸長作
動し、これによって台車1,2(可動桁C1〜C4)が
風等の影響を受けて暴走しないようにその移動がコント
ロールされる。
【0015】また、この可動桁移動時に、隣接する可動
桁同士が接触しないように、各引張り機構F1…,F2
…間で両シリンダ4,5の作動速度を制御をして同調が
とられる。
【0016】一方、基準位置への復帰時には、図12お
よび図13に示すように、上記分岐時とは逆に復帰用引
張り機構F2のシリンダ5が牽引側として縮小作動し、
分岐用引張り機構F1のシリンダ4がブレーキ側として
伸長作動する。
【0017】図12,13中、14…は各可動桁C1〜
C4を分岐位置で停止させるための分岐側止め部材、1
5…は各可動桁C1〜C4を基準位置で停止させるため
の復帰側止め部材である。
【0018】〔発明が解決しようとする課題〕ところ
が、このように分岐軌道Cの両側にシリンダ4,5で駆
動される引張り機構F1,F2を設け、両側シリンダ
4,5の一方で牽引しながら他方でブレーキをかける従
来装置によると、次のような欠点があった。
【0019】(イ)両側に駆動源としてのシリンダ4,
5が必要なため、シリンダ用油圧配管を含めて移動装置
全体の設備が大がかりとなり、設備コスト、建設コスト
それに運転コストが高くつく。
【0020】(ロ)シリンダ数および配管が多くなるこ
とにより、鉄道において重要な日常のメンテナンスが面
倒となり、メンテナンスの費用も高くなる。
【0021】(ハ)各引張り機構間の同調をとるための
シリンダ制御を、両側シリンダ4…,5…について行な
わなければならないため、とくに可動桁数の多い長尺の
分岐軌道の場合にこのシリンダ制御が困難となり、実際
問題として同調をとりにくい。
【0022】このため、同調崩れによる可動桁同士の接
触や、可動桁が必要以上に回動する所謂桁折れが生じや
すい等、作動の信頼性に難点がある。
【0023】そこで本発明は、移動装置の構成を簡略化
して各種コストの低廉化およびメンテナンスの容易化を
実現できるとともに、各可動桁の同調運転が容易で、切
換作動の信頼性に富む鉄道の分岐装置を提供するもので
ある。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、軌道
長さ方向に並べられた複数の可動桁を隣り合うもの同士
間で垂直軸まわりに相対回動可能に連結して分岐軌道を
構成し、この分岐軌道を基準位置と分岐位置との間で床
面上を移動させて列車の進路を切換える鉄道の分岐装置
において、(A)上記分岐軌道を上記基準位置と分岐位
置との間で移動させる手段として、上記床面上における
分岐軌道を挟んだ両側部のうちの一方に設けられた駆動
輪と、他方に設けられた従動輪と、上記駆動輪を正逆回
転駆動するモ―タと、分岐軌道の下方を通って上記駆動
輪と従動輪とにかけ渡されその両端が分岐軌道の両側に
止め付けられた牽引部材とからなる引張り機構を具備
し、(B)上記引張り機構のモータを制御する手段とし
て、予め設定された分岐軌道の移動パターンに基づいて
モータに対する基本制御信号を出力する動作指令部と、
上記引張り機構の動作を通じて分岐軌道の位置を検出す
る位置センサと、演算部とを具備し、(C)上記演算部
は、上記動作指令部からの基本制御信号に基づいて求め
られる計算上の軌道位置と、上記位置センサによって検
出される軌道位置との偏差を求め、この偏差が予め設定
された基準値を超える場合にのみ偏差に応じたフィード
バック信号を上記基本制御信号に加算して制御量を求め
るように構成されたものである。
【0025】また、請求項2の発明は、請求項1の構成
において、演算部は、制御量に基づくモータの加減速度
が予め設定された制限値を超える場合に、この加減速度
が制限値以下となるように制御量を制限して出力するよ
うに構成されたものである。
【0026】
【作用】この構成によると、 (1)引張り機構においては、分岐軌道の牽引方向をモ
ータの正逆回転によって切換えることができるため、駆
動源(モータ)が分岐側および復帰側に共通の一つです
む。このため、移動装置全体の構成を大幅に簡略化する
ことができる。
【0027】(2)駆動源の減少、これに伴う付属設備
の簡略化により、鉄道にとってきわめて重要な日常のメ
ンテナンスが容易となり、メンテナンスの費用も安くな
る。
【0028】(3)駆動源の減少によって同調運転が容
易となり、同調崩れによる可動桁同士の接触や、可動桁
が必要以上に回動する所謂桁折れ等を防止して切換作動
の信頼性が高くなる。
【0029】ところで、このように分岐軌道を片側から
引張って移動させる片側駆動方式をとる場合、従来のよ
うに両側シリンダの一方でブレーキをかけながら他方の
シリンダで引張る場合とちがって、積極的にブレーキを
かけないことからチェーン等の牽引部材のたるみや伸び
が軌道の移動制御に影響を及ぼす。
【0030】すなわち、このような軌道の移動制御は、
予め設定した移動パターンに基づいて引張り機構のモー
タを駆動しながら、引張り機構の動作を通じて軌道位置
を検出する位置センサからの信号に基づいてフィードバ
ックをかける方式によって行われる。
【0031】この場合、従来の両側駆動方式では、片側
シリンダのブレーキ作用によって牽引部材を緊張状態に
保持することができるため、センサによって検出される
軌道位置(桁位置)と実際の軌道位置とに殆どずれがな
い。
【0032】ところが、片側駆動方式によると、牽引部
材のたるみや伸びにより、軌道の動き始めに牽引部材が
張られるまでの間や、減速時等にセンサ信号と実際の軌
道位置との間にずれが生じ、このずれによりフィードバ
ック制御が乱れて所謂ハンチングが起こる。このため、
軌道の動きがスムーズに行われないとともに、軌道およ
び引張り機構に無理な荷重が作用する等の弊害が生じ
る。
【0033】なお、引張り機構の動作を通じて軌道位置
を間接的に検出する方式に代えて、実際の軌道の動きを
検出するようにすればこのような弊害を除去することが
できる。
【0034】しかし、そのためにはセンサを軌道と床面
とに設けなければならないこと、しかも軌道の移動経路
上に正確に設置しなけばならないこと等により、その設
置作業が面倒となるとともに、設置費用が高くつく等の
問題がある。
【0035】この点、本発明においては、引張り機構の
動作を通じて軌道位置を間接的に検出する方式をとりな
がら、牽引部材のたるみ等によって実際の軌道位置とセ
ンサ信号とにずれが生じた場合に、そのずれが小さい範
囲ではフィードバック制御を行わないように構成してい
るため、ハンチングを防止することができる。
【0036】また、請求項2の構成によると、加えて、
モータの加減速度が過大とならないように一定の制限を
設けているため、軌道の移動が滑らかとなる。
【0037】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図11によって説明
する。
【0038】なお、以下の実施例において、図12〜図
15に示す部分と同一部分には同一符号を付して示し、
その重複説明を省略する。
【0039】基本実施例(図1〜図5参照) 図1,2において、G…は各組台車ごとに一つずつ設け
られた分岐用および復帰用兼用の引張り機構で、これら
によって分岐軌道Cを基準位置と分岐位置との間で移動
させる移動装置が構成されている。
【0040】なお、図3,4には、第3および第4両可
動桁C3,C4用の引張り機構Gを例にとってその詳細
を示している。
【0041】各引張り機構Gは、それぞれ駆動源として
の一つの油圧モータ21と、このモータ21によって引
張られる牽引部材としてのチェーン22とを具備してい
る。
【0042】モータ21は、床面D上における分岐軌道
Cを挟んだ左右いずれか一側にモータ台23を介して取
付けられ、このモータ21の回転軸に駆動輪としての駆
動スプロケット24が取付けられている。
【0043】一方、床面D上の反対側には、従動輪とし
ての従動スプロケット25がスプロケット取付台26を
介して回転自在に取付けられている。
【0044】チェーン22は、分岐軌道Cの下方を通っ
てこれら駆動および従動両スプロケット24,25間に
かけ渡され、その両端が両側台車1,2に止め付けられ
ている。
【0045】こうして、チェーン22、台車1,2、連
結杆3によって閉ループ体が形成され、この閉ループ体
がモータ21の正逆回転によって正逆両方向に回転駆動
されるように構成されている。
【0046】すなわち、図1の基準状態から図2の分岐
状態への進路切換時には、各引張り機構G…のモータ2
1が正転回転することにより、チェーン22が図4矢印
方向に引張られて台車1,2(可動桁C1〜C1)が矢
印イ方向に牽引される。
【0047】一方、分岐位置から基準位置への復帰時に
は、モータ21が逆回転し、チェーン22が図4矢印方
向と逆方向に引張られることにより台車1,2(可動桁
C1〜C4)が基準位置に向けて移動する。
【0048】この移動時に、風や地震等の影響によって
台車1,2がモータ21による牽引速度以上の速度で移
動しようとした場合には、モータ21がブレーキ作用を
発揮し、チェーン22が切断されない限り所定の台車移
動速度が保たれるため、台車1,2(可動桁C1〜C
4)の暴走を確実に防止することができる。
【0049】なお、図3,4に示すように、スプロケッ
ト台26は押しボルト27,27により、長孔26a…
の範囲内で左右方向に位置調整可能に取付けられ、これ
によりチェーン22の張力を適正に調節しうるように構
成されている。
【0050】モータ21は、図5に示すモータ制御弁
(電磁比例弁等の流量制御弁)28によって速度制御さ
れ、このモータ制御弁28は同図のコントローラ29に
よって制御される。
【0051】このコントローラ29は、各可動桁C1〜
C4ごとに他の可動桁との同調を考慮して予め設定され
た移動パターンに基づいてモータ21に基本制御信号
(速度指令信号)V0を出力する速度指令部30と、こ
の速度指令部30からの基本制御信号V0と、位置セン
サ31からの位置信号(桁移動量信号)Mrとが入力さ
れる演算部32とを備え、この演算部32からの出力が
アンプ33を介してモータ制御弁28に流量指令信号
(電流または電圧)として送られる。
【0052】なお、位置センサ31は、引張り機構Gに
おいてチェーン22のたるみ等の影響が少ない従動スプ
ロケット25に設けられ、同スプロケット25の回転量
を桁移動量として検出する。
【0053】演算部32においては、基本制御信号V0
が積分器34で積分されて指令移動量Maに変換され、
加算点35で、この指令移動量Maとセンサ検出値Mr
との偏差ΔMが求められる。
【0054】そして、乗算器36でこの偏差ΔMに一定
のフィードバックゲインGが掛けられてフィードバック
制御量Vbが求められ、このフィードバック制御量Vb
と、基本制御量V0とが加算点37で加算されて制御量
Vcが求められる。
【0055】一方、指令移動量Maとセンサ検出値Mr
とは比較器38にも入力され、これらの偏差ΔMが、無
視すべき偏差(この偏差をもとにフィードバック制御を
行えばハンチングを起こすことになる偏差)として予め
設定された値MLより小さいときには、スイッチ部39
により、乗算器36から加算点37へのフィードバック
制御量Vbの出力が停止する。
【0056】従って、このときにはフィードバック制御
は行われず、速度指令部30からの基本制御信号V0の
みによるモータ制御が行われる。そして、ずれが増加し
て偏差ΔMが設定値MLを超えると、この偏差ΔMを零
とするフィードバック制御が開始される。
【0057】このように、チェーン22のたるみや伸び
によって実際の桁位置とセンサ信号とにずれが生じて
も、そのずれが小さい範囲では、フィードバック制御を
行わないように構成することにより、ハンチングの発生
を防止することができる。
【0058】また、加算点37からの制御量Vcは加減
速度制限部40に送られ、この実際制御量の時間当りの
変化が、予め設定された制限値VLを超えないときには
制御量Vcに基づく速度指令が出される。一方、上記差
が制限値VLを超えるときには、その加減速度が制限値
VL以下となるように制御量Vcを制限して速度指令が
出される。
【0059】こうすることにより、過大な加減速、すな
わち急加速、急減速を防止して桁を滑らかに移動させる
ことができる。
【0060】第2実施例(図6参照) 上記第1実施例では、各組台車1,2(各可動桁C1〜
C4)をすべて引張り機構G…によって牽引する構成を
とったが、この第2実施例では、移動量の少ない第1お
よび第2両可動桁C1,C2間の分岐始点側台車1,2
については、引張り機構Gの代りに、分岐始点側台車
1,2を挟んで分岐軌道Cの両側床面上に設けた分岐用
および復帰用両油圧シリンダX1,X2によって牽引す
る構成としている。
【0061】これら両油圧シリンダX1,X2は、それ
ぞれロッド端が直接台車1,2に連結され、分岐時には
分岐用油圧シリンダX1が縮小作動、復帰側油圧シリン
ダX2が伸長作動し、復帰時には逆に作動することによ
り、分岐始点側台車1,2が直接牽引される。
【0062】この構成とすれば、第1実施例の場合と比
較して設備が簡略化され、メンテンナンスも容易とな
る。
【0063】なお、油圧シリンダを分岐用および復帰用
兼用として片側だけに設け、この油圧シリンダの押し引
き作用によって分岐始点側台車1,2を分岐方向および
復帰方向に移動させるようにしてもよい。
【0064】第3実施例(図7〜図9参照) 上記第1および第2両実施例では、各組台車のすべてを
駆動する構成としたが、だ3実施例では、分岐軌道全体
を単一の引張り機構Gによって駆動するように構成して
いる。
【0065】すなわち、引張り機構Gを第4可動桁C4
のみについて設けるとともに、各可動桁C1〜C4の相
対向する端部の両側(軌道分岐状態における内軌側およ
び外軌側)に、隣接する両可動桁の相対回動量を規制す
る内軌側および外軌側両ストッパ41,42を設け、引
張り機構Gによって第4可動桁C4に加えられる移動力
をこのストッパ41,42によって他の可動桁C1〜C
4に伝達するように構成している。
【0066】図8,9に、第3および第4両可動桁C
3,C4の相対向する端部に設けられたストッパ41,
42を例にとってその詳細を示している。
【0067】図示のようにこの両側ストッパ41,42
は、ゴム等の緩衝性を備えた素材からなるストッパ本体
41a,42aと、このストッパ本体41a,42aの
先端面に固定された当て板41b,42bと、ストッパ
本体41a,42aの基端面に固定された取付金具41
c,42cとから成り、この取付金具41c,42cを
可動桁C1〜C4の端面に埋め込み固定している。
【0068】このうち、内軌側ストッパ41,41は、
軌道基準状態では、図8に示すように互いの間に隙間S
が形成され、軌道分岐時に図9に示すように互いの端面
(当て板41b,41c)同士が密着する状態で設けて
いる。
【0069】上記隙間Sは、軌道分岐状態において隣接
する両可動桁同士のなす角度と同じ角度θで傾き、分岐
時にストッパ41,41同士が密着することにより、両
可動桁C3,C4の相対回動量が所定の大きさに規制さ
れるようになっている。
【0070】一方、外軌側ストッパ42,42は、分岐
状態から基準状態への切換時に図8に示すように密着し
て両可動桁C3,C4を直線状態に規制し、それ以外で
は離間する状態で設けている。
【0071】この構成において、基準位置から分岐位置
への軌道切換時には、引張り機構Gによって第4可動桁
C4が垂直軸Qを中心として図7の矢印方向に回動する
ため、同可動桁C4と第3可動桁C3の相対向する端部
で内軌側ストッパ41,41同士が当接する(図9の状
態)。
【0072】これにより、第4可動桁C4の移動力がこ
のストッパ41,42を介して第3可動桁C3に伝えら
れ、以後、同じ作用が他の可動桁間で行なわれることに
より、他の可動桁C3,C2,C1が第4可動桁C1に
追従して分岐位置に移動する。
【0073】また、これと逆の、分岐状態から基準状態
への軌道切換時(復帰時)には、第4可動桁C4の移動
力が、他の各可動桁C3,C2,C1まで、互いの外軌
側ストッパ42…を介して順次伝えられることにより、
同様にして他の可動桁C3,C2,C1が第4可動桁C
4に追従して復帰移動する。
【0074】なお、ストッパとしてオイルダンパまたは
油圧シリンダを用いてもよい。
【0075】この構成によると、引張り機構Gが第4可
動桁C4用の一つだけでよいため、分岐軌道全体として
の移動装置の構成が従来および第1実施例と比較して遥
かに簡略化され、設備が簡単ですむ。
【0076】また、引張り機構Gが一つだけでよいた
め、故障のおそれが遥かに少なくなること、モータ間の
同調をとる必要がなく、図5のコントローラ29による
モータ制御が容易になることにより、切換作動の確実
性、信頼性がより一層高いものとなる。
【0077】また、この実施例では、引張り機構Gにお
けるチェーン22の両端を、第4可動桁C4の台車1,
2ではなく、可動桁C4そのもの(通常は長手方向の中
央部側面)に連結し、同可動桁C4を直接牽引するよう
に構成している。
【0078】こうすれば、台車1,2に対する同可動桁
C4の相対移動(すべり)に伴う牽引誤差がなくなるた
め、桁移動位置を正確に把握して確実な移動制御を行な
うことができるとともに、桁支承部の摩耗を軽減するこ
とができる。
【0079】第4実施例(図10参照) 第4実施例では、第4可動桁C4のみを駆動する第3実
施例の構成において、分岐軌道Cの基準位置から分岐位
置への移動始点、および分岐位置から基準位置への移動
終点において、第4可動桁C4に対する移動力が、基準
位置での分岐軌道Cに対して直角方向の引張り力として
加えられるように引張り機構Gを構成している。
【0080】こうすれば、分岐軌道Cの移動中に、第4
可動桁C4に加えられる引張り力の分力として、同可動
桁C4以下の各可動桁に桁長さ方向の引張り力が作用す
る。
【0081】これにより、軌道移動中の各可動桁の折れ
角が小さく押えられるため、隣り合う可動桁間のストッ
パ同士が繰り返し衝突・離間する等の無駄な動きがなく
なり、転換動作が円滑に行なわれる。また、ストッパ4
1,42同士の接触機会が減少すること、接触してもス
トッパ間に作用する押付け力が軽減されることにより、
ストッパ41,42の荷重負担が軽減され、ストッパ4
1,42の寿命を向上させることができる。
【0082】その他の実施例 (I)コントローラ29の変形例を図11に示してい
る。図5との相違点のみを説明すると、図5の速度指令
部30に代えて、時間に対する位置のパターンに基づい
て位置(移動量)指令信号を出力する位置指令部43を
設け、この指令信号を微分器44で微分して速度指令値
V0に変換する一方、位置指令信号Maとセンサ信号M
rとを加算および比較するようにしている。
【0083】この構成によっても図5の構成による場合
と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】(II)分岐軌道Cが多数の可動桁によって
長尺に構成される場合には、第3実施例のように分岐終
点側の端部可動桁のみを牽引する構成では、牽引力が分
岐支点側の可動桁まで十分行き届かないおそれがある。
【0085】そこで、端部可動桁を含めて一つ置きの可
動桁を引張り機構(分岐始点側台車については第2実施
例で示した油圧シリンダによる直動方式としてもよい)
によって駆動する構成としてもよい。
【0086】(III)引張り機構の駆動源としてのモー
タとして、上記実施例の油圧モータに代えて電動モータ
を用いてもよい。この場合は、コントローラ29によっ
てモータ電流または電圧を制御することとなる。
【0087】(IV)モータ回転力を分岐軌道に移動力とし
て伝達する機構において、チェーン22に代えてベルト
またはロープ、スプロケット24,25に代えてプーリ
を用いてもよい。
【0088】(V)上記実施例では本発明を単線軌道の
分岐部分に適用した場合を例にとったが、本発明は上り
線と下り線を備えた複線軌道の分岐部分(上下線を接続
する渡り部分等)にも上記同様に適用することができ
る。
【0089】
【発明の効果】上記のように本発明によるときは、床面
上における分岐軌道を挟んだ両側部のうちの一方に設け
た駆動輪と、他方に設けた従動輪と、駆動輪を正逆回転
駆動するモータと、分岐軌道の下方を通って上記駆動輪
と従動輪とにかけ渡されその両端が可動桁の両側に止め
付けられた牽引部材とによって移動装置の引張り機構を
構成したから、次のような効果を奏する。
【0090】(1)可動桁の牽引方向をモータの正逆回
転によって切換えることができるため、駆動源としての
モータが分岐側および復帰側に共通の一つですむ。従っ
て、移動装置全体の構成を格段に簡略化することができ
るため、設備コスト、建設コストを大幅に低廉化するこ
とができる (2)駆動源の減少、これに伴う付属設備の簡略化によ
り、鉄道においてきわめて重要な日常のメンテナンスが
従来と比較して遥かに容易となり、鉄道の安全確保に非
常に有益となる。また、メンテナンスの費用も格段に安
くてすむ。
【0091】(3)駆動源の減少によって同調運転が容
易となり、同調崩れによる可動桁同士の接触や、可動桁
が必要以上に回動する所謂桁折れ等を防止して切換作動
の信頼性が高くなる。
【0092】このため、安全輸送、円滑輸送の面で大き
な効果を発揮する。
【0093】また、引張り機構の動作を通じて軌道位置
を間接的に検出する方式をとりながら、牽引部材のたる
み等によって実際の軌道位置とセンサ信号とにずれが生
じた場合に、そのずれが小さい範囲ではフィードバック
制御を行わないように構成しているため、片側駆動方式
の弊害であるハンチングの発生を防止して分岐軌道をス
ムーズに移動させることができる。
【0094】また、請求項2の発明によると、加えて、
モータの加減速度が過大とならないように一定の制限を
設けているため、軌道の移動が滑らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す軌道基準状態の概略
平面図である。
【図2】同軌道分岐状態の概略平面図である。
【図3】図1の一部拡大図である。
【図4】図3のIV-IV線断面図である。
【図5】同実施例においてモータを制御するコントロー
ラのブロック構成図である。
【図6】本発明の第2実施例を示す軌道基準状態の概略
平面図である。
【図7】本発明の第3実施例を示す軌道分岐状態の概略
平面図である。
【図8】第3実施例における軌道基準状態の一部拡大平
面図である。
【図9】同実施例における軌道分岐状態の一部拡大平面
図である。
【図10】本発明の第4実施例を示す軌道基準状態の一
部概略平面図である。
【図11】コントローラの他の構成例を示すブロック図
である。
【図12】従来装置を示す軌道基準状態の概略平面図で
ある。
【図13】同軌道分岐状態の概略平面図である。
【図14】図13の一部拡大図である。
【図15】図14のa−a線断面図である。
【符号の説明】
C 分岐軌道 C1〜C4 分岐軌道を構成する可動桁 1,2…台車 G 引張り機構 21 引張り機構の駆動源としてのモータ 22 牽引部材としてのチェーン 24 駆動輪としての駆動スプロケット 25 従動輪としての従動スプロケット 28 モータ制御弁 29 モータを制御するコントローラ 30 コントローラの速度指令部(動作指令部) 31 位置センサ 32 演算部 43 コントローラの位置指令部(動作指令部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 喜内 東京都国分寺市光町2丁目8番地38 財団 法人 鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 佐藤 正男 東京都国分寺市光町2丁目8番地38 財団 法人 鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 長井 士郎 東京都杉並区天沼3−30−20 (72)発明者 吉沢 暢紘 横浜市中区豆口台107−1 グレイス山手 1−105 (72)発明者 崎山 和彦 神戸市灘区新在家南町2丁目2番5号 新 在家センター (72)発明者 田仲 秀基 兵庫県加古郡稲美町野寺853−3 (72)発明者 青井 実 兵庫県明石市中崎1丁目1番1−301号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軌道長さ方向に並べられた複数の可動桁
    を隣り合うもの同士間で垂直軸まわりに相対回動可能に
    連結して分岐軌道を構成し、この分岐軌道を基準位置と
    分岐位置との間で床面上を移動させて列車の進路を切換
    える鉄道の分岐装置において、 (A)上記分岐軌道を上記基準位置と分岐位置との間で
    移動させる手段として、上記床面上における分岐軌道を
    挟んだ両側部のうちの一方に設けられた駆動輪と、他方
    に設けられた従動輪と、上記駆動輪を正逆回転駆動する
    モ―タと、分岐軌道の下方を通って上記駆動輪と従動輪
    とにかけ渡されその両端が分岐軌道の両側に止め付けら
    れた牽引部材とからなる引張り機構を具備し、 (B)上記引張り機構のモータを制御する手段として、
    予め設定された分岐軌道の移動パターンに基づいてモー
    タに対する基本制御信号を出力する動作指令部と、上記
    引張り機構の動作を通じて分岐軌道の位置を検出する位
    置センサと、演算部とを具備し、 (C)上記演算部は、上記動作指令部からの基本制御信
    号に基づいて求められる計算上の軌道位置と、上記位置
    センサによって検出される軌道位置との偏差を求め、こ
    の偏差が予め設定された基準値を超える場合にのみ偏差
    に応じたフィードバック信号を上記基本制御信号に加算
    して制御量を求めるように構成されたことを特徴とする
    鉄道の分岐装置。
  2. 【請求項2】 演算部は、制御量に基づくモータの加減
    速度が予め設定された制限値を超える場合に、この加減
    速度が制限値以下となるように制御量を制限して出力す
    るように構成されたことを特徴とする請求項1記載の鉄
    道の分岐装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016079578A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両走行路支持装置
CN108589438A (zh) * 2018-05-15 2018-09-28 中国铁建重工集团有限公司 一种磁浮道岔

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JP2016079578A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両走行路支持装置
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