JPH05139874A - 有機中性液状肥料及びその製造方法 - Google Patents

有機中性液状肥料及びその製造方法

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JPH05139874A JP3007281A JP728191A JPH05139874A JP H05139874 A JPH05139874 A JP H05139874A JP 3007281 A JP3007281 A JP 3007281A JP 728191 A JP728191 A JP 728191A JP H05139874 A JPH05139874 A JP H05139874A
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Abstract

(57)【要約】 〔構成〕窒素、リン酸、カリ及び有機酸を必須成分とし
て水に溶解させた溶液に増粘剤を添加してなる有機中性
液状肥料及びそれを爆発的な中和熱の発生による危険を
完全に防止しながら製造する方法。 〔効果〕N、P、Kのバランスがとれ且つそれぞれの成
分が高濃度に含まれる有機中性液状肥料を安全に製造す
ることができた。この肥料は、更に土壌の酸性化が防止
できる大きな利点がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機中性液状肥料及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている化学肥料は、尿素以
外は全て塩類を主原料として粒状化したり、粉体にした
り、あるいは液体肥料として発売されているが、そのい
ずれも強酸性を呈するものがほとんどである。たとえ
ば、硫酸アンモニウムはpH4.0 〜4.5 の強酸性肥料で
ある。またカリ肥料も硫酸カリウムや塩化カリウムが主
体であるため硫酸アンモニウムと同様に硫酸根等無機塩
類の含有量が多い。更にリン酸肥料の原料は液体リン酸
が主体をなすものであり、強酸性であるため、これを中
性化させるために石灰と結合させた過リン酸石灰肥料
や、粘土と結合させた有機酸溶解性のリン酸肥料として
石膏で被覆されて市販されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の肥料はいずれも
畑や水田に施用した場合、畑作土壌や水田土壌中に硫酸
根等無機塩を拡散集積しpH4.0 〜4.5 の強酸性土壌化
し、耕地が塩類の集積土壌となり、作物や植物の生長を
妨げ、根ぐされ、株ぐされを引き起こし、連作障害の原
因となっている。また、硫酸アンモニウムは強酸性土壌
中で分解して亜硝酸態窒素となって正常な蛋白質や澱粉
を生産できなくなり、未消化窒素蛋白体の形態で茎や葉
に蓄積される率が高くなるため、高温低温に対する耐性
が弱くなる。その結果高温管理下における茎や葉の未消
化蛋白は細胞内でガス化して細胞爆発を引き起こし、こ
れが原因となってカビ類、ウドン粉病類にかかる植物が
多くなり農業上の問題となっている。そして、少しでも
畑や水田の土壌の強酸性化を防止し、健全な土壌を維持
するために、中性の無硫酸根肥料の開発が大きく社会的
に要請されるようになってきた。
【0004】
【課題を解決するための手段】しかしながら、液状肥料
にあっては、強酸と強アルカリを大量に反応させると大
爆発を引き起こす恐れが極めて強く非常に危険であるた
め今まで工業的な有機中性液状肥料の製造が行われてい
なかった。本発明者等は、この酸とアルカリの中和反応
熱の爆発的発生の防止について鋭意研究を続けてきた結
果、有機酸液中で酸とアルカリを中和させることによっ
てこの中和熱の爆発的な発生を効果的に抑制できること
を知見し本発明を完成させるに至った。
【0005】即ち、本発明は、窒素、リン酸、カリ及び
有機酸を必須成分として水に溶解させた溶液に増粘剤を
添加してなる有機中性液状肥料である。また、本発明
は、上記の有機中性液状肥料を製造する方法であって、 (a) 水に有機酸を攪拌添加して常温にて溶解し; (b) 上記有機酸溶液に必要量の1/3 の量の液体リン酸を
徐々に攪拌添加し; (c) 上記混合物に必要量の1/3 の量の苛性カリを温度を
60℃以下に規制しつつ徐々に攪拌添加し最終的に90℃に
達した時点で; (d) 上記混合物に必要量の1/3 の量の尿素を一度に攪拌
添加し、温度が約40℃になった時点で; (e) 再び上記の工程(b) 〜(d) を2回繰り返し; (f) 更に増粘剤及びアミノ酸を添加混合し; (g) 最後にキレート鉄及び硫酸銅或いはそれらに代えて
クエン酸鉄アンモニウムを添加混合することを特徴とす
る有機中性液状肥料の製造方法である。
【0006】本発明において、窒素成分としては通常硫
酸アンモニウムを使用する。また、リン酸成分としては
通常液体リン酸を使用する。更に、カリ成分としては通
常苛性カリを使用する。増粘剤の例としてはポリビニル
アルコールのような合成樹脂やアルギン酸ソーダや海草
エキスなどが挙げられる。これらの増粘剤はいずれも
N、P、K、の有効肥料成分を包み込んで緩効性を付与
する性質があるが、中でもアルギン酸ソーダはpH緩衝
作用もあるため特に好ましい。
【0007】アミノ酸の例としては、天然の蛋白質を分
解したL- アミノ酸の混合物が挙げられ,具体的には馬
や牛のひずめの加水分解物から調製したL- アミノ酸の
混合物が用いられる。また、キレート鉄と硫酸銅は液体
肥料をグリーンモスク色に着色して商品の美的感覚を高
める以外に、植物の葉や茎に付着したときに光を受け易
くするという効果も奏する。なお、上記キレート鉄と硫
酸銅の混合物に代えてクエン酸鉄アンモニウムを使用す
ることができる。
【0008】なお、本発明の有機中性液状肥料は、上記
の成分のほかに微量要素(例えば、Mn、Fe、B 、Cu、Z
n、Cl)を含有してもよい。しかして、有機酸の例とし
てはクエン酸、酢酸、リンゴ酸、フマール酸などが挙げ
られる。そして、本発明における第一の特徴は、土壌を
酸性化しない有機中性液状肥料を提供することにある。
第二の特徴は、この有機中性液状肥料の製造にあたって
有機酸の水液中で強酸と強アルカリを中和させることに
より爆発的な中和熱の発生を抑制することにある。この
中和熱の爆発的な発生を抑制する方法は、具体的にはリ
ン酸の所要量の数分の1、普通使用される200 リットル
の反応槽では1/3の量を有機酸水溶液中に徐々に添加し
てほぼ常温にて溶解し、次いで温度が60℃以上にならな
いように苛性カリを同じく所要量の1/3 の量を少しづつ
添加攪拌混合し、添加終了後混合液の温度が90℃に到達
した時点で所要量の1/3 の量の尿素を一挙に添加攪拌し
て反応液の温度を50〜60℃に急速に降下させて窒素の気
散蒸発を防止する点にある。こうして、有機酸と尿素を
媒体として低pHの液体リン酸と高pHの苛性カリフレ
ークの反応を爆発的な中和熱の発生を防止して行うこと
ができる。これを数回、具体的にはもう2回繰返して中
和反応を完了するが、何回に区分するかは反応容器の大
きさ、反応装置の冷却能力によって決定されるが、通常
の200 〜300 リットルの容器では3回に区分されるのが
普通である。
【0009】なお、上記の説明ではリン酸、苛性カリ、
尿素の順で添加混合したが、これをリン酸、尿素、苛性
カリの順に添加しても同様に反応熱の爆発的な発生を防
止することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
【実施例1】容量200 リットルの攪拌機、温度計、水冷
装置付きのホーロータンク中に水を100 リットル仕込
み、攪拌しながらクエン酸を1kg投入溶解する。次いで
温度17℃のクエン酸水溶液中に75%液体リン酸18kgを攪
拌しながら1kgづつ徐々に30分かけて投入する。30分後
混合物の温度は28〜30℃になった。この混合液にフレー
ク状苛性カリ17kgを攪拌下に30分かけて1kgづつ温度を
60℃に規制しつつ徐々に添加する。添加終了後温度は90
℃に上昇する。混合液の温度が90℃になった時点で白色
結晶尿素20kgを一挙に投入する。混合物の温度は急速に
低下し約40℃になる。この後、上記の液体リン酸18kg、
フレーク状苛性カリ17kg及び結晶尿素20kgの添加投入を
2回繰返す。上記工程終了後アルギン酸ソーダ2kg及び
馬のひずめの加水分解物から調製したL- アミノ酸の混
合物 0.2 kg を徐々に添加溶解させ混合液に粘性を付与
する。次に、キレート鉄800gを5リットルの温湯に溶解
した後硫酸銅400gを添加溶解した混合液を上記の粘性液
に添加混合してクリーンモスク色の粘性液を得る。この
有機中性液状肥料のpHは7.0 である。
【0012】
【実施例2】実施例1と同じホーロータンク中に水を85
リットル仕込み、攪拌しながらクエン酸を1kg添加溶解
する。次いでクエン酸水溶液中へ液体リン酸18kgを1kg
づつ攪拌しながら徐々に添加混合し、十分攪拌してから
結晶尿素20kgを一挙に投入し十分攪拌して完全に溶解し
てからフレーク状苛性カリ17kgを攪拌下に1.7kg づつ徐
々に添加混合する。中和熱の発生によって混合液の温度
は約75℃に上昇するが約25分間攪拌し続けて温度が約50
℃に低下した時点で再び液体リン酸の添加を行う。こう
して上記の液体リン酸、結晶尿素、フレーク状苛性カリ
の添加投入を繰返す。この後、実施例1と全く同様にア
ルギン酸ソーダ、アミノ酸、キレート鉄及び硫酸銅の添
加を行ってグリーンモスク色の粘性を有する有機中性液
状肥料を得た。
【0013】この有機中性液状肥料中のN、P及びKの
含量はそれぞれ約12%であって極めて高濃度である。ま
た、そのpHは7.0 である。
【0014】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によって爆発
的な中和熱の発生による危険を完全に防止できて安全
に、かつ工業的に有機中性液状肥料の製造が可能になっ
た。しかも、製造時の最高温度を90℃に抑えることがで
きるので窒素成分の揮散放出が防止でき、N、P、Kの
バランスがとれ且つそれぞれの成分が高濃度に含まれる
有機中性液状肥料を得ることができた。また、本発明の
有機中性液状肥料の施用によって土壌の酸性化が防止で
き、正常な肥料の吸収が増大し、病虫害の発生が少なく
なり、作物が健全に育成可能となる。その上、酸性でな
いから土壌コロイドによく吸着して流亡しないので、環
境破壊防止に役立ち、公害防止上有用な肥料となりう
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素、リン酸、カリ及び有機酸を必須成
    分として水に溶解させた溶液に増粘剤を添加してなる有
    機中性液状肥料。
  2. 【請求項2】 次の工程からなることを特徴とする有機
    中性液状肥料の製造方法: (a) 水に有機酸を攪拌添加して常温にて溶解し; (b) 上記有機酸溶液に必要量の1/3 の量の液体リン酸を
    徐々に攪拌添加し; (c) 上記混合物に必要量の1/3 の量の苛性カリを温度を
    60℃以下に規制しつつ除々に攪拌添加し最終的に90℃に
    達した時点で; (d) 上記混合物に必要量の1/3 の量の尿素を一度に攪拌
    添加し、温度が約40℃になった時点で; (e) 再び上記の工程(b) 〜(d) を2回繰返し; (f) 更に増粘剤及びアミノ酸を添加混合し; (g) 最後にキレート鉄及び硫酸銅を添加混合する。
  3. 【請求項3】 次の工程からなることを特徴とする有機
    中性液状肥料の製造方法: (a) 水に有機酸を攪拌添加して常温にて溶解し; (b) 上記有機酸溶液に必要量の1/3 の量の液体リン酸を
    徐々に攪拌添加し; (c) 上記混合物に必要量の1/3 の量の苛性カリを温度を
    60℃以下に規制しつつ除々に攪拌添加し最終的に90℃に
    達した時点で; (d) 上記混合物に必要量の1/3 の量の尿素を一度に攪拌
    添加し、温度が約40℃になった時点で; (e) 再び上記の工程(b) 〜(d) を2回繰返し; (f) 更に増粘剤及びアミノ酸を添加混合し; (g) 最後にクエン酸鉄アンモニウムを添加混合する。
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