JPH0513836B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞ 本発明は、インクの乾燥性、搬送性、ブロツキ
ング（裏写り）防止等の印刷適性に優れた印刷用
シートに関し、特にオフセツト印刷に好適な印刷
用シートに関するものである。 ＜従来の技術＞ 近年、印刷の多様化に伴い、紙、合成紙、熱可
塑性樹脂フイルム、金属箔、金属蒸着シート等の
バラエテイーに富んだ媒体に対する印刷が望まれ
ており、オフセツト印刷、グラビア印刷、フレキ
ソ印刷、スクリーン印刷、凹版印刷等の印刷方法
がとられている。これらの印刷方法の中でもオフ
セツト印刷は製版が容易であり、かつ安価である
こと、仕上がりが美しい等の理由から各種媒体へ
のオフセツト印刷の要望が強く、オフセツト印刷
に適した各種のシートやフイルムが開発されてき
ている。 オフセツト印刷用シートの必要特性としては、
搬送性、ブロツキング防止、インクの乾燥性、イ
ンクの着肉性、静電気防止等があり、シート自体
ではこれらの特性を満足させることができない
為、シート表面に処理に行うことにより、オフセ
ツト印刷適性をもつたシートが得られている。例
えば、ポリエステルフイルムにおいて、インク乾
燥性を向上させる為に無機顔料を含む塗料を表面
に塗布したり、インクの着肉性を向上させる為に
表面にコロナ処理を施したり、フイルム自体を他
の極性モノマーとの共重合や、ポリマーブレンド
法による樹脂により成型する等の方法が採用され
ている。また、静電気防止の為には、帯電防止剤
を樹脂中に練り込んでフイルム成型したり、フイ
ルム表面に帯電防止剤を塗布する方法等が採用さ
れている。 しかしながら、これらの処理を施してもオフセ
ツト印刷用シートとして前述の必要特性を全て満
足したものは得られていないのが実情である。そ
のためこれを補うべく一部シートにおいては、シ
ート裏面に台紙を貼り合わせて、搬送性及びブロ
ツキングによるインクの裏移り等の欠点をカバー
して使用している状況である。このようにシート
裏面に台紙を貼り合わせることによつて、オフセ
ツト印刷特性は満足されるが、これらは印刷用シ
ートの製造時の台紙の貼り合わせ工程、印刷後の
台紙の剥離工程、台紙コスト等、作業性、経済性
において問題点を有するものである。 ＜発明が解決しようとする問題点＞ 本発明は、前記印刷シートの必要特性を全てか
ね備えた優れた印刷特性を有し、さらに従来台紙
貼り合わせが必要とされた支持体においては台紙
貼り合わせが不要の印刷用シートを提供するもの
であ。 ＜問題点を解決するための手段＞ 本発明は、印刷用シートの前記必要特性につい
て、特に酸化重合型のオフセツト印刷用インクの
乾燥性を上げる為に表面層用の材料について検討
した結果見出されたもので、プラスチツクシート
の少なくとも片面に特定の金属または金属化合物
を少なくとも１種と特定の結着剤とを含有する表
面層を設けたことを特徴とするオフセツト印刷用
シートである。 本発明に使用されるプラスチツクシートとして
は、合成紙、不織布、熱可塑性樹脂シート（フイ
ルム）、金属繊維シート、金属蒸着シート（フイ
ルム）等、さらにこれらの組み合わせによる多層
構成により成る複合シート等を使用することが可
能であり、印刷機に適応可能であればシート状、
板状、その他の形態で供給可能であり、支持体の
素材とその形態は特に限定されるものではない。 本発明に使用される特定の金属または金属化合
物とは、バンジウム、クロム、マンガン、鉄、コ
バルト、ニツケル、銅、錫、鉛の各金属単体及び
これら金属の酸化物、硫化物、水酸化物、ハロゲ
ン化物、硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、クロム酸
類、重クロム酸類、過マンガン酸類をいうもので
あり、特にコバルト、マンガンおよび鉛の各金属
単体または各金属化合物が好適である。具体例と
しては、前記各金属元素の微粉末、酸化コバルト
（）、二酸化マンガン、酸化鉄（）、酸化鉄
（）、二酸化鉛（）等の酸化物、硫化鉄（）、
硫化鉛（）等の硫化物、水酸化鉄（）等の水
酸化物、塩化鉄（）、塩化コバルト（）、塩化
鉛（）等のハロゲン化物、硫酸ニツケル、硫酸
銅、硫酸マンガン、硫酸コバルト等の硫酸塩、ホ
ウ酸コバルト、ホウ酸マンガン、ホウ酸鉛等のホ
ウ酸塩、クロム緑、黄鉛等のクロム酸類が挙げら
れる。これらの金属または金属化合物は表面層中
に0.01重量％以上含まれることが必要であり、
0.05〜10重量％含まれるのが好適である。なお、
前記金属及び金属化合物は必要に応じて２種以上
を組み合わせて使用することもできる。 本発明の表面層を構成する結着剤としては、ｎ
−ブチルメタクリレート系樹脂またはｎ−ブチル
メタクリレート系オリゴマーを含有する樹脂が用
いられる。ここで、ｎ−ブチルメタクリレート系
オリゴマー及び樹脂とは、ｎ−ブチルメタクリレ
ートの単独重合体、もしくはアクリル系、メタク
リル系、スチレン系、その他ビニル系等のモノマ
ーとの共重合体である。また、ｎ−ブチルメタク
リレート系オリゴマーを含有する樹脂とは、ｎ−
ブチルメタクリレート系オリゴマーを全結着剤成
分の30重量％好ましくは50〜75重量％の範囲で含
有するものである。なお、樹脂としてはｎ−ブチ
ルメタクリレート系オリゴマーとの相溶性を考慮
してポリエステル系、アクリル系、メタクリル
系、スチレン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系等
の単独重合体及びこれらの共重合体等の結着剤に
使用可能な樹脂を適宜使用すればよい。 本発明のオフセツト印刷用シートは前記プラス
チツクシートの少なくとも片面に、前記金属又は
金属化合物と上記の如き結着剤とを溶剤中に溶解
または、分散した塗料を塗布、乾燥して表面層を
形成することによつて得られる。また、金属又は
金属化合物を溶解、または分散した結着剤を溶融
押出しラミネート法により前記プラスチツクシー
ト上にラミネートし、表面層を形成することによ
つても得ることが出来る。また、表面層には必要
に応じてブロツキング対策、搬送性、静電気防止
等のために、各種の添加剤を使用することが出来
る。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、タル
ク、カオリン等の無機顔料や樹脂微粉末等の有機
顔料、また有機金属化合物微粉末、また、カチオ
ン系、アニオン系、ノニオン系の帯電防止剤等が
使用される。表面層の厚さは、約1μ以上が必要
であるが、約２〜10μが好適である。以上の構成
より成る本発明の印刷用シートは、特に酸化重合
タイプのインクの乾燥に有効で、オフセツト印刷
に好適であるが、グラビア、フレキソ、スクリー
ン等他の印刷方法にも良好な印刷特性を有する。 ＜実施例＞ 次に、本発明を実施例により説明する。ここで
使用する部数は全て重量部を示すものである。 実施例 １ 厚さ100μのポリエチレンテレフタレートフイ
ルムに下記組成の塗料を調製し、メーヤバーコー
ターで塗布後乾燥して厚さ3μの表面層を形成し
本発明の印刷用シートを作製した。 ｎ−ブチルメタクリレート樹脂（分子量９万、
固形分40％） 50部 コバルト微粉末 0.02部 溶剤（トルエン） 50部 このようにして得た印刷用シートをI.G.T.印刷
適性試験機（熊谷理機社製）にて、インクとして
POP−Ｋ墨（大日本インキ化学社製）を使用し
て印刷適性試験を行つた。 実施例 ２ 表面層用塗料として、下記組成のものを使用し
た以外は、実施例１と全く同様にして本発明の印
刷用シートを作製し、印刷適性試験を行つた。 ｎ−ブチルメタクリレート樹脂（分子量18万、
固形分40％） 50部 塩化コバルト（） 0.01部 溶剤（トルエン） 50部 実施例 ３ 表面層用塗料として、下記組成のものを使用し
た以外は、実施例１と全く同様にして本発明の印
刷用シートを作製し、印刷適性試験を行つた。 ｎ−ブチルメタクリレートオリゴマー（分子量
約1000） 50部 アクリル系樹脂（サーモラツクＭ−2000、綜研化
学社製） 50部 硫酸マンガン 0.01部 溶剤（トルエン） 50部 実施例 ４ 支持体としてポリエチレンテレフタレートフイ
ルムに代えて、不織布（タイベツク1056、デユポ
ン社製）を用い、かつ、表面層用塗料として、下
記組成のものを使用した以外は、実施例１と全く
同様にして本発明の印刷用シートを作製し、印刷
適性試験を行つた。 ｎ−ブチルメタクリレート樹脂（分子量９万、
固形分40％） 50部 二酸化マンガン 0.01部 溶剤（トルエン） 50部 比較例 １ 表面層用塗料として、下記組成のものを使用し
た以外は、実施例１と全く同様にして比較用のシ
ートを作製し、印刷適性試験を行つた。 ポリエステル樹脂（パイロン＃200、東洋紡社
製、固形分40％） 50部 溶剤（トルエン） 50部 比較例 ２ 表面層用塗料として、下記組成のものを使用し
た以外は、実施例１と全く同様にして比較用のシ
ートを作製し、印刷適性試験を行つた。 メチルメタクリレート樹脂（Ｎ−2000、綜研化
学社製、固形分40％） 50部 溶剤（トルエン） 50部 前記、実施例１〜４、比較例１〜２の印刷適性
試験の結果は表−１に示すとおりであり、本発明
の印刷用シートが比較例に比べて優れた諸特性を
示すことが確認された。 なお、表−１における各項目の評価方法は以下
のとおりである。 (1) 着肉性：目視判定で良好なものを○とした。 (2) インク乾燥性：印刷後、１時間放置後に、指
でこすつて非常に良好なものを◎、指に極わず
かインクが着くものを○、指にインクがはつき
り着くものを△、かなり指に着いてしまい印刷
面が汚れるものを×、とした。 (3) インク裏写り：印刷直後に、未使用の該当印
刷用シートを印刷面上に重ねて、インク乾燥後
に、重ねた印刷用シートの裏面へのインクの転
移（裏写り）を目視で判定をした。全く問題が
ないものを○、極わずかにインクの裏写りが認
められるものを△、はつきりとインクの裏写り
があり、実用上問題となるものを×、とした。

【表】 また、前記実施例１〜４により得られた本発明
の印刷用シートを、枚葉オフセツト印刷機
（HEIDELBERG Mo）にて、実用試験を行つた
ところ、１万枚の連続印刷で、搬送性、着肉性、
インク乾燥性等、実用上何等支障のないものであ
つた。以上の結果から分かるように本発明の印刷
用シートは、各項目にわたつて特に問題なく、良
好な印刷適性を持つた優れたシートであつた。 ＜発明の効果＞ 本発明は、上記の構成よりなるのでオフセツト
印刷の被印刷用シートとして要求される枚葉印刷
の際の搬送性、インク着肉性、インク乾燥性、ブ
ロツキング性（裏写り防止）等の全てを満足する
ことができ、印刷の多様化というニーズを十分に
満足させる種々の形態の優れた印刷適性を持たせ
た印刷用シートを提供するものである。特に酸化
重合タイプのインクの乾燥性に優れている為、従
来、オフセツト印刷時に一部のシートに於いて必
要とされていた台紙の貼り合わせを行わなくとも
良好な印刷特性を発揮することができ、台紙使用
による作業性、経済性における不利益が解消され
るものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プラスチツクシートの少なくとも片面に、バ
   ナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
   ツケル、銅、錫、鉛の中から選ばれる金属又はそ
   の金属化合物を少なくとも１種と結着剤とを含有
   する表面層を設け、かつ、該結着剤がｎ−ブチル
   メタクリレート系樹脂またはｎ−ブチルメタクリ
   レート系オリゴマーを含有する樹脂であることを
   特徴とするオフセツト印刷用シート。